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ああ忠臣蔵 #37
「吉良邸討入り」(1969年・S44・12月13日OA)

討入り当日。愛妻・お艶(広瀬みさ)と質素ながら出陣祝いの膳を囲んでいた毛利小平太(トメ位置:天知茂)は寺坂吉右衛門(高橋昌也)の訪問を受けた。集合時刻の変更を伝えにきた吉右衛門と、2年間の忍耐の日々がようやく報われることを喜び合う小平太だったが、彼が帰るなり咳の発作に見舞われ、その場に倒れ込んでしまう。

安兵衛(梅宮辰夫)馴染みの女将・おたか(森光子)が切り盛りする集合場所の蓮月庵には、次々と浪士たちが集まってきていた。伝達と偵察を終えた吉右衛門が遅れて入ると、小平太の姿だけが見えない。彼の指摘で不在に気づいた内蔵助(山村聡)も心配顔に。

その頃かろうじて意識を取り戻した小平太は、焦燥感に突き動かされながら家を出ようとするものの三和土で喀血。それでも「行かねば俺は、同志たちを裏切った臆病者になる、毛利小平太の武士が廃るのだ…!」と必死な彼に、お艶は約束の時間(丑の下の刻)がとうに過ぎていることを言い難そうに告げた。ショックを受けた小平太だが、それなら吉良邸に直接向かうから装束を着けさせてくれ、と諦めない。

出発時刻が迫り、準備を整えた内蔵助が「毛利は来ないか…」と憂えていた時、討入り装束に身を包んだ(月代も整えた)小平太は今度こそ玄関を出たのだが、数歩も行かぬうちに再び血を吐いてしまった。「俺はもう…駄目だ…」身体の限界を悟らざるを得なくなった彼は自刃を決意、ご城代や同志たちの大願成就と武運を祈りながら、魂魄となって先に吉良上野介の屋敷へ向かうことを誓うと、ご一緒に参りますとけなげに頷いたお艶に刃を向けるのだった。

「小平太には小平太の道がある…結局、四十七士…」諦めた内蔵助たちが店を出て、吉良邸に向かって行進を始めた時刻、小平太とお艶は手を取り合って死出の旅路についていた――。

*小平太さん、(魂魄で)吉良邸討入りに向かうの巻。きっと映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』のお岩さん並みのパワーで皆を導いてくれそうな強烈な魂魄には違いないが、皆と行けなくてさぞ無念だったろう。…無念といえばご城代の最後の台詞、小平太さんが自主的に来なかったように捉えているふうだったのが悲しかった。彼の体調が悪いことは周知の事実みたいだったのになあ。吉右衛門も「咳いてらっしゃいました」とかフォローしてあげればいいものを。

*最後まで「毛利小平太の妻」を貫いた気丈なお艶さん。大事を控えて喀血しまくる夫を「しっかりして下さい、情けない!」なんて叱咤しそうな雰囲気もあり(さすがにそれはないが#8の印象が強いせい)、同志の頼もしさをも併せ持つ女性だった。彼女が一緒に来てくれる(死んでくれる)と知ったときの小平太さんの安心したような表情が印象的。たいてい、奥方は離縁したり遠ざけたりして生かす、或いは奥方の頼みで心中する、というパターンだったので、このカップルは異色である。

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| TVドラマ(時代劇)::ああ忠臣蔵 | 12:46 AM | comments (x) | trackback (x) |
ああ忠臣蔵 #29
「毛利小平太は死なず」(1969年・S44・10月18日OA)

刃傷事件から1年半余り、じっと時が熟すのを待つ金銭的に余裕のあるご城代や、副業がそこそこ繁盛している一部浪士とは裏腹に、蓄えがとうに底を尽いてしまった浪士もいた。9話ほど御無沙汰な間に顔色が一層悪くなった毛利小平太(OPクレジットからプロモ映像ですかな目立ち方:天知茂)もそのひとり。「俺は病などではない!」と強がってはいるものの食が細くなる一方の小平太に、愛妻・お艶(広瀬みさ)も心を痛めていた。実は彼女には他にも悩み事が。料亭「川梅」を辞め、岡場所まがいの場末の飲み屋で働くようになっているお艶は、それを夫に言えないでいたのである。

二人の住まいに、古本屋に化けた早水藤左衛門(砂塚秀夫)らが歌道大全を抱えて飛び込んできた。国学の大家・荷田春満(かだのあずままろ:堀雄二)が江戸入りしたのだという。荷田の門下には上野介もいるため、入門すれば何か情報が得られるはずだと、唯一国学の素養がある(お艶さんを詩歌で射止めたと評判の)小平太に白羽の矢が立ったのだ。ご城代の後押しもあったと知り、張り切って荷田の逗留先の呉服屋に向かう小平太だったが、身元が胡散臭い(水原武右衛門という変名使用)上、黄金色の土産もないために主人から門前払い。それでもしのつく雨の中、勝手口で一晩中待ち続けたその甲斐あって、赤穂浪士ではないかと気がついてくれた赤穂シンパの荷田に入門を許された。だが無理が祟って高熱を出した小平太はその場にくずおれる。

うわ言を呟きながら寝込む小平太。高麗人参が効くかも、と医者に言われたお艶は飲み屋の女将に前借りを頼んだ。快く五両貸してくれた女将の背後には、お艶にホの字の客・相馬国助(梅津栄)が。相馬は吉良の間者で、何かと邪魔な(#8#20参照)毛利小平太を消すためにお艶に接近中だった。そして、小林平八郎(戸田晧久)から相馬を手伝えと指示されたおぬい(土田早苗)は、毛利の名前を聞いて顔色を変えた。

ひとまず回復した小平太が早速荷田の元へ向かうと、彼は父の急死で江戸を立った後だったものの、上野介が病かもしれないという手紙と共に、元吉良邸お抱え医師への紹介状を残してくれていた。医師・林順斎(実はおぬいの父親だがその話は次回:佐々木孝丸)は昨今の吉良については何も知らない様子だった。診察の結果、労咳が相当進んでいるとはっきりと告げられ、おまけに早水たちから「お艶が怪しげな飲み屋で働いている」と聞かされた小平太は動揺を隠せない。

その頃お艶は、五両の出所が相馬であり、身体で返す約束になっていることに愕然としていた。あわやという時におぬいに救われ、乱れた格好のまま家に逃げ帰ったお艶は夫の前で泣き崩れる。すべては暮らしのためであり、妻として貞操を守り抜いたと知った小平太は彼女を抱き寄せた。

その時、外に人の気配が。主税(三田明)に会いたい一心のおぬい――彼女にとって、山科で主税と一緒にいた小平太だけが頼りなのだ。だが吉良の間者であるおぬいに主税の居所を知らせる訳にもいかず、逡巡しつつも追い返そうとする小平太。そこに、お艶を追ってきた相馬が姿を見せ、五両の返済を迫る。彼もまた吉良の間者だと見抜いた小平太は、身体を案じるお艶の制止を振り切って相馬と対峙した。飛び道具を取り出した相馬に飛びかかったのはおぬいだった。降ってわいた刺客たちを倒し、最後に相馬を斬って捨てた小平太を、喀血が襲う。おぬいの心を理解した小平太は、主税の居場所を告げると、咳の発作に身を折り曲げた――(「毛利小平太は今日は生きても、明日は死なねばならない…」という非情のナレーションが流れる中、夫を必死に看病するお艶、水面を漂う赤い血が映ってエンド)

*大変です小平太さん、の巻(脚本は宮川一郎先生)。命がけの苦労があまり報われなかった上に(荷田先生、退場早すぎ)不治の病をあっさり告知され、愛妻は暮らしのせい(というかほぼ小平太さんのせい)で貞操の危機、そして明日の命を否定するような喀血。それでも相変わらずそんなてんこもりの受難が似合ってしまう天っちゃんであった。

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| TVドラマ(時代劇)::ああ忠臣蔵 | 12:44 AM | comments (x) | trackback (x) |
ああ忠臣蔵 #20
「主税と女間者」(1969年・S44・8月16日OA)

身請けした浮橋太夫(久保菜穂子)が去り、人を恋することの苦しさを共に噛みしめていた大石内蔵助(山村聡)&主税(三田明)親子のもとへ、おぬい(土田早苗)が再び姿を見せた。会うたびにおぬいへの恋心が疼く主税は、彼女が小林平八郎(戸田晧久)から「大石下向の時期を探れ」との命を受けた間者だとは知る由もない。だがおぬいもまた、主税を心の底から愛するようになっていた。

そんな折、おぬいと同じ日に江戸を出たはずだが諸事情により遅れを取っていた(推定)毛利小平太(トメ位置:天知茂)が山科に到着した。月末には江戸へ向かうつもりだ、との心強い言葉を貰っただけで慌てて踵を返そうとする小平太だったが(女間者のことを知らせるつもりで上洛したのではなかったらしい)、ご城代にまで顔色の悪さを指摘され、大事な身体なのだからまあゆっくりしていけと引き止められた。

「どう思う?このような時に人が恋をするということを…」殉死と決まってから祝言を挙げたそちなら分かるのではないか、と主税が恋をしていることを小平太に打ち明けた内蔵助。父として、人間の愛というものがどういうものなのか主税に知らせてやりたいと言う内蔵助の親心に打たれた小平太は、主税の恋人に会ってみることにする。

毛利さんは赤穂藩一の美男子、城下中の女性たちが騒いだそうだから会わせたくなかったんですよ、大丈夫取りはしません、などと和やかに談笑しながら主税と小平太はおぬいと合流。しかし、二人を残して目つきの鋭い小間物売り(=吉良方間者の井上左源太:上杉高也)を追った小平太は、吉良の間者らしき人物がここにいることを不審に思い、ふとおぬいの耳の後ろの黒子を見てハッとなる。彼女こそが、#18で松原多仲と密談していた女間者――。彼の疑念は、おぬいを尾行して左源太の襲撃を受けたことで確信に変わる。

小平太からおぬいの正体を告げられ動揺する主税。最愛の彼女の始末を暗に迫られ「あなたはお艶さんを斬れますか!」と詰め寄る主税に、我ら凡庸の輩が二つを求めるのは夢だと諭す小平太。「我らの死に場所は決まっているのです。父上がこの場におられても、きっとそうおっしゃるでしょう。…主税殿、信じておりますぞ」

走り去った主税を不安気に見送った小平太は、庭先に佇んでいた内蔵助に驚いた。よくぞ主税を信じてくれた、身体をいとえよ、そう声をかけてくれた内蔵助の目が潤んでいることに感極まった小平太は、江戸への帰路についた。

斬ること叶わずおぬいを逃した主税はその場で切腹しかけるが、小平太の先の言葉が(低音ボイスで)頭を過ぎって断念。項垂れて戻った息子を、それで良いのだと内蔵助は慰めた。「小平太は、そなたにとっては唯の同志以上の男。粗末に思うでないぞ」――。

*そんなに大石親子に重宝されていいんですか小平太さん、な回。しかしこの設定がきっと討ち入りの土壇場で効いてくるんだろうなあ。ちなみに脚本の西沢裕子さんは、後にあの「兇悪のおかあさん」なども執筆されている。

*「信じておりますぞ」=おぬいを必ず斬れよ、なのかと最初は思ってしまったが、彼女を斬る・斬らないに関わらず、主税がその場の激情に任せて間違いを犯さぬよう「信じておりますぞ」だったのか、と分かってご城代同様涙目に。

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| TVドラマ(時代劇)::ああ忠臣蔵 | 12:43 AM | comments (x) | trackback (x) |
ああ忠臣蔵 #18
「五十七人の付け人」(1969年・S44・8月2日OA)

箱根での受難(前回)にもめげず、内蔵助の書状を携え江戸入りを果たした神崎与五郎(中山仁)を、仲間たちは温かく出迎えた。道中を共にした八重(宮園純子)も、小豆屋の手代・善兵衛となった神崎に励まされ、養父の仇・大須賀次郎右衛門(加賀邦男)を探すため、浪人達が多く集うという料亭「川梅」に仲居として入り込む。

八重はそれと知らず小林平八郎(戸田晧久)と清水一角(名和宏)の部屋を任されるが、ある仲居から担当を代わって欲しいと持ちかけられた。これも彼女の知らないことだが、相手は先に住み込みで働いていた毛利小平太(トメ位置:天知茂)の愛妻・お艶(広瀬みさ)。吉良家の付け人募集を目的に「川梅」に現れた両名のことを早速小平太に報告したお艶は、夫の顔色がすぐれないことに不安を覚える。だが小平太は月のせいにしてはぐらかし、夫婦離れ離れの生活を憂う彼女を「大事決行の時までは…」と優しく諭した。

一方、神崎もまた小平太の顔色の悪さが気になっていた。実際、そんなに悪くはみえないのだが(暴言)、10話ほど御無沙汰だったりこれが初対面だったりで反応が鈍かった江戸詰メンバー(坂口徹、宮内洋ら)も、彼の指摘で「もともと丈夫ではないくせに負けず嫌いだからなあ」「江戸へ来て無理をしたのではあるまいか」などと一斉に心配顔に。そして、それが合図であったかのように、夜道で小平太は咳の発作に見舞われた。

道端の水桶に突っ伏し、口元を拭った血染めの懐紙を落としてグロッキーな小平太は、覆面男女の会話から「小林平八郎」の名を漏れ聞いてハッとなる。男は吉良家用人・松原多仲(遠藤辰雄)。小平太は首筋に黒子のある女の方を尾行するが、尾行に不向きな典型的天知キャラの御多分にもれず(体調不良のせいもあり)まんまと巻かれてしまった。

小平太を巻いた女は、山科で主税(三田明)といい仲になっていたおぬい(土田早苗)だった。「川梅」で小林と彼女の密会現場を見たお艶からの報告で、おぬいが吉良の間者であると確信した小平太は、来月にも江戸入りする御城代にもしものことがあっては大変と、明朝京都へ経つらしい彼女を追って上洛を決意。とはいえ、1日に1度の逢瀬だけを励みに我慢してきたのに…と嘆くお艶がさすがにいじらしく、すぐ戻るから、と抱き寄せるのだった。

(八重の仇は吉良邸召抱えとなり、神崎とふたり、仇がいる屋敷を見つめて終わり)

*小平太さん喀血開始の巻(といっても本人は特に驚いていなかったので、既に何度か吐いている模様)。そんな弱った体で京都へ行かんでも、江戸詰メンバーには仮面の忍者だとか改造人間だとか妖術使いだとか体育会系がうようよいるのになあ。

*イケズそうな仲居頭の折檻を受けながらもけなげに密偵を続けるお艶さん。大事(討ち入り)が決行されたからといって幸せになるわけではないので、余計不憫だ。

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| TVドラマ(時代劇)::ああ忠臣蔵 | 12:42 AM | comments (x) | trackback (x) |
ああ忠臣蔵 #8
「吉良邸潜入」(1969年・S44・5月24日OA)

赤穂を後にし、江戸に到着した毛利小平太(トップクレジット:天知茂)とお艶(広瀬みさ)夫婦は大石瀬左衛門(坂口徹)たちと合流、夫婦水入らずで暮らせる長屋を紹介してもらった。新妻のしじみ汁を堪能しようとしたある朝、瀬左衛門に呼ばれた小平太は、江戸入りした大高源吾(俳号は子葉:中谷一郎)から、大石内蔵助(山村聡)の「早まるな」との伝言を聞いた。ところが、何も動けない現状に最も苛立っていた杉野十平次(村井国夫)がさっそく早まり、吉良邸に拘束されたとの知らせが入る。

その日、僅かな蓄えを丸ごと持って家を出た小平太は、行く先々でトラブルを起こす酔っ払い浪人・高島十兵衛(土方弘)に「名前を売ってくれ」と持ちかけた。彼は吉良(上杉)に縁のある伊達藩にいた高島の名前で、吉良邸に潜入しようと考えていたのだ。差し出された小判と“断れば斬る”という殺人オーラに高島はあっさり承諾、ふたりは鍔をカチンと鳴らして(=金打(きんちょう)というらしい)契約を成立させた。

一方、お艶は3日も消息を絶っている小平太を心配していた。だが夫は泥酔して帰宅、情けないと詰る彼女に、あろうことか「働きに出ろ」と強要した。深川の料亭・吉野屋に前借してきたのだという。赤穂にいたときの一途な思いは貴方にはもう残っていないのですか、と嘆くお艶には、小平太の涙ぐましいなりきり努力(飲み逃げしたり、そば屋の屋台をひっくり返したり、道端のおねーちゃんの帯をくるくるしかけたり)はもちろん知る由もない。しかし、吉野屋で女将から吉良家用人・松原多仲(遠藤辰雄)を紹介されたとき、初めて小平太の真意に気づく。

その頃、小平太は無事“高島十兵衛”として吉良家の用心棒にとり立てられていた。千坂兵部(西村晃)の肝入りで上杉藩から派遣されている小林平八郎(戸田晧久)に命じられた最初の仕事は、監禁中の杉野の拷問。どつきながらこっそりヤスリを床に残してくれた小平太の配慮に杉野は感謝する。そして、少し前から女中として潜入、裏木戸の鍵を任されているおしの(俵星玄蕃の妹:大原麗子)の協力で彼は脱走に成功した。

杉野逃亡の罪で尋問されるおしのを救ったのは、小平太の巧妙なニセ証言だった。今度は小平太が疑われたが、用意周到な裏工作の甲斐あって、密偵の達吉(堀田真三)の報告でもボロは出ない。千坂兵部直々の取り調べの際も、伊達藩の屋敷の構造や側室の名前までスラスラ答えた小平太に隙はなかった。だがその余りにも優等生な回答が却って千坂の疑惑を濃くすることまでは頭が回らなかったらしい。

私は賭ける、あの人(=小平太)はきっと吉良家にいるに違いない――多仲にとり入ったお艶は、吉良邸に同行した。彼女の膝枕でいびきをかき始める多仲。女中(=おしの)が運んできた大目付からの書状の中身を見ようとすると、再び現れたおしのに連れ出され、中身なら吉良家の屋敷替えの件だと知らされる。来た理由を問われ、夫がここにいるかもしれないのだとお艶が答えたちょうどその時、屋敷が怒号と喧騒に包まれる。本物の高島が仇討ちで死んだことが判明し、小平太が偽者だとばれたのだ。

迫る追手と斬り結びながら庭に出た小平太は、そこに妻の姿を認めて驚く。おしののお蔭で吉良邸を脱出した二人は、杉野から事情をきいて駆け付けた大高たちが用意してくれた舟で無事に逃げのびるのだった。

*実質、彼ら夫婦よりもおしのさんのほうが役だっていた感じもするが、まさに天っちゃんのために用意された回(脚本は宮川一郎さん)。

*小平太さんと他のメンバーとの関係を口調から推測:瀬左衛門・武林・磯貝はタメ(「毛利!」)、杉野はちょっと下(「毛利さん!」)、大高さんは上(「子葉どの」)

*小林平八郎配下のムチ使い・城所新兵衛役に宮口二朗さん(師弟で夜の見回りなどしているシーンあり)

*経歴に偽りあるときは即刻斬る、とのシビアな命令。偽名以前に経歴書に28歳とあることにツッコンでしまったが、もしや28歳設定なのか小平太さん?

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| TVドラマ(時代劇)::ああ忠臣蔵 | 12:41 AM | comments (x) | trackback (x) |
ああ忠臣蔵 #6
「涙の城明け渡し」(1969年・S44・5月10日OA)

殿様(松方弘樹)が殿中にて吉良上野介(山形勲)に斬りかかり、即日切腹になるというショッキングな知らせが届いて以来、赤穂城下は騒然としていた。城代家老・大石内蔵助(山村聡)がどう出るのか、探りを入れる公儀隠密なども暗躍する中、こざっぱりした侍が医師・矢島玄庵宅を訪れた。侍の名は毛利小平太(天知茂)、浅野家家臣のひとりである。

小平太を嬉しそうに出迎えた矢島の娘・お艶(広瀬みさ)の部屋には婚礼衣装が。恥じらうお艶と純白の衣装を避けるように庭に目を投じ、「私とあなたの婚礼の話はなかったものとしていただきたい」と切り出す小平太。殿の御舎弟・大学様御取り立ての願いは極めて難しい、そうなったら家臣一同、城を枕に討ち死にせねばならない、討ち死にすると分かっている身が婚礼の式を挙げるわけには参らん……苦渋に満ちた彼の決断に、お艶はきっぱりと言い放つ。「私は、あなた様の妻になろうと決めたのです。お取り立てのお願いも、ご籠城も、何も関係ないではございませんか!」晴れて夫婦になり、あなたが討ち死になされたときは、私も毛利小平太の妻として覚悟は出来ている、と。フィアンセのけなげな言葉を聞いて、小平太は彼女をひしと抱き寄せる。

徐々に脱藩者が増える赤穂城内。間近に迫る江戸からの軍勢。やがて内蔵助が「明日、殉死する」と一同に告げたその日、小平太はお艶と祝言をあげた。「ふつつかものですが、幾久しゅう、お願い申しあげまする」「…幾久しゅう…」遺された時間の短さを知りながら、永遠の愛を誓い合う二人。

だが、“殉死”は内蔵助の、真の忠臣を見極めるための苦肉の策だった。わずか52名に減った家臣一同に、彼は初めて胸の内を正直に語る。城は明け渡す。大学様御取り立てが叶わぬ場合は、吉良の御首を頂戴する――。懐剣を手に取り、今にも自害しかけようとしていた新妻の元へ急ぎ戻った小平太は、殉死中止を告げた。「毛利小平太の道は決まったぞ。どこまでもついてこい!」力強い夫の言葉に、お艶はしっかりと頷いた。

赤穂城は人情ある脇坂淡路守(岡田英次)に引き渡され、家臣たち(毛利&お艶夫婦含む)は名残惜しそうに城を振り返りながら、二度と戻らぬであろう郷里を後にするのだった。

*毛利小平太、満を持して登場(しかもナレーションの石坂浩二さんを除くと立派なトメ位置)。タイトル通り、土壇場での無血開城が今回の主題なのだが(いろんな逸話も含まれているのだが)、それを押しのけるようにずずいと割って入ってきた薄幸カップルに目を奪われてしまった。一学&おせい夫婦@大忠臣蔵もお似合いだったが、こちらの二人も一直線に不幸に突き進んでいきそうなあたりがベストマッチ(誉めている)。

*だけど小平太さん、城にいないんだよなあ…!←オトナの事情 (ちなみに#5では名前の木札だけ「登城してますよ」と主張している)。残った藩士の中で唯一の大納戸役(=藩主の手元金や衣服・調度類の出納をつかさどる役)みたいだから、城明け渡しのために殿様の甲冑やら調度品やらを並べたりする裏方仕事に徹していたのだ、と思えばいいのか。

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| TVドラマ(時代劇)::ああ忠臣蔵 | 12:39 AM | comments (x) | trackback (x) |
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