2008,10,08, Wednesday
「愛が裂かれるとき」(1972年・S47・1月7日OA)TBS 21:30-22:30
出演:緒形拳、長門勇、大原麗子、近藤正臣、山村聡 ゲスト:天知茂、野口ふみえ 【刑事と事件記者の活躍を描く】(以上、朝日新聞縮刷版より引用) *このあらすじからすると「よくも妻と娘を…!」と三白眼で逆上し、さすがに殺すつもりまでは無かったのに揉み合ったはずみでうっかりやっちまいましたな展開を引き起こしそうな三田があやしいとみた…。(←マネ) *(2009.1.27追記)入手した台本によると、三田は元・新聞記者。(娘でなく)息子が亡くなって悲嘆にくれる中でも北見の取材に応じる律儀な人だが、奥さんまで失って島田への憎悪が炸裂。とあるタレこみ電話で居場所を突き止めると、予想通り島田をぼっかーんと殴り倒すらしい。だが後日、島田殺しの容疑者として連行されしおらしく罪を認めたものの、大理石の置き物が凶器だと聞かされた瞬間、「そんな重いものは持っていない!」と証言を覆す。実は三田なら世間の同情を集めて罪も軽くなるだろう、と見込んだ第三者の犯行だった…という話。予想に反して善人(失礼)だった三田には、その真犯人が逃亡の際に金網から足をすべらせてビルから落っこそうになるのを捨て身で助ける、という感動的なシーンがあるようなのだが、シチュエーションとしては非ライ第3シリーズ#12「兇悪の骨」のアレと同じかと思うとなんだか字面だけで顔がにやけた(まさか脱いではいないだろうが)。
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2008,10,06, Monday
#179「兇悪の赤い薔薇・禁じられた愛」(1980年・S55・5月15日OA)
年明け(当時)に逮捕されたP.マッカートニーに端を発し、若者の間に蔓延しているマリファナ煙草の出どころを探る会田(天知茂)ら特捜部は、大麻入りショート・ピースを売っているバーのピアノ弾き・ノリコ(園まり)を突き止め、黒幕検挙のために泳がせる。 8年前に両親を亡くし、弟アキラの学費のために売人に身を落としているノリコには、愛する男がいた。その彼・立岡(漢字は当て字:河原崎健三)は、彼女の父の会社を潰し、両親を自殺に追い込んだ一流商社の西原商事に勤める男。それと知りながら立岡を愛し、彼からマリファナ煙草の売買を請け負っているノリコは口を割ろうとしない。 西岡商事の存在に感づいた会田は、「(売人のノリコが吐いたから)もうすっかりネタは割れてるんだぜ」と取締役の江崎(漢字は当て字:北原義郎)を脅しをかけた。直後に暴走車に撥ねられそうになるノリコ。君の抹殺を命じたのは恋人だと言う会田の言葉が信じられない彼女だったが(そもそもそう仕組んだのは会田なわけだが)、姉には内緒だと立岡に誘われてマリファナ煙草を捌いていたアキラが殺されてしまったことで、ようやく会田たちに立岡の名前を打ち明けた。 彼の居場所は知らぬと言いながら、ノリコは特捜部のガードをくぐり抜けて立岡の元へ。だが高飛びの準備に余念がない彼は、「どこまでも付いて行くわ…!」と抱きつくノリコをうるさそうに追い払いヒゲを剃り始めた。そんな立岡に感情を爆発させたノリコは、彼のピストルを奪い取ると、怒りに任せて弾をブチ込むのだった(そのあと自殺しかけた彼女を駆け付けた会田が止めて昭和ブルースは新録1番) *愛してはいけなかった男を愛してしまったノリコの悲劇、なのだが、その矛盾に苦しむ描写があまり出てこないせいか、はたまたBGMがやたら賑やかで軽薄なせいか、心にガツンと響くまでは至らなかった(脚本の廣澤栄さんといえば「男のうたは兇悪」とか個人的に好きな話が多いんだけども、どうも第3シリーズは辛口になってしまうなあ…) *あと、脚本家が違うとはいえ、#2であんなことをしでかしていた「エスプリ」のママ・しずえ(野川由美子)と伴くん(角川博)が何食わぬ顔で店を存続させているのはどうなんだろうか。 *西原商事がちゃっかりマリファナを輸入し、(匂い消しの)線香とセットで若者に売りさばいている件を評した会田の時代を感じる一言「まことにナウなアイデアだ」
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2008,10,05, Sunday
#177「兇悪の門出・赤ちゃんの顔が見たい!」(1980年・S55・5月1日OA)
組織の秘密を握った内閣調報官を殺したヤクザ・宮地健一(成瀬正)は捜査一課に追われて逃走中、割り込んできた車に渡りに舟と乗り込んだはいいが、サングラスの強面ドライバーは誰あろう、特捜の会田(天知茂)であった。 宮地を馴染みの珈琲店「エスプリ」のママ・しずえ(野川由美子)のマンションに匿った会田(自分も居候中らしい)は、彼が内閣調報官から奪った、暴力団資金ルートの全容を記したマイクロフィルムを自分に預けるよう持ちかけるのだが、宮地は再び逃げ出し、別れた妻・幸子(宮下順子)にロッカーのキーを託したところで、組織のヒットマンの手で射殺されてしまった。 宮地の子供を宿している幸子は、生まれ来る我が子に不自由させまいとつい欲を出し、用心棒と称してストーカーのように付き纏う会田を捨て駒に、京浜連合会(=ヤクザ)の会長・大河原一作(南原宏治)からフィルムと引き換えに5000万をせしめようとした。ところが逆に会田ともども消されそうになり、大河原を盾に反撃した会田の機転で事なきを得た(ただし会田は左肩負傷)。 彼女の行いを咎めず、橘“係長”(渡辺文雄)の追及にも沈黙を守った会田に、幸子の心は揺れる。加えて矢部警視(山村聡)から、彼が1年前に身重の妻をヤクザに殺されたという話を聞き改心、会田にフィルムを託そうとロッカーに向かう幸子。だが大河原の手下が放った爆弾で怪我を負い、流産してしまう。 憤る会田はフィルムをダシに大河原と部下の唐沢(石橋雅史)を呼び出し、乱闘の末に彼らを逮捕、5000万を病床の幸子に渡してやるのだった(昭和ブルースは新録1番) *第2シリーズから3年、同キャストによるリメイク(「生きているヒーローたち-東映TVの30年」より)ということで登場した第3シリーズ。どうにも気恥ずかしいOPと長ったらしい副題から始まり、さほど重要味も無くひっくり返るパトカーとか、軽くてくどいBGMとかヘロヘロした新録ED曲とか、すべてに漂う80年代テイストのせいで、昭和の功罪を背負ってずっしり重かった以前のシリーズより兇悪の底が浅くなっている(それも味か)。 *ストーリーにしても、極端にいえば、会田をカッコよく見せるための状況作りがまずありき、で練られているような気がしないでもない。そんなお膳立てしなくても(あと、わざわざ会田だけこれでもかと映さなくても)十分カッコいいと思うんだけどなあ。嫁さんがヤクザに殺され云々、というベタな設定もなんだかなあだ(まあこの設定があるから幸子さんへの密着ガードの理由がつくわけだけども)。 *あと、役名が併記されないのが困りもの(今回は手持ちのシナリオから)。ちなみに橘さんの部下、横山刑事(北浦昭義)と佐々木刑事(北町嘉朗)はなぜか二人とも改名しているようだ(宇野刑事&柿内刑事)。 《下記は1980年5月1日 朝日新聞縮刷版『試写室』より引用》 男性ファン忘れるな *左肩を撃たれて白いポケチーフを紅く染めてる会田が南原さんに銃を突きつけてるシーンの写真つき。 *柱広告に「昭和ブルース 男の出番…… 再び、すべての悪に立ち向かうために――」というセリフ入りで兇悪な面相(たぶんOPの顔)で会田がいた。
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2008,10,04, Saturday
#178「兇悪の素顔・あなたと死にたい!」(1980年・S55・5月8日OA)
裏でいろいろと黒いことをやっている日東商事を秘密裏にマーク中の会田(天知茂)が、常務の池上を尾行して会社を訪れた途端、池上は企画調査室長の榊健作(漢字は当て字:平田昭彦)に「お急ぎ下さい、会田がまいります」とビルから無理やりダイビングさせられ、還らぬ人となる。 何の証拠も得られぬままターゲットに死なれた会田への矢部警視(山村聡)の風当たりはきつい。誰がチクったのか? 実は池上をつける会田の車を珈琲店「エスプリ」の伴兼次(角川博)が追っていたのを会田は迂闊にも気付かなかったらしい。その「エスプリ」にて、あからさまに怪しい池上の転落死を自殺で済まされご立腹の橘(渡辺文雄)に、ママ・しずえ(野川由美子)がこっそり聞き耳を立てているのを知ってか知らずか、日東商事の黒い霧を捜査中であることを打ち明ける会田。 パトロンの榊に情報を流し続けていたのはしずえだった。会田の籠絡を指示された彼女は2億円の小切手を会田に渡し、身を引いてくれと逮捕覚悟で懇願。だが彼は小切手をちゃっかり内ポケットにしまい込むと、驚くしずえに明日は手入れだと告げて平然と去る。しずえから知らせを受け慌てて機密書類をアタッシュケースに突っ込んで会社を出た榊は、そこでまんまと会田にケースを奪い取られた(小切手はこれみよがしに破って廃棄する会田)。 ところがしずえが本庁に現れ、ケースを返さないとヘリで無差別攻撃すると会田を脅迫した。鍵を開ける暇もなくアタッシュケースを返さざるを得なくなった会田だが、その夜、榊としずえの密会現場に現れてふたりを連行。だが肝心のケースはしずえが咄嗟に階下へ投げ落とし、伴の手に渡った。 夜を徹しての取り調べにシラを切り通すふたり。やがて夜が明け、総監室長(戸浦六宏)の逆鱗に触れた矢部さんは辞表を出すよう言われ、特捜部は解散を宣告された。このままでは証拠隠滅のために必ず消される、と止める会田を振り切ったしずえだが、案の定「エスプリ」で愚連隊に襲われかけ、偶然橘に救われてマンションへ。そこには会田が待っていた。彼の裏切り行為(←手入れの件)がどうしても許せないしずえは「負け犬には用はないわ。出て行って!」と声を荒げて追い払おうとするが、現れた榊と部下たちの脅しに屈し、アタッシュケースを保管する伴の居場所を吐いてしまう。 それを聞いた会田は連中を撃つと単身で伴を追い、彼からケースを奪い取った。背後に迫る刺客。現職刑事が殺されれば、持っていたアタッシュケースの中身も公になる――会田が死ぬ気でいることを悟ったしずえは彼の腕をとり、共に歩く。 「あなたと死んであげる」 刺客数名を従えてひと気のない公園まできた会田としずえ。人数分の弾は無く、絶対絶命の危機にさらされた会田はアタッシュケースを固く握り、片方の腕でしずえをぎゅっと抱きしめた。と、そこへ援軍が訪れ刺客は一網打尽に。ふたりの無事を確認し、微笑みながら近づいてきたのは橘だった(昭和ブルースは新録1番) *雨に濡れながら歩くトレンチの会田の前にしずえさん登場、少し見つめ合ってそのまま去っていこうとした彼に彼女が傘を差しかけて一緒に歩いていく…というのがエンディング。絵柄はキマっていたが、なんだか繋がりが不明な雰囲気だった(特捜部が解散しちゃって職にあぶれたのかと思った) *いきなり最終回のようなテンションの話。とはいえ、先週出てきたばかりの喫茶店のママがいきなりそんなアレだったと言われても戸惑うばかりだ(会田の白血病レベルに唐突)。それこそもっと最終回近くにもってきてもよさそうなものなのに。 *しずえさんの父は、汚職の責任を取って自殺。だから彼女は「父のような負け犬になりたくない」と、他人のために犠牲になる人生を毛嫌いしているらしい。信じたのに裏切られた、あんた負け犬よ!などととさんざん会田を責めてた彼女だが、そもそも榊の命令であそこ(警視庁のそば)に店を構えて会田たちに近づいて何食わぬ顔で情報を流していた強烈な裏切り行為はどうなんだろう。 *それにしても会田、奥さんがいるころからすでに顔見知りで、今では勝手にマンションに上がり込んでブランデー飲んでどっかりくつろげるような関係の女性に裏があるとは思ってなかったのかナゾである。 *ちなみに会田の奥さんとお腹の赤ちゃんのお墓(「会田家」の横に小さな無名碑)は港が見える場所にあって洋風。…もしや会田ってクリスチャン? *「刑事は殺されちゃいかんのだ!」がポリシーの矢部さんに従っていた第2シリーズとは違い、第3シリーズの会田は無意味に命を粗末にしがちである。奥さんの死が原因かもしれないが、これも絵柄的にウケを狙っているだけのようで、そういう状況の会田のイケてる仕草にいちいち「うおぉ〜」と盛り上がってしまうのは認めるけども複雑だ。クライマックスも、あのまま撃たれて鞄をとられてしまったらまったくの無駄死にだろうに。ま、そんな捨て鉢な会田を、橘さんがうまい具合にフォローしてくれてるようなのが嬉しいが。
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2008,09,28, Sunday
源氏鶏太シリーズ 喧嘩太郎(1961年・S36・4月16日OA)TBS 21:00-21:30
出演:天知茂、小山明子、小林寛 *原作によれば、喧嘩好きのサラリーマン・喧嘩太郎こと宇野太郎くんが婦人警官の雪江さんに一目ぼれ、彼女に猛アタックして愛を勝ち取るコメディ。非常にらしくない配役だが、南郷次郎先生@『影なき殺人者』のテイストで爽やかに頑張っているのかもしれない。ただ、1年前に石原裕次郎&芦川いづみで映画化されており、その向こうをはったTV版で果たして見るからに喧嘩っぱやそうな裕ちゃんとどれだけ張り合えているのかはナゾである。
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2008,09,27, Saturday
#176「兇悪の終焉」(1977年・S52・3月31日OA)
午前4時。“白鳥の湖”で慌てて目覚めた会田(天知茂)はジャージ&チャリンコで新聞配達、道や家を間違いつつも朝陽を浴びて爽やかに(←当人比)ご満悦。何しろ朝が早いので特捜部屋で爆睡しているところを矢部警視(山村聡)にどつかれ、富士山付近で相次ぐシェパード犬の失踪事件を調べるよう命じられるが、犬とカエルは苦手だとあっさり断り「これから夕刊の配達でね」といそいそと出て行った。 会田が新聞配達に勤しむのは、車の前に飛び出し捻挫した少年・田坂守くん(上田正雄)の代役をかって出たからである。その守少年が店に現れ、回復を喜んでいると、一匹のシェパードが駆けてきた。「ジル!」守少年が車に気づかぬほど必死に探していた愛犬が戻ってきたのだ。ジルの帰還を植木職人の兄・努(越村純一)に知らせたい守少年に同行した会田は、政界の影のドン・有賀政道(河津清三郎)と右腕の北見(西沢利明)に遭遇した。そこでジルが有賀に激しく吠えかかり、有賀もまた不自然なほど怯えたことに、会田は微かな疑念を抱く。 努に噛みつくほど興奮したジルを、会田は友人の木下獣医(市川小金吾)に診察させた。「シェパードがきたら保健所に通知することになっている」という木下にしばしの猶予を頼んだが、翌日、木下は他殺体で発見され、ジルは行方不明に。凶器と目撃証言から努の容疑が濃厚だと橘(渡辺文雄)から聞いた会田は、行方をくらました唯一の肉親を心配する守少年のため、努の容疑を晴らすことを固く誓った。 ところが矢部は捜査を打ち切れという。有賀の関与にピンときた会田は猛反発、「邪魔する奴はたとえ部長であろうと、容赦はしない!」と拳銃を突きつけて矢部を脅す。キレ気味の会田を止めたのは、矢部が発見し特捜部屋に匿っていたジルだった。会田は自ら動こうとしていた矢部の代わりに有賀邸に乗り込み、ジルをエサに獣医師事件の真相を聞き出そうとする。 有賀はあっさり木下殺しを認め、努を犯人に仕立てたのは「隔離する必要があったからだ」と弁明した。ジルは富士山近くの研究所で人為的に細菌を埋め込まれたシェパードの1匹で、その牙にかかった努は、24時間後に無残な姿で死んだという。解剖しようとする北見をぶん殴った会田は、守少年の悲しみを想いながらも、ジルを自らの手で射殺した。 努とジルの骨壺を持ち帰ったものの、事件の真相を口にできない会田に守少年は叫ぶ。 「おじさんだって犯人と同じじゃないか。警官のくせに知らん顔しやがって。おまわりのくせに!」 それは30年前、交番の前で進駐軍に襲われた姉の悲鳴に無視を決め込んだ警官たちに自分が放った言葉と同じだった。世間は30年前と何一つ変わっていないのか――。苦悩の会田に、有賀から引き抜き話があったことを知らせた矢部は、守少年のためにも天上人の有賀を殺す側から殺される側にひきずりこんでやれと鼓舞した。 だがその頃、兄と愛犬を一度に失い絶望した守少年は、マンションから飛び降りてしまう。少年の骸を目の当たりにした会田は“本物のジル”と称したシェパードを連れて有賀をビル屋上に誘い、”飛び降りか、細菌犬に噛まれるか”の二者択一を非情に迫った。 一方、獣医殺害事件の捜査打ち切り、守少年の自殺、そしてその遺書が人知れず処理されたことに無力感を覚えた橘は、辞表を提出した旨を特捜部屋に報告に来た。そんなくだらないことで辞めるのかと会田は詰る。 「おまわりは背を向けたら負けだ。眼を背けたらおしまいだよ!」 その通りだ、俺はその両方をやったのだと語り肩を落として出て行こうとした橘を呼びとめた会田。その眼に光るモノに、橘(と、一連のメロドラマを無言で見守っていた矢部さん)は息を呑む。 「会田、お前…」 (だがナイスタイミングで電話が鳴りそのまま班長さん退場)。 橘が出て行った後、有賀が精神錯乱で入院したという知らせを受けた会田は、もう終わったのだという矢部に先ほどの言葉を繰り返し、富士山へ焚き火に行く(=細菌犬製造の研究所を爆破しに行く)と告げた。「必ず(“ジル”用に借りた犬の請求書を)払いに帰って来い!」わざと冗談めかす矢部に「もし払えなかったら、踏み倒してやりゃあいい」と微かに笑った会田は、こう言い残して部屋を出るのだった。 「このへんが年貢の納め時、幕の引き時だ。…俺も、昭和という時代もね…」 (昭和ブルース1・3・4番がフルで流れるなか、警視庁の内外で見つめ合う矢部さんと会田、手帳を手に“もうちょっと頑張ろうかな”と思っているっぽい班長さん、そして夕焼けを背負って富士山へと車を走らせる会田が映ってドッカーン!で「完」マーク) *冒頭の脱力ぶりからは想像もできなかった、女っ気まるでなし(あ、ジルがいたか)の硬派な展開にひたすら圧倒された。ジルを撃つところやラストの総括セリフは言うに及ばず、守君の死で30年の生き様を否定された形になった上、よきライバルであり、ある意味“理想(希望?)”であったかもしれない橘の辞表提出に、一種のアイデンティティ・クライシスを起こしかけたような会田の「班長さん、辞めないでくれ…」にはグッときた。 *ただ、有賀老人の大物らしからぬガードのゆるゆる加減(護衛どころか側近も北見しかいない)と会田ラブっぷり(それゆえ自滅)は、たいそうなことを考えていた“黒幕”にしては小粒感が漂っていたような。 *これが真の最終回でもよかったのに、3年後に第3シリーズ開始。結局、昭和も俺も終わってなかったんだよなあ…
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2008,09,23, Tuesday
#175「償い」(1977年・S52・3月24日OA)
殺人絡みの黒い霧を追っている会田(天知茂)は、捜査一課の橘(渡辺文雄)の抗議をよそに疑惑の会社の社長付き運転手・山野(金内吉男)の自宅を強引にガサ入れし、事情聴取した。だが殺人当日の社長・大倉喜一郎(松本克平)の動向を記してあるはずの運転日誌を「失くした」とうそぶいた山野は、会社で何者かに突き落とされ転落死を遂げた。 山野の死は自殺とされ、葬儀の席で「貴方のせいで主人は死んだのよ!主人を返して!」と山野の妻・富江(中村玉緒)にさんざん詰られてしょげ返る会田。実は富江は、日誌をネタに社長を強請ろうとした夫が会社に消されたことを薄々感じており、会田を責めたその口で秘書の黒沢(早川保)から、日誌と引き換えに多額の金を引き出そうと画策していた。だが肝心の日誌の在り処がわからないうえ、1枚も2枚も上手の黒沢に日誌を渡さねば子供を殺すと脅されてピンチ到来、そこでガチャリと黒沢に手錠をかけてくれたのが会田だった。ところが富江は恐喝の事実を完全に否定、会田の勘違いということで黒沢は釈放されてしまった。 ひょんなことから夫が隠した日誌を掘り起こした富江を黒沢の手下が襲いかかる。会田が駆け付けたときには既に富江は男を射殺した後。どうかもう少しだけ見逃して、と懇願する彼女に「正当防衛でも、殺しは殺しだ!」とお前が言うかな諭し方をしながらも会田は5日間の猶予を与え、彼女が日誌を武器に7500万の小切手を大倉からせしめるのを手助けしてやった。 黒沢の手下たちに発電室に監禁されるも縄抜けなど披露して(「縛られるとき、ちょっと細工をね」)颯爽と富江を連れて会社を後にした会田だったが、5日後に迎えに行った際、懲りない黒沢に「あの刑事さえいなければあんたは子供たちと暮らせるんだ」とたきつけられて動揺した富江に再び裏切られる。車の前後をトラックで挟まれ、銃撃戦でラスボス(=黒沢)を前に弾切れという危機は、橘率いる警官たちに救われた。会田は富江の土壇場での背信行為を不問にし、すぐに出てこられるからと優しく励ますのだった(もちろん元凶の大倉社長にワッパをかけたのち昭和ブルースは4番) *欲を出した当人の招いた業とはいえ、旦那の転落死に責任を感じ“償い”のために富江に従順に尽くす会田。あんなに「申し訳ない」と何度も素直に口にしている姿は珍しかった。優しすぎたの あなた〜♪(←つぐない違い)あと、他人(=橘さん)がいるところでは「まったくだ!」とか言って会田を責めるものの、ふたりきりになると「俺も同罪だよ…」とポツリと呟く矢部さんが良い。 *同僚が誰も出てこないからか、橘さんや矢部さん相手にやたらと饒舌だった会田もちょっと珍しい。 *それにしても、旦那を突き落した犯人2人と、黒沢をさくっとしとめた制服警官たち、射撃うますぎ(というか、手早すぎ)。「警察内部にも仲間が…!?」と変な深読みをしてしまったではないか。(あ、黒沢は橘さんが撃ったのかな?)
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2008,09,23, Tuesday
テレビ劇場 騙す(1964年・S39・9月8日OA)TBS 22:00-22:30
作:松田暢子 出演:瑳峨美智子、天知茂ほか 座敷女中富子は、独立するため、板前の米吉と共謀して、せっせと店の金をごまかしたが…(以上、朝日新聞縮刷版より引用) *天っちゃんは米吉か。共謀していたつもりが米吉にぜんぶ持ち逃げされたりして? (しかし板前と女中といえば「庖丁」ふたたび、ってな組み合わせだ) ※(2009.9.12追加)週刊TVガイドより引用 脚本:松田暢子、演出:川俣公明
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2008,09,21, Sunday
昨日と明日の間(1970年・S45・10月23日〜11月20日OA:全5回)NTV 21:00-21:56
原作:井上靖 出演:天知茂、村松英子、松岡きっこ、山形勲 【荒野めざす男を慕い……】(以上、朝日新聞縮刷版より記事引用) *原作の白戸は、何事もやり始めに生き甲斐を感じるが次第に飽きてくる、いわばB型人間。弾正レイ子(れい子)はカメラマンではなく、白戸にストーカーのようにつきまとうヤンキー姉ちゃんで、人妻・萄子が白戸への恋心をあらわにするとジェラシーに燃えまくり妨害を始めるので、もしや「悪銭」みたいな事態になるのか…?とヒヤリとさせられたが、白戸の懐の大きさが幸いしてか、うまく収束していた。 *1954年に鶴田さん主演で映画化されている。(あらすじを読むと、こちらはほぼ原作通りの展開のようだ)
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2008,09,18, Thursday
#174「母恋し」(1977年・S52・3月17日OA)
佐世保から来たボクサーくずれの待井丈二(佐藤祐治)が死体で発見された。丈二は目下絶賛売り出し中の男女デュオ『グレープ・フルーツ』の充こと工藤朝夫(山内英正)のかつての施設仲間で、彼を訪ねて上京したことが判明、会田(天知茂)は充をマークする。どうやら丈二は、幼い頃に充を捨てて渡米した母親が戻ってきたことを知らせに来たらしい。 丈二に会ってから意気消沈している充を心配した相棒のゆかり(相本久美子)は、所属プロの社長・倉石(木村元)に休暇を申し入れるのだが聞き入れてもらえない。そこへ大洋企画の社長・中沢(大村文武)が現れ、移籍の話を持ちかけた。猛反対した倉石は翌日、溺死体で海に浮かんだ。 一方、会田の指示で浮田(松山英太郎)は充の母親らしきマリー(小畠絹子)という女を場末のバーで見つけた。客と大ゲンカして警察の厄介になるほど『グレープ・フルーツ』ファンである彼女だが、充の母であることは頑なに否定する。 そんな中、週刊誌が母親の話を嗅ぎつけ、興味本位で書き立てた。これでさらにレコードが売れると喜ぶ中沢をよそに、充は歌手を辞めたいとゆかりに漏らす。母親のネタで強請りにきた丈二を殺したのは自分だという彼の告白を聞いたゆかりは「グレープ・フルーツは2人で食べるものよ」とどこまでも付き従うことを誓うのだった。 売上至上主義の中沢の魔手はマリーにも迫っていた。車にぶつけられ入院した彼女を見舞った会田は、充が密かに置いていった花(むくげの花)に涙する母心に打たれる。そしてマリーは、「丈二を殺したのは自分だ」と警察に自首して出る。だが、罪を悔いた充が現れ、二人はようやく涙の再会を果たした(もちろん、懲りない中沢は会田がボコ殴って逮捕)。罪を償うことになった充だが、塀の外ではマリーとゆかりが仲睦まじく彼の帰りを待っていた(昭和ブルースは2番) *新東宝時代の相手役(のひとり)・小畠絹子さんが2回目の登場。#6「兇悪の母」とはうってかわった酒場の女(雰囲気はどことなく「毛皮のマリー」な美輪さんっぽい)を熱演。彼女をみる会田の目はいつになく優しかった。やはり「おっかさん」にはヨワイらしい(というより、小畠さんにヨワイのか) *会田いわく「俺も朝夫君と同じような境遇で育った」(横浜のおじさんちでの居候は何かと辛かったのだろうか←いろいろ妄想炸裂) *グレープ・フルーツが歌う「夜明けはまだ遠い」は、セカンドLP「浪漫・悲歌(ろまん・えれじい)」のラストを飾る曲でもある(作詞:坂本玖美子 作曲:千葉一臣 編曲:京建輔)。若い二人が歌うと爽やか系だが、天っちゃんバージョンは別の色気があってナイス。
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