2011,07,01, Friday
『狼男とサムライ』 (DVD版)
本国スペインでリリースされた正規のDVDを入手してから3か月ほど放置していたが、ようやく鑑賞。 ベースは完全版(字幕なし)、しかも画像がクリアで、医者なのにやたらと強い貴庵さんのこれでもかという華麗な殺陣やらムチムチお肌やらをじっくり堪能できる仕様になっていた。またスペイン語吹替も、それっぽい渋めの声の人を充てているせいか、なんだか分かったような気になれる。日本語版を入手した方ならぜひ(まだeBayなどで入手できるはず) 完全版なのでラストにはちゃんと「絆」が流れるが、フルコーラス収めて画面が先に暗転してしまっていた完全版とは違い、クレジット表記が済んだところで(中途半端なフレーズにも関わらず)ぶちっと切れていた。 *その代り、と言ってはなんだが、「絆」は映像特典のギャラリー部分のBGMになっている(ありがたいんだかどうなんだか)。 *当サイトでのその他『狼男…』情報はこちら。
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2011,06,20, Monday
『「空白の起点」より 女は復讐する』(1966年・S41)
(神保町シアターにて鑑賞) 冬の曇り空のような(原作の描写引用)寡黙な保険調査員・新田純一(天知茂)は、同業のベテラン塚本(美川陽一郎)と新田をライバル視する佐伯初子(原知佐子)と共に顧客の偽装を暴いた帰り道、駅のホームで少々杜撰な髪型をした女性・鮎子(川口小枝)に目を留めた。秘書のくせになんとかならんのかその髪(想像)、とチラ見しているうち、鮎子がおもむろに悲鳴を上げた。崖から人が落ちるのを見たのだという。ところがその被害者、小梶美智雄(加藤嘉)はなんと鮎子の父だった。 ありえない偶然に眉間のセンサーが作動した新田が調査を進めると、保険金の受取人は小梶の長女・美子(富永美沙子)でも長男・裕一郎(露口茂)でもなく(長女の婿・北町さんでも勿論なく)、後妻の子の鮎子ただ一人らしい。仕事上気になるのか、それとも彼女に惹かれるからか…心を持て余しながら深入りしていく新田。 そんな新田の抜け駆けが許せない初子は刑事の高良井(中谷一郎)と共に行動、容疑者・国分(菅井一郎)の存在を突き止めた。意気揚々と新田に対峙する初子だったが、強引に押し倒されてネタをあっさり話してしまう(実は新田にゾッコンの初子、最初からそうなることを望んでいたようだ)。 そんな折、「国分が自殺した」との報が舞い込む。被害者に金を無心しており、遺書まで遺していた国分を警察は犯人と断定。他社が保険金を出す中で、新田だけが釈然としないでいる時、アパートに鮎子が訪ねてきた。好意を露わにして押し倒しにくる彼女に抗いきれず、一線を越えてしまう新田。裏があるのではないか、と疑いながら豊満ボディの虜になっているところへ女の勘が働いた初子が現れ、モテ男はビンタを食らうのだった。 ジェラシー半分、職業意識半分で鮎子の生い立ちを調べた初子は、彼女が小梶の子ではなく、国分の子だったことを知り、新田に告げる。処女ではなかった鮎子の背後に男の存在を嗅ぎ取り、心穏やかでない新田は裕一郎を疑うがシロ。しかし、小梶の愛人・志津(岩崎加根子)の口から衝撃的な事実を知らされる。小梶は血の繋がっていない、愛した女の娘である鮎子と関係を持っていたのだと。 鮎子は(今でいうサスペンスのクライマックス定位置・崖の上で)新田にすべてを打ち明けた。小梶との関係を知った実父・国分を利用して小梶を突き落させたこと。その彼を豊満ボディで圧死、じゃなく溺死させたこと。でも貴方を愛したことだけは本当なの――泣き崩れながらもひとりで去ってゆく彼女の後ろ姿を見送りながら、これが自分の「空白の起点」になることを新田は感じていた…。 *『殺すまで追え 新宿25時』のときもそうだったが、おそらくもっともクール・ビューティな時代の主演映画というだけで脳味噌が溶けてしまい、客観的につっこめないのが痛い。 独白ナレーションで渋く語る天知茂!いつも以上にアンニュイに構える天知茂(実は浮気嫁に殺されかけた過去のせい)!情報を聞き出すために同業者の女性を押し倒す天知茂!葉子ねえさんも脱帽のヒロインの豊満ボディに押し倒される天知茂!そしてどっちのラブシーンも(相変わらず相手のふくらみを律儀に避け)とても礼儀正しくダンディな天知茂!もちろん挿入歌(主題歌)「空白のブルース」を歌うのは天知茂!アップでわかる吹き出物まで微笑ましい天知茂! なにしろ同時上映は眼鏡マスクだ(『悪魔の囁き』参照)、すべてが愛しく見えて当然である。あまり良くないフィルム状態のせいとは言い切れない話のぶち切れ方でも許してしまう。あんな調査員おらへんやろ、でも許してしまう。困ったものだ。 *弥七が山さんを取り調べる、などという面白い場面もある(北町さんをはじめ、池田さんや宮口さんもしっかり脇を固めている) *ヒロインの小枝ちゃん、確かにあっさり脱ぎすぎ(記事より)というか、ちょっと髪の手入れの悪いがさつな女の子、のイメージ。原作では新田の鏡のような存在なだけに、配給元から彼女をあてがわれた時はさぞ困惑しただろうなと思う。ラブシーンや殺人シーンなど、ボリュームを生かした使われ方に苦労がしのばれた。 *加藤嘉さんの方が揉み方が念入り。ああでなくっちゃなあ(どこをみとる)
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2011,06,20, Monday
『悪魔の囁き』 (1955年・S30)
(神保町シアターにて鑑賞) 博物館勤めの平田(中山昭二)は篤志家・大山(上原謙)の幼稚園に勤めるフィアンセの陽子(筑紫あけみ)とラブラブだったが、ある日陽子が何者かに拉致され、彼女の部屋にはイヤホン付きの囁く箱が。無線で指示を出し身代金をせしめる、近頃はやりのハイテク犯罪者・囁く男のターゲットになったらしい。気が弱そうでドジっぽい平田は無事に陽子を取り戻せるのか? 囁く男の意外な正体とは? 見るからにアレな平田の意外なモテ具合と、同じく見るからにアレな刑事(舟橋元)のドタバタあわて加減をほほえましく見守る映画のようだが、こちらは和んではいられない。なにしろ「黒眼鏡の男」(天知茂の役名)を探さねばならないのだ。 冒頭から血眼で黒眼鏡を探していると、陽子さんをさらう、ほんの一瞬だけでてくる奴が眼鏡マスク姿だったのだがいまひとつ決め手に欠け、もしや「黒眼鏡」ってのは「黒ぶち眼鏡」のことなのか?などと捜査範囲を広げかけた頃、囁く男の手下として、先ほど同様ご大層にマスクまでした黒眼鏡たちがわらわらと登場。いったい何の罰ゲームなのか。試されてるのか。 ただその中でも、相対的に小柄で背広がぶかぶかしてる、公衆電話に入って電話で指示を出していた(悲しいことに声は消されていた)眼鏡マスクが一番あやしいのではないか、と推理したのだが、それ以降は出番がなくてあっさりおしまい。同期の松本朝夫さんなんかちゃんと一人で映ってせりふもらってるのになあ。とはいえこれで役名ついてるってすごいことである(あとの黒眼鏡たちの立場はいったい…)。
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2011,02,17, Thursday
『神州天馬侠』 第一・二部
第一部 武田伊那丸(1954年・S29) 織田勢に敗れた武田勝頼。寺に預けられ生き延びた二男の伊那丸(藤間城太郎)は、快川国師(市川段四郎)から武田家再興のための埋蔵金の在り処が記された系図と宝刀・三日月丸を託され、加賀見忍剣(細川俊夫)と共に僧正谷へと向かうのだが、途中で野武士の集団に襲われ、忍剣と離れ離れになった挙句に囚われの身となってしまった。 僧正谷の蔦鳥(藤間紫)は伊那丸の身を案じ、呼ばれて心持ちギクシャクと緊張気味にやってきた木隠龍太郎(天知茂)を派遣する。ところが六部に扮した胡散臭くて無口な彼は若君を必死に探す忍剣と反射的にやりあってしまい、その間に伊那丸君は野武士の頭領の娘・咲耶子(川田孝子)にさっさと助けられて馬上の人。 龍太郎「おい、今の馬は伊那丸君ではないのか」 忍剣「アッしまった」 ・・・なにやら使えないコンビが誕生して無事伊那丸君と合流したのも束の間、頭領に造反し系図を奪った呂宋兵衛(江川宇禮雄)に追いつかれた一行。呂宋兵衛の妖術に真っ先に倒れた龍太郎は、まともに紹介もされずに伊那丸君(川に落ちて行方知れず)と離れ離れになってしまうのだった…。 *龍太郎初登場の巻。原作ではかなりの剣の達人なので、刀さばきはなかなか美しかったとはいえ、実質何の役にも立っていないところがトホホな若者である(伊那丸クンたち少年少女が強すぎるからなあ) *唯一カッコいい大人は壮絶な最期を遂げる快川国師。 第二部 幻術百鬼(1955年・S30) 呂宋兵衛の妖術からやっと立ち直ったものの、敵に背後から圧し掛かられて倒れたり崖から落ちたりやっぱり使えない味方サイド(主に龍太郎)をよそに、川に流された伊那丸君は竹童くん(佐藤信)操る怪鳥クロに助けられて無事だった(そして龍太郎は何食わぬ顔で味方の一行に加わり伊那丸君と合流)。 龍太郎(と竹童くん)だけでは心もとないと思ったに違いない蔦鳥姐さんは、妖術を無効にする笛を奏でる小鷺ちゃん(小園蓉子)を追加派遣、一時は呂宋兵衛を捕えたかにみえたがあいにく別人。奪われた系図を取り戻すため「斬りこんでしまえば、我らいささかの遅れもとりませぬ!」と切れ者発言をして(by 龍太郎)敵の牙城に乗り込む一行だったが、水責めにあって系図どころかもうひとつの重要アイテム・宝刀三日月丸まで奪われてしまう。大ピンチ!というところで終了。 *そして龍太郎はここといって見せどころのないまま第三部へ。
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2010,11,28, Sunday
今回の演出もシリーズ初が続いて貞永方久監督(必殺シリーズでお馴染み)。
初期に戻ったかのようなセンセイ、いわくつき美女に一目ぼれ展開と兄妹で半生賭けた復讐劇ですが、時代の流れのせいなのかセンセイに分別が付きすぎてしまったせいなのか、しっくり機能しているとは言い難い複雑な感じでした。とはいえ、妖しいタンゴのリズムに乗せて繰り広げられる人間椅子がらみのシーンのいかがわしさは秀逸です。 【明智先生ファッション劇場】 :センセイの服装をキャプチャーしてみました(お姫様抱っこもあります)
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2010,11,07, Sunday
『いも侍・蟹右衛門』(1964年・S39:松竹)
道場破りの浪人集団とのいざこざ、ひょんなことから預かった坊やとの触れ合い、宿を提供してくれたお嬢さんやスリの姐さんとの友情以上恋未満、などを経ながら従兄弟の道場へ向かう、おっとり型だが実はめっぽう腕の立つ“いも侍”こと泡島蟹右衛門(長門勇)の図らずも武勇伝になってしもうたがなもし、なお話。 冒頭から狼藉を働き放題の浪人集団(江見俊太郎さん等)の中でただ一人、ニヒルかつクールにたたずむ淵上甚兵衛(天知茂)は、かつて道場の師範代にと見込まれ、道場主・夏目玄々斎(龍崎一郎)のお嬢さん(小畠絹子)ともいずれ…という出世コースを辿っていたにも関わらず、星野金次郎(宗方勝巳)との試合において玄々斎先生から「お前の剣は邪剣だ!」と言われ道場を破門されてしまった男。金次郎にすべてをかっさらわれた彼は剣の鬼となり、浪人集団のリーダー格で多少は良識ありそうな大垣惣左衛門(堀雄二)の元へ身を寄せていたのである。 ふざけた男のくせに剣の腕はキレる蟹右衛門の従兄弟というのが憎き金次郎である事実を偶然知った甚兵衛は、リベンジを果たすために単身で道場へ出向き、病気療養中の玄々斎をその邪剣(「無宿侍」チックな逆手斬りの構え)で打ち破ると、金次郎に果たし状を突き付ける。 義父の仇、と受けて立った金次郎と対峙する甚兵衛。助っ人に来た蟹右衛門が浪人たちのせいで足止めくらっている間に死闘を繰り広げた結果、金次郎の利き腕を傷つけ勝利を確信した甚兵衛は、止めを刺すことなく剣を下ろした。これで思い残すことがなくなった彼は、最後に蟹右衛門(浪人全員撃退済み)と刀を交えることを選択して果てるのだった。 *邪剣とくれば天知茂なのか(むしろ邪眼?)、『剣に賭ける』っぽい役柄で、トメ位置で松竹映画に返り咲いた第1作。2作目の『抜き打ち御免』よりずいぶん人物の心理描写まで掘り下げられていて見ごたえがあった。
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2010,10,25, Monday
野性の証明 #10 (1979年・S54・3月10日OA)
(今までの大雑把なあらすじ)2年前、東北地方にある柿の木村で村人が大量虐殺されるという事件が発生。事件のショックで記憶を失った生き残りの少女・頼子(三輪里香)を連れ、羽白市へ越して来た謎の男・味沢岳史(林隆三)。大場一成(小沢栄太郎)を長とする一族に仕切られたこの市で、味沢には探さねばならない人物(=母が死に際ですら教えてくれなかった自分の父親)がいる。 その味沢の前に現れる三人の人物。 一人は柿の木村事件を担当する宮古署の村長刑事(小池朝雄)。大量殺人の犯人だと目されている頼子の実父・孫市(矢野宣)を殺めたのは味沢ではないかと睨み、自白を求めて付きまといながら、大場一族の暴挙からさりげなく彼を護ってもいる。 二人目は、死んだ頼子の母と瓜二つの羽白新報記者・越智朋子(浅茅陽子)。新聞社社長だった父を大場一族に謀殺され、大場の不正を暴くことに命を賭ける彼女は、味沢と深く関わるうちに、仄かな恋を芽生えさせる。 三人目は、料亭「桃山」の女将・絹枝(小川真由美)。自分の奏でる津軽三味線に異様な反応をみせる頼子が長井孫市の娘であることを知り、大場の囲われ者でありながら頼子を護ろうとする絹枝は、恩人であり師匠でもあった孫市殺しの真相を大場に迫る。 柿の木村事件の背後に見え隠れする大場の存在、一族に楯突く朋子に迫る魔手。味沢の父とは果たして? そして頼子の記憶は――。 (と、盛り上がっているところで10話) 唯一の協力者だった朋子を強姦の上殺害した大場成明(ピーター)を拉致し、成明の父で一族のドン・一成との直談判を要求する味沢。だが大場の長男・成太(佐藤慶)は頼子を人質にとり、成明との交換を持ちかけてくる。仕方なく成明を返しに来た味沢がならず者たちに囲まれピンチに陥りかけたとき、高らかに待ったの声がかかった。村長刑事と共に現れ窮地を救ってくれたのは、紺の三つ揃いをパリッと着こなした男(天知茂)。東京地検特捜部の乾と名乗った彼は、贈収賄容疑で大場グループを捜査中に柿の木村事件に行きあたったといい、大場の子飼いの中戸(山本清)を逮捕する一方で、味沢に事件の真相を問い質す。 これまでずっと沈黙を守ってきた味沢だったが、真摯に正義を追及する乾と村長(の顔と声と存在感)に圧倒されてか、ついに2年前の事件当日、柿の木村を訪れたことを初めて打ち明ける。そしてその供述は、中戸が雇った実行犯の生き残りの証言と一致。また成明の罪も確定し、大場王国の牙城が徐々に崩れ始めるのだった。 *余りにヒーロー然とした登場シーンに、シリアス展開なのにニヤケ笑いが漏れた。大場成太に「いずれ改めてお目にかかるつもりですが」と渋く言い放ってたものの、出番はこの回でおしまいなのだが、美味しい場面をたっぷりかっさらっての友情出演だった。 *監督が「非情のライセンス」等でお馴染みの永野靖忠氏だから「友情出演」だったのかどうかは不明。ちなみに1カ月後に知恵比べをする予定(「悪魔のような美女」)の小川真由美さんとの接触はなかった。 *(2010.10.30追記)#12の終わりで善人(良識人)サイドに寝返りそうになった成太が、謎の男たち(リーダー格は宮口二朗さん)に囲まれ、父親と乾検事それぞれにあてた遺書をしたためさせられて投身自殺させられるのだが、キャストがキャストだけに、彼らを雇ったのはもしや乾検事なのか!そこまでして大場グループを陥れたいのか!と一瞬思ってしまった(むろん親父の仕業)。
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| TVドラマ(現代劇)::その他(ゲスト) | 10:49 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2010,09,27, Monday
『座頭市の歌が聞える』(1966年・S41)
「先生、お願いします」あまり多くなさそうな前金を受け取って旅姿の男(実はいかさま博打がばれて逃亡中)を斬り捨てた浪人・黒部玄八郎(天知茂)。瀕死の男をなぶりものにする連中には目もくれず、前から来た殺人オーラぷんぷんの座頭(勝新太郎)をも黙ってスルーした黒部は、とある町でようやくお蝶という名の女(小川真由美)を宿場の女郎屋で捜し当てた。 彼女の本名はおしの。飲み屋にいた頃に玄八郎と所帯を持ったらしいのだが、酒癖が悪かった彼の自堕落な暮らしが原因で、今は女郎に身を落とし宿場を転々としていた。その彼女を3年ものあいだ捜し続け、ようやく再会を果たした玄八郎はよりを戻そうと言うのだが、今のあんたには武士の心の欠片もない、と冷たく追い払われてしまった。 それでも諦めきれない玄八郎は、身請け金五十両の調達のために、最近町を牛耳り始めた板鼻の権造(佐藤慶)に自らを売り込む。権造が持ちかけたのは、ショバ代回収の邪魔をする居合いのあんま・座頭市を斬ることだった。さっそく斬りに向かう玄八郎。だが市と一緒にいた琵琶法師(浜村純)の音色に圧されてか、その場は立ち去る(仕込みではなく単なる杖しか持っていなくて内心びびっていた市もひと安心)。 その後ショバ代取り立てで再びひと悶着あり、人一倍敏感な聴覚を祭りの太鼓で撹乱するというクレバーな策を思いついた権造に苦戦するものの連中を蹴散らした市の前に、真打ち(=玄八郎)が現れた。お蝶との経緯を知っているだけになんとか穏便に済ませたそうな市に対しあくまで対決を望んだ結果、主役には勝てるはずもなく散って行った玄八郎。市は黙って、かつてお蝶から貰ったかんざしを骸の上に置いてやるのだった。 (それから権造一家で大暴れした市、ショバ代だけでなくお蝶の身請け金まで受け取ると、玄八郎からだと言って女郎屋に置いてきてエンド)。 *市っつぁんのやさぐれ度も円熟味を増している座頭市シリーズ13作目。冒頭から切れ味鋭い殺陣とクールな風貌をカラーで拝める眼福作品、なのだが、どうしても1作目の平手先生と比べてしまうのでちと分が悪い。前作のように市との友情を育む訳ではないくせに、そこはかとなく善い人的挙動が垣間見える(贔屓目?)せいなのか、“昔は相当ワルくて女房売り飛ばしちゃいました、いまじゃ金のために人斬ってます”な落ちぶれ浪人の殺伐さが消えてしまって、立ち位置が中途半端になっていた気がする。ラストの対決も、市のやる気の無さからすると避けようと思えば避けられた感じがするし、そして何がなんでも身請け金が欲しいんだ、という切羽詰まった必死さが表面に出ないので、たいしたカタルシスもなく終わってしまったような…でもまあカッコいいから許す(特にこの年代)。
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| 映画::大映with勝新太郎 | 11:43 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2010,08,17, Tuesday
#3、#4「晴れ姿 幡随院長兵衛」(1971・S46・10月19日、26日OA)CX 22:00-22:56
(10月19日朝日新聞) 【長兵衛を憎む吉兵衛】(大阪版) 【祝言の夜に果たし状】写真キャプション:幡随院長兵衛(鶴田浩二)と水野十郎左衛門(天知茂)の男と男の出会い(写真はこれ:東映太秦映画村にて) (10月26日大阪版) 今日お目に… 鶴田浩二さん*私も鶴田さん同様、風呂場で長兵衛を殺す人(要するに悪いヤツ)=水野十郎左衛門という認識しかなかったが、そんな男と男の友情話(しかも相手は鶴田さん!)が花咲いているとは知らなかった。 #17「怪盗 腕くらべ」 #18「女泥棒の恋」(1972・S47・1月25日、2月1日OA) (1月25日大阪版) 【身投げ男救ったが…】写真キャプション:おみよ(宇津宮雅代)は目の前の男(天知茂)が父を自殺に追いやったお坊吉三とは知らない。 *天知-宇津宮コンビ、なんだか「無宿侍」を思い出すような感じである(前後逆だけど)
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| TVドラマ(時代劇)::その他(単発など) | 08:12 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2010,08,15, Sunday
あじさい (1974年・S49・3月27日OA)NET 21:00-21:56
【江波と天知で荷風もの】(以上、朝日新聞より引用) お君(江波杏子)は、下谷・房花屋の女郎だったが、三味線弾きの鶴沢宗吉(天知茂)にほれて店を飛び出し妙蓮寺という寺にかくれ住んでいた。だが、生来多情な彼女は近所の辰治(倉岡伸太朗)と関係を結んでしまう。そこへ房花屋の主人〆蔵(伊藤雄之助)がお君を連れもどしにやって来た。原作・永井荷風。(以上、読売新聞より引用) *原作では宗吉の語りで物語が進行、ほれっぽいお君を殺そうと思ったら先に殺されてた、という結末だった。ドラマでもナレーションを担当してそうである。…しかし江波さん、ピストル構えた、はともかく「青白きインテリ」て…会田ってそんなイメージなのか?(やはり同業の人からみてもインドア派な匂いがぷんぷんするのか?) *原作全文はこちら: http://space.geocities.jp/nvngac/19.html *(2012.12.25追記) 作品レビューはこちら。
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