2007,03,24, Saturday
DVD-BOXの1と2のそれぞれ下巻には、特典映像として予告編&データ集(人物紹介・悪人列伝・事件の女たち)の他、ふたりのメイン監督(池広一夫、松尾昭典)のインタビューが収録されていて、『天知さんの思い出』『殺陣について』などいくつかの項目についてのコメントが聞けるのがお得である。
Part1(DVD-BOX1下巻)では、#2「戦慄!蛇目傘の女」#3「阿片!墓標なき男」など計5本を担当した松尾昭典監督のインタビュー。重さと寂寥感を強く出せるということで、天知キャラが一番魅力的だったとのこと。(天っちゃんは)普段ものすごく無口だけれど、寂しさの中に強さを秘め、それを爆発させることができる人で、殺陣に関しても、二刀流は踊りのようにみえるものの(←これは池広監督も同じようなことをおっしゃっていた)実はとても力強かった、というようなことを語っておられた。 *二郎さんとおひょいさんの殺陣には、どちらも難しい武器だけに苦労したそう。それから若林さんは笑い出すと止まらないらしい。 *天っちゃんの醸しだす寂寥感に惹かれていたらしい松尾監督は、「江戸の牙」と同年(1979年)に「白昼の死角(TV版)」を、さらに翌年(1980年)には、寂寥感の代名詞ともいえる「非情のライセンス」第3シリーズで2本ばかり監督を請け負っている。
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2007,03,23, Friday
「悲哀 北から来た男」(1979年・S54・12月25日OA)
ある晩、初老の渡世人・政五郎(宮口精二)が本所方を訪れた。15年前に佐渡送りとなった際に一杯のお茶と温かい言葉を与えてくれた剣さん(天知茂)に折り目正しく礼を言いにきた彼の気がかりは、生き別れた妻子の消息について。 折りしも名のある大店が抜け荷の罪で闕所(=けっしょ・没収刑)となる事件が続いており、不審に思った(あるいはまた変装好きの血が騒いだ)剣さんは、兵さん(藤村俊二)と共に町人スタイル(指物師というふれこみ)で捜査を開始する。潜入した長屋には、偶然にも政五郎の娘・おるい(服部妙子)がいた。養父の元で幸せに暮らしており、まもなく祝言を挙げる予定だという彼女を見て、剣さんは政五郎に親子の名乗りをせず江戸を去るよう諭す。 ところが、おるいのフィアンセ・綱吉(滝沢双)が何者かに殺され、下手人として彼女が捕らえられてしまった。娘の危機を見かねて政五郎は「自分が殺した」と偽って出た。図らずも番屋の牢内で再会を果たした父娘だったが、あんたなんか父じゃないと、15年の恨みつらみ(母は苦労を重ねて死に、自分は罪人の子だといじめられ云々)をこめて涙声で詰るおるいちゃん。彼女の言葉を黙ってこらえる政五郎の目からは涙が幾筋も。正装で物陰からうかがっていた剣さんもいつしかウルウル。「政五郎、涙はひとつぶでも重さがあるっていうが、……おめえの涙は、……重すぎるぜ……」(剣さんの涙もごっつ重そうだ) 綱吉の死は、没収された土地で甘い汁を吸いたい備前屋(小ボス:河村弘二)、闕所奉行・島崎(中ボス:外山高士)そして“闇の御前”の異名をもつ権力者・柿沢梅堂(大ボス:幸田宗丸)の悪巧みに利用されたせいだと突き止めた牙メンバーは、リニューアルしたテーマ曲(女性コーラス入り)をバックに景気良く鬼畜の大悪党どもを闇に裁いて地獄へ送った。 翌朝。江戸を去る政五郎の背に、おるいちゃんの声がかぶさった。「おとっつぁん・・・!」ようやく分かり合えた父娘の情愛にほんわかしながら、剣さんは政五郎に力強く頷いてやるのだった(そしてそのままシングル・バージョンのEDテーマに)。 *シングル(EP)盤の「ふたりづれ」はTVサイズよりもほんのりまったり気味? *女性コーラス入り(♪らいららいららい〜♪)テーマ曲、初お目見え。しかし今回は対ラスボス時のスローテンポの曲がなくて残念。 *伝さん、控えめに清め刀(#1「炎上!赤馬を斬れ」の映像の再利用か?) *「てめえら鬼畜の大悪党」の前に、どれほど悪い奴なのか具体的なひとことが入るようになった。 *次回予告で新米同心ズと志乃さんを引き連れた剣さんが「来年もよろしくお願いします」と言ってくれる。
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2007,03,21, Wednesday
「純情 魚河岸の政」(1979年・S54・12月18日OA)
棒手振(=ぼてふり)の魚政こと政吉(せんだみつお)は本所方の熱血サポーター。彼らの悪口を言う連中に威勢の良いタンカをきっていたかと思えば志乃さんの前ではナハナハ、やたらと賑々しいこの男が災難に巻き込まれたのは、本所方の宴会に参加してカッポレを披露した夜のことだった。 本所からの帰りに出会った友人・伸次(関戸純)と飲み直し、悩み相談に応じていた政吉は、別れるなり見ず知らずの男の死体にのしかかられてビックリ仰天。しかもその死体には、自分の銘入りの包丁が深々と突き刺さっていたのだ。 すべては最近流行りの水茶屋(実は売春宿)「銀猫」の大ボス・庄兵衛(山岡徹也)が、長屋の立ち退きを巡って対立していた大家を殺すために仕組んだワナだったのだが、そんなことは知る由もない政吉は捕まるのを怖れて逃亡。事件を知った剣さん(天知茂)たち本所方の面々は徹夜で政吉を探す。 小屋で震えていた政吉。とりあえず俺と来いという剣さんに「連れて行かれるくらいなら死ぬ!」と抵抗したが、志乃さんにほだされその気になりかける(彼女のシリーズ屈指の見せ所)。しかしまもなく現われた定町廻りの坂崎(小林勝彦)に身柄を拘束されてしまった。 無実を証明してくれるはずの伸次に、会ったことすら否定され(そりゃ彼は庄兵衛とグルだったのだから仕方ない)、ショックで番所を飛び出した政吉は、剣さんの目の前で坂崎(「銀猫」にワイロを貰っている)にばっさり斬られて事切れた。坂崎を焼き殺しそうな目つきで睨んだ剣さんだがその場は政吉の遺体をお姫様抱っこして運ぶだけにとどめ、改めて「銀猫」へ乗り込むと、事が上手く運んで喜ぶ庄兵衛と手下、さらにワイロを貰ってウハウハしている坂崎を皆殺しにするのだった。 *二刀流を使うまでも無く抹殺。 *いつもは「何者だ貴様ら!」→「閻魔様のおつけえよ」のパターンなのだが、今回は最初から顔と身分がバレバレなので相手に「何をどぶさらい役人が!」とつっこまれていた(間髪を入れず「おっと俺たちゃな、 閻魔様のおつけえよ」と言ってニヤリと壮絶な笑みを浮かべる剣さんがこれまたカッコいい) *半さん、兵さんがなぜか伝さん化<支度シーン *今回の伝さんは紫のたすき。兵さんのたすきも色っぽく変化。
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2007,03,19, Monday
「宿敵!炎の対決」(1979年・S54・12月11日OA)
常磐津の師匠・文字春(田坂都)と旅籠で一夜を過ごしたお兵さん(馴染みのおひでさんはどうしたの:藤村俊二)。朝食前に本所方へ戻った彼の耳に、当の旅籠で朝の蜆汁があたって多数の死者がでている、との知らせが舞い込んだ。 幸い文字春は命を取り留めたが、死者は11人にも上った。死因が食あたりではなくカンタリス(=麻酔薬)による中毒死であることを突き止めた牙メンバーが薬の出所を聞き込んだところ、御典医・石井(原口剛)だけが過剰な反応を示した。そこで新米同心ズのひとり・純(京本政樹)を囮に石井宅へ向かった剣さん(天知茂)は、偶然忍び込んできた黒装束の男に出くわした。 彼は例の旅籠で見かけた元義賊・幻の長八(パパは天下の二枚目・長谷川一夫:林成年)。やっと呼び寄せた妻子を毒入り蜆汁であっけなく殺された長八は石井に目星をつけたのだが、実は張本人は、石井の未完成の薬を試してみた権力者・吉田白翁(わんこ好き:梅沢昇)だった。 口封じのため吉田の部下に襲われた石井から、邪魔な幕閣を襲うという吉田の陰謀を聞き、単身殴りこみに向かおうとする長八だが、彼に罪を犯させたくはない剣さんが「行くんなら俺を倒してから行け」と反対。同じような顔(メイク)でいちゃいちゃともみあっているうちに(*天っちゃんのメイクのお手本は長谷川御大らしいので)地下室と地上への抜け道を爆破され、二人は地下に閉じ込められてしまう。 出口を探すうちに不発弾を発見・でも蝋燭の火が消えちゃってさあ困った!と思ったら刀を天井にぐさっと突き刺し(天井が崩れたらどうするんだか)、差し込んだ光とレンズで火をつけるいつでもどこでもデキる男の剣さん、ほんの近くまで助けにきていた新米同心ズに陰謀(=寺で幕閣暗殺)を阻止するよう指示、自らは牙メンバーと吉田宅へ成敗に向かった。そこには、殺された人々の供養のために千両箱を頂戴する長八の姿もあった。 *けっこう似ていた長八の似顔絵は天っちゃん作? *今回は奉行所での調べ物は志乃さんに任せた剣さん、土下座はこりごりらしい。 *鼻で笑った翌週は明智笑いで登場した剣さん。思わずムカついて(?)「闇に裁いて地獄に・・・」のセリフ途中で斬りかかった手下は、一足先に地獄送りとなっていた。 *戦闘中、ピンチに陥ったおひょいさんをナイスフォロー。 *伝さんのリボンたすきは今日は淡い紫。 *あの皆殺しの現場から生還できたのは長八だけではないだろうか。
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2007,03,14, Wednesday
「妖艶! 密室の謎」(1979年・S54・12月4日OA)
島帰りの大工・万三(今福正雄)と5年ぶりに再会を果たし、仲良く一杯やることになった半さん(坂上二郎)。しかし別れるなり万三は複数の侍に襲われ、駆けつけた半さんに「娘に渡してくれ」と赤いかんざしを預けて絶命した。そこへやってきた定町廻りの岡村(岡部正純)は、お前がやったんだな!と有無を言わせず半さんをしょっぴいてしまう。 数日立っても半さんは返されず、奉行所へ出向いた正装の剣さん(天知茂)が2週続けて格下の同心たちに土下座をしたおかげでようやく釈放された(半さんの忠誠心急上昇)。が、万三の娘・おりょう(早川絵美)と婚約者の板前の新吉(中島久之)は彼を下手人と決めつけ、並大抵でない憎悪をぶつけてくる。 一方、とある寺の妖しい密室の中では毎日、寺社奉行・鳥居(田中浩)主催の妖しい乱交パーティーが大奥女中や坊主たちをゲストにして繰り広げられていた。この密室作りに関わった職人たちは証拠隠滅のために鳥居の部下・今西(五味龍太郎)たちに消されたが、棟梁の万三が部屋の図面を持ち出したことが判明。今西たちは娘のおりょうが預かったのではと彼女と新吉を襲うが、伝さん(若林豪)が窮地を救った。 怪我をして本所方へ運ばれた新吉を徹夜で看病する半さんの姿に、思い込みの激しいカップルはようやく自分たちの過ちに気づき、めでたく和解と相成った。赤いかんざしの中から出てきた図面を頼りに密室を突き止めた牙メンバーは、乱交ゲストたちを閉じ込めたままあっさり爆殺(#1の映像を再利用)、その足で寺社奉行宅へ乗り込む。今回やけに踏んだり蹴ったりだった半さんにラスボスの鳥居の始末を任せた剣さん、上々の首尾に満足気に頷くのだった。 *半さんメインの回だが、剣さんも頼れる理想の上司を体現していて見どころ多し。 *キメ文句の冒頭で「フッ、 閻魔様のおつけえよお」と鼻で笑った剣さん、いきなり二刀流水平構えで余裕の戦闘態勢。しかしラスボスの田中さんは体格も良いしかなり強そうだった(勝てないから半さんに譲ったのかと一瞬思った) *伝さんのリボンたすきはブルーに逆戻り。単なる気まぐれ?
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2007,03,13, Tuesday
「壮絶!同心志願」(1979年・S54・11月27日OA)
若い娘を夜の使い捨てオモチャにしている小普請奉行・佐久間(今井健二)。今宵もまた、口入れ屋の上総屋(内田稔)お勧め生娘を“いたぶり楽しみ弄び、ばっさり斬って捨てる”(by瓦版)すさまじい鬼畜ぶりを発揮、殺された娘は川へと流された。 そのころ本所方では、同心株を売ってくれと迫る奇妙な男・捨松(火野正平)が居候を決め込んでいた。お手製の木彫りの十手と新米同心ズから拝借した羽織で同心になりきり、江戸の町を徘徊する捨松には、娘殺しの捜査の途中に殉職した岡っ引きの父の仇を探したいという望みがあったのだ。 やがて本所方の(見た目の)ヘタレ具合にすっかり腐ってしまい自棄になった捨松に、「同心ってのはな、同じ心、そう書くんだ」と心の繋がりを説いた剣さん(天知茂)は、一方で娘たちの変死の謎を探るため、過去帳を調べに正装して奉行所へ。定町廻りの同心たち(岡部正純さんら)にどぶ臭いだの土下座しろだの散々罵られても黙って従う鋼の忍耐力を持つ彼(眉根の皺がすべてを物語っているとはいえ)は早速黒幕を突き止める。 しかし牙メンバーの密談を立ち聞きしてしまった捨松は、単身で父の仇・佐久間の屋敷へ乗り込む。彼お手製の十手がいつもの三方に乗っていたことを志乃さん(白都真理)から聞かされた剣さんは顔色を変えて佐久間宅へ突っ走るが、時すでに遅く、4人の牙は捨松の変わり果てた身体を戸板に乗せて屋敷へ直行、彼の代りに敵討ちを果たしてやるのだった。 *佐久間宅までひとりでダッシュした剣さん。支度は整えていなかったから、また本所まで戻って(しかも捨松の遺体を担いで?)それから着替えて出陣したのだとしたらものすごい体力だな!←それは言うな *殺陣で障子ごと人を斬るシーンがあったが、最初から障子に切れ目がみえていたような?←だからそれも言うな *剣さんの羽織の紋は天っちゃんち(=臼井家)と同じ「沢潟(おもだか)」だった。 *伝さん(若林豪)の勝負服のリボンたすきがブルーからピンクに。剣さんと同じ盃で酒を酌み交わし“同じ心”を実践していた(?)せいなのか(意味不明)
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2007,01,26, Friday
「喧嘩渡世 命売ります!」(1971年・S46・1月17日OA)
我こそは上様のご落胤の綾姫なるぞよと、3組もの親娘が名乗り出た。皆それらしい証拠の品を携えているため、家老や内藤勘解由(中村竹弥)には誰が本物のお姫様なのか見当も付かない。だがたった一人だけ、綾姫を見分けられる人物がいた。幼い頃共に育った乳兄妹、元旗本の淡野(=あわの)右近(天知茂)だ。 早速ご家老は協力を要請するが、自ら家禄を返上し今は喧嘩の仲裁などを生業としている偏屈浪人の右近(登場時には大根の漬物を切ってぽりぽり喰ってたお気楽振り)は首を縦に振らない。内藤に命じられた十文字小弥太(杉良太郎)は、彼のへそ曲がりな性格を逆手にとり、ようやく3人の娘がいる下屋敷へと向かわせることに成功した。 だが面通しをする直前で苦しみ出す右近。どうやら毒を盛られたらしい。「時の人」である彼は屋敷に来る前も黒装束の連中に襲われていた。それにしてはなんだか白々しい倒れ方だが、次の場面ではウンウン唸って寝込んでいる。とそこへ1組の親娘がこっそり現われ、右近の首に紐を巻きつけ両サイドからぎゅっと締め・・・床に転がった。小刀を手に起き上がった右近(やはり騙していた模様)、これで1組脱落〜と屈託が無い。 残りの娘たち――おきくとおふみ――に会った右近は顔を見るなり黙り込んだ。どっち?どっち?とせっつくご家老に「抱けばわかる」と冗談めかして呆れられるが、実は本物の綾姫には腕に3つの黒子があることを彼だけが知っているのだ。おふみと恋仲の男が押しかけてきて騒動になった際、彼女の腕に偶然ソレを見つけてしまう右近だったが、好きな男と里で暮らしたい彼女の幸せを考え、沈黙を守ってやる。 そして右近を狙った黒装束は、おきくの養父(神官)の差し金であることが判明する。再び寝込みを襲われるも颯爽と二刀流で退治した右近、その後会ったときから怪しいと睨んでいた小弥太とサシで(匕首VS懐刀で)勝負を挑み相討ちになりかけるが、アンタッチャブル仲間の井坂十蔵(瑳川哲朗)に阻まれるというオマケがついて一件落着。 二人ともニセモノでした、そう証言して(真相を知る小弥太には睨みをきかせて無理やり黙らせて)屋敷を後にした右近は、「侍もやめるつもりだ」と小弥太に告げ、のんびり風来旅へと向かうのであった・・・。 *同時期の「水戸黄門」ゲスト時のキャラクター(沖山船十郎)にとても近い、三枚目の勝った浪人役。お気楽そうにみえてもやはり隙がないのだが、なんだか嬉しそうに演じているので見ていて楽しかった。しかし侍やめちゃってどうする気だ右近。占い師でも始めるのか? *予告では「天知茂を迎えて送る次回・・・」と役者の名前入りで大々的に紹介されていた。
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2007,01,22, Monday
「冥途の土産」(1972年・S47・11月3日OA)
呉服屋の跡取りでありながら放蕩三昧を尽くした揚句に盗っ人に成り下がり、島送りとなった“霞の清次郎”(天知茂)。今は務めも終え、カタギの人足として真面目に働いている彼の目下の心配事は、生き別れになった妹の消息だけだ。 ある夜、彼を雇ってくれた材木問屋に強盗が入り、主人が殺された。錠前破りの手口にピンときた清次郎は、昔の盗っ人仲間からその男・重吉(高橋長英)の居場所を聞き出し訪ねてみるのだが、なんとそこにいたのは妹のお峰(岡田由紀子)。重吉をまっとうな人間だと信じて疑わない彼女は、急に現われたかつての極道兄貴を(内心はいざ知らず)嫌悪感を露わにしてなじるのだった。何も言えずその場を去った清次郎は、重吉を見つけ足を洗うよう勧めるのだが、聞き入れてもらえない。 再び別の材木問屋が襲われる事件が発生。平次親分(大川橋蔵)は、寺建立の入札を巡って新興の但馬屋(中山昭二)が暗躍しているのではないかと推理する(←当然ながらビンゴ)。盗賊あがりの但馬屋が、邪魔なライバルを蹴落とそうと更に強盗殺人を画策する中、やはり義兄の顔が怖かったらしい(ウソです)重吉がお峰を連れて逃亡を図った。が、すぐに重吉だけ捕らえられてしまった。それを兄貴のせいだと思い込んだお峰は清次郎に散々わめき散らし、苦悩度MAXの彼は平次が止めるのも聞かず単身で但馬屋に乗り込んだ。重吉を逃がすためにわざと彼の右手を傷つけ、俺の方が錠前破りは上手いぜと、強盗の片棒担ぎを申し出る清次郎。 だが清次郎はカタギを捨てる気はなかった。錠前破り直前になって反旗を翻した彼に強盗一味のドスが襲い掛かる。先刻からの切ないまでのいい奴ぶりから察するに、実にやばすぎる状況だ。でも銭形平次だからそこはそれ、と思っていると都合よく平次親分が現われてくれた。颯爽と応戦する平次親分。そこで決め手の銭が・・・なんと、不発! そんなことアリなのかと驚いている内に、ドスを喰らって清次郎バッタリ。「お峰・・・重吉・・・良かったなあ・・・これで冥途の土産ができた・・・ぜ」かくして極道の限りを尽くした(らしい)男は、平次親分に看取られながら最愛の妹のために命を落としたのだった・・・。 *「いかにもなシチュエーションだ」と思っていたらやっぱりか、な回。まあ生き残っても邪魔だもんなあ兄貴。しかし、重吉探しの堂々たる捜査っぷりは「島帰りの人足」というよりは「囮捜査中の左門さま@大岡越前」ってな感じだった。そんなだから平次親分まで銭投げ損なっちゃったのか(違)。 *落命シーンだけ目にした母「あらー、風呂上りみたいにテカテカしてはるわね。元気そうで」。オカンそれはいちおう脂汗流して苦しんでるんだよ!ちょっと恰幅良すぎだからってソレは無いよ! *「誰かに抱かれながら死ぬ」というパターンに、今回のはギリギリ入るか・・・?(ちょっと微妙な気もするが)
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| TVドラマ(時代劇)::銭形平次 | 12:28 AM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,01,09, Tuesday
「撃滅 爆破計画!」(1979年・S54・11月6日OA)
カムバックを狙う元大目付・蛯名(今週のラスボス:田中明夫)は、江戸市中を火の海にして現職を失墜させんと悪巧み中。護送中の囚人=腕きき花火職人の佐之吉(寺田農)をカミソリ与力の坂田(睦五郎)に命じて拉致、からくり仕掛けの爆破装置を作らせて江戸中にばら撒こうというのだ(ちなみに拉致実行犯は黒部進&中田博久。蛯名サマは特撮な人々を手下にするのがお好きらしい) 川に浮かんだ佐之吉の死体がニセモノだと見破った半さん(坂上二郎)の報告により、本所方の面々は総出で捜査にあたる。佐之吉のイイ女・おみね(真木洋子)をマーク中、最初からどうも暴走気味だった新米同心・サブ(古田正志)が敵サイドに掴まり小屋に監禁されるが、実は新米思いの伝さん(若林豪)に助けられ難を逃れた。しかし佐之吉&おみねのカップルには(この番組の常として)助けは間に合わず、爆破装置を仕掛けた場所を言う前に佐之吉は死んでしまった。 人出の多い神社の境内でカミソリ与力・坂田を裏手に誘い、いきなり腹に刀を突き刺し爆弾の場所を聞き出そうとした元祖カミソリ与力の剣さん(天知茂)だが、自分の置かれた状況(=刺されて瀕死)が今ひとつ理解できていない坂田は俺の出世がどうのこうのと呟いただけで絶命。かくして装置探しに奔走する羽目になり、ぎりぎりのタイミングで最後のひとつを川に投げ込んだ江戸の牙たちは、その足でラスボスの屋敷へと乗り込むのだった。 *白昼の縁日、寺の境内に仕掛けられた爆弾をメンバー全員で捜索するスリリングな展開。ただ日が高いうちから出陣ってのは、バレバレじゃないのか?(それは言っちゃいかんお約束) あと、モロ肌脱いで庭で居合い斬り中の剣さん(天知茂)、最初っから切れ目が入っていたような・・・?(それも言っちゃいかんお約束)。 *バレバレといえば本所方の新米同心たち。一緒に暮らしていながら(しかも今回は捜査に駆り出されまくりなのに)“江戸の牙”の正体にまるで気づかないあたりのお約束ぶりには涙が出る。
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2007,01,09, Tuesday
「陰謀 地獄の盛り場」(1979年・S54・11月13日OA)
盛り場が些細な言いがかりをつけられ閉鎖される、というケースが続いていることに不審を抱いた剣さん(天知茂)。そろそろ変装好きの血が騒いできたらしく、浪人者に扮して聞き込みを開始、女元締め・お菊(三林京子)が取り仕切る聖天横丁が次のターゲットであることを突き止め、潜入する。 その聖天横丁へ、麻次(平泉征)という人殺しが転がり込んできた。下手人を匿っていることがバレれば盛り場は潰される。しかし麻次はお菊の義兄。グレて家を出た彼を死ぬ直前まで心配していた養父を思いお菊は麻次を家に引き入れるが、彼は金を持ち逃げし、途中で何者かに殺された。 実は麻次を横丁へわざと寄こしたのは、寺社奉行の荒木田(江見=直助=俊太郎)とつるんで一連の盛り場跡を高値で売りさばいていた諸口屋(織本順吉)の仕業。盛り場だけでなくお菊さんもゲットしちゃえ、と欲深い諸口屋は、いったんは下手人隠匿の罪で捕らえさせた彼女を自分の口利きで釈放し、囲いモノになることを引き換えに盛り場存続を約束する。 そんな約束ウソに決まっているだろと(実際ウソ八百なのだが)、自らの正体をばらしてお菊を引き止める剣さんだったが、本所方与力という身分はたいして役に立たなかったようで、彼女は単身、諸口屋の待つ料亭へと向かう。しかしあわやというところで諸口屋は床下から突き出された半さん(坂上二郎)の槍で絶命。そのあと寺社奉行宅へと乗り込んだ江戸の牙メンバーは、盛り場の恨み(?)を存分に晴らすのだった。 *お世辞にも似合っているとはいえない浪人鬘で「つるはし・しろべえ」さんに成り切り、盛り場に潜入する剣さん。遊び人のときほどは人格が変わっていなかったが、その代わりかどうか、伝さん(若林豪)がコミカル路線に突き進んでいて割と笑えた。 *ラスボス(江見さん)の「何者だ、斬れ!」が早すぎたせいで「閻魔様のお使えよお!」が言えずに天っちゃん怒り心頭だ(ほんとか)。刀を鞘に収めなかったのは残念。
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