2007,01,22, Monday
「冥途の土産」(1972年・S47・11月3日OA)
呉服屋の跡取りでありながら放蕩三昧を尽くした揚句に盗っ人に成り下がり、島送りとなった“霞の清次郎”(天知茂)。今は務めも終え、カタギの人足として真面目に働いている彼の目下の心配事は、生き別れになった妹の消息だけだ。 ある夜、彼を雇ってくれた材木問屋に強盗が入り、主人が殺された。錠前破りの手口にピンときた清次郎は、昔の盗っ人仲間からその男・重吉(高橋長英)の居場所を聞き出し訪ねてみるのだが、なんとそこにいたのは妹のお峰(岡田由紀子)。重吉をまっとうな人間だと信じて疑わない彼女は、急に現われたかつての極道兄貴を(内心はいざ知らず)嫌悪感を露わにしてなじるのだった。何も言えずその場を去った清次郎は、重吉を見つけ足を洗うよう勧めるのだが、聞き入れてもらえない。 再び別の材木問屋が襲われる事件が発生。平次親分(大川橋蔵)は、寺建立の入札を巡って新興の但馬屋(中山昭二)が暗躍しているのではないかと推理する(←当然ながらビンゴ)。盗賊あがりの但馬屋が、邪魔なライバルを蹴落とそうと更に強盗殺人を画策する中、やはり義兄の顔が怖かったらしい(ウソです)重吉がお峰を連れて逃亡を図った。が、すぐに重吉だけ捕らえられてしまった。それを兄貴のせいだと思い込んだお峰は清次郎に散々わめき散らし、苦悩度MAXの彼は平次が止めるのも聞かず単身で但馬屋に乗り込んだ。重吉を逃がすためにわざと彼の右手を傷つけ、俺の方が錠前破りは上手いぜと、強盗の片棒担ぎを申し出る清次郎。 だが清次郎はカタギを捨てる気はなかった。錠前破り直前になって反旗を翻した彼に強盗一味のドスが襲い掛かる。先刻からの切ないまでのいい奴ぶりから察するに、実にやばすぎる状況だ。でも銭形平次だからそこはそれ、と思っていると都合よく平次親分が現われてくれた。颯爽と応戦する平次親分。そこで決め手の銭が・・・なんと、不発! そんなことアリなのかと驚いている内に、ドスを喰らって清次郎バッタリ。「お峰・・・重吉・・・良かったなあ・・・これで冥途の土産ができた・・・ぜ」かくして極道の限りを尽くした(らしい)男は、平次親分に看取られながら最愛の妹のために命を落としたのだった・・・。 *「いかにもなシチュエーションだ」と思っていたらやっぱりか、な回。まあ生き残っても邪魔だもんなあ兄貴。しかし、重吉探しの堂々たる捜査っぷりは「島帰りの人足」というよりは「囮捜査中の左門さま@大岡越前」ってな感じだった。そんなだから平次親分まで銭投げ損なっちゃったのか(違)。 *落命シーンだけ目にした母「あらー、風呂上りみたいにテカテカしてはるわね。元気そうで」。オカンそれはいちおう脂汗流して苦しんでるんだよ!ちょっと恰幅良すぎだからってソレは無いよ! *「誰かに抱かれながら死ぬ」というパターンに、今回のはギリギリ入るか・・・?(ちょっと微妙な気もするが)
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2007,01,21, Sunday
#105「兇悪の無実」(1975年・S50・10月16日OA)
「バカヤロウ、死んじまえ!」酔いどれ老医師・山岸(大友柳太朗)に怒鳴られながら会田(天知茂)が美人の看護婦(女医?)・ユミ(明智センセイと香港でハト料理を食べ損ねる6年前の中島ゆたか)から意味深な治療を受けている医院へ、腕を切ったという黒縁眼鏡の男・秋本(小池朝雄)が飛び込んできた。 後日、その秋本が強盗容疑で警察に連行されたことを知った会田は、寿司折り片手に帰宅途中だったらしい彼が犯人なことに疑問を抱くが、被害者の夫婦が彼の仕業だと一方的に決めつけ、容疑が確定してしまう。幸いなことに後になって真犯人が現われ、秋本は釈放された。ところが、散々マスコミによって叩かれたおかげで、彼の娘は父の潔白を晴らさんと抗議の自殺、妻は心労でノイローゼになってしまった。 新たに起こる連続強盗事件。それは、娘をいじめた同級生宅を狙っての秋本の犯行だった。次に彼は最初に自分を犯人だと決め付けた家の娘を拉致、殺そうとしたところで会田に阻まれた。秋本の心情を思って自首を勧めた会田は「俺ならいつかの病院にいる」と言い残してその場を離れるが、一課の橘警部(渡辺文雄)の血の気の多い部下が無理やりとっつかまえようとしたせいで、ほだされかけていた秋本の心は再び炎上。 「バカヤロウ! お前は何の病気に罹っていると思ってるんだ!」またしても山岸先生に怒鳴られつつ意味深な輸血を受けている会田の元へ、逆上した秋本が飛び込んできた。寝ている会田にメスを突きつけながら、裏切りやがったな、お前なんかじわじわ苦しめて殺してやる!と消毒液を輸血ビン(パックにあらず)の中へ入れようとする秋本。咄嗟に山岸先生が酒のコップを投げつけたのだが、その拍子にバシャッと液が輸血ビンに入ってしまった・・・! 凍りつくその場の雰囲気をよそに、いつもながらクールな会田は秋本を諭す。そこで山岸先生が「忘れていたよ、その男があと半年しか持たねえ寿命だってことをな。見たところはぴんぴんしているが、白血病なんだ」でもそれでも一生懸命生きているんだ、きっとお前さんにも生きてほしくて自首を勧めたに違いない、と会田をバックアップ。そんなこと知ったこっちゃねえ、と息巻く秋本だったが、最後には泣き崩れながら会田の腕のチューブを握り締め、血を止めるのだった。(昭和ブルースは1番) *何の前触れもなく唐突に白血病設定が飛び出した回、とのこと。急に病院通いに励んでいる会田に、お茶の間の奥様びっくり仰天ってところか。 *あと少しで消毒液入りの血が会田の腕に入っちゃう・・・という時に、自分の切ない心情を(コロンボな声で)語り始める秋本。「・・・犯人のときだけデカデカ書きたてやがって・・・無実だと判って、新聞がデカデカ書きたてたかよぉ、テレビがデカデカ書きたてたかよぉ、ラジオがデカデカ書きたてたかよぉ!・・・(以下続く)」告白長すぎてハラハラしたよ! *先走る部下を持っているとはいえ、橘警部は会田の気持ちを汲んでくれるいい人だ(彼だけ会田の病気に気づきそうな感じがしたのだが、この設定は細っていく一方らしいのでそういう後日談はないようだ)。 *オープニングに天っちゃんの歌声(「非情の街」)が入っているシーズン。
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 03:59 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,01,18, Thursday
『江戸無情』(1963年・S32)
寺社奉行の脇坂様(長谷川一夫)の命により、大奥女中と坊さん連中が愛欲の逢瀬を重ねているという寺に潜入、自分の操と引き換えに証拠を握ったカノジョ(つや:坪内ミキ子)がどうしても許せないカレシ(名越兵馬:津川雅彦)。脇坂様は二人の様子に心を痛めて・・・というのが本筋だが、そこからちょっとズレたところで暗躍しているのが、右のこめかみ付近に赤痣を持つ浪人・近藤辰之助(天知茂)。 寺のからくり部屋を作った大工を坊さん(柳全:沢村宗之助)の依頼で切り殺し追われる身となった辰之助は、彼から金を搾り取りながら「ひとり殺すのもふたり殺すのも一緒だ」と尾行の岡っ引きをばっさり斬り、柳全の女のところへしけこんでよろしくやり、あげくに柳全をも隠し金を掘り出させたあと首をぎゅっと絞めて殺しと、冷たい美貌のマスクを最大限に生かして悪行を重ねていた。 金が手に入ったんだからもう止しても良さそうなものなのに、金づる(=柳全)がいなくなったためか、資金源を間接的に断った脇坂様を狙おうと屋敷を急襲する辰之助。御大相手になかなか良い調子で優勢をキープしていたにも関わらず、さんざんふらふら揺れていた兵馬が善人になって駆けつけたおかげであえなく成敗されてしまうのだった(二人がかりとは卑怯な)。 *クレジット的には地味だが、色悪ぶりが堪能できる作品だった。モノクロで陰翳が美しく、特に柳全を殺す瞬間の氷のような視線にはゾクゾクすること請け合い。ちなみにこの映画のスチール(脇坂様と一騎打ちシーン)は長谷川御大の特集記事などでも良く使われている。オトコマエ同士だからか。 *長谷川御大のくっきり目元メイク、それから時折キュッと眉根に寄る横皺がものすごく天っちゃんに似ていることを実感(って、逆だ、逆!)
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| 映画::大映with長谷川一夫 | 11:35 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,01,17, Wednesday
『いも侍・抜き打ち御免』(1965年・S40:松竹)
「献上牛を巡る地元の権力者と牛飼いたちの争い」「横行する辻斬り」「お姫様誘拐騒動」の三本柱を、岡山弁と自己流剣法でま~るく治めるいも侍・淡島蟹右衛門(長門勇)の武勇伝。 トメの位置にクレジットされていた天知茂の役柄は藩内の検見役・所俊二郎。献上牛に関する上役たちの悪事を薄々察しているが、弟がこともあろうに辻斬り仲間のひとり(真っ先に蟹右衛門に斬られて死亡)だった事実をじわじわ突っ込まれ苦しい立場にいる歌舞伎調メイクのお侍だ。 ただ肝心なところでなかなか登場しないうえ、献上牛争いで殺された鑑定人の久左衛門(細川俊夫)の死に不審を抱き、颯爽と馬に乗り久左衛門宅へ向かうも娘に話をちょこっと聞いてまた颯爽と馬で去って行くとか、颯爽と馬を駈っているときに蟹右衛門と出会い、「お前も辻斬りかなもし」と言われてUターンするふりをして蟹右衛門を鞭でしばきつつまた颯爽と馬で駆けていく、とか、何をしに来たのか(何をしたかったのか)いまひとつ意味不明の馬上のひとイメージばかりが印象に残った。ちなみにクライマックスの、お姫様(18年後には明智センセイを蝋燭で責め立てる鰐淵晴子)を救うための大立ち回りシーンでも最後の最後で馬で颯爽と登場し、ちょっとだけイイトコ取りをしていた(でも相手が弱すぎ)。 *馬には乗れるがギャロップは無理なんじゃないのか、と思っていたが、スタントなしでパカラッパカラッと軽快に馬を走らせていた模様(スマン天っちゃん)。
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| 映画::松竹・他 | 01:19 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,01,16, Tuesday
『雪の喪章』(1967年・S42)
金沢の老舗金箔商・狭山家に嫁いだ妙子(若尾文子)は、少しトロそうだが人の良い夫・国夫(福田豊士)や姑に気に入られ、幸せな生活を営んでいた。しかし、実家が没落したという知らせに追い討ちをかけるように、下働きの女中・せい(中村玉緒)と国夫が以前から姑公認で関係を結んでいることが判明。ショックを受け憔悴する彼女に、先代からの番頭・日下群太郎(天知茂)は仕事に専念しているような顔をしつつも気遣わしげな視線を密かに投げかけていた。 せいとは別れると約束した国夫だったが、やがてせいが身籠ったことを知った妙子は、耐え切れずに家を飛び出した。雪山で倒れていた妙子を発見、(彼女の素足を顔にスリスリしたりして)必死に介抱、近くの宿までおぶって行ったのは群太郎だった。持ち直した彼女を前に、自分の身の上話、そして妙子への募る想いを切々と語り、一緒に大阪へでも逃げて欲しい、と真剣に訴える群太郎。彼がせいと結婚したいと言い出し国夫の不興をかった頃から、妙子も彼の気持ちに薄々気づいていた。ところが妙子が頷いた途端、宿の主人から連絡を受けた国夫が慌てて駆け込んできたため、群太郎は涙を堪えて独りいずこともなく去ってしまう。 十数年後。妙子とせい、互いに出産・せいの子が不慮の事故で死亡・家が全焼し姑が焼死・金沢へ残るというせいを残し家族3人で大阪へ、という出来事が怒涛のように押し寄せたあと、国夫に召集令状が届く。息子を抱え途方にくれる妙子に、大阪で軍需会社を経営する羽振りの良い群太郎が救いの手を差し伸べた。久しぶりに会った二人。だが無器用な国夫を心から大切に想うようになっていた妙子は、群太郎が勧める彼の会社での職を断った。 しばらくして胸を患った国夫が帰ってきた。今では旅館を切り盛りしているせいを頼り、家族は再び金沢へ戻る。そこには、以前の狭山家を買い取った群太郎(とその妻子)の姿もあった。そして終戦の喜びに沸く中、妙子は国夫とせいが再び枕を共にしているのを目撃してしまう。まもなく病に伏したせいは、旅館の名義は国夫になっていること、そもそも旅館は群太郎が世話してくれたことを告白し息を引き取った。その後を追うように、国夫もまた喀血し帰らぬ人となった。 義父母。せいの息子。せい。そして国夫。 狭山家ゆかりの人間は、大雪の日にみまかる――。 数年後。ムスコビョウキの電報を妙子が受けたのも大雪の日だった。急いで駆けつけると、彼はすっかり元気になっていた。しかし安堵する妙子の耳元に「若奥様・・・」との声が響く。帰宅した妙子を待っていたのは、群太郎急死の報。 約束の金屏風(狭山家にあったもの)を届けた帰りに倒れた群太郎のため、妙子はせめて華やかな花の数々を手向けるのだった・・・。 *長い年月、ひたすらプラトニックに若奥様・妙子を想い続ける群太郎。妙子の指輪がするっと抜ける気配に「おやつれに・・・なりましたな」と背中を向けたまま呟く冒頭から、雪山で気絶した妙子への懸命の介抱(足をさすっても気が付かないので抱き寄せたら胸元がちらっと見えてしまい、ハッと動揺して取り落とす純情さんぶりがナイス)、そして計3度のふたりきりの(邪魔が入ったり、お互いの気持ちが微妙にズレていたりするせいでプラトニックにならざるを得ない)逢瀬と、しみじみと味わい深いシーンがちりばめられていた(三隅監督ありがとう)。ただ妙子の人物像がいまひとつ掴みきれなかったのと、群太郎サイドの話をもう少し掘り下げて欲しかったなあという思いが残った。 *穏やかに歳を重ねていた矢先に脳出血で急死、ってのはいろいろとコタエる展開だ。 *しかし妙子さんが彼の葬儀用に真っ先に注文した花が「バラ」だったのにはウケた。やっぱりバラが似あうのか!
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| 映画::大映(その他) | 01:00 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,01,15, Monday
『男の勝負』(1966年・S41)
荒れ地だった千日前@大阪。ひょんなことから山田一家の婿養子・重助(村田英雄)を救った香具師の奥田弁次郎(天知茂)は、彼の人柄に惚れ込み、協力し合って千日前開発に精を出すことになった。 二人の尽力、そして弁次郎の愛妻・扶美(南田洋子)のバックアップなどで千日前には客が押し寄せるのだが、千日前を自分のものにしようと企む五十路親分(天津敏)の計略により、弁次郎の子分・銀二郎(北島三郎)と重助サイドの倉吉(=実は山田一家の親分の隠し子:林真一郎)の諍いが、山田VS奥田の一家上げての抗争に発展してしまう。 奥田一家に喧嘩状を送り、子分を連れて指定場所で待機する重助の下へ、弁次郎はたったひとりで現われた。約束が違うと詰問する重助に、着物をバッと脱ぎ捨て背中の観音様(刺青)を見せた弁次郎はこう申し出る: どうかサシで勝負してほしい、俺たちの血が流れるだけなら観音様も許してくれるだろうから――。 それを重助は受け、ドスを交え始める本当は闘いたくない二人。しかし途中から子分が入り乱れ、さらに弁次郎のかつての親分(弁次郎は彼の元を出て、ヤクザではなく香具師になりたいと諸国を放浪していたのだが、その間もずっと目をかけてくれていた)・中村(中村竹弥)が仲立ちに現われたことで、両一家はめでたく手打ちとなった。 1年後。懲りない五十路親分は倉吉をそそのかして千日前乗っ取りを図っており、身をもって制そうとした病身の山田親分を斬殺、ついでに邪魔になった倉吉もバラして山田一家へ投げ込んだ。二度とドスは抜かないと誓った弁次郎&重助だったが、二人で五十路一家へ乗り込むことを決意。 しかし五十路の屋敷ではすでに、山田一家に病身の妻(藤純子)ともども世話になっていた千住小太郎(高倉健)が一足お先に良いとこ取りをして華々しく命を散らしていた。その後始末のような立ち回りのあとで見事五十路を討ち取り、頼りになる中村親分が再び出てきてくれたことで騒動は終結をみるのだった・・・。 *軽めの大阪弁が二枚目半の仕草によく似合っていた弁次郎。子分(師匠とおんなじ髪型の宮口二郎さんら)に慕われ、嫁さんに好かれ(面と向かって「ええヨメはんやね!」なんて言っちゃうあたりも好感度大か)、おまけにかつての親分さんにもずいぶんと可愛がられ、珍しく周りに人が大勢集まっている人気者だ。良い人だと十中八九死ぬのが東映での天っちゃんの黄金パターンだが、日ごろの十八番を健さんが引き受けてくれたおかげで死ぬのを免れた模様(ありがとう健さん)。ただその健さんが美味しいところをかっさらってしまったので、主題がぼやけてしまった感があるのは残念だった。 *村田英雄、北島三郎(あと藤山寛美とか)と一緒の画面に収まると、天っちゃんは背が高くてやたらと男前に見えてしまうからお得である(いや、そうでなくても男前には違いないが←苦悩しつつも決闘に赴くシーンのカッコよさは必見)。
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| 映画::東映 | 12:53 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,01,09, Tuesday
「撃滅 爆破計画!」(1979年・S54・11月6日OA)
カムバックを狙う元大目付・蛯名(今週のラスボス:田中明夫)は、江戸市中を火の海にして現職を失墜させんと悪巧み中。護送中の囚人=腕きき花火職人の佐之吉(寺田農)をカミソリ与力の坂田(睦五郎)に命じて拉致、からくり仕掛けの爆破装置を作らせて江戸中にばら撒こうというのだ(ちなみに拉致実行犯は黒部進&中田博久。蛯名サマは特撮な人々を手下にするのがお好きらしい) 川に浮かんだ佐之吉の死体がニセモノだと見破った半さん(坂上二郎)の報告により、本所方の面々は総出で捜査にあたる。佐之吉のイイ女・おみね(真木洋子)をマーク中、最初からどうも暴走気味だった新米同心・サブ(古田正志)が敵サイドに掴まり小屋に監禁されるが、実は新米思いの伝さん(若林豪)に助けられ難を逃れた。しかし佐之吉&おみねのカップルには(この番組の常として)助けは間に合わず、爆破装置を仕掛けた場所を言う前に佐之吉は死んでしまった。 人出の多い神社の境内でカミソリ与力・坂田を裏手に誘い、いきなり腹に刀を突き刺し爆弾の場所を聞き出そうとした元祖カミソリ与力の剣さん(天知茂)だが、自分の置かれた状況(=刺されて瀕死)が今ひとつ理解できていない坂田は俺の出世がどうのこうのと呟いただけで絶命。かくして装置探しに奔走する羽目になり、ぎりぎりのタイミングで最後のひとつを川に投げ込んだ江戸の牙たちは、その足でラスボスの屋敷へと乗り込むのだった。 *白昼の縁日、寺の境内に仕掛けられた爆弾をメンバー全員で捜索するスリリングな展開。ただ日が高いうちから出陣ってのは、バレバレじゃないのか?(それは言っちゃいかんお約束) あと、モロ肌脱いで庭で居合い斬り中の剣さん(天知茂)、最初っから切れ目が入っていたような・・・?(それも言っちゃいかんお約束)。 *バレバレといえば本所方の新米同心たち。一緒に暮らしていながら(しかも今回は捜査に駆り出されまくりなのに)“江戸の牙”の正体にまるで気づかないあたりのお約束ぶりには涙が出る。
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2007,01,09, Tuesday
「陰謀 地獄の盛り場」(1979年・S54・11月13日OA)
盛り場が些細な言いがかりをつけられ閉鎖される、というケースが続いていることに不審を抱いた剣さん(天知茂)。そろそろ変装好きの血が騒いできたらしく、浪人者に扮して聞き込みを開始、女元締め・お菊(三林京子)が取り仕切る聖天横丁が次のターゲットであることを突き止め、潜入する。 その聖天横丁へ、麻次(平泉征)という人殺しが転がり込んできた。下手人を匿っていることがバレれば盛り場は潰される。しかし麻次はお菊の義兄。グレて家を出た彼を死ぬ直前まで心配していた養父を思いお菊は麻次を家に引き入れるが、彼は金を持ち逃げし、途中で何者かに殺された。 実は麻次を横丁へわざと寄こしたのは、寺社奉行の荒木田(江見=直助=俊太郎)とつるんで一連の盛り場跡を高値で売りさばいていた諸口屋(織本順吉)の仕業。盛り場だけでなくお菊さんもゲットしちゃえ、と欲深い諸口屋は、いったんは下手人隠匿の罪で捕らえさせた彼女を自分の口利きで釈放し、囲いモノになることを引き換えに盛り場存続を約束する。 そんな約束ウソに決まっているだろと(実際ウソ八百なのだが)、自らの正体をばらしてお菊を引き止める剣さんだったが、本所方与力という身分はたいして役に立たなかったようで、彼女は単身、諸口屋の待つ料亭へと向かう。しかしあわやというところで諸口屋は床下から突き出された半さん(坂上二郎)の槍で絶命。そのあと寺社奉行宅へと乗り込んだ江戸の牙メンバーは、盛り場の恨み(?)を存分に晴らすのだった。 *お世辞にも似合っているとはいえない浪人鬘で「つるはし・しろべえ」さんに成り切り、盛り場に潜入する剣さん。遊び人のときほどは人格が変わっていなかったが、その代わりかどうか、伝さん(若林豪)がコミカル路線に突き進んでいて割と笑えた。 *ラスボス(江見さん)の「何者だ、斬れ!」が早すぎたせいで「閻魔様のお使えよお!」が言えずに天っちゃん怒り心頭だ(ほんとか)。刀を鞘に収めなかったのは残念。
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2007,01,09, Tuesday
「対決! 黒い稲妻」(1979年・S54・11月20日OA)
嵐の夜。抜け荷の手伝いをした人足たちが次々と凄腕の浪人者に斬られるなか、転げ落ちた荷物(=薬壜)を拾った挙句ラッキーにも逃げ延びたウッカリどころかチャッカリ者の新吉(高橋・八兵衛・元太郎)は、馴染みの女郎・おすみ(小鹿みき)に薬壜を預けた。女遊びのひどい兵さん(藤村俊二)をたしなめようとたまたま遊郭に来ていた半さん(坂上二郎)は、その粉末が猛毒だと見破る。 抜け荷の黒幕は、南町奉行・板倉(森山・コジャック・周一郎)と、彼の権力を傘にきた河内屋(早川雄三)。今回の毒薬は、板倉が寺社奉行を暗殺するために取り寄せさせたものだった。 一方、おきく(村松英子)の小料理屋で昼間からのんびり一杯やっていた剣さん(天知茂)は、逃げる新吉を追う河内屋のゴロツキたちの中に、かつて道場で共に学んだ先輩・沼沢(大木実)の姿を認め声をかけた。だがすさんだ生活に身を置く沼沢(実は先の人足殺しは彼の仕業)は、浪人のオレと役人のオマエでは住む世界が違うと、懐しがる剣さんに冷たい目を向ける。 生き証人の新吉を逃すまいとする河内屋は、長屋の井戸に例の毒薬を流して彼をあぶりだすという無謀かつ大胆な手段に出たが、井戸水を飲んだ長屋の住人を30人殺したにも関わらず、肝心の新吉は伝さん(若林豪)によって本所方に保護された。ところが抜け荷の罪で河内屋をしょっぴいたものの、南町奉行の威光ですぐに解き放ちに。しかも泳がせていた新吉も拉致されてしまい、救出に向かった剣さんは沼沢に「俺を斬れば助けてやる」と決闘を申し込まれる。 10年前はまるで歯が立たず、決闘の少し前に会った時には印籠と袖の裾をばっさりやられて分が悪そうな剣さんだったが、材木置き場で沼沢と刀を交える羽目に。短筒を持った河内屋の手下が現われるというハプニングもあったが、夜毎の鍛錬(?)の差がモノをいったのか、「腕をあげたな、剣……」そう呟いて沼沢は地に伏した。先輩を倒さねばならなかった哀しみを怒りに変え、剣さんはラスボス・板倉の役宅(って、奉行所?)に押し入り、普段以上に猛々しい冥途の使者として地獄送りを決行するのだった(って、奉行所で?)。 *強さ互角の先輩(大木実)と一騎打ち、おまけに影から狙う短筒・・・という絶好の(?)シチュエーション。なのに、勝負があっけないのなんの。強すぎだ剣さん(というより、短筒使いの腕がショボすぎだ。誰にも何にも当たってないじゃないか) *後の重要人物、おきくさんがさりげなく登場。 *道場時代が懐かしくなったのか、はたまた力が有り余っていたのか、剣さんは散歩(=エンディング)の前に新米たち3人を懐手のまま扇一本で仕込んでいた。
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2007,01,08, Monday
『第三の影武者』(1963年・S38)
家老・篠村(金子信雄)にスカウトされ、軽い気持ちで城へやってきた杏之助(市川雷蔵)は城主・池本安高(雷蔵:二役)にそっくり。安高の三人目の影武者として、歩き方から怒鳴り方、女人の抱き方まで似せるよう、篠村から厳しいトレーニングを受けることになった。しかし安高が戦の最中に左眼を射抜かれると、三人の影武者たちもそれぞれ左眼を潰せと強要され(反抗した一人が斬殺)、間髪を入れずに城が急襲を受けた際には、身代わりに死ねと言われ(また一人死亡)、とうとう杏之助だけが手負いの安高と逃亡する羽目に。さらに右腕を失った安高を見て自分の行く末に恐怖を覚えた杏之助は、安高を殺してしまう。逃げ延びていた篠村は杏之助と落ち合うと、彼を半ば脅迫して安高として扱い、以前から婚儀の話が持ち上がっていた照姫(高千穂ひずる)のいる桜洞城へと向かった。 さてその桜洞城にて。 勢力拡大のため照姫との婚儀を急ぐ篠村に対し、まず城を襲った敵を倒してからですなとやんわりクギを刺したのが、高齢の城主を助ける若き参謀・三木定光(見た目も声も体温すらもぐぐっと冷えてそうな天知茂)。急いで城を奪回せんと戦を始めた杏之助=安高は、傷を負った篠村にこれ幸いとばかり止めを刺し、これで邪魔者はいなくなった・・・かにみえた。 城を取り戻し、意気揚々として照姫との初夜に臨もうとした杏之助=安高の寝所へ、定光が突如ずかずかと上がりこんできた。「お前の役目は終わったのだ、ニセモノめ」定光は瀕死の篠村が握り締めていたという“影の三”と記された幟を持ち出し、杏之助を糾弾(このあたり、犯人を追いつめる明智センセイ風でもある←井上梅次監督だし)、「本来であればノコギリ引きだが・・・」ある条件で命を救ってやろうと持ちかける。実はずっと前から照姫とデキていた定光は、杏之助には彼を慕う小萩(万里昌代)をあてがい、自分は照姫と夜を共にするからそのつもりでいろ、というのだ。 「昼の城主はお前で、夜のあるじは俺だ」 安高ではなく杏之助そのものを愛している小萩は、それでも構わない、静かに暮らしましょうと杏之助を諭すのだが、彼女に自分の子を身籠っていることを知らされた彼は、よせばいいのに定光&照姫の寝所へ駆け込み(さっきの自分を棚に上げて「なにを無粋な!」もないだろう>定光)、俺の子が殿になるんだ、俺は勝ったぞ!と朗らかに勝利宣言。だが定光は薄ら笑いを浮かべて、照姫も身籠っていることを告げるのだった。正室の子しか必要ないのだ、そう言うなり小萩を斬り捨てる定光(クールに鬼畜)。 杏之助は部屋を飛び出した。「俺は安高ではない、杏之助なんだ!」真実を語っても、もはや誰もそれを信じてくれようとはしない・・・・・・。 *物語自体が面白い上、最強の雷蔵キラーが出現する後半は見どころ山盛りだった。クレジット的には控えめな位置だったが、色悪ぶりが際立っていた天っちゃんにウットリだ(同じ年に薄幸浪人@『破れ傘長庵』もこなしていたとは恐れ入る) *監督だけでなく音楽も後の「美女シリーズ」の鏑木創。
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| 映画::大映with市川雷蔵 | 11:58 PM | comments (x) | trackback (x) | |