2007,11,16, Friday
#86「兇悪の甘い肌」(1975年・S50・5月22日OA)
OPで軽妙なナレーションを披露してくれた右田刑事(左とん平)は、夜の街でスナックの看板をぶっこわしていた酔っ払い3人組に逆ギレされ、喧嘩沙汰になりかけたところをいつもいいときに出てくる鞍馬天狗(右田談)・会田(天知茂)に救われた。看板を壊された店のママは会田の旧知で、銀座でも高級クラブを任されている美人ママの輝子(北川美佳)。後日銀座へ会田と共に顔を出した右田は、岩手から出てきたばかりの新人ホステス・ヒカル(中島公子)とすっかり意気投合していい感じ。 一方、代理ママのジュン(市地洋子)は営業部長の成田(大村文武)と共謀して輝子ママの蹴落としを画策していた。輝子ママに入れ込むあまり身上を潰し、支払いがこげついている工場社長の石原(高品格)を利用することを思いついた成田は、「ママには新しい男が出来たんですよ。ほらあのちょっと苦味走ったいい男」とママと仲良く飲んでる会田を指さし石原のハートを刺激する。ジェラシーに燃えた石原は猟銃を引っ提げマンションに赴き、ママらしき人影をばーんと狙撃。しかしそれはママの同居人で右田といちゃついていたヒカルちゃんだった。 行方不明になった石原が成田に匿われていると察した会田ら特捜部は一芝居打つことに。ある夜、輝子相手に「今夜ママのベッドルームに寝かせてくれないかな」と甘いムードで直球勝負に出た会田に成田の耳はダンボ状態、さっそく石原をけしかけて隣ビルの屋上から輝子ママを狙わせた。輝子のマンションでもその気まんまんな会田、本気なの?と訝しがる輝子ママを「もっちろん!」(「っ」に注目)と肘で小突き、電気をつけっぱなしにしたりカーテンを開けたりと怪しげに立ち回る。その間に四方刑事(今回はパシリ仕様:葉山良二)がマネキンを持ち込んで準備OK。土壇場で腰が引けた石原の代わりに銃を握った成田を現行犯で逮捕した。 成田と共謀しながら彼を踏み台にしてママの座についたジュンにも逮捕状をプレゼントした会田は、右田や四方を連れて輝子のスナックで飲み明かすつもりでいた。しかしママの地位を失った輝子は店で首を吊っていた。「この人は何も悪いことをしていないんだ…!」会田の汗だくの心臓マッサージ&人工呼吸により幸いにも蘇生した輝子。後日、今までとはうって変わった派手な衣装で○円ぽっきり系の店へと入っていく彼女に、会田は女の哀しさとしたたかさを垣間みるのだった(昭和ブルースは1番)。 *必死でマッサージする会田のそばで「か、代わりましょうか?」とうろうろしている右田刑事の姿のおかげで、珍しくラストで笑いがこみ上げた。死亡したヒカルちゃんは可哀想だったが、全編を通しての軽いノリも異色。 *目の前でヒカルちゃんが殺されて傷心の右田を「ばかもーん! 非番とはいえ刑事が何をしているんだ!」とさんざん怒鳴りつけていた会田だが、肝心の自分も輝子ママと食事に出かけていたことが判明。お互い様ってことで。 *輝子ママのマンションの壁紙は、明智探偵事務所のそれと同じ(白黒の鍵盤めいたやつ)。天っちゃんの好みか?
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2007,11,13, Tuesday
#85「兇悪の街角」(1975年・S50・5月15日OA)
不妊手術を施されたコールガールが次々に不審な死を遂げていた。会田(イエロー・シャツにゼブラ柄?ネクタイ、黒ジャケットが定着:天知茂)ら特捜部はコールガール組織のトップ、そしてその奥の黒幕を暴くため、紅一点の江沢刑事(江波杏子)に潜入捜査を担当させる。 江沢は何者かに襲われた夜の蝶・ミッチこと岬明子(高林由紀子)に接触、不妊手術で体調を崩し入院した彼女から組織の内情を聞き出そうとしたものの、看護婦の不用意な一言から身分がばれ、逃げられてしまう。 明子をマークする江沢の正体が組織に感づかれることを危惧する会田は、深追いをしないよう彼女に忠告するのだが、かつて母が夜の女だった江沢にとって、女たちを搾取する組織への憤りは大きい。そして明子が同僚に金で売られ、無理が祟って病死したことを知るや否や怒りは頂点に達し、あわや不妊手術、というピンチもなんのその、現れた組織のトップ・太田(神田隆)の首をへし折らんばかりに押さえ込むのだった。 手術を施していた医者が獄中で毒入り弁当を盛られ死亡したことで、「今度はあんたに来たよ」と会田にわざと弁当をちらつかされた太田は慄きながら全容を自白した。母、そして明子が手放さなかった女の身だしなみアイテム・手鏡を母の墓前に供えて祈る江沢。そこへ現れた会田も、娘を危険な任務につけたお詫びにと静かに手を合わせた。 組織の悪事は明るみに出た。しかし、哀しい夜の女たちは今日もまた街角に立ち続ける――(昭和ブルースは1番) *右田刑事といい江沢刑事といい(会田は言うに及ばず)、特捜の人々は生い立ちが強烈だ。…強烈といえば、明子を金で売り飛ばした女の頭を洗面所に突っ込んで吐かせたり太田をもう少しで絞め殺しそうになったり、行動が会田化している江沢刑事も迫力満点。 *最後のお墓のシーンは思わず「あっしの命、使い捨てにしておくんなせえ」ってなセリフが浮かんでしまうようなシチュエーションだった(『昭和おんな博徒』参照) *高林さんは「大草原の小さな家」のビードゥル先生・「チャーリーズ・エンジェル」のサブリナの声優さんらしい。 *神田さんの部下に中田博久さん。 *チェックのジャケット&黒とっくりの四方さん(葉山良二)ももれなくついてくる。
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2007,11,11, Sunday
#84「兇悪のバラード」(1975年・S50・5月8日OA)
自宅マンションにて、師弟で仲良く一杯やりつつ“コンビナートから石油流出”というニュースを見ていた会田(天知茂)と坂井刑事(宮口二郎)。お茶漬けでも食うか、と外に出た二人は、ふらふらと歩いていた女性がミキサー車に礫かれそうになる現場を目撃。「キネンさん、助けて・・・殺される」女性はそう呟いて失神した。 睡眠薬を飲んでいたらしいその女性は、奇しくもニュースで報じられていたサウス石油の秘書・矢代圭子(木村夏江)。命に別条はなかったが、翌日彼女は病院から脱走、婚約者・柏倉喜年(和崎俊哉)に匿われる。 圭子は部長・高垣(水島弘)と建設業者との内緒話を立ち聞きしてしまったせいで会社を追われ、今度は命を狙われ始めていたのだ。故郷の母が自分の会社の重油にまみれた魚を食して死んだことに呵責を覚える彼女は、会社の罪を表沙汰にしようと、見聞きしたことを記したノートを万が一のためにと柏倉に託す。 ところがこの柏倉こそが、上司(細川俊夫)から圭子の監視を命じられ、苦悩しながらも中毒性のある睡眠薬を手渡したり、真夜中に無言電話をかけたりして彼女を精神的に追い詰めていた張本人だった。無心に恋人を頼っている圭子のためにも、貴様の彼女への愛をオレは信じたいんだ!と吠えるフェミニスト会田(とはいえ圭子さんの頭を浴槽に突っ込んで目を覚まさせるという荒技も披露)の強い説得によって柏倉はすべてを告白。だが帰宅するなり柏倉は狙撃され、会田と坂井は再び襲われた圭子を保護し、首謀者たちを数珠つなぎに(42人だったっけ)逮捕した。 「あの人はほんとに私のことを愛していたのかしら…」正気に戻っていぶかしむ圭子に、会田は柏倉が最後まで守り抜いたノートを返して疑念を払拭してやるのだった(昭和ブルースは1番) *公害が社会問題になっていた当時のタイムリーな作品。どろどろの黒い海、腸をさらした魚たちなどのリアルな画像が会田の顔と一緒にフラッシュバックされる場面がいくつかあって、恐ろしさを助長していた(会田の顔の、ではなく公害の恐ろしさを)。 *ガス自殺に見せかけて殺されそうになっている圭子のマンションへ駆けつけた会田と坂井。鍵の掛かったドアに顔を近づけてガスの匂いをかぎ取った会田は、坂井を下がらせて銃をぶっ放しドアを開けた。爆死する気か?(その前のシーンでは真夜中にピッキングして侵入していたくせに←それもどうなのか会田よ)
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2007,11,09, Friday
#83「兇悪のプレゼント」(1975年・S50・5月1日OA)
むかーしむかし、あるところにガードマンの島崎という男(常田富士男)がおったとさー(昔ばなし調)。 天下り官僚・近藤(伊豆肇)のやばいネタが詰まった黒革の手帳を同僚の久米(クレジットで「岡“郎”正純」になってたのはあんまりな岡部正純)からしばし預かったのはいいが、欲を出した久米は近藤が雇った総会屋・桜井(香川良介)の手下にバらされてしまった。怖くなった島崎は手帳をさっさと手放そうとするものの、保育所に預けっぱなしの息子が欲しがっているD51を買いたいがためにちょっぴり小遣いが欲しくなり、刑事の目を逃れて近藤に取引を持ちかける。しかし、内緒で息子に会いに行った際にうっかり手帳を落としてしまい、あわや久米の二の舞いに…。 手帳は島崎の息子が拾っていた。不幸な生い立ち(幼いころ父が死亡、母は出て行ってしまい親戚たらい回し、織物工場で働かされていた小6で母の死を知り家出、泥棒になろうとしたときに保育所の子供に救われる)を背負う右田刑事(左とん平)は以前から保育所の馴染みで、頑なに父を庇う息子を説得して手帳を手に入れ、桜井たちとの取引の場に向かう。 ところが島崎が捕えられているせいで交渉は難航、右田の優柔不断さに業を煮やした息子が飛び出してしまい、手帳も息子も相手方というさらにマズい状況に陥った。そこへ島崎が決死の体当たり、銃弾を受けながら息子を救い出した。 島崎は病院で息を引き取った。ひとりぼっちになった息子のため、右田はD51を求める。だがケタを間違えていてピンチなところを、大物サイドで動き回っていた会田(天知茂)の太っ腹な全面援助によって無事ゲット、保育所に持っていってやるのだった(昭和ブルースは1番) *右田さんがメインの回。誰かと違って「おじちゃんの嘘つき!」と言われ慣れていない彼のクライマックスでの苦悩ぶりがこのひとらしくて良い(会田だったらまず撃っちゃうだろうからなあ) *その会田の出番はゴルフの打ちっぱなしで近藤に接触、ラストで桜井たち相手に新東宝仕込みの回し蹴りを披露したくらいで激短なのだが、無言でお札をさっと差し出す小憎らしいエンディングで元はとれたような気がする。
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2007,11,04, Sunday
『アジャパー天国』(1953年・S28)
貧乏アパートの住民たちの悲喜こもごもが♪あなたはアジャー!で私はパーよ〜♪(歌:伴淳さんと泉友子さん)とほのぼのムードで描かれているこの作品に天っちゃんが出ているとの情報をききつけ、早速DVDを鑑賞。 キャバレーで働きながら代筆に勤しむズンさん(伴淳三郎)のシラノ的恋愛、旦那(田中春男)を待ち続ける子持ち婦人(清川虹子)に惚れているズンさんの兄貴・金さん(柳家金語楼)の恋の顛末、近所の富豪(婿養子で奥さんの尻に敷かれっぱなしの花菱アチャコ)のお嬢様(星美智子)と貧乏学生(高島忠夫)の駆け落ち・キャバレー社長の横槍による誘拐事件、などが繰り広げられるわけだが、さて肝心の天っちゃんはというと、キャバレーの場面でこれか?と思われるボーイを発見(たぶんこっちの方が分かりやすい)。ノークレジットだからこんなにちっちゃくても仕方がないのか、田中春男さんにぶつかられるリーマン風のこの人物もそうか? 自信ないなあ…と心眼全開でチェックしていたら、アパートの住民扮するチンドン屋を眺めるちょっぴりアンニュイな青年に出くわした(全身像はこちら。笑顔もあり)。 あとはラスト近くで社長さんに「おいボーイ、ビール持ってこい」と呼ばれた時が画面最大(当然、セリフは一切なし)。ポスターにもでかでかと載っている同期の高島さんを見てさぞ複雑な心境だったろうなあと推察するが、そんな朴訥な学生役なんて似合わないんだから仕方がない。頑張れ天っちゃん、ギャングへの道はもうすぐだ!←あと1年半 *こちらもクレジットには無かったが、奥様・森悠子さんも出演されていた(こちら。中央のバタやん=川端義夫の左にいる黒いワンピースの女性がそうかと)
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2007,11,03, Saturday
#81「兇悪の武者人形」(1975年・S50・4月17日OA)
萩野部長刑事(加藤嘉)は矢部警視(山村聡)と同期ながら、生涯一刑事として道路公団と建設会社の汚職を追い続けていた。公団の牧村次官(垂水悟郎)と建設会社社長・沼崎(高木均)の癒着の証拠を掴もうと奔走する彼を、会田(天知茂)と右田(左とん平)がサポートに回る。 秋に退職を迎える萩野の唯一の心の支えはかわいい孫息子。こんど武者人形(五月人形)を買ってやるんだと嬉しそうに話す彼だが、とんでもない災難に巻き込まれる。偶然再会した元刑事の先輩・根本(天王寺虎之助)とぐでんぐでんになるまで酔っ払った際に社長の息子のスピード違反の取り消しを約束させられたことを思い出しシマッター、となったところへ「おじーちゃん、おっきい武者人形ありがとー!」と身に覚えのない孫からの電話。根本の勤め先の親会社がターゲットの沼崎建設で、最初から萩野を陥れるために仕組まれたことだったと判明したときには、すでに萩野は喜ぶ孫を失望させたくないあまりスピード違反の取り下げを申し出ていた。 理由はどうあれ、萩野の行為は収賄を受けたとされても文句はいえない。捜査から外され、肩を落として孫の家から武者人形を引き取りに向かった萩野の姿をみて、会田は怒りをたぎらせて黒幕の一掃に精を出すのだった(昭和ブルースは4番) *牧村が呼んだコールガールを古典的な「ハンカチ落ちましたよ」手法で垂らし込み、ダンスでねっとりと蕩けさせていたプレイボーイ会田、ひさびさに本領発揮か。
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2007,11,03, Saturday
#82「兇悪の入試」(1975年・S50・4月24日OA)
住み込みで新聞配達をしながらエリート私立・東都大学を目指す山上広志くん(田口和政)。既に2浪している彼を案じて国許から上京してきたおかあちゃんが、大学を食いものにしていると悪評高い名誉学長で弁護士の松野健太郎(山形勲)の後援会に入ったと知って機嫌が悪い。さらに新聞配達に行った松野家の前で、同級で先に東都大生になった大和田正樹(速水亮)にまるっきり無視されたことにもプライドが傷つけられまくりだ。 一方、なにかとキナ臭い松野をマークしていたものの確たる証拠が掴めず、ヤケ酒飲んで寝坊していた会田(天知茂)は、「松野の孫娘が誘拐された!」という矢部部長(山村聡)からの電話で起こされた。橘警部(渡辺文雄)らと松野邸に急行すると、誘拐犯・大和田は警視庁や新聞社にも電話をかけて人を集め、孫を返して欲しければ自分の悪事を世間にさらせと脅してきた。 実は松野は、後援会に入った受験生の親たちから入学への便宜を図る名目で集めた金を、大学側には何の働きかけもせずにすべて自分の懐へ入れていたのだ。そのからくりを知り、裏口入学のレッテルを張られたまま大学にいることにいたたまれなくなった大和田の決死の訴えに、会田たちはマスコミの面々のバックアップを得て松野を厳しく追求してゆく。 孫娘の命には代えられず、松野は自分の罪を自白した。それを聞いてなおみちゃん(孫)を離し、静かに投降する大和田。そして山上くんは今日も予備校通いに精を出すのだった(昭和ブルースは1番) *電話には服(=カバー)を着せてるくせに自分はハダカ&金鎖でおねんねしている会田の寝起きシーンが登場。なんのサービスだか。 *誘拐犯に悟られないように(実際は警官もマスコミも大歓迎な犯人だったのだが)馴染みのバーのホステスと松野邸に入り込んだ会田。ガス管の調査員に扮していた捜査1課の面々なら分かるが、カモフラージュになっているのかいないのかまったくもって不明だった。 *仮面ライダーXの翌年だったせいかどうか、なおみちゃんは誘拐犯・速水さんにえらいこと懐いていた(ちなみにラストに会田に抱っこされたときはけっこう緊張していたような)。
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2007,11,02, Friday
朝日新聞縮刷版で、データベースになかった出演ドラマを発見。
土曜劇場「渇いた牙」(1961年・S36年 5月20日OA)フジテレビ 20:00-21:00 原作:佐川桓彦 出演:河野秋武、矢代京子、天知茂、川喜多雄二、藤原釜足、高城淳一、野々村潔、綾川香、瀬良明、高野恭明 (縮刷版の記事よりあらすじ引用) 『宮田刑事が逮捕した凶悪犯人仲上鉄太郎は死刑の判決を受けた。刑の執行を待つ鉄太郎の行いは日増しに狂暴となり、自分を捕えた刑事を連れて来いといって騒いだ。拘置所を訪れた宮田に彼は悪態の限りを尽くした。しかし宮田が人間が人間を殺してよいのかと問い詰めた時、彼の理性は目覚めた。そして同じ死刑囚の中に無実の罪に泣いている男のいることを告げたのだった。』 *宮田刑事の年齢設定にもよるが、クレジットの順番を考えると天っちゃんが凶悪犯の仲上だったのだろうか?なにしろ刑事・凶悪犯・無実の罪に泣く死刑囚、どれでもどんとこいなだけに配役が分からないのが少々もどかしい。 (2007.11.3追記)原作を読んでみた。 宮田刑事は年配で仲上は30代、「無実の罪で泣いている男」は大学生(20代)だったので、天っちゃん=仲上である割合はかなり高い。金と船欲しさに元勤め先の船長と乗組員を殺した凶悪犯・仲上は、宮田さんの尺八の音色で性根を入れ替え、独房で小鳥を飼いながら命の大切さに目覚めていく。そして処刑の日が迫ったある日、宮田さんの配慮で別れた妻と娘が訪ねてきてくれて、涙ながらに幼い娘を抱っこして子守唄をうたうという場面もあって、そのままドラマ化されていたならさぞ見ごたえがあっただろう。 ちなみに「渇いた牙」とは仲上の遺書の中の言葉。自分が最初もっていた毒の牙が宮田刑事や小鳥たちの優しさに触れて徐々に渇き、すっかり抜け落ちてしまった…と、心穏やかになったときに死刑台に上っていく最後が泣ける。 *1966年に実在の死刑囚の手記や記事を追加した「されど死よ愛と共に」(「渇いた牙」改題)が刊行されている
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2007,10,30, Tuesday
#80「兇悪の生証人」(1975年・S50・4月10日OA)
弾三郎(通称サブちゃん:北島三郎)は城北署のヤンチャ刑事。情婦・良子(水原麻記)に美人局(=つつもたせ)をさせているチンピラやくざの西山(内田勝正)に正義の鉄拳を振いつつ「もうこんなことやるなよ」と優しく諭してやる人情派でもあるのだが、ある晩、ストライプのシャツにストライプのスーツ(おまけに眉間にも横ストライプ)をまとった見るからにいけすかない男(=会田:天知茂)が強引に西山を引っ張っていってしまった。 良子と後を追った三郎は、彼が特捜の刑事であること、西山がとある代議士の転落死に関わりのある5人のうちの1人であることなどを知る。会田に協力を依頼されてまんざらでもない三郎だったが、西山はふたりの目の前で射殺されてしまう。おまけに残りの証人たちもガス中毒で4人ともぽっくりあの世へ送られてしまい、後手に回りっぱなしの会田たちに矢部部長(山村聡)はたいそうご立腹。 三郎は、証言されてはマズい神崎(富田仲次郎)を長とする城北会の連中が仕組んだと睨んで単独で神崎を拉致、強引に自白させたのだが、死んだヨメさんにそっくりという良子を人質にとられてしまい身動きがとれなくなる。仕方なく神崎を返し、会田たちに沈黙を守る三郎。だが会田が良子を逮捕し取り調べたところ、大金に心が揺れて三郎を騙したのだと涙ながらに真相を打ち明けた。 ホの字だった良子に裏切られたと知りヤケになった三郎は町でチンピラをボコボコにのしたあと(自分もけっこうボコボコになりながら)城北会へと乗り込み、神崎を締め上げた。四方(葉山良二)と共に三郎をずっとマークしていた会田はナンバー2(上野山功一)の銃弾から彼を救い、後日入院先でまだふてくされている三郎に、義兄弟の杯ならぬリンゴ半分を素手でパカッと割って笑顔で差し出すのだった(昭和ブルースは3番) *小粒ながらきびきび動き回る賑やかなサブちゃん(特別出演)が堪能できる回。彼に花をもたせようとするあまりか、珍しく会田たち特捜がヘマの連続で矢部さんに怒られまくるというコメディタッチ。 *あんまり後手に回るのでヤケ酒でも飲んでたのか、酔っ払ってちょっとふらつきながら矢部さんに呼ばれた会田。サブちゃんの暴走をきいてすぐさま後を追い車中で一泊したようなのだが、翌朝あらわれたときは髪の毛ひとつ乱れていなかった(のはともかくとして、飲酒運転だよなあ…)
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2007,10,29, Monday
#79「兇悪の炎」(1975年・S50・4月3日OA)
町屋界隈を見込み捜査中の会田(まだトレンチ着用の天知茂)は偶然、ステージ歌手のジョージ・川井(立花直樹)を刺した直後の主婦・斉藤芳江(原知佐子)と鉢合わせた。ジョージのファンである娘の光子(石川えり子)がそっくり貢いでしまった芳江の大事な両親の遺骨探し・供養のための防空頭巾貯金20万を取り返そうと揉みあってのことだった。 ジョージの傷は浅かったが、芳江はそのまま行方不明に。光子から事情を聞き、“戦争”“空襲”のキーワードで寝てた子が起きてしまった(←橘さん談)会田は、東京大空襲の際に亡くなった両親の遺骨を探しだしたいと思いつめていた、という芳江に思いっきり感情移入、矢部部長(山村聡)に休暇届を出して、戦争を知らない14歳・光子を連れて消えた彼女の足跡を追う。(「お前の過去が過去だけに今度のセンチメンタルジャーニーは辛いぞ」と会田をやんわり心配してあげてる矢部さんがいい感じ)。 慰霊塔を訪問したり、空襲で娘や兄弟を亡くした人々(丹阿弥谷津子さんら)の悲惨な体験を聞いたりするうちに、30年前の真実がいまさら何よ、とうそぶいていた光子も「戦争なんて大嫌い…!」と叫ぶようになる。そこへ、ビルの解体現場から空襲当時のものらしい白骨が2体見つかったとの知らせが舞い込んだ。芳江は必ず来るはずだと確信した会田は光子と共に現場へと向かうと、はたして芳江はそこにいた。 その白骨は別人のものらしかったが、同じく犠牲になった者に変わりはないと供養を申し出る彼女の両親の遺骨への渇望は和らいでおり、涙ながらに光子に謝った。そしてそんな芳江に手錠をはめた後、おそらくこれを言わんがために彼女を追ったのだろう会田は、静かに声を掛けるのだった。 ――私の両親も広島の原爆で死んだんだ。やはり、どこでどうして死んだのか影も形もない。もちろん、骨もね…(昭和ブルースは1番) *非ライの“重さ”は、背後に戦争の影がつきまとうからなのかもしれない。主人公の設定といい、これほどまでに「戦争」の文字が重々しく圧し掛かる刑事ドラマってのは類をみないのではないだろうか(だからその設定が消えた第3シリーズは物足りないのかもなあ…)実際の映像がらみの体験談、「君のような少女がイカのように死んだんだ…!」などの生々しいセリフが胸に迫る。エンディング手前のいつもの泣けるBGMで芳江と光子の涙の抱擁、そして会田の言葉が終わると昭和ブルースのイントロ、あげくに光子の「おかあさーん!」、3段構えで涙腺を刺激されまくった。 *原作にも「兇悪の炎」という作品があるがまったく別モノである(本放映時にはまだこのタイトルの話は無かったのかも)
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