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柳生新陰流 #11
#11「宗矩と荒木又右衛門」(1982年・S57 OA)

酔っ払いの狼藉者・河合又五郎(西田健)に弟を殺された渡辺数馬(川代家継)に頼られた義兄の荒木又右衛門(天知茂)だが、「弟の仇討ちはNG」の法度が立ち塞がり身動きがとれずにいた。しかし今わの際の藩主のGOサインを貰って、それまでの腰抜け呼ばわり(奥方との仲にも隙間風が吹いたらしい)を払拭すべく、消えた又五郎の行方を追い始めた。

又右衛門の剣の師匠である柳生宗矩(主役・萬屋錦之介)は、別れに訪れた彼に「槍だけは持たすなよ」と忠告し、息子十兵衛(目黒祐樹)をガードにつける。又五郎には彼の伯父・甚左衛門(北町嘉郎)がバックについていたが、又右衛門はその旧知の友とも闘う決意を固め、鍵屋の辻で待ち伏せるのだった…!

*三大討入の一つ、鍵屋の辻の決闘といえばアラカンさんの『剣聖 暁の三十六番斬り』が思い出されるが、完全なパシリ仕様だったあの頃と違って堂々の又右衛門役。荒木又右衛門といえば三十六人斬りだが、ここでは史実に基づいてか(十兵衛が邪魔してか)両刀使いながら控えめな人数だったように思う。

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軍兵衛目安箱 #3
#3「脱牢者の待つ道」(1971年・S46・4月21日OA)

評定所の門前に、“尾羽打ち枯らした感じの”(それにしては相対的に体格の良い)浪人風の男・岩田新三郎(天知茂)が現われた。訴えてからもう百日も経つのだがどうなっているのだ、と詰め寄り、再度目安箱に訴状をつっ込んだ彼は、月番老中の名前を聞き出し踵を返す。月番は大久保加賀守(柳生博)、主人公・黒田軍兵衛(片岡千恵蔵)の主だった。

軍兵衛、そして彼を親分と仰ぐ宮田兵助(渡辺篤史)、榊原伝四郎(亀石征一郎)、三浦和馬(倉丘伸太郎)たちレギュラー陣は、越後代官の村上将監(穂積隆信)を斬るつもりである旨が書かれた岩田の訴状に驚き、彼を探すが住所が分からない(訴状に住所が書いてなかったので、評定所でも即ボツにされていた模様)。村上はこの度勘定吟味役に出世し、江戸入りする予定になっていた。

その頃岩田は、貧乏長屋に身を潜める病身の庄兵衛(吉田義夫)に預けてあったモノ(代官の行状を書いた書類か?)を受け取り、打倒村上に向けてその日に備えていた。その彼に涙目で縋るのが庄兵衛の娘おゆみ(御影京子)。どうやら岩田と親娘は過去に何やら曰くがあったらしい。そのあたりがまだよく分からないまま、渡辺岳夫とチェンバリカ・アンサンブルのBGMに乗って二人の逢瀬が展開される。

そして村上一行がまさに江戸入りしようとする橋の袂に姿を現した岩田。しかしそこには、軍兵衛たちも駆け付けていた。風の強い(おまけに撮影は冬っぽい)中、おもむろに(いろいろと微妙な肉付きの)片肌を脱いで背中の鞭の痕を露わにした岩田は、村上一行そっちのけで今までの事情を語り始めた。越後の代官所の手代だった彼は、竿の尺をごまかして年貢を多く取り立てる村上のやり口に反対したせいで牢に入れられ、同じく捕えられた庄兵衛親娘と共に脱牢、江戸で機会を待っていたのだ。

当然のごとく岩田サイドに立った軍兵衛の黙認のお蔭で勝負はあっけなく決まった。勘定吟味役が殺されたとはいえ、部下の気性を知る加賀守の恩情により事件は丸く収められ、軍兵衛の同僚の梅田宗右衛門(大坂志郎)も一安心、岩田と庄兵衛親娘は晴れて自由の身となるのだった。

*脱牢者のくせにやけに堂々と江戸市中を歩いている岩田さん、百日も待ってるあたりからして余裕がありすぎて負ける気がしなかった。そのせいでどんな悲惨な目に遭っているのかが分かりにくい難点が。ここはひとつ、鞭打ち事件などを再現してくれるとよかったのだが(おい)。

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水戸黄門 第2部 #19
「浪人街の決斗・諏訪」(1971年・S46・2月1日OA)

太鼓の音が湖に心地良く響く諏訪にて。祭りの準備にいそしむ若人の輪にフレンドリーに加わるひとりの浪人がいた。沖山船十郎(天知茂)と名乗るこの侍、信濃屋に投宿してからどうやら20日も宿賃を滞らせているらしいのだが、俺は一刀流の免許皆伝だから用心棒をしてやろうと豪語、自ら呼び込みをかって出て隠居連れの3人組(東野黄門様&杉良助さん&横内格さん)を引っ張りこんでマメに働くそぶりをみせる。事実、財政を助けるためと称して賭場を公然と開き賄賂を取り込む地元藩のせいで、胡散臭い輩がたむろする“浪人街”と化していることに憤懣やるかたなかった領民たちは、彼に浪人の一掃を依頼する。一方、国家老は、江戸の若殿が放った殿直属の隠し目付が既に諏訪入りしていると知り、もしやアイツが…?と船十郎に疑いの目を向け始めていた。

賭場に行ったまま帰ってこない弟を心配する信濃屋の女中・おひさ(二本柳俊恵)に自慢の三味線とノドを披露、良い仲になりかけの船十郎は、彼女が借金のカタに賭場の元締に連れ去られようとするところを助け「俺が行ってやる」と請け負った。♪沖山〜船十郎は〜良い〜オ〜ト〜コ〜、と確かにそうだけど自分で言うな、な歌を披露しながら歩いていると、隠し目付かどうか確認にきた藩士たち(北町嘉朗さんら)が斬り込んでくるのだが、へっぴり腰でオタオタする船十郎を見て「んなワケないよな」と笑って去る(それを見ていた領民たちの評判もガタ落ちに)。

ただ、江戸からの密書第2弾で隠し目付の名前が「カク・ヨシロウ」だと知らされた彼らは、船十郎を助太刀にきた2人組(=助&格)の一人が「カクさん」と呼ばれていたことを思い出し、もしやあれがそうか!と今度は格さん懐柔作戦に出て、面白がった御老公もノリよく対応。

おひさの弟・仙太がすった五十両を取り返すんだ、俺は名人だから心配するなと、賭場でサラシふんどし姿(なぜ脱ぐのか)になって大小だけでなく命まで賭けて張り切る船十郎だが、名人どころかド素人ゆえ借金を倍に増やして敗北。だが負けてもちっとも動じない彼は、「鬼頭七十郎(漢字は当て字:天津敏)という浪人が借金を払ってくれるはずだ」と平然と言い放つ。賭場の用心棒である当の鬼頭は知らぬと言うが、船十郎は鬼頭がここにいると知っただけでなぜか満足するのだった。

懐柔を拒んで消されかけた格さんを逃がす船十郎。そんなとき、戻らぬ彼らが心配だったおひさが自ら元締めのところへ出向き、お蔭で仙太と船十郎も救われた。実はあの格さんは本当のカク・ヨシロウなんだぜ、と元締めに嘘八百をチクる船十郎に、自分さえ助かったらそれでいいのかとビンタをくらわせたおひさは、自分の男運の無さを嘆く。

だが、宿に戻った船十郎は何やら書状をしたため、「私が死んだら江戸の諏訪屋敷に届けてほしい」と御老公に手渡した。その裏書きには「加来輿四郎」の文字が――本物の隠し目付である彼には、どうしても斬らねばならない相手がこの諏訪にいたのだ。格さんめがけて押し寄せた連中を、助さんに借りた脇差で片っぱしから斬り倒す船十郎(助さん格さん、見てるだけ)の前に、その相手・鬼頭七十郎が姿を見せる。「鬼頭、貴様に犯された妻はな、膝をくくって自害した…!」仇討ちのため、同じ道場で3度挑戦してその都度敗れた宿敵に挑んだ船十郎は、やはり強い鬼頭に刀を飛ばされながらも真剣白羽取りで耐え抜き、相手の脇差を奪って見事初勝利をあげた。

身分を明かして(第2部当時は印籠なし)国家老にお灸を据えた御老公一行の出立の日。船十郎から江戸行きを誘われていたおひさは、妻の仇を討つためにここへ来て、念願を果たしたばかりの彼に着き従う自信がないと宿に残っている。街道で御老公に別れを告げた途端、一目散に信濃屋へと戻ってゆく船十郎の後ろ姿を、一行は微笑ましく見守るのだった。

*後にも先にもこれ1話だけの水戸黄門出演回の脚本は宮川一郎さん。淡野右近@大江戸捜査網、新堂左馬之助@柳生十兵衛と合わせてこの時期に前後しているお気楽浪人キャラ3人組(勝手に命名)のひとり(実は同時期の一学さん@大忠臣蔵も浪人時はそれっぽいキャラだと思う)。お人よしでちょっとおっちょこちょい、でも実は誠実なデキる男、という役柄をのびのびと演じているのが面白い。歌うし脱ぐし(脱ぐのは余計)、ペタンとお尻を降ろして刀を振り回すヘタレな殺陣や、同じくほぼ倒れながらの最後の真剣勝負など見どころ多し。

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桃太郎侍 #133
「千代田の濠に咲く友情」(1979年・S54・5月6日OA)

修復間近だった江戸城の外堀が崩れ、多数の死傷者が出た。現場を仕切る松平備前守(高橋英樹・二役)は「工事を長引かせてたんまり賄賂をもらうためだろう」などとイヤミな老中・本多(田口計)とその取り巻きに責められて顔面蒼白、思わず刀に手を掛けたところで、只一人の味方・脇坂摂津守(天知茂)に止められた。身に覚えのないことながら、結果は結果だと切腹を辞さぬ覚悟の備前守を心配した脇坂は、自ら彼の双子の弟である桃太郎にコンタクトをとり、事件の背後を探るよう依頼する。

何者かが火薬を用いたことを既に突き止めていた桃太郎は、本多と癒着する石問屋たちと密談する侍が、かつての旧友・酒井仙十郎(森次晃嗣)だと知って驚いた。病身の母と幼い弟を抱えた酒井は、母の治療代のために本多の言うなりになって爆破事件の片棒を担いでいたのだ。

備前守を閉門蟄居に追いやったものの、事故の究明が先だと正論をぶいぶい押し通すコワモテ脇坂のせいでうまい汁が吸えない本多たちは、今度は脇坂を消してしまおうと画策。彼が上様の名代で日光へ代参する機会を狙って、「行列ごとぶっ飛ばせ!」と酒井に命じる。母と弟を人質に取られ仕方なく本多の部下たちと先回りに向かう酒井。しかし、陰謀を聞きつけて馬を飛ばした桃太郎によって計画は阻止され、酒井は友を庇って銃弾に倒れた。

怒りに燃えた桃太郎は本多たちを根こそぎ鬼退治。備前守がよろしく言っていたと、脇坂も顔をほころばせるのだった。

*ヨロキン版「赤穂浪士」の脇坂淡路守と同時期の脇坂摂津守、堂々たる正義漢ぶりが頼もしい。が、「桃太郎を頼らずに自分で全部解決しそうな主演オーラ」や「邪魔者が全員いなくなって、これから天下は思い通りに動かしてやるぜな黒幕オーラ」が出ていないこともなくて、普通すぎてちょっと勿体無い友情出演だった。でも一応、タイトルの「友情」ってのは備前守&脇坂のことなのか? それとも桃太郎&脇坂?(桃太郎&仙十郎が濃厚かもしれない)

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うそ八万騎 #26
「御くび頂戴」(1965年・S40・3月20日OA)

(週刊TVガイド誌より記事引用)
【天知茂の石川五右衛門】
御台所によばれた曽呂利新左衛門、このところとんと御無沙汰の秀吉をよびよせる手段として、南蛮渡来の媚薬を手に入れてもらいたいとたのまれる。
新左衛門がおもむいた先は、南蛮渡来の品を一手に扱う渡海屋惣兵衛の店。
惣兵衛の正体、実は石川五右衛門である。主君の仇と秀吉の首をねらって、秀吉に近づくチャンスを待っていたのだ。それとも知らずに飛び込んだ新左衛門は運が悪い。

【配役】
曽呂利新左衛門(フランキー堺)、豊臣秀吉(榎本健一)、渡海屋惣兵衛(天知茂)、女房お滝(花柳小菊)
*原作にはなかった設定だと思うのだが(たしか新左衛門を秀吉と間違えて首を狙いにきた武将の話があった程度)、まさか五右衛門までやってのけていたとは驚いた。やはり例の♪謎に満ちた髪型〜♪(by五右衛門ロック)だったのか? 最後は「絶景かなー!」とか言うのだろうか?

*静かな国会図書館で「おおおっ」と声を上げそうになったくらいの発見だったが、石川五右衛門のwikiページにはとっくに記述があった。

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忍法かげろう斬り #24
「忍者狩り始末」 (1972年・S47・9月12日OA)

太平の世、忍者たちは次第に疎ましがられる存在になっていた。
若年寄・朽木(山岡徹也)から、裏切りを画策している根来衆を一族もろとも根こそぎ始末せよ、との命令を受けた伊賀組頭領・服部半蔵(天知茂)は、甲賀一族を襲った帰りの根来衆を抹殺した。だがそれは、根来・甲賀・伊賀の忍者たちを共倒れさせようという朽木の右腕・目付役の久保田監物(天津敏)の罠だった。不穏なものを薄々察していた半蔵は、組の者たちを密かに避難させ、自らも身を隠す。

そして1年後。殺めた者たちを弔いながら朽木の周辺を偵察中の半蔵を、不知火の鷹(=主役:渡瀬恒彦)の刃が襲いかかった。のうのうと生き残っている伊賀衆が許せないと憤る鷹に対して半蔵はしばしの猶予を要求し、その場から(超人ジャンプで)去る。女子供を含む三百あまりの一族の命運を一身に背負う彼は、平和な世における忍びの道を懸命に模索中だったのだ。

やがて半蔵は部下たち(北町史朗さん含む)を決起させる。だがそれは見せかけで、自らは朽木の元へ単身乗り込み、伊賀組の今後の暮らしの安泰を約束させようとしていた。朽木は監物の甘言を受け、忍びの技を捨てよ、そして、不知火の鷹を始末せよとの二条件を提示した。裏を感じながらも、承知する半蔵。

再び鷹とまみえた半蔵は命令通り彼を殺めようとするが、駆け付けた鷹の仲間の百舌鳥(范文雀)や、根来の頭領の娘・お縫(高野ひろみ)、甲賀の生き残り・信楽小平太(倉丘伸太朗)に阻まれる。無策の策を敷き、朽木と刺し違えるつもりでいる半蔵の真意を知った鷹たちは彼に協力し、朽木の屋敷を急襲した。

忍者を毛嫌いする朽木だが、その右腕の監物は風魔一族の生き残りだった。死闘の末に鷹が監物を倒し、半蔵も朽木を斬って捨てた。そして、彼らだけでなく決起中の伊賀組全員を捕えようとする大目付の使者の前で自らの腹を突き、鷹たちと伊賀組の命乞いを訴えかける半蔵。その壮絶な気迫(と眉間)にグッときた使者は彼の意を汲んでやり、安心した半蔵は満足気に事切れるのだった。

*ボンクラな若年寄にこき使われ、血の気の多い部下を抑えたり、平和に暮らしたい瀕死のおやじさんの遺言を聞き届けたり、その娘に「お父ちゃんを騙したんですね!」と誤解されたりと、苦悩の眉間の皺をMAXにしながら伊賀組のために骨身を削る偉大な頭領。でも最後にほんとに命削っちゃうとは思ってなかった(実在の人物名だから油断した…)。鷹たち無頼派の連中が「いまどきの若いもん」的態度でだらだらしている側で、場をかっさらう(というかテンションが違い過ぎる)ラストの熱演に喝采だ。

*監物との忍び対決は鷹に譲ってしまったのが残念。でも相手が天津さんだとなんだか負けそうな気がするもんなあ。

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てなもんや三度笠
てなもんや三度笠 東海道超特急シリーズ(1964年・S39・12月31日OA)TBS 22:00-23:45

(以下、週刊TVガイド誌より引用)
【歌と笑いの総決算!特別ワイドコメディー】
大晦日の夜10時、師走のあわただしさから解放された茶の間に贈る超豪華コメディーである。
この特別ワイド番組は、いうなれば“新幹線シリーズ”。超特急ひかり号の停車駅にちなみ、大阪を振り出しに京都(第1部)、名古屋(第2部)をへて江戸(第3部)へゴールインするまで、愉快な物語を続ける。
ABCホールで公開制作する第1部と第3部の中間に「てなもんや」初のスタジオ制作による第2部を組み込んで全編を引きしめ、いっきに見せ切ろうという構想である。
ゲストメンバーは、紅白歌合戦出場の歌手はもちろんのこと、各民放の人気番組主役陣を総出演させている。
脚本:香川登志緒、演出:沢田隆治
出演:高田浩吉、長門勇、島倉千代子、茶川一郎、天野新二、平参平、桜京美、高田夕起夫、天知茂、北原謙二、芦屋雁之助、芦屋小雁、高石かつ枝、人見きよし、藤純子、堺駿二
(以下、朝日新聞縮刷版より引用)
【ゲスト42人の大型喜劇】
藤田まことらのレギュラー・トリオに高田浩吉、村田英雄、鶴田浩二ら42人のゲストを動員した1時間45分の豪華版。
3部構成で第1部「花の京洛」はいま流行の幕末もの。第2部「尾張の月」は“てなもんやシリーズ”初のスタジオドラマで、テンポの早い切り返しを見せ、最後「雪の大江戸」は特殊技術を駆使する。
*大晦日の紅白歌合戦の裏番組。1964年はTBSでは唯一「幕末」にゲスト出演していたのみだが、「各民放の人気番組主役陣」ということ、“てなもんや”が時代劇コメディーだということから、フジ「次郎長三国志」の桶屋の鬼吉として出演した可能性が高い(だとしたら出番は第2部でキマリ?)

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文五捕物絵図 #12
「武州糸くり唄」 (1967年・S42・6月30日OA)

放送ライブラリ@横浜にて鑑賞(2007年5月5日)。

暑い夏の最中、とある家の様子を何日も見張っている岡っ引きの文五(杉良太郎)と下っぴきの丑吉(露口茂)・矢七(常田富士男)。この家に住む後妻・お冴(岩崎加根子)は、内偵与力を殺めて逃走中の蘭学者・立木仙三(うらぶれた浪人風体の天知茂)の初恋の相手であり、妻に見捨てられ行くあての無い彼が立ち寄る場所はここしかないと文五は睨んでいたのだ。

*殺人の経緯は#11「鴉」に詳しいようだが、残念なことにライブラリにはこの1話しか収録されていない

大店の番頭のくせにドケチな夫や小憎らしい先妻の娘の仕打ちに黙って耐えていたお冴の元に、立木からの文が密かに届けられた。『お冴、…お冴!』立木の悲痛な叫びが聞こえそうな(実際天っちゃんの押し殺した低音ボイスがこだまする)その文を読んだ瞬間、堪えていたものが彼女の胸に一気に突き上げる。

文五たちの眼を盗んで逢瀬の場所へと駆けつけたお冴は、安宿へと立木を誘う。身分の違いを越えられずに彼女を捨てたことを詫びる立木に、初めて会ったときからずっと貴方を待っていました、結婚すると告げられても、自分が嫁ぐことになったときも、理由が分からないまま、ずっと待っていました、そう打ち明けるお冴。鎖国の世に密航を企てる秘密結社にいた(らしい)立木は、彼女を引き寄せ呟く。「(仲間が密航を画策する)部屋の隅でひとり刀を抱きながら、俺は思っていた。エゲレスまで行けなくてもいい、無人島まででいいと…ふたりだけでひっそりと暮らせる島へ行ければそれで十分だと・・・」

しかし、文五や立木の友人の医師・草太郎(和崎俊也)が二人に迫っていた。湯から出たところを捕縛された立木は、番屋への道すがら、草太郎の脇差を奪い自らの腹を突いて果てた。立木のことは忘れるよう文五に説得されたお冴は、翌日から再び貞淑な妻の仮面をまといながらも、放心したように糸を繰るのだった・・・。

*何事も起こらぬまま、夏のうだるような暑さと文五たちの焦りがシンクロしている前半、そして緊張感が一気に高まりクライマックスへとなだれこむ後半のメリハリが素晴らしい。特に立木とお冴の逢瀬シーン、自ら立木の胸に飛び込み彼の指(これがまた長くて白くて繊細でキレイな指なのだ)を咥えるお冴、もう片方の腕で肩を抱き、彼女を愛しそうに、切なそうに見つめ続ける立木の表情は必見(演出:和田勉さん)。前半は、ドタドタとセット内を歩く音が丸聞こえだったりでかなり画像や音の状態が悪いのだが、アップ多様でひたすら男女の機微を魅せてくれる頃になると全く気にならなくなった。

*一緒に無人島へ行こうなんてファンタジックな誘いをかけてくれた男のことを忘れられるはずないだろうなあ。

*さすがの杉さまも当時は若くて(=青くて)初々しい。ちなみに天っちゃんはローン・ウルフの頃だけあってセクシー路線全開である。

(2009.1.22追記)「武州糸くり唄」と前編にあたる「鴉」が収録されている本(「倉本聰コレクション9 文五捕物絵図 (1)」)を読んだ。

母親のスパルタ教育を受けた優等生の立木は、長崎留学枠を巡って草太郎に負けて以来がらっと変貌、妻のお涼(鳳八千代)に暴力を振って追い出し、勉学にもついてゆけず蘭学塾の用心棒になり下がっていて、塾を内偵中の与力を止せというのに殺めたらしい。で、追い出したお涼の家に転がり込んでお互い憎しみ合いながら暮らしていたのだが、殺した与力の目明し・銀次(浜村純)にかぎつけられてしょっぴかれそうになるところを、立木を憎んでいたはずのお涼が銀次を刺して庭に埋め、その屍に鴉が集まってきて発覚、という筋書きが「鴉」。「母の言うなりになってお前(=お涼)なんか嫁に貰わなきゃよかった、俺にはお冴という初恋の人がいたんだ!」とか言ってお涼を虐めるヤな奴だが(マザコンだったようだし)、土壇場でお涼さんにも、友人の草太郎にも助けてもらえる“放っておけないオーラ”が出ているとみた。

「武州…」はほぼ脚本通りにドラマが展開していた(映像の方が立木がいい男に見えるのは贔屓目か)

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鞍馬天狗 #9
「闇に光る眼 (前編)」(1963年・S38・3月5日OA)CX 21:30-22:00

出演:
倉田典膳(中村竹弥)
杉作(片山豊)
吉兵衛(森健二)
小野(戸浦六宏)
佐々木(山岡徹也)
暗闇お兼(北川千鶴)
『前夜の乱闘で、天狗は、ばけもの坊主、めくらの法師など不思議な連中に会う。彼らは何者なのか、天狗はいぶかしがる』
(週刊TVガイド誌よりあらすじ引用)

*朝日新聞縮刷版には、この前編にのみ名前が竹弥さんの次に載っていた天っちゃん。“不思議な連中”のひとりか?

※(2009.9.2追加)朝日新聞大阪版よりあらすじ引用:
天狗(中村竹弥)は古寺で坊主の妖術にかかって気を失うが、この古寺に興味をおぼえ調べてみると、連日、仮面をつけた武士が会合していた。ほかに片山豊、森健二、喜多川千鶴らが出る。

*「妖術を使う坊主」よりは「仮面をつけた武士」っぽいが、はたして。

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柳生十兵衛 #20
「こぶつき浪人」(1971年・S46・2月13日OA)

四国入りした十兵衛(山口崇)は、チビッコお遍路(実はニセモノ)の吉松(梅地徳彦)の勧めで入った飯屋の片隅で飲んだくれている超ロン毛浪人・新堂左馬之助(天知茂)に出会った。吉松の“ちゃん”である左馬之助は、自慢の剣の腕で道場破りに出かけ、道場主からちゃっかり小判をせしめて華を持たせてやる、というセコい方法で日銭を稼ぐ男。そんな腕がありながらもったいない、自分より強い奴がでてきたらどうするんだ、とたしなめる十兵衛の言葉なんてどこ吹く風だ。

7年前に乳呑児(=吉松)をかかえて転がり込んだ居候先の喜兵衛(池田忠夫)の薬代や、吉松の世話を引き受けてくれた娘のお新(生田悦子)に渡す生活費などをそうやって工面する左馬之助。彼に密かに惚れている(が、親も周囲も公認なのに左馬之助が相当にオクテなので停滞中の)お新は身を案じて「もっとほかのことはできないんですか」とやんわり詰るのだが、弱った顔をしながらこちらも馬耳東風の左馬之助である。

そんな折、本陣のお姫様が宿場を通りかかり、ひょんなことから吉松が遊び相手に選ばれた。姫の乳母・藤乃(藤田佳子)は、吉松のお守り袋を見てがく然とする。彼こそは、7年前に夫を亡くし困窮した末に置き去りにした我が子だったのだ。すぐさま側近の吉田弥惣右衛門(小笠原弘)を連れて左馬之助のもとへ赴き、息子を引き取りたいと申し出る藤乃。10両を無造作に目の前に置かれた左馬之助の表情がみるみる険しくなった。「不承知だ!」

金を突き返し彼らを追い払った左馬之助だが、話を聞いていた十兵衛からは、吉松の将来のためには実の親に返す方がいいのではないかと痛いところを突かれ、お新からは、私があの子を育てたんです、絶対離しません!と詰め寄られる。俺は剣も吉松も捨てられない未練な男だ、と自分を嘆く左馬之助は、俺達の勝手であいつの将来を台無しには出来ぬとお新を諭し、泣く泣く吉松を手放すことを決めた。

ところが吉松は、(吉田に頼まれた)昼間の道場の一味に連れて行かれそうに。大小を取られてピンチの左馬之助だったが、刀を投げてくれた十兵衛のおかげで見事全員を倒して息子を取り返す。おまけに十兵衛は、藤乃から今後一切吉松から手を引くという証文を取り付けたうえ、高松藩への仕官のため、左馬之助に推薦状までしたためてやる。「酒は一滴も飲めない」だの「一子吉松と、妻のお新を連れて…」だのという文に困惑しまくる左馬之助だが、周囲のあたたかい祝福に送られて、新しい生活に旅立つのだった。

*強い奴が現れてやられちゃったりする話なんだろうか、と序盤は心配したが、予想外にホームドラマだった。道場主と試合中に値段を交渉してる時の「ダーメ♪」というおちゃめな言い方だとか、半分泣きそうな顔で「俺は未練な男だ…」と心情を吐露するところとか、(当時はこの手の役も多かったようだが)少なくとも会田@非ライを過ぎると滅多に見られない挙動が面白い。

*藤乃が来たときの表情の変化(黒目がちだったのが、だんだん憤ってきて三白眼になって睨むあたり)がこれまた素晴らしかった。さすが眼ヂカラ男!←だれも呼んでない

*ただ、左馬之助が吉松を拾った経緯をもっと掘り下げてほしかったなあと思う。せめて回想シーンくらいあってもよかったのになあ(そんなに髪がロングじゃない頃の姿も見てみたかったというかなんというか)。

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