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自白
土曜劇場 自白 (1961年・S36年 9月16日OA) CX 20:00-21:00

(毎日新聞夕刊より引用)
【贈収賄追う三人の刑事】
高岩肇作、関西テレビ製作。汚職事件の核心を握る会社重役麻生と、その自白によって事件を一刻も早く解決しようとする三人の刑事が、拘留期限の迫った十二時間にくりひろげるすさまじい知的たたかいを描いたサスペンス・ドラマ。東洋塗装が車両塗装を落札した裏に贈収賄がからんでいることを内偵していた黒住課長は、贈賄のカギを握る麻生を留置して取り調べた。しかし麻生は期限ぎれをねらって何一つ語らない。鳴海刑事は麻生に一枚の写真を示した。麻生の愛人で料亭「いそむら」の女将わかなの写真を見て、わかなが失跡したと聞き麻生の心は乱れる。

鳴海刑事=山茶花究、井本刑事=天知茂、麻生=河津清三郎、黒住課長=清水元、羽島=遠藤辰雄、加賀=志摩靖彦。
*テレビ(映画も併せて?)初の刑事役。キャストをみると年齢的に“若手キャラ”か。

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ある殺人
スリラー劇場 「或る殺人」(前・後編) (1961年・S36年 6月8日、6月15日OA) CX 22:00-22:30

(毎日新聞6月8日夕刊より引用)
【殺し屋を雇った専務】
高田公三原作、北村篤子脚色でその前編。ある会社の役員改選をめぐって、自分の地位に不安を感じた専務が、部下に社長を尾行させる。その結果は専務の不安を増すような情報ばかりだった。秘書の佐代子までが社長と通じているらしいという情報を得て、彼はあるバーで知り合った殺し屋を雇うことにする――。
佐代子=伊藤弘子、加山=細川俊夫、尾崎=若宮忠三郎、山村=真弓田一夫、健吉=天知茂、太田=太宰久雄ほか。
*殺し屋だったら面白いが、役名が「健吉」なだけにピンとこないなあ(なぜ男でひとりだけ苗字じゃないんだ)。

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あじさい
あじさい (1974年・S49・3月27日OA)NET 21:00-21:56
【江波と天知で荷風もの】
永井荷風の作品「あぢさゐ」をもとに成沢昌茂の脚本で放送。
主人公は女郎。明るく純真だが、境遇がら、体の血が騒ぐ。くるわで、美男の三味線ひきに惚れ、店を飛び出し、無住の寺に隠れ住むが、男を待つ間、退屈しのぎに関係した若者に、情がからんで殺される。
薄汚れた寺で、お君(江波杏子)は三味線ひきの宗吉(天知茂)が訪ねてくるのを待っていた。だが、もともと男好き。昼近く、境内でマキ割りをしていた近所の辰治(倉岡伸太朗)の若さにひかれ、ひとときをともにした。
女郎屋では彼女の行方を追った。店の主人(伊藤雄之助)は、寺のあたりと見込み、ソバ屋のお六(浦辺粂子)を訪ねた。欲ばりなお六に金をにぎらせ居所を知る。お君は、連れ戻しにきた主人に「三日間待ってほしい」という。お君の心は、やがて訪ねてくる宗吉と、わずかながらも夫婦の暮らしをしたかったのだが――。

(夕刊)
【人はわかっても…】
女・その愛のシリーズ「あじさい」(NET)は永井荷風原作のテレビ化。女郎お君役の江波杏子、相手役が天知茂と聞き一瞬とまどったような顔。「原作を読んで違った人を想像していたんです。だって、天知さんってピストルをかまえた青白きインテリって印象が強すぎて――」これを聞いたスタッフは「人はわかっても、自分のことはわからないらしい。江波さんの印象は、やはり片はだ脱いでツボを振る姿じゃないかなあ」

(大阪版)
女郎のお君(江波杏子)は三味線弾きの宗吉(天知茂)にほれて店を飛び出し、無人寺に住む。ほれっぽいお君は近くの辰治(倉岡伸太朗)とも関係をもつ。そんなとき店主(伊藤雄之助)がお君をつれもどしにやってきた。お君は三日待ってと頼む。
(以上、朝日新聞より引用)
お君(江波杏子)は、下谷・房花屋の女郎だったが、三味線弾きの鶴沢宗吉(天知茂)にほれて店を飛び出し妙蓮寺という寺にかくれ住んでいた。だが、生来多情な彼女は近所の辰治(倉岡伸太朗)と関係を結んでしまう。そこへ房花屋の主人〆蔵(伊藤雄之助)がお君を連れもどしにやって来た。原作・永井荷風。
(以上、読売新聞より引用)

*原作では宗吉の語りで物語が進行、ほれっぽいお君を殺そうと思ったら先に殺されてた、という結末だった。ドラマでもナレーションを担当してそうである。…しかし江波さん、ピストル構えた、はともかく「青白きインテリ」て…会田ってそんなイメージなのか?(やはり同業の人からみてもインドア派な匂いがぷんぷんするのか?)

*原作全文はこちら:
http://space.geocities.jp/nvngac/19.html

*(2012.12.25追記) 作品レビューはこちら

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=543 |
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ロビーの女
ロビーの女(1962年・S37・8月26日OA)NET 20:45-21:45
茂木草介が池内淳子のために書き下ろしたもの。東京のある豪華なホテルを舞台に、美しい女、純子(池内淳子)をめぐる数人の男…オパールの指輪をはめた女の正体は…。出演はほかに天知茂、石黒達也、斎藤美和、坂本和子、永野達雄ら。
(以上、朝日新聞大阪版より引用)

*テレビで大活躍の池内さん主演もの。天っちゃんは群がる男第一号(ひとよんでロビーの男?)といったところか。

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たそがれ酒場(TV版)
「たそがれ酒場」(1961年・S36・7月16日OA)
「たそがれ酒場」をテレビで
新東宝スター総出演の異色作


サンデーステージ(日本テレビ後9:15)「たそがれ酒場」。内田吐夢監督、戦後初の現代ものとして昭和30年、新東宝で映画化された話題作「たそがれ酒場」を新東宝のスター総出演でおくる異色作。
かつては有名な画家でありながら、戦争中戦意高揚の絵をかき続けたことから責任を感じてみずから筆をたち、いまはパチンコでその日の飲み代をかせぎ、流されるままに生きている梅田、同じように一昔前は、名声をうたわれながら事情があって酒場のピアニストに甘んじ、むすこ同様の健一を一人前の歌手に育てることだけが生活のよりどころである江藤、いずれも世間を捨てた二人と、新しく巣立ちゆこうとする健一やユキなど若者の姿を、大衆酒場にくりひろげる人間縮図の中に描き出す。
出演者も80人にのぼるが、これはもと新東宝スター江見俊太郎が中心となって新東宝スターに呼びかけ実現したもの。
(作者)灘千造 (演出)松彦本尚
【出演】
梅田茂一郎(舟橋元)、江藤新也(杉寛)、丸山健一(宇津井健)、谷口幸三(水原漠)、波島鉄夫(沢井三郎)、野口ユキ(三条魔子)、エミー・ローザ(三原葉子)、仲小路竜介(九重京司)、鬼塚(芝田新)、岐部(御木本伸介)、森本(天知茂)、鱒見(松原緑郎)、山口(江見俊太郎)、多賀(中村彰)、年配の男(国創典)ほか。
(以上、読売新聞より引用)

*朝日新聞にも同種の記事あり。
*いちおう役名があるので映画のような超高速出番ではなさそうだが、宇津井さんみたく「若者」枠で出ている気がしないのはなぜだろう(苦笑)

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罪な女
「罪な女」(1961年・S36・11月9日OA)
【まり子が芸者役】天知茂と共演で“罪な女”
ドラマ(日本テレビ後8:00)「罪な女」。
暴行傷害の罪で刑務所生活をしている夫を待ちながら、小田原芸者のお愛は底抜けに明るい性格の女だった。
そのお愛が、新聞記者大町と知り合ったのは、支局長の谷の座敷に呼ばれたときだった。いまさら男にほれるなんてと思いながら、暗い影を持つ大町にひかれはじめたお愛。夫が近いうちに出所すると知ったのはそれからまもなくだった。
浮き世のしがらみに押し流される運の悪い女お愛。その生活を通してはかない愛のめぐりあわせを描く。宮城まり子がめずらしく芸者役を演ずる。
(原作)藤原審爾 (脚本)山下与志一 (音楽)川崎優 (演出)安藤勇二
【出演】
お愛(宮城まり子)、大町(天知茂)、愛子(北川町子)、小柳(旗和子)、はるみ(中台京子)、小浪(今井和子)、お繁(高橋とよ)、和代(一の宮あつ子)、谷(桑山正一)、辰造(浜田寅彦)、中沢の少女(島津千鶴子)ほか。
(以上、読売新聞より記事引用)
【芸者の愛と苦しみ】主役に宮城まり子
9日午後8時から読売テレビ系で放送のドラマ「罪な女」は、藤原審爾の原作で、浮世のしがらみに押し流され罪深い女として生きねばならない芸者お愛の苦しみを描くもの。この芸者に宮城まり子が扮するのが話題である。
暴行傷害の罪で刑務所入りしている夫を持ちながら、小田原で芸者をしているお愛は底抜けに明るい性格の女である。暇があればパチンコ屋へ通い、座敷へ出ればスソをまくり上げて踊りまくる。そのお愛が暗くさびしい感じのする新聞記者の大町に惹かれるようになった。大町は兵隊に行く時、むりやりに好きでもない女と結婚させられたという。お愛は大町と暮らしたいと思うが、まもなく出所できると喜んでいる夫の姿をみるとそうもできない。ある日、初めて大町と一夜を過ごしたお愛は置き手紙を残して姿を消す。そして大町に心ひかれながらも、やっぱり出所した夫と暮らす。
この芸者役は宮城まり子が進んで買って出たものという。明るくて罪がなく男にだまされやすいというお愛の感じも彼女なら出せるだろうというので主演が決まったもの。宮城まり子は「芸者の生活は見かけとは違って苦しいものでしょうが、その中にピカッと光るような女の気持ちを演じてみたい」といい、自ら書物や小道具を集めて回ったという力の入れよう。共演は大町に天知茂、ほかに北川町子、旗和子ら。
(以上、朝日新聞大阪版より引用)

*まだ若さと固さの残る写真(芸者役のまり子さんとツーショット)つき。

*原作では「暗い影をもつ」という部分はないのだが、「俺に惚れるなよ」とキメてみたり、低く柔らかい声で小唄を披露したりという見せ場があるようだ。

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大桶師為三郎
大桶師(こがし)為三郎(1961年・S36・7月29日OA)
週刊読売テレビドラマ・コンクール入選作品
【大オケ造りの名人の物語】
夜の十時劇場(フジ後10:00)「大桶師(こがし)為三郎」より「阿呆(あほう)伝」。「大桶師為三郎」は、第7回週刊読売テレビドラマ・コンクール入選作品で、四国徳島を舞台に、酒の醸造に用いる一石(0.18リットル)入りの大オケを造って名人とうたわれた無学だがかたくなな気性をもった一人のオケ造りの、思うままに生き抜いた本能的な愛情を描いたもの。
四国徳島に住む河田為三郎は、酒の醸造に用いる一石入りの大オケを造って、名人とうたわれる男だった。為三郎の妻かねは慈悲深い性分で、人にほどこしをするのを好んでいたが、為三郎はそれが不満でことごとにつらくあたるのだった。一人娘の町子はそういう父親に反発していた。その為三郎にもままにならぬことが一つあった。血をわけた男の子がほしくてならなかったのだ。
(作)清水巌(潤色)霜川遠志。

【配役】
大桶師為三郎(田崎潤)、妻かね(堀越節子)、娘町子(上月佐知子)、小島多二郎(天知茂)、菊次(故里明美)、岩蔵(柳谷寛)、春吉(水島真哉)、桶伝(若宮忠三郎)ほか。
(以上、読売新聞より引用)

【桶造作り名人の悲話】
清水巌作、霜川遠志脚色。四国徳島に住む河田為三郎は、酒の醸造用の一石入りの大オケを作って名人とうたわれる男だった。だが、無学のため、オケ商の組合ができた時に組合長をはずされてしまった。怒った為三郎は、子供のころ遊んでいた空地の地蔵に八つ当たりし、押し倒してしまった。そこへ妻かねが倒れたという知らせがはいった…。

大桶師為三郎=田崎潤、かね=堀越節子、町子(娘)=上月佐知子、小島=天知茂、菊次=故里明美ほか。
(以上、毎日新聞夕刊より引用)

*フルネームがついてるところを見るとそこそこ重要な役どころではないだろうか。娘の彼氏か?

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人 #14
「炎のとき」(1962年・S37・6月8日OA)
【姉の愛情・弟の心】高島みゆきらで「炎のとき」
ドラマ「人」(フジ後9:45)横光晃作「炎のとき」。妙子(高倉みゆき)と良一(高崎継義)の姉弟に両親はなく、妙子は母がわりとなって良一のめんどうをみてきた。が、大学に行くようになってからの良一は妙子がとめても山に登り、以前のすなおな彼ではなくなった。恋人の平川(天知茂)との結婚ものばしている妙子にとって悲しいことだった。良一は山で遭難、一命はとりとめたが、睡眠薬を飲み過ぎ死ぬ。
ドラマは姉の献身的な愛情とそれが負担になっている弟の、姉弟愛の相克を描いてゆく。
(以上、読売新聞より引用)

*この姉弟愛に割り込む男としての天っちゃん、傷心の姉を慰めるような単にいい人なのか?(それはそれで何かつまらないような)。でも高倉さんだしなあ、「平川!」とか呼び捨てにされてたりしてなあ←新東宝映画参照

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最後の大本営発表
サンデー・ステージ 「最後の大本営発表 (手記・無条件降伏一日前より)」(1960年・S35・8月14日OA)NTV 21:45-22:30

(読売新聞1960年8月11日より記事引用)
日本テレビでは14日のサンデーステージで終戦記念日にちなみ「最後の大本営発表」を放送する。原作は元同盟通信の陸軍省詰め記者長田政次郎氏で、日本の歴史を大きく転換させた玉音放送の行われる前日の昼すぎから15日午後にかけての新聞記者の行動をめぐる敗戦秘史の1コマが再現される。大本営と陸軍省の新聞記者室と大本営の参謀室が舞台で、戦争を強行しようとする軍部とこれを否定する新聞記者の心理と行動が映画「十二人の怒れる男」で試みられたディスカッション・ドラマの方式でたたみ上げられる。

出演者は杉浦直樹、河野秋武、天知茂、舟橋元、春日俊二、藤井貢などで14日の午前中までリハーサルを重ね、放送時間の3時間前にビデオテープを仕上げ、なま放送の実感を出すことになっている。

(朝日新聞1960年8月13日朝刊より記事引用)
【メーキャップなしで男ばかりのドラマ/記者の“抵抗”描く】
14日の日本テレビ「サンデーステージ」(夜9:45−10:30)は15年前の終戦当時にちなんで「最後の大本営発表」を出す。これがいろんな点で話題作だ。

まず話はちょうど丸15年前のこの日のできごとを扱っている。スタッフ・キャストは女気一つないオール男性編成。真夏の日の実感を出すため、流れる汗を遠慮なくふけるようにとメーキャップは出演者全員がいっさいしない。そのうえ原作者がドラマの出来栄えをみようと劇中に登場してくる。この風変わりな作品を紹介してみよう。

原作者は終戦当時、陸軍省づめをしていた元同盟通信記者の長田政次郎氏。同氏は昭和20年8月14日の昼すぎから15日の午後にかけ当時の大本営報道部で出あったニセの「大本営発表」事件を最近、雑誌上で公にした。秘話に類するものだが、新聞記者の勘と良識が、無謀な大本営の動きを対決して、みごと日本の絶滅を救ったさまを描いている。

脚色は元産経新聞記者の灘千造氏。制作は日本テレビの若尾初男プロデューサー。演出は松本尚彦ディレクター。出演者のおもだったところには、河野秋武、下条正巳、舟橋元、春日俊二、園井啓介らが新聞記者の役で並び、清水元、桑山正一、伊藤久哉などが大本営陸軍部のスタッフで参加している。

話が話だけにタレントは全員男だ。スタッフ側にも女がいない。普通ならどんなドラマでもメーキャップ係の女性がスタッフに名をつらねるが、このドラマは役者がみんなメーキャップをしないからその係がいらない。メーキャップをしないのは、30度を越す猛暑の中で、大本営報道部側と記者クラブ側がテーブルをはさんでにらみあい、緊張のあまり、みんながひたいから玉の汗を流すありさまをリアルに出すため。ドーランをぬっていると、流れる汗もドーランの落ちることを恐れてうっかりぬぐえないから感じが出ないそうだ。

にらみ合いの場面ではテーブルの真ん中に穴をあけ、その中に昇降自在の携帯カメラを仕込んで360度の回転撮影を試みる。居合わせた全員の表情をもれなくアップするためだ。なお長田氏も記者クラブの一員としてドラマの中に登場する。セリフはしゃべらない。原作者として自分の書いたものがどうドラマ化されるのか見守るというシャレの意味があるのだそうだ。

《あらすじ》日本の破滅を目前にした8月14日ひるすぎ。むし暑かった。空襲警報が発令されていた。陸軍省記者クラブのメンバーたちはポツダム宣言受諾の情報をうすうす知っていた。それに反対する一部の軍の動きも感づいていた。

かれらが深刻な表情でそれらの情勢を語り合っているとき、報道部の片山大佐(清水元)ら4人が記者室にはいってきた。大本営発表だという。内容は「帝国陸海軍が連合軍に全面作戦開始」と伝えている。記者たちは緊張した。「あすにも戦争終結発表があるかもしれないというときに、全面作戦開始の発表はなっとくできない」――庄司記者(松村達雄)が口を切った。もしこの発表が流れれば東京にも原爆が落ちるかもしれないという思いはみんな同じだ。ベテラン記者の中には、いつもの大本営発表文とくらべハンコの押し方が違っていることに感づいた者もいた。

かれらは断固として発表を各本社に流すことを拒否した。十時記者(杉浦直樹)は東大尉(幸田宗丸)にピストルまでつきつけられ脅迫されたが彼もことわった。片山大佐は退散するより手がなかった。

(写真:テーブルをはさんで対峙する園井啓介、細川俊夫、河野秋武、松村達雄、杉浦直樹、長田政次郎(原作者)、武田正憲、伊藤久哉)

(毎日新聞夕刊より記事引用)
【軍の謀略と戦う新聞記者】敗戦秘史の一コマをドラマ化
長田政治郎原作、灘千造脚色。十五年前、天皇の玉音放送が行われる前日の昼過ぎから翌十五日午後にかけての陸軍省詰め新聞記者たちの行動をめぐる敗戦秘史の一コマを描く。十四日の昼過ぎ、陸海軍は全面的作戦を開始したという大本営発表が行われようとした。これが発表されておれば東京上空にも原子爆弾がさく裂したかもしれなかった。この軍の無謀な謀略を未然に防いだ陸軍省詰め新聞記者のヒューマニズムをドラマ化したもの。

庄司記者=松村達雄、十時記者=杉浦直樹、藤堂記者=河野秋武、村橋大佐=武田正憲、北川少佐=伊藤久哉ほか。


*テレビ初出演ドラマは1961年の「光秀反逆」だと思っていたが、前年にこんなものが。軍部は4人だけなので、おそらく新聞記者サイドにいたと思われる。ただ、読売新聞には名前があるが、作品を大プッシュしている朝日新聞の方には見当たらないのがもどかしい(まさか細川さんに替わったわけではないだろうけど)。

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判決
「海の男」*放映回不明 (1966年・S41・5月25日日OA) NET 21:00-22:00

出演:天知茂、小畠絹子、菅井一郎、井上昭文、清水元、細川俊夫、高木均、沢本忠雄、信欽三、小川真司ほか
【海の男を熱演する天知】
千葉県木更津沖で船の衝突事故が起こる。故障停泊中の老朽油送船に貨物船がぶつかったのだ。貨物船の二等航海士・福島(天知茂)は、海難審判で一か月の就業停止を命ぜられ、引き続き船員二人の死亡の責任を、刑事裁判で問われた。田中弁護士(沢本忠雄)が弁護を引き受けるが、田中には、自分の過失のやむをえなかったことを主張しようとしない福島のあいまいな態度が解せなかった……。
今回は老朽船の航行、船会社の競争、事故補償、船員家族の生活の現実などをひとつの事故をきっかけにするどくえぐる(脚本・七条門)。
一見かたくなで孤独に見えるが、深く仲間との連帯意識を抱く海の男・福島を、天知茂が熱演。

夕刊あらすじ:木更津沖で起こった船の衝突事故をめぐって、一見簡単明白な事故の底にひそむ、さまざまな社会問題をえぐる異色編。
(以上、朝日新聞縮刷版より引用)

*面会に来て涙ぐむ妻(小畠さん)との写真あり( 「五十年の光芒」 に載っているのと同じ)

*1962年10月に開始した社会派ドラマへのゲスト出演(途中で休止などあるので、通算何回目かは不明←というか、数えてませんでした)。とにかく熱演の文字が光っているが、一見かたくなで孤独、その実は情に篤い…という十八番のキャラクターだけに熱の入れようもひとしおだったに違いない。

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