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非情のライセンス 第1シリーズ #1
#1「兇悪の門」(1973年・S48・4月5日OA)

昭和47年12月、西井刑務所のむさくるしい8人部屋にひとりの男が収監された。会田健35歳(天知茂)、暴行傷害で懲役4か月。さっそく新入りいびりを仕掛けてきた笹崎(田中浩)をあっさりシメた彼、所内で見つけたシケモクを回し吸いしていた直後に、図ったように現れた看守の前で罪を独りで被って40日間の懲罰房送りになったことから、同部屋メンバーに完全に一目置かれる存在に。

そんな会田が刑期を終えようかという時期、古株の一人、浜井(仲谷昇)が声をかけてきた。ある女に電話を掛けてくれ、と彼が告げた番号こそ、会田が最も欲していたものだった。警視庁特捜部に属する彼は、覚せい剤のバイヤー・浜井から製造工場の在り処についての情報を探り出す任務を帯びて刑務所に潜入していたのである。

出所の日。「振り返るな。振り返るとまたここへ入ってくるようなことになる」との看守の言葉を「俺はなんでも振り返るのが癖でね」と流して平気で門を振り返った会田はすぐに上司の矢部警視(山村聡)に連絡を入れた。ねぎらいの言葉ひとつなく「そうか」のひとことで済ませた部長に、赤の他人(=事情を唯一知っていた看守部長:名古屋章)でも御苦労さまと言ってくれたのにぃ…!とムクれた彼は、腹いせ(?)に一課の橘(渡辺文雄)に「俺がいないから、その間警視庁の空気が別にきれいだったってわけでもないでしょ」と絡んでみたり、実弾入り拳銃を部長に向けてみたりしながらも、言われた通り女の居場所へ向かう。

白い門構えのこじゃれたマンションには、真山由比(加賀まりこ)がいた。伝言の駄賃に1千万を要求した会田を鼻であしらった彼女だが、ジャンキーであることを暴かれ、責めに屈して工場の所在地を吐く。連行しろとの矢部の言葉に逆らい、ヤクを打って一時的に生気を取り戻した由比を「君が助かるかどうかは、君自身の問題だ」と見逃してやる会田。それを知ってか知らずか、部長も深追いはしなかった。

――刑務所の門はいつかは出られる。
しかし、あの女にとって、あの門は――。


しばし由比の行く末を案じながら、河村志津(村松英子)のレストランで久々の血の滴るようなステーキにナイフを入れる会田であった(昭和ブルース初お披露目は、意外なことに4番

*原作(「兇悪の門」)通りの展開ながら、第3シリーズ最終話を考えると、「ああ〜、そんなことするからだよ!」といろいろツッコミたくなること必定な第1話。結局、「門」を甘く見ちゃいかんってことだ。

*同部屋仲間に財津一郎さんの姿も。変な運動してる得体のしれない人だった。しかし顔つきだけみてると兇悪犯ばっかりの部屋で怖かったなあ。

*第1シリーズの特捜メンバー(吉田刑事=多々良純、鈴木刑事=梅津栄、岩田刑事=岩城力也、四方刑事=葉山良二、坂井刑事=宮口二朗)勢揃い。セリフは岩田さんしか無かったが、それぞれがマイペースに仕事していて面白い。

*ちなみに会田が特捜に来たのは、「組織暴力壊滅頂上作戦」とやらでヤーさん連中20名を死傷させ(うち15名を射殺)、過剰防衛の疑いでクビになりそうになって矢部さんに拾われたのがきっかけらしい。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 12:04 AM | comments (x) | trackback (x) |
廃虚の唇
廃虚の唇 (1964年・S39・4月2日〜9月24日OA:全26回) NET 21:45-22:45

放映リストはこちら

(週刊TVガイド 1964年4月10日号より引用)
出番です
「廃虚の唇」の青年社長
天知茂


「孤独の賭け」のニヒルな社長ぶりが、作家黒岩重吾氏に見込まれ、同氏の作品「廃虚の唇」の主役に推薦されたという。
「“孤独の賭け”の千種は、貧乏からのしあがった社長、“廃虚の唇”ではヤクザ上がりの社長と陰のある二つの人間を演じるわけですが、どちらかというと、ぼくはこういう現代的な背景をもった役柄が好きですネ。しかし、まだ悪役のイメージがまつわりついているようで気がかりですが、この作品では完全にそれをぶちこわしてみせたい」
という。彼のスタイリストは有名だが、この作品でも、自分のデザインしたレインコートなどを使用、目下、役作りに懸命である。

(週刊TVガイド 1964年5月8日号より引用)
茶の間の茶
凝り性の天知茂


天知といえば、何事においても凝り性で有名だが、最近、自家用車を買い「廃虚の唇」の撮影合間にもスタッフを乗せ、東映撮影所内をぐるぐる。近いうちに車を買いたいという沢たまきをつかまえては、エンジンについての講義をひとしきり。しまいには監督に「ねえ、ぜひこの車を撮影に使って下さいよ、すごく調子がいいんですから…」と宣伝、これにはスタッフ一同、“さて今度は何に凝るのかなあ”とニヤニヤ。

*実際、自家用車(=トヨタのクラウン)は撮影に使われたらしい(何話目かは不明。時期からいうと#6あたり?)。この車での別エピソードは「とよぺったあ」誌に。

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| TVドラマ(現代劇)::その他(シリーズ) | 12:04 AM | comments (x) | trackback (x) |
『火線地帯』
『火線地帯』(1961年・S36)

競馬場で梶川組の上前をはねていた伸一(吉田輝雄)と健次(鳴門洋二)はヤーさん達に追われ、逃げきれた、と思った瞬間、先程サクラのような行為で売上に貢献(?)した、水玉リボンを巻いた黒いハットと黒シャツがイカす“黒の男”(←予告編より)・黒岩(天知茂)に呼び止められて分け前を要求され、もっとでっけえ勝負をしろよとお前が言うかな諭され方をする。

そんな折、ナイスカーに乗ったナイスバディー・ゆみ(三原葉子)と知り合い意気投合したふたりは、彼女のパトロン、重宗(田崎潤)の子分になった。最初の仕事は、梶川組が落札した100丁のハジキを強奪すること。腕自慢の伸一がブツを運ぶ車のタイヤを撃とうとした時、なぜか車はパンクして急停止、伸一たちはなんの苦労なくブツを手に入れた。しかし、パンクさせた張本人で一部始終を目撃していた黒岩(=自分の商品をちゃっかり取り返すつもりだったハジキのバイヤー)は当てが外れて憤慨、梶川組の存在をちらつかせながら重宗に談判する。

一方、重宗の子分・中本(成瀬昌彦)は、伸一と健次が梶川と共謀して裏切ったと決め付け、ふたりを狙った。追われる原因を作った男ながら、黒岩と組むことになった伸一は、南米で牧場主になるという(黒岩の)夢の実現に向けてハジキを取り戻そうとするのだが、弟分の健次が中本に捕まってしまう。重宗の後釜を密かに狙う中本はボス殺しを要求、さらにはホの字のゆみに、重宗を誘いだすよう圧力を掛ける。伸一を愛し始めていたゆみは「みんな殺されちゃえばいいのよ!」と梶川組に電話を掛け、重宗たちと梶川(大友純)の共倒れを願った。

割に合わない、と乗り気ではない黒岩だったが、ゆみのために突っ走った伸一に付き添い取引場所へ。かくして巻き起こる銃撃戦の後、ゆみが凶弾に倒れ、重宗らは梶川組に皆殺しにされた。そして乗るはずの南米行の貨物船は、無情にも出港してしまう。黒岩にとってはやはり割に合わなかった最後の仕事――しかし、健次の妹で最初から伸一命の幸子(佐々木孝子)には、嬉しい結末だったようだ――。

*仕草と服装がこれ以上ないくらいキマっている黒岩、ねっ転がっておでこにグラスを乗っけていてもカッコ良さに満ち溢れていた。残念なことにセリフ回しだけはどうにも軽すぎてトホホな具合なのだが、それに目を塞げば(耳を、か)、弟分のバックアップに回りながらその実自分が一番おいしいとこどりしている天っちゃんの颯爽たる姿が拝める作品である。

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| 映画::新東宝 | 10:40 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第1シリーズ #2
#2「兇悪の迷路」(1973年・S48・4月12日OA)

「これからの日本は暗く大きな迷路の時代になる」との持論でのし上って来た経済評論家・鳴海克平(河津清三郎)のお抱え運転手兼ボディガードに駆り出され、いつも以上に煙草がすすむ会田(天知茂)。だが鳴海の秘書・浦田千鶴(野際陽子)と親密になり、前日に晩御飯を作ってもらったお礼に行きつけの銀座のキャリオカ(=河村志津:村松英子の店)に誘った夜、鳴海がマンションの自室で睡眠薬&ガス自殺を図ったという知らせを受けた。

鳴海は30年前の日銀ダイヤ事件――戦時中に徴収されたダイヤの大半が金庫から消えてしまった事件――のカギを握るネタを入手しており、取引相手との交渉がこじれたために特捜部に身辺警護を依頼してきた人物である。ダイヤ事件の関係者はこれまで10数人、いずれも不可解な死を遂げており、今回も鳴海が自ら命を絶ったとは到底信じられない会田だったが、現場には遺書があり、千鶴もそれが鳴海の自筆と認めた。

会田は、鳴海と最後に会った千鶴のマークを決意。しかし尾行を撒いた彼女は再三、連絡が欲しい、という謎めいた電話を会田宛に掛けてくる。自分の動きを探るためだとは思いたくない――。しかし、彼女の以前の勤め先の貴金属商社長・井村が海外で不審な動きをみせている事実を調べた会田は、千鶴が井村の指示で鳴海を殺害したとの確信を抱く。

海外の井村と電話を交わしていた人物を追ってホテルに向かった会田は、そこでようやく千鶴と再会した。明日海外に行くの、と嬉しそうな彼女に、会田は自分の推理をぶつける。悪い奴が悪いことをする、それは当り前だ。しかし君のような人が殺人を犯すなどと…これが本当の意味の現代の迷路だ、と心情を吐露した会田は、いつか必ず証拠をそろえて手錠をはめにゆく、と宣言。「待ってるわ、そのときを」犯行を否定するわけでなく、千鶴は囁いた。

翌日、帰国する井村を待ち構えるため空港へ詰める会田の目の前に、ターミナルへ急ぐ千鶴の姿が。だが彼女は突然、背後から近づいた男に撃たれる。急ぎ男を追って撃ち倒した会田が戻ったときには、千鶴は血文字を残して息絶えていた。

血文字が示したものは、日銀前の銀行の貸金庫のナンバー。それは井村のもので、中には消えた60万カラットのダイヤが眠っていた。これで井村と仲間たちを押さえられる!会田が不敵な笑みを浮かべた矢先、井村の乗った飛行機が消息を絶った、とのニュースが舞い込むのだった。

――暗い迷路を通り抜けさえすれば、その先にはきっと青い海があるわ。
青い海を夢みながら散った千鶴。しかし世の中はまだ暗い迷路に覆われていた(昭和ブルースはこれまた意外なことに3番

*「ローンウルフ」(1967年)「さすらい」(1969年)で一緒だった野際さんとの息の合った共演。因縁のフォルクスワーゲンを「よければ使って下さい、お気に召さなければ売って、毎日キャリオカへいらして下さい」と千鶴さんから託された会田、次週からこれに乗ってる気配がないので、キャリオカのステーキ代に消えたのだろうか?

*竜巻ランドリーの太郎さん(左とん平)、妹の順子(テレサ野田)と共に初登場。晩御飯を作ってくれる千鶴さんを家に呼ぶため、「アレ貸してくれないか、アレ!」とテーブルクロスを借りる会田が可笑しい。

*会田の家の食器棚も初登場。意外に普通で庶民的。「和」文字入りの湯飲みもなんだか庶民的。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 12:03 AM | comments (x) | trackback (x) |
『ごろつき犬』
『ごろつき犬』(1965年・S40)

紀州に流れていた鴨井大介(田宮二郎)は、謎のキャデラック美女・三沢葉子(水谷良重)から、夫の仇の一六組幹部3人(稲取・川勝・辺見)をやっつけてほしいと言われて大阪(天王寺)へ。通天閣周辺で前回つぶした蒲生組と天地会の残党に絡まれるが、なぜか彼らは途中で逃げてしまう。鴨井の背後に、彼の帰阪を知りニヤニヤと尾けていた木村刑事(天知茂)がいたからだ。

「なんや、しょぼくれ刑事やないか!」いきなり初出のニックネーム(以後定着)で呼ばれても怒る訳でなく(むしろ嬉しそう)、しょぼくれはうどんの汁をダシに、同僚刑事を射殺した凄腕、一六組の稲取を探ってほしいと鴨井に頼む。お前よりハジキがうまいかもしれん、と対抗心に火をつけられた鴨井は一六組のアジトに向かうが、川勝(成田三樹夫)と辺見(山下洵一郎)の姦計により銃を奪われ倉庫に監禁されてしまう。“組長”の命でまもなく放免、組の女・まゆみ(江波杏子)から銃を返されたものの、その銃は同じく監禁されていた会社重役の射殺に使われていた。

まゆみと恋仲だった実行犯の辺見が殺され、鴨井自身も葉子との逢瀬の最中に狙撃された。黒幕は稲取か――。鴨井の脳裏に、冒頭温泉で遭遇した、自分と同じ拳銃痣(というのかどうか知らないが、肩についた疵)を持つ男(根上淳)が浮かんだ。警察に来た彼にしょぼくれは「俺は胸をやられていてもう長くないんや」と軽く咳込んでみせ、その男のモンタージュ作成に協力させる(もちろん、胸の病はウソ)。出来あがった写真をみて、まゆみは稲取に間違いないと断言した。

警察を出た鴨井は拉致され、川勝たちと銃撃戦を展開。しょぼくれに「あの男のそばにいると危ないよ」と標準アクセントで止められたにもかかわらず後を追ってきたまゆみが負傷し、川勝は稲取に消されてしまった。警察の目をかいくぐり(というか、わざと逃がしてくれたしょぼくれのおかげで)、稲取と今まで謎だった“組長”を追いかけて再び紀州入りした鴨井は、組長=葉子であったことを知る。大金を独り占めしたかった葉子は、邪魔な幹部の抹殺を鴨井に頼んだのだ。

稲取とサシの勝負に挑んだ鴨井だが、銃を持った葉子に狙われた。そこへわらわらと現れた連中とのドンパチの最中に葉子が被弾、鴨井は稲取以下を“かすり傷”で射止めると、しょぼくれからの要請で彼を「鴨井警部」として援護にきた警官たちに気をよくして帰っていくのだった。

最後はおやじさん(中田ラケット)の遺骨を抱いて故郷に帰るまゆみを天王寺駅で見送った後、紀州から追いかけてきた玉子ちゃん(坂本スミ子)をしょぼくれに押しつけてトンズラする鴨井、苦笑しつつやっぱり嬉しそうなしょぼくれが映ってエンドマーク。

*うどん好きのしょぼくれ刑事こと木村刑事、再登場。「俺がうどんを好きなんはな、人生観につながっとんじゃ。叩いて伸ばして細長く、な」「その上にこう、つかみどころがない」鴨井の返しが漫才並みでナイス。モンタージュの時といい、いっぺん勝負しよやないか!と向かった先が将棋クラブ、という流れといい、鴨井にどつかれて逃げられても笑顔で手を振ってみせたりするしょぼくれの余裕と、口ではボロクソに云いながら彼に懐いている鴨井のコンビが実に楽しい。

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| 映画::大映with田宮二郎 | 11:46 PM | comments (x) | trackback (x) |
最後の大本営発表
サンデー・ステージ 「最後の大本営発表 (手記・無条件降伏一日前より)」(1960年・S35・8月14日OA)NTV 21:45-22:30

(読売新聞1960年8月11日より記事引用)
日本テレビでは14日のサンデーステージで終戦記念日にちなみ「最後の大本営発表」を放送する。原作は元同盟通信の陸軍省詰め記者長田政次郎氏で、日本の歴史を大きく転換させた玉音放送の行われる前日の昼すぎから15日午後にかけての新聞記者の行動をめぐる敗戦秘史の1コマが再現される。大本営と陸軍省の新聞記者室と大本営の参謀室が舞台で、戦争を強行しようとする軍部とこれを否定する新聞記者の心理と行動が映画「十二人の怒れる男」で試みられたディスカッション・ドラマの方式でたたみ上げられる。

出演者は杉浦直樹、河野秋武、天知茂、舟橋元、春日俊二、藤井貢などで14日の午前中までリハーサルを重ね、放送時間の3時間前にビデオテープを仕上げ、なま放送の実感を出すことになっている。

(朝日新聞1960年8月13日朝刊より記事引用)
【メーキャップなしで男ばかりのドラマ/記者の“抵抗”描く】
14日の日本テレビ「サンデーステージ」(夜9:45−10:30)は15年前の終戦当時にちなんで「最後の大本営発表」を出す。これがいろんな点で話題作だ。

まず話はちょうど丸15年前のこの日のできごとを扱っている。スタッフ・キャストは女気一つないオール男性編成。真夏の日の実感を出すため、流れる汗を遠慮なくふけるようにとメーキャップは出演者全員がいっさいしない。そのうえ原作者がドラマの出来栄えをみようと劇中に登場してくる。この風変わりな作品を紹介してみよう。

原作者は終戦当時、陸軍省づめをしていた元同盟通信記者の長田政次郎氏。同氏は昭和20年8月14日の昼すぎから15日の午後にかけ当時の大本営報道部で出あったニセの「大本営発表」事件を最近、雑誌上で公にした。秘話に類するものだが、新聞記者の勘と良識が、無謀な大本営の動きを対決して、みごと日本の絶滅を救ったさまを描いている。

脚色は元産経新聞記者の灘千造氏。制作は日本テレビの若尾初男プロデューサー。演出は松本尚彦ディレクター。出演者のおもだったところには、河野秋武、下条正巳、舟橋元、春日俊二、園井啓介らが新聞記者の役で並び、清水元、桑山正一、伊藤久哉などが大本営陸軍部のスタッフで参加している。

話が話だけにタレントは全員男だ。スタッフ側にも女がいない。普通ならどんなドラマでもメーキャップ係の女性がスタッフに名をつらねるが、このドラマは役者がみんなメーキャップをしないからその係がいらない。メーキャップをしないのは、30度を越す猛暑の中で、大本営報道部側と記者クラブ側がテーブルをはさんでにらみあい、緊張のあまり、みんながひたいから玉の汗を流すありさまをリアルに出すため。ドーランをぬっていると、流れる汗もドーランの落ちることを恐れてうっかりぬぐえないから感じが出ないそうだ。

にらみ合いの場面ではテーブルの真ん中に穴をあけ、その中に昇降自在の携帯カメラを仕込んで360度の回転撮影を試みる。居合わせた全員の表情をもれなくアップするためだ。なお長田氏も記者クラブの一員としてドラマの中に登場する。セリフはしゃべらない。原作者として自分の書いたものがどうドラマ化されるのか見守るというシャレの意味があるのだそうだ。

《あらすじ》日本の破滅を目前にした8月14日ひるすぎ。むし暑かった。空襲警報が発令されていた。陸軍省記者クラブのメンバーたちはポツダム宣言受諾の情報をうすうす知っていた。それに反対する一部の軍の動きも感づいていた。

かれらが深刻な表情でそれらの情勢を語り合っているとき、報道部の片山大佐(清水元)ら4人が記者室にはいってきた。大本営発表だという。内容は「帝国陸海軍が連合軍に全面作戦開始」と伝えている。記者たちは緊張した。「あすにも戦争終結発表があるかもしれないというときに、全面作戦開始の発表はなっとくできない」――庄司記者(松村達雄)が口を切った。もしこの発表が流れれば東京にも原爆が落ちるかもしれないという思いはみんな同じだ。ベテラン記者の中には、いつもの大本営発表文とくらべハンコの押し方が違っていることに感づいた者もいた。

かれらは断固として発表を各本社に流すことを拒否した。十時記者(杉浦直樹)は東大尉(幸田宗丸)にピストルまでつきつけられ脅迫されたが彼もことわった。片山大佐は退散するより手がなかった。

(写真:テーブルをはさんで対峙する園井啓介、細川俊夫、河野秋武、松村達雄、杉浦直樹、長田政次郎(原作者)、武田正憲、伊藤久哉)

(毎日新聞夕刊より記事引用)
【軍の謀略と戦う新聞記者】敗戦秘史の一コマをドラマ化
長田政治郎原作、灘千造脚色。十五年前、天皇の玉音放送が行われる前日の昼過ぎから翌十五日午後にかけての陸軍省詰め新聞記者たちの行動をめぐる敗戦秘史の一コマを描く。十四日の昼過ぎ、陸海軍は全面的作戦を開始したという大本営発表が行われようとした。これが発表されておれば東京上空にも原子爆弾がさく裂したかもしれなかった。この軍の無謀な謀略を未然に防いだ陸軍省詰め新聞記者のヒューマニズムをドラマ化したもの。

庄司記者=松村達雄、十時記者=杉浦直樹、藤堂記者=河野秋武、村橋大佐=武田正憲、北川少佐=伊藤久哉ほか。


*テレビ初出演ドラマは1961年の「光秀反逆」だと思っていたが、前年にこんなものが。軍部は4人だけなので、おそらく新聞記者サイドにいたと思われる。ただ、読売新聞には名前があるが、作品を大プッシュしている朝日新聞の方には見当たらないのがもどかしい(まさか細川さんに替わったわけではないだろうけど)。

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| TVドラマ(現代劇)::その他(単発など) | 10:20 PM | comments (x) | trackback (x) |
[18] 化粧台の美女
いろんな意味で弾けていた前作に比べるとオーソドックスで、内容的にはシリーズの原点に戻ったような([3]死刑台の美女にどことなく近い)雰囲気の作品なんですが、センセイはなぜかほぼシーン毎に衣装が違うというマニアックな凝り様で、ヘビーユーザー(笑)を喜ばせてくれます。あと、宮川脚本ならではの“天っちゃんにしか言えないセリフ”(たぶん他の人が言うとこっぴどく恥ずかしいだけのセリフ)がちりばめられているのも嬉しいところ。

【明智先生ファッション劇場】:(センセイ着替えすぎのため、今までで最高枚数)

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判決
「海の男」*放映回不明 (1966年・S41・5月25日日OA) NET 21:00-22:00

出演:天知茂、小畠絹子、菅井一郎、井上昭文、清水元、細川俊夫、高木均、沢本忠雄、信欽三、小川真司ほか
【海の男を熱演する天知】
千葉県木更津沖で船の衝突事故が起こる。故障停泊中の老朽油送船に貨物船がぶつかったのだ。貨物船の二等航海士・福島(天知茂)は、海難審判で一か月の就業停止を命ぜられ、引き続き船員二人の死亡の責任を、刑事裁判で問われた。田中弁護士(沢本忠雄)が弁護を引き受けるが、田中には、自分の過失のやむをえなかったことを主張しようとしない福島のあいまいな態度が解せなかった……。
今回は老朽船の航行、船会社の競争、事故補償、船員家族の生活の現実などをひとつの事故をきっかけにするどくえぐる(脚本・七条門)。
一見かたくなで孤独に見えるが、深く仲間との連帯意識を抱く海の男・福島を、天知茂が熱演。

夕刊あらすじ:木更津沖で起こった船の衝突事故をめぐって、一見簡単明白な事故の底にひそむ、さまざまな社会問題をえぐる異色編。
(以上、朝日新聞縮刷版より引用)

*面会に来て涙ぐむ妻(小畠さん)との写真あり( 「五十年の光芒」 に載っているのと同じ)

*1962年10月に開始した社会派ドラマへのゲスト出演(途中で休止などあるので、通算何回目かは不明←というか、数えてませんでした)。とにかく熱演の文字が光っているが、一見かたくなで孤独、その実は情に篤い…という十八番のキャラクターだけに熱の入れようもひとしおだったに違いない。

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大岡越前 第1部 #14
「地獄の使者」(1970年・S45・6月15日OA)

大岡越前1-14

行き倒れ男の死因は阿片中毒だった。抜け買いの横行を憂う源さん(大坂志郎)は潜入捜査を申し出るが、名物男の源さんは敵にすぐ知れるから、とお奉行様は首を縦に振らない。頼みの綱は密偵中の隠密廻り・足立(池田駿介)だが、その頃彼は身元がばれてメッタ突きの憂き目にあっていた。瀕死で逃げ帰った足立を発見、今わの際に言い残した言葉を聞いたのは、敏腕与力の神山左門(天知茂)であった。

(自分もある意味名物男だろうに、きっと凶悪な面相でお奉行様を押し切ったに違いない)左門さまは武州無宿の左平に姿を変え、足立が言った源七という男を探すため大番屋へ潜入する。案の定、速攻で「こいつ町方だー!」と期待を裏切らないバレ方をするものの、そこは用意周到な左門さま、二の腕の島帰りの刺青と賄賂で事なきを得た。そして牢内で血を吐いて倒れた男を介抱したところ、それが源七(北町嘉朗)と判明。重病の源七は「妹に渡してくれ」と抜け買いの割符を左平=左門さまに託して死んだ。

お白州に引き出され、「神山様にソックリだ!」と同僚に驚かれつつ(当たり前)お奉行様から無罪放免を言い渡された左平=左門さまに、怪しい男たちが接触を図ってきた。目隠しで連れられた先は川沿いの倉庫。そこのボスに割符を渡せと迫られ、源七の妹に金を遣るという目的で仲間になることに。次の取引の日時を盗み聞きし、大事に懐に忍ばせていたお江戸の新兵器・伝書鳩で(小林君@少年探偵団のように)源さん達に知らせる左平=左門さまの不審な挙動を、下働きのおすずちゃん(長谷川峯子)は目撃しながら知らぬ振りをしてくれた(さすが未来の恋女房@大忠臣蔵)。

しかし今回は取引ではなく“イヌ”を排除するためのものだと現場で言われてたじろぐ左平=左門さま。見張っていた源さんを(うまいぐあいに十手付近に刀を当てて)川に落として急場を凌ぐが、倉庫に戻ると「イヌが分かったぜ」と顔色の悪い用心棒(石橋雅史)が刀を手に迫ってきた!と思いきや、「女に会いにいって、博打で稼いだ金だああ」小判をじゃらじゃら落としながら隣の男がばっさり斬られ、身代わりで御臨終

源さんが手拭から尾張屋を割り出したり、源七の家族がたまたま伊織(竹脇無我)と知り合いで、無実の罪を着せられ百叩きに遭って以来身体を壊した父親にお奉行様が謝ったり、というサイドストーリー(いや、こっちがメインか)があって黒幕は判明した。あとは抜け買いの現場を押さえるだけ。炙り出しの手紙をおすずちゃんに託した左平=左門さまは、用済みのボスを斬った用心棒を倒し、「俺が頭だ、文句はねえだろうな!」と荒くれ者を率先して次の取引先へと向かい、首尾よく一味をお奉行様に引き渡すことができたのだった(荷物の中をまだ確認していないのに「観念せい、尾張屋!」とビシッと言い切って観念させたお奉行様のやり方に「お奉行、なかなかのハッタリだぜ…!」と呟いてニヤリとする左平=左門さまがステキ〜!←完全贔屓目)

最後は与力姿でおすずちゃんを迎えにきてエンド。姿が変わると性格までころっと変わってしまう左門さまが堪能できる回である(脚本は宮川一郎さん)。

*写真左は牢名主に罪状を聞かれて「ちょっと、喧嘩しちまってよぉ」と恥ずかしそうに言う左平さん。右は「だってあんたならあたしを助けてくれると信じてたんだもん」とおすずちゃんにコクられた(?)ときの左門さま。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=409 |
| TVドラマ(時代劇)::大岡越前 | 12:35 AM | comments (x) | trackback (x) |
大岡越前 第1部 #5
「血の直訴状」(1970年・S45・4月13日OA)

大岡越前1-5

#4で遭遇した、かつてのフィアンセ(=源さんの早世した長女)に激似の女性(宇津宮雅代)が忘れられないお奉行様(加藤剛)のため、人探しに精を出す辰(高橋元太郎)と源さん(大坂志郎)。件の女性を町で見かけ、辻駕籠に乗ったことを突き止めたは良いが、その駕籠かきの一人が何者かに斬殺され、もう一人は行方不明になった。

まさか、あの女性がそんな血生臭い事件と関わりがあるなんて……と信じられないお奉行様と源さんだが、事件を聞いた左門さま(天知茂)は「吟味の筋道に先入観は禁物だ」、もしかするとその女性が下手人かもしれぬぞ、と客観的かつクールな言葉を放って源さんをちょっとむくれさせる(女性を追う理由を口ごもる源さんにわざと食い下がる好奇心旺盛な左門さまがお茶目)。

幸いなことに、もう一人の駕籠かきはからくも逃げ帰ってきた。彼によれば下手人は女性の直前に乗せた若侍。駕籠に忘れた何か重大なものを探していたという。若侍の他にも怪しい浪人がやはり何かを探しに来たが、駕籠の中には何もなかった。やはり、行き当たるのは例の女性。ようやく分かったかの人の素性は、本当は見合いするはずだった娘――大番頭・吉本作左ヱ門の養女・雪絵であった。

実は雪絵は、若侍・勝之進(長谷川哲夫)が駕籠に忘れた血の直訴状を拾っていた。早速彼女に事情を聞きたいお奉行様だが、父(片岡千恵蔵)と作左ヱ門がつまらぬことで喧嘩して見合いが御破算になった経緯があり、なかなか事が運ばない。うーん困ったな、と悩む(お奉行様と)源さんに、いつでも切れ味鋭いカミソリ左門さまは、何をそんなに迷っている、娘の身に危険が迫ってからでは遅いぞ!と、吉本家を警護するよう的確なアドバイスをするのであった。

陰謀により切腹させられた父の汚名を晴らす大事な直訴状を落としたばかりか人まで斬ってしまったウッカリ侍・勝之進は、父の仇が雇った荒くれ者たちに襲われた。そこへたまたま通りがかった左門さまは数人のザコを十手だけでビシバシどつき、退散させる。彼が与力と知った勝之進はあろうことか恩人の左門さまに斬りかかろうとするが力尽き、親切な左門さまに奉行所に運ばれた。

…その後左門さまの懸命なる手当(←お奉行様談)の甲斐なく勝之進は死んでしまい、彼の姉さんも仇の一人と相討ちで果て、上様は直訴を取り上げることはなかったが目安箱を新たに設置、お奉行様は晴れて雪絵さんとラブラブに、という展開。

*このドラマにしては人が空しく死んでいく率が高く、一番の大物には(この話の時点では)手出しが出来ない、というもどかしさが残るシビアな結末。左門さまは事件の深部まで推測するいつも通りのキレ者だったものの、それと知らずに勝之進と遭遇した程度で正面から関わってくれなかったので残念だ。

*画像は「さすがはカミソリと言われるお方だ」と源さんに褒められて(これでも)ちょっと照れてる左門さま。

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| TVドラマ(時代劇)::大岡越前 | 12:36 AM | comments (x) | trackback (x) |
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