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『白昼の死角』
『白昼の死角』(1979年・S54)

立ち上げた金融会社・太陽クラブが失敗し発狂、歌い踊りながら焼死した友人・隅田(学生服姿や白塗り野球小僧姿まで何もかも怪演:岸田森)の二の舞はごめんだと、世間に対して挑戦状を突きつける鶴岡七郎(夏木=現・夏八木=勲)。巧妙かつ大胆に法の目をかいくぐり、次々と企業を騙して大金を手に入れる鶴岡の前に立ちふさがるのが、東大法科の先輩でもあるキレ者検事・福永(天知茂)だった・・・!

騙す側(竜崎勝・中尾彬・千葉真一 etc)、騙される側(長門勇・佐藤慶・成田三樹夫 etc)ともにディープな面々で、おまけにアクセントとして丹波哲郎・内田朝雄なんていう重鎮も拝めてまさに東映オールスター祭り(ちなみに天っちゃんの周辺には室田日出男・伊吹吾郎。こちらも濃い)。普段とは少々異なる役柄を嬉々として演じている方が多い中、天っちゃんは7年の映画出演ブランクの間にTVドラマで培った、「打倒・悪」イメージを踏襲した法の番人役を好演していた。ステロタイプといってしまえばそれまでだが、「判例がなければ、この私がこれから作る!」なんていうキメ台詞を鋭い目つきでビシィッ!と鶴岡に投げつけられるのはやはり彼しかいない(もっとも、マフィアのボスみたいな見た目のシーンもあるとはいえ)。

*のちに村川透監督は井上梅次監督の後を継いで美女シリーズを担当することになる(「天使と悪魔の美女」など)。・・・出世?

*現代の悪を体現する鶴岡役は、もう10年ほど早ければ天っちゃん自身が好んでやっていそうな役だと思った(その場合、隅田は沼田曜一さんでどうだろう←それじゃ「もう20年ほど早ければ」か)

*天っちゃん(特別出演)のクレジット位置は千葉真一と丹波哲郎(トメ:同じく特別出演)の前。出番の多かった千葉ちゃんはともかく、丹波さんには勝てない(たぶん勝つ気もない)天っちゃんだった

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| 映画::東映 | 12:29 AM | comments (x) | trackback (x) |
暴れん坊将軍 吉宗評判記 #2
「素晴らしき藪医者」(1978年・S53・1月14日OA)

江戸の町にタチの悪い風邪が流行していた。金が無いため医者にかかれない町人たちが次々に死んでいく一方で、法外な治療費をせびる強欲医者がいると聞いた、将軍になりたての若くて青い吉宗=徳田新之助(松平健)は、その医者に談判に出かける。

彼が薬草畑に脚を踏み入れるなり突如空から鎌が降ってきた(危ない)。と同時に草むらから現われる笠を被った小柄な人物。理不尽な!(全くだ)と憤る新之助の胸をぐいと押し、足元の薬草の新芽を大事そうに撫でる男こそ、悪名高い小川笙船(天知茂)その人だった。

新之助のストーカー的存在(?)・山下幸内(浜畑賢吉)は、笙船は世間の評判ほど悪い人物ではないと言うのだが、それが信じられない新之助は同じくまだ若くて青いお庭番・助八(宮内洋)に笙船の動向を探らせたところ、抜け荷のどさくさで負傷した大店・十海屋の主人から大金を強請っていることなどが判明。今度は医療所まで押しかけていった新之助は、そこで笙船が貧乏人を無償で看てやっているのを知って驚く。

急患の手術を手伝ったり一緒に一杯やったりしているうちに、ズケズケと物を言うが人情味に溢れた笙船の人柄にほだされ始める新之助。ところが、十海屋の番頭(北町嘉朗)を殺したかどで笙船が捕縛されてしまう。笙船を逆恨みしている人足崩れの巴屋(藤岡重慶)と、町人をタダで看る彼が煙たくて仕方が無い将軍家お抱えのご典医・桜井玄石(南原宏治)が仕組んだワナだった。

すぐさま大岡越前(横内正)と接触を図った新之助は、奉行所で笙船に会う。こんな場所までしゃしゃり出てくることが可能な彼に怪訝な目を向けた笙船だったが、話を聞くうちにハタと正体に気付いた。・・・ようなのだが、それをおくびにも出さずに今の世の医の道について説くあたりがやたらと渋くカッコいい(←贔屓目)。

巴屋と玄石は黒頭巾(=新之助)とお庭番ズ(宮内&夏樹陽子)によって成敗された。そして笙船は、彼の説教にウットリきた(←推測)新之助=吉宗の命で作られることになった小石川養生所の主任医師として、今日も町人を怒鳴りつけつつ治療に勤しむのだった。

*口は悪いが腕が立つ人情派の医者を好演。長屋の少年を助手に使っているところも良い感じ(でもって少年の母親=後家さんともなにやら良い感じなのではないかと想像できるあたりも良い感じ)。「大岡越前」で志村喬さんが演じておられた呑舟先生も好人物だったが、若いマツケン上様をバックアップするベテラン、という役割を十二分に果たしていた天っちゃん47歳、良い意味で安定感があった。

*ただ、医者なので殺陣が拝めないのが物足りない。えらい勢いで飛んできた鎌を見たときは喜んだものだが、序盤で巴屋の面々(宮口二朗さんら)に絡まれた際、おっ、これからびしばしやってくれるのか?と思いきや新之助がすぐに助太刀に来たのが残念だった(まったく余計なお世話だよ新さん)。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=442 |
| TVドラマ(時代劇)::暴れん坊将軍 | 12:31 AM | comments (x) | trackback (x) |
[6] 妖精の美女
美女シリーズのなんたるかをストレートに表わしている傑作のひとつ。ずいぶん前からこの回(と、抱き合わせで続編)だけがビデオ化されていたのも頷けます。明智VS黄金仮面(=ルパン)という組み合わせが荒唐無稽な、どちらかと言えばジュブナイル向きの原作に、シリーズ独特のエロチックさ&いかがわしさを多分にちりばめて、おとーさんも子供さんもそこそこ一緒に楽しめそうな娯楽大作に仕上がっています。

ちなみにあのテーマ曲がエンディング(と予告編)で初出した記念すべき回です(あと、柏原=小林君のデビュー作でもあります)

【明智先生ファッション劇場】:センセイの服装をキャプチャーしてみました(真っ当な変装がふたつばかり。・・・あ、金鎖が途絶えましたね)

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=314 |
| TVドラマ(現代劇)::江戸川乱歩シリーズ | 10:26 PM | comments (x) | trackback (x) |
『傷だらけの人生 古い奴でござんす』
『傷だらけの人生 古い奴でござんす』(1972年・S47)

図らずも敵対する組に分かれてしまった実の兄弟、大西栄次郎(鶴田浩二)・竜三(若山富三郎)の間に立ってひとり気を揉む、竜三サイドの心優しき代貸・神田良吉(天知茂)。若山トミーさんのいるところ必ず背後に控えており、血の気の多い竜三親分の一挙手一投足に黙って付き従いつつもハラハラしている様子が手に取るように分かる忠義者だ(もっともこっちはこっちで、敵地に香典を届けに単身乗り込んだり、出入りに参加したりする度にいつ死んじゃうのかとハラハラしどおしなのだが)。

最初のうちは出番はあってもほとんど目立たない控えめな良吉さんだが、後半、あわや兄弟間で血の雨が!という緊迫したシーンで「待っておくんなはれ! やるならワイを先に・・・!」(←しょぼくれ刑事@犬シリーズより流暢な大阪弁)とドスを持った鶴田アニキの前に半泣きで飛び出し双方の動きを情で止める、といった、ビッグスターの年上のおふたり(鶴田さんが7歳上でトミーさんが2歳上)に平等に可愛がられていたらしい天っちゃんにしか出来なさそうな見どころがあって楽しめた。

しかし、やはりと言うかなんというか、こんな良い人は長生きはしない。黒幕の憲兵(天津敏)に刃向かった竜三親分が撃たれてしまった。それでもまだ捨て台詞を吐く親分に向かって発射された弾を、咄嗟に親分に覆いかぶさって自分の身体で受け止めた忠義者の良吉さんは、乱闘になってバッサバッサ斬られながらも栄次郎に電話を掛け、最後の力を振り絞ってひとりを血祭りに上げてから仰向けに絶命。急行した鶴田アニキとまだ生きていたトミーさんが傷だらけの人生ロードを歩むラストシーンで唐突に死に顔が数秒間アップになるというオマケもついていて、悲しい最期(と遺体の虚ろな瞳)に泣ける作品だった。

*1972年ってのは映画の致死率100%の年(4作全部で死亡)だと判明

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| 映画::東映 | 12:27 AM | comments (x) | trackback (x) |
銭形平次 #284
「白い粉」(1971年・S46・10月13日OA)

近ごろ急に心証を落としていた河内屋(梅津栄)が首を吊った。平次(大川橋蔵)は死体が握り締めていた赤い油紙に着目、紙に残った白い粉の分析を、町で評判の蘭方医・伊藤北陽(天知茂)に依頼した。白い粉をつけた小指を舐めハッと顔色を変える、というありがちなシーンを大真面目にこなしてくれた天っちゃんもとい北陽は、この粉がご禁制の麻薬・モルヒネだと断言し、なぜか出どころをしきりに聞きたがった。

ご禁制の麻薬が巷に出回っていることを憂慮し、中毒患者とおぼしき人たちを洗い出した平次だが、患者は既に北陽が引き取ったと知り驚く。そして粉を売りさばいている上方のバイヤー・弥六(芦屋雁之助)を発見した時も、一足先に北陽が接触を図っていた。

だが北陽は、薬事方与力の佐久間(金田竜之介)に面会した後、引き取ったばかりの患者を家に帰してしまった。不審を抱いた平次が夜中にこっそり北陽の屋敷に忍び込むと(不法侵入じゃないのか親分)、棚にはモルヒネの赤い包みが。問い詰める平次に北陽は「三日待ってくれ、そうすれば全て終わる」と嘆願する。

ところが平次が根負けして彼の頼みを聞き入れた矢先、弥六が何者かに殺されてしまった。有無を言わさず北陽をしょっぴく平次。しかし北陽は町の人たちから非常に愛されており、「センセーを返せー!」と平次サイドがすっかり悪者扱い。しかも佐久間まで乗り出し横槍を入れてきたため、釈放せざるを得なくなる。

釈放された夜、北陽は佐久間宅を訪れた。実は弥六を使って町に麻薬をばら撒き金儲けをしていたのは佐久間だった。どうしてもモルヒネを入手しなければならない理由があった北陽は、弥六から真相を聞きながら、あえて沈黙を守ったのだ。その代償のモルヒネをケチ臭く出し渋った佐久間に北陽は懐刀を向けた(が、あっけなく床に倒される)。あわやと言うところで平次親分の必殺武器が飛び出し、佐久間は御用に。

モルヒネだけはちゃっかりゲットした北陽は平次を誘い医院へ向かう。北陽は、足に傷を負った少年の手術に使いたいがためにモルヒネを必要としていたのだった。手術成功後、北陽は平次の前に両手を差し出した。使い方によっては人の命を救うことができ、一方では人生を狂わせる麻薬。どちらも目の当たりにした平次は複雑な気持ちを隠せなかった・・・。

・・・と、ここでエンドマークでも良かったと思うのだが、「私は立派な人間ではない、立派な医者ですらないのだ・・・」と呟いた北陽が、少年の傷はそもそも彼の誤診が原因で、その失敗を密かに挽回する二度目の手術にモルヒネが必要だった、と告白するオチがつく。この一捻りで、麻薬使用の是非という重いテーマが北陽の個人レベルの苦悩話になってしまった感があるが、「悩める天っちゃん」(あとやっぱり子供に優しい天っちゃんとか)は堪能できる作品。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=439 |
| TVドラマ(時代劇)::銭形平次 | 12:18 AM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #5
#57「兇悪のカナリヤ」(1974年・S49・10月31日OA)

さきごろ電撃移籍した歌手・蘭れい子(池玲子)を自宅のTVでニコニコと鑑賞中の矢部警視(山村聡)。お父さん趣味悪いわねえ、清純歌手ってふれ込みだけど色々あるみたいよ彼女、との娘の言葉が信じられない矢部さん(が正直ちょっと信じられない。相手は女番長ですよ、先天性淫婦の池玲子さんですよ部長!)はネタ元の女性誌をチェック、彼女の移籍によってバックにいた東西の暴力団が一触即発状態なことを知り、かつて四課(=マル暴)だった会田(ゴシップより昼寝が好きらしい:天知茂)に双方を殲滅するよう指令を出した。

記者会見の場で、れい子がどちらにせよ暴力団の手中にある点をストレートに突く会田に、彼女は自ら接触してきた。「アタシを抱きたくない?」「来るものはこばまない主義だから当然遠慮なく」まんざらでもない会田の様子に、見返りとしてマネージャーの村井(世界のニナガワになる前の蜷川幸雄)を殺して欲しい、とれい子は続けた。 無言でベッドインしたものの、いざというとき電気を点け警察手帳をかざす会田(相当キザ)。

そんな折、彼女の秘密を握っていたらしいトップ屋(中田博久)が殺された。稼ぎ頭に抜けられた東の暴力団・東華会の秋川(高品格)は、関西の倉田組に乗り換えたマネージャーの村井に怒り心頭だったのだが、この殺人を機に密かに協力体制を敷いていた。実はれい子の身体は麻薬に侵されており、ヤクの供給源である双方の組織は密売ルートが表沙汰になるのを避けたかったのである。

れい子に接触した会田も狙われた。彼が帰宅して洗面所の蛇口を捻ったところでピストル片手にドアから忍び寄った刺客だが、棚に隠れた会田にあえなく捕まり水攻めに(なぜシャワーまで待てなかったのか刺客よ)。男の「もう遅い、れい子も消される」との言葉を受けてマンションに急行した会田は、彼女ではなく、顔見知りになっていた追っかけの青年・三郎(石田信之)の射殺体を目にした。

れい子の同級生である三郎は彼女の窮地を知り、なんとか助け出そうとしたのだが、あえなく命を落としてしまったのだ。れい子は更正施設に収容された。檻の中でもがき苦しみながら、三郎との思い出の子守歌だけを口ずさむれい子を、会田はただ見つめるばかりだった・・・(昭和ブルースは4番)。

*基本設定は「兇悪のささやき」(「兇悪の眼」収録)に沿っているが、原作よりれい子の悲劇に重点が置かれていた。れい子が飼っている駕籠の中のカナリヤと彼女自身との対比が印象的。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 04:11 PM | comments (x) | trackback (x) |
[5] 黒水仙の美女
真犯人の哀しい最期の演技に言葉を失います。共犯を持ち掛けられたり撃たれたり、明智センセイ受難度高し。

【明智先生ファッション劇場】:センセイの服装をキャプチャーしてみました(いつもより少なめですが、強烈なワンポイントあり)

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| TVドラマ(現代劇)::江戸川乱歩シリーズ | 10:27 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #4
#56「兇悪の火」(1974年・S49・10月24日OA)

駅構内で目を光らせていた会田(シークレット度の高そうな靴も光っていた天知茂)以下特捜部の面々は、ゴミ箱の中の袋(=現金入り)をもぎ取った若い男・大崎を追いかけ逮捕した。大手石油会社に脅迫電話をかけ、金を強請りとろうとした容疑で右田刑事(左とん平)が尋問を担当するが、大崎は、強請りのタネである会社が紛失したという書類を持っていなかったためシラを切る。

大崎の女を洗ってはどうか、と馴染みの小料理屋の亭主(第1シリーズでは刑事だった多々良純さん)にアドバイスを受ける右田だが、やり手の会田が一足先に女のアパートを訪れていた。勤め先のクラブで石油会社の専務が落とした書類を拾い、大崎をけしかけたのは彼女・北川ミヤ(夏純子)だった。彼女は、この石油会社専務・尾山の汚職の事実を握った矢先に自殺させられた父の恨みを晴らそうとしていたのだ。

今書類を返せば火遊びということで片付けよう、そう持ちかけた会田を小悪魔のように翻弄したミヤは、問題の書類を義理の母に預け、固く口止めする。母が存命中の頃から父と関係のあった義母をミヤは憎悪しており、またそのことで引け目を感じている義母はミヤに対して強い態度がとれないでいた。

会田は大崎を釈放し、彼らの出方を探る。賢明なミヤが罠の匂いを嗅ぎ取り大崎に近づこうとしなかったせいで、彼はミヤの義母の所へ向かい金を無心した。金をくれなければミヤを殺して自分も死ぬと脅され彼女は苦悩する。

そして2度目の脅迫電話が、金額と場所を指定してきた――。

再びアパートでミヤに対峙する会田(留守中に勝手に上がり込みレコードまでかけてるあたりがやり手 ←いいのか)。義母を巻き込むことで暗い復讐心を満足させている彼女を会田は義母宅へ連れて行く。留守の家には、ミヤが持つ父母の写真と同じものが大切に仏壇に飾られていた。義母の想いを知り動揺を隠せないミヤ。

2度目の脅迫電話はミヤではなかった。指定場所へと向かった会田たち特捜部の前に現われたのは、ミヤの義母。証拠の書類を手にし、すべて自分の犯行だという彼女に会田は無言で手錠をかける。驚く特捜の面々(うわっこの人マジで非情だよ!と口には出さないが一様に心で叫んでいるような雰囲気)。それを見たミヤが叫んだ。「お母さんは関係ないわ・・・!」会田はこの言葉を待っていたのだった。

ミヤは留置所に送られた。そして問題の書類(灯油価が上がること必須の、外国との契約書)は、会田の手によって灰に帰した・・・(昭和ブルースは1番)

*数年後、明智センセイに呪いの言葉を吐き散らすことになる「白い人魚の美女」・夏純子さんが、ここでも思いつめたら自制のきかないヒロインを熱演していた。ドビュッシーの「ラ・メール(海)」をバックに繰り広げられる会田とのやりとりは圧巻。純白バニーガール姿もあり、会田をして「可愛いアクマ」と言わしめるまさに小悪魔的魅力の持ち主だった(でもってそんな発言後「バカモーン!はやく書類取り戻せ!」と矢部警視に怒鳴られる会田)。

*特捜部は自分の好きなように捜査を行なえるらしいのだが、会田に先を越されまくる右田刑事を見ているとものすごく効率の悪い捜査法に思える(というより会田がやり手すぎるのか)・・・せめて分担決めとこうよ!

*多々良さん扮する元・刑事の小料理屋(「吉田亭」)、最初は親娘で切り盛りする小さな店っぽかったのに、気が付くと板前(北町嘉朗さん)がいたり女の子がもう一人ふえたり、グレードアップしていた。のれんの形状が手錠になってるあたりの小技も効いている。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 04:11 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #1
#53「兇悪のアリバイ」(1974年・S49・10月3日OA)

休日の公園。遊ぶ子供達に優しい眼差しを注ぎ編み物に興じる女・志津子(中村玉緒)。
女手ひとつで娘を育てながらクラブのママとして働いている志津子には近頃イイ人・森下が出来、プロポーズされて幸せを噛み締めていた。が、ある晩、森下と会ったホテルの駐車場で拳銃を持った男に脅され、揉み合った拍子に男を射殺してしまう。

とそこへ、冒頭の公園や自宅、クラブにいたるまで彼女をずっとストーキングしていた目つきの怖い怪しい男が通りかかった。会田だ(一応まだ刑事だと思うのだが不安にさせる天知茂)。彼は状況を見てとるなり彼女の指紋のついた拳銃をハンカチで拭い(だから刑事だよな?)、娘の為に自首を嫌がった彼女の願いを聞き入れ、交番を素通りする(しつこいが刑事なんだよな?)

どう見てもこれから強請りに発展する恰好のシチュエーションなわけだが、それを察して見返りは何だと問う志津子に、会田はようやく警察手帳を取り出し(驚愕する志津子。そらびっくりするわな)、かつて彼女のクラブに勤めていた娘の変死に関連し、志津子の店とやり手企業・丸和総業との裏事情を打ち明けるよう持ちかけた。丸和総業の悪事を暴くのが今回の矢部(山村聡)からの任務だったのだ。志津子は一日考えさせてくれと言う。

一方、会田たち特捜部となさぬ仲の捜査一課の橘(渡辺文雄)は殺された男が志津子の店の常連であること、ホテルで彼女の車を見たという目撃談から志津子に目をつけ、油断していた会田がパチンコで煙草を稼いでいるうちに彼女を殺人容疑で逮捕、泥を吐かせようとする。が、「彼女は一晩中オレと一緒だったんだ」との会田の言葉に仕方なく引き下がった。

ところが志津子は、橘から自分を救うための会田の偽証を逆手に取り、丸和の件を語らなかったばかりか姿を消してしまう。しかも彼女の恋人・森下が問題の夜に一緒にいたのは自分だと正直に証言したせいで、会田は橘たちからそれでも刑事かアンタ!と激しく糾弾される(たしかにもっともだと思うが)。

だが丸和(内田朝雄)は、足がつきそうな志津子が邪魔になり、娘を誘拐して自殺をそそのかす手段に出た。地下鉄に飛び込もうとした志津子を間一髪で助けた会田は、彼女に付き添って一課に赴き、橘に身柄を託した。職を辞すため、矢部の机に手帳と拳銃を置いたとき、「会田刑事にならすべてを話す」との志津子の言葉を携えた橘がやってきた・・・。

丸和の悪事は白日の下にさらされた。娘が森下と戯れている場所で会田は車を停め、手錠の志津子に見せてやるのだった――(「昭和ブルース」は♪見えない鎖が重いけど〜♪ の4番)

*特捜部のやり方に慣れていないので(なにしろまだ2本目だ)、なんの説明もなく身分を隠していた会田にちょっと驚いた。なんでもアリなんだな、特捜部。その特捜部の部長・矢部警視と一課の橘警部、会田に対する態度は180度違うけれど、おっさん同士の友情が見え隠れしていてなんとも渋い。

*コロンボを意識したような右田一平刑事(左とん平)登場。でもたしかに普通はやさぐれ刑事ってああいう感じだと思うなあ。なのに誰かさんは、ぱりっぱりのスーツ着てパチンコやってた(らしい)が。

*娘を誘拐し、電話をかけてきた男の役で天本英世さん。なんかもったいない使われ方だ。

*(2007.7.22追記)玉緒さんに銃を突きつけて自分が殺された黒沢良さんって、あの「江戸の牙」ナレーターの黒沢さんだろうか? 事務所のプロフィールによると、「新東宝ニューフェースで高島さんと同期」云々とあるのだが、それだと天っちゃんとも同期ってことだよなあ・・・でもたしか男は天知・高島・松本・小笠原の4人だったはずでは?

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:06 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #2
#54「兇悪の傷痕」(1974年・S49・10月10日OA)

刑務所から二人の女――石川伸子(市原悦子)と江沢景子(江波杏子)――が脱走した。貧血を起こし倒れた伸子を病院に匿い、景子は伸子の弟・次郎と連絡を取るため彼のGFに繋ぎをつける。次郎は三者連続殺人事件の容疑者として逃亡中の身で、それを知った伸子は彼に一目会わんがために、景子の協力を得て脱走を図ったのだ。

伸子の病院を突き止めた会田(天知茂)は、丁度帰ってきた景子に拳銃を奪われ、逃走されそうになる。だが自分の拳銃を突きつけられても動じない会田はふてぶてしく言い放った。「ふっ、さすがの身のこなしだな・・・江沢刑事」そう、景子の正体は特捜部に所属されることになった敏腕刑事だったのである!(って、クレジットですでに「刑事」となっていたのでそれほど驚くことでもないのだが)

次郎との接触は景子=江沢刑事に任せ、伸子の口から弟の殺人動機を聞き出そうとする会田だったが、伸子は再び貧血で意識を失ってしまう。長崎生まれの彼女は、原爆による白血病を発症していた。会田の輸血によって持ち直した伸子は、彼もまた広島で原爆に遭い家族を亡くしたこと、ひとり生き残った姉も進駐軍に強姦され死亡したことを聞かされ、会田に真相を打ち明けた。

初めての発作が起こった時、彼女は不治の病に絶望し湖に身を投げたのだが、助けてくれたはずの4人のハンター達に輪姦された。それ以来自暴自棄になり、関係を迫ってきた会社の上司を殺して金を奪った伸子は、投獄前に弟に手紙を遺し、それを読んだ弟が、元凶のハンター達を次々に抹殺しているのだという。

残る最後の一人は今まさに挙式中であった。次郎が必ず現われると踏んだ会田は、医者の制止を振り切り、会場へ伸子を連れて行く。予想通りナイフを片手に乗り込んできた次郎は、特捜部と姉の言葉で復讐を思いとどまった。弟の胸の中で崩れ落ちた伸子は病院へ運ばれたが、そのまま息を引取る。

「噂どおりの非情な人ですね、会田さんって・・・(伸子姉弟に)最後の別れをさせるなんて」
――でも一番非情なのは、29年前の原爆だわ。
景子の言葉に沈黙を返し、会田は病院を後にした――(昭和ブルースは1番)

*(第1シリーズのことは分からないけど)会田刑事の過去、初登場? 伸子たち姉弟と自分の過去を重ねているかのような、そして伸子の病状にいつか自分にも訪れるかもしれない病への恐れを抱いているかのような、なんとも翳のある表情が数多く見られて切なかった。そうそう、これが想像してた会田さんだよ!(今回はひたすらカッコよかったのでツッコミなし)

*とはいえ簡単に景子さんに拳銃を奪われちゃうのはトホホだが(ほんとに悪い人なら撃たれて死んでるよ!)

*伸子がいわゆるナイスバディな美女ではなくて市原悦子さんなところがリアル。

*原爆投下が29年前というのも生々しい。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:05 PM | comments (x) | trackback (x) |
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