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非情のライセンス 第2シリーズ #124(終)
#176「兇悪の終焉」(1977年・S52・3月31日OA)

午前4時。“白鳥の湖”で慌てて目覚めた会田(天知茂)はジャージ&チャリンコで新聞配達、道や家を間違いつつも朝陽を浴びて爽やかに(←当人比)ご満悦。何しろ朝が早いので特捜部屋で爆睡しているところを矢部警視(山村聡)にどつかれ、富士山付近で相次ぐシェパード犬の失踪事件を調べるよう命じられるが、犬とカエルは苦手だとあっさり断り「これから夕刊の配達でね」といそいそと出て行った。

会田が新聞配達に勤しむのは、車の前に飛び出し捻挫した少年・田坂守くん(上田正雄)の代役をかって出たからである。その守少年が店に現れ、回復を喜んでいると、一匹のシェパードが駆けてきた。「ジル!」守少年が車に気づかぬほど必死に探していた愛犬が戻ってきたのだ。ジルの帰還を植木職人の兄・努(越村純一)に知らせたい守少年に同行した会田は、政界の影のドン・有賀政道(河津清三郎)と右腕の北見(西沢利明)に遭遇した。そこでジルが有賀に激しく吠えかかり、有賀もまた不自然なほど怯えたことに、会田は微かな疑念を抱く。

努に噛みつくほど興奮したジルを、会田は友人の木下獣医(市川小金吾)に診察させた。「シェパードがきたら保健所に通知することになっている」という木下にしばしの猶予を頼んだが、翌日、木下は他殺体で発見され、ジルは行方不明に。凶器と目撃証言から努の容疑が濃厚だと橘(渡辺文雄)から聞いた会田は、行方をくらました唯一の肉親を心配する守少年のため、努の容疑を晴らすことを固く誓った。

ところが矢部は捜査を打ち切れという。有賀の関与にピンときた会田は猛反発、「邪魔する奴はたとえ部長であろうと、容赦はしない!」と拳銃を突きつけて矢部を脅す。キレ気味の会田を止めたのは、矢部が発見し特捜部屋に匿っていたジルだった。会田は自ら動こうとしていた矢部の代わりに有賀邸に乗り込み、ジルをエサに獣医師事件の真相を聞き出そうとする。

有賀はあっさり木下殺しを認め、努を犯人に仕立てたのは「隔離する必要があったからだ」と弁明した。ジルは富士山近くの研究所で人為的に細菌を埋め込まれたシェパードの1匹で、その牙にかかった努は、24時間後に無残な姿で死んだという。解剖しようとする北見をぶん殴った会田は、守少年の悲しみを想いながらも、ジルを自らの手で射殺した。

努とジルの骨壺を持ち帰ったものの、事件の真相を口にできない会田に守少年は叫ぶ。
「おじさんだって犯人と同じじゃないか。警官のくせに知らん顔しやがって。おまわりのくせに!」
それは30年前、交番の前で進駐軍に襲われた姉の悲鳴に無視を決め込んだ警官たちに自分が放った言葉と同じだった。世間は30年前と何一つ変わっていないのか――。苦悩の会田に、有賀から引き抜き話があったことを知らせた矢部は、守少年のためにも天上人の有賀を殺す側から殺される側にひきずりこんでやれと鼓舞した。

だがその頃、兄と愛犬を一度に失い絶望した守少年は、マンションから飛び降りてしまう。少年の骸を目の当たりにした会田は“本物のジル”と称したシェパードを連れて有賀をビル屋上に誘い、”飛び降りか、細菌犬に噛まれるか”の二者択一を非情に迫った。

一方、獣医殺害事件の捜査打ち切り、守少年の自殺、そしてその遺書が人知れず処理されたことに無力感を覚えた橘は、辞表を提出した旨を特捜部屋に報告に来た。そんなくだらないことで辞めるのかと会田は詰る。
「おまわりは背を向けたら負けだ。眼を背けたらおしまいだよ!」
その通りだ、俺はその両方をやったのだと語り肩を落として出て行こうとした橘を呼びとめた会田。その眼に光るモノに、橘(と、一連のメロドラマを無言で見守っていた矢部さん)は息を呑む。
「会田、お前…」
(だがナイスタイミングで電話が鳴りそのまま班長さん退場)。

橘が出て行った後、有賀が精神錯乱で入院したという知らせを受けた会田は、もう終わったのだという矢部に先ほどの言葉を繰り返し、富士山へ焚き火に行く(=細菌犬製造の研究所を爆破しに行く)と告げた。「必ず(“ジル”用に借りた犬の請求書を)払いに帰って来い!」わざと冗談めかす矢部に「もし払えなかったら、踏み倒してやりゃあいい」と微かに笑った会田は、こう言い残して部屋を出るのだった。

「このへんが年貢の納め時、幕の引き時だ。…俺も、昭和という時代もね…」

(昭和ブルース1・3・4番がフルで流れるなか、警視庁の内外で見つめ合う矢部さんと会田、手帳を手に“もうちょっと頑張ろうかな”と思っているっぽい班長さん、そして夕焼けを背負って富士山へと車を走らせる会田が映ってドッカーン!で「完」マーク)

*冒頭の脱力ぶりからは想像もできなかった、女っ気まるでなし(あ、ジルがいたか)の硬派な展開にひたすら圧倒された。ジルを撃つところやラストの総括セリフは言うに及ばず、守君の死で30年の生き様を否定された形になった上、よきライバルであり、ある意味“理想(希望?)”であったかもしれない橘の辞表提出に、一種のアイデンティティ・クライシスを起こしかけたような会田の「班長さん、辞めないでくれ…」にはグッときた。

*ただ、有賀老人の大物らしからぬガードのゆるゆる加減(護衛どころか側近も北見しかいない)と会田ラブっぷり(それゆえ自滅)は、たいそうなことを考えていた“黒幕”にしては小粒感が漂っていたような。

*これが真の最終回でもよかったのに、3年後に第3シリーズ開始。結局、昭和も俺も終わってなかったんだよなあ…

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 09:57 PM | comments (x) | trackback (x) |
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