2007,09,12, Wednesday
「春風に泣いた血汐花」(1981年・S56・4月14日OA)
#1〜#3を見逃していた前回放映時、闇狩人メンバーがどういう絆でまとまっているのかが分からずもどかしい思いをしたのだが、どうも最初からうやむやではないのかという疑問が生じた。 隠密わんこ・火山が運んできた兼子様(尾上松禄)からの今回の指令は、市中を自分の足で見て回りたいという松平定信公(沖雅也)の警護。田沼の悪政を正すってんで仲間になったんだ、俺ァ定信なんざ知らねえぜ、と取り合わない安斉さん(山城新伍)と、私だって定信公なんか知らない、でも新さん(鳥居庄次郎あらため鳥飼新次郎:天知茂)のことは信じてるから協力するわ、と言う渚さん(坂口良子)&哲三(三浦浩一)が早速不穏な雰囲気。兼子様の言う打倒・田沼はすべて定信公のためであり、殿さま命の新さんも無論それに追随しているのだが、どうやら新さん、メンバーにはそこのところをはっきり説明していないらしい。ただ単に新さん自身がイイやつだからいっちょ一肌脱いでやるか、なボランティア仲間っぽいのだ闇狩人は(しかも「奥方になる人は自害しちゃって、お家は取り潰され、旦那(=新さん)には帰るところがねぇんですよ!(by 哲三)」と思いっきり同情されているリーダーってどうなんだろう)。 それはさておき、今回は最終話(#26)で重要な役割を果たすことになるおしのさん(松坂慶子)が登場。賄賂を嫌う心正しき米問屋の父は同業者に疎まれ、濡れ衣を着せられてスピード処刑。跡取りの弟・清太郎(佐藤仁哉)はしっかり者の姉に気後れしてか放蕩三昧、そこをつけ込まれてピンチに陥っている。 たまたま知り合った新さんとたいそう良い仲になっていたおしのさんはある日「刀の使い方を教えて下さい」と決死の表情で彼に頼み込む。身体を張って刀を教えた新さんだが、後日おしのさんがエイヤーと突きかかった相手はなんと定信公だった。「殿だけは斬らせるわけにはいかん。どうしてもというのなら、あなたを斬る…!」と新さん大慌てで愛しの殿をカバー。捕まった弟の命と引き換えに脅迫されていたおしのさんは、私いったいどうしたらいいんですかあと泣き崩れた(もっともだ)。 米問屋連中と勘定奉行が田沼ジュニア(原田大二郎)の意向によって米価釣り上げを画策、邪魔な定信とも懇意だったおしのさんの父を罠に嵌めたことが分かり(もっとも田沼ジュニアとの繋がりが見えないうちから「おのれ田沼め…!」と眉間を険しくしていた人が約1名いたが)、おしのさんが好みの顔だという理由だけで「俺も乗るぜ新の字」と安斉さんが加わって闇狩は実行された。 闇狩人の正体を知ったものは死なねばならない――メンバーはなあなあの関係なのにどこからそんな厳しい掟が飛び出してくるのか不明だが、図らずもメンバー全員と定信公の関係を知ってしまったおしのさんを成敗しようとする新さん、覚悟はできていますと眼を閉じた彼女に刀を振り上げる。 …血しぶきの代わりにハラハラと舞い落ちたのは、桜の花びら。「あなたはもう死人(しびと)だ」 粋なセリフと共におしのさんは救われた。いつか貴方がたのお仲間に…と言う彼女に、新さんは優しく頷くのだった。 *決め台詞「今の世の中真っ暗闇…その闇の世に刺す一条の光(キラン♪)…闇を、斬る!」初登場。どうしても「江戸の牙」の強烈なのと比べてしまうので地味さは否めない。 *「妻は死にました…私もその時死んだんです」そう言いながら嬉しそうにおしのさんに付き添って甘酒御馳走になってる新さん。そうですか死人だから何でもアリですか。
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2007,09,11, Tuesday
「桜が呼んだ死人(しびと)たち」(1981年・S56・4月7日OA)
白河藩主・松平定信公(沖雅也)の乳兄弟ながら、あくまで影の存在としてひっそりとわんこ(=甲斐犬)のお守に精を出している鳥居庄次郎(まだまっとうなサムライ姿の天知茂)。きょうも犬笛をぴろぴろ吹いてわんこの火山と戯れている庄次郎さんだが、私もあなたの犬になりたいワとじゃれ寄ってくる可愛いフィアンセ・千草さん(范文雀)がいたりなんかして結構幸せ。そんな様子を温かく見守る、千草さんのパパで白河藩公用人の兼子八郎左衛門様(尾上松禄)も嬉しそうだ。 時は田沼意次(三国連太郎)親子の全盛時代。清廉潔癖で上様の覚えもめでたい定信公が鼻についてきた田沼ジュニア・意知(原田大二郎)は、ダディのような老獪な余裕に欠けるため、さっさと定信公を亡きものにしようと画策。それを受けた大目付の牧野(早川純一)は、口入屋の坪辰(稲葉義男)に定信暗殺を命じた。 一方、編み笠姿で町をぶらついていた庄次郎さんは、南町奉行所の玄関でひとりの同心が身ぐるみ剥がれ髷を切られた挙句に鞭打たれている場面に遭遇、おまけに逆恨み連中に付けられているのを見てとり助力を申し出るのだが、彼・荒谷龍之介(後に安斉と改名:山城新伍)は余計なお世話だとつれない。しかし危ないところを救った縁で仲間意識が芽生えることに。 坪辰の息がかかった刺客が次々に定信公の周囲に現れては失敗。ある晩忍び込んできて風林(←定信公のお気に入りわんこで、火山の親)や火山に阻まれ庄次郎さんに捕えられた女・渚(坂口良子)は、武田忍びの末裔でありながら今は斜陽の身で坪辰に使われていた。お嬢さんを助けてほしい、と捨て身で躍り出た同じく忍びの哲三(三浦浩一)にほだされた庄次郎さんは彼女の縄を解き、坪辰殺しを請け負う。 安斉さんと合流し坪辰へ夜討をかける庄次郎さん一行。定信公暗殺の依頼人・牧野の姿を見て驚く庄次郎さんだが、鬼と化して牧野もろともぶったぎった。しかし追及の手が白河藩に及ぶことを危惧した兼子様は、乱心のうえ切腹したことに見せかけ、別人として裏街道を歩んでくれと庄次郎さんに懇願する。鳥居家は断絶、野垂れ死にだけがお前の道だと言われても心得たとばかりにニヤリと不敵に笑って承知する庄次郎さんだが、ふたりの会話を隣で聞いていた千草さんは何を先走ったのか「先に死人(しびと)になります…」と自刃。兼子様の介添えで虫の息の彼女と夫婦になった庄次郎さんは、亡骸に取りすがって涙にくれるのだった…。 *前回放映時は4話目から見たので、謎だった人間関係がこれで一挙に判明して何よりだった。が、打倒・田沼の動機が薄かった(攻撃は最大の防御、ってことでつまりは先にやっちまいますぜなノリみたいだし)のと、メンバー同士、特に庄次郎さんと安斉さんの行き当たりばったりな仲間関係は意外。 *さらに意外といえばラストの千草さん。最愛の人(=庄次郎さん)が死人にされちゃって結ばれないショックはあるかもしれないが、ほんとに死ぬわけじゃないんだから、何も自害するこたあないだろうに。いくらあの世で待ってても彼はだなあ…!(最終回を知っているだけにツッコミたくもなる)。 *偽名・鳥飼新次郎は兼子様の命名。安直なネーミングにも眉根のクレバスをぴくりとも動かさないシリアスな庄次郎さんだった。 *「今の世の中真っ暗闇よぉ」の決め台詞はまだ。「何者だ貴様!」と言われて「鬼だよ」と名乗っていた(他にもなんとなく江戸の牙チックなことを言っていたような)
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2007,07,27, Friday
「三ツ角段平」(1972年・S47・12月13日OA)
隈の半左親分(石山健二郎)の右腕代貸・三ツ角の段平(天知茂)は顔良し・腕良し・器量良しのくだけた男(のっけから笹の葉くわえてナマ足全開で舟こいでたり、縁日の喧嘩を丸く収めたりのくだけっぷりを披露)。彼がいるおかげで半左のライバル・鷹の茂十親分(天津敏)も迂闊に隈一家に喧嘩をふっかけられないでいた。しかし、半左親分が年甲斐もなく若い芸者の花吉(野川由美子)と所帯を持ちたいとゴネ出したことから、思わぬ亀裂が生じる。 親分のたっての頼みで花吉を身請けに行った段平に、おかみのお百(木暮実千代)は弱り顔。花吉には心に決めた相手がいて、先にあった茂十親分の誘いも断っているのだという。なさぬ仲の鷹一家には渡すまじと余計に勢い込む段平の前にその茂十が現われ、花吉は譲ってやる、ただし必ず半左の嫁にしろ、出来なかったら俺の言うことをなんでも聞けよとの奇妙な条件を提示した。無論そのつもりだと胸を張って承諾する段平だったが、実は花吉の想い人とは他でもない段平自身(だが本人はまるっきり無自覚)。それを知った茂十が、半左と段平の仲をこじれさせようと一芝居打ったのだった。 段平が半左との婚姻を勧めていると知ってショックを受けた花吉は、半左親分の執拗かつ強引な責めに逢い、とうとう想い人の名前を打ち明けてしまう。半左は嫉妬に燃え、何も知らない(知らなさすぎの)段平をウソの理由で数日間遠ざけてその間に花吉を手篭めにしてしまおうと画策。旅立つ直前にお百と茂十から真相を聞かされた段平だが、親分大事の彼は涙目の花吉を前にしながら何も言えずにその場を去る。 そして数日後、戻ってきた段平に、半左親分は「花吉はお前にくれてやる」と言って彼女の亡骸を指差した。花吉はほぼ片思いの段平への愛のために頑として半左を拒み続け、折檻の途中で死んでしまったのだ。これにはさすがの段平も堪忍袋の緒が切れたらしく、半左との親子の盃を割り、冷たくなった花吉をお姫様抱っこして家路に着いた。これで諍いが起こせると嬉々として手下を引き連れ迫ってきた茂十親分&手下たちを難なくやっつけ、隈一家に手を出すなとクギを刺した段平は、死化粧して横たわる花吉と祝言をあげ、いずこともなく去っていくのだった…。 *渡世人としては優等生だが女心に疎すぎる段平をいなせに好演。でも必要以上に型にはまりすぎているというか、見ていてどこかしらもどかしい不自然さも。1930年代に高田浩吉さん、はたまた片岡千恵蔵御大の主演で映画化されているので触手が動いたのかもしれないが、あまり似あう役柄ではないような気がする(でも本人は楽しそうだったからまあいいか)。 *脚本は宮川一郎さん。原作の結末を変えたのは、天っちゃんのキャラを生かしたかったが故なのだろうか(おかげで「正直者には福がある」的な話がとことん報われなくなっていたが)
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2007,06,17, Sunday
地獄の左門十手無頼帖2 将軍暗殺!(1983年・S58・1月21日OA)
またもや冒頭から盗っ人相手に華麗なる地獄の舞を披露してくれた南町与力・神山左門さま(十手は何のためにあるのでしょうか:天知茂)だが、帰宅途中に屈強な侍たちに拉致された。連れて行かれた先はラスボス、じゃなくて善人サイドの老中・阿部伊勢守(丹波哲郎)の館。金の力で幕府を食いモノにし始めた河内屋親子(幸田宗丸&岸田森)の増長を阻止するため、通り名通り地獄へ行ってくれと頼まれた左門さま、丹波さんを前にすると新東宝時代の習性でついパシってしまうのか二つ返事で承諾、“神山左門”の葬式を出して“武州無宿の左平次”に身をやつし、まずは伝馬町牢屋に潜入する。 身振り手振りはなり切っているが顔が顔だけに早速「おメェ、岡っ引きだろ!」と皆にヤキを入れられかけた左門さま=左平次に、三次という男(石橋蓮司)が助け舟を出してくれた。実はこの三次こそ、河内屋の抜け荷の証拠を掴むためにコンタクトを取ろうとしていた男。上手い具合に当の本人からアニキ~♪と相当に惚れられてしまった左門さま=左平次は、ムショを出たあと彼と妹・おぶん(佐藤万理)が住む長屋に身を寄せることにした。そこへ、ならず者(福本清三さん他)に追われていたナゾの女・おあき(あべ静江)まで転がり込んできて同居する羽目に。 三次に紹介してもらった“仕事場”には、荒くれ男たち(宮口二朗さんら天知ファミリー)が揃っていた。で、ここでも「左門の旦那じゃないですかあ」と超高速で正体がバレる左門さま=左平次(だからその顔が問題なんですってば)。見かねてフォローしてくれた、既に潜伏中の伊勢守の密偵はそのために身分が暴かれあっさり抹殺されたものの、河内屋の用心棒(元は大塩の残党)・倉沢(原田大二郎)らの疑惑をかろうじて晴らした左門さま=左平次は抜け荷の現場を突き止め伊勢守に報告。しかし急行した目付は倉沢に消され、イッてる河内屋ジュニア・仙之助(岸田さん)は証拠隠滅のために三次を含む人足たちを銃殺、小屋に火をつけて皆殺しにしてしまう。 虫の息で長屋へ辿り付いた三次は、おぶんに河内屋を頼るよう言い残して絶命。彼のおかげでようやく黒幕を断定できた左門さま=左平次は河内屋へ乗り込むが、墓暴きまでして疑っていた親子に捕らえられ、気分が良くなりなんでも自白してしまうという怪しげな薬をかがされピンチ到来。だがそこはダテに地獄を見ていない左門さま、あくまで左平次だとシラを切り通し、証拠の台帳までちゃっかり頂戴して伊勢守宅まで無事に逃げ帰った。 進退窮まった河内屋親子は将軍暗殺という大胆な策に打って出た。菩提寺参拝に来た上さまに毒入り茶を持ってきたのは、仙之助の命令で左門さま=左平次の身辺を探っていたおあき。だがいつしか左門さまと恋に落ちてしまった彼女の心は揺れていた。それを見越して天井から上さまを銃で狙う仙之助。さあどうするどうなる・・・! と、そこへ正装に戻って警備中の左門さまがダッシュしてきて上さまに冑(?)をぶん投げお茶を阻止、天井や地下からの攻撃を難なくかわして(上さまを放り投げたりもして)またもや地獄の舞を繰り広げ、暗殺を防いだ。しかし被弾したおあきは、左門さまの腕の中で静かに息を引き取るのだった・・・。 *潜入捜査、というより本来の自分を殺してまで左平次になりきった、気合MAXの左門さま。腰を落とした重厚な殺陣に加え、おあきさんとの絡みや麻薬でぼーっとなっているときの色っぽい表情などが見どころである。モチ肌露出度も高い。 *でもやはり左門さまは「大岡越前」のときのクールで落ち着いた風情が好きなんだよなあ。
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2007,05,20, Sunday
洋楽バンド・クイーンの初期の曲「Sheer Heart Attack」のPV(「Queen Rocks」収録)に、来日した際にスタッフ(かメンバー)が日本のTVから録画した映像が挿入されているのだが、そこに天知版の「雲霧…」らしきアイキャッチが紛れ込んでいる。
YouTubeに映像があったので、興味がおありの方はどうぞ(1:09あたりと、ラストにほんの少し): http://www.youtube.com/watch?v=oXc_z5x5oQY *この映像自体は90年代に、来日時に録画した映像の切り貼りで作られたもの。クイーンの来日は1985年が最後なので、時期的に山崎版ではありえない・・・が、もしかしたら映画版(をTV放映したときのもの)かも? *ちなみに別番組っぽいが、他の映像のちょんまげ姿の伊吹吾郎さんはくっきり分かる *どうでもいいが、バンド内で個人的イチオシのベーシストの画面に映る時間が「雲霧」アイキャッチ並みなのがちと寂しいPVではある (2009.11.13追記)やっぱり天知版「雲霧…」のアイキャッチだった(初回レビュー参照)
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2007,04,22, Sunday
「死斗・男たちの挽歌」(1980年・S55・3月25日OA)
――若年寄・岩倉忠敬(平田昭彦)の手によって正体を暴かれた江戸の牙にかつてない危機が!(↑まさにそのまんまの展開なので予告編引用) 金の力で老中に成り上がろうとする岩倉は、異を唱える軍兵衛さまが邪魔。そこでさしたる証拠もなく、今評判の「江戸の牙」の黒幕が彼で、実行犯は本所方だあ!とでっち上げた。しかしそれがズバッと大当たりだったせいでメンバー全員大弱り。 岩倉の動きを見越して、新米同心ズだけは南町へと栄転させておいた軍兵衛さまだが、剣さん・半さん(坂上二郎)・兵さん(藤村俊二)は徒(=かち)目付に捕らえられてしまう。だが伝さん(若林豪)が槍やらバズーカやら白装束やらを囲炉裏の下に隠してから捕まったので、岩倉の腹心・檜垣(山本麟一)ら徒目付は証拠を見つけることができない。 それぞれ別部屋に囚われる4人。DVDのあらすじには「江戸の牙には過酷な拷問が加えられる」なんて文言も入っていたので「つ、剣さんがあんなことやこんなことに・・・?」と、何かこう美女シリーズっぽいものを想像してドキドキしたが、一番頑丈そうな伝さんがスタンダードな“竹刀でビシバシ”を一手に引き受けてくれて後のメンバーは無傷だった。そして次は兵さん、というところで脱獄を決行(このシーンの剣さんは珍しいことにものすごく焦っており、自分は何もせず他のメンバーを急かしまくっている)、難を逃れていた志乃さん(白都真理)の助力を得て、蟄居を命ぜられている軍兵衛さま宅から軍兵衛さまと雪さん(竹下景子)を救い出した。 面目丸つぶれの岩倉はニセ江戸の牙を暗躍させ、軍兵衛さまの朋輩・秋月(幸田宗丸)を殺害したり、罪の無い町人たちを襲うという作戦に出た。すっかり評判が地に落ちてしまった江戸の牙。一同を集めて先の台詞を口にする軍兵衛さまに対し、それは岩倉を殺ってからだ、それまで命はお預けしますと反論する4人だが、軍兵衛さまはダメだと言う。なぜならそれは「ワシも行く」からだった・・・! 父の身を案じる一方で「これを剣さまへ」と大事なお守りをことづてた雪さん(ワシにはないのか←軍兵衛さまの心の声)は、先に志乃さんと江戸を脱出。牙たちはツートップで岩倉邸へと歩みを進めるのだが、既に牙対策を練っていた岩倉の槍攻撃やら無差別鉄砲攻撃でかなりピンチに。しかしあわやというところで、一緒に来たはずなのになぜか姿が見えなかった軍兵衛さまが颯爽と現われ、形勢逆転。第1話の岸田森さんを髣髴させる往生際の平田さん(=岩倉)を地獄に送ったメンバーは、哀愁を帯びたムード歌謡(「過去」)をBGMに、いづこともなく去ってゆくのだった…。 *戦隊モノの最終回っぽく(?)予定調和で華麗に大団円。とはいえ、普通は先にニセ牙を出して本物をおびき寄せ捕縛、というのが王道パターンだと思うのだが、最初に理由もなく捕まって(でも実際は理由オオアリなので)なんだか話がムダに込み入っていたような気もした。
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| TVドラマ(時代劇)::江戸の牙 | 10:43 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,04,22, Sunday
Part2(DVD-BOX2下巻)には、#1「炎上!赤馬を斬れ」など計8本を担当したメイン監督、池広一夫氏(映画では「女妖剣」「悪女狩り」などの眠狂四郎シリーズや若親分シリーズ等で有名)のインタビューが収録されている。
まず『天知さんの思い出』として、とにかく真面目で、そのくせお酒が飲めないのに照れない人だったと、明智シリーズを例に挙げてエンターテインメントに徹していた姿を強調しておられた。後にシリーズを担当したが(北大路版第1作「妖しいメロディの美女」)「あれは照れるとダメだね」とのこと。 ただ、天っちゃんは真面目すぎて面白味が無いので、周りでもって弾ませて作ったのだとか。家に呼ばれる機会があったものの、相手が飲めないのに行ってもねえ、とお酒好きらしいコメントも。彼は自分が飲めないのに人を集めて、映画や芝居の話をするのが好きだったそうである。 他のメンバーでは、(若林)豪ちゃんも真面目で、天っちゃんといろいろと張り合っていたこと、特に殺陣師が天っちゃん御用達の人(安川勝人さん)だったのが豪さん的にはちょっと気に入らなくて、立ち回りの区別にうるさかったことを語っておられた(あと額の横スジを気にする余り、後家人鬘ではなくムシリになったということも)。 殺陣に関しては、監督自身は二刀流は型になっちゃうので好きじゃないんだけど天っちゃんがやりたがった、でも殺陣はショウタイムだと思っていたので、キザな立ち回りでも許容したのだそうである。 *坂上二郎さんは結構デリケートで、おひょいさん(藤村俊二さん)と張り合っていたらしいけれど、チームワークは良かったとのこと。 *新米同心ズでは、京本政樹が若いくせに走るのが遅かったり男っぽくなかったりで一番ダメだと思ってたそうな。 *Part1(DVD-BOX1下巻)の松尾監督同様、池広監督も「非情のライセンス」第3シリーズで2本監督を請け負っている。
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2007,04,16, Monday
「瓦版・醜聞を追え!」(1980年・S55・3月18日OA)
これをモノにできれば瓦版の売り上げ倍増まちがいなし、といわれる最近のネタは“菊と刀”ならぬ(むろん“菊とバット”でもなく)“菊と牙”。菊は人気女形の菊之丞(大出俊)、牙はもちろん江戸の牙である。 ゴシップをダシにして金を揺する悪名高い瓦版書きの寺岡祥風(青木義朗)は、このふたつを執拗に追いかけていた。茶店で偶然会った際、彼の日頃のアコギな振る舞いを軽くいなした剣さん(天知茂)に対し、祥風は「俺がほんとに書きたいのは江戸の牙ですよ、義賊だ世直しだと騒がれているが、しょせん奴等はただの人殺しだ。意地にかけても正体を暴いてみせるぜ!」とふてぶてしく言ってのける。それに少なからずムカッときたらしい剣さんは「果たして、おめぇさんに出来るかな…?」と思わず宣戦布告、かえって祥風の探索範囲を絞る結果に。 またタイミングの悪い(良い?)ことに本所界隈にいた雪さん(竹下景子)を発見した祥風は、彼女の父、大番頭・朝比奈軍兵衛(三船敏郎←今回も不在)と本所方(=剣さん)の関係にピンとくる。だが、祥風一味に詰め寄られピンチの雪さんを「どこのお嬢さんか知らないが早くお行きなさい」と白々しく庇って雑魚を釣り具で(文字通り)釣り上げた剣さんは祥風に言い放った。「江戸の牙がただの人殺しなら、おめえさんたちはただのゴロツキだ。本所方をなめるんじゃねえぜ! 俺の獲物はな、もっとでけえものだ。・・・江戸の牙よ。」この壮大な変化球攻撃に、さすがの祥風も言葉がない(しかし結局、朝比奈との“祖父の代からの主従筋”を調べられては撹乱にすらなっていないと思うのだが)。 一方、菊之丞の方は、かつての刃傷沙汰を掘り返され、当時その場にいた芸者で、今は呉服問屋の内儀に収まっているおせい(二宮さよ子)との関係をスキャンダラスに書き立てられて休業を余儀なくされていた。おまけにおせいに金をせびった祥風は、二百両を持ってきた彼女を力づくで犯す。 翌日、おせいは冷たい骸となって川に浮かんでいた。当時の刃傷事件を担当し、菊之丞とおせいの身を案じていた半さん(坂上二郎)の怒りは爆発。「俺と半さんで十分だ」という剣さんと共に、ふたりだけで祥風の元へと乗り込むのだった。 短筒で対抗する祥風だったが、あっさり半さんの槍でかわされ、瓦版舞い散る中で斬られ地に伏した。「俺は書けなかったが、てめえらの正体は必ずばれるときがくる・・・」そう捨て台詞を吐きながら。 *・・・で、最終回に突入するという訳だ。 *普段着を脱ぐと白装束(袴ナシ)。 *祥風のネタ控えによれば、剣さんの父上の名前は「精太郎」。 *「わたくしはもう、剣さまと会わぬほうがよいのでしょうか・・・」切ない恋心を露わにして去ってゆく雪さんの背中を、じっとみつめる剣さん。ポーカーフェイスすぎて心情がわかりません。
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2007,04,14, Saturday
「栄光 なにするものぞ」(1980年・S55・3月11日OA)
油問屋の赤城屋(内田稔)に拾われ養子になった弥一郎(佐藤仁哉)は、エリート出世コースの登竜門である昌平坂学問所のナンバー2の秀才。ある日トップの学生・美濃部が辻斬りに遭い命を落としたことから、ナンバー1に躍り出た。 弥一郎には恋仲のお美津(三浦リカ)がいるのだが、お美津の父・同じく油問屋の近江屋(加賀邦男)は、ウチと赤城屋とは格が違う、あんな男と付き合うな、と猛反対していた。しかし赤城屋の姦計により、近江屋は不正疑惑でしょっぴかれ拷問死、弥一郎は養父とつるんでいる勘定吟味役・横森(田口計)の養女との婚約を強引に迫られ、お美津に会うことも叶わなくなる。 弥一郎が婿入りすると知り、河原で自害しようとするお美津。そこへ赤城屋の雇ったごろつきが現われて弄ばれそうになるが、近江屋の件を調べるために小田原へ行っていたはずの剣さん(天知茂)がナイスなタイミングで登場、事なきを得た。 だが赤城屋は弥一郎に「お美津は死んだ」と告げ、ナンバー1のハクを付けて婿入りさせてやるんだ有り難く思えと祝言の日取りをさっさと決めてくる。近江屋の獄死、そして美濃部の横死が赤城屋の仕業であること、しかも新妻・お万(関根世津子)が養父である横森の夜伽をさせられていたことを知った弥一郎は、養父と横森に刃を向けた・・・。 と、別に牙メンバーがいなくても話がさくさく進んでいくのだが、美濃部殺害の現場に居合わせて口封じのために殺された学生がたまたま新米同心ズの友達、それからお美津が志乃さんの知り合いだった、という伏線があるので、あわや返り討ちに遭いかけた弥一郎は志乃さんに助けられ(最近アクションづいてる志乃さんだ)、まさに鬼畜な悪党コンビはさっくり地獄へと送られておしまい。 *戦闘中、剣さんの“すちゃちゃちゃ納刀”の真似をして、納刀せずに後ろの敵を刺しちゃってウケてる兵さん(藤村俊二)が可笑しかった。 *ラスボスが死ぬ間際に油倉庫の蝋燭を落っことし、地面に流れた油に火が付いちゃってかなりやばい状況になっていたのだが、いつもながら悠長かつ華麗に納刀する剣さんの落ち着きぶりはさすがというべきか(いや少しは焦ったほうがいいんじゃないかと)
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2007,04,14, Saturday
「冥土の便り」(1966年・S41年・12月14日OA)
午(うま)の日、越後屋の愛妻が自害した。平次(大川橋蔵)の調べでは死因に不審な点は見当たらなかったが、涙に暮れる越後屋の元へ複数の字を切り貼りした奇妙な手紙が届く。思い知ったかざまあみろ、めいどより(内容は誇張)と書かれたその手紙を届けにきたのは、眼光するどい素浪人・田波和之助(天知茂)。手紙は女に預かっただけだ、丸顔で面長の(←ありえない)、などと風貌に輪をかけて胡散臭いことを言ってのける田波を、もちろん平次は怪しい奴として完全マーク。 次の午の日。上州屋の娘が、参拝に出かけたお稲荷さんの狐石と鳥居の下敷きになり死亡。これも事故死と思われたが、平次は先の越後屋の件と関わりがあると睨んだ。またそれを見越したかのように田波が現われ、お前には命をかけて愛する者がいるか、その者が殺されたらどうする、などと深い問答をふっかけて怪しさを倍増させる。そして再び表れる切り貼り手紙。寺子屋も開いていて(だから複数の字の切り貼りも余裕で可能)どこから見ても容疑者然とした田波は、それでも悪びれる様子はない。 調べを進めた平次は、田波には江戸詰め時代に清香という名の恋仲の芸者がおり、その彼女が1年前の午の日、舟遊び中に溺死したことを知る。同舟していた3人の男が戯れに船を揺らしたせいで清香が落ちたのだと、当時の船頭は証言した。その3人のうち2人が先の越後屋、上州屋だったことまで掴んだ平次は、最後のひとり・武蔵屋に直行、愛娘の身辺の警護を強化する。 また午の日がやってきた。池に落ちた石は掬えるが、それが砂ならばどうする、お前たち(=お上)には掬えまい、とまた濃密な問答を繰り広げつつ、ちゃっかり平次を土蔵に閉じ込めて武蔵屋に向かった田波だったが、思いいれたっぷりに歩みを進めていたためか、抜け出した平次に先回りされ襲撃は未遂、投げ銭をかわして遁走する羽目に。 そしてまた次の午の日。お札参りに出かけた武蔵屋の娘を今度こそ襲った田波。越後屋の妻は心理戦で自害に追い込み、上州屋の娘は朽ちた鳥居を上手く利用し事故死に見せかけた知能犯のはずの彼、なぜか彼女にだけはストレートに辻斬りを敢行するのだが、お品さん(宮園純子)の投げ縄と平次の連続投げ銭に阻まれた。俺が(お上の)犬ならお前は化け物だ、愛する(した)者の霊を傷つけているだけじゃないか! 平次の叫びに、問答好きの田波の手がはたと止まる。「あいつ(=清香)は喜ばないというのか…」虚ろな目で背を向けた田波は腹に刀を突き刺し、愛しい女の名を口にしながら川へ飛び込むのだった…。 *平次VS田波の濃厚なやりとりが続く脚本は、天っちゃん御用達の宮川一郎氏。不必要に(いやファンにとっては必要だが)アップが多いカメラワークも嬉しい。 *復讐に燃える男というよりは、愛する女の死霊に憑りつかれたかのような、どこか精神的な危うささえ漂わせる男・田波。伊右衛門@四谷怪談といい、同時期(66年11月公開)の愛染@無頼剣といい、ステロタイプではない悪を演じさせると絶品だなと思う。 *「冥土」とつくと死亡するわけだな<#339「冥土の土産」参照(#284「白い粉」は死んでないので)
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| TVドラマ(時代劇)::銭形平次 | 12:29 AM | comments (x) | trackback (x) | |