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大岡越前 第1部 #14
「地獄の使者」(1970年・S45・6月15日OA)

大岡越前1-14

行き倒れ男の死因は阿片中毒だった。抜け買いの横行を憂う源さん(大坂志郎)は潜入捜査を申し出るが、名物男の源さんは敵にすぐ知れるから、とお奉行様は首を縦に振らない。頼みの綱は密偵中の隠密廻り・足立(池田駿介)だが、その頃彼は身元がばれてメッタ突きの憂き目にあっていた。瀕死で逃げ帰った足立を発見、今わの際に言い残した言葉を聞いたのは、敏腕与力の神山左門(天知茂)であった。

(自分もある意味名物男だろうに、きっと凶悪な面相でお奉行様を押し切ったに違いない)左門さまは武州無宿の左平に姿を変え、足立が言った源七という男を探すため大番屋へ潜入する。案の定、速攻で「こいつ町方だー!」と期待を裏切らないバレ方をするものの、そこは用意周到な左門さま、二の腕の島帰りの刺青と賄賂で事なきを得た。そして牢内で血を吐いて倒れた男を介抱したところ、それが源七(北町嘉朗)と判明。重病の源七は「妹に渡してくれ」と抜け買いの割符を左平=左門さまに託して死んだ。

お白州に引き出され、「神山様にソックリだ!」と同僚に驚かれつつ(当たり前)お奉行様から無罪放免を言い渡された左平=左門さまに、怪しい男たちが接触を図ってきた。目隠しで連れられた先は川沿いの倉庫。そこのボスに割符を渡せと迫られ、源七の妹に金を遣るという目的で仲間になることに。次の取引の日時を盗み聞きし、大事に懐に忍ばせていたお江戸の新兵器・伝書鳩で(小林君@少年探偵団のように)源さん達に知らせる左平=左門さまの不審な挙動を、下働きのおすずちゃん(長谷川峯子)は目撃しながら知らぬ振りをしてくれた(さすが未来の恋女房@大忠臣蔵)。

しかし今回は取引ではなく“イヌ”を排除するためのものだと現場で言われてたじろぐ左平=左門さま。見張っていた源さんを(うまいぐあいに十手付近に刀を当てて)川に落として急場を凌ぐが、倉庫に戻ると「イヌが分かったぜ」と顔色の悪い用心棒(石橋雅史)が刀を手に迫ってきた!と思いきや、「女に会いにいって、博打で稼いだ金だああ」小判をじゃらじゃら落としながら隣の男がばっさり斬られ、身代わりで御臨終

源さんが手拭から尾張屋を割り出したり、源七の家族がたまたま伊織(竹脇無我)と知り合いで、無実の罪を着せられ百叩きに遭って以来身体を壊した父親にお奉行様が謝ったり、というサイドストーリー(いや、こっちがメインか)があって黒幕は判明した。あとは抜け買いの現場を押さえるだけ。炙り出しの手紙をおすずちゃんに託した左平=左門さまは、用済みのボスを斬った用心棒を倒し、「俺が頭だ、文句はねえだろうな!」と荒くれ者を率先して次の取引先へと向かい、首尾よく一味をお奉行様に引き渡すことができたのだった(荷物の中をまだ確認していないのに「観念せい、尾張屋!」とビシッと言い切って観念させたお奉行様のやり方に「お奉行、なかなかのハッタリだぜ…!」と呟いてニヤリとする左平=左門さまがステキ〜!←完全贔屓目)

最後は与力姿でおすずちゃんを迎えにきてエンド。姿が変わると性格までころっと変わってしまう左門さまが堪能できる回である(脚本は宮川一郎さん)。

*写真左は牢名主に罪状を聞かれて「ちょっと、喧嘩しちまってよぉ」と恥ずかしそうに言う左平さん。右は「だってあんたならあたしを助けてくれると信じてたんだもん」とおすずちゃんにコクられた(?)ときの左門さま。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=409 |
| TVドラマ(時代劇)::大岡越前 | 12:35 AM | comments (x) | trackback (x) |
大岡越前 第1部 #5
「血の直訴状」(1970年・S45・4月13日OA)

大岡越前1-5

#4で遭遇した、かつてのフィアンセ(=源さんの早世した長女)に激似の女性(宇津宮雅代)が忘れられないお奉行様(加藤剛)のため、人探しに精を出す辰(高橋元太郎)と源さん(大坂志郎)。件の女性を町で見かけ、辻駕籠に乗ったことを突き止めたは良いが、その駕籠かきの一人が何者かに斬殺され、もう一人は行方不明になった。

まさか、あの女性がそんな血生臭い事件と関わりがあるなんて……と信じられないお奉行様と源さんだが、事件を聞いた左門さま(天知茂)は「吟味の筋道に先入観は禁物だ」、もしかするとその女性が下手人かもしれぬぞ、と客観的かつクールな言葉を放って源さんをちょっとむくれさせる(女性を追う理由を口ごもる源さんにわざと食い下がる好奇心旺盛な左門さまがお茶目)。

幸いなことに、もう一人の駕籠かきはからくも逃げ帰ってきた。彼によれば下手人は女性の直前に乗せた若侍。駕籠に忘れた何か重大なものを探していたという。若侍の他にも怪しい浪人がやはり何かを探しに来たが、駕籠の中には何もなかった。やはり、行き当たるのは例の女性。ようやく分かったかの人の素性は、本当は見合いするはずだった娘――大番頭・吉本作左ヱ門の養女・雪絵であった。

実は雪絵は、若侍・勝之進(長谷川哲夫)が駕籠に忘れた血の直訴状を拾っていた。早速彼女に事情を聞きたいお奉行様だが、父(片岡千恵蔵)と作左ヱ門がつまらぬことで喧嘩して見合いが御破算になった経緯があり、なかなか事が運ばない。うーん困ったな、と悩む(お奉行様と)源さんに、いつでも切れ味鋭いカミソリ左門さまは、何をそんなに迷っている、娘の身に危険が迫ってからでは遅いぞ!と、吉本家を警護するよう的確なアドバイスをするのであった。

陰謀により切腹させられた父の汚名を晴らす大事な直訴状を落としたばかりか人まで斬ってしまったウッカリ侍・勝之進は、父の仇が雇った荒くれ者たちに襲われた。そこへたまたま通りがかった左門さまは数人のザコを十手だけでビシバシどつき、退散させる。彼が与力と知った勝之進はあろうことか恩人の左門さまに斬りかかろうとするが力尽き、親切な左門さまに奉行所に運ばれた。

…その後左門さまの懸命なる手当(←お奉行様談)の甲斐なく勝之進は死んでしまい、彼の姉さんも仇の一人と相討ちで果て、上様は直訴を取り上げることはなかったが目安箱を新たに設置、お奉行様は晴れて雪絵さんとラブラブに、という展開。

*このドラマにしては人が空しく死んでいく率が高く、一番の大物には(この話の時点では)手出しが出来ない、というもどかしさが残るシビアな結末。左門さまは事件の深部まで推測するいつも通りのキレ者だったものの、それと知らずに勝之進と遭遇した程度で正面から関わってくれなかったので残念だ。

*画像は「さすがはカミソリと言われるお方だ」と源さんに褒められて(これでも)ちょっと照れてる左門さま。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=410 |
| TVドラマ(時代劇)::大岡越前 | 12:36 AM | comments (x) | trackback (x) |
次郎長三国志
次郎長三国志(1964年・S39・1月8日〜6月24日OA:全24回)CX 21:45-22:15
【次々おなじみの顔ぶれ/13回連続の「次郎長三国志」】
『 村上元三の原作を浅川清道が脚色、13回にわたって送られる。若き日の次郎長を主人公に、1話ごとに変わった男が登場し、子分になっていくという構成になっている。第1話「桶屋の鬼吉」、第2話「森の石松」と次々におなじみの顔ぶれが登場、清水28人衆が勢ぞろいするというわけだ。主人公の次郎長には「銭形平次」以来久しぶりに時代劇に出演する安井昌二。きょうの第1話はオケ屋の鬼吉に天知茂がなるほか、大辻司郎、原知佐子、花園ひろみ、若柳敏三郎、中村是好、上田吉二郎ら。』
(以上、朝日新聞縮刷版より。13回予定が、好調ゆえか24回に延長した模様)

#2(1/15)
(前略) タンカ、出入り、義侠、色模様と、ワンコース揃っているからけっこう面白そう。「ことしはコメディ路線にのりたい」と言っていた天知茂が鬼吉に扮して中国弁(*名古屋弁?)をしゃべる。「三匹の侍」の長門勇の向こうをはったわけでもあるまいが……
(週刊TVガイドのあらすじより)

[読者サロン] (週刊TVガイド 1964.2.7号より)
【楽しめる天知茂の新境地】(鎌倉市・Mさんの投稿)
8日からスタートしたフジ「次郎長三国志」は楽しめる時代もので1回目を見てたちまちこの番組のファンとなったが、このドラマで桶屋の鬼吉に扮した天知茂が今迄とガラリと変わった明るい面白い味を出し、大いにはりきっているのが注目される。コミカルな味のものはすでに「虎の子作戦」のシャネル役で成功しているが、この鬼吉はそれとはまたべつの“楽しさ”を味あわせてくれる。
喧嘩の早い短気者で血の気の多い男でいかさま賭場へなぐり込みをかけ次郎長を追って来て盃をくれと坐り込む威勢のよさを見せるかと思えば、花園ひろみ扮するお千と顔を合わせると、好きなくせにろくに口もきけず果ては奇声を上げてかけ出してしまったり、夜回りをしながら障子にうつるお千の影を見上げて、そっと名を呼んでからテレかくしのようにやたらに拍子木を鳴らし「火の用心」とどなるあたりのコミカルな演技にはたびたび笑いを誘われてしまった。
天知といえばニヒルなムード、悪の表現の巧みさが特質と思われがちだが、それだけでなくこうした明るい、カラリとした味も出せる人であることを改めて感じた。名古屋弁のセリフ回しもユーモラスで「いなかやくざ」の味を出すことに成功している。ともあれ、天知のこんごの活躍を心から祈る。
*具体的な演技について書かれていたので引用。そんな過剰な(きっと大真面目に取り組んでいただろうことは想像に難くないが)コミカル演技、見てみたい。

[茶の間の茶] (週刊TVガイド 1964.2.21号より)
【天知は言語学博士?】
安井昌二、天知茂、大辻伺郎などをズラリならべた「次郎長三国志」。なかでも、桶屋の鬼吉を演ずる天知茂は、流暢な名古屋弁でなかなかの人気である。
というのも、天知はれっきとした名古屋生まれの名古屋育ち。「生まれ故郷の言葉ならまかしてチョウヨ」とばかり、「……でなも」とか「きゃあも」とかしゃべりまくっている。
このため番組の名古屋弁は天知にまかされたかたち。そして、これも名古屋育ちの奥さんと吹き込んだテープを、あらかじめ吉田ディレクターにきいてもらって検閲をうけている。そこでスタッフたち、この番組に関しては、天知に“言語学博士”の称号を奉って敬意を表しているとか。
*先にテープに吹き込んでチェックしてもらう生真面目さに敬意を表する。

*「気っぷのいい」だの「オッチョコチョイ」だの雑誌記事でも大評判の鬼吉兄ィ。せっかくの三枚目演技が今では埋もれてしまっているのかと思うと残念だ。

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| TVドラマ(時代劇)::その他(シリーズ) | 05:40 PM | comments (x) | trackback (x) |
文五捕物絵図 #12
「武州糸くり唄」 (1967年・S42・6月30日OA)

放送ライブラリ@横浜にて鑑賞(2007年5月5日)。

暑い夏の最中、とある家の様子を何日も見張っている岡っ引きの文五(杉良太郎)と下っぴきの丑吉(露口茂)・矢七(常田富士男)。この家に住む後妻・お冴(岩崎加根子)は、内偵与力を殺めて逃走中の蘭学者・立木仙三(うらぶれた浪人風体の天知茂)の初恋の相手であり、妻に見捨てられ行くあての無い彼が立ち寄る場所はここしかないと文五は睨んでいたのだ。

*殺人の経緯は#11「鴉」に詳しいようだが、残念なことにライブラリにはこの1話しか収録されていない

大店の番頭のくせにドケチな夫や小憎らしい先妻の娘の仕打ちに黙って耐えていたお冴の元に、立木からの文が密かに届けられた。『お冴、…お冴!』立木の悲痛な叫びが聞こえそうな(実際天っちゃんの押し殺した低音ボイスがこだまする)その文を読んだ瞬間、堪えていたものが彼女の胸に一気に突き上げる。

文五たちの眼を盗んで逢瀬の場所へと駆けつけたお冴は、安宿へと立木を誘う。身分の違いを越えられずに彼女を捨てたことを詫びる立木に、初めて会ったときからずっと貴方を待っていました、結婚すると告げられても、自分が嫁ぐことになったときも、理由が分からないまま、ずっと待っていました、そう打ち明けるお冴。鎖国の世に密航を企てる秘密結社にいた(らしい)立木は、彼女を引き寄せ呟く。「(仲間が密航を画策する)部屋の隅でひとり刀を抱きながら、俺は思っていた。エゲレスまで行けなくてもいい、無人島まででいいと…ふたりだけでひっそりと暮らせる島へ行ければそれで十分だと・・・」

しかし、文五や立木の友人の医師・草太郎(和崎俊也)が二人に迫っていた。湯から出たところを捕縛された立木は、番屋への道すがら、草太郎の脇差を奪い自らの腹を突いて果てた。立木のことは忘れるよう文五に説得されたお冴は、翌日から再び貞淑な妻の仮面をまといながらも、放心したように糸を繰るのだった・・・。

*何事も起こらぬまま、夏のうだるような暑さと文五たちの焦りがシンクロしている前半、そして緊張感が一気に高まりクライマックスへとなだれこむ後半のメリハリが素晴らしい。特に立木とお冴の逢瀬シーン、自ら立木の胸に飛び込み彼の指(これがまた長くて白くて繊細でキレイな指なのだ)を咥えるお冴、もう片方の腕で肩を抱き、彼女を愛しそうに、切なそうに見つめ続ける立木の表情は必見(演出:和田勉さん)。前半は、ドタドタとセット内を歩く音が丸聞こえだったりでかなり画像や音の状態が悪いのだが、アップ多様でひたすら男女の機微を魅せてくれる頃になると全く気にならなくなった。

*一緒に無人島へ行こうなんてファンタジックな誘いをかけてくれた男のことを忘れられるはずないだろうなあ。

*さすがの杉さまも当時は若くて(=青くて)初々しい。ちなみに天っちゃんはローン・ウルフの頃だけあってセクシー路線全開である。

(2009.1.22追記)「武州糸くり唄」と前編にあたる「鴉」が収録されている本(「倉本聰コレクション9 文五捕物絵図 (1)」)を読んだ。

母親のスパルタ教育を受けた優等生の立木は、長崎留学枠を巡って草太郎に負けて以来がらっと変貌、妻のお涼(鳳八千代)に暴力を振って追い出し、勉学にもついてゆけず蘭学塾の用心棒になり下がっていて、塾を内偵中の与力を止せというのに殺めたらしい。で、追い出したお涼の家に転がり込んでお互い憎しみ合いながら暮らしていたのだが、殺した与力の目明し・銀次(浜村純)にかぎつけられてしょっぴかれそうになるところを、立木を憎んでいたはずのお涼が銀次を刺して庭に埋め、その屍に鴉が集まってきて発覚、という筋書きが「鴉」。「母の言うなりになってお前(=お涼)なんか嫁に貰わなきゃよかった、俺にはお冴という初恋の人がいたんだ!」とか言ってお涼を虐めるヤな奴だが(マザコンだったようだし)、土壇場でお涼さんにも、友人の草太郎にも助けてもらえる“放っておけないオーラ”が出ているとみた。

「武州…」はほぼ脚本通りにドラマが展開していた(映像の方が立木がいい男に見えるのは贔屓目か)

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| TVドラマ(時代劇)::その他(ゲスト) | 05:37 PM | comments (x) | trackback (x) |
大奥(1983)#34
「陽気な未亡人」(1983年・S58・11月22日OA)

八代将軍になった吉宗(鹿賀丈史)の母ゆり(=浄円院:山田五十鈴)と嫁(側室)のたえ(斉藤慶子)が梅干し持参で大奥を訪れた。場所柄構わずカントリースタイルを崩さない二人は大奥の庭を耕して畑にする始末。困惑する月光院(江波杏子)の頼みで偵察に訪れた間部(トメ位置奪回:天知茂)は、自ら野良作業に勤しむ吉宗に不穏な胸騒ぎを覚えた。「あの汗が、怖い…」

覗き見するデカダンスなふたり(=月光院&間部)の存在は、ゆりと吉宗に気づかれていた。「あの男(=間部)が側にいては、月光院さまの切り髪もけがれ果てようのう。お気の毒なことや」(いやどっちかというと彼女の魔性が原因なのだが)母の呟きに、吉宗は近々決着をつけると約束する。

間部は天英院(加賀まりこ)に、吉宗を大奥へ誘う骨抜き作戦を暗に促すのだが、今回ばかりは吉宗の対応の方が素早かった。彼は大奥に自分の許可なく男子が入ることを固く禁じたばかりか、側用人の役職を廃止する、と宣言したのだ。万事休した間部は、がくりと頭を下げるしかなかった。

この命令に当然憤った月光院は吉宗に詰め寄ったものの、「二人とも人の手本とならなあかんお人やさかい…ふっつり諦めなされ」とゆりに諭される。想いがあるうちに断ち切った方が、後の生きるよすがになる――ゆりの言葉を噛みしめる月光院。

一方、側用人から雁間詰に配置換え(左遷)させられ陰鬱がどんより増していた間部はある日、周囲の反対を押し切って大奥に入り、所領の高崎に戻らせてほしいと吉宗に直に申し出て許可を貰う。健在で、と言う吉宗に「かつての名もなき能役者めよ、と白い目を向けられ続けた越前の引き際、とくとご覧下さりませ」とひとさし舞おうとして振り向くとそこには涙目の月光院が。「月光院様にもお健やかに…想いを抱き、消え失せまする」それだけ言って「船弁慶」最後の部分(弁慶舟子に力を合せ〜)を舞いながら(謡は吹き替え)、間部は厳かに退場してゆくのだった――。

(このあと月光院も吹上御殿へ移り、紀州ファミリーとの微笑ましい交流のあとで“陽気な未亡人”・天英院もまた別れの舞を舞って退場するところまで続くが、ワタシ的にはここがセフィニ〜♪

*“金襴緞子から木綿の世界に”をポリシーに質素倹約を敢行する吉宗に完敗、とうとう画面上から姿を消してしまう間部。往生際悪く足掻く事すら潔しとしない、エベレスト級自意識の持ち主らしい壮麗な引き際だった。

*大奥改革を終え、紀州親子が「さっぱりしましたな」と言い合っていたが、たしかに間部&月光院の濃密といおうかいかがわしさ全開といおうか、大層おどろおどろしいコンビがいなくなると雰囲気がガラッとライトに変化していた。

*能役者といえば翌年(1984年)の「真夜中の鬼女」(能役者・宗山役)、いつかぜひ見てみたい。原作はもしや泉鏡花の「歌行燈」なんだろうか?

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| TVドラマ(時代劇)::大奥(1983) | 10:58 PM | comments (x) | trackback (x) |
大奥(1983)#33
「吉宗と肝っ玉母さん」(1983年・S58・11月15日OA)

幼君・家継が風邪をこじらせ病の床に就いた。我が子を案じ心乱れる月光院(江波杏子)に「人の命は一寸先は闇。今この越前とて、この場において命を落とすやも…」と不穏な口をきく間部(天知茂)は、万が一に備えて次の将軍の人選を考えておかねばとあくまで冷静。そして二人の意見は「紀州の吉宗だけは願い下げ」で一致した。特に、誰もが一目置く自分に廊下で頭を下げさせ道を譲らせた吉宗(おまけにクレジットのトメ位置までも略奪:鹿賀丈史)に対して、間部は反感を抱いていたのだ。

「あの男が八代様になっては、わしの夢が崩れる…この手から天下の権が零れ落ちる…」
昏い憎悪の眼差しを燃やす間部、その胸に月光院はぴっとり寄り添うのだった(子供が心配でも魔性が勝ったらしい)。

将軍後見職(=次の上様)を決めるために徳川御三家の長を呼び出し、老中たちは喧々囂々。間部のイチ押しは尾張大納言・徳川継友(堀内正美)なのだが本人が今一つぴりっとせず、年嵩の水戸の綱条(佐竹明夫)は副将軍で充分という。そして紀州の田舎を駆けていたそのままの質素な格好で母ちゃん(山田五十鈴)と茶屋で見初めたヨメ(斉藤慶子)を連れて上京した吉宗は、皆の意見に従うからといって別室へ引っ込んだ。

その吉宗にさりげなく毒入り茶を届けさせた間部だが飲んでもらえず目論見は失敗。月を見上げている吉宗の背後を通りかかり、頭の影をむんずと踏もうとした時にもさっとかわされ、またもやムカッときた間部は「始末せよ。ただし、殿中ではならぬぞ…」 と黒装束で軒下にいた助川(毒入り茶を持って行った茶坊主もばっさり始末:宮口二郎)に吉宗暗殺を命じるのだが、吉宗シンパの紀州黒潮隊(内田勝正ほか)らの妨害に遭いこちらも未遂に終わった。

一方、六代将軍の正室・天英院(加賀まりこ)は、間部が継友を推しているのを知って阻止せんと家宣の遺言書まで偽造した右腕の綾小路(南美江)の頑張りに応えるため、地位を利用して吉宗プッシュに回る。母の言に従い欲を捨てていた吉宗だが、「大奥の費用(三十万両)を半分にしたら後見職を引き受けると言ったわよね!」と彼女に突っ込まれ引き受けることに。

土壇場で逆転された間部は「月光院さまの御意向も受け賜わらねば!」と急ぎ立つが、その瞬間、しゅたっと手裏剣を足元に投げつける吉宗(実は畳を滑っていったが、次のカットではちゃんと刺さっていた)。それは助川たちが襲撃に使っていたものだった。「動くまいぞ、越前!」だが一瞬“畜生バレたか”という顔をしたものの、間部はすぐに懐紙に手裏剣を載せて吉宗に差し出し、ポーカーフェイスで相手を直視。「恐れながらここは殿中、このようなもの、お納めあってしかるべきかと存じまする」

息詰まる場の空気を変えたのは、家継臨終の知らせだった。これにより吉宗は次期将軍に。葬儀の段取りでも質素倹約を持ち出し、棺が何の変哲もない白木であることに怒り心頭の月光院は吉宗をぶちのめしに向かうが、逆に諭されて泣き崩れる。それをじっと見ていた間部は、黙って奥へと引き下がるのだった。

*カントリー精神と和歌山弁を江戸に持ち込んだ自然児・吉宗に、相変わらずの澱んだオーラで対抗する間部。あからさまにヒールな挙動を繰り返していたにも関わらず、嫌味や開き直りを超越した表情で吉宗に対峙してのけた手裏剣シーンはすごかった。なんでそこでそんなカッコいい顔ができるんだ!

*山田五十鈴さんとの共演は『風雲金比羅山』以来だと思うが(というか、あれは共演とは言わないだろうが)、あいにく今回も絡みはなかった。

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| TVドラマ(時代劇)::大奥(1983) | 12:56 PM | comments (x) | trackback (x) |
大奥(1983)#32
「永遠の処女」(1983年・S58・11月8日OA)

(冒頭、#31の禁男の園の濃密シーンなどが微妙に別アングルで回想されたあと)将軍生母として権力を誇る月光院(江波杏子)と男の壮麗な野望を達成した間部(天知茂)の蹴落としを図らんとする老中一派の謀略により、月光院の右腕・絵島(神崎愛)や宮路(加茂さくら)たち十数名は芝居見物・役者との乱交の咎で大奥を追われ、絵島を真剣に愛してしまった生島新五郎(田村亮)もまた罪人となった。

ショックを受け、老中に糺しに行かんばかりの月光院だが、この見え透いた陰謀のターゲットが自分たちだと勘付いた間部は自重を促す。彼には、得意の眼力で生娘とみた絵島がそう簡単に男と情けを交わすとは思えなかった。ここで騒いでは藪をつついて蛇を出すことになる。「秘すれば花、秘さざれば花ならず。この花を知っているのは絵島ただ一人…」絵島も心配、しかし自分たちが夜ごと臥所を共にしていることがバレるのはもっと心配。不安そうに背後からぎゅうっとしがみ付いてくる月光院の手を、間部はしっかりと握り返した。

牢に繋がれ、関根(菅貫太郎)らのネチっこい拷問を受け続けた絵島は、ついに譫妄状態となり胸に秘めた新五郎への愛を口にするようになる。しかし秋元但馬守(綿引勝彦)や土屋相模守(林彰太郎)ら老中が最も知りたかった月光院&間部の逢瀬のことは一言も漏らさずじまいで、とうとう死罪を言い渡されてしまった。

ところが、二人の老中は「絵島の命を助けてやれというのに間部は聞いてくれぬ!」と間部にむずかりハンストする上様を目の当たりにし(させられ)、間部と月光院が最後の切り札を出してきたことを悟る。かくして絵島は減刑され遠投、生島も三宅島へ流されることに決まった。

別々の土地へ流されるふたりにせめて最後の逢瀬を、との懇願に渋い顔をしたままの間部に「そなたには小伝馬町の牢役人を動かすほどの力もないのか!」と詰め寄る月光院。「そなたは近頃、我が身の保身ばかり考えておる。人は頂上にのぼりつめると、失うものを惜しむばかりのいじきたないブタになるものじゃな!」明智ばりの冷静さを保っていたもののさすがにカチンときた間部は月光院の手をぐっと掴んで引き寄せたが、途端にヘナヘナとしなだれかかり、泣き落としにかかった彼女の魔性には逆らえなかったようで、便宜を図ってやるのだった(籠に幽閉されたまますれ違う絵島と生島の哀しい別れでセフィニ〜♪)

*いってみれば自分たちの代わりに絵島&生島が罰せられたわけだが、懲りるふうでもなく濃厚に密着していたコワモテ・カップルであった。

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| TVドラマ(時代劇)::大奥(1983) | 11:55 PM | comments (x) | trackback (x) |
大奥(1983)#31
「暴かれた禁男の園」(1983年・S58・11月1日OA)

時は(2話分ほど)流れ、51歳で6代将軍・家宣が死去。お喜世の方(いしだあゆみ→江波杏子)は剃髪し、月光院を名乗ることになった。だが彼女の魔性は治まることはなく、剃髪式の際にも、母にすがろうとする鍋松君を膝に乗せた間部詮房(“越前守”に出世:天知茂)と粘着気味の視線を絡ませていた。

やがて鍋松君は7代将軍・家継に。まだ5歳ゆえ、ほんの近所にある東照宮の御霊屋への参拝も「母さまと行く〜!」と駄々をこねる始末だが、御霊屋は女人禁制。土屋相模守(林彰太郎)たち老中は間部にお守を押し付け、将軍を参拝させなかったらお前が責任を取れと、彼の蹴落としを図ろうとする。しかし、子供ウケする間部は家継を抱っこして平然と御霊屋へ現れ、「御前にておわす。お控えめされい!」と老中たちを一喝、頭を下げさせるのだった。

ある日、月光院の右腕として大奥を仕切っていた絵島(神崎愛)が主人に呼ばれてみると、あろうことか月光院は裃姿の男(=間部)の胸に身体を預けていた。しかもそのあと「わらわは今夜、越前と臥所(ふしど)を共にします」と高らかに宣言した月光院は、間部と自分との浅からぬ関係を語り(中の人が違うので回想映像は無し)、彼の夢を果たしてやった自分には何も残っていないではないか、だから今からは女(おなご)として生きようと思う、好もしい男とふたり、互いに肌と肌を合わせ喜びを分かち合う、これ以上の喜びはあるまい、などと憑かれたように絵島に同意を求める。カタブツだが忠誠心の篤い絵島は混乱しつつも、襖の陰からじっと聴き耳を立てていた間部と月光院にOKを出さざるを得なかった。

…そして禁男の園の禁を破ってふたりはいちゃいちゃ、その声を聞きながら少女時代のトラウマが蘇り心乱れる絵島。一方、大奥建て増しの便宜を図ってもらいたい栂屋善六(北町嘉朗)から賄賂をもらった交竹院(田中明夫)が年寄・宮路(加茂さくら)と結託、御法度だが黙認されている芝居見物に絵島を誘いだし、あの生島新五郎(田村亮)に引き合わせる。そこへ、絵島の色紙を貰いたかっただけなのに宮路に足蹴にされてキレた松永弥一郎(河原崎長一郎)が訴状をしたため、間部に敵愾心を燃やす秋元但馬守(綿引勝彦)がそれを取り上げ、間部追い落としのために絵島の失脚を画策せんとし、かくして絵島生島事件は幕を開く…というところで「続く」。

*出番は前半だけ(しかもセリフは数語)にも関わらず、相変わらず濃厚なオーラを放っていた間部越前守。月光院さまとのラブシーンは意外と地味だったが(下半身責めがお得意らしかったが)「お控えめされい!」の時の勝ち誇った表情のブラックさは際立っていた。あの表情はこの役ならではだろう。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=428 |
| TVドラマ(時代劇)::大奥(1983) | 11:50 PM | comments (x) | trackback (x) |
大奥(1983)#28
「女帝への階段」(1983年・S58・10月11日OA)

#27のダイジェスト(むろん湯浴みシーン含む)で開始した今回。間部詮房(天知茂)の狙い通りに西の丸の殿様・徳川家宣(露口茂)は、他の女人とは一味違うお喜世(いしだあゆみ)に一目でぞっこん、めでたく彼女は寵愛を受けるようになる。

明けて正月、5代将軍綱吉が逝去し、家宣は6代将軍に。綱吉に重宝された柳沢吉保(かなり無理のある老け役:あおい輝彦)は家宣に呼び出され、間部&新井白石(山村聡)の特捜師弟に挟まれた状態で、生類憐みの令の廃止を告げられる。抗っても前後の凶悪視線に射抜かれてはなすすべもなく、せめて落髪したい、と申し出たときには既に家宣(と白石)は退出した後。それは順番違い、先に職を辞すべきでしょう私ならそうしますなあ、などとうそぶく間部に、「いずれお手前にも失脚の時が・・・底なしの落とし穴が…それ、すぐそこに待ち受けているやもしれぬぞ」と捨て台詞を吐くしかない吉保だった。

だが未だ権力に未練のある吉保は、男子・大五郎君を産んで以来上様の足が遠のきヒステリー気味のお須免(自分の側室の従妹:松本留美)と共謀、かつてのお喜世の腐れ縁・文次郎(峰岸徹)を利用して、彼女の過去を上様に暴露せんと画策する。相変わらず小物の文次郎は、吉保子飼いの才蔵(遠藤征慈)に唆され、お喜世に濃厚な恋文を書くよう言われてホイホイその通りにするのだが、謎のコワモテ侍・助川(宮口二郎)にバッサリ斬られてあっけなくお陀仏。助川が恋文を届けた殿様は、誰あろう間部その人だった(特捜部恐るべし)。

まもなくお喜世が懐妊した。身辺保護のため、家宣ゆかりの根津御殿行きを勧めた間部は「心に夜叉を」「この闘いに勝ってこそ、天の頂きに上ることができるのです」と彼女を叱咤激励。大五郎君は(虚弱ゆえ)お世継にはなれません、そう言い切る間部に、お喜世は恐ろしさを感じる。

そんな折、間部と白石を連れた家宣が根津御殿を訪れた。「間部をどう思う? 政(まつりごと)一筋で、おなごには全く関心がないらしい」家宣の言葉にここへきたあらましを思い出しながら「つまりません、女に興味のない殿方なんて…!」と言い切り、それでは(間部が)気の毒だと言う家宣にストレートに愛を告げるお喜世。翌日、白石と歓談中に物乞いに打ち掛けを与えたことを(白石が仲の良い間部に言ったらしく)厳しく間部に諌められ「そなたには心というものが欠片もないのでしょ、キライ!私は上様が大好き!」と必要以上に煽ったお喜世だが、よろめいた彼女を咄嗟に抱き止めてくれた間部の半ば理性のたがが外れかかったような視線をもろに浴び、言葉とは裏腹の自分の想いを見られた気がしたのか、なんで今さらそんな眼をするのよ!と腹立たしくなったのか、思わず間部をビンタしてその場を去る。一瞬驚いた間部だが、次第に諦観してゆくその表情はどこか満足気でもあった。

月満ちてお喜世は鍋松を出産。輝くばかりの“お腹様”となったお喜世の参詣の様子を垣間見た父・玄哲(長門裕之)は、奇しくも境内で瞽女となった出奔妻に巡り逢った。娘とは正反対の人生を送りながら悔いはないという彼女に、どちらの道にも仏はいる事を噛みしめる。

その頃、お須免の産んだ大五郎が風邪をこじらせて死去、お喜世が一服盛ったのではとの憶測が流れた。間部を問い詰めるお喜世。「そなたが殺したのですね」しばらく沈黙してから否定する間部(沈黙長過ぎ)を信じることにした彼女は、我が子のため、今こそ心を夜叉に、鬼になると誓う。そのために、そなたのことも特別な殿御からただの家臣とみなします、そう宣言して去る完成品のお喜世を、間部は万感の思いで見送るのだった――(お喜世を思わせる咲き誇るハスの花と共にセフィニ〜♪)

*ストイックを通り越してマゾ気すら感じてしまった間部のマイ・フェア・レディ物語、ひとまず完結。彼に敗れてみじめに去った柳沢吉保に未来の姿がオーバーラップしつつも(あれほど惨めではなく、むしろ最後まで壮麗なんだが)、野望を達成した姿に拍手。

*聡さん演じる新井白石とは直接会話シーンはなく、裏で仲良くしてんだろうなと想像するしかないとはいえ、宮口二郎さんを加えた強力タッグがなんとも非ライ的で嬉しかった。

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大奥(1983)#27
「塵に咲く花」(1983年・S58・10月4日OA)

内蔵助以下の討ち入りメンバー切腹の報を聞き、悲しみに打ちひしがれる浅野邸で、TPOをわきまえない文次郎(峰岸徹)と慣れ合ってしまった女中のお喜世(いしだあゆみ)は、不興を買い屋敷を去る羽目に。1年半後、茶屋の女に身を持ち崩し夜の街を彷徨うお喜世に、鋭く艶やかな視線を注いだひとりの侍(天知茂)の姿があった…。

自分自身にも、煮え切らぬ文次郎との腐れ縁にも辟易しているお喜世は、父に貰った短刀を取り出し「いっそ殺しておくれよ」と詰め寄っている内にテンションが上がり、「死んで…!私も後で行くから…!」と抜き身を片手に文次郎を追い回し、隣の座敷にまで乱入。と、そこにいたのは先刻の侍。彼の並みでない眼力に、お喜世はハタと短刀をとり落とす。彼の名は間部詮房(あきふさ)、5代将軍綱吉の世継として西の丸に入ったばかりの徳川綱豊(後の6代将軍家宣:露口茂)に仕える、甲府藩江戸詰の侍である。

間部は七夕の夜、屋形船で星を待ち侘びしこたま酔い潰れていたお喜世のもとへも姿を見せた。「何をそんなに苦しんでいる…?」静かに問う間部に、「抱・い・て…」と呟くお喜世。だが間部は文字通りただ抱き寄せるのみで酔いを覚まさせると、もう一度武家の飯を食う気はないかと彼女を誘うのだった。
――けがれた悲しみは川へ流すがいい。七夕の笹竹と共にな…。
澄んだ朝方の星を眺めながら、お喜世の心は揺れた。

お喜世の父はかつて侍だったが、ある理由から出家、玄哲(長門裕之)と名乗っていた。寺を訪れ、お喜世を御殿奉公させたいと許しを乞う間部を見た玄哲は、彼が娘に潜む魔性に迷ったことをズバリ指摘、彼女の母も男を惑わせる女で、間男と夜逃げ、それが原因で自分は仏門に入ったのだと告白した。だが、お喜世に惚れていることを正直に打ち明け、自分もそうなる(=頭を丸める)覚悟はできた上での願いだと間部は力説。お喜世は、間部の屋敷へ奉公することとなった。

妻も家族もいない間部には老女中だけが仕えていた。生花の出来栄えを褒める間部の優しい言葉に頬を染めるお喜世。彼は次に、酒と男を断てと注文した。さらに美しく、さらに気高くなるために――言われるまま行儀作法を磨くお喜世が彼の真意を理解したのは1か月後、今後は大奥に仕えよと言われたときだった。

主君・綱豊には正室の煕子(ひろこ:加賀まりこ)、側室のお須免(松本留美)らがいたが、学問好きの綱豊は儒学者・新井白石(山村聡)との勉学時間の方が大事らしいと踏んだ間部は、自分が大輪の花を咲かせたお喜世を大奥へ送り、綱豊の世継を産んでもらいたいと考えていたのだ。

男としての壮麗な夢をお前に賭けた、とまで言われたお喜世だが、間部を愛し、いつかはお情けを、との想いだけで精進してきた彼女にとって、それはあまりに辛い事だった。しかし、たまらず屋敷を飛び出し父の寺に戻ったお喜世は、玄哲の励ましを受けて再び間部の前に姿をみせ、大奥行きを承知する。彼の夢をかなえるために――。

*壮麗な野望のためには目先の情欲をストイックに自制してのける男・間部詮房。お喜世へ向ける、理性と感情がうねり合っているような視線がなんとも強烈だ。

*強烈といえば、「酒と男を断て」シーン。モチ肌全開で湯浴みしてるホの字の男に「男も断たねばな」と言われたお喜世、さぞや訳が分からなかったろう。…というより、なぜまた脱いでるんだ天っちゃん。 今回は誰もお色気要因がいないから俺が、とか思ったのか? モチ肌をぺったんぺったんしたくなったじゃないか!(←何もお喜世はぺったんしていたわけではない)

*今回は一瞬だけツーショットになった程度だが、おそらく非ライ第3シリーズ以来、久々(3年越し)の山村聡さんとの共演。新井白石と間部詮房といえば、史実ではこの時代将軍を支えて活躍した最強コンビか。ナイスなキャスティングだ。

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