2008,09,18, Thursday
庖丁(1962年・S37・8月4日OA)CX 22:00-23:30
原作:丹羽文雄 演出:塚田圭一 出演:瑳峨美智子、大木実、天知茂、浦辺粂子 (週刊TVガイド 創刊号より記事引用) 【瑳峨美智子ひさびさのドラマ「庖丁」に体当たり演技】(座りこんでる瑳峨さんに手をさしのべているらしい黒い着物の天っちゃんの写真つき) *TVガイドのあらすじと写真から、大木さんに怒鳴られてびくつく天っちゃんが頭に浮かんで「たぶん房吉役だな」と思ったのだが、原作を読んでみたところ、お雅さんと所帯を持つ戸田房吉のほうが山名直規より年上で容貌的にも難ありなので、もしかすると天っちゃんは山名のほうかもしれない、という気もしてきた(大木さんに大変失礼だが)…でも、「蛇のような目」だとか高利貸しに燃えているところとか、房吉も捨てがたい(?)んだよなあ。気位の高い板前に小心者、どっちも守備範囲だから始末におえない。 *(追記)下記の読売新聞の記事によれば、房吉でした。 (読売新聞1962年8月4日号より記事引用) 【板前と女中の悲恋】 非情な戦争通じて描く
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2008,09,16, Tuesday
#173「強姦」(1977年・S52・3月3日OA)
平穏な一日を終え、恋人(=ステーキ)との逢瀬のあと家路に着いた会田(天知茂)の車の前に、ひとりの女が飛び出してきた。まるで反応がないので救急病院に連れていくと、ショックで聴覚が麻痺しているかもしれないとのこと。仕方なく自宅に連れ帰ってベッドに寝かせたところ、突然彼女は叫び出し、駆け付けた警備員に泣きながら助けを求めた。 「この人が私の身体を…! 乱暴されたんです!」 会田は強姦容疑で捕まり、所轄の拘置所で1泊する羽目に(矢部さんの手腕で1泊で済んだらしい)。滝(篠ヒロコ)の調べによれば、昨夜の女性は中村多恵子(渡辺やよい)20歳、和風スナック「中村」を切り盛りしているという。店を訪れた会田に、私は強姦されたと頑なに繰り返す多恵子。だが「君は被害者で俺は加害者…世間はそれでごまかせても、君の心はごまかせない」との渋い彼の言葉に動揺し始める。 しかし、矢部さんの手回しも及ばず、とある週刊誌が「強姦刑事・会田健」とデカデカと書きたてた。誰に頼まれたんだ、と憤った会田だが、筆者のルポライター・黒沼大輔(真家宏満)は多恵子と恋仲らしく、彼女の言葉を信じて純粋に怒りをぶつけてきただけだと悟り、パンチを甘んじて受けたうえ、彼女を守ってやれと励ましの言葉を与えた。 そんな中、滝が多恵子の弟・治(内田憲一)から1枚の写真を借りてくる。多恵子と写る男の名は倉岡昇(深江章喜)、かつて会田が売春斡旋の罪で逮捕した男だった。失業者でアル中の父・英次(田中春男)と受験生の弟を抱えた多恵子は、倉岡の二号としての生活を余儀なくされており、会田を罠に嵌めたのも、服役中の倉岡の意を酌んだ弁護士の木口義二(外山高士)に命じられてのことだったのだ。 倉岡と縁が切れない娘の姿に自分の不甲斐無さを悔いた父は首つり自殺。真相を知り、すべてを明らかにしてやる!と木口に宣戦布告した黒沼も、彼の雇ったヤクザにボコ殴りされて死んでしまった。木口の事務所で暴れた後、出所してきた倉岡の宴会に乗り込む会田。しらを切る倉岡だが、しおれた木口と包丁を手に「(倉岡を)殺してやる!」と慟哭する多恵子を見て、観念したように項垂れた。 事件収束後。弟と共にスナックを切り盛りすることにした多恵子から、会田は封筒を預かる。そこには、『会田刑事―強姦の真相』と書かれた黒沼直筆の原稿が入っていた(昭和ブルースは4番) *「(部屋に連れ込んだのは)私には計画的にしか思えません!」と自分の計画性を棚に上げて会田を糾弾する多恵子。でもあの場合、わざわざ部屋に入れた会田が迂闊だったと思う。しかし今回も私服(サイケ柄のシャツ)は兇悪だった会田。あと、「あいにく女物がないからこれでも着てくれ」といってワイシャツを手渡してたが、自分は裸で寝る用意をしてなくて助かったよなあ(女物どころか男物パジャマもないからなあ) *暇だからって紙ヒコーキを飛ばして(←会田方向に)遊んでた滝さん、どんどんお茶目になってくる気が。 *『のんき裁判』でイチオシだった“春ちゃん”こと田中春男さんが父親役。娘の身体を犠牲に生活しているのは#118「生贄」とよく似たパターンだったが、男親ゆえか、それを強いたのが自分だったゆえか、悲しいくらい弱いお父ちゃんであった。
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:03 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2008,09,14, Sunday
「音なし片手剣法」(1967年・S42・5月8日OA)TBS 19:30-20:00
『主膳(天知茂)は君命で新吾(田村正和)暗殺の旅に出る。跡を追った主膳の妹三千代は家老図書の一味に襲われる』(朝日新聞縮刷版引用) ↑それで三千代ちゃんが新吾に救われ、斬るに忍びなくなって云々、というベタな話なのかどうかは不明 *とても詳しい放映リスト(印玄さんのHPより) http://www9.big.or.jp/~rokugen/ingen/jyuubanlist.html *1970年版「新吾…」では徳川吉宗役でレギュラー出演(放映リストはこちら)。しかし、いくらなんでも39歳で松方弘樹のパパ役ってどうなんだろうか。
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| TVドラマ(時代劇)::その他(ゲスト) | 12:11 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2008,09,13, Saturday
『青葉城の鬼』(1962年・S37)
伊達騒動の顛末を家老・原田甲斐メインで描いた山本周五郎原作「樅の木は残った」の映画化。伊達六十二万石存続のためにひたすら独りで耐えて堪えて、逆臣の汚名を着てまで身体を張って藩を守った甲斐の生きざまは原作でもひたすらかっこいいのだが、演ずるは長谷川一夫御大だけあって、いろいろ辛い立場に立たされても、たとえ山で野性児のように暴れていても、めいっぱい二枚目路線で迫ってくれていた。 尊敬する長谷川御大と初の共演を果たした天っちゃんは、お家騒動に便乗してひと儲けしてやれと腹黒いことを考えるイケメン浪人・柿崎六郎兵衛役。剣の腕は相当のものらしいのだが、職にあぶれ酒におぼれて妹・みや(藤原礼子)の厄介になっている(そのくせ鬼畜なDV兄貴)、絵にかいたような色悪である。 みやが拾ってきた金づるをネタに、伊達藩潰しを画策する大ボス・酒井雅楽頭(柳永二郎)に「寄らば大樹の陰といいますからな」と取り入り、原田甲斐を含む伊達藩の面々の刺客として雇われた六郎兵衛。悪い奴だが何しろイケメンなので(くどいがほんとに)、長谷川御大にまさに斬りかからんとする相当イケてるスチール(なんとポスターにも使用されている*画像拝借失礼します)があるものの、実はそういう美味しい場面は本編には存在しない。御大にたどり着く前に、酒井邸に潜入していた原田子飼いの中黒達弥(成田純一郎)に阻まれて、「こいつは俺が始末する」と言って(一応相討ちだが)逆に始末されてしまう、あっけない最期を遂げていた。 もっとも、原作の六郎兵衛は、仲間とのいざこざで眼つぶしを喰らい盲人になってしまい、酒井邸の刺客メンバーですらないので、少しは目立たせてもらったというべきか(そんな悲惨な状況も見てみたかったが)。
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2008,09,12, Friday
『風雲金比羅山』(1950年・S25)
妹夫婦に会うため、5年ぶりにこっそり帰郷した凶状持ちの渡世人・すっ飛びの安(阪東妻三郎)。様変わりした故郷では性悪網元の長右衛門(山路義人)がシマを仕切っており、安が惚れていた元親分の娘と所帯を持った与助(黒川弥太郎)は、気弱な性格と安への劣等感が災いしてか長右衛門の言うなり。偶然、安と知り合った長右衛門の妾おしん(山田五十鈴)は彼への気持ちを募らせてゆくが、安は愛する弟を殺した張本人なのだった…。 さて、松竹下加茂でエキストラとして奮闘中のノボル君19歳(「日本映画人改名・別称事典」によれば、芸名は「天知茂松」←後の「天知茂」が公募で採択された名前であることを考えると少し眉ツバな気もするが)は、“子供中”と書かれた灯篭の横で友人と盆踊りを見ていて(その左側に五十鈴ねえさんがいる)、長右衛門の子分たちがわらわらと乗り込んできたときに「やべっ、ヤクザが来ちゃったよ」ってな顔でそうっと場所を移動していたほっかむりの見物人。ワイズ出版の写真集にちゃっかり映ってるスチールがあったおかげで探しやすい上に、右端ながら画面の一番手前にいるので分かりやすかった。
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| 映画::清水次郎長 | 12:00 AM | comments (x) | trackback (x) | |
2008,09,11, Thursday
#172「濡れ衣」(1977年・S52・2月24日OA)
特捜部屋のドアの下にそっと差し入れられた1通の手紙。ある人物の自殺を止めてくれ、と書かれたそれを拾った会田(天知茂)は、その男・大堀正男(谷村昌彦)の名前が、贈収賄事件の当事者として翌日の新聞に載っていることを発見する。 土木課の係長である大堀には、ゴルフ場の計画倒産に絡み、銀行から高額の壺を見返りとして受け取った容疑がかけられていた。しかし真面目で朴訥な彼を知る周囲は収賄を否定。なにより本人が、贈賄を受けたとは微塵も考えていなかった。なにしろ壺を持ってきた銀行の課長というのは、高校以来の無二の親友で妻の喜代(上月佐知子)の兄でもある工藤(松本朝夫)なのだ。あれは単なる結婚記念のプレゼントだ、そう信じて疑わない大堀をよそに、何か知っているらしい喜代(実は手紙の差出人)は心配顔。 そして娘の陽子(高峰レイ)は、工藤がもこもこ上着の特捜刑事(=会田)と会っている現場を目撃、壺は贈賄の証拠なのだと確信する。どこまでも工藤をたてる父に嫌気が差した彼女は家を飛び出し、バイクの相乗りで事故って死んでしまった。 娘が死んでもなお、かつて友情にしがみ付いている大堀に、喜代は兄から聞かされた真実(やはり壺は贈賄品だったこと)を打ち明けた。裏切られたと知り、心の支えを失った大堀は、工藤を訪ねて彼を刺殺、ひとりで彼との思い出の地(伊豆の土肥温泉)へと向かう。後を追った会田たちは、崖から飛び降る直前の大堀を間一髪で保護した。 大堀の友情、そして家族の絆を崩壊させた黒幕は、ゴルフ場の計画倒産で利をむさぼる八州大造(竜崎一郎)だった。難攻不落の八州の元へ乗り込んだ会田は有無を言わせずボコ殴りし、こう叫ぶ。「ゴルフ場の倒産は、このままじゃうやむやに終わるだろう。誰も手だしは出来ない。法律も手だしは出来ない…!その法律に代わって、俺が貴様を裁いてやるんだ!」(でも結局うやむやになってしまったようで、特捜部屋で渋い顔して新聞叩きつけてるシーンでエンド)(昭和ブルースは4番) *男同士の「あの素晴らしい愛をもう一度」な展開(?)が切ない話。欲をいえば、親友を裏切って事件に巻き込むに至った工藤の心情もじっくり見てみたかったなあ。演ずるは松本さんだから限界があったのか?(←ニューフェース同期に対して失礼) *結局ボコ殴りだけでおしまいになってしまった黒幕の処遇は(リアルだが)後味が悪かった。いくら会田でも、撃ち殺すわけにはいかんだろうけども。 *またまた、例のもこもこ上着が大活躍。正直、その服は旅先だけにしてほしかった…(OPとED以外、ずうっとこれだもんなあ)
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:05 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2008,09,09, Tuesday
#171「替玉」(1977年・S52・2月17日OA)
婦女強姦殺人の罪に問われた菊池勇(田口弘)の無実が確定し、姉の順子(井原千寿子)やアリバイを証明したジーパン店長・原朋子(木原光知子)、それに会田(天知茂)たちがホッとして裁判所を出た矢先、勇は心臓を撃ち抜かれて即死、会田も狙撃され左腕を負傷した。 (無論、勇が死んだことも怒りの対象だが)この俺の命を狙うなんざ許せねえ!とばかりに、勇がかつて属していた元関西ヤクザで今はカタギ(自称)の土建業の村上大造(高野真二)の事務所を急襲する会田だが、犯人はすでに自首したと連絡が入る。ところがその男はハジキの腕がからっきしの替玉。こいつを囮にして真犯人を洗い出そうという会田の提案を「我々(一課)はそんな汚い手は使わん!」と却下した橘警部(渡辺文雄)は、ぷんぷんして出て行った彼の後姿を見ながら「我々にはもっと良い囮がいるんだ」と部下に会田の尾行を命じる。事実、会田殺しに一度失敗した村上は「あいつをバラさんかい!」と手下に大号令をかけていた。 勇は順子に遺言書を残していた。そこには、再生不良性貧血で余命1年と宣告を受け、100万と引き換えに強姦殺人の罪をかぶってくれと村上に頼まれつい引き受けてしまったとあった。金に困る村上が大金を用意できるわけがないと睨んだ会田は、村上土木のボスである田丸建設の社長・田丸総太郎(伊達三郎)の関与を確信した。田丸は息子の誠(司千四郎)を政界の黒幕・郷津(野口元夫)の娘と結婚させるつもりだが、誠の女癖の悪さは有名らしい。 もしや、婦女強姦の真犯人は誠では…。弟の仇を討ちたい順子が誠を付け狙っていることに会田は懸念を抱く。そんな折、勇と会田の狙撃実行犯の河合(日尾孝司)が「河合の人殺し〜」の声に「なんじゃわれぇ!」と激昂した拍子に転落死、その部下の高田(中田博久)も車ごと炎上。どちらの現場にも、黒ヘルメットでバイクにまたがる女性が目撃された。それが順子の姿と酷似していたことから、彼女を連行しようとする橘たちだが、先回りした会田は、順子に手錠を掛けて身柄を確保、彼女の無実を信じて協力を依頼する。 その間に村上土木を内偵していた堀(財津一郎)が強姦殺人の目撃者を見つけ、会田は件のバイク女性は、村上の愛人・昌子(藤堂陽子)の仕業だと見破った。そして誠と郷津の娘の結婚式、猟銃を持って乗り込んだ順子は(打ち合わせ?に反して)引き金を引くが、弾は会田が抜いた後。悪人たちは法に裁かれることになった(昭和ブルースは1番) *会田を囮にしようとしたブラックな橘さんだが、最後に残った郷津(=会田の2年越しのターゲット)に掛ける手錠を会田に渡す男気を見せてくれた。またまた無言で通じ合ってるふたりが熱い。 *しかし、会田って傷の治りが早くてイカンよな。 *「チャーハンお待ちどうさま〜」と出前に扮して特捜部屋に乗り込んできた刺客を撃ち倒した会田(なんか微妙に被弾していそうなタイミングで机を乗り越えていたがそれは見なかったことにしよう)。誰の差し金だ!という問いを無視して死んだ男に掴みかかったところを「会田さん、ホトケになっても責めるんですか!」と佐々木刑事(北町嘉朗)に止められていた。会田ならやりかねん。 *関係ないが、私は小学生のころ木原光知子さんに遭遇したことがある(ホテルのプールで平泳ぎしてたら隣に木原さんがいて、プールサイドにいた両親によると、泳ぎをじっくり見てたらしい)
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:06 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2008,09,07, Sunday
『のんき裁判』(1955年・S30)
悩殺罪だとかハート窃盗罪だとかで新東宝のスタアたち(高島忠夫、小林桂樹、丹下キヨ子、森繁久弥etc)が続々と実名で法廷に担ぎ出され、裁判長(藤田進&大河内伝次郎)や検事(田崎潤、田中春男、堺駿二)、弁護士(笠置シヅ子、曉テル子、坊屋三郎)たちと喧々ゴウゴウたる騒ぎを巻き起こす、新東宝8周年を記念してのオールスター映画。 撮影が忙しくて出廷できないという若山富三郎さんたちを訪ねて「移動裁判」としゃれこんだのんき裁判所の面々は、時代劇(次郎長シリーズ)のセットでスタアと喋ったり自分が出演したり(←大河内さん)やりたい放題。ちゃっかり大立ち回りまでやってのけた大河内さんに監督(三浦光子)と助監督(江川宇礼雄)はカンカン。(本来の役者の)鳥羽陽之助くんはどこだ、呼んで来い!って話になって、三浦さんがコワいんで女優さんたちと歓談していた鳥羽さんを「鳥羽さあん、出ですよぉ。あんたがいないんでみんな大騒ぎですよぉ〜」と弱り顔(と声)で呼びにきたのが助監督(クレジットでは一応役名はそうなっていた)の天知茂クンだった(こんな感じ)。 高島さんはもてもてスタア役、久保菜穂子さんはニューフェースに憧れる藤田裁判長の娘、宇津井健さんは撮影所でムーディーな場面の真っ最中と、同期の面々はけっこういいシーンをもらっていて、そんな中ではちょっと寂しい出番ではあったが、裏方さんもまずまず似合っていた。 *gooでは助監督=和田孝さんとなっているが、和田さんは出てなかった気がするなあ。あと、三原葉子ねえさんがどこにいたかが分からなかったのが残念(舞妓さんのシーン?) *スタアが実名で隠し芸大会(?)を繰り広げる大映の『スタジオはてんやわんや』(1957年)も面白かったが、こちらもみんなすごく楽しそうで、現場の良い雰囲気が漂っていた。大河内さんの横でボケてツッコんでコケてる田中春男さんのキャラがいい!
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2008,09,06, Saturday
#170「生贄」(1977年・S52・2月10日OA)
逗子マリーナのマンションの1室で隣の棟を見張る会田(天知茂)と滝(篠ヒロコ)。見た途端殴りたくなるような大物(矢部さん談)の出入りをペアで探れ、ただし間違いは犯すなよ、との矢部部長(山村総)の指令を受けてのことだが、滝はいそいそとステーキ焼いたりワイン開けたりして張り切っている(後から矢部さんと会田間で請求書タライ回し)。 隣のマンションに現れたのは、会田の一番嫌いな人種、政財界の大物・三枝幸之助(幸田宗丸)だった。どうやらマンションに女を囲っているらしい。翌朝、三枝と一緒にいる女性を見て滝の顔色が変わった。高校時代の親友・風見綾子(土井かつえ)だったのだ。綾子はかつて三枝と繋がりのあった丸和物産で秘書をしており、開発部長の島崎(土屋嘉男)と不倫関係にあったが、収賄便宜の礼として高級マンション付きで三枝に差し出された、いわば“生贄”なのだという。 綾子が友人と知った上で捜査を続行させようとする矢部に反発しながらも、彼女とコンタクトを取った滝は、いつの日か島崎と一緒になれると信じて、母と弟妹たちを養うために三枝に囲われている綾子の悲哀を知り、彼女の線から丸和物産と三枝の癒着を明るみに出すことに躊躇する。 だが、社会悪(=三枝)を糾弾するためには手段を選らばぬ会田は、島崎-綾子-三枝の関係をブンヤに暴露させた。自分たちが姉の売春行為で養育されていたことを知った妹の真弓(高田ひとみ)は大学を辞め、弟の孝雄(川代家継)は、姉を弄んだ島崎への憎悪を募らせ、彼を待ち伏せ刺殺してしまった。 「私の苦労はなんだったの…!」愛人と家族の不幸に慟哭する綾子。非難の眼を会田に向ける滝。しかし会田は綾子に、人に後ろ指を指されるような安易な道を選んだのは君だと詰め寄った。「君はいったい、どんな苦労をしたというんだ。君は家族のために自分を犠牲にしたつもりだろうが、本当に犠牲になったのは君じゃない。君の家族だ!」 綾子は本庁ですべてを告白したのち、滝の隙をついて窓から身を躍らせた。保険金を家族に遺すため「足を滑らせたの…」と呟き事切れた綾子の思いを尊重し、会田は事故死として届け出るのだった(昭和ブルースは1番) *後味が微妙に悪いというか、久々に会田の非情さが目立った展開。綾子さんは綾子さんなりに頑張ってたと思うんだが、ワルい奴に囲われてのうのうと金儲けしてる、ってのが会田には許せなかったらしい。
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2008,09,03, Wednesday
#169「過去」(1977年・S52・2月3日OA)
こころもちやさぐれた歩調で馴染みの薬局に向かった会田(天知茂)。「来るだけで何を買いに来たか分かるのは、会田さんとあの男だけですよ」主人の田口(大塚明夫)によれば、その男は(会田のような二日酔い薬ではなく)強力な睡眠薬をここしばらく毎日買いにくるのだという。噂をすればなんとやらで、山岡修治(川地民夫)は今日もまたふらっと現れて睡眠薬を買っていった。そして、彼を見る田口の妻・洋子(原田英子)の顔色はなぜか青い。 ひとりは釣り(=たぶん浮田さん)、ひとりはドライブ(=たぶん滝さん)、それからひとりは焼鳥屋(=絶対堀さん)、おまけに残るひとりは二日酔い、というノンキな連中に手を焼く矢部部長(山村総)のお小言もなんのその、山岡が気になる会田は「犯罪を未然に防ぐのもデカの仕事」と身辺調査を始める。偶然にも、彼は堀刑事(財津一郎)の焼鳥屋の常連だった。 そんな矢先、田口の娘が何者かに誘拐された。知らせを受けた会田が駆け付けたところ、風邪気味だった娘を心配する夫妻の前に再び山岡が姿を見せ、今日に限って睡眠薬ではなく風邪薬を求めた。誘拐犯は山岡ではないか――。渋る堀に山岡の過去を洗わせた会田は、エリート社員だった山岡が7年前、自分のフィアンセと愛人関係にあった部長の渡部を刺殺して最近まで服役していたことを知る。そのフィアンセとは、現・田口夫人の洋子だった。 そのころ洋子は山岡を訪ね、娘を返してくれと懇願していた。なんでもするから、と土下座せんばかりの彼女に山岡は今まで購入した睡眠薬を渡し、だったらそれを飲んでみろと迫った。洋子は飲めない。7年前も、朱に染まった渡部の側でお前はそう言いながらすぐに俺を警察に売ったではないか、もう騙されないぞと詰る山岡。だが洋子は、貴方に娘は殺せないわと反撃に出た。なぜならあの子は貴方の娘なのだから――その言葉を聞いて驚く山岡。だがもう一人ショックを受けた男がいた。洋子が心配で後を付けてきた田口である。 堀に連行されたものの、山岡は沈黙を続ける。会田は彼が娘を渡部の未亡人・昌江(槇ひろ子)に託したことを突き止めた。加害者と被害者の遺族ではあるが、彼らは互いの理解者でもあった。洋子が許せない昌江は「娘は死体で返す」と物騒な電話を田口家に掛けはしたが、約束を守って少女を連れてきた。だが、母を見るなり道路に飛び出す少女。咄嗟に彼女を庇った山岡は、そのまま還らぬ人となってしまった。 「あなた(=田口)の娘に決まってるじゃない!」と断言していたにも関わらず、血液検査を敢行しようとする夫に「もしあなたの子じゃないとしたら…?」とほのめかし始める洋子。山岡の死を目の当たりにし、ようやく過去の行いを悔いた洋子は、最後まで自分の言葉を信じて逝った彼に報いようとしていた。 洋子は娘を連れて故郷へ帰り、傷心の田口だけが残された。薬局休業の貼り紙を憂い顔で眺めると、会田は静かに踵を返すのだった(昭和ブルースは4番) *結局、娘のミカちゃんの父親は我々には分からないままエンディング。過去に戻れないと知っていながら、過去の幻影を求める山岡。過去にとらわれたままの昌江。そして過去を捨てて生きてきた洋子。「過去」というキーワードが織りなす哀しい人間模様が印象的な回だった。特捜部屋で二人で窓見ながら「父親は哀しい」と呟く矢部さんに、母も子も、人は皆哀しいものだと言う会田のシーンもいい。
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