2006,12,31, Sunday
#31「兇悪の報酬」(1973年・S48・11月1日OA)
雨の夜、病院に担ぎ込まれる手負いの人物。会田(天知茂)である。左脇腹あたりを撃たれたらしいが、「俺は平気だ、村越は・・・?」と呟く気力はある(でも寝癖チックな髪の乱れ具合は尋常ではない)彼に心配そうに寄り添う同僚の鈴木刑事(梅津栄←絵的にかなり濃い)。で、その村越(浜田晃)とやらは「しっかりして、ムラ〜!」と恋人・牧子(光川環世)の必死の声に付き添われながら会田の直後に収容された。 ふたりは別々の手術室に運ばれたが、ジャンキーの村越には麻酔が効かず、苦しみ抜いて事切れた。半狂乱になり、会田が消えた第二手術室を睨みつける牧子。「殺してやるわ、会田を・・・!」 彼女の大事なムラは会田に撃たれたのだ。ヤクの売人である村越を救うために会田に協力を請われていたにも関わらず、土壇場で踏み切れなかったのは牧子の方なのだが(そして逃走の際に村越が先に会田を撃ったのだが)、完全にキレた彼女は吉田刑事(多々良純)の拳銃を奪って第二手術室に乱入、ジワジワと苦しみながら死ぬがいい!などと物騒に叫んで患者の麻酔管をぶっちぎった・・・! ・・・もっとも、ここで我々視聴者は「さっき会田を手術していた担当医が若返っている」、「看護婦や医者が何か言いたげだ」という事実に気づくのだが、思いつめた牧子、焦ってる吉田刑事、そして会田が撃たれたとの知らせを聞いて病院に急行、すわセンパイ(=師匠)の一大事と手術室に飛び込んでしまった無鉄砲な坂井刑事(宮口二朗)ら周りが見えなくなってる人たちは、その患者が会田だとしばらく信じ込んで攻防を繰り広げる。 後から来たオトナの四方刑事(葉山良二)が真相(=患者は会田とは別人)を知り、院長と偽って手術室へ入った頃にはようやく間違いに気づいた牧子だったが、5分以内に会田を連れて来い、さもなくば皆殺しよっ!とさらに過激な要求を突きつける。だがこの頃になると、牧子の身体に異常が見られるようになっていた。実は彼女も麻薬に侵されていたのだ。 一方、手術を無事終えて別室にいたスリーピング・ビューティー会田は、竜巻クリーニング夫妻(左とん平&小牧リサ)や院長が見守る中、ようやく麻酔から覚めた。目覚めるなり「とんでもないことになってるんすよ!」とタロさんや院長にデリカシーの欠片もなく事の次第を聞かされた会田、当然ながら「おめおめここで寝ているわけにはいかん・・・!」と無理やり起き上がって手術室へ向かうことに。(しかし『あんたのせいで無実の患者の命が』みたいな言い方をしておいて「どうしようというんですか、まだ傷口が」も何もないだろう院長。ここで牧子の言葉(5分以内に云々)を壁越しに聞いていたにも関わらず何も言わなかった(しかも会田が起きてきたとき、一瞬彼を引き止めた)鈴木刑事の株が急上昇。) そして一触即発だった手術室に、勝負服(=背広)に身をかためた会田が現われた。 「俺を待っていたらしいな」 入るなり患者や部屋の者を「俺に任せろ!」と下がらせ、牧子と対峙する。 殺す? 俺をか。君にそれができるのか! 救いを求めている君に・・・! これ(ヤク)が本当に君の救いなのか。 甘えるな! 自分を救えるのは自分しかいない。 こいつは、君の心を、身体を、そして本当の姿を、蝕んだだけだ。 その鏡を見るがいい。 それが君だ。その顔のどこに君の顔がある。人間らしさがある! (中略) こんなもの(ヤク)がなくても人は生きていける。愛していける。 舞台に立ったことのある君ならわかるはずだ、 自分を偽って生きることのつらさを・・・! 等々、傷のせいでさらに抑制の効いた低音ボイスで麻薬撲滅キャンペーンをひとしきり繰り広げたあと「これはここに置いていく。君の好きにするがいい」とモルヒネのアンプルを残して部屋を出る会田。やはり傷口が開いたらしく扉の側でヨレヨレになりつつも、飛び込もうとする四方刑事を制して彼女に時間を与える。しばらくして牧子は半狂乱で部屋から出てきた。「元の身体にして・・・!昔のあたしにして・・・!」モルヒネを打たなかった彼女に、会田は安堵するのだった。 ラストは更正施設で中毒症状と闘う牧子を無言で励ます会田でエンドマーク(昭和ブルースは1番)。 *他の番組と違って、オープニング(クレジット部分)からエンディングまでぎっしり中身が詰まってる両切りタバコみたいな「非情のライセンス」。今回は特にそれが濃厚で目が離せない。特捜の面々がそれぞれ活躍しているのは珍しかったが(個人的には矢部警視にも出てきてほしいところだったが)、残り10分の会田ワンマンショーが全てを超越してしまうあたりが凄かった。さすがだ! (脱いだら色白モチ肌なのになあ←それは関係ない)
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2006,12,28, Thursday
#68「兇悪の青い鳥」(1975年・S50・1月16日OA)
一子(=いっちゃん)はいつもひとりぼっち。夜のお仕事をしているママはいっちゃんが邪魔だし、よく遊んでくれた眼鏡のおにいちゃん――ママは「ろくでなしのパパ」だっていう――はいつのまにかいっちゃんを置いてどこかに行ってしまった。 ある日、大好きな近所のおにいちゃん(下条アトム)にこっそり付いて行くと、おにいちゃんは知らないおうちで知らないおじさんのお首をギュッとしていた。でもその後、デパートの屋上や、大きなお船がたくさんいる海に連れて行ってくれたから、いっちゃんはそんな優しいおにいちゃんが大好きだ。 工場の高いところから落ちて頭に怪我をしたいっちゃんの元に、ちょっと面白い顔をしたケイサツのひと(右田刑事:左とん平)がきた。ケイサツのひとはみんな悪いひとだってママは言うし、おにいちゃんと約束したから、いっちゃんは何もしゃべらなかった。 でも次に家に来た白いコートのおじちゃん(会田:天知茂)は、ママとなんだか難しいお話をしてたと思ったらプイといなくなっちゃって、いっちゃんがアヒルのおばさんのところでエサをあげていたら来てくれた。怖いお顔だけど、いっちゃんがニコッてしたら微笑んでくれたから、悪いひとじゃないみたい。 白いコートのおじちゃんは次の日もやってきて、ドライヴに行こうよって誘ってくれた。ケイサツのひとじゃないの?って聞いたらウンって言ったし、おじさんは悪いひとじゃないよって言ってくれたから、いっちゃんは嬉しくて一緒に付いていった。食べ物屋さんの2階でトランプしながら、おにいちゃんのことをちょっと喋っちゃったんだけど、内緒にしようねって言われたから安心した。 この頃おにいちゃんは誰もいないところばかり連れて行ってくれるけど、いっちゃんはおにいちゃんがやっぱり大好き。でもおにいちゃんはもうすぐ引越すかもしれない、ってアヒルのおばさんから聞いてすごく心配になったから、付いてきちゃダメだよって言われたのに古い工場まで付いて行った。急に姿が見えなくなったおにいちゃんを探すうち、重たい扉が閉まっちゃって、いっちゃんは閉じ込められてしまった。一生懸命おにいちゃんを呼んだけど来てくれなくて、そのうち何も分からなくなった。 気が付くと扉が開いていて、おにいちゃんが涙を流しながらいっちゃんを抱きしめてくれた。そこへ白いコートのおじちゃんとケイサツのひとが来て、大好きなおにいちゃんをタイホする、って言った。白いコートのおじちゃんはケイサツのひとじゃないって言ったのに、いいひとだと思ってたのに!「 おじちゃんのウソつき! 」思いっきりにらむとおじちゃんはちょっぴり悲しそうな顔をしたけど、もうひとりのひとが止めるのもきかずに、いっちゃんの目の前で、おにいちゃんの手に光る輪っかをガチャンとはめた。 「人を殺すということは良くないということだけは、分からせなければいけないんだ! たとえどんなにむごいことであっても・・・それがいずれこの子のためになるんだ・・・強く生きなければならない、この子のためにな・・・!」 おじちゃんの言葉。今はよく分からない。 夕陽の中、おにいちゃんは車に乗せられて行ってしまった。一生懸命追いかけたけど、いっちゃんを置いて、行ってしまった。 ――おにいちゃん、行っちゃいや! ――おじちゃんの、ウソつき! *会田の辛さをいつか分かってやってくれよ、いっちゃん・・・!(ちなみに「昭和ブルース」は王道の1番) *おにいちゃん=小倉伸一は、生活のためにクラブで働いていた新妻を誘惑し自殺に追い込んだ男を絞殺。その現場を一子に見られたために、連れ回してひと気のない場所で殺そうとしていたのだった(どうやら彼女の頭の怪我も、彼が突き落としたせいらしい) *育児放棄の一子の母親(夜の女)を見て、自分の母親もひどい女だったと会田に過去を語る右田刑事。「会田さんには分からないんだ。俺は男だったからまだましだったけど、あの子は女の子なんですよ・・・!」ラストの車中での言葉に、彼の優しさが滲み出ていた。そこで何も言わずに車を一子から遠ざける会田がまた切なくていい。 *でもってそんな優しい右田刑事がお気に入りになったらしい会田は、彼と自宅(会田の)で一杯やる仲になっていた。
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2006,12,15, Friday
#65「兇悪の噴煙」(1974年・S49・12月26日OA)
冒頭いきなり採掘場で男が爆死。年の離れた妻の由紀(武原英子)はその遺体が夫・林(潮万太郎)だと証言するが、どうも様子が不自然だ。江沢刑事(江波杏子)は身代わりを立てた狂言ではないかと調べを進めるが、なぜか会田(天知茂)は、偽証バレバレっぽい林夫人を庇うのだった。 「今度の俺はどうかしている・・・」部屋でブランデー・グラスを片手に考え込む会田。自覚はあるらしいが理性のネジが少々緩み気味の彼は、やはり生きていた夫からの連絡で鹿児島へと向かったらしい夫人を追って城山観光ホテル(今回のタイアップ先)へ。同じく鹿児島入りしていた江沢刑事や大門刑事(高城丈二)が現地PRに余念がない中(コワモテの高城さんがニッコリ笑って「おはら餅、ウマいよ喰うかい?」とわざわざパッケージをかざして江波さんに勧めている姿はインパクトがあった)、会田はというと、林夫人に自首を勧めるため(だとは思うが)、夕食を共にしたりサイケなシャツでゴルフに付き合ったり、ひたすら奥さんあなたの会田ですってな状態で彼女に密着。夫人のほうも「会田さんは、私が昔好きだった方に似てますの」とかなんとか言ってモーションをかけまくる。 そうこうしているうちに夫から『海外へ高飛びするから一緒に来い』との連絡を受けた夫人。会田の部屋のドアへ「鍵は開いています」とのメモを差込み、最後のアバンチュールを計画した。しかしさすがに会田は(彼女の部屋には行ったものの)一線を越せずにその場を去ってしまう。どうにも引き下がれなかった(らしい)夫人は、夫から送られてきた航空券を残して小島(←会田と一緒に散歩した場所)へ赴き、会田にファーストネームを呼んでもらう&お姫様抱っこをしてもらう権利を命と引き換えに勝ち取るという最終手段に訴えて、見事それを果たしたのだった。 ラストは会田が空港にて海外逃亡を図ろうとしていた夫をボコ殴りしておしまい(夫人の面影を思い出しながらの「昭和ブルース」は♪なんにもせずに 死んでゆく〜♪の3番)。 *ほんの6話分空いただけで奥さん奥さんとやたら連呼するマダムキラーと化していた会田(ロケだからか?)。全国のお茶の間の奥さま達はさぞ喜んだのだろう。・・・そういえば、レストランで飲んでいる時に生ピアノの演奏が流れていたのだが、アップになったピアニストの顔がなんだか本物の奥さん(=純代夫人)に似ているような気がしてちょっとウケた。ってまさかロケに着いていってたんじゃ・・・? *夫の秘書役で池田・ゼロワン・駿介さんが登場していた(#9「兇悪の口紅」と同じ鹿児島ロケだったようで)
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2006,12,10, Sunday
一歩間違えばお笑い以外の何物でもない「白髪鬼」を田村高廣さんが怪演、それを動じない態度で受けて立ついつもクールな明智センセイ。ただ前作に引き続き「センセイ(ヒロイン)に萌えないヒロイン(センセイ)」なうえに、センセイがいなくても話が十分成り立っているせいで、少々影が薄いのが残念です。
【明智先生ファッション劇場】:センセイの服装をキャプチャーしてみました(服の種類は多くないのですが、金鎖は復活)
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2006,11,30, Thursday
第二部・花ひらく炎(6)(1963年・S38・5月14日 PM1:30-1:45 OA)
「女シリーズ 炎の河」(=「続・炎の河」)21話の台本を入手。この回のキャストは(台本のまま引用すると): 渥美葉子 : 高倉みゆき 海老名昭二郎 : 天知茂 和子 : 春風すみれ (ミナミのバー“翡翠”のマダム。海老名と同年輩。太っ腹で包容力がある。痩せぎすな美人) バーテン : 高橋英介 (住み込み。十九か二十。美少年) 女秘書 : 松島和子 *入手したのはその「美少年」のバーテン役の方の台本らしく、ほんの二言三言のセリフのところにも下線を引っ張って「はっきりと」など書き込みがあってリアルだった 天っちゃんと高倉さんには人物紹介はないが、どうやらヒロイン・葉子は離婚したてで喫茶店の経営に乗り出そうとしていて、資金が足りない分を、宝石商を営んでいるらしい海老名氏に借りに来るところである。タイトルバックでいきなり 応接の椅子に腰掛け、例のパーコレーターの珈琲を前に珈琲をすすりながら、ダイヤの指輪を手に眺めている昭二郎 なんてシーンから開始(そのあと溜息まじりの独り言ナレーションも付く)、すぐに葉子さん登場。指輪に気付いて「あらこれ、わたしにくださるの?」と喜んで指にはめちゃう葉子さんだが、「いやいやこれは頼まれもので」と自分の指にはめて見せびらかしながら眺める昭二郎。きっと当時の華奢な指にダイヤは映えただろうと思われるが、いい奴なのかそうでないのかよくわからない。そのあと葉子さんが百万円借りにきたと知って 昭二郎:ほう・・・とうとうぼくに借りにきましたね。これまでは、ぼくはことわられどうしだったんだが・・・(と、にやり) と言うのだが、この「にやり」もなんだか意味深(しかし、資金を丸ごと周旋屋に渡すと言う彼女を心配しているようなそぶりもある)。 次の場面はバー「翡翠」。やはり葉子さんは周旋屋に騙されて資金を全部取られてしまい、昭二郎がここにいると(彼の会社で)聞いてやってきたのだった。ネグリジェ姿で現われたマダム・和子に2階へ通されると、そこには同じくガウン姿でタバコをぷうぷうふかしながら(←そう台本に書いてある<ぷうぷう)新聞を読んでいる昭二郎がいた。気まずく見詰め合うふたり。だが“太っ腹で包容力がある”マダムはそんな二人の様子もなんのその、「なんかウチに出来ることあったら、力になったげるわ」と協力を惜しまない。そこで葉子さんは、ある方から百万円借りているので、ここで働かせてもらえないかと(ある方=昭二郎であることは伏せて)切り出し了解を得る。その時、マダムの手に輝く例のダイヤの指輪を思わず凝視する葉子さん。 和子:これかいな・・・さっき、うちのひとにもらいましてん・・・やさしおまっしゃろ・・・ うちのひとかよ! との内心の驚きを隠し寂しそうに微笑む葉子さん。ベッドに寝転がったまま無言の昭二郎。・・・というところでおしまい。うーん、続きが気になるなあ。←既に昼メロのとりこ *毎日放送・七ふく製薬提供。 *製作スケジュールが 本読み・立稽古:5/1(火)12:00~18:00 ドライ:5/3(木)24:00~1:30 カメリハ:2:00~3:30 VTR本番:3:45~4:00 と書いてあるのだが、このカメリハ・本番の2時とか3時というのは、もしかして午前なのだろうか? ベッドに寝転がったらほんとに寝ちゃいそうだ。
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2006,11,24, Friday
#58「兇悪の母」(1974年・S49・11月7日OA)
銀行勤めの夫、結婚間近の娘、高校3年の息子と和やかな家庭を築いていた主婦・文江(小畠絹子)の幸せは、ある朝コワモテの刑事(=会田:天知茂。同伴は右田刑事)が訪ねてきたことで崩れ始める。 彼女の夫・一郎は裏金の横流し容疑で事情聴取を受けた後、料亭で青酸カリを飲んで死亡。ご丁寧に特捜部あてに抗議の遺書をしたためての自殺に疑問を持った会田は文江に接触を図ろうとするが、彼女は頑なに沈黙を守る。面倒をみようと約束してくれた一郎の上司・小沢(戸浦六宏)を頼り、子供たちと生活を立て直そうとする彼女だったが、まもなく娘は縁談を断られたショックで自殺、母の卑屈な態度に反抗した息子は小沢に刃物を向け、傷害の現行犯で逮捕された。 一方、会田たちは黒幕が小沢で、一郎は利用され抹殺されたと睨んでいた。だがそれを裏づけるには一郎が遺した証拠のメモが必要で、文江の協力なしでは手も足も出ない状態だった。そのうち、小沢の息のかかった弁護士(中条静夫)のはからいで息子は釈放され、文江の元へ戻った。ああみえてフェミニストな会田は「おっかさん」には特に弱いようで(それとも相手が小畠さんだから?)、社会悪を糾弾できずに悔しい思いをしながらも文江母子のちいさな幸せを願ってみたりするのだが、すっかりグレた息子は今度はチンピラ相手にひと悶着起こし、人ひとりを殺してしまう。 文江が必死に守ろうとしたものは脆くも崩れ去った。俺がこうなったのはお袋のせいだ!と文江に食って掛かる息子を「お前は自分の痛みしか分からんのか!」と髪を振り乱してボコる会田に触発されたのか、文江は証拠のメモを手に、レストランで一家団欒を楽しむ小沢の元へ行き、彼の息子の首に刃物を突きつけた。息子を助けたければ夫に仕組んだように遺書を書いてお前も死ねと小沢に迫る文江だったが、間一髪で駆けつけた会田の説得(というより協力)により流血の事態は回避、小沢たちの悪事は明るみに出ることになったのだった。(昭和ブルースは当然♪この世に生んだおかあさん〜♪の2番)。 *小畠さんと二人っきりのシーンが結構多く、シリアスな展開なのに新東宝時代を思い出してニヤケてしまった。 *多々良純さんの居酒屋にて、とん平さん・葉山良二さんと3人でしみじみ飲んでるシーンが2度ほどあるのだが、3人とも息が微妙にずれているというか空回りしていて、見ているこっちまで脱力する。 *(2007.8.5追記)戸浦さんが家族団らんで食事していたレストラン・ストックホルム、まだ営業しているようなので今度行って見たいような(出刃包丁持った小畠さんが来ると怖いが)
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2006,11,07, Tuesday
美女シリーズのなんたるかをストレートに表わしている傑作のひとつ。ずいぶん前からこの回(と、抱き合わせで続編)だけがビデオ化されていたのも頷けます。明智VS黄金仮面(=ルパン)という組み合わせが荒唐無稽な、どちらかと言えばジュブナイル向きの原作に、シリーズ独特のエロチックさ&いかがわしさを多分にちりばめて、おとーさんも子供さんもそこそこ一緒に楽しめそうな娯楽大作に仕上がっています。
ちなみにあのテーマ曲がエンディング(と予告編)で初出した記念すべき回です(あと、柏原=小林君のデビュー作でもあります) 【明智先生ファッション劇場】:センセイの服装をキャプチャーしてみました(真っ当な変装がふたつばかり。・・・あ、金鎖が途絶えましたね)
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2006,10,31, Tuesday
#57「兇悪のカナリヤ」(1974年・S49・10月31日OA)
さきごろ電撃移籍した歌手・蘭れい子(池玲子)を自宅のTVでニコニコと鑑賞中の矢部警視(山村聡)。お父さん趣味悪いわねえ、清純歌手ってふれ込みだけど色々あるみたいよ彼女、との娘の言葉が信じられない矢部さん(が正直ちょっと信じられない。相手は女番長ですよ、先天性淫婦の池玲子さんですよ部長!)はネタ元の女性誌をチェック、彼女の移籍によってバックにいた東西の暴力団が一触即発状態なことを知り、かつて四課(=マル暴)だった会田(ゴシップより昼寝が好きらしい:天知茂)に双方を殲滅するよう指令を出した。 記者会見の場で、れい子がどちらにせよ暴力団の手中にある点をストレートに突く会田に、彼女は自ら接触してきた。「アタシを抱きたくない?」「来るものはこばまない主義だから当然遠慮なく」まんざらでもない会田の様子に、見返りとしてマネージャーの村井(世界のニナガワになる前の蜷川幸雄)を殺して欲しい、とれい子は続けた。 無言でベッドインしたものの、いざというとき電気を点け警察手帳をかざす会田(相当キザ)。 そんな折、彼女の秘密を握っていたらしいトップ屋(中田博久)が殺された。稼ぎ頭に抜けられた東の暴力団・東華会の秋川(高品格)は、関西の倉田組に乗り換えたマネージャーの村井に怒り心頭だったのだが、この殺人を機に密かに協力体制を敷いていた。実はれい子の身体は麻薬に侵されており、ヤクの供給源である双方の組織は密売ルートが表沙汰になるのを避けたかったのである。 れい子に接触した会田も狙われた。彼が帰宅して洗面所の蛇口を捻ったところでピストル片手にドアから忍び寄った刺客だが、棚に隠れた会田にあえなく捕まり水攻めに(なぜシャワーまで待てなかったのか刺客よ)。男の「もう遅い、れい子も消される」との言葉を受けてマンションに急行した会田は、彼女ではなく、顔見知りになっていた追っかけの青年・三郎(石田信之)の射殺体を目にした。 れい子の同級生である三郎は彼女の窮地を知り、なんとか助け出そうとしたのだが、あえなく命を落としてしまったのだ。れい子は更正施設に収容された。檻の中でもがき苦しみながら、三郎との思い出の子守歌だけを口ずさむれい子を、会田はただ見つめるばかりだった・・・(昭和ブルースは4番)。 *基本設定は「兇悪のささやき」(「兇悪の眼」収録)に沿っているが、原作よりれい子の悲劇に重点が置かれていた。れい子が飼っている駕籠の中のカナリヤと彼女自身との対比が印象的。
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2006,10,29, Sunday
真犯人の哀しい最期の演技に言葉を失います。共犯を持ち掛けられたり撃たれたり、明智センセイ受難度高し。
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2006,10,26, Thursday
#56「兇悪の火」(1974年・S49・10月24日OA)
駅構内で目を光らせていた会田(シークレット度の高そうな靴も光っていた天知茂)以下特捜部の面々は、ゴミ箱の中の袋(=現金入り)をもぎ取った若い男・大崎を追いかけ逮捕した。大手石油会社に脅迫電話をかけ、金を強請りとろうとした容疑で右田刑事(左とん平)が尋問を担当するが、大崎は、強請りのタネである会社が紛失したという書類を持っていなかったためシラを切る。 大崎の女を洗ってはどうか、と馴染みの小料理屋の亭主(第1シリーズでは刑事だった多々良純さん)にアドバイスを受ける右田だが、やり手の会田が一足先に女のアパートを訪れていた。勤め先のクラブで石油会社の専務が落とした書類を拾い、大崎をけしかけたのは彼女・北川ミヤ(夏純子)だった。彼女は、この石油会社専務・尾山の汚職の事実を握った矢先に自殺させられた父の恨みを晴らそうとしていたのだ。 今書類を返せば火遊びということで片付けよう、そう持ちかけた会田を小悪魔のように翻弄したミヤは、問題の書類を義理の母に預け、固く口止めする。母が存命中の頃から父と関係のあった義母をミヤは憎悪しており、またそのことで引け目を感じている義母はミヤに対して強い態度がとれないでいた。 会田は大崎を釈放し、彼らの出方を探る。賢明なミヤが罠の匂いを嗅ぎ取り大崎に近づこうとしなかったせいで、彼はミヤの義母の所へ向かい金を無心した。金をくれなければミヤを殺して自分も死ぬと脅され彼女は苦悩する。 そして2度目の脅迫電話が、金額と場所を指定してきた――。 再びアパートでミヤに対峙する会田(留守中に勝手に上がり込みレコードまでかけてるあたりがやり手 ←いいのか)。義母を巻き込むことで暗い復讐心を満足させている彼女を会田は義母宅へ連れて行く。留守の家には、ミヤが持つ父母の写真と同じものが大切に仏壇に飾られていた。義母の想いを知り動揺を隠せないミヤ。 2度目の脅迫電話はミヤではなかった。指定場所へと向かった会田たち特捜部の前に現われたのは、ミヤの義母。証拠の書類を手にし、すべて自分の犯行だという彼女に会田は無言で手錠をかける。驚く特捜の面々(うわっこの人マジで非情だよ!と口には出さないが一様に心で叫んでいるような雰囲気)。それを見たミヤが叫んだ。「お母さんは関係ないわ・・・!」会田はこの言葉を待っていたのだった。 ミヤは留置所に送られた。そして問題の書類(灯油価が上がること必須の、外国との契約書)は、会田の手によって灰に帰した・・・(昭和ブルースは1番) *数年後、明智センセイに呪いの言葉を吐き散らすことになる「白い人魚の美女」・夏純子さんが、ここでも思いつめたら自制のきかないヒロインを熱演していた。ドビュッシーの「ラ・メール(海)」をバックに繰り広げられる会田とのやりとりは圧巻。純白バニーガール姿もあり、会田をして「可愛いアクマ」と言わしめるまさに小悪魔的魅力の持ち主だった(でもってそんな発言後「バカモーン!はやく書類取り戻せ!」と矢部警視に怒鳴られる会田)。 *特捜部は自分の好きなように捜査を行なえるらしいのだが、会田に先を越されまくる右田刑事を見ているとものすごく効率の悪い捜査法に思える(というより会田がやり手すぎるのか)・・・せめて分担決めとこうよ! *多々良さん扮する元・刑事の小料理屋(「吉田亭」)、最初は親娘で切り盛りする小さな店っぽかったのに、気が付くと板前(北町嘉朗さん)がいたり女の子がもう一人ふえたり、グレードアップしていた。のれんの形状が手錠になってるあたりの小技も効いている。
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