2007,01,08, Monday
#166「男 (後編)」(1977年・S52・1月13日OA)
(前編からの続き) 会田(天知茂)は沢木(鶴田浩二)に会い、少年時代に彼から貰った海軍帽を見せる。どうやら沢木も当時を思い出したらしい。 「この帽子はお返しする」(←正体を知った途端、言葉遣いが丁寧に) 帽子を置いて部屋を出ていった会田を想う沢木。 ――こいつ(=海軍帽)の思い出のために、俺の分もしょい込む気か・・・。 (はいそうです、そういう義理堅い男なんです会田は)。 さっそく会田は沢木を狙撃した黒崎(藤岡重慶)を捕らえ吐かせたのだが、その黒崎は上層部からの圧力で早々と保釈されてしまった。30年前の恩義を感じ、沢木を死なせないために清和会を動かす黒幕連中を自分の手で潰したい会田だったが、桜の代紋を付けたお前には無理だ、邪魔をするなと沢木に言われ、言葉に窮する。 その間、沢木の身辺では辛いことが津波レベルで襲ってきていた。スキャンダルが原因で花屋を閉店に追い込まれ、心労がたたって保子(北林早苗)が入院。ちょっぴり臆病なだけで本当はアニキ思いの良い奴ということが判明した大田黒(根上淳)が、沢木の忠告を受けて黒幕・志村と縁を切ると宣言した途端に海に浮かび、大田黒の指示で沢木の言動を見張るのではなく見守っていたピアニストの京子(堀越陽子)も、沢木を庇って銃弾に倒れた。 実は京子は、彼が唯一愛した女性との間に出来た娘でもあった。「おとうさん・・・」胸の中で呟いて命を落とした自分の娘をなすすべもなく看取った沢木は、止めたはずの酒を呷って静かに腹を決めるのだった。そしてまたしても後手に回り、悲劇の後に姿を見せた会田。沢木の決心は固い。それを知りながらなお彼を行(逝)かせまいと銃を向ける会田だが、やがてそっとその手を下ろす。 その夜。清和会の会長に収まった黒埼とフィクサー志村、そして政界の大物が揃ってパーティー会場から出てきたところへ拳銃を持った沢木が現われ、3人をまとめて撃ち殺した。その瞬間、清和会の組員や制服警官たちの銃弾が沢木を襲う。会田が(警官の弾に当りつつ)たどり着いた時には、沢木は3人にとどめの一発をぶちこんで絶命していた。胸元から覗く封筒には、保子への贈り物(土地の登記書)と会田への遺言が。それを読みつつ、会田の胸に様々な想いがよぎるのだった・・・(鶴田さんの声とかぶりつつ「昭和ブルース」1番)。 ――あばよ、広島の美少年。元気でやってくれ――。 *とにかく会田(天っちゃん)の舎弟キャラが前面に出た縋り付くような表情がたくさん見られてこっちまで切なくなる回なのだが、最後の最後で沢木さんったらそんなお茶目な!>美少年(遺言の締めがコレ) *しかし、お兄様の写真集(「五十年の光芒」)に載っている同年代のノボル少年の掛け値なしの美少年ぶり(いやホントに)を見た今となっては、なかなかに頷ける台詞でもある(さては鶴田さん、当時から知ってたのかそれを?)
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2007,01,05, Friday
#165「男 (前編)」(1977年・S52・1月6日OA)
暴力団・清和会は、戦時中から政財界を牛耳っている黒幕(フィクサー)・志村と組み、紛糾状態の産油国への進出を図ろうとしていた。そんな折、理事長・大田黒(根上淳)の兄貴分で、8年前にブラジルへ渡った沢木二郎(鶴田浩二)が帰国する。かつての会長の意向で清和会の前身である組織を解散させて渡航した沢木の顔に泥を塗る形で新たに清和会を作った大田黒は、沢木アニキの眼が怖い。 一方、沢木帰国の知らせは特捜部へも届いており、会田(トレンチの天知茂)は矢部警視(山村聰)から彼の帰国の目的を探るよう指示を受けた。四課にいた8年前、疑獄事件で沢木を落とせなかった会田にとっても、彼は気になる存在だ。 そんな彼らをよそに、沢木はこじゃれたステーキハウスのオーナーとして、会長の娘で今は花屋を切り盛りしている寡婦の保子(北林早苗)を密かに支援しながら、地道なカタギ暮らしを始めていた。ところが彼を再び仲間に引き込みたい大田黒の部下・黒崎(藤岡重慶)が保子と沢木の純愛をスキャンダルに仕立てて週刊誌に売り込んだせいで、沢木は仕方なく清和会に乗り込む羽目に陥った。黒崎をどつき、志村を追っ払ったあとで大田黒とサシで話し合う沢木。 彼が清和会から出てきたところを、会田が待ち受けていた。沢木をパクりたいがため、週刊誌に記事を書かせたのは俺なんだぜ、どうだ怒らないのか、8年ですっかり骨抜きになっちまったのかと挑発しまくる会田(視聴者ですら真相を知っているので非常にウソ臭い)。沢木は「清和会は警察の手など借りずとも、この俺の手で潰す」ときっぱり告げ、別れ際にこう言い残した。 「命は、大事にするもんだぜ」 この言葉を聞いた途端、会田の脳裡に広島のキノコ雲がフラッシュバック。帰宅して思い出の箱から古びた海軍帽を取り出した会田は、その帽子にかすかに残る「サ○キ」の文字を発見し愕然とする。30年前、姉が自分の目の前で進駐軍に強姦された時、誰もが見て見ぬふりをする中で強姦魔を撃ち殺してくれた恩人こそ、沢木その人だったのだ。 帰宅途中で狙撃され腕を負傷する沢木。ステーキハウスの専属ピアニスト・享子(彼女もワケあり:堀越陽子)が奏でる激しいピアノ曲(#73「兇悪のノクターン」と同じショパンのノクターン)をバックに、会田は沢木に会いに店を訪れようとしていた。思い出の海軍帽を握り締めて――。(後編につづく) *タイトルより先に「特別出演:鶴田浩二」と出てくるあたりからして既に別格な鶴田さん。彼に対すると皆どこかしら腰が引けており、会田(天っちゃん)にしてもやることなすこと後手に回っていて、存在感がちょっとばかり希薄だった。 *やはり#17「兇悪の誇り」の設定はなかったことになっているらしい
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2007,01,04, Thursday
#193「兇悪のグラビア 警視庁を売るOL」(1980年・S55・9月18日OA)
警視庁で婦警さんとぶつかり「メガネ、メガネ」と古典的なギャグ(違)を実践している壜底メガネの女性・直子(結城しのぶ)を助けた会田(ごついタイとストライプシャツが相変わらず強烈な天知茂)は、彼女が自分を訪ねてきたと知り驚く。 1年前、国会議員・大沼(内藤武敏)にひき逃げされたことを表沙汰にして欲しいと語る直子。警官だった父に圧力が掛かり、当時は示談にされてしまったのだが、その父が最近になってひき逃げされて死亡、大沼が自身の出世のために父を抹殺したのではないかと彼女は疑っていた。大沼は会田が以前からマークしていた人物でもあったため、会ったばかりの直子を信用することにかすかな疑問を抱きながらも、彼は協力を約束する。 直子の証言は、几帳面な彼女の父が克明に綴っていた日記により裏付けされた。会田はその日記を預かり、大沼の魔手が伸びぬよう直子を安全な場所へ匿うのだが、彼の漠然とした不安は的中してしまう。直子は「会田に監禁されて偽証した」とマスコミに流すことを条件に、大沼から1億円をまんまとせしめて姿をくらましたのだ。大沼を捕らえるどころか自分が逮捕されてしまい、会田は橘警部(渡辺文雄)の取調べを受ける羽目になった。直子を追いたい会田は、真実を教えろと迫る橘に対し、あえて彼女の主張を認めることで保釈を得る。 壜底メガネをコンタクトに変え、奪った金で恋仲の男・志郎と逗子の海で束の間の青春を謳歌する直子のもとへ、会田が姿を見せた。彼女を消そうとする大沼の手先(実は会田が連れてきたのだが)との銃撃戦の最中、志郎は「面倒はゴメンだ」と直子を置いて逃げてしまった。悲観して入水自殺を図ろうとした直子を自ら海へざぶざぶと入り込んで助けた会田(塩水かぶって大健闘。一番ハラハラしたシーンだ←暴言)は、父の無念を晴らしたくはないのかと彼女を諭す。「寂しかったの・・・!」直子は会田にすがって泣き崩れた。 大沼の裁判の日。出席が危ぶまれた直子だが、再び壜底メガネで姿を見せるのだった(昭和ブルースは1番) *初めて見る第3シリーズ。オープニングの額から“情”ビーム、聞きしに勝るインパクトだった。タイトル文字に迫力がなくなったのと、役名が出てこなくなったのが残念(誰が誰だか分からんじゃないか)。それよりも新録の「昭和ブルース」が風呂場の鼻歌調(失礼)なのがちょっと・・・(もっともEPのほうは、後発のものも全てオリジナルの再録なので安心?だが) *既に剣さん@江戸の牙を経て明智センセイも佳境の天っちゃん(49歳)が演じる会田刑事。ルックスは見慣れているとはいえ、声の出し方が違う(高い?)というか、サングラス姿が怖いというか(それはいつものこと)、どうも80年代のライトな世界観(BGMもなんだか軽かった)とのギャップに違和感があるような雰囲気だった。小林君チックに若く垢抜けている同僚(村井刑事:高田洋)が側にいるのも、そのスジの事務所みたいなおどろおどろしい面子揃いだった第1・第2シリーズの特捜部と比べると物足りない気がした。
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2007,01,02, Tuesday
#69「兇悪の誇り」(1975年・S50・1月23日OA)
矢部警視(山村聡)から受けた指令に会田(天知茂)は耳を疑った。ある女を見つけ、捕らえる前に自殺させよというのだ。 同棲していた若い男(「ボク」とか言われて可愛がられていた西田健)との別れ話のもつれから殺人を犯したレストランの女性オーナー・梨花(加茂さくら)は旧子爵令嬢で、かつての夫は政府要人。事を荒立てないために殺人は銃の暴発で処理され、彼女は秘密裏に消されようとしていた。 逃亡を続ける梨花は、先祖の墓地だけでなく自宅までを買収していた英吉(仲谷昇)を訪ねた。戦争孤児だった英吉はかつて梨花の両親に拾われ、兄妹同様に育てられたのだが、梨花が彼を捨てて他の男と結婚したため、彼女への愛憎を募らせていた。梨花を屋敷の物置に監禁し、鞭でいたぶる英吉。だがそれは愛情の歪みがなせる業だった。 屋敷を突き止めた会田に梨花は銃を向け「(逮捕を)3日間だけ待って欲しい」と懇願した。3日経てば梨花は自殺してしまう、そう直感した会田だったが、彼女を信じてその場は引く。暴発ではなく、殺意をもって自分の品位を貶めた相手を殺したのだときっぱり言い切った梨花のプライドに賭けたのだ。 しかし機動隊まで動員して強引に彼女を捕らえよう(追いつめて自殺させよう)とする上層部。あえて彼らの人質になることで屋敷内に入り込んだ会田は梨花を説得するが、不治の病にかかっている英吉は、愛する梨花を道連れに死ぬつもりだった。「あんたまで彼女を自分の都合で殺そうとするのか!」憤る会田を尻目に、ライフル銃(の暴発?)で倒れる英吉。彼の後を追ってピストルで自殺を図ろうとする梨花を会田は張り飛ばした。 「あんたの「誇り」とはそんな程度のものなのか!」会田は自らの過去(=戦争孤児で、親代わりの姉は終戦翌年に進駐軍に犯され自殺)を梨花に話す。姉は自分を恥じたり悲観したりして自殺したんじゃない、犯人を捜して何度も警察に通いながら、相手が進駐軍だからととりあってもらえず抗議の自殺をしたのだと、そんな姉こそ、人間としての尊厳を持っていたのだと語る会田。 「俺は人間の愛や誇りがピストルなどで守れると思っちゃいない。こんなもの(=ピストル)で守れるのは、せいぜいヤクザの縄張りぐらいだ」 あとは好きなようにしろ、とピストルをあえて床に置き外へ出た彼の後から、梨花は無傷で出てきて会田に両手を静かに差し出した・・・。(昭和ブルースは4番) *梨花と英吉の関係が「嵐が丘」のキャサリン&ヒースクリフのようで濃厚だった。 *それはそうと、会田のお姉さんをレイプした相手は鶴田浩二さんがその場で始末してくれたんじゃなかったんだろうか?(←まだその回を見ていないので分からないが) *「聞いてるのか!」「いいえ、聞いてません」「分かっとるのか!」「いいえ、分かりません!」 矢部の不条理な命令にぶーたれる会田のやりとりが楽しかった(「そんな命令を平気で下せる部長こそ、自殺してもらいたいもんですな!」とか言っちゃう会田の性格を判った上で怒鳴りつけてる矢部さんがオトナで素敵だ)
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2007,01,01, Monday
『剣に賭ける』(1962年・S37)
北辰一刀流の創始者である千葉周作が剣の道を極める過程を描いた作品。 冒頭で人質の赤ん坊を見殺しにしてしまったことがトラウマになっている青年・周作(市川雷蔵)は、ひたすらお悩みの日々を送っていた。そんなある日、道場の同輩・寺田兵馬が町人を殺めた現場に居合わせ、彼を斬ってしまう。 しばらくして、兵馬の兄・七郎太(平手@座頭市風といおうか、挙手田@陽気な殿様風といおうか、眼光鋭い浪人スタイルの天知茂)が道場に現われた。音無しの構えを得手とする高柳又四郎(浜村純)はひと目で彼を邪剣の使い手と見抜き(そんなに胡散臭い顔だったというわけか)立合いを拒むが、七郎太の強引さに負けて手合わせする。又四郎の木刀を叩き折り、音無しの構えを破ったと狂喜する七郎太(その直後、腕から血を流しているのに気づいてギョッとなるも、負け惜しみのように平然と去るあたりがナイス)。 すっかり自信がついた七郎太は、弟を殺した周作に果たし状を突きつけた。夕陽がまぶしいススキ野原で対峙する二人。夕陽を背に目くらまし戦法に出た七郎太だが、いろいろ経験して悟りの一歩手前まで来ていた周作に腹部をばっさり斬られて地に伏した(・・・と思いきや再び刀を繰り出し、とどめを刺されるしつこさもナイス)。かくして七郎太の死が最後の仕上げとなり、周作は剣の道に開眼したのだ! *・・・という話だったと思う。年末の鑑賞会の上映作の1本だったため、天っちゃんが出ていない部分はお喋りに夢中でほとんど見てない(聞いてない)状態だから詳細は不明(雷蔵さんすみません)。 *天っちゃんが出てくると画面に違うオーラが見えてくるから不思議(←惚れた弱み)なのだが、雷蔵さんが実につれないもので気合空回りの感がある悲劇のライバルだった。そんなパターン多いなあ。
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| 映画::大映with市川雷蔵 | 11:57 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2006,12,31, Sunday
#31「兇悪の報酬」(1973年・S48・11月1日OA)
雨の夜、病院に担ぎ込まれる手負いの人物。会田(天知茂)である。左脇腹あたりを撃たれたらしいが、「俺は平気だ、村越は・・・?」と呟く気力はある(でも寝癖チックな髪の乱れ具合は尋常ではない)彼に心配そうに寄り添う同僚の鈴木刑事(梅津栄←絵的にかなり濃い)。で、その村越(浜田晃)とやらは「しっかりして、ムラ〜!」と恋人・牧子(光川環世)の必死の声に付き添われながら会田の直後に収容された。 ふたりは別々の手術室に運ばれたが、ジャンキーの村越には麻酔が効かず、苦しみ抜いて事切れた。半狂乱になり、会田が消えた第二手術室を睨みつける牧子。「殺してやるわ、会田を・・・!」 彼女の大事なムラは会田に撃たれたのだ。ヤクの売人である村越を救うために会田に協力を請われていたにも関わらず、土壇場で踏み切れなかったのは牧子の方なのだが(そして逃走の際に村越が先に会田を撃ったのだが)、完全にキレた彼女は吉田刑事(多々良純)の拳銃を奪って第二手術室に乱入、ジワジワと苦しみながら死ぬがいい!などと物騒に叫んで患者の麻酔管をぶっちぎった・・・! ・・・もっとも、ここで我々視聴者は「さっき会田を手術していた担当医が若返っている」、「看護婦や医者が何か言いたげだ」という事実に気づくのだが、思いつめた牧子、焦ってる吉田刑事、そして会田が撃たれたとの知らせを聞いて病院に急行、すわセンパイ(=師匠)の一大事と手術室に飛び込んでしまった無鉄砲な坂井刑事(宮口二朗)ら周りが見えなくなってる人たちは、その患者が会田だとしばらく信じ込んで攻防を繰り広げる。 後から来たオトナの四方刑事(葉山良二)が真相(=患者は会田とは別人)を知り、院長と偽って手術室へ入った頃にはようやく間違いに気づいた牧子だったが、5分以内に会田を連れて来い、さもなくば皆殺しよっ!とさらに過激な要求を突きつける。だがこの頃になると、牧子の身体に異常が見られるようになっていた。実は彼女も麻薬に侵されていたのだ。 一方、手術を無事終えて別室にいたスリーピング・ビューティー会田は、竜巻クリーニング夫妻(左とん平&小牧リサ)や院長が見守る中、ようやく麻酔から覚めた。目覚めるなり「とんでもないことになってるんすよ!」とタロさんや院長にデリカシーの欠片もなく事の次第を聞かされた会田、当然ながら「おめおめここで寝ているわけにはいかん・・・!」と無理やり起き上がって手術室へ向かうことに。(しかし『あんたのせいで無実の患者の命が』みたいな言い方をしておいて「どうしようというんですか、まだ傷口が」も何もないだろう院長。ここで牧子の言葉(5分以内に云々)を壁越しに聞いていたにも関わらず何も言わなかった(しかも会田が起きてきたとき、一瞬彼を引き止めた)鈴木刑事の株が急上昇。) そして一触即発だった手術室に、勝負服(=背広)に身をかためた会田が現われた。 「俺を待っていたらしいな」 入るなり患者や部屋の者を「俺に任せろ!」と下がらせ、牧子と対峙する。 殺す? 俺をか。君にそれができるのか! 救いを求めている君に・・・! これ(ヤク)が本当に君の救いなのか。 甘えるな! 自分を救えるのは自分しかいない。 こいつは、君の心を、身体を、そして本当の姿を、蝕んだだけだ。 その鏡を見るがいい。 それが君だ。その顔のどこに君の顔がある。人間らしさがある! (中略) こんなもの(ヤク)がなくても人は生きていける。愛していける。 舞台に立ったことのある君ならわかるはずだ、 自分を偽って生きることのつらさを・・・! 等々、傷のせいでさらに抑制の効いた低音ボイスで麻薬撲滅キャンペーンをひとしきり繰り広げたあと「これはここに置いていく。君の好きにするがいい」とモルヒネのアンプルを残して部屋を出る会田。やはり傷口が開いたらしく扉の側でヨレヨレになりつつも、飛び込もうとする四方刑事を制して彼女に時間を与える。しばらくして牧子は半狂乱で部屋から出てきた。「元の身体にして・・・!昔のあたしにして・・・!」モルヒネを打たなかった彼女に、会田は安堵するのだった。 ラストは更正施設で中毒症状と闘う牧子を無言で励ます会田でエンドマーク(昭和ブルースは1番)。 *他の番組と違って、オープニング(クレジット部分)からエンディングまでぎっしり中身が詰まってる両切りタバコみたいな「非情のライセンス」。今回は特にそれが濃厚で目が離せない。特捜の面々がそれぞれ活躍しているのは珍しかったが(個人的には矢部警視にも出てきてほしいところだったが)、残り10分の会田ワンマンショーが全てを超越してしまうあたりが凄かった。さすがだ! (脱いだら色白モチ肌なのになあ←それは関係ない)
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 12:08 AM | comments (x) | trackback (x) | |
2006,12,28, Thursday
#68「兇悪の青い鳥」(1975年・S50・1月16日OA)
一子(=いっちゃん)はいつもひとりぼっち。夜のお仕事をしているママはいっちゃんが邪魔だし、よく遊んでくれた眼鏡のおにいちゃん――ママは「ろくでなしのパパ」だっていう――はいつのまにかいっちゃんを置いてどこかに行ってしまった。 ある日、大好きな近所のおにいちゃん(下条アトム)にこっそり付いて行くと、おにいちゃんは知らないおうちで知らないおじさんのお首をギュッとしていた。でもその後、デパートの屋上や、大きなお船がたくさんいる海に連れて行ってくれたから、いっちゃんはそんな優しいおにいちゃんが大好きだ。 工場の高いところから落ちて頭に怪我をしたいっちゃんの元に、ちょっと面白い顔をしたケイサツのひと(右田刑事:左とん平)がきた。ケイサツのひとはみんな悪いひとだってママは言うし、おにいちゃんと約束したから、いっちゃんは何もしゃべらなかった。 でも次に家に来た白いコートのおじちゃん(会田:天知茂)は、ママとなんだか難しいお話をしてたと思ったらプイといなくなっちゃって、いっちゃんがアヒルのおばさんのところでエサをあげていたら来てくれた。怖いお顔だけど、いっちゃんがニコッてしたら微笑んでくれたから、悪いひとじゃないみたい。 白いコートのおじちゃんは次の日もやってきて、ドライヴに行こうよって誘ってくれた。ケイサツのひとじゃないの?って聞いたらウンって言ったし、おじさんは悪いひとじゃないよって言ってくれたから、いっちゃんは嬉しくて一緒に付いていった。食べ物屋さんの2階でトランプしながら、おにいちゃんのことをちょっと喋っちゃったんだけど、内緒にしようねって言われたから安心した。 この頃おにいちゃんは誰もいないところばかり連れて行ってくれるけど、いっちゃんはおにいちゃんがやっぱり大好き。でもおにいちゃんはもうすぐ引越すかもしれない、ってアヒルのおばさんから聞いてすごく心配になったから、付いてきちゃダメだよって言われたのに古い工場まで付いて行った。急に姿が見えなくなったおにいちゃんを探すうち、重たい扉が閉まっちゃって、いっちゃんは閉じ込められてしまった。一生懸命おにいちゃんを呼んだけど来てくれなくて、そのうち何も分からなくなった。 気が付くと扉が開いていて、おにいちゃんが涙を流しながらいっちゃんを抱きしめてくれた。そこへ白いコートのおじちゃんとケイサツのひとが来て、大好きなおにいちゃんをタイホする、って言った。白いコートのおじちゃんはケイサツのひとじゃないって言ったのに、いいひとだと思ってたのに!「 おじちゃんのウソつき! 」思いっきりにらむとおじちゃんはちょっぴり悲しそうな顔をしたけど、もうひとりのひとが止めるのもきかずに、いっちゃんの目の前で、おにいちゃんの手に光る輪っかをガチャンとはめた。 「人を殺すということは良くないということだけは、分からせなければいけないんだ! たとえどんなにむごいことであっても・・・それがいずれこの子のためになるんだ・・・強く生きなければならない、この子のためにな・・・!」 おじちゃんの言葉。今はよく分からない。 夕陽の中、おにいちゃんは車に乗せられて行ってしまった。一生懸命追いかけたけど、いっちゃんを置いて、行ってしまった。 ――おにいちゃん、行っちゃいや! ――おじちゃんの、ウソつき! *会田の辛さをいつか分かってやってくれよ、いっちゃん・・・!(ちなみに「昭和ブルース」は王道の1番) *おにいちゃん=小倉伸一は、生活のためにクラブで働いていた新妻を誘惑し自殺に追い込んだ男を絞殺。その現場を一子に見られたために、連れ回してひと気のない場所で殺そうとしていたのだった(どうやら彼女の頭の怪我も、彼が突き落としたせいらしい) *育児放棄の一子の母親(夜の女)を見て、自分の母親もひどい女だったと会田に過去を語る右田刑事。「会田さんには分からないんだ。俺は男だったからまだましだったけど、あの子は女の子なんですよ・・・!」ラストの車中での言葉に、彼の優しさが滲み出ていた。そこで何も言わずに車を一子から遠ざける会田がまた切なくていい。 *でもってそんな優しい右田刑事がお気に入りになったらしい会田は、彼と自宅(会田の)で一杯やる仲になっていた。
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2006,12,27, Wednesday
「悲壮 命買います」(1979年・S54・10月30日OA)
縁日のいざこざを収めた剣(つるぎ)さん(ドブさらい役人とけなされてもなんのその:天知茂)。その帰りふと目にした灯篭群にはずらりと並んだ赤い手形の張り紙。たどった先には古い御堂があり、中には思いつめた表情の娘(光丘真理)が。「お待ちしておりました。お命を、売ってください」冗談はよせと差し出された小判には目もくれず帰ろうとする剣さんに対し、娘はそれなら私の操でと帯を解き床に横たわる。 扉を閉めて近寄った剣さん、やおら娘の着物の裾をめくった! と、すかさず隠し持っていた小刀を繰り出す娘! しかしそれを見越していたかのように剣さんは刀を叩き落し、逃げようとした娘の脚の間にぐさっと突き刺した! ハードボイルド(というよりアダルト)な展開を、まだ男を知らないその身体を大事にしろとかなんとかキザな台詞(見ただけで判るあたりがツワモノだ)で締めくくって去った剣さんだが、娘の方はこれでターゲットを彼一人に絞ったらしく、雨の中を本所方まで追いかけてくる。そこへ股旅姿の男たちが現われ娘を連れ去ろうとしたが、傘をくるくる回しながら剣さんが追い払ったおかげで事なきを得た。 彼女・おようの住む上州松井田宿は目下、博徒のドン・唐五郎(井上昭文)がやりたい放題の有様で、若い衆たちは江戸から助っ人を呼び寄せようとし、彼女がその役目をかってでたのだった。小判も操も貰わずに助っ人を引き受けたフットワークの軽い剣さん一行は、上州松井田宿へと向かう。 到着した剣さん(なぜか一人)を、おようが待っていた。だが彼女は、捕らえられた恋人・真吾(原田大二郎)の命を助ける条件で唐五郎と取引をしていた。例の股旅男たちに襲われる剣さんだが余裕で圧勝、斬り殺したナンバー2の仙次(蟹江敬三)を担いで(お姫様抱っこでは勿論なく、肩にのっけて)唐五郎の元へ向かうと、「こいつが喧嘩状だ。首を洗ってやってきな」と果し合いの時刻・場所を指定して宣戦布告。かくしてだだっぴろいススキ野原で、4対50ほどの真昼の決闘が幕を開けた・・・! *久々に骨のある相手ですなあ(半さん談)ということだったが、単に数が多いだけなので、二刀流を使うまでもなく(しかもラスボスには竹槍で)勝ってしまう無敵の剣さん。今回は殺陣が多くて眼福とはいえ、強すぎますがな。 *ちなみに剣さんを騙してしまったおようちゃんはバチがあたったのか、恋人は唐五郎に消されてしまいましたとさ。 *最後は股旅姿で出陣、白装束に黒の三度笠で立ち回り。他の3人がナマ足披露なのに対し、天っちゃんだけはがっちりガードしてあったので少々残念だ(何が)
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2006,12,24, Sunday
「逆転! 八万両の行方」(1979年・S54・10月23日OA)
勘定奉行の支配下である金座から、八万両もの新造小判が盗まれた。責任を問われた番役人たちが切腹させられる中、杉田平八郎(三ツ木清隆)だけは己の潔白を訴え逃走、八万両の行方を探るべく市中へ潜った。 本所方の紅一点・志乃さん(白都真理)が平八郎の妹・千加(斉藤とも子)と幼馴染のため、幕府の金にはまるで無関心だった江戸の牙たちも乗り出した。真相を探るべく平八郎を執拗に追い詰める火盗改与力・神崎(高城丈二)から彼を匿った剣(つるぎ)精四郎(釣りの成果も上々:天知茂)は、番役人たちが眠り薬を飲まされていたことを知った。 小判運びを手伝った人足たちの謎の死。制止を振り切って再び飛び出す平八郎。八万両はどこに? はたして黒幕は・・・? この話だけはネタをばらすとサスペンス時代劇としての面白さが半減するのでこれ以上は自粛。メンバーそれぞれ(志乃さんまでも)が見せ場をもらって役割を果たしているし、さいとう・たかを氏が描く鬼平みたいな容貌の神崎役の高城さんがすこぶるいい味を出していて見ごたえがあった。 *二刀流は構えたときがカッコいいのだが、やはり一刀の元にずばーっと斬って流れるような動作で鞘に収める姿は実にサマになっている剣さんだった。 *そして例の“すちゃちゃちゃ”納刀、デビュー。
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2006,12,15, Friday
#65「兇悪の噴煙」(1974年・S49・12月26日OA)
冒頭いきなり採掘場で男が爆死。年の離れた妻の由紀(武原英子)はその遺体が夫・林(潮万太郎)だと証言するが、どうも様子が不自然だ。江沢刑事(江波杏子)は身代わりを立てた狂言ではないかと調べを進めるが、なぜか会田(天知茂)は、偽証バレバレっぽい林夫人を庇うのだった。 「今度の俺はどうかしている・・・」部屋でブランデー・グラスを片手に考え込む会田。自覚はあるらしいが理性のネジが少々緩み気味の彼は、やはり生きていた夫からの連絡で鹿児島へと向かったらしい夫人を追って城山観光ホテル(今回のタイアップ先)へ。同じく鹿児島入りしていた江沢刑事や大門刑事(高城丈二)が現地PRに余念がない中(コワモテの高城さんがニッコリ笑って「おはら餅、ウマいよ喰うかい?」とわざわざパッケージをかざして江波さんに勧めている姿はインパクトがあった)、会田はというと、林夫人に自首を勧めるため(だとは思うが)、夕食を共にしたりサイケなシャツでゴルフに付き合ったり、ひたすら奥さんあなたの会田ですってな状態で彼女に密着。夫人のほうも「会田さんは、私が昔好きだった方に似てますの」とかなんとか言ってモーションをかけまくる。 そうこうしているうちに夫から『海外へ高飛びするから一緒に来い』との連絡を受けた夫人。会田の部屋のドアへ「鍵は開いています」とのメモを差込み、最後のアバンチュールを計画した。しかしさすがに会田は(彼女の部屋には行ったものの)一線を越せずにその場を去ってしまう。どうにも引き下がれなかった(らしい)夫人は、夫から送られてきた航空券を残して小島(←会田と一緒に散歩した場所)へ赴き、会田にファーストネームを呼んでもらう&お姫様抱っこをしてもらう権利を命と引き換えに勝ち取るという最終手段に訴えて、見事それを果たしたのだった。 ラストは会田が空港にて海外逃亡を図ろうとしていた夫をボコ殴りしておしまい(夫人の面影を思い出しながらの「昭和ブルース」は♪なんにもせずに 死んでゆく〜♪の3番)。 *ほんの6話分空いただけで奥さん奥さんとやたら連呼するマダムキラーと化していた会田(ロケだからか?)。全国のお茶の間の奥さま達はさぞ喜んだのだろう。・・・そういえば、レストランで飲んでいる時に生ピアノの演奏が流れていたのだが、アップになったピアニストの顔がなんだか本物の奥さん(=純代夫人)に似ているような気がしてちょっとウケた。ってまさかロケに着いていってたんじゃ・・・? *夫の秘書役で池田・ゼロワン・駿介さんが登場していた(#9「兇悪の口紅」と同じ鹿児島ロケだったようで)
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 04:07 PM | comments (x) | trackback (x) | |