2007,04,10, Tuesday
「笑って泣いて 長屋の恋の物語」(1980年・S55・3月4日OA)
お咲さん(山村葉子)の小料理屋で一杯やってる剣さん(天知茂)の背後で、眼帯の用心棒・鬼丸(八名信夫)が気の弱そうな若者・伊之(永井秀和)に何か良からぬことを強要していた(この段階で剣さんがもっと彼等の話を真剣に盗み聞きしていればこの後の惨劇は防げたのではないか、というツッコミはなしとしよう)。 そしてその夜。番頭・伊之の手引きによって西海屋に強盗が押し入り、一家を斬殺したうえ放火。殺すなんて約束が違うと鬼丸を詰った伊之は一味に監禁されてしまった。一方、伊之と夫婦になって西海屋を継ぐ予定だった女中頭・およね(瞳順子)は殺しの一部始終を目撃し辛くも逃げのびたのだが、恋しい伊之も死んだと思い入水しかける。 と、それを助けたのが本所方御用達の八百屋・一心太助ならぬ佐助(なべおさみ)。気はいいが慌て者の佐助はおよねを長屋に連れ帰り何くれとなく世話を焼き、すっかり夫婦気分。町で鬼丸に追われるおよねを助けた剣さんが本所方へ誘うも、佐助の過剰な親切ぶりで気が晴れるらしいおよねちゃんは長屋に腰を落ち着けた。 彼女のために強くなりたいと願った佐助は道場へヤットウを習いに行くが、実はそこは当の鬼丸たちのアジトだった。偶然にも隠し部屋に監禁されている伊之を発見、それがおよねちゃんのイイ人だと知らずにいつもの親切心から連れ帰ったことで、晴れて恋人たちは涙の再会を果たす。だが伊之を逃がしたことが鬼丸たちにバレ、身も心もズタズタにされる佐助(でも死なない)。 西海屋襲撃は、ライバルの南蛮屋(外山高士)が長崎奉行の大草(大ボス:早川雄三)とつるんで画策したものだと判明。西海屋跡地にちゃっかり店を建てた南蛮屋の祝いの席に、寒参りの太鼓と共に、ゆらゆらゆれる南無妙法蓮華経の文字が現われた…。 *皆で南無妙法蓮華経を見せながら後ろ向きで口上。最近凝ってるなあ。(でも内容自体は“魚河岸の政”のマイルド・バージョンといった感じで少々ぬるい)。
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2007,04,08, Sunday
「女郎蜘蛛が泣いた」(1980年・S55・2月26日OA)
剣さん(天知茂)にホの字の蕎麦屋「白菊」の色白女将・おきく(村松英子)は、かつて世間を賑わせた義賊・土蜘蛛一味の頭目の養女で、“女郎蜘蛛”と呼ばれた凄腕の錠前破り。頭目が部下の裏切りで憤死した際、弟の佐吉(下塚誠)と共に泥棒稼業から足を洗っていたのだが、当の裏切り者・竜次(片桐竜次)がニュー土蜘蛛一味を率いて悪逆の限りを尽くしているのを知った佐吉が彼を糾弾するも逆に捕らえられ、おきくは弟の命と引き換えに盗みを強要される羽目に陥ってしまった。 「俺は“女郎蜘蛛”を見付けたら斬らなくちゃならねえんだ。俺はそんなことはしたくねえ。…分かってくれるな」おきくの正体、そして苦境を知った剣さんは、彼女を制して単身で土蜘蛛一味のアジトへ乗り込む。が、佐吉を助けた後で落とし穴に落とされあろうことか気絶。しかも逃したはずの佐吉はすぐに捕まってしまい、結局おきくは寺社奉行の屋敷へ忍び込むことに。 彼女が将軍家拝領の壺を盗んでいる最中、剣さんはいつのまにか二本差しを取られ念入りに縛りあげられた揚句、えらく大掛かりな時限爆破装置まで備えられて大ピンチ。しかしそこは誰あろう剣さん、機転を効かせまくって脱出すると、おきくと竜次の取引場所へとダッシュする。 だが時既に遅く、壺をゲットした竜次一味に佐吉は斬られ重傷、おきくも凶刃に倒れていた。竜次を叩き斬った剣さんは「旦那にだけは見せたくなかった…」そう呟いて胸の中で動かなくなったおきくの肩の女郎蜘蛛の刺青を、そっと隠してやるのだった。 そして江戸の牙は、竜次たちを動かしていた寺社奉行職を狙う白木(川辺久造)と火盗改めをまとめて成敗。生き残った佐吉の幸せな生活を確認し、剣さんは朝の散歩(=エンディング)へと向かった。 *潔いほどネタバレしていた最初の頃と違って、近ごろの予告編は少しは危機感を抱かせてくれる作りになっている(今回でいえば、殺陣の場面で剣さんの姿を映していないとか)。少しだが。 *明智センセイ並の脱出力の剣さん。もうすこし味方を頼ってもいいんじゃないのか。 *出陣部屋に竜の屏風。剣さんの睨みと併せて怒りMAXな様子がよく表れていた。 *「何者だ」と問われニヤリと笑う剣さんの背後からひょいひょい出てくる3人。ああ戦隊チック(というより身長・体格差を考えると特撮チックというべきか)。
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2007,04,07, Saturday
「生か死!? 暁の脱出作戦」(1980年・S55・2月19日OA)
何かの所用で外泊した帰り道、風邪を引いてリタイヤした兵さん(藤村俊二)を置いて独り本所へと足を進める半さん(坂上二郎)は、途中の板橋宿・亀屋で一夜を明かすことにした。 宿の客は、駆け落ちしてきたお嬢さんと手代、大金を店からパクッってきたような番頭風情、島帰りの胡散臭げな男、疲労の色濃い鳥追い女、そして眼光鋭い怪しい浪人5人組。自分たちを使い捨てにした藩への復讐のため、国許から送られてくる千両箱を襲撃しようと準備している浪人グループは、たまたま宿の女将(榊ひろみ)とその娘(斉藤浩子)にライフルを見られてしまったため、宿の客を一人残らず自室に監禁する。 それぞれ訳ありなメンツだけに、どろどろした人間模様が繰り広げられる狭い部屋。金をやるから逃がしてくれと懇願した番頭風情、撃ってみやがれ撃てねえだろといきがったシマ帰りが続けて斬殺。浪人のリーダー(上野山功一)がキレ者で、半さんも迂闊に身動きがとれない。 一方、残りの本所方メンバーは、小料理屋でお咲(=武田の咲良子姫:山村葉子)の誕生日を祝ってのんびり一杯やっていた。しかし半さん達がなかなか帰ってこないことで夜も眠れない心配症(部下思い)の剣さん(天知茂)、伝さん(若林豪)、志乃さん(白都真理)はそろって板橋宿へと向かい、事の真相を知るや反撃の準備を開始するのだった。 *兵さん抜きでの戦闘(おひょいさん怪我でもしてたのか?)。しかし半さん、旅に出てたのにそのいつもの白装束はどこで用意したんだ! ←お約束、お約束 *鳥追いルックで板橋宿に行った志乃さんが、次のシーンでは普通の町娘スタイルになってたのも謎だ ←だからお約束 *やけに気のない(棒読みの)「江戸の牙参上」も気になった<剣さんの口上
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2007,04,04, Wednesday
「悲愁 錦絵の女たち」(1980年・S55・2月12日OA)
錦絵に描かれた美女たちが次々にかどわかされる中、女を物色して歩く隻腕の浪人が出没。長崎から来た彼、坂田源三郎(亀石征一郎)は伝さんのかつての試合相手で、2年前に離れ離れになった恋仲のお藤(三浦真弓)を捜していた。お藤に横恋慕した与力の大崎(宮口二郎)が、彼女の父のライバルである肥前屋(小林重四郎)と結託し、父を罠にかけ斬首、逃げる坂田とお藤を追いかけ、坂田を銃で撃った揚句にお藤を連れ去ったのだ。 往来でお藤と瓜二つのお島(三浦真弓:二役)という水茶屋の女に出会った坂田は驚愕する。さらに、美女拉致事件の現場にも彼女の姿が。果たしてお島の正体は? 美女たちはどこへ? 江戸に来ている肥前屋、大崎の背後に控える小笠原肥後守(ラスボス:北原義郎)のもとへ潜入した志乃さんの運命やいかに? …とまあ久々のサスペンス時代劇スタイル。明智センセイばりの情報収集力で唐突な真相を明かしてくれる剣さん(素手で乱闘した以外はたいして見せ場もなかった天知茂)に、ここは素直に驚こう。 *いつのまにか小料理屋を開いている武田の咲良子姫=お咲さん(#14「秘境 女軍団逆襲す」参照:山村葉子)。なんでも剣さんの尽力があったのだとか。アフターケアも万全ですな>剣さん *志乃さんが不在だったため、とうとう新米同心コンビが十手が乗った三方を発見してしまう。が、それについてのアフターケアは一切なしでエンディングへ。微妙にガードの甘さを露呈させているのは最終話への布石か(あと6話だし)。
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2007,04,02, Monday
「渡る世間の鬼を斬る」(1980年・S55・1月29日OA)
金策のため賭場を開いてアコギな取立てをする御家人が横行し、同じく賭場の稼ぎを収入源としている岡っ引きの茂十親分(深江幸喜)は大迷惑。茂十の下っぴきでとにかく親分命の幼馴染コンビ、才助(北條清嗣)と与吉(伊藤敏孝)は、自分たちの判断で御家人・三沢(北町嘉朗)宅へと押し入り金を盗もうとした。が、与吉が命を落とした揚句、余計なことをしやがって!と才助は親分に大目玉を食らう羽目に。 与吉の妹・おせき(秋谷陽子)は、剣さん(天知茂)と結託して才助に足を洗わせようとするのだが、茂十親分みたいなビッグな男になるんだと頑固に言い張る才助は聞く耳を持たない。やがて与吉を殺した三沢の用心棒・梶原(中原博久)が茂十の子分達に斬殺され、三沢VS茂十グループの抗争は激しさを増してくる。なぶり殺しに遭う梶原を助けるでなく黙って見ていた剣さんは新米同心コンビから臆病者呼ばわりされるが、ちゃっかり浪人姿に扮すると三沢に近づき、梶原殺しをタレ込んで用心棒に収まった。 騒ぎが大きくなると立場上困る三沢は茂十に手打ちを持ちかけ、賭場へ押し入った子分の三つの首を差し出せと要求。実は才助&与吉が忍び込んだ夜、三沢宅に借金のカタでとじ込められていた娘たちを半さん(坂上二郎)と伝さん(若林豪)の二人が救っていたのだ。後の二人(=半さん&伝さん)のことは知らんがとりあえず才助はお渡ししやすぜ、とあっさり自分を引き渡そうとする親分に、ようやく才助の目も覚めた。そしてあわやという瞬間、どこからか(って本所方から)江戸の牙が現われ、タチの悪い腫れ物の膿をまとめて掻き出した(←汚い喩えby 剣さん) 後日。変わり身が早いというか意外と楽天家だった才助がおせきちゃんと縁日で傘売りをする様子を、剣さんはにこやかに見つめるのだった。 *天っちゃん的には『なんで俺じゃないの?』とそれなりに気にしていたに違いない(推定)オープニングの立ち回りがようやく剣さんバージョンに。・・・とはいえ、少々もっさり気味というか、いつものラストの殺陣の方が数倍カッコいいような気がする。 *前回で北町奉行所をかき回したあとではえらく小粒な敵だった。親分といっても岡っ引きだし、御家人役は天知ファミリーの番頭格・北町さんだし。 *伝さんの三枚目キャラ復活。 *梶原役の中原博久さん(←EDクレジットによる)、どう見ても顔は中田博久さんに見えるのだが・・・。
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2007,04,02, Monday
「恐怖の人間狩り」(1980年・S55・2月5日OA)
鉄砲組組頭・織部(伊達三郎)の屋敷側の幕府御用地には薬草が生えていて、それをこっそり採りにいった町人達が戻ってこないという噂が広まっていた。そんな折、長屋住まいのおみよちゃん(仁和令子)の父親が、やはり薬草を採りに行き射殺体で発見される。御用地へ不法侵入したかどで八丁堀は罪人扱い。もしもの時にはワシがかつて世話になった剣さん(天知茂)を頼るのじゃ、とおとっつぁんに言われていたおみよちゃんは必死の思いで本所方を訪ねるが、当の剣さんは話だけきいてプイといなくなってしまう。 またしても新米同心ズから冷たい目で見られる剣さんだが、実はもうシマ帰りの遊び人に扮して織部の屋敷に潜入する算段を立てていた。中間部屋へ入り込んだ精吉っつぁん(=剣さん)は、織部が廻船問屋・西海屋(武藤英司)とつるみ、若年寄の妾の子・辰之助(荒谷公之)を利用してなにやらよからぬことを実行中であることを掴む。 町人に化けた兵さん(藤村俊二)が囮として御用地へ入ったところ、早速捕まって射撃場へと連行された。妾腹の子という境遇ゆえか歪んだ人格を持つに至った辰之助はガンマニアで、町人たちを狙撃のターゲットにしていたのである。的にされかけた兵さんの窮地を、剣さんは銭形平次ばりの投擲で救った。 一方、つれない剣さんを追い求めて過労で倒れたり口封じのため狙われたり散々なおみよちゃん(最初の段階で「心配するな」くらい言ってやるべきじゃなかったのか>剣さん)。彼女のイイ人、和吉(菅野直行)までも西海屋の手下に捕まり拷問の憂き目に。和吉を救うために自ら飛んで火に入り、恋人ともどもあわや辰之助の餌食になりかけたおみよちゃんを助けにきたのは、なんと志乃さん(白都真理)だった。←実に珍しいアクションシーンあり 志乃さんに二人の救出を任せた江戸の牙たちは織部の屋敷を急襲、ガンマニアな若殿もなんのその、全員をさくっと地獄へ送った。 *前回から挿入された剣さんのオープニング殺陣がプチ・リニューアルしていた(ちゃんと納刀まであって、スピーディーに)。天っちゃんのコダワリを垣間見た気が。 *囮になることを決意した兵さん、「俺はやるよ」と半さんの前で剣さんのすちゃちゃちゃ納刀をマネ。 *戦闘中に何かぽとっと落としませんでしたか剣さん。
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2007,03,30, Friday
「見習同心・純 白夜に死す」(1980年・S55・1月22日OA)
*以下ネタバレ失礼・・・というよりそもそもタイトルが直球なのでまあ良いかと 平然と賄賂を貰い女を買い漁る北町奉行所の同心たち。吟味与力の矢崎(西沢利明)の仲間達、名づけて矢崎軍団が、街のフィクサー、浮芥定浚請負(=うきあくたじょうざらえうけおい:ゴミ清掃請負)の玄蔵(須賀不二男)一家とツルんでやりたい放題の有り様なのだが、そんな中、若手同心・速水(西田健)だけは職務熱心で正義感に溢れていた。彼のキレる仕事ぶりを目にした剣さん(天知茂)も満足げだ。 とある長屋では、お栄(松岡由利子)という女が亭主・定吉(高田直久)の借金のカタに玄蔵一家に連れて行かれそうになっていた。そこを救った剣さんは一味をボコボコにし、どぶさらいと嘲る北町同心・平林(=矢崎の腹心:大林丈史)に「どぶさらいでも本所方与力だ、てめえたち同心風情と格が違うんだ!」と吼え、珍しく体温が高くなっているところで久々に雪さん(竹下景子)と再会。彼女の切ない乙女心をふんわりかわしつつ朝比奈宅へ向かい、これまた久々の軍兵衛(三船敏郎)に奉行の首が飛んでも構わんとのお墨付きを貰うと、北町奉行所内の大掛かりな腐敗組織壊滅へと捜査を開始する(この時点で剣さんたちはまだ矢崎が黒幕だとは分かっていない)。 一方、剣さんに救われたはずのお栄だが、自分を売った亭主の元へは戻れずにいたところを玄蔵一家に見つかり、抵抗されてカッとなった手下・銀次(市村昌治)に殺されてしまった。死体を運ぶ本所方の見習同心ズのところへ速水が登場、道場の後輩だという純(京本政樹)は彼にくっついていく。 そのころようやく黒幕が矢崎であること、腐れ同心たちが総勢20名もいることを突き止めた剣さんは、相手が同業だけに再び軍兵衛に一応お伺いを立てる。「そやつらを独り残さず斬れ」とまたしても豪快な言葉をもらって不敵に頷く剣さんを、障子の影で雪さんは心配そうに見つめていた。そんな娘の恋心を知ってか知らずか、「今の世の中には、あのような男が必要なのだ。出世を望まず、妻も娶らず、命を惜しまず、天下の腐敗と闘う男が・・・」と軽くジャブを繰り出す軍兵衛サマ。 速水は張り切って下手人の銀次を突き止めたものの、矢崎は銀次の代わりに亭主の定吉を捕縛、激しい拷問の末に偽りの自白を導き出す。剣さんの忠告もあって今まで我慢していたが、あまりに汚いやり口にとうとうキレた速水は、矢崎たちの不正を奉行に訴えることを決意。しかし「あんた虫けらだー!」と矢崎を指差して詰るという過剰な正義感ぶりの故に矢崎にバッサリ斬られ、たまたまそこに居合わせた純も刃の犠牲に。 キレ者だけに速水は「江戸の牙」(このネーミング、瓦版にも載ってなかったのに周知なのはビックリだ←それは言うな)の正体に気づいていた。死ぬ間際に剣さんの正体を打ち明けられた純は、瀕死の身体を引きずって本所方へ戻る。駆け寄る面々に囲まれて、どうしてもここで死にたかった、私が間違っていた、本所方の本当の…ときわどいことを全員の前で言いかけて息を引き取った純。 悲しみと怒りで眉根の皺がMAXとなった剣さんら牙メンバーは玄蔵を拉致、矢崎に取引を持ちかける。明け方、全員が戦闘状態で集う矢崎軍団。そこへ与力同心の正装で彼らは現われた。同業のよしみで見逃してやる、そううそぶく矢崎に「同業だと?ふざけるんじゃねえ!よおく見ろぃ、今日の俺たちにゃ十手はねえぜ!」と叫ぶと羽織袴をばっと脱ぎ捨て、梵字入り白装束だけ(数珠たすき無し)となった剣さん以下江戸の牙たちは、腐れ軍団を壊滅させたのだった。 *オープニングに現代の警察機構との比較映像がなくなり、江戸一色に(「御用、御用」なシーンが挿入された)。ちなみにまだ殺陣はそのまま。 *「いいよなあ速水さん。それに比べてうちの中年同心は・・・」と愚痴るゲンとサブに、「あのひとたちの本当の姿を知らないから(そんなことがいえるのよ)・・・!」といつになく強い口調で志乃さんがきわどい発言。でもこいつらほんと疎いからなあ。 *白一色の江戸の牙。カッコいいことは確かなのだが、いつもの下半身のモコモコが無いからか、なんだか下着で(あるいは温泉の浴衣で)闘っているような恥ずかしさも憶えた。それにしても袴をどうやってばっと脱いだんだ剣さん!(さては明智センセイ仕様か?) *おまけに剣さん、よく見たら一本目の納刀、鞘に収まってなかったような(わあ見ちゃいかん見ちゃいかん!)
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2007,03,29, Thursday
「慕情 嵐を呼ぶ地獄船」(1980年・S55・1月15日OA)
伝さんの刀はなぜ普段は竹光なのか、その真相が判明する回。 嫁入り直前にかどわかされた呉服商の娘の亡骸が川に浮かんだ。通りがかった伝さんは、ギャラリーの中のひとりの女・お銀(田島令子)を見て顔色を変える。下駄の鼻緒切れという絶好のチャンスで近づき言葉を交わして以来、彼の心は彼女でいっぱい。心配する剣さん(天知茂)にも「幽霊に出くわしちまった・・・」と呟くだけで多くは語らない。 一方、妙齢の大店の娘が行方不明になる事件が周期的に起こっており、いづれも拉致前に同じ女に髪を結ってもらっていたことが分かる。その髪結いこそ、目下伝さんがホの字のお銀。娘たちを外国へ売り飛ばしている平戸屋夫婦(近藤宏・新井麗子)に拾われた彼女は、彼らの言いなりで手引きを担当していたのだ。 彼女の始末は俺に任せてくれと単身でお銀をそれとなくストーキングしていた伝さんは、秘密を知られちゃ敵わんと平戸屋が放ったならず者たちに(罠と知っていたらしいが)襲われた。竹光でもめっぽう強い彼だが、お銀を人質に捕られると抵抗できなくなり、なすがまま。 そのころ本所方では、今日あすにでも売り飛ばされそうな娘たちを案じた半さん&兵さん(藤村俊二)が、伝さん抜きでも平戸屋に乗り込もうとリーダーに談判中。しかし剣さんは彼を待つといい、実はお銀は、伝さんの亡き愛妻・加恵にうり二つであること、加恵さんは誤って伝さんの刃に倒れたことなどをまるでその場にいたかのように詳細に語り始める(ちょっと明智センセイが乗り移ったよう)。 傷を負いながら本所方に戻った伝さんに、お銀は人身売買の取引時刻と場所を告げた。4人揃って平戸屋に乗り込んだ牙メンバーは悪人どもをメッタ斬り、蔵に押し込められていた娘さんたちを救出した。 情状酌量で八丈送り3年が決まったお銀に、伝さんは無事に帰って幸せになれと励ますのだった。 *#3「阿片!墓標なき男」に続く伝さんのハードな過去・第二弾。このところ三枚目っぽくなっていたのでシリアスキャラに引き戻したのか。 *半さん&兵さんが舟でぎっちらこ、橋の上には剣さん、という珍しい牙登場シーンだった。しかも任務完了(=ラスボス成敗)時、呼子が聞えてきてちょっと焦って(でもいつも通りすちゃちゃちゃとカッコつけて)の納刀も。
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2007,03,28, Wednesday
「遺恨 鮮血の伴天連印」(1980年・S55・1月8日OA)
町会所(=まちかいしょ)では、窮民を救うための三千両をせっせと取りまとめていた。ところが、たまたま中座して蕎麦を注文しに出た出納係の佐七(河原崎建三)が戻ってみると、あたりは血の海、仕事をさっくり終えた強盗が着替えの最中。 斬られながらも必死で逃げ、とある屋敷のお嬢さん・おみよ(賀田裕子)に拾われ難を逃れた佐七は、なぜか奉行所へ訴え出ようとはしなかった。垣間見た頭目らしき男の腕の傷跡、それは20年前に彼の家に押し入り家族を皆殺しにした伴天連盗賊(殺した相手の額に十字の傷を刻むのでそう名づけられた)のものだったからである。 一方、所轄で起きた不祥事の責任を取らされた町会所与力の高杉(左右田一平)は切腹して詫びようとしたところを、友人の剣さん(天知茂)に止められた。生きて真相を探れ、俺も手伝う、どぶさらい役人でも、許せねえものは許せねえんだ!とこれ以上なさそうな熱血バックアップを得た高杉は、佃屋仁兵衛(山本清)と高島藩の大和田(加藤和夫)の黒い関係を探り当てる。 そのころ佐七は、ちゃっかり相思相愛になったおみよの父親(娘にデレデレ)・仁兵衛が伴天連盗賊の頭目だと知り大ショック。しかし復讐の炎は消えず、まずは一味のザコたちを殺し、額に十字の傷を刻んでゆく。そしてとうとう、仁兵衛を襲おうとしたときにおみよに見られてしまった。カノジョに懇願されては殺すことも敵わず、屋敷を飛び出そうとするところを剣さん(いきなり登場)に阻止された。 この男(=佐七)から目を離すな、おみよにそう言って修羅場そのままでまたすたこら本所方に戻った剣さんはいつものメンバーで高島藩中屋敷へ。佐七からは目を離さなかったが親父からは目を離したらしいおみよちゃんのせいか、先にチクリに行っていた仁兵衛のお蔭で彼らの到着を待っていた大和田に「待っていたぞ!どぶさらい役人めが!」と先にあざけられるというハプニングもあれど、町会所どころの騒ぎでない血の海を作って(推定)牙たちは任務を完了させた。 佐七・おみよのカップルはお遍路さんの旅へ。それを見送る与力ふたり。 これでよかったのかなあ、そう呟く高杉に剣さんは言う。 ――裁いて罰するのはたかが人間、佐七を罰したのは天だと思えばいい、と。 *久々にサスペンス時代劇に戻ったような展開。どちらかというと「大岡越前」にありそうな雰囲気だ。 *捜査の途中で高島藩の用心棒に襲われた高杉さん。同行していて怪我を負ったサブ(古田正志)が本所方へ駆け込み剣さんに知らせたのだが(それで剣さんは現場まで猛ダッシュ)、また間に合わないんじゃないのかと一瞬どきどきした。
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2007,03,27, Tuesday
「秘境 女軍団逆襲す」(1980年・S55・1月1日OA)
年末年始を迎え、料理の準備やら宴会やらいつも以上にアットホームに盛り上がっている本所方。元旦放送だっただけあって、カメラに向かって「おめでとう!」までやってくれるサービスぶりだ。 一方、どこからか逃げ戻った大工が黒装束の連中に襲われ、持ち帰ったブツを渡せと迫られていた。「こんなこともあろうかと本物はこっちに隠しておいたんだ…」親切な説明口調で呟いてこと切れた大工の持っていたブツは本所方の手に。それは武田菱の袋に入ったざっくざくの砂金だった。 今年こそはと奮起する新米同心ズは、元旦早々、砂金の謎を追うために先輩たちを出し抜いて甲州へと向かった。・・・のだが、途中の茶屋には平然と一服する剣さん(新年早々、浪人姿に変装:天知茂)。黒装束の連中と思われる物騒な男たちを斬り捨て、不審な商人・万力屋(砂塚英夫)の用心棒になった一行は、富士山が後ろにそびえる原っぱでウエスタンかつお色気ムード満点の赤ブルマの女軍団に銃で脅され、砂金の袋と引き換えに売られてしまう。 温泉につかって(もちろん色白お肌の剣さんも一緒)小綺麗になった4人は、女軍団の元締めのようなお女中・楓(塩沢とき)の前に引き出された。 「そなたたちがここへ来た理由はただひとつ、子作りのためじゃ」 武田の里では男子がおらず、屈強な男を万力屋の仲介で捕まえては1年間子作りに励ませて殺すという習慣を続けているのだとか。ノルマはひとり3人、などと言われて辟易する新米たちをよそに、極上品の剣さんは武田の残党の姫君・咲良子(山村葉子)の相手をすることに。万力屋の遠からぬ裏切りを予測した彼は咲良子に里を降りるよう勧めるのだが、世間知らずの彼女から良い返事はもらえない。 朝になって合流した半さん(坂上二郎)・兵さん(藤村俊二)も交えて女の園でまったりしているうちに、居候ゆえ遠慮したらしい(実は金が無かった)伝さん(若林豪)は、万力屋が勤番支配・滝川出羽守(中山昭二)とつるんで女たちから武田金だけを奪ってしまおうと画策していることを知り、剣さんらと合流。かくして江戸の牙は、幕府の軍隊を引き連れて女軍団とドンパチを繰り広げ始めた出羽守をターゲットに定め、新年早々存分に暴れまくるのだった。 そして、女軍団は人知れず解散し、それぞれが江戸の町で新しい暮らしを始めていた。そう、咲良子もまた…。 *もうどうにでもしてと言いたくなるようなハチャメチャな展開はたぶん新年ならではだからだろう(と思いたい)。 *咲良子姫は後の回で小料理屋の若女将として登場(したはず)。世間慣れしてなさそうな台詞回しが逆に新鮮なのかどうなのか。
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