2010,05,16, Sunday
リアルタイムで期待度MAXで鑑賞したとき「いきなりディスコ〜!」「和服〜!」「(スーツ)きらきら〜!」と目が点になって、いまだにその印象だけが鮮烈なんですが、まあクライマックスの怒涛の謎解き以外はほぼオブザーバーに徹していたセンセイの見どころ的にはそれが正しいのかもしれないなと(どうせなら鉄心と二役とかして弾けて欲しかった気が)
美女シリーズ初演出の長谷和夫監督ですが、「雲霧仁左衛門」や「闇を斬れ」などの他、古くは『空白の起点より 女は復讐する』『殺すまで追え 新宿25時』『藤圭子 わが歌のある限り』でも天っちゃんとタッグを組んでいる気心の知れた間柄です。 【明智先生ファッション劇場】 :センセイの服装をキャプチャーしてみました(バリエーション豊富です)
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| TVドラマ(現代劇)::江戸川乱歩シリーズ | 10:11 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2010,05,15, Saturday
歌のダイヤモンドショー(1966年・S41・10月22日OA)TBS 15:00-16:15
出演:浅丘ルリ子、藤巻潤、天知茂、曽根晴美、久美悦子、志摩ちなみ(朝日新聞東京版より引用) *当時はフジ系で「事件記者」「土性っ骨」の2本にレギュラー出演中だったが、土曜午後のTBSでの歌番組に“歌手”として出演した模様(確認できた中では、今のところこれが初めてかと)。 この年はシングルを4枚出していて、時期からいうと主演かつ企画映画『「空白の起点」より 女は復讐する』(10月15日公開)の主題歌(「空白のブルース」)、あるいは10月24日からTBSでOA予定のドラマ「赤い殺意」主題歌(「女心よなぜ赤い」)を披露したのかもしれない。
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2010,05,08, Saturday
『続・鉄砲犬』(1966年・S41)
密輸品の奪い合いによる銃撃戦で警羅隊長が殉死、しょぼくれこと木村刑事(天知茂)も右腕を負傷した。彼を見舞って仔細を聞いた鴨井(田宮二郎)は、偶然バーで知り合った京子(久保菜穂子)に請われるまま、彼女の“パパ”・秋津(河津清三郎)の古美術を東京へ輸送する際の用心棒を買って出たのだが、実は古美術とは真っ赤なウソ、秋津は冒頭の事件に関わる密輸組織のボスで、京子は彼の情婦だった。 ふてくされた鴨井は、秋津の次の誘い(=人殺し)をきっぱり断るが、思いつめた表情でホテルまで追ってきた秋津の秘書・雪枝(渚まゆみ)が鴨井の就寝中に何者かに絞殺された。彼女が敵対する多々良(杉田康)サイドに内通していることに感づいた秋津の差し金である。通報したものの第一容疑者として尋問を受ける羽目になった彼の窮地を救ったのは、上京してストリッパーになっていた馴染みの玉子(坂本スミ子)としょぼくれ。しかし、雪枝の恋人で多々良の下っ端・荘吉(高見国一)は、鴨井が殺したと唆されたせいで彼を付け狙う。 ファッションモデルになった、という虚言を真に受けこちらに来るという母親を誤魔化したい玉子に協力してやることになった鴨井は、多々良を取り込んだ秋津に売られかけて泣きついてきた京子を匿う見返りとして、玉子用のマンションを彼女に用意させた。ところが、病気の母親の代わりにやってきた玉子の弟はなんと荘吉。鴨井の言葉で改心した荘吉は、雪枝殺しの黒幕を暴くために協力を申し出るのだが、秋津は彼を拉致、京子との交換を鴨井に持ちかけた。荘吉も京子も見捨てない、と電話口で言い切った鴨井の姿に、京子は自ら秋津の元へ戻り、荘吉の命を間一髪で救った。 鴨井は銃撃戦の末(弾切れ寸前のピンチにパトカーで駆け付けたしょぼくれのお蔭もあって)秋津たちを倒したが、京子は命を落とした。後日、“モデル”の玉子と“サラリーマン”の荘吉を(知らぬ顔をしてくれたしょぼくれと共に)見送った鴨井は、京子の遺骨を故郷・青森へと送り届けるため、旅に出るのだった。 *『鉄砲犬』の次だがストーリーは続編ではない。いきなり撃たれて負傷したしょぼくれ刑事、包帯姿で捜査を続行、ボス・秋津や雪枝殺しの真犯人(前回同様の殺し屋役・守田学)の胡散臭さに眉間を鋭くするシーンや、“独り言”で情報を漏らすなど相変わらずの鴨井贔屓なシーンもあるが、出番は心もち少なめ。新東宝同期の久保さんとは顔合わせがほとんど(全く?)なかったのは残念だった。 *(右腕吊ってるので)左手でお箸を持ってうどんを食べていたしょぼくれは凄いと思った。
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2010,04,21, Wednesday
『明治大帝御一代記』(1964年・S39)
*正しくは「大蔵映画」ですが、新東宝カテゴリに入れています かつて新東宝が製作した『明治天皇と日露大戦争』、『天皇・皇后と日清戦争』そして『明治大帝と乃木将軍』を再編集し、1本の映画にして公開した作品。 前2作には出演している天っちゃんだが、『明治天皇…』冒頭のモミアゲ代議士は本筋に関係ないからかばっさりカット、そのかわり『天皇・皇后…』でのモミアゲ狙撃犯・小山の活躍(ハタ迷惑な暗躍)ぶりはノーカットで使われていた。でもそれだけなので、わざわざこのダイジェスト版を見る意味は(天知ファン的には)あまりない。 *DVDには嵐寛寿郎・若山富三郎・高島忠夫のプロフィールつき(アラカンさんはともかく、どういう基準のチョイスなのかいまいち不明)。ただジャケットには、アラカン・宇津井・天知の順でクレジット表記されていた(これもどういう基準なのか)。 *正規品なのに、こういうウッカリがあると胡散臭さ倍増である
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2010,04,19, Monday
「千代田の濠に咲く友情」(1979年・S54・5月6日OA)
修復間近だった江戸城の外堀が崩れ、多数の死傷者が出た。現場を仕切る松平備前守(高橋英樹・二役)は「工事を長引かせてたんまり賄賂をもらうためだろう」などとイヤミな老中・本多(田口計)とその取り巻きに責められて顔面蒼白、思わず刀に手を掛けたところで、只一人の味方・脇坂摂津守(天知茂)に止められた。身に覚えのないことながら、結果は結果だと切腹を辞さぬ覚悟の備前守を心配した脇坂は、自ら彼の双子の弟である桃太郎にコンタクトをとり、事件の背後を探るよう依頼する。 何者かが火薬を用いたことを既に突き止めていた桃太郎は、本多と癒着する石問屋たちと密談する侍が、かつての旧友・酒井仙十郎(森次晃嗣)だと知って驚いた。病身の母と幼い弟を抱えた酒井は、母の治療代のために本多の言うなりになって爆破事件の片棒を担いでいたのだ。 備前守を閉門蟄居に追いやったものの、事故の究明が先だと正論をぶいぶい押し通すコワモテ脇坂のせいでうまい汁が吸えない本多たちは、今度は脇坂を消してしまおうと画策。彼が上様の名代で日光へ代参する機会を狙って、「行列ごとぶっ飛ばせ!」と酒井に命じる。母と弟を人質に取られ仕方なく本多の部下たちと先回りに向かう酒井。しかし、陰謀を聞きつけて馬を飛ばした桃太郎によって計画は阻止され、酒井は友を庇って銃弾に倒れた。 怒りに燃えた桃太郎は本多たちを根こそぎ鬼退治。備前守がよろしく言っていたと、脇坂も顔をほころばせるのだった。 *ヨロキン版「赤穂浪士」の脇坂淡路守と同時期の脇坂摂津守、堂々たる正義漢ぶりが頼もしい。が、「桃太郎を頼らずに自分で全部解決しそうな主演オーラ」や「邪魔者が全員いなくなって、これから天下は思い通りに動かしてやるぜな黒幕オーラ」が出ていないこともなくて、普通すぎてちょっと勿体無い友情出演だった。でも一応、タイトルの「友情」ってのは備前守&脇坂のことなのか? それとも桃太郎&脇坂?(桃太郎&仙十郎が濃厚かもしれない)
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| TVドラマ(時代劇)::その他(ゲスト) | 08:10 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2010,04,14, Wednesday
「伊藤一刀斎」 (1969年・S44・2月19日〜3月12日:全4回) NET 21:00-21:56
(読売新聞 1969年2月19日号より引用) 【一刀流無想剣の伊藤一刀斎】(2月26日あらすじ) 伊藤弥五郎は神道流諸崎一角、殺人剣を誇る兵藤陣之助らと一本松ヶ原での決闘にのぞむ…。(3月5日あらすじ) 奉納試合で強敵の鎖ガマの吉岡を倒した伊藤一刀斎は、新流派一刀流をうちたてていくのだった。(当日の新聞広告文句:画像) にくい! *風で揺れてる寛プロさん(ワイズ出版「天知茂」の奥様インタビュー参照)との共演時代劇。一色次郎さんの原作(「孤雁〜一刀流対柳生新影流の決闘〜」弘済出版社)では、副題のとおり、ことのほかえげつなく描かれた柳生一族(おもに石舟斎・宗矩父子)との宿命の対決がメインで、剣の師匠も別人、将来を誓いあう女性も設定がずいぶん違うが、そこは宮川先生が天っちゃん仕様にまとめているんだろうなと推測。資料が新聞記事くらいしか見当たらないが、映像は残っていないのだろうか?
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2010,03,12, Friday
『女王蜂と大学の竜』(1960年・S35)
三国人連盟の横暴からマーケットを守る関東桜組。ドンパチを好まず、清く正しい任侠道をゆく組長の千之助(嵐寛寿郎)とそのグラマー娘・珠美(三原葉子)だが、連盟の呉(大友純)やショバを狙う土橋(近衛敏明)のいやがらせはヒートアップする一方。そこへ現れ窮地を救ってくれたのが、ラバウル帰りの元特攻、頭が切れる(らしい)ので“大学”との仇名を持つ大学の竜こと広岡竜二(吉田輝雄)。しかし、桜組の幹部・達(沖竜次)が土橋サイドに内通していたことから事態はどんどん悪い方向に。果たして珠美は組を守れるのか!? さて、クレジットは両サイドに余裕のある好位置につけていながらgooのあらすじにも名前が出てこない駒形金竜(天知茂)は、アラカン組長に付き従って和服姿で登場するそのスジの人。よく見ると右頬にえげつない刀傷があるこの男(画像)、組員たちから「叔父御!」と呼ばれていて、血気にはやる若衆に「静かにしろい! 組長の命令があるまでは、勝手な真似は許さねえ!」と啖呵を切って瞬時に大人しくさせる凄腕である。“叔父御”というのは「親分と五分五分の兄弟分」らしいから、若いのに立場も上等だ(アラカンさんと兄弟分!) ところが敵の陰謀により、派手な出入りが起きる前に進駐軍に引っ張られてしまうので出番はあっという間。あの刀傷はアラカンさんを庇った時のもので、それがきっかけで盃を交わすことになったんだろうか、きっと元々は一匹狼でぶいぶいいわしてたに違いない、それよりどさくさに紛れて珠美姐さん(竜とラブラブ)が4代目になってしまってあの後どうなるんだろう、などと色々想像を逞しくする(しかない)役柄ではあった。 *オカマっぽい挙動やらウケ狙いの寄り目やらをしてのける吉田輝雄さん、ずいぶんこなれてきたようだ(似合っているかどうかは別として)
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2010,03,09, Tuesday
素敵なこの人 (1983・S58・9月19日OA)
([2]の続き) 喜田晋平(以下、喜):いやいや、どうもどうも! 天知茂(以下、天):お久しぶりです。 檀ふみ(以下、檀):どうぞ、お座り下さい。 喜:何を話しまんね。(画像) *喜田さんは関西弁 檀:大部屋時代の臼井青年は、どんな感じのかたでしたか? 喜:どんなてアンタ、アンタ今「臼井(ウスイ)」いいましたけどな、影のウスイね、… 天:(笑) 喜:そんなもう、いるかいないか分からんようなね。だから僕らよう言うてましたよ。もうウスイウスイ、影がウスイてね。そういう人だったですよ。 檀:だって、あのほら、私ちょっと昔の写真拝見しましたけど、非常な二枚目でいらっしゃった…(二枚目画像1・画像2) 喜:ええもう、まあねえ(笑)いやいや、その当時はねえ、ほんま影うすかったですよ。うん、もういるかいないか分からん。 檀:ぜんぜん、その、要するに、将来スターになるかなんて… 喜:そんなもん、ありますかいなアンタ全然。ほんとにほんとに。今はもうねえ、素晴らしい人ですよ。でもその当時はねえ、僕の方が出世すると思てましたからな(笑)そうそう、アンタまたよう勉強(べんきょ)しまんねんこの人。(大部屋時代の二人の画像) 檀:ここ(山本さんへの手紙)に書いてあった内容見ました。映画のことばっかり。 喜:そうそうそう、だからね、ワシがもうね、眠たいでしょ夜ね、でこの人がね、…キネマ旬報の後ろにさ、有名な映画のシナリオがあるでしょ? 檀:ああ、全部載ってる。 喜:そうそう。それをこの人が夜また、ぼとぼとぼとぼとと台詞を喋るわけですわ。 檀:練習なさってるわけですか、台詞を。 喜:ワシがもう眠たて「もうはよ寝えな、出世はアンタ出来ないんだから」と(笑)ね、一言もそんな台詞なんかもろたことないんやから、今からしたってアカンアカンと。 檀:影うすいんだから?(笑) 喜:そう、影うすいんだからダメだっちゅうて。 檀:でもその当時は、台詞とか喋るチャンスはあったんですか? 喜:そんなもんありますかいなアンタ。一言もあれへんがね。 檀:だってそのために勉強なさってたわけじゃないんですか? 喜:いやまあ、そら将来ということを考えていたんでしょうなあ。 檀:ずうっと将来に… 喜:とにかくまあ檀さん聞いて。とにかくね、この…キャバレーでなくて…喫茶店でさ、ボーイで、…ボーイやな?(天知さんに確認) (画像)*写真は「地獄の血闘」(1951)らしい。左は主演の鶴田浩二さん 天:うん。 喜:お喋り一言も無し、ただお盆持って、水入れてさ、持ってくだけや。「いらっしゃいませ」って、言うか言わんか分かんないけど。 天:言ったよ、一応あれ。 喜:言った? 天:うん。 檀:よく覚えてらっしゃる(笑) 喜:やっぱ覚えてんねん、ショッキングやったんで。…こう(お盆をもつ真似して)ガタガタガタガタ…って、(天知さん)震えてんだね。ねえ、今の天知さんとは思いもつかんでしょ。震えて。ほたらこう、録音が「ププーッ、なんじゃ今の音は! カーッ! 臼井君? うーん代われ代われ! ああ、お前やれ!」ってワシ。「いらっしゃいませ」で「オッケー!」で、(彼の)出番はパー。 檀:そのへんちょっと待って下さい(笑)あの、天知さんにもちゃんと伺っておかないと。いかがだったんですか? 天:そうそうそう、その通りです。 檀:その通り。もうあがってしまって、緊張してしまって。 喜:影がうすいんだから、とにかくもう(笑) 檀:あらそうですか。それでそういう生活を送りながら、そんなに割と、生活も貧しくて…また、大病をなさったのも、その当時なんですか? 天:そうですねえ。夏のねえ、暑い時でしたけれどもねえ。京都ってのはまた暑いでしょ? 檀:ええ、夏は非常に。その当時のお話も、ちょっとお兄様に伺ってますので、… 天:そうですか。 檀:ちょっとお聞きください。 VTRの薫兄さん:肺炎でしょうかねえ。40度の高熱が続くと。ところでまあ思い出しますと、当時1本1000円という…ペニシリンですか、あれをねえ、7本打つと。で7000円の大金をですね、昭和20…何年でしょうか、22年か3年ですからねえ。まあ今思ってぞっとするような大金だったと思います。もうほんとにねえ、当時寿司屋やってましたからねえ。売り上げをね、その日の売り上げをひっさらえてねえ、また送るというようなことをやった覚えがありますね。まあそれでもとにかく、命は助かったということでね、非常にまあ嬉しかったですねえ。 川瀬さん(以下、川):みんなあの、お酒が好きなんですよ。だから見舞いに行ってね、見舞いはもうどちらでもいいからね、… 檀:名古屋からいらしたんですか? 川:そうですそうです。 檀:京都まで、お見舞いにいらして。で、何なさったんですか? 川:夜ね、飲みに行くんですよ、毎日ね。で2時か3時くらいに帰ってくるんですよ。ほんで彼、ウンウン唸っているのにね、わしらだけぐーぐー鼾かいて寝てるもんだからね、彼のお袋さんに叱られましてね(笑) 天:(笑) 川:あんたたちは何しにきたんだ一体、と叱られたことがあるんですよ。 檀:お母様はその時… 天:ええ、もう付きっきりでした。 (お母様との画像) 檀:そうですか。…そういうお母様も、4年前でしたか、お亡くなりになられて。 天:そうですねえ。ええまあ、これ…ひとつの因縁っていえば因縁なのかもしれませんけど、ちょうど僕が役者になって30年目の年だったんですね。でまあ、30年目だからというので、30周年というような形で、東京と名古屋と大阪で、なにか催しをやろうというような計画を立てている時に、ちょうど息を引き取っちゃったんですけどね。 檀:死に目には、お会いになれたんですか? 天:会えなかったんです。それでその、2日ぐらい前に、もう危ないんじゃないかって兄貴から連絡があったんで、行って、そのときにはもう、意識は無かったんですけれども、まあ、手を握ってね、それで…それで、お袋ってのは、僕が役者になりましてね、まあ京都時代は「臼井」でしたけれども、「天知茂」という芸名…これは新東宝に入ってからですけど、そうなりましてからっていうのはね、それまではもちろん「登(のぼる)、登」と呼んでたわけですが…芸名でね、必ず呼ぶんです。 檀:「天知茂」におなりになってから。 天:ええ、「天知、天知」ってね。…で、まあそのときも、「天知だよ」と僕が言って、…んー、言ったんだけど、まあなんとなく分かったのかな、分からないのかな、ってそんな感じだったんですけどね。でもまあ大丈夫だろうと思って僕が東京へ帰ってきて、帰ってきた途端に電話が掛かってきましてね。それがね、ちょうど僕のテレビを、…放送が始まったときだったんです。で、電話が兄貴から掛かってきたときは、ちょうど僕のタイトルが出てるぐらいのところで、電話が鳴りましてね。…ですから当然名古屋も同じ番組をやっていたはずですから、ちょうどその時に息を引き取ったっては、なんとなく因縁っていいますかねえ。 *別記事によると、お母様が亡くなったのは1979年3月6日、「僕のテレビ」とは、「柳生一族の陰謀」#22(宮本武蔵役)。 檀:まあでも、お母様がそういうふうな道に進ませたも同然であったし、… 天:ええ。 檀:でも、よかったといえばよかったというのは、ちゃんとその、立派になられたところを、ご覧になってらっしゃったから… 天:そうですねえ。まあそれとね、亡くなる10年くらい前から、足を悪くしましてね、お袋は。ですから、あんまり歩行は出来なかったので、東京へ来るっていうこともあんまりなかったし。ですからなんとかね、名古屋でね、舞台をやろうと思って。で、それはまあ、もちろん、お袋のためだけではないんですけども、お袋にやっぱり見せたいと思って、それで名古屋の御園座って劇場で、ずっとその頃お芝居をやってたんですよね。 喜:役者になったの18でしょ、18から未だかつて初志貫徹、全然変わらない。思い遣りとかね、そういうことがほらもう…全然狂いがありませんな。 檀:初志貫徹といえば、その男のロマンである映画作りであるとか、そういう夢を持ってらして、なんか今、映画を… 天:ええ、そうなんです。まあ役者ってのはどうしてもね、一度はなんかこう自分の手で作りたいとか、なんかそういう夢って必ずあるものなんでしょうけども、僕の場合も、勿論ずっとあったんですけれどもね。ただまあ、映画作りというのは、決して一人での仕事ではないし、沢山の仲間があって初めて成り立つ仕事だから、自分だけの気持ちだけでやっちゃいけないと。…たまたまねえ、日本人ではなくてね、スペインのねえ、俳優でもあり、そして監督もやるっていう、ポール・ナッチーっていう男がいるんですけども、その男とたまたま6年ぐらい前に僕はあの…東京でね、ある人の紹介で、知り合いましてね。それで約6年間にわたって、向こうが日本へ来たり、僕がまたスペインへ遊びに行ったりというような機会を利用して、交流を深めていって、それでお互いまあ映画人なんだから、なんか一緒に作ろうじゃないかという話を育ててきましてね。それで今年、やっと実現させたわけですね。(画像) 檀:じゃあスペインとの合作映画… 天:そうですね。ですから、まあ、僕はこの道が好きで役者になったし、その好きだっていうのはもう、昔も今もまったく変わりがないんですね。ですからまあ、そこ(手紙)になんて書いてあるか分かりませんけども、それと同じ気持ちが未だにやはり失わずにある、っていうことだけは言えると思うんですねえ。だからこの好きな世界の中で、自分をいろんな意味で試していく、自分の可能性を試していく、で、絶えずなんか新しいものにも挑戦していくという気持ちだけは、…(ここでクレジットが終わって終了。ちと喋りすぎです天知さん) *緊張の余りガタガタ震えて出番をかっさらわれたり、そういうほろ苦い経験を積んであの眉間(だけじゃないけど)ができ上がったんだなあと思うと感慨深い。でもそれで最後はポール・ナッチーに行きつくのはなんだかなあ、だが(失礼) *喜田晋平さんは美女シリーズなど、天知作品のどこかを探せば出てらっしゃる人だが、例の「日傘の女」では堂々(?)の主役を張っている。
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2010,03,08, Monday
「城明け渡し」(1979年・S54・7月9日OA)
赤穂城明け渡しは4月19日卯の刻と決定、既に到着している収城使の軍勢が城を囲む中、名残りを惜しむように城に残って最後の夜を過ごす藩士たち。副使・木下肥後守サイドの酔っぱらった武士たちが外から罵倒を浴びせて神経を逆なでするが、内蔵助(萬屋錦之介)はキレかける藩士たちに忍耐を説く。 一方、内匠頭(松平健)と懇意にしていた正使の脇坂淡路守(天知茂)は、領民たちに最後の別れの場を提供してやるなど好人物ぶりをさりげなく演出、明け渡し当日も、何もかも完璧に用意してのけた内蔵助にねぎらいの言葉をかけ、赤穂を一望できる櫓へと案内させた。 内蔵助と二人きりになったとき、高潔な内匠頭は悪法や賄賂の横行への憤りが半端ではなかったこと、その悪業の権化ともいえる上野介に対して刃傷に及んだのは決して短慮ではなく、止むに止まれぬ刃傷であったことを打ち明ける淡路守。そして、「余に仕えぬか?」と誘ってみるのだが、ここからが本領発揮な内蔵助が首を縦に振るわけはなかった。それでも固辞した態度が立派だと相手を誉めた淡路守は、もう二度と顔を合わせることはないと思うが堅固で暮らせよ、と優しく声をかけるのだった。(そしてたぶんその言葉どおり二度と出番はない模様) *ずいぶん長い間すったもんだあったようだが、使者がどこまでも善い人だったおかげで城明け渡しすんなり完了、な回。感情を押し殺して冥府魔道を行く(←違う)ヨロキンご城代と十分対抗できるオーラは持ちあわせているはずの天っちゃんだが、毒気の欠片もない役柄(「ああ忠臣蔵」の岡田淡路守でも、御城代が本懐を遂げることを暗に期待する発言をしていたのにそれも無し)では少々分が悪そうでもあった。 *ご城代の隣に控える吉田忠左衛門役で細川俊夫さん。殺し殺されを繰り広げていた新東宝時代の僚友の前での凱旋(?)はさぞ気分が良かった?
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2010,03,04, Thursday
素敵なこの人 (1983・S58・9月19日OA)
([1]の続き) 檀ふみ(以下、檀):ご紹介いただけますでしょうか、防空壕仲間を(笑) 天知茂(以下、天):えー、川瀬くん、長瀬くん、山本くん。 (画像) 檀:この中で、臼井少年を「こっち来いよ」とお呼びになった方はいらっしゃるわけですか? 川瀬さん(以下、川):いや、この中にはいないと思いますよ。 檀:じゃあ、今全然お分かりにならない… 天:思い出せないんですよねえ。 檀:じゃあもしかしたら、天の声かなんかで引っ張られたのかもしれない… 天:なんかそんな気もしないでもないですねえ、今にして思うとねえ。 檀:だって、その時に命が無くなってたかもしれなかったんですもんね。 天:そうなんです、ほんとに。ですからこれだけは、運命の分かれ道なんてよく言いますけどね、まさにその通りですねえ。 檀:学校ではどんな具合だったんですか、この臼井少年は。 川:おとなしかったですね。 檀:おとなしかった、静かだった。 川:文学少年ですよ。 天:ふふ(タバコ吸いながら照れ笑い) 長瀬さん(以下、長):目立たないね。 山本さん(以下、山):非常に真面目な方で、あのー、目立たない… 檀:お体もあんまりお強くなかったし。 山:ええ、そういうことですね。 檀:何か特にお出来になった科目とか、出来なかった科目とかは…? 長:国語がね、得意でね。ま、暗記力はすばらしく、まあできとったですね。 檀:暗記力が抜群。国語が得意。 長:国語の試験のときにね、答案用紙をね、(臼井君は)すべて書いてね、私はやることないからそれを失敬してね、それを出した覚えがあるんですね。 天:(笑) 檀:ちょっと待って下さい(笑)、ちょっと話をよく飲み込めないんですけども…この話は、ひょっとして…大変お出来になる、国語が、天知茂さん…臼井少年は。そして長瀬さんはあまりお出来にならない。皆さんどうだか分からないんですけど、そうすると、元試験用紙だったのかしら? 天:まあつまり、カンニングですよ(笑) 川:だからここ(中央)に臼井君がいるでしょ、この周りに私達が机並べているわけですよ。それでみんなの答案用紙をね、回しちゃって。だからね、この人(臼井君)が間違ってると、みんな間違っちゃうの。 (一同爆笑) 檀:じゃあ皆さん、国語の成績は良かったんだ、きっと。 長:そうですねえ。 檀:でも、当時から暗記力がいいということは、つまり、今は台詞を覚えたりしなきゃいけないから、大変… 長:ま、今日あるのも、国語が出来たせい…暗記力が抜群だからここにいる…まあ、現在の天知さんがあるんじゃないですか。 天:(笑) 檀:そして、戦後になりまして。臼井少年は、松竹に入りまして、大部屋時代を送るわけなんですけれども、その大部屋時代のお話は、お知らせを挟みまして後ほど伺うことにいたします。 + + + 檀:その、松竹に…京都の松竹に…? 天:そうですね、… 檀:松竹の、京都撮影所にお入りになったんでしょ? 天:当時、松竹下加茂撮影所っていったんですね。 檀:昭和24年? 天:うん、24年です。 檀:そして、大部屋時代をお送りになるんですけれども、なんかチョイ役もチョイ役、大変なチョイ役ばかりだったという風に… 天:要するにねえ、役というところまでいかないんですよ。だからチョイまでもいかないわけですけどね(笑)つまり、僕たちの言葉でいうと「仕出し」といいましてね、通行人とかね、そういうのが… 檀:あの、すっと通り過ぎてしまう… 天:そうですそうです。 檀:…(そんな)役をずっとなさっていたわけですね。それが、しかしそういう役に出会ったにも関わらず、お友達に見るようにと、せっせとお手紙を出してたというお話もありますけれども(笑) 天:(笑) 檀:そのへんのところはいかがなんでしょう、山本さん。ご記憶はありますか? 山:ええ、私はよく手紙をいただきましてね、よく見に行きましたんですけど、まばたきしますとね、もう画面から消えてるわけですね。 (一同笑) 檀:どこに出たか分からない…(笑)息が抜けないでしょ、最初から最後までいつ出るか分かんない、まばたきするうちに消えてしまうなんて… 山:だからもう、目をね、開きっぱなしにしとかないといかんものですからね。 長:それもね、2、3回ね、寿司屋の兄さんと見た覚えがあります。 檀:お兄様とご一緒に? 長:はい。 檀:2、3回、まばたきする間に消えてしまうのを… 長:鬘かぶって、こういう(顔を上げる仕草)…2、3カットをね、2、3回みたことがあります。 (一同笑) 檀:でも、馬鹿らしくなってきませんか…? いかがですか、川瀬さんは。 川:そうですね、… 檀:なんか、その、お金を払って… 川:まだ、体全体が映ればいいんですけどね、足だけのときがあるんですよね。 (一同笑) 川:足なんて見たってぜんぜん分からないでしょ。それなのに彼はあの、せっせと…(*聞き取れず)に書いてね、見てくれ見てくれってね、送ってくるんですよ。 檀:そうですか。でもお母様は、献身的にご覧になったっていう… 天:お袋は…なんかね、初めて映ったとき、もうそれなんかはね…お坊さんなんですよね、通行人でね。 *おそらく「森の石松」(1949年) 檀:お坊さんというと、どういう…? 天:あのー、こういう…(頭の周りに手で笠をつくる) 檀:虚無僧? 天:うん、網代笠っていうのかな… 檀:こういうの(同じく笠をつくって)…顔が見えない? 天:そうそう、見えない。なんだけど、なんか10回だかなんかね…見に行ったらしいんですよ。 檀:それは、天知さんがやっぱりお手紙をお書きになって。 天:そうそうそう。もちろんそうですけどね。 檀:どういうお手紙で? あの… 天:うーん、あんまりそのへんは定かじゃないんですけども… 檀:こう、だって、分からないでしょ、こういう役で出ます、こういうシーンで、ここに出てるのが僕ですとか… 天:まあ、そういうようなことでしょうねえ。 檀:その貴重なお手紙がね、ひとつだけここに… 天:ええ!? 檀:…残っているんですよねえ(手紙を取り出す)。これ、山本さんに届いたお手紙なんですけど…臼井登さん、たちばな荘より。 天:よく持ってたねえ!へえー(笑) 檀:すごく達筆というか、素晴らしい字で…まだお若いのに、お上手な。これね、ちょっと先程読ませていただいたんですけれども、ちょっと最初の方だけ読んで、後は掻い摘んでお話いたしますが。 『お手紙有難うございました。その後もお元気にて何よりです。小生も元気いっぱい仕事に…といっても、今撮影中のものは「薔薇合戦」だけで、同時に3本入っている時に比べれば暇なものです。仕事の無い日は読書、映画鑑賞にその日を送っています』 …と書いてありますけども、これも、3本入ってたといっても、やはりそういう、通行人的な役だったわけですよね。 天:もちろんそうですよ。 檀:で、ずーっと後は、日本の…これ、ご興味あったんですか、山本さん? 山:ええ、私もその当時はまだ若うございましたから、はい。 檀:…ご興味あって。もうずーっと日本映画について色々書いてらっしゃるかと思うと、イタリアのリアリズム! 天:あはは(笑) 檀:そして、フランスの映画について。もう、世界的な視野で、映画について最後まで語ってらっしゃいますけれども。『日本映画前進のために、勉強していく決心です』 天:すごいねえ(笑) 檀:ねえ、素晴らしい。 天:後で読まして?これ(笑) 檀:こういう、凄く映画青年でいらして、その当時に苦楽を共にしました、大部屋時代仲間の方を、今日はお一方、お呼びしておりますので。えー、どうぞ、お入り下さい。 (「3」に続く) *同級生が出てくると顔が綻んできて(だいたいこんな感じ)、ひときわ高い声で嬉しそうに笑ってた天っちゃんが微笑ましい中盤部分。山本さん、私にも読ませて下さいその手紙。
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