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『早射ち犬』
『早射ち犬』(1967年・S42)

東京で流しのギター弾きをしている鴨井(田宮二郎)は、シマを張る元・極道の九十九会の連中とやりあううち、姉を捜すエミ(嘉手納清美)の姉・文子(江波杏子)が九十九会にいることを偶然知るのだが、九十九会のナンバー2・原(成田三樹夫)は知らぬ存ぜぬを決め込んだ。

そんな折、アパート隣室に住んでいる、臨月の妻・玉子(坂本スミ子)を抱える白タク運転手・五郎(小沢昭一)が関西までの高額ドライブにありつき出発。ところが帰りに車は炎上、客の丸焦げ死体が見つかって五郎が指名手配された、との知らせが上京してきたしょぼくれ刑事・木村(天知茂)によってもたらされる。客とは九十九会の会長・白井金造(伊達三郎)で、原が本人と断定するのだが、鴨井には五郎が犯人とは思えない。

鴨井は家に戻ってくるであろう五郎を張り込む件を了承。身重の玉子にショックを与えぬよう、ひと芝居打つ鴨井と(打たされる)しょぼくれ。だが記者たちが押し掛けてきたことでしょぼくれは玉子に事実を告げた(動揺する玉子に動揺した鴨井のしょぼくれへの名言「こんなに気持ちが動いたら流産してまうやないか、もし流産してみい、お前がかわりに赤ん坊産めよ!」)。

ふてくされた鴨井の代わりに彼のアパートで張り込むしょぼくれは、実は白井の情婦で、麻薬に侵されている文子との面会を親切にもおぜん立て。鴨井は文子に会うが、何者かに射殺されてしまった。今わの際に彼女に渡されたドリンク瓶には強力な麻薬が――それは、アパート隣人のヒッジョーに怪しいオカマ男・咲田(財津一郎)も入っているらしい新興宗教の天心精霊会製のものだった。

その頃、五郎は追われつつアパート近くにたどり着いた。彼は白井に騙され、犯人に仕立て上げられたのだ。死んだのは白井の木偶人形だった天心精霊会の会長。その事実を鴨井に告げようとする五郎だが、九十九会の連中に拉致されてしまう。呼び出しを受けた鴨井はしょぼくれの手足に手錠をかけて敵地へ赴き、得意の早射ちで颯爽と一網打尽、無事五郎を救出して、白井のいる天心精霊会へ乗り込んだ。しょぼくれも駆け付けて会長のふりをしていた白井を逮捕、咲田は麻薬Gメンだったことも判明して一件落着。玉子の出産も無事に済んだ。

「鴨井…達者でな」「お前もいつまでも貧乏刑事しとらんと、少しは出世したらどうや」大阪へ戻るというしょぼくれの餞別に、2本のタバコに火を付け、1本を後ろを向いたままぐいっと差し出す鴨井。だが振り向くと、しょぼくれは既に歩み去っていた――。

*鴨井、東京出稼ぎ編。画面上からこてこて感が薄れたような気がするが、ダジャレ満載の台詞は絶好調(財津さんも絶好調)。そして、相変わらずじゃれ合いながらもクールな距離は保つ二人の関係が集約されているようなラストが素晴らしい。

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| 映画::大映with田宮二郎 | 11:51 PM | comments (x) | trackback (x) |
『続・鉄砲犬』
『続・鉄砲犬』(1966年・S41)

密輸品の奪い合いによる銃撃戦で警羅隊長が殉死、しょぼくれこと木村刑事(天知茂)も右腕を負傷した。彼を見舞って仔細を聞いた鴨井(田宮二郎)は、偶然バーで知り合った京子(久保菜穂子)に請われるまま、彼女の“パパ”・秋津(河津清三郎)の古美術を東京へ輸送する際の用心棒を買って出たのだが、実は古美術とは真っ赤なウソ、秋津は冒頭の事件に関わる密輸組織のボスで、京子は彼の情婦だった。

ふてくされた鴨井は、秋津の次の誘い(=人殺し)をきっぱり断るが、思いつめた表情でホテルまで追ってきた秋津の秘書・雪枝(渚まゆみ)が鴨井の就寝中に何者かに絞殺された。彼女が敵対する多々良(杉田康)サイドに内通していることに感づいた秋津の差し金である。通報したものの第一容疑者として尋問を受ける羽目になった彼の窮地を救ったのは、上京してストリッパーになっていた馴染みの玉子(坂本スミ子)としょぼくれ。しかし、雪枝の恋人で多々良の下っ端・荘吉(高見国一)は、鴨井が殺したと唆されたせいで彼を付け狙う。

ファッションモデルになった、という虚言を真に受けこちらに来るという母親を誤魔化したい玉子に協力してやることになった鴨井は、多々良を取り込んだ秋津に売られかけて泣きついてきた京子を匿う見返りとして、玉子用のマンションを彼女に用意させた。ところが、病気の母親の代わりにやってきた玉子の弟はなんと荘吉。鴨井の言葉で改心した荘吉は、雪枝殺しの黒幕を暴くために協力を申し出るのだが、秋津は彼を拉致、京子との交換を鴨井に持ちかけた。荘吉も京子も見捨てない、と電話口で言い切った鴨井の姿に、京子は自ら秋津の元へ戻り、荘吉の命を間一髪で救った。

鴨井は銃撃戦の末(弾切れ寸前のピンチにパトカーで駆け付けたしょぼくれのお蔭もあって)秋津たちを倒したが、京子は命を落とした。後日、“モデル”の玉子と“サラリーマン”の荘吉を(知らぬ顔をしてくれたしょぼくれと共に)見送った鴨井は、京子の遺骨を故郷・青森へと送り届けるため、旅に出るのだった。

*『鉄砲犬』の次だがストーリーは続編ではない。いきなり撃たれて負傷したしょぼくれ刑事、包帯姿で捜査を続行、ボス・秋津や雪枝殺しの真犯人(前回同様の殺し屋役・守田学)の胡散臭さに眉間を鋭くするシーンや、“独り言”で情報を漏らすなど相変わらずの鴨井贔屓なシーンもあるが、出番は心もち少なめ。新東宝同期の久保さんとは顔合わせがほとんど(全く?)なかったのは残念だった。

*(右腕吊ってるので)左手でお箸を持ってうどんを食べていたしょぼくれは凄いと思った。

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| 映画::大映with田宮二郎 | 11:50 PM | comments (x) | trackback (x) |
『鉄砲犬』
『鉄砲犬』(1965年・S40)

博多の賭場で知り合ったヤクザ風の男・小平一夫(山下洵一郎)に頼まれて、大阪にいる彼の母親に30万入り封筒を渡すことになった鴨井大介(田宮二郎)。大衆酒場でアル中の早川(小沢昭一)が虐められているのを目撃するが、その場をかっこよく収めたしょぼくれ刑事(木村:天知茂)と旧交を温めている間に、大事なハンドメイドの拳銃入りボストンバッグをチンピラに奪われてしまった。

懐に入れていて無事だった預かり物を一夫の母・きぬ(北林谷栄)と妹・照子(姿美千子)に手渡した帰り、チンピラたちが難癖をつけてきたのをシェーのポーズで退散させた鴨井だが、彼らは照子の職場にも姿を見せた。一夫に詐欺の片棒を担がせ、博多で消しにかかった彼らのボス・塚本(安部徹)が、一夫が舞い戻って全てを暴露することを恐れているらしい。しょぼくれの話では、その詐欺の犠牲者が先のアル中・早川だという。名の知れた競輪選手だった早川は、自分を陥れた男(=一夫)を執拗に探していた。

塚本は早川の口も塞ごうと、ヒットマン・魚方(守田学)に命じて襲わせる。偶然通りがかった鴨井の助けで早川は一命をとりとめるが、体内から取り出した弾を鴨井に見せたしょぼくれは渋い顔。「鴨井、お前の匂いがするんやけどな」 魚方が使った銃と弾は、盗まれた鴨井のものだったのだ。おまけに大阪へ戻ってきた一夫も、鴨井の銃を持った魚方に撃たれ死亡、その時間にツルちゃん(坂本スミ子)とトルコ風呂にいた鴨井のアリバイは、ツルちゃんごとかき消されてしまった。

しょぼくれの追及を逃れた鴨井は、病院を抜け出した早川と共にツルちゃんを救い出し、塚本たちのアジトへ向かう。照子を人質に取られてピンチになるも、しょぼくれ達が駆け付ける中で颯爽と“峰打ち”で塚本を海へ沈めた鴨井。「しょぼくれ、俺が撃ち損ねたらどないするつもりやってんや!」奪い返した自前の銃を使ったことを思わず自慢してしまった彼だが「撃った? お前がか? あいつ(=塚本)ひとりで落ちたんと違うんか」としょぼくれはすっとぼけてナイスフォロー、おとがめなしと相成った。

*犬シリーズ第4作目。後ろにも目がある隙のなさを冒頭から見せてくれるしょぼくれ刑事、アル中のおっさんを心配してやったり(標準語で)、照子の一人歩きを心配してやったり(再び標準語で)するかたわら、鴨井にはあくまでおとぼけキャラで迫るというか、自分からじゃれていくような雰囲気が味わい深い(今回は身体検査とやらで2度ほど物理的に迫ってもいた)。…ところで鴨井に弾を見せるシーンで部下に「部長!」と呼ばれていたが、エライさんなんだなあ(って、部長って何の部長なのだろう。特捜部か?←違う)

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| 映画::大映with田宮二郎 | 11:49 PM | comments (x) | trackback (x) |
『東京博徒』
『東京博徒』(1967年・S42)

浅草は浅草寺。べらんめえ調で威勢の良い声を張り上げるテキヤの綾吉(田宮二郎)は一匹狼ながら町の人気者。シマを仕切る花笠組とのいざこざも単身でカタをつける男気に、古着屋のおやっさんの姪・島子(藤村志保)はゾッコン、ふたりはいつしか恋仲に。だがおなじ時期に島子に一目ぼれしていた花笠組の大幹部・志村(天知茂)は当然それが面白くない。綾吉のせいで競馬の払戻金のちょろまかしがバレ、意外と律儀なボス(=志村)にどつかれてもっと面白くない子分の高木が綾吉を執拗に襲う一方、志村は博打好きのおやっさんの借金を膨らませ、「島子を差し出せば帳消しにしてやる」と持ちかける。姪より店が大事なおやっさんは島子を売るが、彼女は家出。店を組にとられたおやっさんは店に放火、挙句のはてに自殺してしまった。

花笠組の追及を逃れて大阪に潜伏していた綾吉は放火の件を知り浅草に舞い戻り、おやっさんの死に直面する。そして知人に匿われていた島子と無事再会するが、花笠組に島子を奪われ、意地に凝り固まった志村との対決を強いられた。サシで決闘するふたり。だが高木に脇腹を刺されピンチになった綾吉に縋りつく島子を見た途端、熱が冷めたように志村は背中を向けるのだった。

*和服も洋服も常にパリっと上物をキメて、全うな極道稼業(?)に精を出しているらしい大幹部の志村(でも組長じゃないので中間管理職どまりか)。金と権力に物をいわせて女を奪おうとする嫌味な役、のはずなのだが、とにかくこの時期の天っちゃんの外見がイイ男すぎるのか、はたまた新東宝時代なら十八番だった蛇のような狡猾さは八重歯と一緒に置いてきたのか、敵役というには人間が出来すぎていて、作品に不思議な中途半端さを添えていた。志村はもっと悪くなくちゃあ、綾吉の立つ瀬がないだろう!そもそも島子にそれほど執着してる風でもなかったし(新東宝の彼ならとっくに押し倒してピンクのライトだ)。しょぼくれ@犬シリーズしかり日草@夜の勲章しかり、どうも天っちゃんは田宮さんと接するときは彼より一回り余裕のある演技で受けるようで(年下相手だからか?)、いつもはそれでとてもいいコンビなのだが、今回に限っては主旨がちょっとずれてしまった気がする。

*舞台は浅草だが、「ひらかたパークでロケがあり、父親が出演していました」というメッセージ紹介があった。大映京都の作品だし、綾吉と島子がデートしてたのは花やしきじゃなくてひらパーだったようである。


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| 映画::大映with田宮二郎 | 11:48 PM | comments (x) | trackback (x) |
『ごろつき犬』
『ごろつき犬』(1965年・S40)

紀州に流れていた鴨井大介(田宮二郎)は、謎のキャデラック美女・三沢葉子(水谷良重)から、夫の仇の一六組幹部3人(稲取・川勝・辺見)をやっつけてほしいと言われて大阪(天王寺)へ。通天閣周辺で前回つぶした蒲生組と天地会の残党に絡まれるが、なぜか彼らは途中で逃げてしまう。鴨井の背後に、彼の帰阪を知りニヤニヤと尾けていた木村刑事(天知茂)がいたからだ。

「なんや、しょぼくれ刑事やないか!」いきなり初出のニックネーム(以後定着)で呼ばれても怒る訳でなく(むしろ嬉しそう)、しょぼくれはうどんの汁をダシに、同僚刑事を射殺した凄腕、一六組の稲取を探ってほしいと鴨井に頼む。お前よりハジキがうまいかもしれん、と対抗心に火をつけられた鴨井は一六組のアジトに向かうが、川勝(成田三樹夫)と辺見(山下洵一郎)の姦計により銃を奪われ倉庫に監禁されてしまう。“組長”の命でまもなく放免、組の女・まゆみ(江波杏子)から銃を返されたものの、その銃は同じく監禁されていた会社重役の射殺に使われていた。

まゆみと恋仲だった実行犯の辺見が殺され、鴨井自身も葉子との逢瀬の最中に狙撃された。黒幕は稲取か――。鴨井の脳裏に、冒頭温泉で遭遇した、自分と同じ拳銃痣(というのかどうか知らないが、肩についた疵)を持つ男(根上淳)が浮かんだ。警察に来た彼にしょぼくれは「俺は胸をやられていてもう長くないんや」と軽く咳込んでみせ、その男のモンタージュ作成に協力させる(もちろん、胸の病はウソ)。出来あがった写真をみて、まゆみは稲取に間違いないと断言した。

警察を出た鴨井は拉致され、川勝たちと銃撃戦を展開。しょぼくれに「あの男のそばにいると危ないよ」と標準アクセントで止められたにもかかわらず後を追ってきたまゆみが負傷し、川勝は稲取に消されてしまった。警察の目をかいくぐり(というか、わざと逃がしてくれたしょぼくれのおかげで)、稲取と今まで謎だった“組長”を追いかけて再び紀州入りした鴨井は、組長=葉子であったことを知る。大金を独り占めしたかった葉子は、邪魔な幹部の抹殺を鴨井に頼んだのだ。

稲取とサシの勝負に挑んだ鴨井だが、銃を持った葉子に狙われた。そこへわらわらと現れた連中とのドンパチの最中に葉子が被弾、鴨井は稲取以下を“かすり傷”で射止めると、しょぼくれからの要請で彼を「鴨井警部」として援護にきた警官たちに気をよくして帰っていくのだった。

最後はおやじさん(中田ラケット)の遺骨を抱いて故郷に帰るまゆみを天王寺駅で見送った後、紀州から追いかけてきた玉子ちゃん(坂本スミ子)をしょぼくれに押しつけてトンズラする鴨井、苦笑しつつやっぱり嬉しそうなしょぼくれが映ってエンドマーク。

*うどん好きのしょぼくれ刑事こと木村刑事、再登場。「俺がうどんを好きなんはな、人生観につながっとんじゃ。叩いて伸ばして細長く、な」「その上にこう、つかみどころがない」鴨井の返しが漫才並みでナイス。モンタージュの時といい、いっぺん勝負しよやないか!と向かった先が将棋クラブ、という流れといい、鴨井にどつかれて逃げられても笑顔で手を振ってみせたりするしょぼくれの余裕と、口ではボロクソに云いながら彼に懐いている鴨井のコンビが実に楽しい。

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『宿無し犬』
『宿無し犬』(1964年・S39)

ハジキと喧嘩は滅法強いが、女に弱いお調子者の一匹狼・鴨井大介(田宮二郎)は、高松にある母の墓地をゴルフ場に変えた大興組とひと悶着。そこを彼らのライバル、沼野観光社長(佐々木孝丸)に見込まれ神戸にやってきた。

沼野の店が火事になり、その保険金を受け取った帰り道、鴨井の前に奇妙な不精髭男(天知茂)が現れた。「君のボディガードや」抜け抜けとそう宣言した不精髭は彼の後を尾けてくる。ちょうどその時、高松で出会った大興組と訳ありの美女・麻子(江波杏子)に遭遇するのだが、不精髭はなぜか彼女と関わり合いになるなと言い「そのうち火事見舞いに行くからな」と不可解な台詞を残して消えた。

そんな折、鴨井がナイスバディの柳子(坂本スミ子)と働いていた沼野所有のモーテルが放火された。予告通り焼け跡に、しょぼくれたコートの不精髭が姿を見せる。沼野の保険金詐欺をほのめかした彼は、飯場にいた鴨井を銃器不法所持で引っ張ろうとした。「お前、デカやったんか!」

捜査一課の刑事・木村準太(改めて天知茂)は鴨井に、(うどんと麻子の居場所をエサにして)沼野と青井(水島道太郎)の線を洗ってくれと持ちかける。青井というのは沼野の片腕で、鴨井の良いハジキ仲間だったが、モーテルの保険金を持ち逃げして大興組に匿われた男(それはすべて沼野との策略だったのだが、大興組は青井をゲットすると沼野を射殺し、結局寝返った形になっているややこしい男)。同僚を青井らしい男に消された木村は、なんとしても青井の身柄を確保したいのだと言う。鴨井は麻子会いたさに渋々協力することに。

鴨井がホの字の麻子は、大興組の康市(五味龍太郎)の女とみられていたが実は彼の姉だった。康市は姉の身の安全のためそれをひた隠しにしていたものの、お前には出来すぎた女だから青井に譲れと組長の佐伯(須賀不二男)に命じられて苦悩。麻子を連れて逃げようとしたところを組員の瓜生(デビュー作?:成田三樹夫)たちに襲われ、ついでに事情を知らない鴨井にも追われて海へドボン。翌日浮かんだときには死体になっていた。

実際は組員たちのドスを喰らっての刺殺だったが、鴨井の前以外では俄然キレものぶりを発揮する(しかも標準語に切り替わる)木村は、沼野の出方を探ろうと“水死”として発表させた。おかげで自分が麻子の大事な男を殺してしまったと落ち込む鴨井。しかし、連れて逃げた麻子と木村の言葉から真相を知った彼は、康市の骨でひと儲け企んでいた沼野から骨を奪い返すために、青井とのサシの勝負を決意する。

サシのはずなのに沼野やらミッキー瓜生やらが押しかけ乱戦になり、青井は味方サイドにやられて死亡。残りを単身でやっつけた鴨井の背後から、パトカーのサイレンが聞こえてきた。逃げて、と抱きつく麻子を「アイツ(=木村)の月給あげたらなイカン」と諭した鴨井は、木村の手錠を潔く受けるのだった。

*“犬シリーズ”第1弾ゆえか、途中から妙にシリアスで湿っぽい展開になってしまい、鴨井のあっけらかんとスカした魅力が花開いていないのが残念。とはいえ、“しょぼくれ”(とは1作目では呼ばれていないが)こと木村刑事の懐深いキャラは最初っから全開である。ふらりと姿を見せて「俺は君(=鴨井)より色男やと思ってるんやが」(ほんとにそう思う←贔屓目)なんて言いつつ鴨井をやんわり手玉に取り、タイヤを頭から被らされて逃げられてもヤンチャ坊主を見る優しい目で見送っていたかと思うと、本業では眼光鋭くキレ者。刑事としては会田@非ライより優秀なんじゃないかとさえ思えてしまうその余裕のある態度が、ルックスと相まって実に魅力的だ。

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『夜の勲章』
『夜の勲章』(1965年・S40)

兵役にとられていた松音組の血気盛んな若い衆・榊原安太郎(背中に虎の刺青:田宮二郎)が終戦2年後に遅い帰国を果たしたところ、羽振りの良かった組は跡形もなく、親分(見明凡太朗)は病の床、兄貴分たちはライバルの笠野組に取り込まれていた。密かにホの字だった親分の一人娘・恵(だが既にフィアンセあり:林千鶴)のためにもと、松音組再建を誓って大いに気を吐く安太郎は、裏切った兄貴分たちをボコボコにし、笠野組に宣戦布告。

その夜、酔って泊まった安宿で、行き倒れを供養する日乾寺住職・日草(=にっそう:天知茂)の甲高い読経の声で起こされた(*読経は似ても似つかない声質のアフレコ)。怒鳴りに行ったはずが「おお、ホトケがお前さんに運んでほしいと言うとるぞ」などと上手い具合にこき使われる。

一方、因縁浅からぬ彼の生還を知った組長の笠野(須賀不二男)は、子分の山口(成田三樹夫)を松音の親分の家に差し向け、安太郎を出せと迫っていた。激昂した拍子になんと親分が発作で急死(ワルなのにひどくうろたえる成田ミッキーの表情が小物っぽくてよい)。事の顛末を知った安太郎は単身で笠野組へ殴りこみをかけるが、撃たれたあげくに笠野に逃げられ、這々の体で日草の寺に倒れこんだ。

日乾寺に匿われ傷を癒すことになった安太郎の元へ、冒頭のいざこざ(戦前の話)で安太郎に腕を斬られ笠野組を破門になって以来、彼を執拗に追ってきた中西(河野秋武)が出現。再び刃傷沙汰になりかけるが、止めに入った日草の熱い説得で事なきを得る。自らも戦場で修羅場をくぐってきたらしい日草の言葉に「それこそが任侠道や!うまいこと言うやんけ、しょぼくれ!(*鴨井@犬シリーズ調に変換←実際の安太郎は標準語です)」とすっかり惚れこんだ安太郎は、“仏門組”用心棒を名乗って日草を親分と慕うようになる(「二人で街をぶらぶらしよう」と言われてホイホイ頷いたら托鉢だったなど、相変わらず日草がうわ手)。

日草は寺近辺の商店街の人々に無償で土地を貸していた。そこへアミューズメント施設建設を目論む笠野組は商店街に立ち退きを要求、日草に土地の譲渡を迫ってきた。“親分”を護ろうと笠野組の連中に姿をさらした安太郎を心配した日草は、彼に好意を寄せるようになっていた寺住まいの千代(かつて戦場で日草を庇って死んだ部下の未亡人:渡辺美佐子)と一緒に寺を出るよう取り計らった。

安太郎を出せと寺に乗り込んできた笠野組の連中を、毅然と突っぱねる日草。ムカついた山口が襲い掛かった瞬間、安太郎への復讐の念を消そうと寺に逗留中だった中西がよせばいいのに援護に入った。結局、3人で揉み合う内に山口のドスが日草の腹部にクリティカル・ヒット(またしてもひどくうろたえて逃げ帰るミッキー)、帰って来た安太郎に「これからは仏の道を行け」と遺言を残し、日草は還らぬ人となってしまった。

法衣を着て商店街のために奮闘する安太郎だったが、ニセ坊主と総スカンを喰らう。一緒に街を出ようと千代に諭されても、笠野を消すことが日草の供養、ひいては人々の幸せになる、これがホトケの道(任侠の道)なのだと頑なに言い切る安太郎はとうとう笠野を刺殺、手錠を掛けられて寺を後にするのだった。

*監督(村野鐵太郎)、脚本(藤本義一)そしてキャスト(坂本スミ子も同じ関西弁キャラで健在)と、犬シリーズそのままのメンバーが使われているせいか、突っ込む田宮、すっとぼけつつ手玉にとる天知という“鴨井&しょぼくれ(木村)”を彷彿させてくれるユーモラスなシーンがいくつかあり、任侠モノとはいえカラッとした面白さがあった。ただしょぼくれ刑事は死なないけれど和尚さんは他界されて残念無念。65年といえばイイ男真っ盛りなのに(思わずキャプチャー)、もったいない!

*そういえば、畳の上(布団の中)でのご臨終シーンを観たのはこれが初めてのような気がする(普段はロクな死に方してないからなあ)

*タイトルの意図するところが結局よくわからなかった・・・何か隠された意味があったのだろうか。

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