2007,08,12, Sunday
#59「兇悪の黒い天使」(1974年・S49・11月14日OA)
実業界の大物が次々に射殺される事件が起こった。しかし追い詰められた狙撃犯は屋上から転落死。一件落着したようにみえたが、会田(矢部さんがいないので真ん中に陣取って仕切っている天知茂)は真犯人が背後にいると直感、再び事件が起きることを予測する。 会田が目星をつけた真犯人とは、被害者たちに会社を潰された過去を持つ女実業家・上坂晶(影万里江)。彼女は自身の復讐のため、過激派の若者たちを使って狙撃を指示していた。こんな事件には関わりたくないと言いながらも会田は晶を尾行、滞在先のホテルの部屋に先に潜り込み彼女を詰問する(「警察を呼ぶわよ!」と言われて後ろ向きのまま手帳だけチャッとかざすところからキザ全開モードに)。 会田と晶が危険な香りのプンプン漂う濃厚な会話を展開中、若者3人組は次のターゲットを襲う準備に取り掛かっていた。しかし晶からの封筒には、標的の写真ではなく白紙が一枚。会田が前もって抜いておいたのだ。それでも「場所は分かっているからそこにいるヤツらを皆殺しにしようぜ」と過激なことを言い出した連中は実行場所へ。 標的・勝又(富田仲次郎)の居場所が掴めなかった会田だが、若者たちの暴走を知った晶の自白で現場へ急行、間一髪で狙撃を阻止した。ところが若者同士が仲間割れ、仲間に銃を突き付けられたほうが会田に「邪魔をするな!」とエラそうな口をきく。「俺は特捜部の刑事だ! 矢部さんに聞いてくれ!」叫ぶ男にええい面倒だとばかりに手錠を掛けた会田だが、彼・南(望月太郎)は本当に特捜の刑事だった(特捜部の個人主義ぶりが伺える一幕だ)。 またしても会社潰しを計画していた勝又も逮捕された。現場に来て彼に銃を向けた晶は、会田の静かで怖い視線に圧されたように動きを止めるのだった(昭和ブルースは1番) *動きの少なかった会田のバランスを取るように、若々しい新刑事がアンダーカバーで登場(おっさんが多い特捜部の若返りを図ったのか?)。 我々視聴者はオープニングで南“刑事”だと分かっていたが、会田は知る由もなかっただろう。っていうか矢部部長、紹介くらいしてあげてください。 *晶役の影さんは当時の劇団四季の看板女優(南刑事役の望月さんも四季所属)。外見はそれほど華があるようには見えないけれど(失礼)、会田との演劇っぽい=歯の浮くような応酬がとても似合っていた。 *晶に「俺も人を殺したいと思ったことが何度もある」と言って思いとどまらせた会田。でも貴方はその都度殺していませんか。
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 03:54 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,07,30, Monday
シリーズ一のヘタレ作と評判の高い本作、じっくり見てみると雰囲気はそれなりです。ロケ多いし、アクション多いし、お色気もたっぷりだし、どんでん返しもあるし。ただ何が駄目なのかというと、黄金仮面の節操の無さ(いくら富士子さんがそうなったからってその行動はどうなんですか)、そして前回同様、後手に回ることが多かった明智センセイのヘタレ(にみえる)推理かと(変装力も負けてますし)。せめて1勝1敗にして欲しかった気がします。特に後半は、もう少し違う展開で見てみたかったなあ。
もっとも、恒例(?)となった「危ない明智センセイ!シーン」のド迫力はおそらく本作がベストだと思います。あれは死ぬでしょ、フツー。 その他明智センセイ的に気になったことといえば、髪型が、ちょっと・・・。 (ハッ、なにか言ってはいけないことを口走ってしまったような・・・!) 【明智先生ファッション劇場】:センセイの服装をキャプチャーしてみました(いつもに比べて背広率が低めです)
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| TVドラマ(現代劇)::江戸川乱歩シリーズ | 10:20 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,07,19, Thursday
#109「兇悪の壁」(1975年・S50・11月13日OA)
会田(天知茂)の休暇願いをあっさり受諾した矢部警視(山村聡)はにこやかにお小遣い(20万円!)までフンパツ。ただし条件は、ある女性と過ごすこと。彼女の写真を見て会田は驚いた。近ごろ世間を震撼させた某国政治家の拉致事件の目撃者で、命を狙われ公安で身柄を保護しているはずの重要人物だったのだ。そんな女性と一緒にいたら気の休まる暇がない、とぶーたれる会田をよそに、矢部は「彼(=会田)は独身で女性の扱いにも慣れていますから安心ですよ」などと良く分からない理屈で“鈴木よし子”(矢部さんが付けた仮名:吉行和子)を引き合わせる。 「この方が安全だからって矢部さんが」とのことで仕方なく“よし子”の真っ赤なスポーツカーで自宅マンションへ向かう会田だったが、さっそく尾行車が現われ、立ち寄った喫茶店でも胡散臭い男たちに絡まれる(喫茶店の食材を全部くれとウエイトレスに頼む会田もたいがい胡散臭いがそれはさておき)。そしてマンションで会田のお手製料理を堪能し落ち着いたのも束の間、森山周一郎声で掛かってくる脅迫電話。怯える“よし子”を力強く励ます会田、ふたりの身体は自然に重なり合うのだった(だからどこが安心なんですか>矢部さん)。 翌日、ほんわか新婚さん気分に浸っていた彼らの元へ、不審な小包が届けられる。最悪の事態に備えて必死に浴槽内で解体したそれは幸い単なる脅しに過ぎなかったのだが、敵の包囲網の狭まりを感じて迂闊に動けないでいるうちに数日が過ぎ、気が付いたときにはライフラインを全て絶たれてしまっていた。何よりも食料が底を衝いたことにイラついた(推定)会田は“よし子”を連れて車に乗り込むが、大型ダンプの挟み撃ちに遭う。銃撃戦を制した会田の眼に飛び込んできたのは、被弾した“よし子”の姿。 ――自分は本当の目撃者ではない、敵を欺くには、私が死ねばそれでいい。 虫の息で真相を語り息絶えた彼女を前に、会田はなすすべもなかった。 何もかも承知で自分に彼女を預けた矢部に掴みかからんばかりに詰め寄る会田だが、殺すつもりはなかったと返されては言葉が無い。「せめて、彼女の本当の名前を・・・!」会田の懇願にも、明かさぬことが約束だからと冷静に告げて矢部警視は去った。立ち尽くす会田ひとりを残して…(昭和ブルースは3番)。 *実際に起こった金大中事件がモデル。原作(「兇悪の眼」収録)の“鈴木さん”は男性なので会田と寝食を共にしても違和感がなかったが、独身かつ女に甘い会田に彼女を預ける矢部さんの真意は謎である。謎といえば、電話やら電気やら、すべてのライフラインを絶たれるまで何もせず部屋に引きこもっていた会田も不自然(原作だと食料だけが無くなったので買出しにいこう、ってことで外へ出る)。だがその「なんかおかしいよなあ」を払拭してあまりある無情のラストがいい。 *彼女がシャワー中にちゃっちゃと料理を作ってしまう会田。帰宅後すぐ「先にハムは冷蔵庫に入れなきゃ悪くなる」とか言って冷蔵庫に肉類を突っ込む主婦のカガミのようなマメさが可笑しい。 *毎回ゲストと寝ているような印象のある会田だが、ラブシーン自体は珍しいそうだ。これにしても、重なり合って画面がぐるぐるしてるだけなので拍子抜けする(←何を期待しているのか)
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2007,07,17, Tuesday
「第三の女: 箱根富士山~マドリッド古城、謎の殺人契約~愛されて死にたい」(1982年・S56・9月4日OA)
マドリッドで食品衛生学を研究する大学助教授・大湖浩平(天知茂)には、殺したいほど憎悪する相手がいる。有害物質入りの菓子を販売する企業と癒着してデータを改ざんし、子供たちが毒のせいで亡くなっていくのを黙殺する上司・吉見教授(山形勲)だ。 今日もフラメンコを上下の階で見ながら吉見を瞬殺しそうな目つきで睨んでいた大湖だったが、凝り固まりすぎた考え(と眉間)をほぐすため、バルセロナ近郊の友人の古城へと車を走らせた。だが友人宅では賑やかな仮面舞踏会の真っ最中。仕方なく黒いマスク(二十面相風)を付けて所在無さげに佇んでいたその時、運命の女性に出会う。サメジマフミコと名乗った赤い仮面のその女性もまた、ある人物の死を願っていた。互いの胸の裡を一瞬にして理解しあったふたりは(土ワイの当時のお約束どおり開始10分あまりで)身体を重ね、仮面のまま別れる。 ほどなくして、吉見教授が自宅で毒殺された。地元警察のマンリーケ警部(ポール・狼男・ナッチィ)となぜか明智センセイ&波越警部のようにマンリーケとつるんでいる私立探偵のマリア・サラサール(ラ・ポーチャ)は、吉見と確執があった大湖を疑うが、彼にはフミコによって用意された鉄壁のアリバイが。そして、フミコが自分の代わりに吉見を殺害したことを確信した大湖の元に、一枚の絵葉書が届く。富士山を抱く箱根・芦ノ湖畔――それは、今度は貴方の番よとのフミコからのメッセージだった。 大湖はマンリーケ警部らの監視をかいくぐって箱根へと赴き、フミコのターゲット・永原翠(樋口可南子)を誘い出してネクタイで絞殺した。バルセロナの夜が忘れられない彼は“交換殺人”が完了したと告げるためにもフミコとコンタクトを取りたいと願うのだが、誰がフミコなのかが分からない。かつて翠に夫を殺されたと信じる久米悠子(あべ静江)か? それとも翠の異母妹・茜(樋口二役)なのか? 日本・スペインの捜査網が狭まる中、大湖が見つける驚愕の真相とは果たして…?(いちおうサスペンスなのでネタバレはここらで自粛) 土曜ワイド劇場5周年記念番組、らしい。82年といえば、正月2日放送の「天国と地獄の美女」から始まって「化粧台の美女」(4月)「湖底の美女」(10月)と、美女シリーズが圧倒的な勢いを誇っていた時期であり(ちなみに私がリアルタイムで美女シリーズを見始めたのもまさにこの年の「天国…」からだった)天知茂=明智小五郎という印象が非常に強いため、外見・性格がほぼ明智センセイなプロフェッサー・大湖が人を殺めたり2度もラブシーンをこなしたりする姿には正直驚かされる。しかしその“偏見”が幸いしてか、原作(夏樹静子著)では欲を抑えきれず暴走したりもするトホホな面がある大湖が、ここでは患者の子供たちから渦中の女性陣、はたまた探偵のマリアさんに至るまで皆にモテまくる上、人間的にも大層立派な人物に見えたのも確かだ。 *日本サイドの警部は加藤武さん。でも「よおし、分かった!」とかは言わないし(当たり前だ)、天っちゃんとの絡みは皆無だった。 *問題(?)のラブシーン、アダルトかつアーティスティックな雰囲気で(攻める箇所がまた原作のポイントをうまく押さえていて)なかなかよろしゅうございました。
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2007,06,25, Monday
東映TVドラマ主題歌大全集 2 現代劇篇
昭和45年~56年の今ではかなりレアなTV現代劇のOP・EDタイトル(主に第1話)がどっさり収められているLD。同種のものがビデオでも出ているが、LDの方が収録数が多いようだ。 天っちゃん関連作品では、 野望(1977年主演作) 非情のライセンス(第2・第3シリーズ) 白昼の死角(1979年特別出演作) のOPが見られる。ただ「白昼の死角」は名前のみ、非ライはエンディング(つまり「昭和ブルース」)が入っておらず、おまけに第2・3シリーズ第1話OPでの会田率は1%未満なので残念なのだが、目玉はとにかく「野望」ED、これに尽きる。 伊部晴美さんの物哀しいギターの音色とともに現われるのが、白いハンチングを被った主人公(青空の下、白いヨットでセーリング中の天知茂)のアップ。まぶしそうに見つめる先には、赤いバンダナが鮮やかな三田佳子。よくみると手首にリストカットの痕があり、さっそく眉間にシワを寄せる天っちゃん(というカットが2度ほど繰り返され、ぼけーっと見ている視聴者でも何があったんだコイツら、とちゃんと不思議がれる仕組になっている)。 一方、高層ビルの1室に集まってなにやら渋い顔を突き合わせている山形勲・内田朝雄・内藤武敏の中に、慌てた様子で飛び込んでくる根上淳。この物騒なメンツの役割は果たして何なのか。そして再びヨット上。演歌チックな「流れの雲に」(作詞:川内康範センセイ、歌うはもちろん主役本人)が濃厚な雰囲気をバックアップする中、キャストの最後尾に「天知茂」のテロップ。そして協力:アマチプロゼ。天っちゃんの思い入れがガンガン伝わってくる熱いEDだ。 しかしながら『青い空とヨット』という爽やかアイテムが似合わないヒトであることも露見。というより、どの角度から映っても綱持ったまま微動だにしないので「・・・もしかして、怖いのか?」と余計なことを考えてしまうのであった。 *東京12chの「江戸川乱歩シリーズ」のOP・EDが美女シリーズに負けず劣らず濃厚で面白そうだった(ちなみに山村聡さんが“平井教授”で出ている) *(2009.1.27追記)収録の「野望」はOPではなくEDだったので修正。
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2007,05,27, Sunday
#40「兇悪の望郷」(1974年・S49・1月3日OA)
暴力団・真中組への融資を検討する金融会社の調査員・金山三郎になりすまして組を内偵中の会田(チェック柄のトレンチ着用:天知茂)。組長(加藤嘉)の下には、武闘派の上野(山岡徹也)らと対立する経済面担当のやり手・戸塚(今井健二)がいて一触即発状態。“金山さん”こと会田はそこを上手く突き、内部分裂を図ろうというのだ。 一方、戸塚の部下・須藤(倉岡伸太朗)を探して街に来た松井(帽子とベージュのトレンチがきまっている正義と真実の使徒:片岡千恵蔵)とひょんなことから知り合いになった会田は、お互いに身分は明かさぬまま、タダモノではない気配を感じ取り牽制しあう。松井は刑事だった須藤の元上司。当時から戸塚の言いなりだった須藤のせいで部下2名が殉職、さらに彼に騙された愛娘の洋子(大川栄子)が自殺に追いやられていた。そんな理由があるため、しばらく須藤には手を出さないでほしい、と言われても大人しく引き下がる松井ではない。 洋子と瓜二つのホステス・秋子(大川栄子:二役)が須藤と繋がっていることを突き止めた松井は、須藤が彼女のアパートに押しかけた現場を取り押さえる。だがそこに、須藤をつけていた会田が現われた。任務のため真中組との取引を円滑に進めねばならない会田は須藤を逃がし、松井に銃を向ける。抵抗しなかった彼に安堵し背を向けた会田をふいに呼び止める松井。殺気を感じ振り向いた際の咄嗟の構えから会田を同業だと見抜いた松井は、あんまり無茶はするなよと余裕のコメントを送るのだった。 会田の切り崩し作戦が功を奏し、戸塚と組長サイドの対立は決定的に。襲ってきた上野らを射殺し逃走しようとする戸塚の前に、会田、そして、彼を尾行して本当の宿敵の居場所を知った松井が姿を見せる。いくら撃っても弾が当たらない(のは多羅尾伴内からのお約束の)せいか、お前の娘を利用したのはオレだ、ざまあみろと、半ばヤケになりペラペラと喋りまくって彼を挑発する戸塚だったが、会田の放った銃弾で転落死。それは、復讐のためとはいえ松井に罪を犯させまいとした会田の温情だった。 須藤と縁を切って故郷へ帰る秋子に娘の形見をことづけ、自らはあてのない旅に出発する松井(トラックで)を、会田はあたたかく見送った(昭和ブルースは4番) *既に舞台では何度も共演している千恵蔵御大と天っちゃん。髪型も似ている(それは言うな)。それにしても、センパイ役者さんとの絡みになるときまって舎弟キャラが顔を出すというか、表情がどこか和むのが興味深い(もちろん、銃を構えてハッと向き直ったときの真剣そのものの顔もこれまたカッコいいのだが) *事件後、千恵蔵御大と静かに飲んでいる最中に、クリーニング屋の太郎さん(左とん平)が登場。御大を見て「どこかで見たことあるんだよなあ・・・あっ、多羅尾伴内だ!」と叫ぶタロさんにぺしっと裏拳でツッコむ会田、ナイスタイミング。
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2007,05,20, Sunday
#39「兇悪のライフル」(1973年・S48・12月27日OA)
射撃クラブにて。県警で1、2を争うライフルマン・三上(神太郎)の指導をしていた会田(ピンクと黒の縞々ネッカチーフで1、2を争うお洒落さん:天知茂)は、隣にやってきた青年・戸崎(松橋登)の天才肌の腕前に目を見張った。戸崎は貧しい工員で、長期月賦で手に入れたライフルを愛でるのが唯一の楽しみ。馴染みの銃器店で戸崎に再会、彼が殺生を嫌う純粋な青年と知った会田は、売り切れた弾を貸す名目で自宅マンションに誘い、一人暮らしは寂しいもんだよ、メシ食ってかないか、こう見えてもメシ作るのうまいんだ等々、オタク仲間を得た嬉しさいっぱいに応対する。しかし、いつになくフレンドリーで饒舌な会田にドン引きした、というよりも「どんな理由から銃を? 恋人は?」と(彼にとって)痛いことを聞かれた戸崎は早々に立ち去った。 ところが戸崎が下宿に帰ると、愛しいライフルが部屋から消えていた。同じ下宿にいるチンピラの岩佐(島田茂)が銃を盗み、質屋に押し入ったのだ。現場近くにあった銃から戸崎の名前が浮上し、彼は三上のいる署に連行された。射撃クラブでの一件で、一介の工員が刑事の自分よりも凄腕なこと、おまけにセンパイ・会田の関心が自分より戸崎に向けられたことに激しく嫉妬していた三上は、ここぞとばかりに戸崎を責め立て自白を強要。三上から泥だらけになった愛銃を目の前に突きつけられショックを受けた戸崎は、事件を聞いて駆けつけた会田にも心を閉ざし、岩佐への復讐を誓って留置所から脱走してしまう。 逃亡の際ライフルを取り戻した戸崎は、あろうことか会田のマンションに忍び込んで実弾を持ち出した。なぜ奴が貴方のマンションを知っているんですかあ!と再びジェラシーの炎を燃え上がらせた三上に詰られる会田だったが、マンションに呼ばれたらしい銃器店の主人(小松方正)が会田に味方。同郷の彼女を銃の暴発で失った戸崎が、憎しみを越えていかにあのライフルを愛するようになったのかを語るのだった。 岩佐を見つけた戸崎は、ガスタンクの上から彼を狙撃しようとする。しかし間一髪で警官隊が岩佐を保護、三上と戸崎はそれぞれライフルを構えて睨み合った。お互いの指が引き金に掛かった時、「待ってくれ!」と会田が登場、強風が吹きすさぶ円筒形のガスタンク屋上へと登っていく。「来るなー! それ以上来ないでくれ会田さん!(髪が、髪がぁ〜!)」叫ぶ戸崎(&我々視聴者の心の声)をものともせずに屋上にたどり着いた会田の熱い説得によって、戸崎は空に向かって発砲した後、屋上からライフルを落とし、会田にすがって泣き崩れた――(昭和ブルースは1番)。 *クライマックスの会田、なにやら非常に良いことを語りかけているようなのだが、何度見ても目が頭部に釘付けになってしまう。実に危険なシチュエーションだ。ちなみに結構高いところなので、さりげなくではあるが手すりをずっと持ったままの天っちゃん、内心怖がってそうだった。 *会田の自宅の机には、特捜部の壁に掛かっているのと同じモジリアーニのポストカードサイズの絵が飾られていた。よほど好きらしい。 *「氷柱の美女」「大時計の美女」でもアブノーマルな魅力をふりまいていた松橋さん(「砂の惑星」や「ヒドゥン」など、TP以前のK・マクラクランの吹替も印象的)。ライフルをなでなでするあやうい様が板についていた。会田を見て「刑事さん? 僕は銀行の方かと」と言うあたりも一味違う。あんなコワモテの銀行員はいやだろう、っていうか銃器店のおやじさんも「でしょう、会田さんを見て刑事の印象が変わりましたよ」とか言ってたし。それを聞いて「人は見かけによらないってことかな」とまんざらでもない会田、どう見ても見かけ通りにしか見えんと思うのだが。
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 12:07 AM | comments (x) | trackback (x) | |
2007,05,06, Sunday
*前々ブログ記事引用
土曜ワイド劇場の美女シリーズ(天知版)は全25作。そのうちリアルタイムで見たのが後半7作で、後は再放送を録画して見た分が結構あって、DVDを買ってから初めて見たという作品はほんの数作なのだが、この「大時計の美女」(10作目)は今まで一度も見ていなかったことに夕べ気づいた。こんな夜中に笑い死にしそうな話を見逃していたなんて不覚だ。 大時計のある旧家に夜毎現れるナゾの老婆。その正体は? 時計に隠された財宝の秘密とは? ・・・という少々オカルト仕立てな作品だが、老婆の出現に大袈裟に怯えまくる当主(横内正)がかなり笑える。定番のお色気シーンが控えめな分(旧家だからお風呂も古いし)謎解きにウェイトが置かれ、明智センセイの探偵として至極まっとうな変装術や尾行術が拝めて(オーダーメイドのこじゃれたワイシャツ&ノータイ姿なんかも拝めたりもして)、いつもと違った面白さがあるのだが、噴き出さずにはいられないのがうら若きヒロインの本名。ずばり「和田ぎん」。原作(幽霊塔)の「ぎん子」も大概なものだがそれ以上だ。いつの時代の乙女の名前なんだ、ぎん。 珍しくハッピーエンドを迎える話で、外国へ行くというヒロイン(結城しのぶ)と海辺で別れる明智センセイが「アキコさん・・・!(=ヒロイン)」と呼び止めるのだが、「私、もうアキコじゃなくて和田ぎんですのよ」と返され「お幸せに、・・・ぎんさん」と言い直すラストシーン、「この家には本当に幽霊が出るのです!」と新東宝仕込の怖い真顔で犯人を脅していたさすがの天っちゃんも、このときばかりは表情が微妙に揺らいでいた。なんとなく分かるよその気持ち。 *全国のぎんさんすみません 【明智先生ファッション劇場】:センセイの服装をキャプチャーしてみました(華麗なる尾行術も堪能できます)
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2007,05,05, Saturday
「海外逃亡を阻止せよ!」 (1978年・S53・7月24日OA)
放送ライブラリ@横浜にて鑑賞(出演者欄が「天地茂」表記なので検索の時はご注意を) 銀行から1億5千万を強奪、金を海外へ流したものの自分は新東京国際空港(現・成田空港)で加賀警視(鶴田浩二)率いる空港特捜部に見つかってしまった男・滝(中尾彬)は、空港長の沢田(池部良)の娘・京子を誘拐、海外逃亡を認めるよう取引を迫ってきた。空港長としての権限を私事で利用するわけにはいかないと頑なに要求を拒む沢田。彼の戦友である加賀はなんとか京子を救い出そうと奔走する・・・。 空港職員との連携不足から部下(中村雅俊)がいったん滝を逃してしまったことで加賀は課長から大目玉を喰らう、という話の流れで出てくるのが課長ではなく係長の三井(パリパリスーツの天知茂)。大目玉どころか、格下であるはずの加賀にさん付けで敬語を使って舎弟オーラを放つ“良き協力者”カテゴリの人だった。加賀には当然のように「三井クン」呼ばわりされつつパシリ的な調査にも快く応じ、彼の大胆な空港閉鎖策に「加賀さんの好きなようにやってください。責任は私が取ります」と自ら防波堤役をかって出る徹底ぶり。戦中派(鶴田&池部)と戦後派(中村さんやら緒方さんやらの特捜部員たち)に挟まれて役職・年齢ともに中途半端な位置づけとはいえ、天っちゃんでないとこなせないキャラクターといえた。 *ただ出番は非常に少ないので、いくら脚本・監督が井上梅次さんだからといってOKサインをなかなか出さなかったのも頷ける(「テレビドラマ 伝説の時代」に詳細あり) *結局課長は誰なんだろう *美女シリーズ(鏡地獄の美女)のとき同様、天っちゃんの少し人と違うイントネーションの「香港」の発音が数回聞ける(大抵のひとはホン↓コン↓なのだが、彼はホン↑コン↑と上昇気流なのだ) *(2008.5.12追記)ホームドラマchの放送分で確認、「課長から大目玉」じゃなくて「本庁から」だった(どんな耳をしているのだ>自分)。警察庁国際刑事課の係長である三井さんは、国際刑事課直属の空港特捜部の人事権を握っているらしく、(部下のポカのせいで犯人を逃がした件で)「部下が悪いのなら、替えましょうか」と加賀警視(=鶴田さん)にクールに持ちかける人でもあった。ってことは相当エライ人なわけだが、ここで加賀さんをちっとも責めないあたりの舎弟キャラが味である。
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2007,05,01, Tuesday
#192「兇悪の砂・事故死を運ぶ女」(1980年・S55・9月11日OA)
黒眼鏡の井川(森次晃嗣)率いる司土建の面々と、ダンプかあちゃん(赤座美代子)の仲間達(岡部さんなど)が採石場で小競り合いを繰り広げる中、突如ダンプで乗りつけ仲裁に入ったのは、よれよれ帽子にカーキ色Tシャツ・白ズボン(「首無し島」風)の男・会田(天知茂)。 「やめときゃ〜て。よわぁ女に手をだしちゃ〜いかんわぁ〜」 キュートかつ脱力系の名古屋弁(本場モノ)を駆使する彼は、司土建の傘下に入らぬトラック運転手たちが巧妙な方法で消されている事件を探るため、名古屋からきたダンプの運ちゃん・“はぐれ星の健さん”に扮して内偵を開始しているのだ。 特捜部の同僚たちの協力もあって、司土建の社長(神田隆)の背後に、運輸局の役人(新東宝の同期:松本朝夫)がいることを突き止めたのはいいが、麗しい名古屋弁を駆使して橘警部(渡辺文雄)を殴り倒したり浦さん(取り立て屋に扮装:左とん平)に凄まれほっぺをペシペシされたりの涙ぐましい小細工も、あっけなく司サイドにばれてしまった(ばれると恥ずかしいだけじゃないのか会田よ)。 一方、仲間が次々にヘッドハンティング、あるいは事故死させられ、弱小グループを束ねるかあちゃんは窮地に陥っていた。おまけに怪我をして入院中のダンナの容態が悪化し、高額な手術代が必要となったかあちゃんは、井川にそそのかされて“健さん”に睡眠薬を飲ませる羽目に。それを知ってか知らずか会田は薬入りのお茶をすっかり飲み干すとダンプ(井川によってブレーキに細工済み)で曲がりくねった道を走行、かの明智センセイでもさすがにそこまでは、ってな断崖から豪快に転落してしまう。 井川は彼女も口封じのために消そうとしていた。危うしかあちゃん!という瞬間、部屋に飛び込んできたのは無傷の“健さん”。刑事の身分がばれているのでいつもの口調に戻って井川を撃退した会田は、かあちゃんをダンナの元へと連れて行った後、戦闘服(=スーツ)でビシッとキメてダンプに乗り、なんだかよくわからないダンプ・チェイスの攻防の果てに井川(こっちは乗用車)を弾き飛ばしたかと思うと、司土建に殴りこんで社長に手錠をかける大活躍をみせた。 朝、道路脇で煙草を一服するスーツ姿の会田。そこへずらっとやってくるダンプの群れ。運送会社を設立したダンプかあちゃんの仲間達が一斉に手をふり去っていくのを、会田は笑顔で見送るのだった。(昭和ブルース新録1番) *とにかくほとんど全編名古屋弁で喋ってる会田が見どころなのだが(ひとたびスーツを脱ぐと単なる気のいい小柄なおっちゃんになってしまう天っちゃんの不思議にも迫れるわけだが)、そのほかにも、明智センセイ・チック(つまりシュール)な生還劇など、らしからぬ場面が多い作品だなと思った。さすが第3シリーズ、というべきか?
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