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非情のライセンス 第2シリーズ #18
#70「兇悪の父子(おやこ)」(1975年・S50・1月30日OA)

特捜部に鳴り響く電話のベル。矢部警視(山村聡)が受話器を取ると、うら若き女性の声が工場爆破を予告した。会田(天知茂)らの迅速な通報の甲斐なく多数の被害者が出てしまったこの事件の犯人として浮上したのは、被害を受けた大東重機の社長令嬢・芝木るみ子(服部妙子)。過激派に身を置きながら彼女は父・良三(金子信雄)や弁護士の内海(佐々木孝丸)の前ではしおらしい令嬢を演じており、すぐに釈放された。

だが会田は、社長の良三が娘の行動を黙認、爆破事件で世間の同情を買うことで武器商人としての暗躍をカモフラージュしている真相を看破。被害者の遺族の苦しみを見せ良心に訴えるのだが、横槍を受けて休職させられてしまう(が、これ幸いと捜査を続行)。良三はるみ子を連れて渡航しようとしており、その前に密輸の疑惑を究明せんとして、四方(葉山良二)たちも奔走する。

そんな中、大東重機にまたもや届く爆破予告。爆弾の在り処を聞き出そうとする会田の前でるみ子は発作を起こした。持病の狭心症が進行していた彼女は緊急入院、慌てて良三が駆け付けるが、彼が持参した小包を見てるみ子の顔色が変わる。彼女の表情から、爆弾がその中に仕込まれていると見抜いた会田は小包をかかえて屋上へ走った。幸いにも爆弾は接続の不具合で事なきを得、るみ子は最後に父の手を邪険に払いのけて逝った。そこへ、良三の覚せい剤密輸の証拠を握った四方も現れる。

あんたが娘を殺したんだ!そう会田をなじる良三(ある意味もっともだ)。しかし会田は、娘の病状の悪化、それに伴う自暴自棄な破壊行動をすべて見越して利用していた良三を逆に非難。それでもなお、お前らは甘い、国家百年の計を考えねばならんときに多少の犠牲はやむを得んじゃないか、などと吠える良三に会田は「人の命は百年の計より大事だ!」と止めを刺し、犠牲になった人々への思いを込めて手錠をかけるのだった(昭和ブルースは1番)。

*人助けよりまず世直し、とかいってる新さん@闇を斬れにも聞かせてやりたいセリフだ<ひとの命は…
*矢部さんが会田のために作った休職届の理由欄には「坐骨神経症」。どこからそんな病名が。
*事件に首を突っ込みすぎるとヤケドするよ、と弁護士に牽制された会田がひとこと。「私は原爆の被災者です、たいがいのヤケドには驚きませんよ」。さりげなくフラグ立て
*いつも会田とは別ベクトルでダンディーな四方さんが珍しく土木作業員スタイルで聞き込み。意外と似合っていた。

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非情のライセンス 第2シリーズ #15
#67「兇悪の故郷(ふるさと)」(1975年・S50・1月9日OA)

ハドソン財閥夫人・和子(赤座美代子)が突然帰国した。病弱な父親(野々村潔)を見舞うという名目だが、バーにいた彼女をハドソン氏に引き合わせてから勢いづいたという東日通商のガードは必要以上に強固だ。そんな中、かつての恋人・寺崎(宗近晴見)が和子の前に出現。しかし東日通商の連中は寺崎に手切れ金を持ちかけ、断わられると暴力を振い出した。そこを助けたのが、訳あって帰国時から和子をマークしていて寺崎の後をつけてきた会田(肩章付きトレンチの襟を立てた天知茂)。

何かあったら電話をくれと名刺らしきものを渡して寺崎のアパートを出た会田だが、その夜、寺崎は電話する間もなく何者かに撲殺されてしまった。「ははーん、先を越されたね」捜査一課の橘警部(渡辺文雄)の言葉がチクチク刺さる上に、アパートを慌てて去る姿が目撃されたとして和子までも先に橘に連行されてしまい、後手に回りっぱなしの会田は少々おカンムリ。

会田が追っているのは、5年前に起きた捜査員殺害事件。鍵を握るとされながら渡米してしまった和子の証言をどうしても取りたかったのだ。橘警部の取り調べに割り込み、ペアで攻めた結果、和子は寺崎殺しのほうを自供。だがそれは偽りだと見抜いた会田は、父親に事の次第を話してわざと“自白”させ、彼女の動揺を誘う作戦に出た。ところが橘はさっさと父親を釈放、和子に喋られては困る東日通商一味(←こいつらが黒幕)は父親を人質にとり彼女に早期出国を迫る。橘警部の真意は? 果たして会田は彼女の証言を取れるのか…?

反目しあいながらも悪を憎む気持ちは共通項の会田と橘警部。互いの奮闘を認めつつ、外見上はあくまでドライな大人の関係を築いているふたりが実にいい味を醸し出していた(昭和ブルースは4番)

*東日通商の連中とのカーチェイスの末、やおら車を降り、ハコ乗りで両サイドからパンパン撃ってくる相手に颯爽と銃を構えて対峙する会田。当然のように全員がやられて車は身体スレスレの位置で停止、というベタすぎる展開に笑う。

*会田が送った、和子さんの父親への見舞いの花束は当然バラ

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非情のライセンス 第2シリーズ #14
#66「兇悪のロマン」(1975年・S50・1月2日OA)

心中とおぼしき死体が林中で発見された。昼食についてきて、心中はロマンなのだよ会田クン、と熱く語るボーイッシュな女性記者に、心中死体がいかにえぐいかを血が滴るようなビフテキやらエスカルゴやらを食べながらじわじわと話してきかせる会田(天知茂)。食べ方はお上品だが、正月OAというのにちょっとダーティーだ。

ハンドバッグから割り出された女の身元は、大富豪・道家仙太郎(曾我廼家明蝶)の若き妻・雪絵(浜田ゆう子)だった。どうやら男の方は彼女の浮気相手らしい。ただ、遺体のネックレスが、男の馴染みで行方不明になっているホステスのものではないかとの疑惑が浮上。特捜部は道家氏をマークするため、江沢啓子刑事(江波杏子)を口述書記として潜入させた。

自叙伝に対し歯に衣着せぬ感想を述べる啓子を気に入ったらしい道家氏は、事件の真相めいたものをぽつぽつと語り始め、なんと彼女にプロポーズ。一方、道家氏の行くところ頻繁に後を追いかける無言電話。電話の主は誰なのか? そして“恋人”として啓子にコンタクトを図る会田の背後を銃が狙う…!

…真相は控えるが(というより分かったような分からなかったような微妙な感じだった)、老いに抗う富豪の哀しさがひしひしと伝わってくる、ちょっぴり寂しさ漂う男女のロマンが展開されていた。(昭和ブルースは4番)

*美女シリーズでもたまに使われていた迎賓館前にて、豪勢な衣装の啓子さん(道家氏の破格のお給料で買ったのか?)とすれ違う会田。しばらくしてお互い「あっ」と気付いて後戻りするのがラストシーン。あのあとお茶でも飲んだのだろうか。

*椅子取りゲーム(?)で後れをとる矢部警視(山村聡)、女性のスリーサイズを記憶から割り出す大門刑事(高城丈二)など、特捜部内のライトな雰囲気が面白かった。

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密会
密会(1968年・S43・10月3日〜翌3月27日OA・全26回)CX 21:00-21:30

「週刊TVガイド」(1968年・S43年・12月6日・328号)から引用(資料提供:naveraさま)
奥様が好きな「密会」の魅力
ヨロメキと日陰の愛と自由恋愛と…「密会」がくり広げる“大人”の恋模様


夫以外の男に愛情を抱きはじめる妻、妻ある男との“隠れた愛人”としてひたすら生きようとする古風な女性、愛する男と結婚せずに“自由恋愛”を続ける現代的なハイ・ミス――こんな、三者三様の愛に生きる、現代女性の一断面をみせているのが「密会」(フジ・関西・東海テレビ)だ。いわば、大人の愛情物語というわけだが、もし、あなたが、この立場になったら、どうしますか?

千沙子と拝島を早く結ばせて……

第8回(11月21日放送)までの3人をめぐる大ザッパな物語は別項(*下にあり)のをごらんいただきたい。来年3月末まで3人の愛情はどう進展するのか興味がもたれるところだが、早くも「拝島(天知茂)と千沙子(新珠三千代)はどうなるの?」といった質問めいた内容や、千沙子に同情する投書が担当者の机に舞い込んでいる。
「……千沙子と拝島は早く結ばせた方がいいと思います。男なんて勝手すぎます。いい奥さんがいながら、外に別の女をつくるなんて絶対許せないことです。夫に裏切られた千沙子は当然、好きになる拝島と結ばれた方が女性として幸せになるのではないでしょうか……」
と、自分の体験をまじえて千沙子を“激励”している四十歳代の主婦。

同じ年代でありながらも逆に千沙子に自重と反省を求めるものもある。
「……男の浮気は本質的なもので、妻たるもの、そんなことで心をぐらつかせてはいけません。デンと妻の座にすわって、愛する夫のために身も心も尽くしてやらなければ……。加納だって決して悪い男じゃないと思います。千沙子は余りにも家庭的に冷たく、お嬢さんすぎるため、それにあきたらない加納が志津子の許に走ったのではないでしょうか……」といった具合。
片や新珠ファンで、一方は菅原ファンらしいが、それにしても妻の心の傾斜に賛成したり、夫の行為に味方?したり、対照的な投書があるのは、女心の微妙さを表しているといえよう。
「それがネライなんですよ。2人がどうなるか、ハラハラしながら見てくださるファンが多いことを願っているんです」
と、“ヨロメキ太郎”の異名をとる、岡田ディレクターは予想通りの反響にニヤニヤしている。

面白いことには、志津子への同情が1、2あることだ。
「二号さんというのは決していい役ではないが、志津子は大変やさしく、女らしい面がいろいろある。妻千沙子にないところを備えているし、加納が志津子にホレるのもむりではないんじゃないかな……」
とは、中年の男性の投書だ。
確かに、献身的に尽くす女性は、男が好むタイプといえそうで、女性からの支持の投書も1通ある。
「日陰の“愛”に生きる志津子の心はつつましいものではないでしょうか」
――旦那のいる女性らしい。

現代的感覚をもつ玲子の愛の生き方については、やはり若い層に“理解”されている。
「なかなか勇気があって、かわいいわ。好きな人とデートすれば、そういう関係になるの当然だと思うの。その上、互いに自由な身なんですもの、私も玲子のように、女一人で生活できる立場にあれば、“自由恋愛”してみたいわ」
と、望んでいるのは都内のあるバーにアルバイトしている21歳のOLの感覚。
こうみると、三人三様の愛情の持ち方に、それぞれ共鳴者はいるのである。

新珠は弁護、河村はついていけない

では、こうしたヒロインを演じている女優陣に、もし、ドラマと同じ立場になったら……を語ってもらおう。
新珠三千代は「もしも」なんて考えたことがなく、芝居として考える方ですが……と前おきしながら、
「千沙子は大変つらいと思うんです。自分の気持ちを信じて、その気持ちについてゆくことができるかどうか、ともかく自分の信じた通りに行動することじゃないかしら」
さらに、
「心の空白をもつ千沙子が、機会あっておいしいものを食べ、おしゃべりする気持ちはわかるわ。ウチの中で夫に当たり散らし、髪の毛を逆立てるなんてのは長屋のカミさんがやることで、知性のある千沙子にできないわけだわ。ウサ晴らしに外に出て、アバンチュールを楽しみたいのもわかるような気がします」
と、全面的に千沙子の行動を弁護する。

日陰者の女として生きる役を演じている河村有紀は、お若いだけに、この役の人物にはとってもついてゆけないという。
「役としてはすごく楽しく打ち込んでいますが、とてもいやだわ。私って欲ばりだから、愛する男性は自分だけのものにしておきたい」

広瀬みさからは話がきけなかったが、3人をめぐる男・天知茂の代弁として純代夫人に語ってもらうと、
「女性は悲しいですよ。3人とも自分がこういう愛情じゃいけないな、と思うことがあると思うのですよ。こうした方がいいと思ってどうすることもできないのじゃないかしら。だから女は共通して悲しいと思うんです」

志津子については、加納とのことが千沙子に知られて、これまで控え目だったのが、がぜん“本妻には負けられない”といった意識が芽生え、開き直ったような場面もでてくるため「ズブトサがある」(純代夫人)「何もない立場はかえって強いことがいえる」(新珠)ようになると見ている。

また、現代的な玲子の生き方については、一見、縛られないで行動して現代風と見うけられ勝ちだが、1人の男しか愛することができず、段々とそのトリコになって、動きがとれなくなってゆくように物語は展開するようで「このドラマの中では昔からある一番古風な女になるんじゃないかしら」と、新珠も、純代夫人も一致した見方をしている。

最後にこのドラマの育ての親岡田ディレクターにしめくくってもらおう。「3人の女性の愛情それ自体はそれぞれの立場でかわいいと思うんです。愛情のもち方は、めぐり合う男によってさまざまだし、多角的であっていいと思います。これがいい、これが悪いと方程式のようにはピッタリいかないのが女の愛情なのではないでしょうか」

【写真キャプション(天っちゃん関連のものだけ)】
男性的な拝島(天知茂)に千沙子(新珠三千代)の胸はあやしくふるえる (煙草をくわえてあさってを向いている拝島の背後であやしくふるえているらしい千沙子さんと友人)
自由恋愛を実践する玲子(広瀬みさ)と拝島(天知茂) (スーツ姿・後ろ向きの拝島の肩に頬をよせている玲子さん)

☆登場人物とこれまでのあらすじ☆

このドラマをご存じない方のためにヒロイン3人の横顔を、あらすじもまじえながら紹介しておこう。

●加納千沙子(新珠三千代)
政界の黒幕・大曽根正道(三津田健)のひとり娘で、新日本建設KKの若手重役・加納信行(菅原謙次)と結婚、恵まれた環境にあるが、子どもはいない。知性と教養、才気にあふれた美貌の持ち主で、お似合いの和服姿がとても魅力的だ。
苦労知らずのお嬢さん妻なので、夫の行動などはあまり関心も持っていなかったが、ふとしたことから大阪出張でいないはずの夫の声を東京の電話で聞いてびっくり。疑ってもみなかった夫の行動に疑問を持ち始める。
そして、その裏には、ある土地の売買をめぐって、夫が千沙子の実父である大曽根正道との秘密のつながりがあることを知るようになる。
夫への疑いをもったまま同窓会などに出席してみるが、親友の桜井洋子たちから夫の浮気話などを聞かされ、人事ではなくなったと思う……が、嫉妬の感情はない。ここらは、やはり知性的なのだが、過去10年の夫婦生活をかえりみると、夫に情熱を感じていない自分に気づき、そんな新鮮な驚きにひたる。
外出に気をまぎらわす千沙子。たまたま、外人演奏家のチャリティ・コンサートに出かけるが、劇場前で切符をなくしたことに気がつく。困惑してバッグを探る千沙子に、1人の男が切符を差し出す。
これが、男性的魅力に富んだ38歳の若手実業家で、運命の男となる拝島司郎(天知茂)である。感謝しながらも、一瞬警戒の瞳を現わす千沙子に微笑を投げ「あなたの隣に掛けようとは思ってはいません」と、無造作に自分の切符を破って去る拝島の後姿が千沙子の胸に強い印象を残す。
そしてある日、千沙子の許へ娘時代から出入りの貴金属商・天宝堂の支配人が指輪の修理ができたと、見知らぬ指輪を届けてくれた。きけば妻の誕生日の贈り物だといって、夫が4年前に買ったものだという。千沙子は4年間、自分に隠れて夫に尽くした女を想像する。そして、宝石店へ自分の目には通らなかったことにして夫に戻すよう頼む。
問題の指輪が、美しいしとやかな女性の指に光っているのを見たのは、ある高級レストランだった。現実に夫の愛人を見た千沙子、心はやはり動揺した。夫に合わずその場を去った千沙子は、偶然、拝島と再会、空白な心の中に一歩深く拝島の印象は食い込んでゆく……。

●宮地志津子(河村有紀)
30歳くらい。加納信行の隠された愛人で東京・青山に妾宅を持ち、何不自由なく過ごしている。陽の当たらぬ場所を承知しながらわがままな加納に純愛の限りを尽くし、食事の買い物にもいそいそと出かけ、千沙子以上にかいがいしく身のまわりを世話している。加納がいなくては1日も生きていけない、といった古い型の女だ。
加納との4年間のこうした関係も、千沙子にうすうすと分かり始めて、志津子は不安がつのる。自分の存在が知れると同時に、手を切らされるのではないかという恐れがあったのだ。が、自分の指に優しく指輪をはめてくれる加納の態度に、志津子は「たとえ、あなたに妻があろうと地位があろうと、そんなことは無視して今の一瞬一瞬の愛を生きよう」と思う。問題の指輪であることを知らずに……。

●夏目玲子(広瀬みさ)
25歳くらい。貿易会社の社長秘書。近代的な美貌と才気のあるハイ・ミス。これまた3年間も拝島の愛人である。
会いたい時に会う、といったきまりで、お互いを束縛しない“自由恋愛”を実践、週1、2回、拝島とデートする。しかし、玲子は拝島を熱烈に愛している。
楽しみにしていたチャリティー・コンサートが聞けないなんて……と、一本気に怒る玲子を拝島は改めていとしく思うし、玲子も拝島の胸に抱かれれば、弱い女となってしまう。
絵が好きで、拝島と会えぬ日は好きな油絵描きに当たっている。ある日、鎌倉の寺で絵を描いているとき、北鎌倉に居を構える父親・大曽根正道に離婚話を持ち込んで一笑に付されてすごすご帰る千沙子が声をかける。
ふと行きずりに会った女同士。互いの環境は教えずに、女同士の話に興ずる。千沙子は情熱を持って1人の男(=拝島)を愛している玲子を羨ましいと思う。
この2人は、やがて1人の男性(=拝島)をはさんで愛の対決をすることになろうなどとは夢にも思わず、おたがいにひかれ合う……。

*この号の表紙も飾っているヨロメキ・ドラマ「密会」の全容。天っちゃんの言葉はないが、さりげなく奥様が登場して話をまとめているのが面白い。で、結局どうなったんだろうこの先。

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非情のライセンス 第2シリーズ #12
#64「兇悪の空白」(1974年・S49・12月19日OA)

線路上をフラフラさまよっているところを保護された右田刑事(左とん平)。後頭部を強打され、記憶を一部分失っているらしい彼は「死」と「7」の文字に反応する。7のつく日に誰かが死ぬ…? 空白の時間を辿るうち、自分を注視する謎の女性・三原りえ(西尾恵美子)を発見、真相を聞き出そうとするのだが、眉間を深くした会田(天知茂)は「君は俺を狙撃した犯人を追っていたんだ」と打ち明け、それ以上の深追いを禁じる。狙撃の現場に偶然居合わせた右田は、会田あての電話を受けて身代わりで赴き、災難に遭ったのだ。

一方、会田は独自の捜査(天知ファミリー・岡部さんからのタレ込み情報など)で狙撃犯人・遠山(服部哲治)の居場所を突き止めた。しかし遠山は尋問中に何者かの銃弾に倒れ、依頼者は女だと言い残して絶命。直後にかかってきた脅迫電話と部屋にあったバーのマッチから、会田もまた、三原りえへとたどり着く。

1年前、りえの息子は凶悪犯に拉致された。ひとりの刑事が彼女を制して後を追い、視界から消えた。やがて銃声――駆け付けた彼女が見たのは、刑事に抱かれた動かぬ息子の姿と、「奴が、奴が…」と呟く瀕死の凶悪犯。それ以来、りえは情夫・石津(勝部演之)や遠山の手を借りて、ただひたすらその人殺し刑事・会田を息子の命日(=12月7日)に殺すことだけを生き甲斐にしていた。

日付にこだわった故か、単身でバーを訪れた会田に手を出せず、自宅にまで姿を見せたときも狙撃に失敗した石津を置いて逃げたりえだったが、12月7日、息子の墓前にぬけぬけと花を手向けに来た会田にようやく銃口を向ける。邪魔をしないよう会田によってモーテル(1泊8000円)に監禁されていた右田が割って入るが、会田は彼女の好きにさせろと言い、引き金を引くよう命令。その言葉に釣られるようにりえは指に力を込める。

弾は会田の左腕に命中した。思いつめていたりえの表情に変化が表れたのを見て会田はその場を去る。後に残った右田は、死んでやると叫ぶ彼女を、身を持ってあんたに勇気を与えた彼の気持ちが分からないのか!と叱咤激励して立ち直らせるのだった。

病院の玄関にて。怪我を銃の暴発で片付けた会田と、記憶喪失の後遺症でさっきのことは何も覚えていないととぼける右田。その頃りえは、何かが吹っ切れたような安らいだ表情で息子の墓標を見つめていた(昭和ブルースは1番)

*こんな捨て身の説得してたら身体がいくつあっても足らんぞ会田!(でもそれがまた悔しいほどカッコいいから許す←悔しいのか)

*1年前の事件の回想シーン、会田は白のトレンチを着て雨の中を床に転がって頑張っていた(銃を捨てたら子供を返すと言われてその通りにしたら卑怯にも向こうから発砲、子供を自分の体で庇って撃ち返したものの、子供はすでに被弾してこと切れていたというのが真相)。ちょうどそのシーンのものと思われる、髪はくりんくりんでいろいろと凄まじいスチール写真が家にあるのだが、動いていると不思議にカッコよくみえるのも悔しい←だからなぜ悔しいのか

*とん平キャラは第2シリーズが一番いいヤツのような気がするなあ。

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非情のライセンス 第2シリーズ #11
#63「兇悪の夢」(1974年・S49・12月12日OA)

柿沼という青年が少年刑務所から脱走、ライフル銃を奪って潜伏した。脱走の理由が自分を交番へ引き渡した男に復讐するためと知った会田(矢部さん不在ゆえにまた仕切っている天知茂)たち特捜部は、柿沼の標的・長津田(長門裕之)の身辺をマークする。

ところが長津田は倒産の危機に瀕した会社の課長で、労組から突き上げを喰らう毎日。おまけに、労組の動きを密告する見返りに新居購入用の融資を約束してくれたはずの社長に逃げられてしまい、柿沼どころではない。引越しを心待ちにしている家族のためにもと、不足分を競馬で補おうとする長津田だったが逆に大負け、マイホームの夢が完全に断たれてしまった。

絶望する長津田の元へ、ライフルを構えた柿沼が現れた。だが殺してくれと積極的に迫る長津田におびえた柿沼は銃を奪われてしまう。その銃を手に社長を突き止めた長津田は彼を射殺。もう少しで自分のものになるはずだった家に戻ったところを、会田に逮捕されるのだった(昭和ブルースは1番)

「夢はいつか消えるもんだ」 非情なセリフを吐く以外は動きの少なかった(でも最後のおいしい部分は持っていく)リーダー会田。

*退職後に小料理屋「吉田署」を経営している“オヤジさん”こと吉田さん(多々良純)、会田の動きが読めるのはワシだけだと弁当片手に大活躍。

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非情のライセンス 第2シリーズ #10
#62「兇悪の星」(1974年・S49・12月5日OA)

ボス・矢部警視(山村聡)の要請で、日頃から何かとお互い突っかかっている橘警部(渡辺文雄)ら捜査一課の協力に駆り出された会田(天知茂)。資産家の独居老女が絞殺されたという現場に来てもやる気まるでなし(殺人現場でちゃっかり出前を取ってカレー食べてる始末)。翌日、犯行時刻頃にTV修理に訪れていた電気店勤めの青年・育野久雄(佐々木剛)が容疑者として連行された。夜間中学に通っているという、自分の漢字も満足に書けない久雄を犯人と決め付けて取り調べる一課のやり口にムカついた会田は俄然ハリキリ、真相究明に乗り出す。

事件当夜、久雄はかなりまとまった金を難聴の恋人・初枝(奈良富士子)に渡していた。せっせと稼いで貯めた金だというのだが、状況はどうみても不利。そんな中、ふたりが通う夜間中学の教師・橋田節子(岩崎智江)だけは、廃人に近い父と4人の弟妹を養うために必死に働いている久雄を真っ向から庇う。貧困が犯罪を生むと決めつける警察を目の敵にし、うろちょろする会田のことも当然快く思っていなかった節子先生だったが、夜間中学廃止論が飛び出した教育委員会に怒鳴り込んだ会田の偏見のない態度に次第に心を和らげる。

会田の勘だけで久雄は釈放されることに。しかし周囲の目は冷たく、すべてに絶望した久雄は首を吊ろうとする。とそこへ会田が出現、自らの兇悪な生い立ち、何度か自殺しかけたことなどを打ち明けつつ、死ぬなんて卑怯だ、甘ったれるな!と熱く説得するのだった。

真犯人は、久雄を利用してアリバイを作った老女の養子だった。疑いが晴れ、ふたたび初枝と共に夜間中学で学び始めた久雄の様子をそっと見に行った会田の頭上に、名もなき星たちが寄り添うように瞬いていた(昭和ブルースは1番)。

*橘警部「(久雄が犯人ではないという)根拠はなんだ!」会田「俺の勘だよ!」 橘さんでなくても「なにぃ!」と突っ込みたくなる自信家ぶりで事件を解決。ハードな犯罪事件を追う一方で、こういう“下町・ちょっといい話”的なエピソードがうまいタイミングで挿入されているのが非ライの醍醐味のひとつかもしれない。

*南刑事(望月太郎)が相棒役。コワモテだけど舎弟キャラの坂井刑事(宮口二郎)に比べると態度がでかい。

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非情のライセンス 第2シリーズ #9
#61「兇悪の口紅」(1974年・S49・11月28日OA)

マンションでホステスが絞殺された。現場に残された指紋から、犯人は傷害事件の前科持ちの西川(池田駿介)と判明。だが、かつて彼の更生の手助けをした会田(天知茂)には信じられず、一緒に目撃されたという女性を追って鹿児島へ飛ぶ。

西川の幼馴染・志津(ジュディ・オング)は絞殺された女性・江津子(霧島八千代)の実の娘だった。窯元の父を半月前に亡くしたばかりの彼女がなんらかの理由で上京し、事件に関与したとみた会田は、故郷に向けて逃走中の西川を追って同じく鹿児島入りしていた捜査一課の連中に睨まれながらも志津に接触を図り、真相を聞き出そうとする。

幼い頃の両親の離婚で傷ついた志津は最初、江津子を母親と認めようとすらしなかった。「親を恨む気持ちと慕う気持ちは同じだ」会田は自らの過去(両親共に原爆死)を打ち明け、今でも母を慕う気持ちは変わらないと話す。その後の四方刑事(葉山良二)のさりげない会田フォローなどにより志津の態度は軟化、会田に口紅が付いた茶器で一服点てながら告白を始めた。

いくら洗っても消えないその口紅は、別れた母が付けたもの。母の話題を許さなかった厳格な父が死の間際、その茶器を握りしめ無言で懇願した瞬間、父もまた母を忘れられずにいたことを志津は悟った。しかし茶器を持って上京し、幼馴染の西川に伴われて母を訪ねた彼女は、自分たち父娘が母にとっては既に嫌悪すべき過去になっているという事実に直面。金が目当てなのかとまで邪険に言い放つ母に、今日は何の日か知っているかと尋ねる志津。答えが返ってこなかったとき、茶器箱の紐を持った彼女の手は母の首を絞めていた。「お母さん、お母さん、お母さん!」――娘の誕生日すら、母は忘れていたのだった。

語り終えた志津は自首するふりをして逃走、桜島近くの岩場で自殺を図った。死ねば父に会える、やっと母と暮らせる。だが追いついた会田はナイフを撃ち落とし、志津を張り倒して生きろと説得。弾みで粉々になった茶器が君の身代りになってくれたのだからと――(昭和ブルースは2番)

*母親への愛憎半ばする激情が引き起こす悲劇。「(離婚する親は)子供の気持ちなんて考えていないのよ!」志津さんの叫びは、OA後30年以上経った今も痛々しく響く。

*両親の愛に恵まれなかった志津さんと西川に同情してしまい、逮捕に二の足を踏んでいた会田の誕生日は広島に原爆投下され、両親が亡くなった8月6日らしい(四方さん談)。実に兇悪な過去設定だ。

*会田はその土地の一流ホテルしか泊まらないらしい(これも四方さん談)。

*西川役の池田さんはキカイダー・ゼロワンが終わった直後の出演だったそうである。

(週刊女性自身 S49.10.24より引用)
NET「非情のライセンス」(木ヨル10時)
鹿児島発
非情の刑事 天知茂も桜島の爆発にビクビク

今回の鹿児島ロケは2本分。

《その1》
桜島の火口に現れた天知茂とジュディ・オングを見て観光客が、
「おや、ラブシーンかな」
と期待していたが、実はジュディが犯人で天知が刑事。
「こんな景色のいいところでジュディちゃんを追いつめるなんて、色気ないですね」
と天知はニガ笑い。
死地をもとめて火口に来たジュディは、火山灰にまみれての大熱演。
桜島は活火山で、たえずゴーッ、ゴーッと小爆発が起こっているので、音がするたみに一同はブルブル。なにかというと、避難所のほうへ逃げ腰になる。
カメラマンとしては、なんとか噴火の一瞬をカメラに収めたいとがんばっているが、待っていると、なかなか起こらない。ほかにカメラを向けているとドカーン!

《その2》
天知茂、高城丈二、江波杏子のレギュラーにゲストの武原英子が加わって、現場も宿もガゼンにぎやか。市の観光協会などの主催で、ロケ隊の歓迎レセプションがおこなわれた。
晴れた一日、ゴルフ場で天知と武原のカラミ。
「ハイ、スタート」
で武原がフルスイングしたが、ボールは足元に残ったままなので、スタッフはガックリ。しかたなく、プロの打ったボールだけを撮影したが、放送用の画面ではちゃんとつながっていた。

*ジュディちゃんをお姫様抱っこしているモノクロ写真つきの記事。《その2》は#13「兇悪の噴煙」

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[12] エマニエルの美女
妖艶な美女が織りなす幻。ラストがこれまたトラウマチックでうなされます(カマキリ・・・)。お色気サービスも満点(明智センセイまで!?) 最初から真相に気付いてそうでいて実はそうでもなかったセンセイ、やはり美女には相当弱いようです。

【明智先生ファッション劇場】:センセイの服装をキャプチャーしてみました(いろいろとR指定)

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非情のライセンス 第2シリーズ #8
#60「兇悪の燦(きら)めき」(1974年・S49・11月21日OA)

インフレ対策に宝石でも買おうかと思い立った右田刑事(左とん平)。日本一と称される宝石鑑定家・伊能正幸(加藤嘉)を訪ねたところ、当の本人の葬儀の真っ最中。近所の噂話から、下戸なのに飲酒運転でミキサー車に突っ込んだという伊能の死に不審を抱き、所轄署へ聞き込みに行くのだが、「2度も同じことを言わせないでください!」と冷たくあしらわれる。その頃1度目の男・会田(天知茂)は、ミキサー車の運転手・石黒(「江戸の牙」でオカマ役が強烈だった三夏伸)が暴力団・浦上(近藤宏)の指図を受けていたことを探り当てていた。

暴力団と宝石鑑定家との接点は何なのか。やがて、気に入った宝石しか鑑定しない完璧主義が信条だったはずの伊能の鑑定書付きダイヤが安値で大量に出回りだしたことが判明。右田と会田の疑惑の眼は、伊能の娘で父親譲りの鑑定眼を持つ妙子(松尾嘉代)へと向かう。父の潔癖さ故に生活が困窮、母を亡くした妙子は、父を、そして宝石を恨んでおり、浦上たちの言うなりに鑑定書を偽造していた。それが実の娘の行為だと知ることなく逝った父は幸せだったはず、そう開き直る妙子を「違う。違うんだ。違う、それは違うんだ!」とえらい勢いで否定する会田。

伊能氏は知っていたのだ。娘に偽造を勧めた浦上を非難しに向かい、口封じのため手下に酒を飲まされ車に放り込まれた彼は、自分が死ねば鑑定書は無効になるという事実に浦上たちより早く気づき、ワンテンポ遅れた連中が制止する前に自らアクセルを踏んでミキサー車に衝突したのだった。

「だからお父さんを殺したのはあんただ」会田の言葉と命を賭した父の愛情に打たれ、妙子は静かに両手を差し出した(昭和ブルースは4番)。

*右田刑事がほぼメイン、でもおいしいところは会田がかっさらう展開。右田が伊能氏の事件を追う動機は(多少無理があるとはいえ)判ったが、会田がどうして首を突っ込んだのかは謎。事件のあるところ常に会田あり、か。

*今回も、会田を前にして銃を取り出した無謀なヤーさんがひとり地獄送りになった模様。

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