2007,01,09, Tuesday
「対決! 黒い稲妻」(1979年・S54・11月20日OA)
嵐の夜。抜け荷の手伝いをした人足たちが次々と凄腕の浪人者に斬られるなか、転げ落ちた荷物(=薬壜)を拾った挙句ラッキーにも逃げ延びたウッカリどころかチャッカリ者の新吉(高橋・八兵衛・元太郎)は、馴染みの女郎・おすみ(小鹿みき)に薬壜を預けた。女遊びのひどい兵さん(藤村俊二)をたしなめようとたまたま遊郭に来ていた半さん(坂上二郎)は、その粉末が猛毒だと見破る。 抜け荷の黒幕は、南町奉行・板倉(森山・コジャック・周一郎)と、彼の権力を傘にきた河内屋(早川雄三)。今回の毒薬は、板倉が寺社奉行を暗殺するために取り寄せさせたものだった。 一方、おきく(村松英子)の小料理屋で昼間からのんびり一杯やっていた剣さん(天知茂)は、逃げる新吉を追う河内屋のゴロツキたちの中に、かつて道場で共に学んだ先輩・沼沢(大木実)の姿を認め声をかけた。だがすさんだ生活に身を置く沼沢(実は先の人足殺しは彼の仕業)は、浪人のオレと役人のオマエでは住む世界が違うと、懐しがる剣さんに冷たい目を向ける。 生き証人の新吉を逃すまいとする河内屋は、長屋の井戸に例の毒薬を流して彼をあぶりだすという無謀かつ大胆な手段に出たが、井戸水を飲んだ長屋の住人を30人殺したにも関わらず、肝心の新吉は伝さん(若林豪)によって本所方に保護された。ところが抜け荷の罪で河内屋をしょっぴいたものの、南町奉行の威光ですぐに解き放ちに。しかも泳がせていた新吉も拉致されてしまい、救出に向かった剣さんは沼沢に「俺を斬れば助けてやる」と決闘を申し込まれる。 10年前はまるで歯が立たず、決闘の少し前に会った時には印籠と袖の裾をばっさりやられて分が悪そうな剣さんだったが、材木置き場で沼沢と刀を交える羽目に。短筒を持った河内屋の手下が現われるというハプニングもあったが、夜毎の鍛錬(?)の差がモノをいったのか、「腕をあげたな、剣……」そう呟いて沼沢は地に伏した。先輩を倒さねばならなかった哀しみを怒りに変え、剣さんはラスボス・板倉の役宅(って、奉行所?)に押し入り、普段以上に猛々しい冥途の使者として地獄送りを決行するのだった(って、奉行所で?)。 *強さ互角の先輩(大木実)と一騎打ち、おまけに影から狙う短筒・・・という絶好の(?)シチュエーション。なのに、勝負があっけないのなんの。強すぎだ剣さん(というより、短筒使いの腕がショボすぎだ。誰にも何にも当たってないじゃないか) *後の重要人物、おきくさんがさりげなく登場。 *道場時代が懐かしくなったのか、はたまた力が有り余っていたのか、剣さんは散歩(=エンディング)の前に新米たち3人を懐手のまま扇一本で仕込んでいた。
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2006,12,27, Wednesday
「悲壮 命買います」(1979年・S54・10月30日OA)
縁日のいざこざを収めた剣(つるぎ)さん(ドブさらい役人とけなされてもなんのその:天知茂)。その帰りふと目にした灯篭群にはずらりと並んだ赤い手形の張り紙。たどった先には古い御堂があり、中には思いつめた表情の娘(光丘真理)が。「お待ちしておりました。お命を、売ってください」冗談はよせと差し出された小判には目もくれず帰ろうとする剣さんに対し、娘はそれなら私の操でと帯を解き床に横たわる。 扉を閉めて近寄った剣さん、やおら娘の着物の裾をめくった! と、すかさず隠し持っていた小刀を繰り出す娘! しかしそれを見越していたかのように剣さんは刀を叩き落し、逃げようとした娘の脚の間にぐさっと突き刺した! ハードボイルド(というよりアダルト)な展開を、まだ男を知らないその身体を大事にしろとかなんとかキザな台詞(見ただけで判るあたりがツワモノだ)で締めくくって去った剣さんだが、娘の方はこれでターゲットを彼一人に絞ったらしく、雨の中を本所方まで追いかけてくる。そこへ股旅姿の男たちが現われ娘を連れ去ろうとしたが、傘をくるくる回しながら剣さんが追い払ったおかげで事なきを得た。 彼女・おようの住む上州松井田宿は目下、博徒のドン・唐五郎(井上昭文)がやりたい放題の有様で、若い衆たちは江戸から助っ人を呼び寄せようとし、彼女がその役目をかってでたのだった。小判も操も貰わずに助っ人を引き受けたフットワークの軽い剣さん一行は、上州松井田宿へと向かう。 到着した剣さん(なぜか一人)を、おようが待っていた。だが彼女は、捕らえられた恋人・真吾(原田大二郎)の命を助ける条件で唐五郎と取引をしていた。例の股旅男たちに襲われる剣さんだが余裕で圧勝、斬り殺したナンバー2の仙次(蟹江敬三)を担いで(お姫様抱っこでは勿論なく、肩にのっけて)唐五郎の元へ向かうと、「こいつが喧嘩状だ。首を洗ってやってきな」と果し合いの時刻・場所を指定して宣戦布告。かくしてだだっぴろいススキ野原で、4対50ほどの真昼の決闘が幕を開けた・・・! *久々に骨のある相手ですなあ(半さん談)ということだったが、単に数が多いだけなので、二刀流を使うまでもなく(しかもラスボスには竹槍で)勝ってしまう無敵の剣さん。今回は殺陣が多くて眼福とはいえ、強すぎますがな。 *ちなみに剣さんを騙してしまったおようちゃんはバチがあたったのか、恋人は唐五郎に消されてしまいましたとさ。 *最後は股旅姿で出陣、白装束に黒の三度笠で立ち回り。他の3人がナマ足披露なのに対し、天っちゃんだけはがっちりガードしてあったので少々残念だ(何が)
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2006,12,24, Sunday
「逆転! 八万両の行方」(1979年・S54・10月23日OA)
勘定奉行の支配下である金座から、八万両もの新造小判が盗まれた。責任を問われた番役人たちが切腹させられる中、杉田平八郎(三ツ木清隆)だけは己の潔白を訴え逃走、八万両の行方を探るべく市中へ潜った。 本所方の紅一点・志乃さん(白都真理)が平八郎の妹・千加(斉藤とも子)と幼馴染のため、幕府の金にはまるで無関心だった江戸の牙たちも乗り出した。真相を探るべく平八郎を執拗に追い詰める火盗改与力・神崎(高城丈二)から彼を匿った剣(つるぎ)精四郎(釣りの成果も上々:天知茂)は、番役人たちが眠り薬を飲まされていたことを知った。 小判運びを手伝った人足たちの謎の死。制止を振り切って再び飛び出す平八郎。八万両はどこに? はたして黒幕は・・・? この話だけはネタをばらすとサスペンス時代劇としての面白さが半減するのでこれ以上は自粛。メンバーそれぞれ(志乃さんまでも)が見せ場をもらって役割を果たしているし、さいとう・たかを氏が描く鬼平みたいな容貌の神崎役の高城さんがすこぶるいい味を出していて見ごたえがあった。 *二刀流は構えたときがカッコいいのだが、やはり一刀の元にずばーっと斬って流れるような動作で鞘に収める姿は実にサマになっている剣さんだった。 *そして例の“すちゃちゃちゃ”納刀、デビュー。
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2006,12,14, Thursday
「阿片!墓標なき男」(1979年・S54・10月16日OA)
巷ではご禁制の阿片が横行していた。茶屋の二階で阿片の密売がなされるという情報で駆けつけた八丁堀の連中が見つけたのは、真っ昼間から芸者の膝枕で耳かきしてもらっている呑気な本所方与力・剣(つるぎ)精四郎(黒扇子でさりげなく顔隠しちゃったりなんかして粋な天知茂)。ガセネタだったのか、と連中は引きあげるが実は芸者・おしんは恋人から阿片を預かっていたのだ!・・・という話はもすこし進んでから判明するわけだが、どうも怪しいと睨んだ剣さんは本所方でも調べを進めようとする。 しかし伝さん(若林豪)が、他のメンバーがいては危険だ、一人で探索に当たらせてほしいと願い出る。彼にはかつて隠密廻り同心だったとき同じような抜け荷事件を担当、情報が漏れていたせいで部下を2人死なせてしまいお役御免になったという過去があったのだ(そして職にあぶれていたときに剣さんに拾われたらしい)。 捜査を進めるうちに、伝さんは元・同僚の原田(藤巻潤)に出くわす。阿片がらみの事件の担当だという原田だが、実は同心を隠れ蓑に黒幕サイドと共謀している張本人が彼だった。不治の病に侵された愛妻の苦痛を和らげるために阿片を調達せねばならなかった原田。果たして伝さんは彼を糾弾できるのか? ・・・という、伝さんメインの回。後の回に出てくる奥さんの悲劇といい、「江戸の牙」レギュラー陣で色々とハードな過去が語られるのは伝さんだけなのだが、普段から情念の塊みたいな顔のひと(=天っちゃん)が側にいるせいか、いまひとつ陰翳がみえてこないあたりがちょっともったいない(しかも回を負うごとにだんだんキャラが軽くなってくるし)。 *ちなみにホームドラマchの番宣で使われているディープなふたりの写真は、釣りにきていた剣さんに「オレひとりに任せてほしい」と伝さんが相談にいったときのもの。はじめて見たときから「うわっ、特濃!」と思っていたが、改めてみてもやはり濃い。 *今回の決め台詞の締めは「江戸の牙、参っ上!(↓)」と下がっていた。こっちのほうがドスきいててナイス。 *まだ例の“すちゃちゃちゃっ!”(=光速で刀を持ち替えて鞘に収める仕草)は登場していないが、今回は仕事が済むと二刀をクロスして一気に鞘に収めるという荒業を披露してくれた剣さん。両方とも鞘に収まったかどうかは(見えてないので)想像にお任せ、ってところか?
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2006,12,08, Friday
「戦慄!蛇目傘の女」(1979年・S54・10月9日OA)
米の値段を不当に釣り上げ私服を肥やしている米問屋たちが、ひとりの女によって順に消されてゆく。手を血で染める蛇目傘の女・おつた(永島暎子)は、かつて彼らの謀略により切腹を余儀なくされた御蔵奉行・青山(小倉一郎)の無念を晴らそうとしていた。 2年前に青山の屋敷でちらっと見かけただけなのに、おつたさんの顔をしっかり覚えていた記憶力抜群の剣(つるぎ)精四郎(2年前は袴姿も麗しい北町の吟味方与力:天知茂)は、米問屋殺しを彼女の仕業と見抜くも、復讐に燃えるおつたさんの熱意にほだされ、黙って見守ることに。・・・したのだが、ちょっとばかり悠長に見守りすぎたせいで、正体に気づいた敵方がおつたさんを拉致してしまった。 ギリギリのタイミングで間に合わなかった剣さん&伝さん(若林豪)は、敵の手にかかり絶命した彼女の最後の願いを叶えるため、半さん(坂上二郎)&兵(ひょう)さん(藤村俊二)と共に江戸の牙として敵地へ乗り込む・・・。 *1話目では途中からだったが、今回は最初から二刀流で気合入れまくりの剣さん。決め台詞も「江戸の牙、参上ォォッ!(↑)」と語尾がやたらと上がっていた(回によってイントネーションが違う) *違うといえば「十万億土の冥途の使者が・・・」の「冥途」という言葉のイントネーションが「明治」のソレとかぶるときがある天っちゃんが気になるのだが、標準語はそうなのか?
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2006,11,27, Monday
「炎上!赤馬を斬れ」(1979年・S54・10月2日OA)
オープニングに映る本物の黒ヒョウより数倍は怖い顔の剣(つるぎ)精四郎(五十路間近のいぶし銀・天知茂)は本所方(ほんじょがた)与力。本所・深川の橋や道路の建設・保護などが仕事らしく、市中の警護を担当する「八丁堀の旦那」連中からみれば、本所方はリストラされた極潰しの行き場所。江戸を襲う謎の放火=赤馬と、裏でがっぽり儲けている連中の関連を調べるも、格下の八丁堀同心や材木問屋から「しゃしゃり出て来るな。どぶさらいが待ってるぜ!」とバカにされる毎日だった。 祖父の代からの主君筋・朝比奈宅で「世の中なっとらん!」とべらんめえ調でぶーたれる感情表現が豊かな剣さんを、朝比奈の娘・雪(竹下景子)は優しい目つきで眺める。「ちっともお変わりにならないのね」ちょっと待てお雪さん、いま瞳にハートが飛んでやしないか?「精四郎さま、まだ、おひとりなのですか・・・?」って、結構なおっさん相手に(暴言)やたらと積極的なお嬢様だ。 と、一転にわかにかき曇る空。暇乞いをして襖を開けた途端、剣さんに白刃が襲いかかる。「お前なんぞに娘はやらーん!」と怒った父親・朝比奈軍兵衛(三船敏郎)だ(注:言ってません怒ってません)。世界のミフネと我らが天っちゃんの息詰まる対決は、互いに喉元に刀を突きつけた時点でおひらき。「ふふふ、さすがに腕は鈍っておらぬようだな」余裕を見せるミフネ氏に対し、こっちは精一杯っすよ、ってな息をほうっと吐く天っちゃん。まあ、製作は三船プロだからしてそれくらいのジェスチャー(?)は必要かと。 幕府の大番頭(おおばんがしら:警護の要職)を勤める軍兵衛もまた江戸の町の腐敗振りを憂えており、話を聞いて「荒療治ができるのはお前しかいない!」と剣さんを本所方を隠れ蓑にした闇の組織のリーダーに据えた。そうこなくっちゃとコワモテのまま微笑む剣さん。 本所方屋敷に戻った剣さんは、早速部下の同心ふたり・半さんこと金丸半兵衛(坂上二郎)&兵(ひょう)さんこと間兵助(藤村俊二)と、居候の伝さんこと大熊伝十郎(若林豪)に事の次第を打ち明け、仲間に誘う。「イヤなら断ったっていいんだぜ」とはいっても、上司からこんな秘密を打ち明けられたら断れないだろう普通。苦しいところを助けられた恩があるという肉体派の伝さんは二つ返事。よく効く目と鼻を貸してくれと乞われた半さんや、渋ってはいたものの火薬の知識が欲しいと乞われた兵さんも承諾。そこへ、父親が世話になった縁で剣さんの身の回りの世話をしているというお志乃さん(白都真理)も現れ、同じく仲間に。 こうしてゴレンジャー、もとい江戸の牙が結成されている一方で岸田森&内田朝雄の悪役コンビによって池波志乃さんや森次晃嗣さんが殺され市毛良枝さんが悲しみ、怒りのパワーが頂点に達した時点でハンドクラッピングと共に黒装束の4人が出動。 いきなり材木問屋連中を屋敷ごと吹き飛ばしたかと思うと、悪人の前でカッコいいタンカを切りつつバッとお経を背負った白装束を露わにし、ひたすら切りまくり殺しまくる4人。屋敷内みな殺しが基本なので、覆面も要らなくて便利。剣さんは重ね着のせいで腰のあたりがモコモコしていて、ゼンマイ仕掛けのちっちゃいお人形みたいだけれど(←ちっちゃいは余計)スピーディーかつ華麗な二刀流を披露。一人だけ淡いブルーリボンで襷がけの伝さんは、薙ぎ倒すというよりどつき倒す豪快な太刀さばき、半さんは槍を繰り出し、兵さんは火薬使ったり小太刀を投げたりとそれぞれがてきぱきと仕事を進めるので痛快だ(最後に残った岸田さんがこれまた実に魅力的に斬られてくれたので余計に)。 朝。何も知らない見習い同心たち(京本政樹ほか)が呆れるなか、本所方でだらだらと過ごす伝さん・半さん・兵さんに、橋を散歩する剣さんの甘くて渋い歌声(「ふたりづれ」)が被っておひらき。テンポの良さがクセになる作品である。
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2006,11,20, Monday
#15「春を呼ぶ藪医者」(1978年・S53)
小石川養生所の評判がすこぶる悪い。主任医師・小川笙船(天知茂)の顔がとにかく怖いからではなく(いや、それもありなのか?)、タダをいいことに怪しい薬を怪しい土瓶で煎じまくっては試しまくり、何人も殺しまくって平然としている、などという悪評でせっかくの施設は閑古鳥。所轄の町奉行・大岡越前(横内正)の責任問題に発展している有様を憂慮し、吉宗=徳田新之助(松平健)はみずから笙船に事の真偽を問い質すが、物は云い様と肯定も否定もしない。 そんなある日、数少ない入院患者の一人が急死。ウワサの薬を飲まされた後だっただけに、遺族は笙船を訴えた。なぜ死んだのか申してみよと詰問され「息が止まったからでございます」とここでも誤解招きまくりの発言をする笙船だが、この患者が何者かに窒息死させられていたことを見抜いていたのだった。しかし鬼与力でも人相見でも探偵でも刑事でもない彼は、誰の仕業なのかを突き止めることは出来ず(せず)、沙汰があるまで「手鎖10日」つまり謹慎を言い渡される。 吉宗&お庭番ズ(宮内洋・夏樹陽子)の調べで、病人をタダで看るのは営業妨害だと養生所を煙たく思っている町医者たちと、大岡を失脚させて自分が町奉行にと企む役人がゴロツキとつるんで養生所の評判落としに暗躍していることが判明。一方、養生所の小間使い・卯助(佐々木・2号ライダー・剛)は金のために悪人たちの片棒を担いでいたのだが、同じく養生所勤めの恋人・おみつ(村地弘美)の説得で改心し真相を打ち明けようとしたところでゴロツキに刺されてしまった。 養生所に担ぎこまれた卯助は助手の手には負えない重傷だった。吉宗は笙船の手鎖をぶった切り、彼に手術を任せる(ここから額に汗して頑張る見せ場あり←ここしか見せ場がないのも事実)。吉宗が悪人たちを成敗している間に改造手術(違います)は無事成功、卯助・おみつのカップルに春を(そして再び養生所に人を)呼んだということで、めでたくおひらき。 *養生所にいると薬を煎じたり書物を読んだりしてるだけなので少々物足りない笙船さん。ダーク・ヒーローな町医者でいてくれたほうが面白かったなあ(身の回りの世話をしていた三吉少年の役割がいつのまにかおみっちゃんに代わってるし)。
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| TVドラマ(時代劇)::暴れん坊将軍 | 12:32 AM | comments (x) | trackback (x) | |
2006,11,13, Monday
「お妾拝領仕る」(1970年・S45)
お紋の方(中村玉緒)&神尾新八郎(天知茂)のアツアツ夫婦(#8「嫁地獄」参照)のなれそめが分かる回を、8ヶ月経ってようやく鑑賞できた(再放送ありがとう時専ch!) 厳重に縄を掛けられた輿が、会津へ向かう途中の峠にさしかかった。牧歌的な景色を眺め、輿の中に優しく話し掛ける新八郎、登場するなり好感度急上昇。だが輿からは何の反応もない。お紋の方は世継ぎを産みながら乱心のかどで江戸詰めの殿(葉山良二)から国許へ送り返され、口惜しさに唇を噛み締めていたのだった。 会津若松城内のあばらや同然の小屋に押し込まれた途端、実姉・お葉の方(中原早苗)に扇子でグリグリいびられるお紋の方。殿の寵愛めでたい姉の侍女を務めていた時に「お手つき」になり、しかも姉の自分より早く男子を産んだ彼女にお葉の方はジェラシーMAXなのである。 一方、新八郎はお紋の方の世話係に任命された。国許に残る彼に母や親戚、友人(とその妹)は大喜びだが、新八郎はお紋の方の置かれた劣悪な環境に密かに心を痛めていた(←多少推測含む)。しかも追い討ちを掛けるようにお世継ぎ病死の悲報が届き、絶望のあまりお紋の方は座敷牢で首を吊ってしまう。間一髪で彼女を救う新八郎。乳房わしづかみマッサージという、すこぶる土曜ワイドな世界が拝める(←だが双方ともスタントさんか?)のはさておき、ここではじめて「乱心」の真相が明かされる。産み落とすなり引き離された我が子会いたさに、懐刀を自らの咽喉に当てて殿に懇願したにもかかわらず、聞き届けられなかったばかりか乱心者呼ばわりされて国へ返されたお紋の方の嘆きに、新八郎は言葉もなかった。 そんなある日、殿が会津へ戻ってきた。お紋の方に未練ありそうな殿を手中に収めんと、お葉の方は姦計をめぐらせる。それはお紋の方を、年寄り坊主の嫁に下賜するよう殿に耳打ちすることだった。内緒で外出して仲良く池の鴨を眺める仲になっていたお紋の方&新八郎はこの命令に驚く。殿の命だが即座に拒んだお紋の方を見て、新八郎は自分が拝領したいと申し出た。同情からなのかとなじるお紋の方だったが、ここ(=座敷牢)へ来るのがどこへ行くよりも、また家にいるよりも楽しかったのだと静かに口にした新八郎の実直さにほだされ、ゴールイン。 母親含め親戚一同は大反対、祝言の夜には誰ひとりとして出席する者はいなかった。お神酒を盃に注ごうとするお紋の方をそっと制し、廊下の障子を開け放つ新八郎。何の遠慮が要るものかと高らかに会津節を唄いながら、二人だけの誓いの盃を固く交わすのだった・・・。 *やっぱり良い漢(オトコ)だった新八郎にうっとり(予想外に出番も多かったし)。しかも唄うし、揉むし!(?)。
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| TVドラマ(時代劇)::徳川おんな絵巻 | 12:37 AM | comments (x) | trackback (x) | |
2006,11,09, Thursday
「素晴らしき藪医者」(1978年・S53・1月14日OA)
江戸の町にタチの悪い風邪が流行していた。金が無いため医者にかかれない町人たちが次々に死んでいく一方で、法外な治療費をせびる強欲医者がいると聞いた、将軍になりたての若くて青い吉宗=徳田新之助(松平健)は、その医者に談判に出かける。 彼が薬草畑に脚を踏み入れるなり突如空から鎌が降ってきた(危ない)。と同時に草むらから現われる笠を被った小柄な人物。理不尽な!(全くだ)と憤る新之助の胸をぐいと押し、足元の薬草の新芽を大事そうに撫でる男こそ、悪名高い小川笙船(天知茂)その人だった。 新之助のストーカー的存在(?)・山下幸内(浜畑賢吉)は、笙船は世間の評判ほど悪い人物ではないと言うのだが、それが信じられない新之助は同じくまだ若くて青いお庭番・助八(宮内洋)に笙船の動向を探らせたところ、抜け荷のどさくさで負傷した大店・十海屋の主人から大金を強請っていることなどが判明。今度は医療所まで押しかけていった新之助は、そこで笙船が貧乏人を無償で看てやっているのを知って驚く。 急患の手術を手伝ったり一緒に一杯やったりしているうちに、ズケズケと物を言うが人情味に溢れた笙船の人柄にほだされ始める新之助。ところが、十海屋の番頭(北町嘉朗)を殺したかどで笙船が捕縛されてしまう。笙船を逆恨みしている人足崩れの巴屋(藤岡重慶)と、町人をタダで看る彼が煙たくて仕方が無い将軍家お抱えのご典医・桜井玄石(南原宏治)が仕組んだワナだった。 すぐさま大岡越前(横内正)と接触を図った新之助は、奉行所で笙船に会う。こんな場所までしゃしゃり出てくることが可能な彼に怪訝な目を向けた笙船だったが、話を聞くうちにハタと正体に気付いた。・・・ようなのだが、それをおくびにも出さずに今の世の医の道について説くあたりがやたらと渋くカッコいい(←贔屓目)。 巴屋と玄石は黒頭巾(=新之助)とお庭番ズ(宮内&夏樹陽子)によって成敗された。そして笙船は、彼の説教にウットリきた(←推測)新之助=吉宗の命で作られることになった小石川養生所の主任医師として、今日も町人を怒鳴りつけつつ治療に勤しむのだった。 *口は悪いが腕が立つ人情派の医者を好演。長屋の少年を助手に使っているところも良い感じ(でもって少年の母親=後家さんともなにやら良い感じなのではないかと想像できるあたりも良い感じ)。「大岡越前」で志村喬さんが演じておられた呑舟先生も好人物だったが、若いマツケン上様をバックアップするベテラン、という役割を十二分に果たしていた天っちゃん47歳、良い意味で安定感があった。 *ただ、医者なので殺陣が拝めないのが物足りない。えらい勢いで飛んできた鎌を見たときは喜んだものだが、序盤で巴屋の面々(宮口二朗さんら)に絡まれた際、おっ、これからびしばしやってくれるのか?と思いきや新之助がすぐに助太刀に来たのが残念だった(まったく余計なお世話だよ新さん)。
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2006,11,03, Friday
「白い粉」(1971年・S46・10月13日OA)
近ごろ急に心証を落としていた河内屋(梅津栄)が首を吊った。平次(大川橋蔵)は死体が握り締めていた赤い油紙に着目、紙に残った白い粉の分析を、町で評判の蘭方医・伊藤北陽(天知茂)に依頼した。白い粉をつけた小指を舐めハッと顔色を変える、というありがちなシーンを大真面目にこなしてくれた天っちゃんもとい北陽は、この粉がご禁制の麻薬・モルヒネだと断言し、なぜか出どころをしきりに聞きたがった。 ご禁制の麻薬が巷に出回っていることを憂慮し、中毒患者とおぼしき人たちを洗い出した平次だが、患者は既に北陽が引き取ったと知り驚く。そして粉を売りさばいている上方のバイヤー・弥六(芦屋雁之助)を発見した時も、一足先に北陽が接触を図っていた。 だが北陽は、薬事方与力の佐久間(金田竜之介)に面会した後、引き取ったばかりの患者を家に帰してしまった。不審を抱いた平次が夜中にこっそり北陽の屋敷に忍び込むと(不法侵入じゃないのか親分)、棚にはモルヒネの赤い包みが。問い詰める平次に北陽は「三日待ってくれ、そうすれば全て終わる」と嘆願する。 ところが平次が根負けして彼の頼みを聞き入れた矢先、弥六が何者かに殺されてしまった。有無を言わさず北陽をしょっぴく平次。しかし北陽は町の人たちから非常に愛されており、「センセーを返せー!」と平次サイドがすっかり悪者扱い。しかも佐久間まで乗り出し横槍を入れてきたため、釈放せざるを得なくなる。 釈放された夜、北陽は佐久間宅を訪れた。実は弥六を使って町に麻薬をばら撒き金儲けをしていたのは佐久間だった。どうしてもモルヒネを入手しなければならない理由があった北陽は、弥六から真相を聞きながら、あえて沈黙を守ったのだ。その代償のモルヒネをケチ臭く出し渋った佐久間に北陽は懐刀を向けた(が、あっけなく床に倒される)。あわやと言うところで平次親分の必殺武器が飛び出し、佐久間は御用に。 モルヒネだけはちゃっかりゲットした北陽は平次を誘い医院へ向かう。北陽は、足に傷を負った少年の手術に使いたいがためにモルヒネを必要としていたのだった。手術成功後、北陽は平次の前に両手を差し出した。使い方によっては人の命を救うことができ、一方では人生を狂わせる麻薬。どちらも目の当たりにした平次は複雑な気持ちを隠せなかった・・・。 ・・・と、ここでエンドマークでも良かったと思うのだが、「私は立派な人間ではない、立派な医者ですらないのだ・・・」と呟いた北陽が、少年の傷はそもそも彼の誤診が原因で、その失敗を密かに挽回する二度目の手術にモルヒネが必要だった、と告白するオチがつく。この一捻りで、麻薬使用の是非という重いテーマが北陽の個人レベルの苦悩話になってしまった感があるが、「悩める天っちゃん」(あとやっぱり子供に優しい天っちゃんとか)は堪能できる作品。
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| TVドラマ(時代劇)::銭形平次 | 12:18 AM | comments (x) | trackback (x) | |