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騙す
テレビ劇場 騙す(1964年・S39・9月8日OA)TBS 22:00-22:30

作:松田暢子
出演:瑳峨美智子、天知茂ほか
座敷女中富子は、独立するため、板前の米吉と共謀して、せっせと店の金をごまかしたが…
(以上、朝日新聞縮刷版より引用)

*天っちゃんは米吉か。共謀していたつもりが米吉にぜんぶ持ち逃げされたりして? (しかし板前と女中といえば「庖丁」ふたたび、ってな組み合わせだ)

※(2009.9.12追加)週刊TVガイドより引用
脚本:松田暢子、演出:川俣公明
配役:富子(瑳峨美智子)

【三悪人の騙し合い】
下町のさびれた旅館の一室で、つつぬけに聞こえる笑い声をよそに、一組の男女がよからぬ相談をしている。男は米吉、女は富子といい、ある小料理屋の板前と女中頭である。二人は売上と仕入金の一部をごまかし山分けしているのだ。この1年間、二人がこうしてためこんだ金は百万円ほど。二人はあと五十万ためて大阪で料理屋をひらこうと企てていたのだ。だが、二人は愛し合っているわけではなく、お互いに利用し合い、1日でも早く、いまの生活を打破したいがためであった。不足分の五十万円、その穴埋めは富子が受け持つことになる。だがその頃、二人の勤める小料理屋のごうつく女将は、富子のピンハネにうすうす気がつきはじめた。そして、女将は米吉に富子の見張りを頼んだ。


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昨日と明日の間
昨日と明日の間(1970年・S45・10月23日〜11月20日OA:全5回)NTV 21:00-21:56

原作:井上靖
出演:天知茂、村松英子、松岡きっこ、山形勲
【荒野めざす男を慕い……】
不可能と思われる事業に挑戦しそれを実現すると、また新しい荒野をめざす男と、その男を慕う女の愛を描く。脚本・富田篤人。
1枚のヒット曲で倒産寸前のレコード会社を救った白戸魁太郎(天知茂)は、祝賀会からそっと姿を消した。白戸の行動に興味を持つカメラマン弾正レイ子(松岡きっこ)の追求をさけ、その翌日、彼は北海道の利尻島にいた。
白戸は荒涼とした北の海をみつめる女を見た。彩田コンツェルンの総帥の妻萄子(村松英子)。
(肩にスーツしょってる写真あり)

(夕刊あらすじより)
#1:ローカル航空の発達に執念を燃やす白戸と、彼を慕う人妻萄子、カメラマン・レイ子らの姿。
#2(10/30):荒木三吉は白戸の誠意を認め新事業に取り組む決意。彩田は白戸と対決すべく行動を開始した。
#3(11/6):三吉は事故を起して負傷。その賠償に四苦八苦の白戸。彩田は事故を利用、事を有利に運ぶ。
#4(11/13):由紀の起した事件も無事解決。荒木航空の第1便が飛ぶ。萄子は夫周平の過去の秘密を知る。
#5(11/20):夫周平の過去の秘密を知った萄子は白戸を慕って稚内へ。周平は白戸を訪ね、萄子の事を頼む。

【周平と別れる決心をした萄子だが……】
彩田周平(山形勲)が萄子(村松英子)の両親を見殺しにして樺太から帰国、財産まで奪った秘密を秘書の鈴木(勝部演之)から聞いた萄子は、これまでの生活が夢にすぎなかったと気づく。周平と別れる決意をし、白戸(天知茂)を追い稚内へ来た。
翌日、荒木航空のセスナで周平が白戸を訪れ、萄子はやっと生きがいを見つけたらしいから、萄子を頼むといい、過去の秘密を打ち明けた。人間としての弱さをさらけ出す周平に萄子の決心は揺らぐ。
【写真キャプション】思い出のきこり小屋で萄子と白戸は…(和服の村松さんと、白い上着でうつむき加減の天っちゃん)
(以上、朝日新聞縮刷版より記事引用)

*原作の白戸は、何事もやり始めに生き甲斐を感じるが次第に飽きてくる、いわばB型人間。弾正レイ子(れい子)はカメラマンではなく、白戸にストーカーのようにつきまとうヤンキー姉ちゃんで、人妻・萄子が白戸への恋心をあらわにするとジェラシーに燃えまくり妨害を始めるので、もしや「悪銭」みたいな事態になるのか…?とヒヤリとさせられたが、白戸の懐の大きさが幸いしてか、うまく収束していた。

*1954年に鶴田さん主演で映画化されている。(あらすじを読むと、こちらはほぼ原作通りの展開のようだ)

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非情のライセンス 第2シリーズ #122
#174「母恋し」(1977年・S52・3月17日OA)

佐世保から来たボクサーくずれの待井丈二(佐藤祐治)が死体で発見された。丈二は目下絶賛売り出し中の男女デュオ『グレープ・フルーツ』の充こと工藤朝夫(山内英正)のかつての施設仲間で、彼を訪ねて上京したことが判明、会田(天知茂)は充をマークする。どうやら丈二は、幼い頃に充を捨てて渡米した母親が戻ってきたことを知らせに来たらしい。

丈二に会ってから意気消沈している充を心配した相棒のゆかり(相本久美子)は、所属プロの社長・倉石(木村元)に休暇を申し入れるのだが聞き入れてもらえない。そこへ大洋企画の社長・中沢(大村文武)が現れ、移籍の話を持ちかけた。猛反対した倉石は翌日、溺死体で海に浮かんだ。

一方、会田の指示で浮田(松山英太郎)は充の母親らしきマリー(小畠絹子)という女を場末のバーで見つけた。客と大ゲンカして警察の厄介になるほど『グレープ・フルーツ』ファンである彼女だが、充の母であることは頑なに否定する。

そんな中、週刊誌が母親の話を嗅ぎつけ、興味本位で書き立てた。これでさらにレコードが売れると喜ぶ中沢をよそに、充は歌手を辞めたいとゆかりに漏らす。母親のネタで強請りにきた丈二を殺したのは自分だという彼の告白を聞いたゆかりは「グレープ・フルーツは2人で食べるものよ」とどこまでも付き従うことを誓うのだった。

売上至上主義の中沢の魔手はマリーにも迫っていた。車にぶつけられ入院した彼女を見舞った会田は、充が密かに置いていった花(むくげの花)に涙する母心に打たれる。そしてマリーは、「丈二を殺したのは自分だ」と警察に自首して出る。だが、罪を悔いた充が現れ、二人はようやく涙の再会を果たした(もちろん、懲りない中沢は会田がボコ殴って逮捕)。罪を償うことになった充だが、塀の外ではマリーとゆかりが仲睦まじく彼の帰りを待っていた(昭和ブルースは2番)

*新東宝時代の相手役(のひとり)・小畠絹子さんが2回目の登場。#6「兇悪の母」とはうってかわった酒場の女(雰囲気はどことなく「毛皮のマリー」な美輪さんっぽい)を熱演。彼女をみる会田の目はいつになく優しかった。やはり「おっかさん」にはヨワイらしい(というより、小畠さんにヨワイのか)

*会田いわく「俺も朝夫君と同じような境遇で育った」(横浜のおじさんちでの居候は何かと辛かったのだろうか←いろいろ妄想炸裂)

*グレープ・フルーツが歌う「夜明けはまだ遠い」は、セカンドLP「浪漫・悲歌(ろまん・えれじい)」のラストを飾る曲でもある(作詞:坂本玖美子 作曲:千葉一臣 編曲:京建輔)。若い二人が歌うと爽やか系だが、天っちゃんバージョンは別の色気があってナイス。

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庖丁
庖丁(1962年・S37・8月4日OA)CX 22:00-23:30

原作:丹羽文雄
演出:塚田圭一
出演:瑳峨美智子、大木実、天知茂、浦辺粂子

(週刊TVガイド 創刊号より記事引用)
【瑳峨美智子ひさびさのドラマ「庖丁」に体当たり演技】
月影が川面にゆれる浜町河岸、粋な三味の音、橋のたもとにひっそりたたずむ男と女…とくれば新派の当り狂言「明治一代女」を思いおこすところ。さて今夜の丹羽文雄原作「庖丁」もまた、時は現代であるが、そんな情景をほうふつさせるドラマである。この作品は、かつて週刊誌に連載されて、映画各社がねらっていたものだが、主演の瑳峨のたっての希望で、はじめてテレビにお目見えする。「相手役は気心の知れた大木実さんや天知茂さんですし、まわりが映画のかたばかりなので、とても楽しくお仕事させてもらっております」と語っていたが、それでも馴れないテレビのこととて、だいぶ勝手が違うらしくフウフウいっている。

<物語>
お雅は浜町の料亭の女中だった。彼女には求愛する2人の男がいる。料理場をとりしきって、気ぐらいは高いが腕のたつ板前山名。同じ板前だが、山名にはいつもどなられている小心者の房吉。戦争が激しくなり山名に赤紙が来た夜、彼に妻となることを約束した。だが終戦を迎え、母をかかえたお雅にやさしい手をさしのべたのは房吉だった。
(座りこんでる瑳峨さんに手をさしのべているらしい黒い着物の天っちゃんの写真つき)

*TVガイドのあらすじと写真から、大木さんに怒鳴られてびくつく天っちゃんが頭に浮かんで「たぶん房吉役だな」と思ったのだが、原作を読んでみたところ、お雅さんと所帯を持つ戸田房吉のほうが山名直規より年上で容貌的にも難ありなので、もしかすると天っちゃんは山名のほうかもしれない、という気もしてきた(大木さんに大変失礼だが)…でも、「蛇のような目」だとか高利貸しに燃えているところとか、房吉も捨てがたい(?)んだよなあ。気位の高い板前に小心者、どっちも守備範囲だから始末におえない。

*(追記)下記の読売新聞の記事によれば、房吉でした。

(読売新聞1962年8月4日号より記事引用)
【板前と女中の悲恋】 非情な戦争通じて描く
築地の料亭「千樹」を舞台に、板前の山名と女中のお雅との悲恋を急激にうつりかわる世相を背景にえがく丹羽文雄原作の「庖丁」。
築地の料亭「千樹」は板前のウデがよいので知られている。その板前の山名は女中のお雅に好意をもっていた。ある日の夜、召集令状を受け取った山名は九段の待ち合いでお雅と結ばれたが、戦争はふたりの仲をひきさき、山名を戦場にかりたてていった。
(脚色)成沢昌茂、中園みなみ。
【出演】お雅(瑳峨美智子)、こと(浦辺粂子)、山名直規(大木実)、房吉(天知茂)ほか。


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非情のライセンス 第2シリーズ #121
#173「強姦」(1977年・S52・3月3日OA)

平穏な一日を終え、恋人(=ステーキ)との逢瀬のあと家路に着いた会田(天知茂)の車の前に、ひとりの女が飛び出してきた。まるで反応がないので救急病院に連れていくと、ショックで聴覚が麻痺しているかもしれないとのこと。仕方なく自宅に連れ帰ってベッドに寝かせたところ、突然彼女は叫び出し、駆け付けた警備員に泣きながら助けを求めた。
「この人が私の身体を…! 乱暴されたんです!」

会田は強姦容疑で捕まり、所轄の拘置所で1泊する羽目に(矢部さんの手腕で1泊で済んだらしい)。滝(篠ヒロコ)の調べによれば、昨夜の女性は中村多恵子(渡辺やよい)20歳、和風スナック「中村」を切り盛りしているという。店を訪れた会田に、私は強姦されたと頑なに繰り返す多恵子。だが「君は被害者で俺は加害者…世間はそれでごまかせても、君の心はごまかせない」との渋い彼の言葉に動揺し始める。

しかし、矢部さんの手回しも及ばず、とある週刊誌が「強姦刑事・会田健」とデカデカと書きたてた。誰に頼まれたんだ、と憤った会田だが、筆者のルポライター・黒沼大輔(真家宏満)は多恵子と恋仲らしく、彼女の言葉を信じて純粋に怒りをぶつけてきただけだと悟り、パンチを甘んじて受けたうえ、彼女を守ってやれと励ましの言葉を与えた。

そんな中、滝が多恵子の弟・治(内田憲一)から1枚の写真を借りてくる。多恵子と写る男の名は倉岡昇(深江章喜)、かつて会田が売春斡旋の罪で逮捕した男だった。失業者でアル中の父・英次(田中春男)と受験生の弟を抱えた多恵子は、倉岡の二号としての生活を余儀なくされており、会田を罠に嵌めたのも、服役中の倉岡の意を酌んだ弁護士の木口義二(外山高士)に命じられてのことだったのだ。

倉岡と縁が切れない娘の姿に自分の不甲斐無さを悔いた父は首つり自殺。真相を知り、すべてを明らかにしてやる!と木口に宣戦布告した黒沼も、彼の雇ったヤクザにボコ殴りされて死んでしまった。木口の事務所で暴れた後、出所してきた倉岡の宴会に乗り込む会田。しらを切る倉岡だが、しおれた木口と包丁を手に「(倉岡を)殺してやる!」と慟哭する多恵子を見て、観念したように項垂れた。

事件収束後。弟と共にスナックを切り盛りすることにした多恵子から、会田は封筒を預かる。そこには、『会田刑事―強姦の真相』と書かれた黒沼直筆の原稿が入っていた(昭和ブルースは4番)

*「(部屋に連れ込んだのは)私には計画的にしか思えません!」と自分の計画性を棚に上げて会田を糾弾する多恵子。でもあの場合、わざわざ部屋に入れた会田が迂闊だったと思う。しかし今回も私服(サイケ柄のシャツ)は兇悪だった会田。あと、「あいにく女物がないからこれでも着てくれ」といってワイシャツを手渡してたが、自分は裸で寝る用意をしてなくて助かったよなあ(女物どころか男物パジャマもないからなあ)

*暇だからって紙ヒコーキを飛ばして(←会田方向に)遊んでた滝さん、どんどんお茶目になってくる気が。

*『のんき裁判』でイチオシだった“春ちゃん”こと田中春男さんが父親役。娘の身体を犠牲に生活しているのは#118「生贄」とよく似たパターンだったが、男親ゆえか、それを強いたのが自分だったゆえか、悲しいくらい弱いお父ちゃんであった。

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非情のライセンス 第2シリーズ #120
#172「濡れ衣」(1977年・S52・2月24日OA)

特捜部屋のドアの下にそっと差し入れられた1通の手紙。ある人物の自殺を止めてくれ、と書かれたそれを拾った会田(天知茂)は、その男・大堀正男(谷村昌彦)の名前が、贈収賄事件の当事者として翌日の新聞に載っていることを発見する。

土木課の係長である大堀には、ゴルフ場の計画倒産に絡み、銀行から高額の壺を見返りとして受け取った容疑がかけられていた。しかし真面目で朴訥な彼を知る周囲は収賄を否定。なにより本人が、贈賄を受けたとは微塵も考えていなかった。なにしろ壺を持ってきた銀行の課長というのは、高校以来の無二の親友で妻の喜代(上月佐知子)の兄でもある工藤(松本朝夫)なのだ。あれは単なる結婚記念のプレゼントだ、そう信じて疑わない大堀をよそに、何か知っているらしい喜代(実は手紙の差出人)は心配顔。

そして娘の陽子(高峰レイ)は、工藤がもこもこ上着の特捜刑事(=会田)と会っている現場を目撃、壺は贈賄の証拠なのだと確信する。どこまでも工藤をたてる父に嫌気が差した彼女は家を飛び出し、バイクの相乗りで事故って死んでしまった。

娘が死んでもなお、かつて友情にしがみ付いている大堀に、喜代は兄から聞かされた真実(やはり壺は贈賄品だったこと)を打ち明けた。裏切られたと知り、心の支えを失った大堀は、工藤を訪ねて彼を刺殺、ひとりで彼との思い出の地(伊豆の土肥温泉)へと向かう。後を追った会田たちは、崖から飛び降る直前の大堀を間一髪で保護した。

大堀の友情、そして家族の絆を崩壊させた黒幕は、ゴルフ場の計画倒産で利をむさぼる八州大造(竜崎一郎)だった。難攻不落の八州の元へ乗り込んだ会田は有無を言わせずボコ殴りし、こう叫ぶ。「ゴルフ場の倒産は、このままじゃうやむやに終わるだろう。誰も手だしは出来ない。法律も手だしは出来ない…!その法律に代わって、俺が貴様を裁いてやるんだ!」(でも結局うやむやになってしまったようで、特捜部屋で渋い顔して新聞叩きつけてるシーンでエンド)(昭和ブルースは4番)

*男同士の「あの素晴らしい愛をもう一度」な展開(?)が切ない話。欲をいえば、親友を裏切って事件に巻き込むに至った工藤の心情もじっくり見てみたかったなあ。演ずるは松本さんだから限界があったのか?(←ニューフェース同期に対して失礼)

*結局ボコ殴りだけでおしまいになってしまった黒幕の処遇は(リアルだが)後味が悪かった。いくら会田でも、撃ち殺すわけにはいかんだろうけども。

*またまた、例のもこもこ上着が大活躍。正直、その服は旅先だけにしてほしかった…(OPとED以外、ずうっとこれだもんなあ)

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非情のライセンス 第2シリーズ #119
#171「替玉」(1977年・S52・2月17日OA)

婦女強姦殺人の罪に問われた菊池勇(田口弘)の無実が確定し、姉の順子(井原千寿子)やアリバイを証明したジーパン店長・原朋子(木原光知子)、それに会田(天知茂)たちがホッとして裁判所を出た矢先、勇は心臓を撃ち抜かれて即死、会田も狙撃され左腕を負傷した。

(無論、勇が死んだことも怒りの対象だが)この俺の命を狙うなんざ許せねえ!とばかりに、勇がかつて属していた元関西ヤクザで今はカタギ(自称)の土建業の村上大造(高野真二)の事務所を急襲する会田だが、犯人はすでに自首したと連絡が入る。ところがその男はハジキの腕がからっきしの替玉。こいつを囮にして真犯人を洗い出そうという会田の提案を「我々(一課)はそんな汚い手は使わん!」と却下した橘警部(渡辺文雄)は、ぷんぷんして出て行った彼の後姿を見ながら「我々にはもっと良い囮がいるんだ」と部下に会田の尾行を命じる。事実、会田殺しに一度失敗した村上は「あいつをバラさんかい!」と手下に大号令をかけていた。

勇は順子に遺言書を残していた。そこには、再生不良性貧血で余命1年と宣告を受け、100万と引き換えに強姦殺人の罪をかぶってくれと村上に頼まれつい引き受けてしまったとあった。金に困る村上が大金を用意できるわけがないと睨んだ会田は、村上土木のボスである田丸建設の社長・田丸総太郎(伊達三郎)の関与を確信した。田丸は息子の誠(司千四郎)を政界の黒幕・郷津(野口元夫)の娘と結婚させるつもりだが、誠の女癖の悪さは有名らしい。

もしや、婦女強姦の真犯人は誠では…。弟の仇を討ちたい順子が誠を付け狙っていることに会田は懸念を抱く。そんな折、勇と会田の狙撃実行犯の河合(日尾孝司)が「河合の人殺し〜」の声に「なんじゃわれぇ!」と激昂した拍子に転落死、その部下の高田(中田博久)も車ごと炎上。どちらの現場にも、黒ヘルメットでバイクにまたがる女性が目撃された。それが順子の姿と酷似していたことから、彼女を連行しようとする橘たちだが、先回りした会田は、順子に手錠を掛けて身柄を確保、彼女の無実を信じて協力を依頼する。

その間に村上土木を内偵していた堀(財津一郎)が強姦殺人の目撃者を見つけ、会田は件のバイク女性は、村上の愛人・昌子(藤堂陽子)の仕業だと見破った。そして誠と郷津の娘の結婚式、猟銃を持って乗り込んだ順子は(打ち合わせ?に反して)引き金を引くが、弾は会田が抜いた後。悪人たちは法に裁かれることになった(昭和ブルースは1番)

*会田を囮にしようとしたブラックな橘さんだが、最後に残った郷津(=会田の2年越しのターゲット)に掛ける手錠を会田に渡す男気を見せてくれた。またまた無言で通じ合ってるふたりが熱い。

*しかし、会田って傷の治りが早くてイカンよな。

*「チャーハンお待ちどうさま〜」と出前に扮して特捜部屋に乗り込んできた刺客を撃ち倒した会田(なんか微妙に被弾していそうなタイミングで机を乗り越えていたがそれは見なかったことにしよう)。誰の差し金だ!という問いを無視して死んだ男に掴みかかったところを「会田さん、ホトケになっても責めるんですか!」と佐々木刑事(北町嘉朗)に止められていた。会田ならやりかねん。

*関係ないが、私は小学生のころ木原光知子さんに遭遇したことがある(ホテルのプールで平泳ぎしてたら隣に木原さんがいて、プールサイドにいた両親によると、泳ぎをじっくり見てたらしい)

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非情のライセンス 第2シリーズ #118
#170「生贄」(1977年・S52・2月10日OA)

逗子マリーナのマンションの1室で隣の棟を見張る会田(天知茂)と滝(篠ヒロコ)。見た途端殴りたくなるような大物(矢部さん談)の出入りをペアで探れ、ただし間違いは犯すなよ、との矢部部長(山村総)の指令を受けてのことだが、滝はいそいそとステーキ焼いたりワイン開けたりして張り切っている(後から矢部さんと会田間で請求書タライ回し)。

隣のマンションに現れたのは、会田の一番嫌いな人種、政財界の大物・三枝幸之助(幸田宗丸)だった。どうやらマンションに女を囲っているらしい。翌朝、三枝と一緒にいる女性を見て滝の顔色が変わった。高校時代の親友・風見綾子(土井かつえ)だったのだ。綾子はかつて三枝と繋がりのあった丸和物産で秘書をしており、開発部長の島崎(土屋嘉男)と不倫関係にあったが、収賄便宜の礼として高級マンション付きで三枝に差し出された、いわば“生贄”なのだという。

綾子が友人と知った上で捜査を続行させようとする矢部に反発しながらも、彼女とコンタクトを取った滝は、いつの日か島崎と一緒になれると信じて、母と弟妹たちを養うために三枝に囲われている綾子の悲哀を知り、彼女の線から丸和物産と三枝の癒着を明るみに出すことに躊躇する。

だが、社会悪(=三枝)を糾弾するためには手段を選らばぬ会田は、島崎-綾子-三枝の関係をブンヤに暴露させた。自分たちが姉の売春行為で養育されていたことを知った妹の真弓(高田ひとみ)は大学を辞め、弟の孝雄(川代家継)は、姉を弄んだ島崎への憎悪を募らせ、彼を待ち伏せ刺殺してしまった。

「私の苦労はなんだったの…!」愛人と家族の不幸に慟哭する綾子。非難の眼を会田に向ける滝。しかし会田は綾子に、人に後ろ指を指されるような安易な道を選んだのは君だと詰め寄った。「君はいったい、どんな苦労をしたというんだ。君は家族のために自分を犠牲にしたつもりだろうが、本当に犠牲になったのは君じゃない。君の家族だ!

綾子は本庁ですべてを告白したのち、滝の隙をついて窓から身を躍らせた。保険金を家族に遺すため「足を滑らせたの…」と呟き事切れた綾子の思いを尊重し、会田は事故死として届け出るのだった(昭和ブルースは1番)

*後味が微妙に悪いというか、久々に会田の非情さが目立った展開。綾子さんは綾子さんなりに頑張ってたと思うんだが、ワルい奴に囲われてのうのうと金儲けしてる、ってのが会田には許せなかったらしい。

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非情のライセンス 第2シリーズ #117
#169「過去」(1977年・S52・2月3日OA)

こころもちやさぐれた歩調で馴染みの薬局に向かった会田(天知茂)。「来るだけで何を買いに来たか分かるのは、会田さんとあの男だけですよ」主人の田口(大塚明夫)によれば、その男は(会田のような二日酔い薬ではなく)強力な睡眠薬をここしばらく毎日買いにくるのだという。噂をすればなんとやらで、山岡修治(川地民夫)は今日もまたふらっと現れて睡眠薬を買っていった。そして、彼を見る田口の妻・洋子(原田英子)の顔色はなぜか青い。

ひとりは釣り(=たぶん浮田さん)、ひとりはドライブ(=たぶん滝さん)、それからひとりは焼鳥屋(=絶対堀さん)、おまけに残るひとりは二日酔い、というノンキな連中に手を焼く矢部部長(山村総)のお小言もなんのその、山岡が気になる会田は「犯罪を未然に防ぐのもデカの仕事」と身辺調査を始める。偶然にも、彼は堀刑事(財津一郎)の焼鳥屋の常連だった。

そんな矢先、田口の娘が何者かに誘拐された。知らせを受けた会田が駆け付けたところ、風邪気味だった娘を心配する夫妻の前に再び山岡が姿を見せ、今日に限って睡眠薬ではなく風邪薬を求めた。誘拐犯は山岡ではないか――。渋る堀に山岡の過去を洗わせた会田は、エリート社員だった山岡が7年前、自分のフィアンセと愛人関係にあった部長の渡部を刺殺して最近まで服役していたことを知る。そのフィアンセとは、現・田口夫人の洋子だった。

そのころ洋子は山岡を訪ね、娘を返してくれと懇願していた。なんでもするから、と土下座せんばかりの彼女に山岡は今まで購入した睡眠薬を渡し、だったらそれを飲んでみろと迫った。洋子は飲めない。7年前も、朱に染まった渡部の側でお前はそう言いながらすぐに俺を警察に売ったではないか、もう騙されないぞと詰る山岡。だが洋子は、貴方に娘は殺せないわと反撃に出た。なぜならあの子は貴方の娘なのだから――その言葉を聞いて驚く山岡。だがもう一人ショックを受けた男がいた。洋子が心配で後を付けてきた田口である。

堀に連行されたものの、山岡は沈黙を続ける。会田は彼が娘を渡部の未亡人・昌江(槇ひろ子)に託したことを突き止めた。加害者と被害者の遺族ではあるが、彼らは互いの理解者でもあった。洋子が許せない昌江は「娘は死体で返す」と物騒な電話を田口家に掛けはしたが、約束を守って少女を連れてきた。だが、母を見るなり道路に飛び出す少女。咄嗟に彼女を庇った山岡は、そのまま還らぬ人となってしまった。

「あなた(=田口)の娘に決まってるじゃない!」と断言していたにも関わらず、血液検査を敢行しようとする夫に「もしあなたの子じゃないとしたら…?」とほのめかし始める洋子。山岡の死を目の当たりにし、ようやく過去の行いを悔いた洋子は、最後まで自分の言葉を信じて逝った彼に報いようとしていた。

洋子は娘を連れて故郷へ帰り、傷心の田口だけが残された。薬局休業の貼り紙を憂い顔で眺めると、会田は静かに踵を返すのだった(昭和ブルースは4番)

*結局、娘のミカちゃんの父親は我々には分からないままエンディング。過去に戻れないと知っていながら、過去の幻影を求める山岡。過去にとらわれたままの昌江。そして過去を捨てて生きてきた洋子。「過去」というキーワードが織りなす哀しい人間模様が印象的な回だった。特捜部屋で二人で窓見ながら「父親は哀しい」と呟く矢部さんに、母も子も、人は皆哀しいものだと言う会田のシーンもいい。

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非情のライセンス 第2シリーズ #116
#168「狂宴」(1977年・S52・1月27日OA)

本庁からの帰り、なぜか土手をガンガン走っていた会田(天知茂)の車は正面から来た対向車に当て逃げされた。やる気かコラと(嘘)近づいたところ、その車はいきなり炎上。地面には、児玉正子(白川望美)の学生証が落ちていた。

学生証を届けに児玉邸を訪れた会田は、そこへ一課が乗り込んでいるのを知る。橘(渡辺文雄)は黙秘するが、ブン屋の秋山(二瓶正也)によれば、なんでも娘の正子が誘拐され脅迫状が新聞社と自宅に舞い込んだのだという。正子の父・児島光(鈴木瑞穂)は、あこぎな商売でのし上がってきた沢渡泰造(嵯峨善兵)の子飼いで、政治家などへの賄賂の受け渡し役を務めていた。その事実を手記として新聞に公表せよ、というのが犯人の要求だった。もしやあの車の中の焼死体は…と気になった会田は橘にカマをかけたところ、死体は身元不明の男性であることが分かった。

真相を手記にするなどもってのほかだ!と激怒する沢渡に対し、娘の命が心配な児島は手記をしたため、そのおかげで正子は元過激派の学生・前尾晴夫のアパートで無事発見された。誘拐犯は前尾と断定されたが、正子は彼こそが正義を貫いたのだと庇う。

一方会田は、前尾のアパートにあった恋人・陽子(宇治知美)のハガキを拝借して彼女を訪ね、前尾が陽子と結婚するために過激派と縁を切り、全うに歩み始めていた事実をつかむ。そして、前尾の身体的特徴は、焼死体のそれと一致していた。

助け出された正子は、かつて母がひき逃げされたときも不在だった、いつでも沢渡の言いなりの父を容赦なく責め立てる。翌日、児島は“手記は嘘だった”と記された遺書をしたため睡眠薬で自殺、それを会田から聞いた正子は、「君がお父さんを殺したんだ」と言われても涙ひとつ流さなかった。

児島の父が服用した薬、正子が眠らされていた薬、そして、焼死体から検出された薬はどれも同じ種類の睡眠薬。そして新聞社に届いた手紙の筆跡から、誘拐事件は正子自身が仕組んだもので、前尾に罪を着せて殺したのも彼女だと会田は見抜く。なぜ前尾を殺す必要があったのかとの問いに正子は、彼は母を轢いた犯人だったことを打ち明けるのだった(昭和ブルースは4番)

「法律というものは、正義まで裁いてしまうのですね…」 母の恨み(おそらくそれは捨て置かれた自分自身の恨みでもある)を晴らすため、不甲斐ない父とそのボスに制裁を加えようとした正子。結局、ボスの沢渡がどうなったのかは分からずじまいだったのが少し中途半端に思えた。沢渡をボコ殴りついでに捕まえるほどには、会田が正子に感情移入していなかったせいかもしれない。

*とりあえず、どうして車で1本道っぽい土手(というか、ススキに覆われてるところ)なんかを走ってたのかが一番のナゾだ<会田

*ラスト付近、正子と会田のフォーカス切り替えがえらく雑だった(わざとか?)

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:10 PM | comments (x) | trackback (x) |
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