■ADMIN■
ADMIN ID:
ADMIN PW:
■CATEGORIES■
■POWERED BY■
BLOGN(ぶろぐん)
BLOGNPLUS(ぶろぐん+)
■OTHER■

首無し島
首無し島(1978年・S53・8月20日OA)

ある夏の日、流人の首を村人が落としたという伝説のある初根島へ静養に訪れた北川駿(白いよれよれ帽子&ラフなカーキ色Tシャツの天知茂)。「今夜は晩飯にありつけないだよ。首吊りの始末で忙しいから」着くなり変てこな仮面を被った男・河原権次(谷啓)からガチョーンな出迎えを受け戸惑っているところへ、スケッチブックを持った若い女性(五十嵐めぐみ)が助け舟を出してくれた。で、お嬢さん、あなたは。「わたし、塚原みどりです。1ヶ月前までエーゲ海でコバルトブルーの海を描いてました
「こりゃあ退屈しないで済みそうだ」至極まっとうなコメントを口にした北川だが、彼女はムクレて行ってしまった。

ともかくセンパイお勧めの宿を見つけ、部屋いっぱいの夕陽を満喫していると、宿の小山のようなメイドさんの悲鳴が。物置で下宿人のカモンさんが首を吊っていたのだ。駆けつけた駐在の沢田(ハナ肇)に、ホトケが使ったはずの踏み台が低すぎる件を指摘する北川。あんた一体何者? 「僕は北川駿。警視庁捜査一課の刑事です」沢田巡査、まさにアッと驚く為五郎だ。

カモンさんの葬儀の日に、酔っ払いの大作さんの死体が海から上がり、溺死ではない(=他殺だ)とまたもや北川はツッコミを入れた。“まだまだ人が死ぬだよ”そう予言めいたことを呟く権次、そして現場に流れていたという彼の十八番の口笛が気になる北川だが、事件の最中にボートに乗って颯爽と帰島した沢田巡査の息子・ハジメ(山本紀彦)は、みどりと北川の仲(って、ただ歩いてただけ)が激しく気になる様子。決死のプロポーズを一笑に付されてますます「そんなこと言って、ほんとはあの刑事が…!」と、いい年をしたおっさん(しかも相対的にくたびれキャラ)相手にメラメラと嫉妬の炎を燃やすのだった。

次にアベックの串刺し死体が発見され、北川は彼らの共通点を役所で地道に調べることにした。そして衝撃の事実を掴み、勢い込んでみどり宅へ。被害者は全員、島の所有権を持っていたのだ。そして生き残りの所有者は権次とみどり。慌てて権次を訪ねると、彼は既に何者かに襲われた後だった。「龍ヶ崎…見た…」死の間際の彼の言葉を辿ったふたりは、そこでボートを発見する。

となると最後のターゲットはみどり。僕が夜通し外で見張っていてあげるから君はお休み、と俄然頼もしく立ち回る北川にクラッときてしまった彼女は彼の肖像画なんぞをうっとり描く始末(だがどうみてもそのストライプスーツのコワモテは特捜のはみ出し刑事だよみどりさん)。しかし翌日、再び聞こえる戦慄の口笛。「北川さん、あの口笛よ・・・!」だが当の北川が上司からの電報で急に呼び出され船上の人になっているのを彼女は知らない。これはおおごとだ!

そのころ、同船していた郵便局長の言葉から先の電報が偽物であることを知った北川は、しまったー!と海へ飛び込み猛烈な勢いで島に向かって泳ぎ出していた(当然スタントさん)。島に上がった時分にはとっぷり陽も暮れている。みどりはナゾの仮面男に首を絞められ大ピンチ。シャツをはだけて必死に走る北川! 間一髪で間に合った彼に仮面を剥がされ(でもご大層にストッキングも被っていた)犯人は逃走、北川はみどりと共に沢田巡査を訪ねる。

ふたりには犯人の察しがついていた――沢田の息子、ハジメだと。そして沢田もまた薄々感づいていた。北川と沢田に追い詰められ、龍ヶ崎で進退窮まるハジメ。お前さえいなければ!と北川に銃を向けた息子を、沢田は泣く泣く射殺するのだった。

この島が原発の勧誘地になったことを知り金儲けを企んだハジメは、血は薄いが自分も所有者の端くれであるのをいいことに、他の者を排除して回っていたのだ。その上でみどりと結婚すればもう万々歳、と思っていたところに「強力なライバルが現れたというわけさ」(北川談)。それは誰?と問われて「俺だよお」とぶっきらぼうに言ってのける北川にみどりはようやく笑顔を見せるのだった――。

*1時間弱の推理ドラマ。原作は洋物ミステリだが、当時大流行の横溝チックな世界観を匂わせた和物に仕上がっていた。ただ、原作では非常に重要なキーポイントになっている口笛の扱いがぞんざいで、その口笛の主である権次が、原作の“薄らバカ”ではなくオカルトチックなキャラクターに変えられているため、謎解きの面白さは多少削がれている。

*とはいえ、カジュアルな天っちゃんを楽しむという意味ではなかなか面白い。カジュアルな服装(金鎖つき。でも靴は何があってもいつもの革靴)、カジュアルな言動(上半身裸で髭剃りシーンとか、夜這い?を見咎められてびくぅっ!とするところとか、例の「俺だよぉ!」とか)、同時期の明智センセイや三井係長@大空港ではお目にかかれない姿は必見である。(原作ではヒロインと同い年くらいの設定なので、それなりに頑張っちゃったのかもしれない)

*しかしながら天っちゃん&五十嵐めぐみさんのカップル、やはり美女シリーズの明智センセイ&文代さんが頭にあるせいか、どう見ても健康的(=色気ナッシング)。でもこの年の秋に「孤独の賭け」なんだよなあ…。

*音楽は「非情のライセンス」の渡辺岳夫さん。あのイントロの「とんしゃららん♪」(擬音似てなくて失礼)めいたのが聴けるが、全体的に明るめである。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=500 |
| TVドラマ(現代劇)::その他(単発など) | 09:11 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #86
#138「兇悪の流転」(1976年・S51・6月10日OA)

カントリー・エレベーターを巡る製作会社―農業庁間の収賄事件の渦中にいた農業庁の役人・小畑が、チンピラにくだらないイチャモンをつけられ刺殺された。2年かけて追っていた小畑に死なれた会田(天知茂)は怒り心頭、一課の嫌味もなんのその、独自捜査に乗り出す。

チンピラは日東会の黒沼(富田仲次郎)の息がかりで、どうやら黒沼に殺人を依頼したのは、収賄の件が漏れては困る製作所長・岩崎(加賀邦男)らしい。岩崎宅に宣戦布告しにいった会田は、彼の娘・留美子(森田=現・五十嵐=めぐみ)から「ハンス」と揶揄されている岩崎お抱え運転手の村田勇吉(仲谷昇)の姿にデジャブを覚えた。それもそのはず、小畑や岩崎たちの密会の場に居合わせ、尾行していた会田に気づき鋭い視線を投げた人物だったのだ。

会田は村田に証言を求めるが、戦時中に岩崎に命を救われた恩義から、彼は頑なに知らぬ存ぜぬを繰り返す。陸高(陸軍高等師範学校)出で中尉だった村田を一兵卒の岩崎が利用したのが真相のようだが、厳格なまでに律儀な村田はどこまでも岩崎を護ろうとするのだった。

一方、岩崎は黒沼に殺人の件で脅迫され、口止め料として3000万を要求されていた。「ヤツ(=黒沼)は君の陸高の同期だろう、まけてもらってきてくれ」実にえらそうにアゴでこき使われたにも関わらず、村田は黙ってナンブ式自動拳銃を掘り出して黒沼の事務所へ赴き、アンタは処世が下手だねと鼻で笑うかつての部下に銃を向けた。

会田が駆けつけた時には既に、村田は組員たちの手にかかり事切れていた。現状を見るや否や全員を撃ち倒し(←ただし半殺し)、村田の銃をそっと胸に収めると、会田は死んでいる黒沼に自分の弾を3発ぶちこんだ。そしてその足で岩崎宅へ向かい、彼に逮捕状を突きつける。「ハンスがお父様の事を喋ったのね!」この親にしてこの子ありな留美子の言葉に会田はキレる。「ハンスと呼ぶな!村田さんは立派な人だ!」

本庁の霊安室では、男手ひとつで育てられた父想いの村田の娘・美和子(小野恵子)や友人(ケーシー高峰)が泣き崩れていた。そこへ橘(渡辺文雄)と手錠で繋がれた姿を見せた会田は「黒沼を殺したのは俺ですよ」と村田の手が汚れていないことを主張。カラクリに感づいている橘も、今回ばかりは会田の取った行動を黙認するのだった。

外を歩く会田の脇を通りすぎる村田の霊柩車。
『ふと、死んだ親父のことを思い出した。
たぶんそれはあの律儀な男のせいだ。
生き方の下手な男だった。
ま、そういう俺も、生き方はうまくないがね……』
(昭和ブルースは4番)

*仲谷さんといえば#17「兇悪の誇り」のヒースクリフ英吉(←勝手に命名)が印象的だったが、今回のハンス村田もかなり強烈だった。舞台の人だからか、なんとなく横文字が似合うんだよなあ。ちなみに当時の奥様・岸田今日子さんの出番は今回はさすがになかった。

*#55「兇悪の花道」では悪人の父に反発し、殺し屋とほんのり良い仲になる令嬢を演じていた森田(五十嵐)めぐみさんが、今回はよく似たシチュエーションながら典型的なイヤミお嬢様になっていて、いつもの役柄とのギャップに驚いた。おまけに(情報を聞き出すためとはいえ)彼女にモーションをかけまくってた会田にも目が点。
「こうみえて結構サマになってるじゃないか、君と俺」
「意外とワルね、貴方って」
「美人に弱いだけさ」
なーんてセリフをこのカップルから聞こうとは…!

*10歳やそこら(推定)の息子にまで“生き方の下手な男”との印象を植え付けて(原爆で)死んだ会田の親父さん、気になる存在だ。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=210 |
| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:28 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #85
#137「兇悪の刑事」(1976年・S51・6月3日OA)

↑とりあえず会田のことじゃないのか?と思ったのは確かだ

神戸の刑務所から無期懲役囚・沼野(仙波和之)が脱獄。事もあろうに手引きしたのがマル暴の腕利き警部・広瀬(特別出演:高橋英樹)と分かり、警察サイドは驚愕する。しかも沼野は彼の妻・祐子(葉山葉子)を殺した犯人。三角関係のもつれという状況をでっち上げられ、ラブホテルで沼野に撃たれた祐子の無念を晴らさんと、広瀬は沼野の背後にいる入院中の安西組のボス(殿山泰司)に狙いを定めていた。

だが安西は会田(グリーンのネクタイが爽やかな天知茂)が追っている黒いピーナッツ(=麻薬密売)事件のカギを握っており、悪人とはいえ死なれては困る人物だった。会田は沼野を連れて東京入りした広瀬に丸腰で会い、説得を試みるものの、復讐に凝り固まる彼には通じず、ごたごたしているうちに沼野にちゃっかり逃げられてしまう。大井競馬場に逃げ込み、兄貴分の末長(深江章喜)に助けを求める沼野。しかし助けに来てくれたはずの末長たちからメッタ突きに遭いあえなく死亡。かろうじて末長を捕まえた広瀬は、祐子殺しは上司を振り切って捜査を強行しようとした彼への見せしめとして安西が命令したという事実を知る。そして、真相を聞き出すなり広瀬は末長を撃ち殺した

なんだこいつ、俺より兇悪じゃん!目の前の凶行に驚きつつも闘志を燃やした会田はこれ以上の暴挙を止めるべく肉弾戦を繰り広げるが、丸腰だけに分が悪く、広瀬の逃走を許してしまう。会田は安西の病室に押しかけ、用心棒をかって出た。しかし綾さん(岸田今日子)の店に寄ったり彼女を車で送ったりと余裕ぶっこいていたせいで、後部座席に隠れていた広瀬に銃口を押し付けられる羽目に(兇悪度でも分が悪いようである)。

殺された妻のお腹には子供がいたのだと会田たちに打ち明けた広瀬は、途中で組の襲撃を受け負傷しながらも安西の病室にたどりつき、憎い男に銃弾を打ち込んだ。
部屋の外には会田の姿が。矢部に頼んで病院の警護を解かせ、広瀬が無事に本懐を遂げるのを黙って見守っていたのだった。自分の追う事件に関する安西からの証言は取れなかった。しかし肩の荷を降ろしたような広瀬の様子に、どこか満足気な会田だった(昭和ブルースは4番)

*10年若かったら(というより会田じゃなかったら)いかにも天っちゃんが演じてそうな役を英樹が熱演。なにより会田の髪をあそこまでざんばらにしてしまうとは兇悪だ(そこか)。

*でも年齢差あるのに(身長差は言うに及ばず)天っちゃんも頑張って張り合ってたなあ。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=211 |
| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:31 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第1シリーズ #6
#6「兇悪の目」(1973年・S48・5月10日OA)

海岸縁を走る男(小池朝雄)。追う会田(天知茂)。
響きわたる銃声。会田の肩口が赤く染まる。
「貴様たちに何が分かる!」
拳銃を手にした男の目には、歪んだ光景が広がっている。
戦車の下敷きになる妻。自分を捕らえ拷問しようと迫る秘密警察。
「畜生、殺してやる…!」
「やめろ!」
再び銃を向けられ、咄嗟に撃ち返す会田。
男の身体は大きくのけぞって――。

男の名前は沢井公平(名前は当て字)。報道カメラマンとしてベトナム戦争の悲惨さを目の当たりにし、自らも負傷して帰国してみると、妻は交通事故死、幼い娘は骨髄性白血病に侵され余命いくばくもなかった。度重なる不幸と戦争の後遺症で狂い始めていた沢井は、戦争犯罪人たちを告発しようとある計画を練る。まずは戦争成金の神崎(竜崎一郎)を脅し、奪った金を新宿のビルの屋上からばら撒く。そして民衆にその札はベトナム戦争の犠牲者のものだと知らせ、糾弾しようと。

しかし奪った金は新聞の束に替わっていた。せっかくの計画が頓挫したことで憤った沢井は、その元凶の刑事(=会田、だけじゃなくて現場には坂井や鈴木さんもいたんだが彼の目にはコワモテのトレンチ男しか目に入っていない)に憎悪を募らせる。

神崎社長と、彼を護衛していた特捜部の北村刑事(内田勝正)の車が崖から転落、運転手ともども命を失った。続いて同じくベトナム特需の社長の射殺体が発見された。狂気を増長させた沢井は、第3の男(=ナパーム弾製造会社社長)を葬るため、会田と親しい竜巻クリーニングの太郎(左とん平)の妹・順子(テレサ野田)を人質に取ると、病床の娘を連れて白浜へと赴く。

順子の機転で社長の別荘へ駆け付けた会田は沢井に対峙した。
――こいつは途方もない責任を、たった一人で背負い込んでしまったようだ……
狂人と化した沢井。しかし、戦争で人の命を弄び私腹を肥やした本当の狂人たちは、ぬくぬくと生を貪っているのだ。

(そして冒頭のシーンへ)
逡巡する会田に対し、狂気の度合を強める沢井。
そして、会田の銃弾で沢井は事切れた。
死期の迫った幼い娘が必死に父を呼ぶ声に胸を引き裂かれながら、会田はその場を後にした。
『あれは…あの戦争はいったい何だったのか!』
(沢井の叫びを噛みしめ、夕陽を見つめる会田で昭和ブルース1番)

*戦争に直接関わった者たち、そして何もしなかった者たちの責任を問いかける重いテーマに、小池さんの暴走演技が拍車をかけるシリアスな展開。ラストで会田のライターまで調子悪くなってしまうくらいの後味の悪さだ(ほんとか)。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=138 |
| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:48 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #84
#136「兇悪の死刑執行人」(1976年・S51・5月27日OA)

新型の掃海艇を巡る収賄疑惑、そのカギとなる秘密文書が保管されているという女のマンションに駆けつけた会田(天知茂)と坂井(宮口二郎)が眼にしたのは、シャワー室で血まみれになっている夏目ふく子(白川みどり)の姿。「ヒシダ」にやられたと呟きふく子は絶命、文書も消え失せていた。

彼女の言う「ヒシダ」とは前科持ちの菱田鉄男(速水亮)と判明。潜伏先(=葉山の別荘)を突き止めて単身で館に乗り込んだ会田が逃げようとする鉄男に銃を向けた途端、タクシーで駆けつけた矢部警視(山村聡)から止めが入った。実は鉄男は、秘密文書の作成主で矢部さんの親友でもあった平松忠行(伊沢一郎)のひとり息子。身の危険を感じて妻子を離縁した平松氏だが、妻・静江(松下砂稚子)ともどもヨットの衝突事故で死亡、鉄男はヨットを転覆させたボートに乗っていたヤクザの一人を刺して刑務所に入り、出所した今度は、ボートのオーナーだったふく子を血祭りにあげたのだ。

鉄男に情報を流したのは、政界と暴力団の黒幕・金城鉄山(佐々木孝丸)の秘書・今井(久富惟晴)だった。彼は関西系ヤクザ(天本英世)と通じており、秘密文書が出回っては困る鉄山の失脚を狙っていた。

鉄男の次のターゲットは、ボートに乗っていたもう一人のヤクザ・朝田(武藤章生)。彼の事務所に先回りして盗聴器をしかけた会田は、彼とボスの東条(小瀬格)が鉄山と繋がっていることを知り、彼らが裏切り者の今井をボコりに行った先で東条を拉致して利用し、鉄男と朝田のランデブーの現場を押えようと詰める。殺された親友のために秘密文書は何としても取り返し、鉄山らの悪事を白日の下にさらしたいと願う矢部部長も、自らの進退を賭けていた。

「ヘマやってクビになったら、一緒におでん屋でも始めますか」
「ははは、お前と一緒じゃあ、一晩で売る酒が無くなっちまうよ」
仲良しさん同士で和んでいるうちに朝田は額のど真ん中を撃たれて死んでしまい(おでん屋確定気味)、会田は再び葉山の別荘へ車を走らせる。

「そんなことをしても死んだお母様は喜ばないわ」鉄男の引受人で恋仲の古畑京子(市毛良枝)は朝田を殺しに行くという彼を必死に宥めたのだが、彼の言葉を聞いて凍りついた。「ママ?…ママは生きてるじゃないか」母親が父の仇を討てといっている、そう焦点の合わない目で呟く鉄男を、京子は止められなかった。

負傷した鉄男は、母親(の人形)がいる別荘にたどり着き、秘密文書と共に炎の中に消えようとしていた。間一髪で文書と鉄男を救い出した会田たちだったが、鉄男は京子の目の前で事切れた。「どうして見殺しにしたんですか!」いつだって弱い立場の者が泣きをみるのだと詰る京子に言葉もない会田だが、そうはさせないと矢部は力強く約束、その言葉通り鉄山逮捕に踏み切った。

「貴様のような奴がこの国を・・・」取調べ室でもあくまでふてぶてしい鉄山に会田は吼える。
「…この国を滅ぼす?結構だね!あんたのような連中が牛耳る国なら、滅びても結構だ!」
そんな彼にご満悦そうな笑みを浮かべる矢部さんだった(昭和ブルースは1番)

*冒頭のシャワーシーンといい、ロッキングチェアに座った“ママ”の存在といい、非ライ風「サイコ」とでもいいたい話(あそこでママがミイラだったらどうしようかと思った)

*前回に引き続き、会田と矢部さんのツーショットが嬉しい。このふたりのおでん屋、行ってみたいような・・・ついでに岩田さんがお茶出してくれたりするともっと嬉しいかも。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=212 |
| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:32 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #83
#135「兇悪の捜査」(1976年・S51・5月20日OA)

改造拳銃取引の容疑者を釈放してしまった矢部警視(山村聡)にどえらく激昂、あんたはそういう人間だったのかあ!とぼっかーんと殴った会田(天知茂)は、飛行機やタクシーを乗り継いでやっとたどり着くような僻地の街に左遷された。

そこは、四課(マル暴)課長・大谷警部(内田良平)と地元暴力団・畑中組が持ちつ持たれつの関係を保っている、西部劇に出てきそうな膿んだ街。これまた荒くれガンマンのような風貌の大谷から着任早々「ここでは俺の言うとおりにしろ!」と蹴りを入れられる会田だが、ぶつかるものには当たり返す主義(←本人談)の彼は上司もへったくれもなく蹴りを入れ返し、俺は俺のやり方で動くと宣戦布告した(その筋の人もびっくりの白ベルトは伊達ではない)。

そんな“生まれつき無鉄砲な性質”(って「坊ちゃん」か)の会田に、やはり大谷の所業を憂えていた同僚の村山刑事(東野孝彦←後の英心さん)だけは快く協力してくれるのだが、その彼が何者かに射殺されてしまった。改造拳銃作りを黙認、賄賂を受け取り放題の大谷が畑中(沢村宗之助)に殺させたのではと会田は疑うが、市民だけは巻き添えにしないという約束で見逃してやっているんだ、それはありえないと強く否定される。

ヤクザは虫けらだと忌み嫌いながら、市民の平穏を守るためだと畑中組との癒着を続ける大谷。会田は真意を探ろうと、警部お気に入りホステスの千鶴(賀川雪絵)を呼び出し、賄賂で受け取った金はすべて郊外の施設に寄付している、という大谷の別の一面を知った。

――良い男だが、住む世界が違う。
大谷もまた、どこか自分に似たものを持つ会田を認めていた。しかし、これまで築き上げた畑中組との均衡を崩そうとする彼を捨て置けず、組に抹殺を依頼。諸口(中田博久)と江原(草野大悟)がその任にあたるが、江原こそが冒頭で会田に追いかけられていた改造拳銃持ちの男で、村山を射殺した張本人だった。改造拳銃の取引ルートを追うためにわざわざ部長と共謀して左遷されてきた会田にとって、彼らとの接触は願ってもないシチュエーション。ふたりはあっさりノされて警察行きとなり、事件収束の知らせを聞いて矢も盾もたまらなくなって駆けつけた(←本人談)矢部さんは、殴られて3日は物を食えなかったとぼやきながらも可愛い部下(←誇張)に心からの礼を述べるのだった。

諸口と江原の口から、畑中が大谷警部の立会いの下で大口の拳銃取引をすると聞いた会田は現場へ駆けつけた。いきなりの警官隊、おまけに死んだと思った会田の出現で動揺する大谷を、組員の銃弾が襲う。激しい銃撃戦の後、街を牛耳っていたヤクザを道連れに無言で地面に伏した大谷を、会田は暗い眼で見送った(昭和ブルースは1番)

*分かり合えそうで合えなかったやさぐれ刑事たち。ラスト、自分の方へ倒れ掛かった大谷を本能的に(?)避けた会田に、2人の関係が集約されている気がした。

*無法地帯に来たせいか、仕草や言動がいつも以上にハードボイルドしている会田。久々にチュウも出た(しかも唇)。

*乱交パーティーを計画している話を会田に聞かれてまごつく社長さん役で、新東宝の先輩で大恩人(「新東宝秘話 泉田洋志の世界」参照)の泉田洋志さん。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=213 |
| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:33 PM | comments (x) | trackback (x) |
黒い天使
名作推理劇場 黒い天使 (1963年・S38・3月24日OA)NET 20:45-21:45

原作:コーネル・ウールリッチ
出演:市川和子、天知茂、舟木洋一、珠理恵、山口幸生、山本一郎
デザイナー・新藤と妻令子の仲は、春のファッションショーから次第に冷たくなり、新藤はモデルの須本晴美と急速に親しくなっていった……。
(以上、朝日新聞縮刷版より引用)

*原作の主な登場人物は下記の通り。

アルバータ:夫に裏切られた若妻
カーク:アルバータの夫。ミア殺しの容疑で死刑確定
ミア:カークの浮気相手(死亡)
マーティー:ミアの手帳の男その1(ミアの元亭主でアル中)
モーダント:手帳の男その2(麻薬売買の藪医者で前科持ち)
ラッド:手帳の男その3(“気持ちのいい顔”の資産家青年)
マッキー:手帳の男その4(嫉妬深いナイトクラブのオーナー)
ウェズリー・フラッド:殺人課刑事

原作にはデザイナーという設定はないが、ドラマでいえばアルバータ=令子、新藤=カーク、晴美=ミアだろう。ミア殺しの犯人として捕まった夫カーク。だが、その日ミア宅に偵察に出かけ、部屋で彼女の死体を発見したアルバータは、偶々その時かかってきた電話が夫の声だったことから彼の無実は確信していた。アルバータは夫を救うため、現場に落ちていたイニシャル入りのマッチとミアの手帳から、怪しい男たちを単身つきとめ、真犯人を捜す…というストーリー。

はじめは夫=天っちゃんだろうと思っていたものの、旦那は冒頭ですぐ刑務所に入ってしまって出番が意外と少ないので、容疑者グループ(=手帳の男たち)か殺人課の刑事なのかもしれない。手帳の男は全員天っちゃんが演じててもおかしくないので、クレジットからすると真犯人の線も濃厚?

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=499 |
| TVドラマ(現代劇)::その他(単発など) | 09:10 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #82
#134「兇悪の接吻」(1976年・S51・5月13日OA)

グラマー美女の出てくる映画を見た右田刑事(左とん平)、会田(天知茂)を相手に実演して(右田に迫られて「お、おい…!」と真剣にうろたえてた会田が笑える)ご満悦。それじゃ俺も行こうかな、じゃあボクももう一回、と二人でその気になっていたところへ事件の知らせが。

金を奪われた上にナイフで一突きされた被害者はレトロな映画館の主人。その殺しの手口は上映作品とまるで同じだった。現状の指紋や凶器から、犯人はフィルム運び屋の青年・中田敏彦(多宮健二)で決まりと思われた。不良で厄介者のトシならやりかねん、皆がそう思っている中、映画館の事務員・純子(松木聖)だけは彼の無実を信じていた。事件の頃、ふたりはいつもの場所――スクリーン裏――で束の間の逢瀬を楽しんでいたからだ。ところが当日、自分の先天的な脚の欠陥を治す費用にとトシから受け取った金額が盗まれた金とほぼ同額だったため、アリバイを打ち明けられずに純子は苦悩する。

そのことを綾(岸田今日子)の仲介で純子の口から聞いた会田は一課にトシの保釈を要請。だが皆に疑われ自暴自棄になったトシは死んでやるんだー!と会田を振り切りバイクで突っ走った。「じゃあ勝手にしろ!」そう言うなりバイクを撃って止め(←勝手にさせる気ナッシング)、「甘ったれるな!世の中のカスはお前だけじゃない! この俺だって掃き溜め育ちだ。そして昔はろくでなし、札付きの不良といわれたもんだ!」と久々に兇悪な過去を持ち出し説教をはじめる会田。左ハンドル(復活)に乗ってぱりっぱりのスーツを着たおっさんに諭されてもなあという感じだが、“原爆で死んだ俺の両親は遺骸もなかった、でもどんな形であれお前にはおっかさんがいるじゃないか”と母親のことを持ち出され、さらに純子が駆けつけたことでトシは大人しくなった。

映画館主を殺したのは、立ち退きを迫り断られた窪川(松尾文人)が雇ったチンピラ(たこ八郎)だと判明、トシの無実は立証された。なさぬ仲の母・キヨ(絵沢萌子)とも和解し、定職を得たトシは、いつもの場所で、スクリーンの恋人達と重なるように純子と抱き合うのだった(昭和ブルースは1番)

*新東宝の映画が3本立てで上映されていそうな古い映画館での殺人事件。上映作品名がずばり「兇悪の接吻」なのも効いている。

*トシが寝泊りしている部屋に「吸血鬼」と書かれた看板がおいてあったのだが、あれはやっぱり『女吸血鬼』か?(ちなみにそこの映画館の主人は天っちゃんと同期の小笠原弘さん)

*森谷刑事(梶健司)、冒頭のトシに注意。「ヘルメット被らんと、危ないよ!」それは前回の会田にも言ってやってください森谷さん。

*綾さんのお店「F」の入り口の位置が変わったような気がする(扉を開けたら階段を下りるんじゃなかったっけ)

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=214 |
| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:35 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #81
#133「兇悪の暴走族」(1976年・S51・5月6日OA)

バイクが青春の暴走族グループ“ハスラー”の頭(ヘッドではなくアタマ)・三田治(星正人)はある晩、母(浅香光代)と兄(剣持伴紀)が死体を埋めている現場を目撃した。暁工業(実態はヤクザ)の花田(川辺久造)の支配から逃れられない家族に苦悩し姿を隠す治だが、その殺人だけでなく、いつのまにかトルコ嬢殺害の容疑まで掛けられて追われる身になってしまう。

グループ内の美子(井上玲子)に連絡を入れたところ、バイクで駆けつけた彼女と一緒に強面のおっさん(=会田:相変わらず黒ネクタイ着用の天知茂)がついてきた。なぜか居場所を探り当て強引に連れ帰ろう(連れ帰ってバラそう)とする花田らを、刑事だというそのおっさん(=会田)は蹴散らしてくれたが、身内が関わっていることだけに真相を打ち明けることができない。

だが、バイクを預かってくれていた長谷川のおやっさん(常田富士夫)が殺され、トルコ嬢を弾みで殺した友人のツネオ(風戸祐介←クローバーキング?)が花田らにヤクの運び屋を強要させられていることを知り、シマに戻ることを決意。ヤクを運ぶツネオを止めようとするのだが、バイク走行中に揉み合う内に襲われ、短い命を散らしてしまうのだった。

美子たちと夜の蛇行ツーリングに付き合う(制服警官に「いいオトナが恥ずかしいとは思わんのか!」と尋問され手帳を出し相手をビビらせるオチ付き)など、「あれ(=バイク)が青春なんだよ」と実に話のわかるおっさんデカになっていた会田だが、結果的に治を失ったことで「アタマ(=治)が死んだのはあいつのせいだ!とっぽいこと言いやがって!」と非難集中。

「帰れよ!」「お前が殺したんだ!」治のお別れ会に姿を見せた彼は罵声を背に受けながら、黙って手を合わせるのだった(昭和ブルースは1番)

*会田のせいというより、ツネオが悪いんじゃないか〜! 花田をボコって逮捕したのは会田なのに〜!(←ちょっと可哀想に思えた)

*おねーちゃんの後ろにまたがってバイクに乗る会田、ピースサインを決める会田、なんていうレアなものを拝める話。しかし、バイクに乗るときはせめてメットを被ってくれよ会田(被り辛いのは重々分かるが←失言)

*でも車はまた右ハンドルに戻っていたような。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=215 |
| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:37 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第2シリーズ #80
#132「兇悪のゆりかご」(1976年・S51・4月29日OA)

会田(天知茂)と坂井(宮口二郎)の兇悪チョンガー・コンビの今回の担当は、所轄もお手上げの赤ちゃん誘拐事件。病院で目撃された女の似顔絵を手に聞き込みに励む会田だが成果は芳しくなく、川原で赤ちゃんの水死体が発見されたりして(幸いなことに別件だったが)大事な子供を奪われた若夫婦は半狂乱。

20日ほど聞き込みを続けている会田を可哀想に思った(というよりコワモテがうろうろすると営業妨害だと思った?)焼き芋屋のおっちゃんが「その絵、佐川んちの娘に似てるよ」と助け舟を出してくれたおかげで、誘拐された女の子と同じ年頃の赤ちゃんをあやす佐川富枝(左時枝)を突き止めた。

何度も子供を亡くし、不幸な結婚を繰り返していた富枝は、タマミ(←赤ちゃんの名前。通称“たっち”)を可愛がる内縁の夫・吉村(谷村昌彦)とだけは幸せな暮らしを営みたいと願っている薄幸の女性。タマミは本当に富枝の子供なのか。産院などに問い合わせる会田、赤ちゃんの血液型を調べるためにオムツ換えまで練習する坂井、ふたりの慎重な捜査の甲斐あって、やはり病院から赤ちゃんを連れ出したのは富枝だと判明した。

捜査方法はともかくグラサン姿が慎重ではなかった会田のせいで尾行がバレ、富枝は赤ちゃんを抱いて立て篭もるのだが、「人を不幸に陥れた代償で、幸せになれるはずがない」という会田や吉村の説得で泣く泣く子供を手放すのだった(最後は矢部さんが赤ちゃんを抱いて車に乗り込み昭和ブルースは2番)

*救われない話の中で唯一和ませてくれたのは坂井さんの奮闘ぶりだった。綾さん(岸田今日子)の店で人形相手にオムツ換えに励んでいる坂井さんに、後から来た会田いわく「小さすぎんだよ人形が。(ホステスに向かって)おいキミ、実験台(?←よく聞き取れなかった)になってやれよ」。言い方と顔が会田じゃないよ天っちゃん(素で宮口さんをからかってたっぽい)

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=216 |
| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:38 PM | comments (x) | trackback (x) |
PAGE TOP ↑