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『狼男とサムライ』
『狼男とサムライ』(1984年・S59)

狼男とサムライ1


製作時の金銭問題のゴタゴタでストレスが溜まった故に寿命を縮めたのではとさえ噂されている問題の遺作映画(日本未公開)を、ようやく鑑賞。

時は16世紀。何世代も続く呪わしい運命に苦悩する狼男・バルデマル(ポール・ナッチィ)を救えるただひとりの賢人として世界に名が知られている医者・貴庵(=きあん)が天知茂。彼だけを頼りに遠くジパングまで来たバルデマルを、貴庵は果たして救えるのか・・・?

ものすごくB級かつトホホなものを想像していたら、案外、いやむしろ天っちゃん的にはかなり見どころが多かった。新東宝時代からそうだが、天知茂という人はたとえどんな役であろうと大真面目に取り組み、あくまで限られた状況の中で最大限に自分を生かそうとする。「オレがオレが」の唯我独尊になる一歩手前できちんと枠に収まる、その職人芸がここでも堪能できた。

医者風、というより佐々木小次郎風のりりしい若サマ鬘で、アップになるとソフトフォーカスがかかって美しさに拍車がかかる(←笑ってはいけない)、医者としては正直いって頼りないが剣の腕はすこぶる立つ貴庵さん。詳しいあらすじは下記サイトの的を得たレビューにお任せすることにして、見どころシーンを列挙してみると:

*素顔で睨み勝ち*
夜の京都で殺戮の限りを尽くしていたバルデマル(満月で狼男に変身中)と初顔合わせのシーン。口から血を滴らせ、野獣と化したバル氏と睨みあう貴庵さん。やがてすごすごと引き下がったのは、狼男の方だった。そりゃこんな目つきでにらまれたら怖いわな。ちなみにバル氏は別の場面で虎と闘い勝っていたので、虎<狼男<天知茂という強弱関係が成り立っているのがよおく分かった。

*温泉でどっきり*
町の人殺しまくりのバル氏に、まあここはひとつ温泉にでもと呑気に勧めて自分もちゃっかり入ってる貴庵さんに、刺客(くの一その他)が襲い掛かる。ここは素面のバル氏&かいがいしく世話をしている貴庵の妹・茜の二人を襲うのがスジではないのか? と疑問が沸くが、くの一たちにだって好みがあるんだろう。お腹にサラシを巻いた褌姿(いわゆる六尺褌というやつでせうか)で際どい立ち回りを披露する白い素肌の美女・・・もとい貴庵さんには、正直クラクラだ。

*きあんは 銀の刀を てにいれた!*
調合した薬が効かないため、バル氏の病を治すことをあっさり諦めた切り替えの早い貴庵さん、古文書に載っていた「狼男をやっつける方法(=彼を愛する者が銀の刀で胸を貫く)」に基づき、銀の刀探しに化け物屋敷へ白馬に乗ってお出かけ(キラキラのまさに佐々木小次郎ルックで)。襲いくるゾンビやら悪霊やらアマゾネスやら土蜘蛛やらを「なんでこんなバケモノたちと俺が」なんて怨み言(←想像)は微塵も顔に出さず、華麗な殺陣でざっくり打ち倒してゆくさまは、もはや贔屓目でしか物が言えないが実に見事で美しい。ただ、カメラが一定の位置に据えられているらしく、アクションが嵩じてくるとすぐに後ろ向きのアングルになってしまうことが多くて、なるほどこれで天っちゃんがキレたのかもしれないと思った(「Memoirs of a Wolfman」参照)。

その他、足場の悪い河原での一騎打ちやら切腹の介錯人やら、やたらめったら目立っているうちにクライマックス。銀の刀は私が使います、と志願する妹を制止し、「私にはこの銀の刀と強い精神力があるから大丈夫だ」と、白地に南無妙法蓮華経の江戸の牙スタイルで最後の対決に臨む貴庵さん。さっき読んだ古文書の内容をちゃんと理解してるのかどうか疑問である。

もっとも、あわや!というところで現れてくれた茜さんがバルデマルを刀で貫き(それがスジだろう)、討たれたバル氏はとても穏やかな顔であの世へ旅立った。しかし、バルの爪で肩を裂かれてた貴庵さん(狼男に傷つけられたら呪いが移るとかいってなかったか?)、どうやらバルの子を身籠ったらしく、お腹を押さえて妖しげな表情で満月をみつめる茜さん(呪い継承?)の兄妹にこれから何が起こるのかを想像するとうっすらホラーな終わり方といえた。まあ、「狼男のサムライ」なんていう続編が作られなかったのは幸いだろう。

意外と楽しめたものの、フィルムの完成を待たずして天っちゃんが急逝したせいで、貴庵の声が別人の吹き替えなことだけが残念だ。といっても、声を当てているのは彼を良く知る弟子の宮口二朗さん(ゾル大佐@仮面ライダー)なので雰囲気は合っているのだが、あの顔にはやはり、あの押し殺したような低音ボイスでなくちゃ物足りない。

追記:歌は唄っていなかった。それじゃ「映画のために作った歌」@「Memoirs of a Wolfman」というのは一体・・・。

*もしかして、「ふたりづれ」(「江戸の牙」のエンディング)かなにかを唄って、その説明で「牙」とか言ったからナッチィ氏サイドが勝手に狼男を連想したのか?

*(2007.1.28追記: 「完全版」あり。そこではがっちり唄ってます

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=49 |
| 映画::松竹・他 | 01:07 PM | comments (x) | trackback (x) |
[24] 妖しい傷あとの美女
濃厚な原作と濃厚な80年代風俗が相まって、実に美女シリーズらしいコッテリ具合が堪能できます。そしてあくまでストイックな明智センセイ的に、ではあるものの、「一線越えちゃいました」な美女との絡みは特筆事項かと(でもってこちらも意外に濃厚)。

冒頭、定期健診をさぼって美術館へしけこむ明智センセイ。時期が時期(1985年3月放送:天知氏急逝は同年7月)だけに、首根っこ捕まえてでも病院へ連れて行きたくなりました(センセイを、というより天っちゃんを)。「人間、どんなに丈夫そうに見えても、どんな病気が潜んでないとも限らんからねえ」という波越警部(荒井注)の台詞がコタエます。

その他、劇中で戒名付きの立派なお葬式なんか出してるからやん!とか、革靴(シークレット度高し)履いたままお寺の本堂を歩き回ってるからやん!とか、怪しいジャケットで怪しい店に入り込むからやん!とか(だんだん意味不明)、天知氏の危険な(?)一挙手一投足につっこみながら、次作(最終作)よりも色々と感無量になりながら見てしまう回です。やっぱり最後期のは、良い意味でこなれてきていたから余計に見てると悲しくなるなあ。

*リアルタイムで見ていたとき、TVにカセットレコーダーを近づけて「君、安らかに・・・明智小五郎」の台詞部分からエンディングを録音したのをよおく覚えてます(あのテーマ曲を永久保存したかった模様)。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=321 |
| TVドラマ(現代劇)::江戸川乱歩シリーズ | 10:36 PM | comments (x) | trackback (x) |
密偵
密偵(1983年・S58・12月22日OA)

のっけから身に覚えのない収賄罪で切腹を言い渡される旗本・榊原主計(=かずえ:天知茂)。裃姿をじっくり愛でる間もなく切腹シーンに突入。怖い表情だが(それはいつものこと)さして悔しさも見せず、主計さんは腹に刀を突き立てんとする。おいおい、抵抗しないのか? 身の潔白を明かさないのか?

あまりに平静なのでこっちがそれなりにハラハラしかけた瞬間、「まあ待て待て、お主は無実だ」と実にのんびりとした調子の止めが入った。やってきたのはなんだか緊張感のない、事務方っぽいお侍(ここは山村聡or三船敏郎レベルの大御所タイプに来て欲しかった気がする)。幕府転覆の陰謀を防ぐために、名前を捨てて密偵として生きてくれと頼まれた主計さんはにやりと不敵に笑って承知する。さっきまで死ぬ気マンマン(?)だった人がそんな簡単にアンタ、と突っ込みたくなるが、2時間弱で事を収めようとするといろいろ忙しいのだ。

娘ともども拉致され、大砲を作らされている柳原氏の救出任務を遂行するため、飾り職人の卯之吉(森川正太)と医者の平野(岡本冨士太)をヘッドハンティングする主計さん。危ないところを助けたというより、仲間に引き入れんがために罪をでっちあげてるようにもとれる展開だが、なにしろ2時間弱だ、そこも目を瞑ろう。

揃って任務地・高松へ向かうがすぐに刺客に襲われ、結局別々に高松入りすることになる三人。主計さんは板前・佐吉と称して助格ルックで高松入りし、前の密偵(任務失敗で死亡?)が目をつけていた小料理屋の女将(范文雀)に接近する。小粋な遊び人を気取り、ちゃっちゃと刺身を作ったりするとても器用な主計さんだが、会った瞬間から女将に密偵だとバレてしまうくらいお里が出ているあたり、さすが天っちゃんだ(褒めてるのか)。

最初は非常に頼りなかった他の二人(コワモテのお侍にいきなり密偵になれといわれてもそりゃ困るわなあ)だが、それぞれ自分の能力を生かして活躍。彼らが無事柳原親子を救出すると、主計さんは廻船問屋(川合伸旺)& 代官(高松英郎)のゴールデン悪役コンビたちを相手にばっさばっさと旗本姿で立ち回り独壇場。

任務完了後、江戸に戻った主計さんは例の事務方お侍(いやきっと偉い人なんだろうけど)から新たな名前とお庭番としての仕事を与えられるが、小判だけ貰ってあっさり断り、江戸まで付いて来た女将さんと仲良く旅に出る。一匹狼(そして女運の悪い)キャラの多い天知氏にしては、かなり珍しい部類のラストだった。

脚本は美女シリーズ等でお馴染みの、天っちゃん御用達ともいえる宮川一郎氏。唐突な切腹シーンや板前シーンなどのコスプレ(といっちゃイカンか)もさることながら、単発物のくせにやたらと気合の入ったアイキャッチ(赤いバックで、おもむろに編み笠をバッと取る天っちゃんの怖い顔のアップ)のインパクトの強さも印象深い作品である。


| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=455 |
| TVドラマ(時代劇)::その他(単発など) | 12:47 AM | comments (x) | trackback (x) |
闇を斬れ#13
「仇討ち恋泥棒」(1981年・S56・6月30日OA)

養女(実は田沼意次の娘)に上様の子供を身籠らせようと画策する淡路守は、上様似の若者を拉致しては娘に与え、使い捨てていた。弟を死に追いやった「乳房に黒子が3つある女(=田沼娘)」を探して仇を討つため、旗本屋敷に忍び込んでは首ならぬ「乳」実検していた(ついでに操も頂戴していた)「お役者助左」(風間杜夫)とひょんなことで知り合った闇狩人の渚さん(坂口良子)の淡い恋と悲しい別れ・・・ということで、新さん(天知茂)の出る幕はほぼ皆無。あんまりつれなくされるから新さんゲットは諦めたのか、渚さん。

10話くらい前まではまるで生活感の無かった新さんだが、井戸端で長屋のおばちゃんたちと仲良く米を研ぐという前回に引き続く所帯臭さが見られた。ちなみに長屋には、花沢さん@サザエさんのような積極的な娘さんがいて、今回も「お役者助左より新さんのほうがずうっと素敵よぉ!」とアタックしようとするも新さんにかわされ、勢いで井戸にぼっちゃーんと落ちていた。ある意味、これが一番大事件

*最近の立ち回りは狂四郎風の黒の着流しでクールに決めることが多い新さん。どっちかというと紫頭巾&白の「風林火山」を復活させてほしい(目立つところが立ち回りしかない回は余計にそう思う)。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=367 |
| TVドラマ(時代劇)::闇を斬れ | 11:43 PM | comments (x) | trackback (x) |
『侠客道』
『侠客道』(1967年・S42)

石田組と城西会傘下の寺光組との小競り合いが続いている大阪に、東京からやってきた凄腕検事・中上啓介(天知茂)。実は彼、今は石田組の若頭になっている伊吹(安藤昇)と共に組に拾われ世話になっていたことがあるのだが、12年前、組長の娘と恋仲になったことでカタギにも関わらず小指を落とされてしまい(回想シーン有り。モノクロ・無音ながら、むっちゃ痛そう!)、その私怨が暴力団追放の原動力となっている、暗い翳を引きずる非情の男である。

久々に会えて懐かしがる組長(石山健二郎:もろに気のいい大阪のおっちゃん風)を「暴力団は罪人と同じだ、違いますか!」 とドスのきいた低音で冷たくあしらい(「その暴力団のメシ喰うて大学でられたんとちゃうんか!」とつっこまれてもめげる彼ではない)、予科練で同期だった親友の伊吹をも避け続ける中上検事。心痛する妻(=組長の娘:小畑絹子)が「担当を代わってもらったら・・・」と勧めるが、「ヤクザのくだらなさを知っている私でなければ(駄目なんだ)・・・!」と欠けた小指を見つめながら一層瞳に暗い情念を燃やしている。周囲には恩知らずと思われているけれど、検察側が極道と関係していたらマズイもんなあ、普通は。

中上の偏った締め付けのせいかどうか、組長は寺光(渡辺文雄)の謀略で惨殺、遺言により解散した石田組の面々と地元の人々は、のさばってきた寺光組の横暴に窮地に立たされた。組長の死が、子分・北見(小池朝雄)の裏切りによるものと知った伊吹は、一度は捨てた代紋を背負い、北見と寺光の兄弟固めの盃の場に乗り込む。そして中上もまた、事なかれ主義の上司の制止を振り切って現場に急行する・・・。

石田組の若頭・伊吹さんメインの任侠映画。安藤氏はかつてホンモノのそのスジの人だっただけあって、静かな佇まいの中にも(台詞回しもそう上手くないにも関わらず)一味違う迫力が漂っていた。

ただ天っちゃんも負けていない。同じ土俵に立っていたなら多少は分が悪かったかもしれないが、対極の立場にいるが故に個性が強烈に光り、屈折しつつも内に熱い心を宿した男・中上が大変魅力的な人物に仕上がっていた。満員のクラブで他の客そっちのけで大喧嘩&熱く語るシーンや、ラストの和解シーン等、二人の絡みはかなり見ごたえあり(身長的にも小粒さん同士でピッタリ←双方に失礼)。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=27 |
| 映画::東映 | 12:02 AM | comments (x) | trackback (x) |
闇を斬れ#12
「この世の見納め生き観音」(1981年・S56・6月23日OA)

白馬に乗った侍は良い人とは限らない。奥祐筆(極秘文書を管理保管する役職)の奥平は権力をかさにきてやりたい放題、通り道の邪魔になったというだけで町娘らをばっさり斬り捨てる悪党だ。そこにたまたま出くわした隠密わんこ・火山、何しやがるんだテメエ!とばかりに吠え掛かり、奥平を馬から振り落とした。おいおい、いいのか伝書の途中なのに、と思っていたらやっぱり飼い主の新さん(天知茂)がとばっちりを受け、番屋へしょっぴかれてしまう。

ろくに取調べもされず即仕置き(=処刑)が決定となる新さん。移された別部屋には、ひとりの女(おきたさん:池波志乃)がいた。死を前にした罪人のこの世の見納めに身体を与える「改め婆」(「清め女」だったかな?)のおきたさん(池波さん、惜しげもなく上半身をさらしてくれます)、新さんの前でいつも通りご開帳〜♪とやり始めるがあっさり拒否される。据え膳喰わぬは男の恥だろ新さん。中尾彬が怖いのか? *池波さんは中尾氏の奥様です

「俺は死ぬ気はないからな」とクールに言い放って部屋を出た新さんは、荒縄でくくられて処刑場に連れ出されてからも悠長に構えている自信家ぶりで、そりゃあここで殺されるなんて誰も思っていないけど、おっとりしすぎ。 「よし、逃げてやる」顔色ひとつ変えずにそんな無茶を考える新さん。首に刀が迫ってるよ!「垣根は八尺(約2.4m)・・・飛べるか」いやムリだってば! まさに刀が振り落とされんとする瞬間に、役人に化けた安斉さん(山城新伍)と哲三(三浦浩一)が救いにきてくれて事なきを得たのだが、あの分じゃ「俺だって自力で逃げられたぜ」とか思ってそうだ。ウソでもいいからもすこし焦って欲しい。

おきたさんは家族を皆殺しにした下手人・豊次郎(片桐竜次)への復讐のために自ら志願して囚人の相手をしていることが判明。その豊次郎が今回のターゲット・奥平の用心棒でもあったことから、新さんは彼だけをわざと役人に捕えさせる。極刑が決まり、部屋に来た豊次郎を櫛で刺し殺し、自害するおきたさん。もっと他に方法は無かったのか、やりきれない哀しさが残った。そして雨の中、運び出されるふたりの遺体とすれ違い、そっと手を合わせる新さんでいつものエンディング。ゆるゆるソング&映像でちょっと癒される気がした(そろそろ慣れてきたのかな)。

*役人に捕まる直前、「(安全のため哲三に預けてある)火山、エサちゃんと貰ってるかなー」とか「(焼き魚を持ち上げ)お、こりゃちょっと焼きすぎたなー」などと独り言をいいつつ朝ごはんを食べてる所帯じみた新さんが可笑しかった。

*奥平をずばっと斬って、すちゃちゃちゃっと(ツルギさん@江戸の牙風に)カッコつけて刀を納めた後からいつものセリフ「・・・闇を、斬る!」と呟く新さん。それを言うなら「闇を、斬った!」だ(・・・というより別にそこまでして決めゼリフ口走らんでも)。

*いろんな意味で目立っていた隠密わんこ・火山。ラストの立ち回り時、新さんに命令されて天井から悪人に飛び掛かるハッスルぶり。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=368 |
| TVドラマ(時代劇)::闇を斬れ | 11:43 PM | comments (x) | trackback (x) |
『女帝』
『女帝』(1983年・S58:にっかつ)

当時世間を騒がせていた三越事件の再現ドラマで、七越百貨店の営業部長から社長に上り詰める山田(大木実)と、愛人の"女帝"・みき(黛ジュン)の栄光と挫折がロマンポルノ風に描かれていた。

前から目をつけていた老舗和菓子屋の女社長・桂子(新藤恵美)に泣きつかれてこれ幸いな山田氏が、和菓子屋の得意先である名古屋の百貨店社長に談判しにいく場面で登場するのが、百貨店に融資している中部銀行頭取・杉浦康義(天知茂)だ。

天下の七越さんが間に入ってくださるならもう少し融資させていただきますよハッハッハと葉巻をスパスパ吸いながら(眉根の皺ナッシング)楽しげに座敷で山田氏らと語らっている杉浦頭取。なるほど今夜は徹底的に宴会ですかそうですか・・・って、出番それだけですか頭取! 大木氏や川地民夫氏(=山田氏の懐刀・青野)もなんだか嬉しそうにハアハアしてた(させてた)のに、どうせなら気兼ねせずに(って誰にだよ)やることやっちゃえよ!と怖いもの見たさでツッコンでいたのだが、お堅い職業ゆえ(?)か、傍系の話だからか、山田氏いわく「徹底的な宴会」が描かれることもなく、舞台は東京に移ってしまった。

しかし、その後のアハンウフンなところはがしがし早回ししていると、山田氏に捨てられ、今は青野とねんごろな桂子さんの「(山田氏の横暴ぶりを)杉浦頭取も見かねておられるわ」発言。うわあ、やはり真打はこれからだったのかーと喜んだのもつかの間、彼らと共に無言で車を降り、有力者の家の玄関をくぐるだけのシーンに登場しておひらき。アップにもならないのにソレと分かってしまうあたり私も成長したものだ(って、髪型とか歩き方とか、ちらっと顔みせたりするところが普通に目立ってはいたが)。

恐怖のカービン銃』で主演デビューしただけあって、こういうセミ・ドキュメンタリー系には食指が動いたのだろうか。はっきりいって出てこなくても筋にはなんら影響ない役だとは思うが、これも特別出演の醍醐味ということで。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=48 |
| 映画::松竹・他 | 01:05 PM | comments (x) | trackback (x) |
『恋愛ズバリ講座』
『恋愛ズバリ講座』(1961年・S36)

恋愛ズバリ講座


三話構成のオムニバスで、第一話「吝嗇(けちんぼ)」に出演。

ギブ&テイクが信条のリッチマンKKの富田社長(黒縁メガネの天知茂)が、テイク&テイクの大富産業KKの女社長(小畑絹子)と知り合って・・・というコメディで、登場人物がみんな無表情で倍速のしゃべくりかつギクシャクした身振り手振りで動くのがものすごくシュール。実写版「オー!マイキー」、といった風情でとにかく可笑しかった。(二話以降はろくに見てないが、変なのはどうやらこの回だけのようだ)。

生けるマネキンを照れひとつなく演じきっていた天っちゃんはタダモノではないと改めて感服(軽いしゃべくりがまたピッタリ)。後年は判で押したような役柄が多く、なんだか顔も劇画調に固まっちゃってたが、やろうと思えばいろんなことが出来る人だったんだなあ。

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| 映画::新東宝 | 01:38 PM | comments (x) | trackback (x) |
怒号する巨弾
『怒号する巨弾』(1960年・S35)

怒号する巨弾


第二次大戦中、天田公一(天知茂)は父と共にスパイの濡れ衣を着せられ投獄、拷問の末、父は獄中で死亡した。17年後、宮本公平と名を変え、古美術商を営む公一は自分たち親子を陥れた者たちに復讐を始める。手下を使い、巧妙かつ冷酷に3人を抹殺してゆく公一。彼の最後の標的は、当時の取調べ担当刑事で今は警視総監に登りつめた志賀。だが公一は、復讐のために近づいたはずの志賀の娘・洋子(三ツ矢歌子)を本気で愛してしまい・・・。

実にドラマチックな筋書きに沿って、翳のある謎の青年をこれまたドラマチックに体現する天っちゃんがハマリ役。洋子さんと熱い抱擁を交わしているときでさえ遠くを彷徨っている暗い目つきがいい。射撃場で知り合ったライバル、敏腕警部・宇野(宇津井健)も戦争で家族全員を亡くしたという設定だが、良くも悪くも一本気なキャラの宇津井氏と、屈折を絵にかいたような彼とでは、こういう場合は勝負にならない。おまけに宇野警部、警視総監の覚えはめでたいものの、娘の洋子さんに思いっきり嫌われてるもんだからかなり分が悪い。宇野が勝っていたのは身長と前髪の多さくらいか(暴言)

正体が暴かれ追い詰められた公一は、宇野に一対一の勝負(=銃を手にして車で決闘)を挑む。名残惜しそうに公一を見つめながら、彼のレザージャケット(背広は相変わらずぶかぶかだがこういうのは良く似合う)の胸ポケットに花を一輪そっと挿す洋子さん。犯罪者だと知り、さらに誘拐(&殺害?)目的なのを知りながら公一に付いて来た彼女もまた、彼のために人を殺めてしまえるほどに彼を愛していた。これからいつもの逃避行モードに入ってもおかしくないシチュエーションだったが、愛を得て満足したのか、車から洋子さんを降ろし、ライフルにわざと弾を込めずに宇野(の車)と向き合う公一。

1回目、勝負つかず。下手だな宇野!(←あ、わざとでしたか)。そして2回目、宇野の拳銃が公一のライフルを弾き飛ばした。ハッと色を失くす洋子さん、宇野のことなんかまるでアウトオブ眼中。なんだ止めをさしてくれるんじゃないのかと心で突っ込みながら(想像)、公一は拳銃を取り出してこめかみに当てた。空に響く銃声。自らの手ですべてを終わらせた公一の死に顔は、どこか幸せそうだった(あんまり端整なのでしばし見惚れてしまった)。

追記: goo映画のあらすじにはまた少しばかり騙された(公一は宇野のヘタレな拳銃に倒れるほどヤワじゃない。それに17年前、幼くなかったし←ちょっとムリめの「地獄」の大学生風)

追記その2:足元だけを映す手法や音楽がなんとなく「第三の男」っぽかった(遊園地シーンもある)。

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| 映画::新東宝 | 01:37 PM | comments (x) | trackback (x) |
大岡越前 第1部 #2
「町火消誕生」(1970年・S45・3月23日OA)

大岡越前1-2

火事場で見かけた不審者を問い正したところ、突然斬りかかられる左門さま(天知茂)。十手を弾かれてしまいピンチ。危ない!あっ刀を抜いた!と思ったら相手あっさり死んじゃったよ! さすがはカミソリ与力、切れ味抜群って訳ですな(何か違う)。

ところが斬った相手は直参旗本、それも幕府の定火消(=じょうびけし)取締役の甥だったからさあ大変。町火消設立の許可を取り付けるためお偉方に掛け合おうとしていた矢先の忠相(加藤剛)は、それどころではなくなってしまう。だがお偉方の嫌味を物ともせずに「町方与力、慰みに人は斬らぬもの」と不肖の部下を庇う、相変わらず立派なお奉行様は見ていてウットリ。

不審者を捕らえずに斬ったのはどう考えても俺の落ち度だと、処分の沙汰を待つために自主的に屋敷に引きこもる左門さま。何もそこまでせんでも、とお奉行の命を受けて訪れた源さん(大坂志郎)の言葉にもまるで耳を貸さない。

「ご自分に向かっても情け容赦はしねえ。・・・あなたってお人は、鬼だねえ」 (源さん)

「損な性分だ。しかし、今さら自分にだけ仏では通らんだろう」

フ・・・ッと自嘲的な笑みを浮かべながらそう呟くあたり、むちゃくちゃニヒルー!(崩壊中)

とうとうお奉行様にまで腰を上げさせてしまい、(実はこれが目当てだったかのように)ちゃっかり書状をしたためてもらって、左門さまは殺した旗本の叔父の家へ出向く。実は不審者はもうひとりいて、そいつが逃げ帰っていないか確かめるためだったのだが、徒労に終わる。

源さんや岡っ引きの辰三(高橋元太郎)も逃げた男・与六を必死に探すが、まるで行方が分からない。みな左門さまの為に苦労しているわけだが、「泣き言は与六を捕まえてから言え!」なんてエラそうに、いや、自分も他人も同じように厳しく戒める左門さま。まあそのうち上手い具合に事が運んで、左門さまもお奉行さまも万々歳な結果に終わるのだが、死人の元結い(=もっとい)に隠された証文に気づくなど、明智ばりの推理も冴えていた(ちなみにまだ美女シリーズは始まってません)。

【追記】画像は旗本の叔父の家に向かったときのもの。「大岡といい貴様といい、(正面から出向いてくるとは)たいした度胸だ」と言われて「恐れ入ります」と愁傷ぶる左門さまだが、叔父いわく:
「恐れ入った面とは思えん!」
ナイスツッコミ。

【追記その2】連日の捜査が不発に終わり、「少し痩せたな」(by お奉行様)とか「目ばかりになっちまって怖いくらいで」(by 辰三)とか心配されている左門さまだが、当時(1970年)の天っちゃんはかなり恰幅の良い方なのでとてもそうは見えず、普段と変わらずふてぶてしかったのがなんともいえない。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=411 |
| TVドラマ(時代劇)::大岡越前 | 12:37 AM | comments (x) | trackback (x) |
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