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白昼の死角 #5
白昼の死角 #5(1979年・S54・9月1日OA)

大和繊維の老重役・上松(松村達雄)から手形をパクり、連携プレーでまんまと現金をせしめてしまう回。

一度は上松に返した金(実は新聞紙)を、株を買うという約束を取り付けてすべて回収してしまった鶴岡(渡瀬恒彦)の手口に敵ながら舌を巻く福永検事(天知茂)と熊谷主任(菅貫太郎)。福永は鶴岡の背後に一人の男の存在をみた。「隅田光一という男は、本当に死んだのかね……?」何言ってるんすか彼なら焼死しましたぜ生きてるなんてそんなアンタ(明智センセイ)じゃあるまいし、とでも言いたげ(推定)なスガカンさんの視線を受けながら、福永は隅田の理論を犯罪に用いているかのような鶴岡を懸念を抱き、いつかはボロを出すはずだ、と打倒・鶴岡に闘志を燃やすのだった。

*映画では室田日出男さん相手に言ってたセリフを言うため(?)にワンシーンのみの出演。

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| TVドラマ(現代劇)::白昼の死角 | 10:34 PM | comments (x) | trackback (x) |
罪な女
「罪な女」(1961年・S36・11月9日OA)
【まり子が芸者役】天知茂と共演で“罪な女”
ドラマ(日本テレビ後8:00)「罪な女」。
暴行傷害の罪で刑務所生活をしている夫を待ちながら、小田原芸者のお愛は底抜けに明るい性格の女だった。
そのお愛が、新聞記者大町と知り合ったのは、支局長の谷の座敷に呼ばれたときだった。いまさら男にほれるなんてと思いながら、暗い影を持つ大町にひかれはじめたお愛。夫が近いうちに出所すると知ったのはそれからまもなくだった。
浮き世のしがらみに押し流される運の悪い女お愛。その生活を通してはかない愛のめぐりあわせを描く。宮城まり子がめずらしく芸者役を演ずる。
(原作)藤原審爾 (脚本)山下与志一 (音楽)川崎優 (演出)安藤勇二
【出演】
お愛(宮城まり子)、大町(天知茂)、愛子(北川町子)、小柳(旗和子)、はるみ(中台京子)、小浪(今井和子)、お繁(高橋とよ)、和代(一の宮あつ子)、谷(桑山正一)、辰造(浜田寅彦)、中沢の少女(島津千鶴子)ほか。
(以上、読売新聞より記事引用)
【芸者の愛と苦しみ】主役に宮城まり子
9日午後8時から読売テレビ系で放送のドラマ「罪な女」は、藤原審爾の原作で、浮世のしがらみに押し流され罪深い女として生きねばならない芸者お愛の苦しみを描くもの。この芸者に宮城まり子が扮するのが話題である。
暴行傷害の罪で刑務所入りしている夫を持ちながら、小田原で芸者をしているお愛は底抜けに明るい性格の女である。暇があればパチンコ屋へ通い、座敷へ出ればスソをまくり上げて踊りまくる。そのお愛が暗くさびしい感じのする新聞記者の大町に惹かれるようになった。大町は兵隊に行く時、むりやりに好きでもない女と結婚させられたという。お愛は大町と暮らしたいと思うが、まもなく出所できると喜んでいる夫の姿をみるとそうもできない。ある日、初めて大町と一夜を過ごしたお愛は置き手紙を残して姿を消す。そして大町に心ひかれながらも、やっぱり出所した夫と暮らす。
この芸者役は宮城まり子が進んで買って出たものという。明るくて罪がなく男にだまされやすいというお愛の感じも彼女なら出せるだろうというので主演が決まったもの。宮城まり子は「芸者の生活は見かけとは違って苦しいものでしょうが、その中にピカッと光るような女の気持ちを演じてみたい」といい、自ら書物や小道具を集めて回ったという力の入れよう。共演は大町に天知茂、ほかに北川町子、旗和子ら。
(以上、朝日新聞大阪版より引用)

*まだ若さと固さの残る写真(芸者役のまり子さんとツーショット)つき。

*原作では「暗い影をもつ」という部分はないのだが、「俺に惚れるなよ」とキメてみたり、低く柔らかい声で小唄を披露したりという見せ場があるようだ。

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| TVドラマ(現代劇)::その他(単発など) | 10:32 PM | comments (x) | trackback (x) |
白昼の死角 #2
白昼の死角 #2(1979年・S54・8月11日OA)

女癖の悪さと体調の悪さでどんどん鈍ってゆく隅田(山本圭)が焼身自殺するまで。

太陽クラブが無謀な金利で商売しようとしているのを見た福永検事(天知茂)は、検事としてではなく、先輩としての忠告だとして鶴岡(渡瀬恒彦)にそれとなく再考を促す。隅田と違って冷静な鶴岡は、福永の意見も吟味しようと言うのだが、隅田は聞く耳を持たず、破滅へと突っ走ってしまうのであった。

*判例がないことを楯に突き進もうとする隅田たち。「判例がないならこの私がこれから作る!」という福永検事の名言はこのころから下準備されていたのかもしれない。

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白昼の死角 #1
白昼の死角 #1 (1979年・S54・8月4日OA)

初回は戦地から帰った鶴岡七郎(渡瀬恒彦)が、東大始まって以来の秀才と称される隅田光一(山本圭)に誘われて、木島(小倉一郎)、九鬼(岸部シロー)とともに“太陽クラブ”を創設するまで。

鶴岡たちの先輩、東京地裁の若手のピカ一・福永検事(天知茂)の出番は、東大構内にて。同僚らしき人と歩いているところを隅田&鶴岡とすれ違い、かつて講師を勤めた刑法の講義での隅田の独特の理論について好意的に論評、でもどこか危なっかしくて崩れそうなところがある、身体でも悪いんじゃないのか?と明智ばりのコメントを呟いておしまい。隅田は実際身体を悪くしていたのでまさに的確な推理だった。

*映画ではなかなか出てきてくれなかった福永検事だが、講師をしていた時に隅田から質問を受けたことがある、という原作通りの展開で登場。角帽の4人も老けてるが、たぶん福永さんは髪型から何もかもあのままで月日がたっていくんだろうな、という様相だった(地味な明智センセイといおうか)。

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非情のライセンス 第1シリーズ #10
#10「兇悪の骨」(1973年・S48・6月7日OA)

仕事の待ち合わせ相手が30分以上経っても現れないのでちょっとイライラ気味の会田(天知茂)。ったく、どんな野郎だか知らないが…!とぶーたれていたら現れたのは女性(赤座美代子)だったことからコロッと態度を変えるも、自分はあくまで繋ぎ役だと彼女はつれない。

彼女の案内でようやく会えた麻薬Gメンの乃木(西沢利明)は、近頃ヤクの出回りが少なくなっている横浜近辺で今度大掛かりな取り引きがあるのだと言った。早速暴力団事務所そばのアパートで張り込みを開始した二人の前に麻薬ブローカーが現れた。だが肝心なところで乃木がトイレに籠ったまま出てこず、仕方なく会田一人で尾行するのだが、男は別の連中に連れ去られてしまった揚句に翌日死体になっていた。

こんな奴とはやってられんと変装(いけてない労働者風)して単身で調査を進めた会田は、取引の割符の半分を見事にゲット。部長(山村聡)の前で得意げに自慢して帰宅しようとした彼を、冒頭の女性Gメン・麻鳥マスミが待っていた。「いやよ、今日はひとりにしては……」彼女の色っぽい誘いに堂々と応じてベッドインした会田だが、家に帰ると部屋は割符狙いの何者かに酷く荒らされていた。

乃木に割符を渡し、外国船の船長との取引に同行する会田。ところが船長が持参したスーツケースには、麻薬(隠語でシュガー)ではなく本物のシュガーが入っていた。乃木は意気消沈し、ケースを持ってすごすご帰宅するが、実はすべてヤクザの矢場(日尾孝司)との共謀であり、二重底のケースの中には麻薬がどっさり。最後にGメンとしてのプライドを燃やそうとした乃木だが、すでに麻薬に侵されていた身体は言う事を効かない。と、そこへ会田が飛び込んできて矢場と2人の手下たちと格闘、だが肉弾戦に苦戦している隙に乃木は矢場に刺されてしまった。

「麻薬捜査官の“獅子身中の虫”を探し出せ」それが今回の会田の任務だった。麻薬の末期症状および負傷で、虫=乃木は、会田に看取られながら明け方に息を引き取った。病院の前にはマスミがいた。乃木に家探しさせるためにマスミが自分とベッドを共にしたことに会田は気付いていた。そして、特捜部に情報をタレ込んだのは彼女だということも。行ってやらないのか、との問いに「死んだの、あの人……」そう呟いただけで踵を返す彼女を、会田はただ黙って見つめるしかなかった(昭和ブルースは4番)

*麻薬で恋人を失い、今また上司兼恋人を同じ麻薬で失う羽目になったマスミの悲哀がにじみ出る回。第3シリーズ#12「兇悪の骨・肌を売る捜査官」よりも原作(「兇悪の骨」)に近いハードボイルドなテイストが印象的だった。…まあ、第3のアレは乃木とマスミよりも兇悪のモチ肌だけが異様に印象に残るサービス過剰な話ではあったが。

*会田、10話目にして初のベッドシーン。雰囲気は第2シリーズ#57「兇悪の壁」チック。

*割符の件で矢部さんに褒められて「俺の頭はダテにここに乗ってるわけじゃないんでね」と得意がってる会田がかわいらしい。

*取引のとき、白い粉の袋を口で豪快に噛み破って中身なめてる会田、本物だったらえらいことじゃないのか?

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:26 PM | comments (x) | trackback (x) |
大桶師為三郎
大桶師(こがし)為三郎(1961年・S36・7月29日OA)
週刊読売テレビドラマ・コンクール入選作品
【大オケ造りの名人の物語】
夜の十時劇場(フジ後10:00)「大桶師(こがし)為三郎」より「阿呆(あほう)伝」。「大桶師為三郎」は、第7回週刊読売テレビドラマ・コンクール入選作品で、四国徳島を舞台に、酒の醸造に用いる一石(0.18リットル)入りの大オケを造って名人とうたわれた無学だがかたくなな気性をもった一人のオケ造りの、思うままに生き抜いた本能的な愛情を描いたもの。
四国徳島に住む河田為三郎は、酒の醸造に用いる一石入りの大オケを造って、名人とうたわれる男だった。為三郎の妻かねは慈悲深い性分で、人にほどこしをするのを好んでいたが、為三郎はそれが不満でことごとにつらくあたるのだった。一人娘の町子はそういう父親に反発していた。その為三郎にもままにならぬことが一つあった。血をわけた男の子がほしくてならなかったのだ。
(作)清水巌(潤色)霜川遠志。

【配役】
大桶師為三郎(田崎潤)、妻かね(堀越節子)、娘町子(上月佐知子)、小島多二郎(天知茂)、菊次(故里明美)、岩蔵(柳谷寛)、春吉(水島真哉)、桶伝(若宮忠三郎)ほか。
(以上、読売新聞より引用)

【桶造作り名人の悲話】
清水巌作、霜川遠志脚色。四国徳島に住む河田為三郎は、酒の醸造用の一石入りの大オケを作って名人とうたわれる男だった。だが、無学のため、オケ商の組合ができた時に組合長をはずされてしまった。怒った為三郎は、子供のころ遊んでいた空地の地蔵に八つ当たりし、押し倒してしまった。そこへ妻かねが倒れたという知らせがはいった…。

大桶師為三郎=田崎潤、かね=堀越節子、町子(娘)=上月佐知子、小島=天知茂、菊次=故里明美ほか。
(以上、毎日新聞夕刊より引用)

*フルネームがついてるところを見るとそこそこ重要な役どころではないだろうか。娘の彼氏か?

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| TVドラマ(現代劇)::その他(単発など) | 10:29 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第1シリーズ #9
#9「兇悪の道」(1973年・S48・5月31日OA)

捜査一課のベテラン刑事・佐久間(美川陽一郎)は勇退を迫られ、鬱屈した日々を送っていた。幼い男の子が団地の屋上から不審な転落死を遂げ、母親の京子(市原悦子)に事情聴取に向かった際、先に特捜部のいけすかない会田(天知茂)が来ていたことで日頃のイライラが爆発。会田なんかに邪魔はさせんぞお、負けんぞお、会田のばかやろー、と地球が丸いことさえ会田のせいにしかねないほど彼に対抗意識を燃やし、酔いつぶれて同僚や娘の鈴子(真屋順子)に愚痴るのだった。

そんな父親を心配した鈴子は、苦しんでいる父の気持ちを察してほしい(つまり事件を譲ってほしい)と会田に直談判する。「無駄だな。そんな話をきいても俺には何の役にもたたない」会田は冷たく言い放ち、もっと父親を信じてやれ、今の彼には信じてくれる人が必要なんだと娘を返した。

会田が京子に接触したのは、道路開発局のタイプ課にいた彼女が道路拡張工事の不正に関わる文書を何者かに流している疑いがあったからである。京子のマンションにあった人形に着目した彼は、それがラブスナックの開店記念品であることを突き止め、このいかがわしい店に京子が南条(石井宏明)という男と頻繁にきていたこと、そして南条はすでに別の女と関係を持っているらしいことを聞き込んだ。

ホシは邪魔になった京子の口をふさぐかもしれない――。会田の懸念通り、ガス栓が何者かに故意に開かれ、就寝中の京子の身に危険が迫った。張り込み中の鈴木刑事(梅津栄)によって救い出された彼女だったが、「あたしが栓を閉め忘れた」の一点張り、あなたは女の気持ちなんか分かりません、と会田の言葉に耳を貸そうとしない。

会田は件のラブスナックへ足を運び、人待ち顔の道路開発局の封筒を持った女・かおり(森みつる)を尾行。南条と待ち合わせているらしいマンションに先に乗り込み、次に殺されるのはあんただ、とかおりを諭すのだが、彼女は土壇場で南条を逃がしてしまった。彼女を殴って外へ追う会田。しかしそこへ病院から逃走した京子が現れ、会田の前に立ちふさがる。「刑事さん、あたしを捕まえて下さい。あたしはあの人と一緒になるために……」自分の息子を殺したことを告白しようとする京子を、会田は止めた。「君を捕まえるのは、俺の役じゃない」

京子は佐久間の元で自白。なぜ私に、と驚く佐久間に京子は言う。「会田という刑事さんに言われたとき、あなたのところへこなければと思ったんです」それは父親のような気がしたからなのではないか――佐久間は一課を辞して小料理屋を経営している先輩・徳田(柳家小さん)の引き際を感じた状況と同じであることを悟った。「いくら日のあたる場所にいても、老木に花を求めるのは無理のようですなあ…」寂しそうに呟く佐久間に、橘(渡辺文雄)は何も言えなかった。

かおりを連れて張り込む会田の前に、南条が姿を見せた。だが会田は彼を駆け付けた佐久間に託し、そのまま背を向けて去るのだった(昭和ブルースは1番)

*寂しい未亡人とハイミスが陥った迷路と、老刑事の引退間際の悲哀と執念。どちらにも非情を装いながら人情味あふれるフォローを忘れない会田がいい感じ。
*初登場時(#3)からなぜか会田を目の敵にしていた佐久間刑事役の美川さんは天知プロ(A&Aプロ)創設時のメンバーなので、実はとても仲が良かったのかもしれない。
*愛くるしい体型の女の子が口をチュッととがらせてるラブスナック(凄いネーミングだ)の人形、たしかうちにもあった…。
*ためになる(?)会田語録「男が女に優しくするときは、それなりの理由があるもんだ」 …そうなんですか男性の皆様。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:38 PM | comments (x) | trackback (x) |
人 #14
「炎のとき」(1962年・S37・6月8日OA)
【姉の愛情・弟の心】高島みゆきらで「炎のとき」
ドラマ「人」(フジ後9:45)横光晃作「炎のとき」。妙子(高倉みゆき)と良一(高崎継義)の姉弟に両親はなく、妙子は母がわりとなって良一のめんどうをみてきた。が、大学に行くようになってからの良一は妙子がとめても山に登り、以前のすなおな彼ではなくなった。恋人の平川(天知茂)との結婚ものばしている妙子にとって悲しいことだった。良一は山で遭難、一命はとりとめたが、睡眠薬を飲み過ぎ死ぬ。
ドラマは姉の献身的な愛情とそれが負担になっている弟の、姉弟愛の相克を描いてゆく。
(以上、読売新聞より引用)

*この姉弟愛に割り込む男としての天っちゃん、傷心の姉を慰めるような単にいい人なのか?(それはそれで何かつまらないような)。でも高倉さんだしなあ、「平川!」とか呼び捨てにされてたりしてなあ←新東宝映画参照

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| TVドラマ(現代劇)::その他(単発など) | 10:27 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第1シリーズ #8
#8「兇悪の罠」(1973年・S48・5月24日OA)

会田(天知茂)と四方(葉山良二)は、関東興業の組長逮捕に向けて、城西署の助っ人として拳銃密売やノミ行為などの現場を派手に押さえていた。しかし面が割れてきたのか、捕まるのはザコばかり。どうやら先方には「トクチョウ(=特攻隊長)」と呼ばれるキレ者がおり、こちらの情報を漏れ聞いているらしい。「どうだ、そろそろ突っ込んでみるか」矢部(山村聡)が会田と意味ありげな目配せを交わしている頃、杖にバラの装飾を施した男(=トクチョウ)が会田の盗撮写真を見ながら、狙った獲物は必ず射止めるヒットマンを探せとの指示を出していた。

捕まえたザコの情報により、船での取引現場に急行した会田たち。近付いてきた不審船には、ライフルを手にした殺し屋・黒崎(中田博久)が。会田を狙う銃口――次の瞬間、胸を押さえて会田は海へと真っ逆さまに落ちていった(←落ちたのは高い確率でスタントさん)。

四方の必死の捜索にも関わらず、2日経っても会田の行方は不明のまま。対応を詰る矢部に、全て私の責任です、クビにしてもらいましょうか!と開き直って出て行く四方。矢部は、一緒にいた城西署刑事で四方の同期でもある渋沢(中野誠也)に、四方が密輸組織から多額の借金をしていることなどを密かに告げ、それとなく彼の様子を見守るよう頼んだ。

競馬やら飲酒やらに精を出し、自暴自棄な姿を渋沢に晒す四方だが、それらの行動はすべて、渋沢とトクチョウの闇の繋がりを洗うため、矢部そして会田が仕組んだ計画のうちであった(四方の報告を聞く矢部の傍らにはピンピンしている会田の姿が)。すっかり四方を「同志」だと信じた渋沢は、トクチョウに会いたいという彼に、会田を消した黒崎殺しを持ちかける。誘き出して黒崎を撃ち倒し、車ごと始末に向かう四方。しかし黒崎もまた計画の一員で、大阪府警の警官だった。

長引く不在で心配する竜巻太郎(左とん平)たちをよそに、会田は、渋沢の故郷、仙台まで調査に赴いていた。渋沢には、彼自身の過失で片足が不自由になった弟・武(神太郎)がいた。学生運動のリーダーだった彼こそがトクチョウでは――。やがて四方から、渋沢と共にトクチョウに会うとの連絡が入った。

無人のスタジアムにたたずむ、杖の男。渋沢を兄と呼ぶ彼はやはり、トクチョウと呼ばれる男だった。人を殺して(実際は殺していないが)行き場のない四方を組織に入れてやってほしいと頼む渋沢に、上からの指令でそれはできなくなったと冷たく告げ、その場を去ろうとする武。そこへ「動くな!」と現れた会田と坂井(宮口二郎)、そして自分に銃を向ける四方を見た渋沢は、罠に落ちたことを悟った。身を翻す渋沢を、四方は撃てない。その隙に、渋沢は武を射殺する。「兄さんはとうとう、僕の命まで自分の思い通りにしたんだね……」自らの生き方を持たぬ兄に干渉され続けた弟は、最後に兄を拒絶して死んだ。

弟と一緒に逝かせてほしいと泣き叫ぶ渋沢に手錠をかけた四方は、会田に向き直る。
「さぞかし満足だろうな。たしかにあんたとおやっさん(=矢部)の狙いは間違っていなかった。…だがな、たった一つだけ、あんたたちにも分からなかった事があるんだ。渋沢が、最後までこの俺を、たった一人の友人として扱ってくれたことだ!」

(ここらへんから昭和ブルース1番イントロ開始)
そうしむけたのはこっちでね、とうそぶく会田に、あんたみたいな男にこの気持ちは分からん!と詰め寄る四方。
「わからんね。薄汚ねえ友情なんてやつは、くそっくらえだ」
煽る会田を全力でぶん殴り、四方は肩をいからせ去って行った。その後姿を、会田は苦笑いを浮かべて見送るのだった。

――思ったより気のいい野郎だ。……俺もたった一人、ぶっとばしたい野郎が上役にいるんだがね……。

*交番勤務時代からの友人を欺かねばならない役回りを与えられて悩む四方がメインの回。会田は撃たれたり殴られたり段ボールぶつけられたり(←冒頭)、ろくな出番がないのだが、四方が自責の念にかられないよう、あえて自分に怒りをぶつけさせた(かにみえた)ラストの気のいい野郎ぶりにぐっときた。

*コワモテ殺し屋かと思いきや、「ほんましんどいでんなあ」と微笑ましい大阪弁で明るく去って行った黒崎さん(本名は中山さん)がいい感じ。でもその前に会田がピンピンしていたから、彼のからくりも薄々読めてしまったのがちょっと勿体ない。

*会田のアパートの部屋番号は「402」。お向かいは田中さん。

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非情のライセンス 第1シリーズ #7
#7「兇悪の土地」(1973年・S48・5月17日OA)

関東系の新鋭会と関西系の毛利組、2つの暴力団がしのぎを削る街にやってきたグラサン男(=会田:天知茂)。所有地を巡って何者かに殺された岩下老人の遺産相続人・佐倉一郎として街に乗り込み、2匹の狼たちをかみ合わせるのが今回の彼の任務である。

子連れの花屋の女主人・光子(葉山葉子)にはフェミニストぶりを発揮する傍ら、“佐倉一郎”として岩下邸入りし、早速ヤクザたちをかき回す会田。だが、いけすかない一課の橘警部(渡辺文雄)が出張ってきている上、岩下老人殺しの報酬をたかる男をボスの命令で殺したばかりの新鋭会の品田(杉江広太郎)に「あいつは確か半年前に…!」と面が割れてしまい、カンカン踊りをさせられる羽目に(…までは至っていないが、サウナの浴槽で危ない目に)。暴走を心配する橘が所轄の刑事を寄こしてくれて事なきを得たが、やられたらやり返す主義の会田は品田を兇悪に嬉しそうにボコ殴って監禁したのち、両方のボス(近藤宏&伊藤豪)を時間差で呼び出して相討ちを仕掛け一網打尽にする。

しかし一番の悪人は、ヤクザたちを手玉に取り、裏で中央の黒幕と共謀して私腹を肥やそうとしていた弁護士・笹森保(川合伸旺)。会田は品田に耳打ちして解放し、笹森を彼の手で抹殺させるのだった。

街を一掃して帰途につく会田の前に、光子の花車が通りかかる。会田の身辺を探れと笹森に強要され、岩下邸で色仕掛けに出てやんわりたしなめられた彼女は眼を合わそうとしなかった(でも所轄刑事が彼女を警護してくれてるのを見て少し安心した表情を浮かべながら、咥えたサングラスを掛けて去ってゆく会田で昭和ブルース4番)

*東京を離れ、別人になりすましての潜入捜査なのに、すぐにヤクザに面は割れるわ班長さんは所轄署で素性をばらしまくるわで分が悪そうな会田。しかし悪い奴の潰し合いに持ち込む知能戦が面白かった。

*サウナで矢部さんに報告しているとき(品田に襲われる直前)、生脚から舐めるように全身(ガウン姿)を映していくといった、お茶の間の奥様がお茶と鼻血を噴きそうなモデル並みのカメラワークが見られたのだが、あれは何のサービスだったのだろう。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:46 PM | comments (x) | trackback (x) |
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