2006,06,18, Sunday
「逃亡街道」(1973年・S48・12月15日OA)
雨のために渡しが止められた川近くの宿場。迫り来る黒い影たち。標的はゲン(天知茂)か、それともワケあり風の男女か? 人懐っこく近寄ってくる大阪弁の薬売り・仙太(ジェリー藤尾)の正体は・・・? 忍び時代の習性か、単純に人を信じることが出来ない自分を責めるゲンだが、ワケありカップルの心中を止めたり、逃亡を手伝ってやるうちに、情に打たれて心から明るい笑顔をみせるようになった。しかしそれはラストで無残に打ち砕かれる。心を許し始めていた仙太が、ゲンを倒して陰の里へ返り咲こうとしていた抜け忍だったのだ。裏切られたことへの驚きと悲しみが入り混じった表情で刀を構えるゲン。殺らねば、殺られる。 「人間らしい心が動いたら気をつけろ。命取りになる」 お前が見せた一瞬のスキがその左腕の傷だ―― 倒れた仙太の言葉を胸に刻み、ゲンはまた独り、旅を続ける。 宮川一郎さん脚本3部作(勝手に命名)の1作目。 とにかくラストの天っちゃんの表情の変化がたまらない。人間らしく生きたいと願って抜けたはずなのに、人間らしくなることで命を落とすかもしれない・・・ジレンマを抱えながら、それでも「人間になりたい」ゲンは、ピノキオというよりは妖怪人間ベムなのか(でも彼にはベラもベロもいない分孤独だ←その喩えはどうか)。 *製作順でいうと、この話は第2話目にあたるらしい。だから途中で現われるきらら(松岡きっこ)は切ない目をして「陰の里へ帰れ、ゲン!」と言っているわけなんだな。
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2006,06,18, Sunday
「追いつめる」(1973年・S48・12月22日OA)
徳川家の娘を嫁に貰うことになった高槻藩。途中の宿で一行と鉢合わせたゲン(天知茂)は、陰公方の命で「陰」に狙われる姫を救うが、腰元が一人命を失った。実は彼女こそ本物。替え玉・かえでと側近は「陰」の一員だった。それを目撃した宿屋の主人は、幼い娘を遺して殺されてしまう。 少し前のこと、この宿に、陰の里から逃れてきたさと(宇津宮雅代)が身を寄せていた。娘・ちずが持っていた赤い簪からそれを察したゲンは、かえでから「月ヶ瀬」という地名を聞きだし、雲十郎(西村晃)の待つ陰の里へと乗り込んでゆく。 すでにさとは陰公方のもとへ連れ去られていた。古寺で雲十郎と対決し、致命傷を負わせたゲン。「陰公方とは何者なのだ?」だが雲十郎もまた、上からの指示を仰ぐだけの何も知らない男に過ぎなかった・・・。 宮川一郎さん脚本3部作の2作目。 久々に雲十郎が登場するし、さとも出てくるし、さすが最終回前だから佳境に入ってるなあと思いきや、製作ナンバー第6話、となっているので、#10「蒼い人魂火」(製作順では第11話)より前の話。お頭、早死にしすぎ。ワケのわからない「陰公方」の存在云々よりも、雲十郎との対決を最終回にもってきていればまだカタルシスもあっただろうに(しかも最終話、アレだもんなあ)。 *柘植のゲンだの、名張のなんとかだの、そして今回の月ヶ瀬だの、地元の名前がてんこもりでそれはなんだか嬉しい(実は私、伊賀モノなので) *初回のちこちゃんに続き、ちずちゃんにもすっかり懐かれていたゲン。天っちゃんの子供にモテるオーラのせいか?
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2006,06,18, Sunday
「ふたり幻之介」(1973年・S48・12月29日OA)
側室の子か、部屋住みの若衆か。相続争いかまびすしい城下で、ご丁寧に「斬 幻之介」と書いた紙を残す、幻之介(=ゲン:天知茂)の名を騙った仮面の辻斬りが発生していた。息子を擁立せんとする側室・お松の方が家老と共謀し、兵馬(千波丈太郎)という男に実行させていたのだ。 実はお松と兵馬は陰の里からの抜け忍。お松を逃す際に額に抜け忍の烙印を捺された兵馬は、抜け忍でありながら自由に表を闊歩しているゲンに激しい憎悪を抱いていた。一方ゲンは、ニセ・幻之介を追う途中、辻斬りで亡くなった者の屋敷の前で祈りを捧げる女・おふゆと出会う。彼女は兵馬の恋人で、隠れキリシタンでもあった。 事が成就すれば、領内の小島を貰い受け、同じく里から連れて来た恋人(=おふゆ)と静かに過ごしたいと願う兵馬。だがお松は秘密を知る彼の排除を望んでいて、捕らえたゲンに兵馬暗殺をもちかける。 闘いたくないというゲンに刀を向ける兵馬。それを止めようとしたおふゆが、現われた家老の凶弾に倒れた。お松をも抹殺した家老に襲い掛かり、相討ちで倒れた兵馬にゲンは駆け寄る。 馬鹿な奴だ・・・忍び崩れという奴は 人より早く走り 人より隠れるのが上手かろうと それが何ほどのことがあろう・・・ 虫の息の兵馬を目にし、抜け忍の哀れに思いを馳せるゲン。 お前だけは逃げ抜いてくれ、そう言って兵馬はゲンの腕の中で息絶えた。 空しさを噛み締めながら、ゲンは城下を後にした。朝焼けに向かって・・・。 *宮川一郎さん脚本第3作目にして、シリーズ最終話(製作順も同じ)。 ・・・あらすじを追うとたいそうシリアスな感じがするかもしれないが、とにかくツッコミどころ満載というか、(これが最終話なんて、色んな意味で)もったいない!としみじみ思う回だ。 のっけから仮面の辻斬りが笑わせてくれる。ふつう、こういう状況でヒョットコなんか被るか? しかもゲンまでヒョットコお面被って出てくるし。兵馬の恋人と遭遇して問い詰めるくだりもヒョットコのまま。最後に兵馬と対峙するときはさすがに般若面に変えていたが、ヒョットコと般若の対決ってのもどうかと(最後のセリフのときは素顔です念のため)。 その他、幻之介の人相書きの似てなさ(どこのおっさんだよ)にも苦笑したが、一番のディープ・インパクトは兵馬の抜け忍の烙印。眉間にでっかく、○に「抜」の字。あんたは筋肉マンか? たしかにこんな間抜け(文字通り)な烙印を捺されてしまってはヒョットコでも被るほかなかったのかもしれない。 これが仮に、雲十郎の死からずいぶん経過し、裏で操ってた怪しい爺さん連中もぽっくり逝っちゃっていて、「陰」たちもゲンひとりに構ってる場合じゃなくなった、というずうっと後の話だというなら別として、ゲンが分別臭くなってしまっているのも悲しい。彼はやっぱり「おのれ陰公方!」とピュアな瞳を燃やしながらびしばし追っ手を蹴散らしていて欲しかった(あれじゃあ眠狂四郎と変わらんじゃないか)。 宮川一郎さんは天っちゃんの魅せ方が滅法上手い脚本家ではあるのだが、エンタメ路線というか、土曜ワイド的というか、やっぱり根は新東宝なんだなあと思わせるある種の「クサミ」が滲み出てしまう場合があるような気がする。それはそれで好きなんだが、「無宿侍」でそんなテイストは出してほしくなかった。このシリーズで(しかも最終話で)「いやそれってどうよ!」と突っ込み笑いなんかしたくなかったもの。 ともあれ、他のシリーズと比べれば格段にハイレベルなテンションを保った13回だったことは確かだ。見られてよかった! *ゲンが出会った鳥追いの女(正体は公儀隠密)の存在理由がいまひとつよくわからなかった。今回の事件の証人、ということなのか?
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2006,06,15, Thursday
「血にぬれた母子草」(1981年・S56・9月1日OA)
夜。ぱりっとした紫の着物でエエトコ出の蘭学者みたいな新さん(実は長屋住まいの素浪人:天知茂)が読書をしていると、外に怪しい男たちの気配。だが彼らが探っていたのは新さんではなく、長屋に新しく越してきた梨絵(=なしえ:甲にしき)&長一郎親子だった。 長一郎の正体は、田沼ジュニア(原田大二郎)が遠州(静岡)で放蕩三昧していた頃の落としだね。身体が弱く余命幾ばくも無いと宣告された息子をひとめ父親に会わせようと、証拠の品である印籠と証書を持って江戸へ来た梨絵さんだが、側近に阻まれて面会すら叶わない。 一方、梨絵親子の住居に忍んで証拠品を奪おうとして失敗したジュニアの側近たちは、偶然にも同じ長屋に闇狩人ヘッドらしき男・鳥飼(=新さん)がいるのに気づき、父子の面会を条件に、新さんの身辺を探ってこいと梨絵さんに強要した。しかしフルネームまで分かってて、墓暴きまでしてたのに、まだ決定的証拠がつかめていないとはどうなっとるんだ田沼(どっちの味方だ>自分)。 長一郎は発作が続き、タイムリミットが迫っていた。そんな梨絵さんの苦境を知り、先に「聞きたいことがあるなら聞くがいい。何なりと力になろう」と直球勝負に出る新さん。「じゃあ、あなた闇狩人?」「仲間は誰と誰?」なんて聞かれることなど微塵もないと信じている自信家(もしくはマダム・キラー)ぶりだ。案の定、新さんの真正直さにころっと参った梨絵さんは、彼が一刀流の使い手(闇狩人ヘッドもそうだという情報は伝わっているらしい)であるということしか探れなかった。 *ここで「そんなに知りたいならお見せしよう」と言うや否やスパーン!(=手近の板を切った音)・スチャッ!(=さやを持ち上げて刀を納める音)と剣の腕を披露する新さんがカッコいい 梨絵さんの情報など「あわよくば」程度にしか思っていなかった田沼側近たちは、屋敷を訪れた梨絵さんに労いの言葉をかけるフリをして惨殺。だが、うすうすそうなる運命を察していた彼女は、証拠の印籠と証書を新さんに託していた。同じ頃、病の床についている長一郎が苦しい息の下でまだ見ぬ父を呼び続けているのを知った新さん、「万一のときは、代わりに父親として振舞ってほしい」との梨絵さんの遺言どおり、彼の手を握り「父はここにいるぞ!」と力強く励ました・・・のだが、その言葉を聞いて長一郎は安心して息を引き取ってしまう(なんだか新さんが殺したような気もしないでもない)。怒りに燃えた新さん一味は薄幸な親子の仇討ちのために田沼側近たちを斬り、印籠だけ突き返して闇狩りを終えた。 *ラスト、いきつけの居酒屋で酒を飲んでいる新さんの元に渚さんが「ねえ旦那、もうあそこの長屋引っ越したほうがいいですよ(バレそうだし)」と忠告しにくるシーンのBGMがやたら明るく、渚さんの表情もなんだか嬉しげで、悲惨な話の締めとしてはちょっと場違いだった(「なんならアタシの家に来ませんか?」とくるのか思ったらそうでもないし)・・・あれはなんだったのやら *井戸に落ちて以来姿が見えなかった花沢さん(仮名)、復活。新さんの洗濯物を梨絵さんから奪い取っていた
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2006,06,11, Sunday
「恋慕娘無残」(1973年・S48・12月1日OA)
襲い来る「陰」たちに目をやられたゲン(天知茂)は獣の罠に掛かり、気が付くと関所の牢屋にいた。とある重罪人を捕まえんがため、不審者は手当たり次第に牢に放り込まれていたのだ。どこからか逃げてきたらしい女、駆け落ちカップルらと脱出を試たゲンだが、最初に逃亡を提案したはずの女が叫ぶ。「牢破りです!」 混乱に乗じてひとり裏口から逃げた女をゲンは追う。他人を犠牲にしてまで生き延びたいのかと詰るゲンに対し、人は所詮ひとり、逃げ延びられなかったほうが悪いのだと言い返す女・阿茶(二本柳敏恵)。彼女こそが、藩と陰公方の駆け引きの犠牲となった貿易商・平戸屋の生き残りで、証拠となる海上通行証を持ったまま姿をくらまし双方から追われている‘重罪人'だった。 元使用人・権爺と合流した阿茶は、牢に隠してきた通行証を権爺に頼むが、彼は途中で「陰」の一員に殺された。家族を陥れた者への阿茶の激しい憎悪の心に惹かれたゲンは、彼女と共に牢に引き返す。「陰」や公儀が入り乱れるなか、関所小屋は爆発、なにもかもが燃えてしまった。遠いルソンの海を想いながら、阿茶はゲンの腕の中で息絶えた。 *身体を差し出すから命は助けてくれ、と地面に横たわった阿茶の胸元に手を差し込んだだけで「おぬし、生娘だな」と言い放つゲン、いろいろ学習したんだな。 *しかし、目に良いからと権爺が差し出したお茶(実は痺れ薬入り)を大人しくこくんと飲んでぱったり倒れるあたり、ちっとは疑わなきゃ死ぬよ!(そこがピュアで良いとはいえ) *ラストはお姫様抱っこ。河原なので足元が少々危なっかしそうだった。 *脚本:小山内美江子
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| TVドラマ(時代劇)::無宿侍 | 12:24 AM | comments (x) | trackback (x) | |
2006,06,11, Sunday
「蒼い人魂火」(1973年・S48・12月8日OA)
アル中農夫・為吉の一人息子、豊松が行方不明になった。「陰」に攫われたと睨んだものの、深入りを恐れて立ち去るゲンだが、女郎に身をおとした母親・お澄が息子を心配するあまりに足抜けし、女衒たちに殺されたのを目の当たりにして、豊松探しに協力する。だが為吉もまた、「陰」の一員(宮口二朗)の謀略によってあえなく命を落とした。 「陰」の集団に襲われ深手を負ったゲンは、とある寺に葬られたお澄の墓を訪れた。その横に「藤」の字が刻まれた塔婆を発見、弥藤次(山崎努)の面影が胸をよぎる。「お前がなぜここに・・・」そこへ住職の仙蔵と共に現れたのは、忘れえぬ女性・さと(宇津宮雅代)。 「・・・人殺し!」 かつてと同じ叱責の言葉を聞きながら、ゲンは意識を失った。 妹を殺され、自らも「陰」に追われたさとは、身投げしようとしたところを仙蔵に助けられ、寺に匿われていた。床に伏したゲンに懐剣を向けるさと。百姓として静かに暮らしたいと願った弥藤太をなぜ斬ったのかと詰られたゲンは呟く。 「本当に斬られたのは、この俺だ・・・」 弥藤次と自分にぐっさり‘斬られ’(=目を覚ましてもらって)抜け忍になったというゲンを、さとは刺せなかった。 「仇を討てと言って、弥藤次・・・!」 翌朝、墓前で彼に問いかけるさとの前に姿を見せたゲンは、供養のために弥藤次とお澄の墓前で打倒・陰公方の誓いを立てさせてくれと頼む。 だが突如現れた仙蔵がゲンに襲い掛かる。彼は40年もの間人知れず潜んでいた、陰公方の隠し目付けだったのだ。長い間掟に縛られた己を哀れに思わなかったのかと問うゲンに仙蔵は答える。「俺が掟よ!」丸腰のゲンの窮地に、さとは咄嗟に懐剣を投げ与えた。ゲンに倒された仙蔵は、さとと過ごした数日が夢のようだったと打ち明け、「ゲン、お前の荷は重過ぎる」解放された表情でそう言うと息を引き取った。 ―誓いを守って。 さともまた、ゲンの前から再び姿を消した。 豊松を盾に迫った「陰」のくの一・アカネをかわし、無事に豊松を救い出したゲンは、再び歩き始める・・・。 *かつて暗殺した男の娘には殺される覚悟だったにもかかわらず(#5)、さとさんが迫ってくると「まあ待て」「まあ聞け」と少し往生際の悪いゲンだった。そりゃ毎度夢でうなされるくらい気になってたひとだから、落ち着かんわなあ。 *ゲンは寺に預けたと言っていたが、ちこちゃん(さとの妹)、殺されてたのか〜(泣) *豊松くんという連れを見つけてなんだか嬉しそうなゲンだが、豊松もちこちゃんと同じ運命を辿りそうな気がして心配。
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2006,06,10, Saturday
「暮坂峠への疾走」(1972年・S47・3月18日OA)
「竜が舞うほど足が速い」のでその名がついたという、竜舞(=りゅうまい)の銀次(天知茂)。渡世人にしては人が善すぎるのか、受けた頼みは断り切れないタイプの彼は、通りすがりの旅人やら村の衆やらに良い様に使われたり騙されたり散々な目に遭っていて、とうとう相棒まで亡くしてしまった。 可哀相な相棒の墓を作ってやっているところへ、「国定忠治の首を盗んできてくれ」と頼みに来た男が二人。さすがに懲りた銀次は二人を追い返すが、ちょっと好奇心に駆られて(それが彼のイカンところだと思うわけだが)処刑場近くまで足を伸ばし、泊まった農家で相部屋になったいかにもワケありげな若い女性・おしず(梶芽衣子)が親の遺言とかで忠治の首を切望していることを知ると、やる気モード全開になってしまう。 処刑場から首をかっさらい、待ち合わせの峠まで猛ダッシュしてきた銀次を待っていたのは、物騒な手下をしたがえた先の男たちと、小奇麗な衣装に身を纏ったおしずさん。実は彼らはグルだったのだ。やっぱり騙され利用されたと知った銀次は、おしずさんに哀しい瞳を向けながら、口封じに襲いかかる男たちに対峙するのだった・・・。 原作とは違う展開なのが救いといえば救いだが、なにやら昭和ブルースが聞こえてきそうなラストではあった。 忠治の首を背負った銀次、待ち合わせ場所の暮坂峠までとにかく走る、走る、走る。・・・しかし、竜が舞うのは観たことがないとはいえ、ああいう走りをいうのかどうかは正直微妙だ。おまけにどうやらスタントさんっぽい疾走シーンもあって、一番の見せ所(だってタイトルがそうだから)がえらくあっさりしていたのが難点か。だいたい、「足速そう」なんていう形容は、「爽やかそう」と同じでどの時代の天っちゃんにも当てはまらないのではないだろうか?(失礼) しかし、気が良いせいで頼みごとはつい引き受けてしまうあたりは「素」でいけそうで、合っているといえば合っていた。 *原作について (主人公の描写) 長身で、大柄な身体である。表情を引き締めると、端正な顔に凄みが漂う。後半はともかく前半はどうよといったところだが、ドラマはほぼ原作通り。 ただラストが決定的に違っていた。そこが改変されていたからこそ、ドラマの方はいまひとつしっくりこなかったのかもしれない。しかし50年〜60年代の死ぬか逃げるか捕まるかな天っちゃんならともかく、(前に「ダーク」がつきそうでも)ヒーロー役者に変貌していた彼にはちょっと似合わないかもなあ、原作は。 *それにしても、70年代以降で、天っちゃんが劇中で死んでしまうような作品ってあるのだろうか?(あっ、ネタバレ)
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2006,06,05, Monday
「人肌人形一夜妻」(1981年・S56・8月25日OA)
好色な大店の旦那衆の最近の夜のお楽しみは、大枚をはたいて買った「生き人形」――かどわかされクスリ漬けにされた生娘――だ。人形製造元・公儀施寮院の院長と大目付・矢部は田沼の要請で、闇狩人との疑いが濃い(実際その通りなのだが)小唄の師匠・渚さん(坂口良子)を捕らえようとして、誤って彼女の教え子を拉致。慰みモノにされた娘は家に戻され、翌日自害した。 極道医者の道之介(赤ひげ風、もしくはジャン・バルジャン風のヒゲ付き宮内洋)は阿片に犯されたその娘を診察、かつて友人だった施寮院の院長の仕業と見破るが、金を積まれて引き下がる。道之介は友人の妹・千鶴(黒田福美)と恋仲だったが、3年前、強引に割って入ってきた大目付・矢部と出世を目論む友人に仲を引き裂かれ(千鶴はまもなく死んだと聞かされ)、それ以来ちょっぴり屈折した男になっていた(・・・のだけれど、あまりそうは見えないところが宮内さんらしいというかなんというか) だが実は千鶴さんは生きていた。矢部を拒み続けた挙句に身体を壊し、地下牢に閉じ込められている余命いくばくもない彼女を道之介にひとめ会わせたいと願う渚さんに、黒幕が田沼一派と知った新さん(天知茂)たちもバックアップ。屋敷に忍んできた道之介に抱かれ、千鶴さんは息を引き取った。だが道之介もまた、矢部の手の者たちによって斬られてしまう。ほんとにひとめ会っただけで。 応戦する渚さん&哲三に合流した新さん。「千鶴さんは!」「たった今息を引き取りました」「では間に合ったのか!」「いやそれが道之介さんも襲われて」「何ぃ!?」って、ある意味いちばん間に合ってないのは新さんだよ! しかも、普通なら死んだ道之介たちに皆で黙祷するなり一言声をかけるなりしてもよさそうなものだが、アフターフォローいっさい無しでエンディング・テーマに突入。新さんに親切にされるとロクなことはないが、全く無視されても同じなのだとしみじみ思った。 *出番と動きが極端に少なかった新さん=天っちゃん、体調でも悪かったのだろうか? (それとも他の仕事が忙しかった?) *立ち回りとか渚さんをオンブとか、一応見どころはあった宮内さん。ただでさえ大きい上に高下駄、という、龍@助け人のいでたちで、はっきりいってデカかった。大胆不敵にも主役を見下ろすつもりなのか、とドキドキしていたのだが・・・たぶん現場で出会ってすらいないんじゃないかこの2人。 *渚さん(坂口良子)の忍者衣裳が元通りに。うん、やっぱりアレ(=ピンクのシルク生地)はちょっとなあ。
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2006,06,04, Sunday
「皆殺しの宿場」(1973年・S48・10月13日OA)
ヘッドハンティングされて「陰」から侍の仲間入りを果たした左近次(山本麟一)とその部下が仕掛ける卑劣な罠に落ちた、ゲン改め卍(まんじ)幻之介(天知茂)。彼を嵌めるためだけに、親切心や恋人への思慕の気持ちを敵方に利用され踏みにじられてしまった薄幸の女郎・おしん(松尾嘉代)の前で、「なにもかも、穢されてしまったのだな・・・」と彼女を想って泣きそうな顔で呟くゲンのピュアな心に胸を打たれた。昼間っから酒飲んでたり、女を買ったりする金はどこから出とるんだ!との下種なツッコミもこのシーンで吹っ飛ぶ(小屋も文字通り吹っ飛ぶが、それは別として)。スレてないんだもんあんな顔して(失礼)! また、「ゲンはあたしが殺るんだ、他のヤツに手出しはさせないよ!」と結果的にゲンを左近次一味の手から救ったくの一もいい味出していた。ゲンちゃんは抜け忍になってもモテモテらしい。 *1話目のラストは吐く息が白かったのだが今回はぎらぎらの夏。時専chのプログラムガイドによると、20日もかけて撮影したのに(監督は五社英雄氏)製作後3年間も放映されなかった回らしい。何が駄目だったのだろう?
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2006,06,04, Sunday
「群狼の詩」(1973年・S48・10月20日OA)
貧乏だから、他人を更に貧乏にすることは出来ぬと上納金を自らの手で運ぶ百姓たち。もう貧乏にはこりごりだから、その金を奪おうとゲン(天知茂)に持ちかける賞金稼ぎの女(宮本信子)。そして、俺は人間の世界などに落ちたくはないと豪語するプライド高き別組織の忍び(夏八木勲)が入り乱れ、それぞれの立場での生きる理由を説く。 *上納金のダミーを運ばされて散々な目に遭い、ブチ切れる侍もいた。目下ピノキオ状態のゲンには、実に刺激的な体験だったに違いない。
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