2007,03,28, Wednesday
「遺恨 鮮血の伴天連印」(1980年・S55・1月8日OA)
町会所(=まちかいしょ)では、窮民を救うための三千両をせっせと取りまとめていた。ところが、たまたま中座して蕎麦を注文しに出た出納係の佐七(河原崎建三)が戻ってみると、あたりは血の海、仕事をさっくり終えた強盗が着替えの最中。 斬られながらも必死で逃げ、とある屋敷のお嬢さん・おみよ(賀田裕子)に拾われ難を逃れた佐七は、なぜか奉行所へ訴え出ようとはしなかった。垣間見た頭目らしき男の腕の傷跡、それは20年前に彼の家に押し入り家族を皆殺しにした伴天連盗賊(殺した相手の額に十字の傷を刻むのでそう名づけられた)のものだったからである。 一方、所轄で起きた不祥事の責任を取らされた町会所与力の高杉(左右田一平)は切腹して詫びようとしたところを、友人の剣さん(天知茂)に止められた。生きて真相を探れ、俺も手伝う、どぶさらい役人でも、許せねえものは許せねえんだ!とこれ以上なさそうな熱血バックアップを得た高杉は、佃屋仁兵衛(山本清)と高島藩の大和田(加藤和夫)の黒い関係を探り当てる。 そのころ佐七は、ちゃっかり相思相愛になったおみよの父親(娘にデレデレ)・仁兵衛が伴天連盗賊の頭目だと知り大ショック。しかし復讐の炎は消えず、まずは一味のザコたちを殺し、額に十字の傷を刻んでゆく。そしてとうとう、仁兵衛を襲おうとしたときにおみよに見られてしまった。カノジョに懇願されては殺すことも敵わず、屋敷を飛び出そうとするところを剣さん(いきなり登場)に阻止された。 この男(=佐七)から目を離すな、おみよにそう言って修羅場そのままでまたすたこら本所方に戻った剣さんはいつものメンバーで高島藩中屋敷へ。佐七からは目を離さなかったが親父からは目を離したらしいおみよちゃんのせいか、先にチクリに行っていた仁兵衛のお蔭で彼らの到着を待っていた大和田に「待っていたぞ!どぶさらい役人めが!」と先にあざけられるというハプニングもあれど、町会所どころの騒ぎでない血の海を作って(推定)牙たちは任務を完了させた。 佐七・おみよのカップルはお遍路さんの旅へ。それを見送る与力ふたり。 これでよかったのかなあ、そう呟く高杉に剣さんは言う。 ――裁いて罰するのはたかが人間、佐七を罰したのは天だと思えばいい、と。 *久々にサスペンス時代劇に戻ったような展開。どちらかというと「大岡越前」にありそうな雰囲気だ。 *捜査の途中で高島藩の用心棒に襲われた高杉さん。同行していて怪我を負ったサブ(古田正志)が本所方へ駆け込み剣さんに知らせたのだが(それで剣さんは現場まで猛ダッシュ)、また間に合わないんじゃないのかと一瞬どきどきした。
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2007,03,27, Tuesday
「秘境 女軍団逆襲す」(1980年・S55・1月1日OA)
年末年始を迎え、料理の準備やら宴会やらいつも以上にアットホームに盛り上がっている本所方。元旦放送だっただけあって、カメラに向かって「おめでとう!」までやってくれるサービスぶりだ。 一方、どこからか逃げ戻った大工が黒装束の連中に襲われ、持ち帰ったブツを渡せと迫られていた。「こんなこともあろうかと本物はこっちに隠しておいたんだ…」親切な説明口調で呟いてこと切れた大工の持っていたブツは本所方の手に。それは武田菱の袋に入ったざっくざくの砂金だった。 今年こそはと奮起する新米同心ズは、元旦早々、砂金の謎を追うために先輩たちを出し抜いて甲州へと向かった。・・・のだが、途中の茶屋には平然と一服する剣さん(新年早々、浪人姿に変装:天知茂)。黒装束の連中と思われる物騒な男たちを斬り捨て、不審な商人・万力屋(砂塚英夫)の用心棒になった一行は、富士山が後ろにそびえる原っぱでウエスタンかつお色気ムード満点の赤ブルマの女軍団に銃で脅され、砂金の袋と引き換えに売られてしまう。 温泉につかって(もちろん色白お肌の剣さんも一緒)小綺麗になった4人は、女軍団の元締めのようなお女中・楓(塩沢とき)の前に引き出された。 「そなたたちがここへ来た理由はただひとつ、子作りのためじゃ」 武田の里では男子がおらず、屈強な男を万力屋の仲介で捕まえては1年間子作りに励ませて殺すという習慣を続けているのだとか。ノルマはひとり3人、などと言われて辟易する新米たちをよそに、極上品の剣さんは武田の残党の姫君・咲良子(山村葉子)の相手をすることに。万力屋の遠からぬ裏切りを予測した彼は咲良子に里を降りるよう勧めるのだが、世間知らずの彼女から良い返事はもらえない。 朝になって合流した半さん(坂上二郎)・兵さん(藤村俊二)も交えて女の園でまったりしているうちに、居候ゆえ遠慮したらしい(実は金が無かった)伝さん(若林豪)は、万力屋が勤番支配・滝川出羽守(中山昭二)とつるんで女たちから武田金だけを奪ってしまおうと画策していることを知り、剣さんらと合流。かくして江戸の牙は、幕府の軍隊を引き連れて女軍団とドンパチを繰り広げ始めた出羽守をターゲットに定め、新年早々存分に暴れまくるのだった。 そして、女軍団は人知れず解散し、それぞれが江戸の町で新しい暮らしを始めていた。そう、咲良子もまた…。 *もうどうにでもしてと言いたくなるようなハチャメチャな展開はたぶん新年ならではだからだろう(と思いたい)。 *咲良子姫は後の回で小料理屋の若女将として登場(したはず)。世間慣れしてなさそうな台詞回しが逆に新鮮なのかどうなのか。
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2007,03,24, Saturday
DVD-BOXの1と2のそれぞれ下巻には、特典映像として予告編&データ集(人物紹介・悪人列伝・事件の女たち)の他、ふたりのメイン監督(池広一夫、松尾昭典)のインタビューが収録されていて、『天知さんの思い出』『殺陣について』などいくつかの項目についてのコメントが聞けるのがお得である。
Part1(DVD-BOX1下巻)では、#2「戦慄!蛇目傘の女」#3「阿片!墓標なき男」など計5本を担当した松尾昭典監督のインタビュー。重さと寂寥感を強く出せるということで、天知キャラが一番魅力的だったとのこと。(天っちゃんは)普段ものすごく無口だけれど、寂しさの中に強さを秘め、それを爆発させることができる人で、殺陣に関しても、二刀流は踊りのようにみえるものの(←これは池広監督も同じようなことをおっしゃっていた)実はとても力強かった、というようなことを語っておられた。 *二郎さんとおひょいさんの殺陣には、どちらも難しい武器だけに苦労したそう。それから若林さんは笑い出すと止まらないらしい。 *天っちゃんの醸しだす寂寥感に惹かれていたらしい松尾監督は、「江戸の牙」と同年(1979年)に「白昼の死角(TV版)」を、さらに翌年(1980年)には、寂寥感の代名詞ともいえる「非情のライセンス」第3シリーズで2本ばかり監督を請け負っている。
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2007,03,23, Friday
「悲哀 北から来た男」(1979年・S54・12月25日OA)
ある晩、初老の渡世人・政五郎(宮口精二)が本所方を訪れた。15年前に佐渡送りとなった際に一杯のお茶と温かい言葉を与えてくれた剣さん(天知茂)に折り目正しく礼を言いにきた彼の気がかりは、生き別れた妻子の消息について。 折りしも名のある大店が抜け荷の罪で闕所(=けっしょ・没収刑)となる事件が続いており、不審に思った(あるいはまた変装好きの血が騒いだ)剣さんは、兵さん(藤村俊二)と共に町人スタイル(指物師というふれこみ)で捜査を開始する。潜入した長屋には、偶然にも政五郎の娘・おるい(服部妙子)がいた。養父の元で幸せに暮らしており、まもなく祝言を挙げる予定だという彼女を見て、剣さんは政五郎に親子の名乗りをせず江戸を去るよう諭す。 ところが、おるいのフィアンセ・綱吉(滝沢双)が何者かに殺され、下手人として彼女が捕らえられてしまった。娘の危機を見かねて政五郎は「自分が殺した」と偽って出た。図らずも番屋の牢内で再会を果たした父娘だったが、あんたなんか父じゃないと、15年の恨みつらみ(母は苦労を重ねて死に、自分は罪人の子だといじめられ云々)をこめて涙声で詰るおるいちゃん。彼女の言葉を黙ってこらえる政五郎の目からは涙が幾筋も。正装で物陰からうかがっていた剣さんもいつしかウルウル。「政五郎、涙はひとつぶでも重さがあるっていうが、……おめえの涙は、……重すぎるぜ……」(剣さんの涙もごっつ重そうだ) 綱吉の死は、没収された土地で甘い汁を吸いたい備前屋(小ボス:河村弘二)、闕所奉行・島崎(中ボス:外山高士)そして“闇の御前”の異名をもつ権力者・柿沢梅堂(大ボス:幸田宗丸)の悪巧みに利用されたせいだと突き止めた牙メンバーは、リニューアルしたテーマ曲(女性コーラス入り)をバックに景気良く鬼畜の大悪党どもを闇に裁いて地獄へ送った。 翌朝。江戸を去る政五郎の背に、おるいちゃんの声がかぶさった。「おとっつぁん・・・!」ようやく分かり合えた父娘の情愛にほんわかしながら、剣さんは政五郎に力強く頷いてやるのだった(そしてそのままシングル・バージョンのEDテーマに)。 *シングル(EP)盤の「ふたりづれ」はTVサイズよりもほんのりまったり気味? *女性コーラス入り(♪らいららいららい〜♪)テーマ曲、初お目見え。しかし今回は対ラスボス時のスローテンポの曲がなくて残念。 *伝さん、控えめに清め刀(#1「炎上!赤馬を斬れ」の映像の再利用か?) *「てめえら鬼畜の大悪党」の前に、どれほど悪い奴なのか具体的なひとことが入るようになった。 *次回予告で新米同心ズと志乃さんを引き連れた剣さんが「来年もよろしくお願いします」と言ってくれる。
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2007,03,21, Wednesday
「純情 魚河岸の政」(1979年・S54・12月18日OA)
棒手振(=ぼてふり)の魚政こと政吉(せんだみつお)は本所方の熱血サポーター。彼らの悪口を言う連中に威勢の良いタンカをきっていたかと思えば志乃さんの前ではナハナハ、やたらと賑々しいこの男が災難に巻き込まれたのは、本所方の宴会に参加してカッポレを披露した夜のことだった。 本所からの帰りに出会った友人・伸次(関戸純)と飲み直し、悩み相談に応じていた政吉は、別れるなり見ず知らずの男の死体にのしかかられてビックリ仰天。しかもその死体には、自分の銘入りの包丁が深々と突き刺さっていたのだ。 すべては最近流行りの水茶屋(実は売春宿)「銀猫」の大ボス・庄兵衛(山岡徹也)が、長屋の立ち退きを巡って対立していた大家を殺すために仕組んだワナだったのだが、そんなことは知る由もない政吉は捕まるのを怖れて逃亡。事件を知った剣さん(天知茂)たち本所方の面々は徹夜で政吉を探す。 小屋で震えていた政吉。とりあえず俺と来いという剣さんに「連れて行かれるくらいなら死ぬ!」と抵抗したが、志乃さんにほだされその気になりかける(彼女のシリーズ屈指の見せ所)。しかしまもなく現われた定町廻りの坂崎(小林勝彦)に身柄を拘束されてしまった。 無実を証明してくれるはずの伸次に、会ったことすら否定され(そりゃ彼は庄兵衛とグルだったのだから仕方ない)、ショックで番所を飛び出した政吉は、剣さんの目の前で坂崎(「銀猫」にワイロを貰っている)にばっさり斬られて事切れた。坂崎を焼き殺しそうな目つきで睨んだ剣さんだがその場は政吉の遺体をお姫様抱っこして運ぶだけにとどめ、改めて「銀猫」へ乗り込むと、事が上手く運んで喜ぶ庄兵衛と手下、さらにワイロを貰ってウハウハしている坂崎を皆殺しにするのだった。 *二刀流を使うまでも無く抹殺。 *いつもは「何者だ貴様ら!」→「閻魔様のおつけえよ」のパターンなのだが、今回は最初から顔と身分がバレバレなので相手に「何をどぶさらい役人が!」とつっこまれていた(間髪を入れず「おっと俺たちゃな、 閻魔様のおつけえよ」と言ってニヤリと壮絶な笑みを浮かべる剣さんがこれまたカッコいい) *半さん、兵さんがなぜか伝さん化<支度シーン *今回の伝さんは紫のたすき。兵さんのたすきも色っぽく変化。
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2007,03,19, Monday
「宿敵!炎の対決」(1979年・S54・12月11日OA)
常磐津の師匠・文字春(田坂都)と旅籠で一夜を過ごしたお兵さん(馴染みのおひでさんはどうしたの:藤村俊二)。朝食前に本所方へ戻った彼の耳に、当の旅籠で朝の蜆汁があたって多数の死者がでている、との知らせが舞い込んだ。 幸い文字春は命を取り留めたが、死者は11人にも上った。死因が食あたりではなくカンタリス(=麻酔薬)による中毒死であることを突き止めた牙メンバーが薬の出所を聞き込んだところ、御典医・石井(原口剛)だけが過剰な反応を示した。そこで新米同心ズのひとり・純(京本政樹)を囮に石井宅へ向かった剣さん(天知茂)は、偶然忍び込んできた黒装束の男に出くわした。 彼は例の旅籠で見かけた元義賊・幻の長八(パパは天下の二枚目・長谷川一夫:林成年)。やっと呼び寄せた妻子を毒入り蜆汁であっけなく殺された長八は石井に目星をつけたのだが、実は張本人は、石井の未完成の薬を試してみた権力者・吉田白翁(わんこ好き:梅沢昇)だった。 口封じのため吉田の部下に襲われた石井から、邪魔な幕閣を襲うという吉田の陰謀を聞き、単身殴りこみに向かおうとする長八だが、彼に罪を犯させたくはない剣さんが「行くんなら俺を倒してから行け」と反対。同じような顔(メイク)でいちゃいちゃともみあっているうちに(*天っちゃんのメイクのお手本は長谷川御大らしいので)地下室と地上への抜け道を爆破され、二人は地下に閉じ込められてしまう。 出口を探すうちに不発弾を発見・でも蝋燭の火が消えちゃってさあ困った!と思ったら刀を天井にぐさっと突き刺し(天井が崩れたらどうするんだか)、差し込んだ光とレンズで火をつけるいつでもどこでもデキる男の剣さん、ほんの近くまで助けにきていた新米同心ズに陰謀(=寺で幕閣暗殺)を阻止するよう指示、自らは牙メンバーと吉田宅へ成敗に向かった。そこには、殺された人々の供養のために千両箱を頂戴する長八の姿もあった。 *けっこう似ていた長八の似顔絵は天っちゃん作? *今回は奉行所での調べ物は志乃さんに任せた剣さん、土下座はこりごりらしい。 *鼻で笑った翌週は明智笑いで登場した剣さん。思わずムカついて(?)「闇に裁いて地獄に・・・」のセリフ途中で斬りかかった手下は、一足先に地獄送りとなっていた。 *戦闘中、ピンチに陥ったおひょいさんをナイスフォロー。 *伝さんのリボンたすきは今日は淡い紫。 *あの皆殺しの現場から生還できたのは長八だけではないだろうか。
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2007,03,14, Wednesday
「妖艶! 密室の謎」(1979年・S54・12月4日OA)
島帰りの大工・万三(今福正雄)と5年ぶりに再会を果たし、仲良く一杯やることになった半さん(坂上二郎)。しかし別れるなり万三は複数の侍に襲われ、駆けつけた半さんに「娘に渡してくれ」と赤いかんざしを預けて絶命した。そこへやってきた定町廻りの岡村(岡部正純)は、お前がやったんだな!と有無を言わせず半さんをしょっぴいてしまう。 数日立っても半さんは返されず、奉行所へ出向いた正装の剣さん(天知茂)が2週続けて格下の同心たちに土下座をしたおかげでようやく釈放された(半さんの忠誠心急上昇)。が、万三の娘・おりょう(早川絵美)と婚約者の板前の新吉(中島久之)は彼を下手人と決めつけ、並大抵でない憎悪をぶつけてくる。 一方、とある寺の妖しい密室の中では毎日、寺社奉行・鳥居(田中浩)主催の妖しい乱交パーティーが大奥女中や坊主たちをゲストにして繰り広げられていた。この密室作りに関わった職人たちは証拠隠滅のために鳥居の部下・今西(五味龍太郎)たちに消されたが、棟梁の万三が部屋の図面を持ち出したことが判明。今西たちは娘のおりょうが預かったのではと彼女と新吉を襲うが、伝さん(若林豪)が窮地を救った。 怪我をして本所方へ運ばれた新吉を徹夜で看病する半さんの姿に、思い込みの激しいカップルはようやく自分たちの過ちに気づき、めでたく和解と相成った。赤いかんざしの中から出てきた図面を頼りに密室を突き止めた牙メンバーは、乱交ゲストたちを閉じ込めたままあっさり爆殺(#1の映像を再利用)、その足で寺社奉行宅へ乗り込む。今回やけに踏んだり蹴ったりだった半さんにラスボスの鳥居の始末を任せた剣さん、上々の首尾に満足気に頷くのだった。 *半さんメインの回だが、剣さんも頼れる理想の上司を体現していて見どころ多し。 *キメ文句の冒頭で「フッ、 閻魔様のおつけえよお」と鼻で笑った剣さん、いきなり二刀流水平構えで余裕の戦闘態勢。しかしラスボスの田中さんは体格も良いしかなり強そうだった(勝てないから半さんに譲ったのかと一瞬思った) *伝さんのリボンたすきはブルーに逆戻り。単なる気まぐれ?
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2007,03,13, Tuesday
「壮絶!同心志願」(1979年・S54・11月27日OA)
若い娘を夜の使い捨てオモチャにしている小普請奉行・佐久間(今井健二)。今宵もまた、口入れ屋の上総屋(内田稔)お勧め生娘を“いたぶり楽しみ弄び、ばっさり斬って捨てる”(by瓦版)すさまじい鬼畜ぶりを発揮、殺された娘は川へと流された。 そのころ本所方では、同心株を売ってくれと迫る奇妙な男・捨松(火野正平)が居候を決め込んでいた。お手製の木彫りの十手と新米同心ズから拝借した羽織で同心になりきり、江戸の町を徘徊する捨松には、娘殺しの捜査の途中に殉職した岡っ引きの父の仇を探したいという望みがあったのだ。 やがて本所方の(見た目の)ヘタレ具合にすっかり腐ってしまい自棄になった捨松に、「同心ってのはな、同じ心、そう書くんだ」と心の繋がりを説いた剣さん(天知茂)は、一方で娘たちの変死の謎を探るため、過去帳を調べに正装して奉行所へ。定町廻りの同心たち(岡部正純さんら)にどぶ臭いだの土下座しろだの散々罵られても黙って従う鋼の忍耐力を持つ彼(眉根の皺がすべてを物語っているとはいえ)は早速黒幕を突き止める。 しかし牙メンバーの密談を立ち聞きしてしまった捨松は、単身で父の仇・佐久間の屋敷へ乗り込む。彼お手製の十手がいつもの三方に乗っていたことを志乃さん(白都真理)から聞かされた剣さんは顔色を変えて佐久間宅へ突っ走るが、時すでに遅く、4人の牙は捨松の変わり果てた身体を戸板に乗せて屋敷へ直行、彼の代りに敵討ちを果たしてやるのだった。 *佐久間宅までひとりでダッシュした剣さん。支度は整えていなかったから、また本所まで戻って(しかも捨松の遺体を担いで?)それから着替えて出陣したのだとしたらものすごい体力だな!←それは言うな *殺陣で障子ごと人を斬るシーンがあったが、最初から障子に切れ目がみえていたような?←だからそれも言うな *剣さんの羽織の紋は天っちゃんち(=臼井家)と同じ「沢潟(おもだか)」だった。 *伝さん(若林豪)の勝負服のリボンたすきがブルーからピンクに。剣さんと同じ盃で酒を酌み交わし“同じ心”を実践していた(?)せいなのか(意味不明)
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2007,03,10, Saturday
#102「真夜中の標的」 (1967年・S42年 OA)
巷で金庫破りが頻繁に起きていた。自分ちの管轄じゃないから助かったよアッハッハ、といつもながら呑気で陽気な高倉キャップ(宇津井健)はじめ東京パトロールの面々のもとへ、ガードしていた宝石店の品物が丸ごと盗まれたという不名誉な知らせが入る。店に出向いた高倉たちは、でかい高級外車でビルに乗り付けた眼光鋭い男に遭遇。彼は宝石店のビルのオーナー、百億の財を持つ三東不動産社長・相良泰介(サガラタイスケ:漢字は当て字:天知茂)だという。 金庫破りの手口は一連の事件と同じ。そのあざやかな腕前から、8年前にムショを出て行方不明となった天才金庫師・マジックの健こと黒木健二(クロキケンジ:漢字は当て字)の名前が浮上する。10年前の黒木の写真を見て高倉は驚いた(合成チックな写真にこっちも驚いた)。先程見かけた相良に目つきがそっくりだったのだ。早速調べを進めたところ、戸籍もまっとう、指紋も違うという結果になるが、高倉ひとりだけは「あの目つきが気になる」と相良=黒木説を曲げない。 そのころ相良は須藤という男を訪ねていた。新東宝の僚友(=宇津井さん)の強引な推測通り相良は元・金庫師の黒木であり、その腕を借りたい昔の仲間の須藤が、彼を釣るため手口を真似た犯行を手下に繰り返させていたのだ。もう二度と金庫は破らないと誓った相良=黒木は誘いを撥ね付け、自分を真似たチンピラ金庫師の右手を潰すが、須藤は本物の相良の実妹・信子(ノブコ:高須賀不二子)を利用し、正体を世間にばらされたくなければ協力しろと迫ってきた。 同じく仲間だった相良を間接的に死に追いやり、戸籍を奪った負い目のある相良=黒木は、信子に全財産を託し須藤の手から逃そうとする。最初は彼を憎んでいた信子も、魅惑の横顔にほだされてか良い雰囲気に。しかし須藤たちに見つかってしまい、信子を人質に捕られた相良=黒木は、金庫破りを強要される。 2重扉の厳重な金庫のダイヤルをひとつひとつ慎重に合わせてゆくマジックの健(手つきと目つきがたいそう色っぽい)。最後の扉を開ける直前、須藤は相良=黒木に銃を突きつけた。が、功を焦った須藤がうっかり非常ベルを鳴らして動揺する隙に相良=黒木は銃を奪う。両者が睨み合う最中に高倉キャップが登場し、どうも彼を見ると殺傷能力が落ちる(気が抜ける)相良=黒木は、それでもいちおう須藤を台尻でどついてから銃を高倉に手渡した。拘束された彼の背中を、信子は涙で見送るのだった・・・。 *横向きやら正面向きやら目だけやら、とにかくアップが多用されていて、「キレ者」という言葉を身体全体で表わしているかのような36〜7の天っちゃん(役設定は42歳)を存分に堪能。切ないギターのBGMも雰囲気を盛り上げていた。 *しかし『マジックの健』・・・かっこいいんだか笑えるんだか微妙なネーミングだ(ラスベガスの金庫を開けて名を挙げたのでそんな名前になったそうだが) *須藤の手下の一人、信子にナイフを向ける男にぴっちりポマード漬けの髪型&あごひげの宮口二郎さん。師匠以上にコワモテだった。
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| TVドラマ(現代劇)::ザ・ガードマン | 08:34 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,03,02, Friday
『婦系図より 湯島に散る花』(1959年・S34)
1959年といえば、『女吸血鬼』『東海道四谷怪談』の二大怪作で怪演したほか、丹波さんに縛られたり(『無警察』)インド人に苦労したり(『静かなり暁の戦場』)しながらも主役に返り咲き、そのままトップ・スタアの仲間入りを果たした記念すべき年である。その年の締めくくりに回ってきたのが、天下の二枚目の役というわけだ。 幼くして両親と死別、大学教授の酒井先生(佐々木孝丸)宅で育てられ彼の右腕となった業界の光源氏こと早瀬主税(天知茂)は、就職祝いに設けられた宴の席で芸者の蔦吉(本名=お蔦:高倉みゆき)と出会う。お猪口一杯で酔いが回った可憐な早瀬をお蔦は酒井先生公認で朝まで介抱し、そのまま二人は同棲する間柄に。芸者を辞めて甲斐甲斐しく尽くすお蔦だったが、娘の妙子(北沢典子)を自分の嫁にと考えている恩人の酒井夫妻(しかも夫人は病身)に対して、早瀬はなかなか話を切り出せないでいた。 ある日、彼らの関係がひょんなことから(妙ちゃんを狙う直助チックな悪党=河野を演じる江見俊太郎の奸計により)新聞沙汰になり、そこまで深入りしていたとは知らなかった酒井先生が大激怒。ワシのため、そして夫人のためにもお蔦とは別れてくれと迫る先生を前にして、愛する者よりも恩人との歳月の長さを重んじてしまった早瀬は、湯島天神の境内で泣く泣くお蔦に別れを切り出し、独り九州へと旅立つことに。 数ヶ月後。世界史の翻訳を無事終え名を挙げた早瀬氏上京予定か、と書かれた新聞を見たお蔦は駅へ駆けつけるが、待てど暮らせど早瀬の姿は見えず(ガセだった模様)、とうとう高熱を発して病の床についてしまう。偶然立ち寄った妙子は瀕死のお蔦の様子に心を痛め、早瀬との仲を許すよう父を説得。だが、駆けつけた父娘の前で、先生に早瀬の姿をみながらお蔦は息を引き取った。 一方、花畑でお蔦と祝言をあげている最中にお蔦が消えてしまう、という不吉な夢をみて胸騒ぎに襲われていた九州の早瀬は、ほどなく受け取った酒井からの電報に打ちのめされ(画面がぐるぐる回ったりびよ〜んと伸縮したりして彼の衝撃度をビジュアル化)、お蔦への真実の愛を貫かんと、風吹きすさぶ断崖から身を投じるのだった。 *カメラワーク(ツーショットだと大抵早瀬がうなじ側)といい小道具(ピンクのひらひら枕がやけに強烈)といい、お蔦=高倉みゆきさんをいかに綺麗に撮るかにウエイトが置かれていた感のある作品とはいえ、早瀬=天っちゃんもなかなかの二枚目ぶりを発揮していた。だが優男であろうとするあまりか、特に湯島天神のくだりなどお蔦がらみのシーンでの台詞回しが普段以上に軽く(可憐に?)なっていたのがイタかった。ラスト、飛び込む時の独白なんかすごくうまいのに、メロドラマなシーンはどうにも人を赤面させる天っちゃんだ。 *お蔦の後輩芸者役で三原葉子ねえさん。着物でもボリュームたっぷりだ。脱がないが。 *リピートしてみたらラストの独白もやっぱり恥ずかしかった。
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| 映画::新東宝 | 10:27 PM | comments (x) | trackback (x) | |