2008,02,17, Sunday
#110「兇悪の雨に濡れて」(1975年・S50・11月20日OA)
カエリタイ、カエリタイ・・・! たどたどしい遺筆をのこし、異国の娘は人身売買の餌食となって死んだ。会田(天知茂)は外国人女性を不法に売買する関東菱田会を捜索するが、なぜか捕まるのはザコばかり。どうやら“コケシ”と呼ばれる黒幕が事前に情報を得ているらしい。手入れの日時を知っていたのは自分と四方(葉山良二)だけのはずなのに、なぜ―。そこで会田は、待ち合わせ場所で四方が美しい女性・早苗(松本留美)と一緒だったことを思い出す。 早苗は四方の外事課時代の親友・黒木誠二(岡田真澄)の妹。黒木はある事件で四方を庇って銃弾を受け、車椅子の生活を余儀なくされていた。妹と二人、つつましい暮らしぶりの彼が身障者施設に巨額の寄付をしていること、菱田会の会計を受け持っていることを探り当てた会田は、黒木兄妹が四方を利用しているのではないかと疑い、関東菱田会の秘密会合に潜入した四方の後を追う。 会合場所で早苗の姿を見つけて驚く四方。やはり黒木が“コケシ”だったのだ。素性がばれた四方は(会田がけしかけたせいもあり)組員たちにボコボコにノサれるわ室内プールに放り込まれるわ散々な目に遭う。次は同じく捕まった会田の番か、という状況で菱田会ボスを人質に取った会田は四方を助け、黒木に対峙した。火を噴く3人の拳銃。――プールに沈んだ兄に駆け寄った早苗は「寄らないで人殺し!」と四方を非難。おまけに『わざと外したな』と会田に睨まれ(ってことは会田が人殺しなわけだがそれを彼女に弁明することなく)、四方は警察手帳を置いて姿を消した。 雨の夜。ハマで自堕落な生活を送っている四方を訪ねあてた会田は「彼女(=早苗)と結婚しろ」と強引に殴りかかり、カッとなった四方も彼をサンドバッグ代わりに。雨の中しこたま殴りあった末、会田が差し出した手帳を受け取った四方。二人の背後では、早苗が喜びの涙を浮かべていた。 翌朝、会田が見守る中、教会で式を挙げる四方と早苗。だが幸せの絶頂で、たぶん早苗ラブだったのかもしれない生き残りの組員(佐藤京一)の凶弾が四方を貫いた。命乞いをする男を問答無用で撃ち殺した会田は、泣き崩れる早苗を残し、悲しみを堪えて教会を後にするのだった(昭和ブルースは1番) *四方刑事殉職の回。葉山さんに華をもたせようと(?)いろんな趣向で四方メインに話が進んでいくので画面が濃い、のはさておき、唐突極まりないラストを含め、いろいろ詰め込まれすぎていてかえって散漫な印象を受けた。黒木との対決シーンをクライマックスに持ってきても良かったのになあ。 *ただ、特捜部で(部長を除き)唯ひとり会田にタメ口がきけて、よき相談相手でもあった四方さんがいなくなってしまったのはとても残念だ。(#9「兇悪の口紅」のナイスフォローが印象深い←会田はモンローシャツの回・#3「兇悪の序曲」を思い出していたが) *医学の世界は日進月歩だ、俺は決して諦めんからお前もちゃんと静養しろ!と山岸先生(大友柳太朗)にお説教されていた会田、薬も貰わず捜査に直行。しかし雨の中で殴り合っても平然としてたので、相変わらず元気そうで何よりだ。 *岩田刑事(岩城力也)にカミさんがいることが判明。この人ほんとにマイペースだな。
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2008,02,03, Sunday
#108「兇悪の情事」(1975年・S50・11月6日OA)
今夜は宿直でヒマなもんだから電話したんスけどね、という坂井刑事(宮口二郎)からのハタ迷惑な連絡(会田は静養が必要なんだよ、遠慮しろよ!)を枕元で受けた会田(ほんのりR指定:天知茂)は、矢部警視(山村聡)や一課の橘警部(渡辺文雄)らお偉方が深夜に雁首そろえて会議中との話に興味を示す。「こりゃ何かありましたよ、大事件が!」 好奇心旺盛な(出歯亀ともいう)特捜部の面々は早速一課をマーク、とあるモーテルで激しい暴行の痕がある女性の死体を発見した彼らが、遺体と現場に残されたいわくありげな外車を運び出すのを目撃した。秘密裏に処理されたこの殺人事件の謎を矢部部長の目を盗んで探っていくうちに、日本と関係の深い(らしい)アンドリアの一等書記官・ノンブル(ダン・ディピートロ)という人物が容疑者として浮上。だが彼はアンドリアの皇族で、大使である兄の所でのうのうと匿われていた。 ノンブルがクロだと知りながら外交官特権を前に引き下がらざるを得なかった上層部を非難する会田たちだが、一警官の立場ではどうにもできんのだ、と苦渋の表情の矢部部長にこの件から手を引けと諭される。会田はそれでもしつこく食い下がったものの、部長パンチでふっとばされるわ、おまけに体調も悪化してくるわで踏んだり蹴ったり。 「あとどれくらい持ちますかね」輸血がてら余命を山岸医師(大友柳太朗)に尋ねたところ、正直分からん、あと半年か3年か5年か、10年20年、30年以上生きられるとも限らん、と実に幅のある答えを貰った会田はそれならガンガン突き進んでやると思ったのか、バーに勤めていた被害者女性の同僚でベテラン格の真理子(杉本美樹)の協力を取り付け、ノンブルを大使館の外へおびき出す計画を立てた。 兄に釘を刺されていたにも関わらず、真理子からの電話でホイホイ会いに出かけたノンブル。少年時代、育ての母が日本兵に陵辱され殺された現場を目撃してしまった彼は、それ以来猟奇的な衝動を抑えきれないのだ。真理子を自分の別荘へ連れてゆき、ベッドの上で再び同じ過ちを繰り返そうとした彼を会田が(立ち聞きに熱中したのか微妙に遅れつつ)間一髪で制止、銃撃戦になりかけるも、一課の応援のおかげで無事逮捕。泣きが入ったノンブルに最後通牒を突きつけた橘警部と頷きあい、真理子とも別れた会田を待っていたのは、「特捜部を追い出されてどこへ行くつもりかね」――辛らつな言葉とは裏腹に温かい眼をした矢部部長だった(昭和ブルースは4番) *会田のえらそうな返答:「もうひとつ特捜部を作っていただくんですな」。矢部さんがいるのを見た途端、悪戯が見つかった子供みたいな表情をみせる会田がいい(このあと車まで歩いてゆき、会田がさっとドアを開けて矢部さんをエスコートするところも好きだ)。 *杉本美樹さんといえば池玲子さんの妹分(という認識でいいのだろうか)。脱ぎっぷりはさすがだが、どんなときも眼が笑わないクールなひとだった。 *眩暈、それにときおり脚が引きつることも、と初めて不調を訴えていた会田。てっきりノンブル逮捕のときになにか症状が出ちゃうのかとか、はたして矢部さんは知ってるのかとか、いろいろと想像を逞しくしてしまったのだが、そういう乙女なノリは禁物らしい。(ちなみに山口百恵の白血病ドラマ「赤い疑惑」がオンエアされたのが、同年のこれまた同じ10月から、という事実と、会田の白血病立ち消えの件は関連はないのだろうか?)
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2008,02,01, Friday
#104「兇悪の再会」(1975年・S50・10月2日OA)
おねーさんのむっちり脚と天っちゃんの歌声(「非情の街」)入りOPに気を取られているうちに公害企業反対組合のリーダーが駐車場で射殺され、たまたま通りがかった赤ん坊連れの若夫婦も巻き添えをくって死亡。現場でいちゃついていた山野(西田健)は犯人・黒崎(黒部進)の顔を目撃したが、不可解なことに後になって証言を覆す。そして山野も、坂井刑事(宮口二郎)と四方刑事(葉山良二)が張り込んでいる目の前でガス自殺に見せかけて殺された。 自分たちのヤマをさっさと一課に託すなど、最初からなぜかおとなしの構えの会田(天知茂)だが、「なんでヤマちゃん(=山野)を守ってくれなかったのよ、人殺し!」と恋人・伸子(=冒頭の生脚おねーさん:ジャネット・八田)にシャレのように張ったおされてスイッチが入ったらしく、黒崎のボス・大和田(天本英世)の事務所を急襲、黒崎ほか5人を血祭りにあげ、矢部警視(山村聡)に拳銃と警察手帳を返上した。橘警部(渡辺文雄)に過剰防衛の咎で逮捕され留置所入りとなった会田は、自分ひとりで責任を被るつもりが新聞沙汰になり、特捜部の存続も危うくしてしまう羽目に。 そんな折、会田の行為を正当防衛だと証言し彼を保釈に導いた人物が現れた。伸子と大和田である。大和田は「奪った手帳を返してくれ」と1000万を提示。会田が事務所で手に入れた手帳には、大和田たち殺し屋グループを差し向けた黒幕の大企業・帝都物産の名前が記されているのだ。俺も安くみられたもんだとお近づきの小切手を破り捨てた会田に大和田は刺客を差し向けるが、彼をマークしていた(助けたわけじゃない、とか言いつつ実にタイミングの良い)橘班長によって事なきを得る。 一方、伸子も同じ手帳を欲しがってきた。彼女が大和田に唆されていることを知りながら会田は手帳を彼女に手渡し、部長にまたしても拳銃その他を返却すると、大和田一派を振り切って帝都物産を強請りに向かった。帝都の総務部長が顔色ひとつ変えずに用意した5000万を「俺はこれでも刑事の端くれだから」と丸ごと伸子に譲った会田は、田舎へ戻ってかあちゃんたちにこれ見せてやるんだ、と涙ぐむ彼女の純朴さに笑みを漏らす。 しかしコケにされた大和田たちが彼らを許すはずはなく、ビルを出てすぐ二人は狙撃された。逃走中に現金入りケースを落とした伸子は、会田の制止を振り切りケースに駆け寄ったところを射殺された。丸腰の会田も左肩を撃たれてあわや、というところでまたまたナイスタイミングで橘班長さんらが現れ、殺し屋グループたちは一網打尽と相成った。 とはいえ、親玉の帝都物産は無傷のまま。会田に刑事グッズを返しながら、こうなったらとことん突き詰めてやる、そのためには人殺し(=会田)でも強請り(=会田)でも、戦力になるヤツは集めてやろうと思ってね、と俄然張り切る矢部部長。だが会田は「ありがたい話だが、俺はそれまで待てないんでね」とひとりごちると、拳銃を握り締めて帝都物産のビルを睨み付けるのだった(昭和ブルースは4番) *なんとなく大人しめかと思いきや、がんがん人殺しちゃったり2回も辞職宣言しちゃったり、どこか自棄になってるような今回の会田。ラストの「それまで待てない」というセリフといい、これはもしかすると次回(白血病カミングアウトの#53「兇悪の無実」)への伏線だったのだろうか?(それにしてはえらく微妙な・・・) *この回からしばらく(年末OAの#63「兇悪のデザイン」まで)OPに「非情の街」が流れる。会田同様、非情になりきれない揺らいだ雰囲気が良く出ている歌声である。 (歌詞を検索して来てくれる人のために↓) ♪薔薇は嘆きの花か 俺に良く似た花か 傷を抱きながら 強く生きてくために 棘もいるさ 咲いて散るのが花か 散ってばかりが俺か 運命(ほし)に身を任せ ひとり枯野を歩く 馬鹿な奴さ 俺が歩く 道はいつも 暗くて 遠い ←最後に付く「ん〜ん〜」がちょっとセクシー *天井が高くて外の眺めも良かった特捜部が、薄暗い地下の息苦しそうな部屋へと押しやられた回でもある。すだれを張ったウエスタン・ドアがちょっとしたアクセント。 *そしてさりげなく若い新刑事(谷刑事:新倉博)が交通課から配属されていた。伸子が大和田に襲われたとき、会田よりも先に助けに入っていたような気がするんだが、あまりにさりげないゆえに良く分からなかった(この先さりげなく消えているほうに100アマチ) *さすがに暑い時分はとっくりが着られないので、四方さんがブルーの背広&シャツ&赤ネクタイで登場。
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2008,01,22, Tuesday
#103「優雅な兇悪」(1975年・S50・9月25日OA)
新藤恭子(葉山葉子)29歳、シェルブール化粧品販売員。リッチな2DKマンションに小鳥ちゃん達と暮らす彼女を密かにマークしている会田(天知茂)と江沢刑事(江波杏子)も、彼女が犯罪に関わっているとは半信半疑である。しかしボスの矢部警視(山村聡)によると、新規ルートで入手した拳銃を所持していたヤクザの手帳に、彼女の名前と住所があったらしい。 やがて会田らは、恭子と上司の堂脇(玉川伊佐男)との不倫現場をつきとめる。やはり恭子は吉岡(江幡高志)という男から、不倫をネタに拳銃の運び屋を強要されていた。堂脇の子供を宿している彼女は彼に助けを求めるのだが、彼は関わり合いになりたくないと避ける。 会田が堂脇を揺さぶった直後から、頭上から看板が落ちてきたり部屋のガス管が開かれたりと、恭子の身辺に危険が迫るようになった。彼女を襲った犯人は誰なのか・・・吉岡、それとも?(ちなみに真夜中、ひとり暮らしのレディーの部屋にドアをこじ開けて忍び込んだのは会田) 恭子に付きまとう吉岡の背後にいたのは堂脇だった。彼女を運び屋に仕立て、足がつきそうになったらお腹の子ともども厄介払いして自分はちゃっかり出世しようとしていた堂脇に、会田は皆の面前で逮捕状を突きつけ、明智センセイばりに真相を語り追い詰めるのだった。 騙されていたと知った恭子は子供を堕ろし意気消沈するが、同じ会社で働き続ける勇気を見せた。君(=江沢さん)の言う通り、やっぱり女に悪い奴はいないんだな、とフェミニスト発言をした彼は、恭子に買わされたというオーデコロンをふんわり匂わせつつ(曰く「紳士の身だしなみさ」)、彼女のマンションを後にした(昭和ブルースは4番) *街に流れる音楽が♪港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ〜♪な時代に、月収35万円ってのは相当裕福な恭子さんである。 *実はさしたる確証もなく恭子さんの張り込みを命じていた矢部さんに会田、渋い顔。でも紅一点の江沢さんと張り込めて良かったじゃないか。 *次回からいろいろとテコ入れ(?)があるため、見慣れた特捜部の部屋はこの回でおしまい。
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2008,01,19, Saturday
#102「兇悪の金」(1975年・S50・9月18日OA)
国際的ギタリスト、にしては場末のクラブで細々と演奏中の沖達也(剣持伴紀)の裏の顔は闇ドルをさばく地下銀行組織の運び屋。今日もクラブの歌手・小枝子(鮎川いづみ)を隠れ蓑にラブホテルに向かい現金3千万をギターケースに収めたのだが、帰宅するなり2人組に襲われてあっけなく死亡、彼をずっと張っていた坂井刑事(宮口二郎)は苦労が水の泡となり渋い顔。 2人組の正体はムショ帰りの佐川鉄男(佐々木剛)と金井三郎(山崎猛)。小枝子の幼馴染の鉄男は、彼女の話から犯行を思いついたものの、ボクサーくずれの三郎がうっかり沖を殺してしまったせいで身動きがとれなくなった。組織のボス・岩佐(伊達三郎)から資金強奪の責任を押し付けられた松宮(中田博久)が事情を知る小枝子をつけ狙う一方、右田(左とん平)は彼女を護衛、そして鉄男の動きは会田(天知茂)がつかず離れずマークしていた。 世の中は金がすべてだとふてぶてしく言い切り悪びれる様子のない鉄男だが、紙をこよってバレリーナを作る(某SNSの「紙ナプキンでバレリーナを折る会」とかに入れそうな)繊細さと小枝子への純粋な愛情を垣間見た会田は、そんな彼の良心に賭けるように鉄男を泳がせる。 八方塞がりでイラついた三郎は金を独り占めしようとし、小枝子や鉄男ともみ合いに。ナイフを取り出し暴れる三郎に小枝子が切られ、劣勢になる鉄男。その様子を見て飛び出そうとする右田を会田は制止した。黒幕(=松宮)がおびき寄せられるのを待っていたのだ。かくしてギリギリのところで松宮が到着、地下銀行組織は根絶やしにされた。傷を負いながらも「私が悪いんです!」と必死に自分を庇う小枝子の姿に、金では買えないものの存在に気づいてしまった鉄男は、「金がなんだー!」と3千万を地面にばら撒き慟哭するのだった(昭和ブルースは4番) *#62「兇悪の星」に続き、今回も2号ライダー・佐々木さんはツッパリながらも会田になんだかんだと熱く励まされて(可愛がられて)良心に目覚める役だった。ちなみに宿敵・ゾル大佐(宮口さん)との直接的な絡みは無かったと思う。 *会田と鉄男がいたレーザーライフルの射撃場の名前が「レーザープレー・ゴルゴ」。グラサンかけて余裕ぶっこいている会田がデューク東郷チックではあった。 *右田刑事がさりげなく名セリフ:「あぶく銭は金じゃない。ただの紙っ切れだよ」 *エンディング、昭和ブルースをしょって歩く会田に蛇行するバイク3台が絡んできてなんだか危ないシチュエーションだった(むろん、避けたのはバイクのほうだったが)
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2008,01,17, Thursday
#101「兇悪の射殺命令」(1975年・S50・9月11日OA)
女が砂丘を歩いている。 歩きながら女は思い出す・・・5年前の忌まわしい出来事を。 自分を強姦した脂ぎった男の顔。 その男に銃を向けた夜の事。 多くの血が流れて。堕ちるところまで堕ちて。 ――だけど、あいつは生きていた。 ――だから、あたしは。 5年前に同僚を射殺、輸送中の金を奪って逃走した元警官・加西芳郎(茶川一郎)を追って鳥取に来ていた坂井刑事(宮口二郎)は、タイアップ先=皆生グランドホテルで会田(天知茂)を見つけて驚いた。これは俺のヤマなのに・・・とちょっとご機嫌斜めな後輩を、お前もう素性バレてるだろ、俺は俺で動くからなとさらっとかわす会田だが、部屋に戻ると誰かが彼の荷物を探った形跡が(あんたもバレてるよ)。冒頭の砂丘の女・坊城美和(嵯峨三智子)の差し金である。 元婦警の美和は5年前、自分を強姦した政治家の戸沢浩之助(潮万太郎)の車を狙撃。運転していた加西は、銃声で駆けつけた同僚を撃ち殺し、彼の政治資金を奪って逃げたのである。それ以来ペアを組んで悪事に手を染めてきたが、唯一の後悔は戸沢にとどめをさせなかったこと。戸沢が今度鳥取入りするという情報を聞きつけた二人は、今度こそ彼を殺すつもりでいた。 二人を尾行途中、坂井は加西に撃たれた。彼を見舞った会田は、警官としてのモラルを失った加西に激しい憎悪をたぎらせる。その様子に坂井は、会田が来た真の目的(まあタイトルで激しくネタバレしているとはいえ)を薄々察し、まさか・・・といぶかしむ。 性懲りも無くガードの婦警に色目を使いながらホテルに来た戸沢を、物陰から睨み付ける美和。彼女もここで彼を護衛していたときに襲われたのだ。戸沢の娘を拉致して盾にした加西に坂井は動きを封じられるが、戸沢本人は会田が外へ連れ出していた。戸沢に銃を向ける美和だが、弾は出ない。激しく憎みながらも、もはやこの男のために自分の手を汚すことはできなかった。 会田が俯く美和に手錠を掛けた瞬間、背後に潜んでいた加西の銃が火を噴いた。咄嗟に撃ち返した会田によって加西は絶命。しかし被弾した美和もまた、会田の足元で事切れた。怪我をおして駆けつけた坂井の咎めるような視線を背中に受けながら、会田は言うのだった。 ――これが俺に与えられた命令だ。 (昭和ブルースは1番) *フランス映画みたいな渋い冒頭からぐぐっと惹きつけられる旅情編。しかし、警察の恥部ともいえる極悪警官があの茶ァさん、おまけに色ボケの戸沢は宮口さんの義父・潮さんなので、内輪の宴会のかくし芸みたいな雰囲気もあった(梅八さんもいたしなあ)。 *ショルダーホルスターは誰が付けてもサマになるものだが、会田が付けてた日にはもう理性がどこぞへ吹っ飛ぶかと思った。 *坂井さんを見舞ってから、テトラポットの上で海に向かって銃をぶっぱなす姿もやたらとカッコいい(たとえ弾層が回転してなくても許す)。 *ひたすらイケていたとはいえ、海岸そばを歩く会田(特にED)だけはいつもと比べてえらく歩きにくそうで、やはりあの靴(どれだよ)では砂地はキツイのだなあとしみじみした。
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2008,01,15, Tuesday
#100「兇悪なすずらんの女」(1975年・S50・9月4日OA)
戦時中のモルヒネ密輸事件に絡み、大企業の北川(稲葉義男)を20数年にわたって強請り続けてきた久地(藤原釜足)が死んだ。自分が死ねば北川の悪行の証拠は警察に渡すつもりだと会田(天知茂)に語っていた久地だが、彼の死を看取ったバーのママ・千枝(赤座美代子)は遺言の存在を否定、一人息子を業界記者の倉持(倉岡伸太朗)に任せて北海道へ旅立つ。彼女が証拠を握っているとみた会田たち特捜部、そして北川の子分(北町嘉郎)らも北の大地を目指すことに。 千枝は函館で久地の旧友・大野(浅野進治郎)に面会を求めた。久地の生前の願いは大野に証拠ネガを託すこと。しかし欲に目が眩んだ千枝は、その証拠品をカタに5億相当の土地の半分をもらうつもりでいたのだ。彼女の分不相応な出来心はやがて追ってきた倉持を巻き込み、命を落とさせる結果になる。 「もう終わりよ何もかも。死んだほうがマシだわ・・・!」夢破れて波止場で塞ぎ込む千枝に「じゃあ死ぬんだね」とあっさり言ってのけた会田は、自分の店もかわいい息子もある君が人生のどん底なんて笑わせるな、まあ一度本物の地獄を見物してくるのもいいがね、と地獄ツアーの体験者ならではのセリフを残して背中を向けた(昭和ブルースは4番) *函館には岩田刑事(岩城力也)・坂井刑事(宮口二郎)・右田刑事(左とん平)が同行。いつでもどこでもモテる会田に妬いてる右田、借金の取立て屋に扮した坂井&岩田のなりきりっぷりが笑える。 *千枝の息子役の名前がウスイ姓だったのだが、もしや天っちゃんの親族のひとりか何かか?
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2008,01,12, Saturday
#99「兇悪の警察手帳」(1975年・S50・8月28日OA)
いかにも悪人でございなルックスの殺し屋・真木(山本昌平)に殺された石丸(高野隆志)が握っていたもの、それは江沢刑事(江波杏子)の警察手帳だった。 石丸は20億相当の宝石を海外に売りさばいた窃盗団の一味であり、どうやらそこに女刑事が絡んでいたらしい。矢部警視(山村聡)や一課の橘警部(渡辺文雄)らから厳しい追及を受ける江沢だが、彼女に身に覚えはない。前日にふらりと訪ねてきた、かつて面倒を見てやったハコ師の鉄(木田三千雄)が手帳を盗ったと気づき問い詰めるが、彼もまた真木によって口を封じられてしまい、進退窮まった江沢は辞表を提出。 一方、特捜部は警察手帳をなんだと思ってるんだ!となじる橘を軽く受け流した会田(天知茂)は「こいつがオレの身分証明書でね!」と手帳なんてどこへやら、鉄拳をボカボカ振るいまくりながら窃盗の黒幕・天動(郡司良)までたどり着く。だが天動はすでに腹心・安川(八名信夫)に命じて、江沢の手帳を利用してニセ女刑事に扮した綾子(宗方奈美)を消そうとしていた。 海外へ高飛びしようとしていた綾子を、空港で張っていた江沢が発見。しかし綾子は安川に狙撃された。逃げる安川にさんざん蹴りを入れてノした会田は、江沢に手帳を差し出しがてら無言で頬ビンタ。「重いわ・・・こんなに手帳を重く感じたことはなかった・・・」しみじみと呟く江沢に(分かってくれたか)とばかりに頷く会田、その様子を物陰から見ていた橘も安心したようにその場を去った(昭和ブルースは4番) *矢部さんに指摘されるまで警察手帳の紛失に気づいていなかった江沢さんのうっかりぶりはちょっとありえないなあと思ったが、手帳の重みを知っているからこそ誇示しない会田の生き様と、そんな彼にまた胸キュンな(え?)橘さん、おっさん同士は相変わらず良い味を醸していた。 *海外ドラマなんかでは、洋式トイレにアタマを突っ込んで白状させる、ってのは見たことあるが、和式でそれをやるなんてコワすぎだ>会田 *橘さんが見てるのでわざとハイテンションで江沢さんを怒鳴りまくるという珍しい矢部さんの姿も垣間見られる。珍しい、といえば岩田刑事(岩城力也)の登場シーン、メガネが白っぽくキラキラしていてちょっとびっくりした←白ぶちか?と思ったが光っていただけかも *そしてもうひとつ珍しかったのは「俺は会田健だ!」とフルネームを名乗りながらボカスカやっていたことだ(ボカスカは珍しくないが)
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2008,01,06, Sunday
「コロンボ」型展開で、犯人(待田京介さん)とセンセイとの知恵比べがスリリング。ヒロインの兄(天知氏二役)の八の字眉毛の人情家ぶりや酔っ払い演技は必見です。
【明智先生ファッション劇場】:センセイの服装をキャプチャーしてみました(あまり着替えてくれないのですが、立派な二役ぶりをご堪能下さい)
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2007,12,28, Friday
#97「洞爺湖に散った兇悪」(1975年・S50・8月14日OA)
革命家の若い男女によって工場から爆薬が盗まれた。現場に落ちていたすずらんのブローチを手掛かりに、会田(天知茂)たちは犯人の一人・諸口雪子(北川めぐみ)の故郷・北海道に飛ぶ。 もう一人の犯人・小池(池上明治)は内ゲバに見せかけて殺された。既に道内にいるらしいリーダーの益川(吉田豊明)の手に爆薬が渡ることを阻止したい会田は、雪子の母・信乃(風見章子)に事情を説明して協力を仰ぐが、娘が革命家だと聞かされた彼女のショックは大きい。 内縁関係にある益川に爆薬をさっさと手放した雪子が母の許に訪れた。同じく北海道入りしていた橘警部(渡辺文雄)の特捜ばりの追及にもあくまでシラを切り通し、テロを実行することに何の呵責も覚えていないらしい雪子を目の当たりにして、信乃は思わず娘の首に手をかけるのだが、母の愛が勝ってしまいあえなく挫折。雪子はリーダーを追って待ち合わせ先の洞爺湖へ急ぐ。 雪子の親友で情報係の康子(桜井浩子)の動きをマークしていた会田たちも洞爺湖に集まっていた。しかし、康子が益川に接触した現場を押さえようとした瞬間に雪子が現れ、益川と共に逃避行。洞爺湖の中島に向かったふたりを四方(葉山良二)と坂井(宮口二郎)を連れて追いかけた会田だったが、ふたりは抱き合いながら爆死、駆け付けた信乃は立ち上る噴煙を見ながら泣き崩れるのだった(昭和ブルースは1番) *ラストで爆弾カップルの至近距離にいた会田までが巻き添えをくらったような思わせぶりな展開になり、四方さんや坂井が慌てふためくのだが、既に昭和ブルースのイントロが被っているため見ている方はそれほど心配しない作りになっている。 *特捜部からは四方・坂井・江沢(江波杏子)各刑事が北海道に来ていたが、なぜか一課の橘班長は珍しく単独行動。しかも北の大地で気持ちに余裕ができたようで、会田を全面的にバックアップしていた(そんな橘さんを見てちょっと嬉しそうだった会田がかわいい)。 *信乃さんのマンションの前の公園にけっこう大きな石碑があって、そこに「ポチ」と大書きされていたのがなんだか無性に気になった。なぜポチ? 落書きか?
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