2008,03,10, Monday
#119「兇悪のプライバシー」(1976年・S51・1月22日OA)
昇進間近の夫・進一(天田俊明)と幼い娘に囲まれた富山啓子(市原悦子)の幸せな生活は、旧知の極道・遠藤金造(今井健二)を偶然車に乗せる羽目になったことから綻び始める。 前科4犯のムショ帰り、今また組に盾突いた暴力金融会社社長をバラしてきたばかりの遠藤は、使用拳銃と顧客データが記された帳簿が入った社長のカバンを無理やり啓子に預け、警察にタレこめば過去をバラすと脅迫。かつて遠藤ら不良仲間と“不純異性交遊”を繰り広げ、万引きで挙げられたこともある自分の経歴を夫にひた隠しにしてきた啓子は従うしかなかった。 まもなく橘警部(渡辺文雄)ら一課の捜査網が啓子にも伸びるのだが、彼女は遠藤との関わりを頑なに認めようとしない。「世の中には死んでも警察なんかに協力したくないって思ってる人間だってたくさんいるんです」 啓子は昔の辛い経験から、警察に深い嫌悪感を抱いているのだ。暴力金融撲滅のために帳簿を追っていた会田(天知茂)は、啓子が同級生・トキ子(宗方奈美)を結果的に廃人に追いやったことで良心の呵責に苛まれていると指摘、僅かな正気の中で啓子の幸せを祈っていたトキ子の様子を語ってきかせる。啓子はそんなデリケートな部分まで調べた上で自分を諭す会田にほだされたらしく、「刑事の会田さんじゃなく、もうひとりの会田さんにカバンをお渡しします」と遠藤との待ち合わせ場所を知らせるのだった。 だが会田が駆けつけたときには、遠藤は啓子の銃弾に倒れた後。記者・村田(小島三児)の心無い記事をきっかけに家庭は無残に崩壊、失うものが無くなった啓子。「やっぱりあなたは刑事ね」橘警部らを呼び寄せた会田にカバンを渡した彼女は手錠を受けた。刑事達にやるせない思いを抱かせて――(昭和ブルースは4番) *ラストに幼稚園で元気に過ごす娘を啓子に垣間見せる優しさを示した会田(と右田)だが、ちょっと後手に回りすぎたような気がする。肝心なところで間に合わないのが会田の常(か?)とはいえ、啓子の罪を被ってやるくらいのはみ出しぶりを見たかったなあ。エリート刑事として正攻法で犯罪に対処する橘警部の苦悩と覚悟のほうがより鮮烈な印象を残した回だった。
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2008,03,08, Saturday
#118「兇悪の振子」(1976年・S51・1月15日OA)
“人類は土に還れ”がモットーの世界ルネッサンス協会なる団体で真面目に布教活動に励む橋賀勇(大門正明)は、しつこく絡む酔っ払い(三夏伸)に思わず当て身を喰らわせた。ところが男はそのまま内臓破裂で死亡。自首しようとする橋賀に上役の三宅(鹿内孝)は、会長・九谷大造(殿山泰司)の意向だからと暗に自殺を強要する。 独り残される母(三宅くにこ)を思い波止場で躊躇する橋賀は、絵描きの由美(麻田ルミ)と出会った。沖縄出身の由美は、協会への信頼を捨てきれないでいる橋賀を自分達沖縄の人間と同じだと言い“うちなんちゅー”になぞらえる。彼の代理として協会へ赴き、事を表沙汰にしない約束で3千万を要求した由美の大胆な言動を、既に九谷を捜査中の会田(天知茂)は頼もしく見守る構えだが、橘警部(渡辺文雄)は「俺達は(犯罪の原因を探る)弁護士じゃない、刑事だ!」と苦い顔である。 しかし会長直々の電話でまたもや振り子のように揺れ動く橋賀。自分の力不足を痛感した由美は会田のマンションをふらりと訪ねた。君の田舎は沖縄か、との会田の(本土復帰してまもない沖縄を特別扱いしない)自然な言葉にほだされた彼女は仔細を打ち明けるのだが、その頃橋賀は会長との待ち合わせ場所に出向き、手下たちに殺されそうになったことで完全にキレてしまい、銃器店に押し入り人質をとって立てこもるという暴挙に出てしまっていた。 母の説得にもまるで応じなかった橋賀だが、強引に店に入り込んだ由美と会田の説得でようやく落ち着きを取り戻した。「仕上げは悔いの残らぬようにやるんだな」「あなたは“うちなんちゅー”よ。そしてここにもう一人いるわ(=会田のこと)」ロマンチスト三人でなんとなくまったりと和んでいたのも束の間、由美を突き飛ばして橘警部が乱入、「俺は刑事なんだ!」と橋賀に手錠を掛けるのだった(昭和ブルースは1番) *組織のコマにされる若者を「美しく、そして哀しいのが青年でしょう」と弁護に回るイカしてる会田クン(タメ口アーティスト・由美調)。寝る前に着ていたすみれ色のカーディガンもイカしていた(おっさんぽくて)。 *ラストに由美を乗せるタクシー運転手にキレンジャー(現役)・畠山麦さん。
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2008,03,04, Tuesday
#117「兇悪のざんげ」(1976年・S51・1月8日OA)
矢部警視(山村聡)の家に招かれた会田(天知茂)たち(右田&谷刑事)は、彼の娘(二本柳敏恵)から、友人・井出秋子(村松英子)の婚約者だった峰岸正之(西沢利明)が転落死を遂げた事件を調べ直して欲しいとの依頼を受けた。折りしも秋子が自殺未遂を図ったとの知らせが舞い込み、会田は病院へと向かう。 『いかにもアーメンって言いそうな女だ・・・』 秋子を前にしてどうも苦手意識が否めない会田だが、敬虔なクリスチャンである彼女が自殺するには相当の理由があると睨み、背後にいる金井五郎(大村文武)という男を突き止めた。 金井は死んだ峰岸の幼馴染で、ヤクの運び屋。峰岸がヤク中だったことから、なんらかの諍いで峰岸を突き落とした金井が、それを目撃した秋子を脅していたのではないかと会田は推理する。現に金井は命をとりとめた秋子を呼び出し銃を向けた。そこを救った会田は(金井はムダに声の良い兄貴分:森山周一郎らがあっさり射殺)秋子の口から、フィアンセ・峰岸の同意の下で金井に回されたこと、一緒に死んでくれと迫る峰岸を思わず突き飛ばしてしまったことを聞き出した。やつらは人間のクズだ!とはき捨てた会田は正当防衛を示唆するが、事実はどうあれ心の中では殺したいと思っていた、と泣き崩れる秋子。 「俺には神様のことは分からん。でも神様はアンタのことを心配してるんじゃないかな」罪の意識に苛まれる彼女をそう励ました会田は麻薬取引の場に出向き、金井の兄貴分たちを有無を言わさず皆殺しにしたうえ、不幸の根源であるヤクが詰まったケースを蹴り飛ばすのだった(教会で懺悔に励む秋子を眺めつつ昭和ブルースは1番) *独白が多かったりで、なんとなく会田のキャラクターが原作に近いテイストの作品。ところでラストの襲撃シーン、暗くてよく分からなかったのだが、ハンドルに手錠を掛けてたグラサンの運転手は、会田に脅された取引相手?(それともあれが会田?) *お茶でくちゅくちゅして娘と会田に睨まれる矢部さん。「俺がくちゅくちゅくちゅってやると、奇妙に会田君のカンがひらめくのさ」と悪びれることなく再度くちゅくちゅ。はっきりいって汚いですよ矢部さん(でも意外にかわいかったり)。 *「こいつがキミ(=会田)に調べてもらいたいと言うんでね」「私、会田さんのファンなのよ」などと会田ヨイショに余念がない矢部さん父娘(残り二人は蚊帳の外)。会田をムコにでも貰うつもりか矢部さん。
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2008,02,28, Thursday
#116「兇悪の失恋」(1976年・S51・1月1日OA)
金のもつれから相撃ちになったヤーさん連中が握っていたのは、本物と見まごう出来栄えの模造拳銃(=コルト・ガバメント45口径オートマチック←坂井さん語る)。製造元を追う会田(天知茂)は、たまたま出くわした弾三郎刑事(北島三郎)の片思い人・石毛奈々(中川三穂子)の話を聞くうち、彼女の祖父・半造(田中春男)がかつて兵器工場にいた凄腕職人であること、そして数ヶ月前に突然失踪してしまったことを知り、かなりご都合主義だが半造こそが拳銃の作り主だと確信する。 かくして会田たちは、半造じいちゃん救出と模造拳銃摘発のため、刑事崩れのチンピラ(=サブちゃん)、女胴師(=江沢刑事)そしてその付き人かつ亭主(=会田)として、黒幕である行田伝十(佐々木孝丸)率いる伝十エンタープライズ(元・伝十組)に乗り込むのだった・・・! *このあといつも通り(?)すぐに素性がバレた会田がサブちゃんに撃たれたり(おまけに橋の上から落とされたり)、女賭博師・江波さんの「入ります」が堪能できたり、半造じいちゃんの逆転ホーマーに喝采したりしながらめでたしめでたし→タイトル通りサブちゃん失恋、という展開の、「キイハンター」ならサイコロGメン編のような、正月OAならではの遊び要素たっぷりの作品である。 *「お前の鼻の穴は何のためについてんだ!」(by 会田)にも笑ったが、会田と江沢さんが夫婦だと知った伝十組専務・青井(菅貫太郎)のガックリぶり(「それをはよう言わんかい〜!」)がたいそうツボだった。 *どうせなら会田も着流しで出てきて欲しかったのだが、黒スーツ&白ネクタイやら茶スーツ&緑ネクタイやらが楽しめたので良しとしよう。 *昭和ブルースは1番。OPが元通りインストバージョンになって落ち着いた。
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2008,02,27, Wednesday
#115「兇悪のデザイン」(1975年・S50・12月25日OA)
パリから帰国したばかりの新進デザイナー・北原知美(鰐淵晴子)を爆死させるという電話が特捜部に掛かってきた。凱旋ショーの準備に追われる知美のマネージャー・樋口和男(川地民夫)は悪戯だと一蹴するが、実際に爆発は起き、怪我人が出た。現場に残されていた新たな脅迫状と1枚の写真を見て顔色を変える知美。会田(格子柄トレンチの天知茂)は原因が彼女の過去にあるとみて捜査を進める。 知美が成功を掴んだデザイン画は、実はモデル時代の同僚・塩沢敏子(横川まゆみ)のものだった。すべては知美以上に出世欲に燃える樋口が仕向けた事とはいえ、親友(=知美)と恋人(=樋口)の裏切りを知った敏子は自殺、その過去が知美の胸に重く圧し掛かっていた。 脅迫犯の正体は、敏子の日記から真相を知った妹の正子(一の瀬玲奈)と同棲相手の竹本一郎(速水亮)。日記と引き換えに法外な金を要求してきた彼らに樋口は拳銃を向け、竹本を射殺した。その現場を押さえた会田は、あえて知美に日記を託す。 ショーのクライマックスで知美は自分の罪を告白した。誰も怨むことが出来ずに自ら命を絶った親友に詫びるため、あれほど望んでいた名声と地位を手放した彼女。再び一からやり直そうとするその姿を、会田は温かい目で見送るのだった(昭和ブルースは1番) *10歳で孤児になり、苦労に苦労を重ねてきたというヒロイン・知美。しかし、演じるのがあまりにも都会派美人な鰐淵さんなので少々説得力に欠けていたような気がする(とはいえ、作ってる服は田舎の洋品店レベルだったが)。でもって会田はそんな境遇の知美にシンパシーを感じているらしかったが、なにしろどっちも生活感が無いもの同士なのでラブロマンスには発展しにくい雰囲気だった。やっぱりこの2人はあれでしょう、ロウソクでしょう!(by 天使と悪魔の美女) *美女シリーズといえば、今回の会田の微かにピンクのラインが入った格子縞のコートは「五重塔の美女」の明智センセイとちょっと似ていた(でもセンセイの方がピンクが顕著かな)ああいうの好きなのか。 *#52「兇悪の再会」以来、もう出てこないのかと思っていた新米の谷刑事(新倉博)が登場。いつもの岩田さん(岩城力也)の位置をキープしていた。『非情の街』ver.の最初と最後に出てきたという勘定?
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2008,02,25, Monday
首吊り死体の側に置かれた五重塔の写真。20年前の悲劇との関連は・・・?
ミステリー色の濃い作品で、最後まで犯人探しが楽しめます。ヒロインにはちゃんといい人がいるので、明智センセイは文代さんに接するがごとくタメ口で何かと相談に乗ってます。ちなみにあのテーマ曲がOPにも初めて使われるようになりました。 【明智先生ファッション劇場】:センセイの服装をキャプチャーしてみました(ひとよんで“小指と旅する男”)
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2008,02,21, Thursday
#114「兇悪の超特急」(1975年・S50・12月18日OA)
1億円相当のヘロインが神戸から東京へ持ち込まれようとしていた。新幹線で神戸へ向かう途中だった会田(天知茂)と右田(左とん平)は、麻薬捜査官の荒井(藤巻潤)がターゲットと共に東京行きの「ひかり」に乗り込んだと知らされ、慌てて名古屋駅で列車を乗り換えた。 “敵”は複数で行動しているとの情報があり、それぞれ囮であったり殺し屋だったり、役割が決まっているらしい。ボストンバックを肌身離さず持ち歩く見るからに挙動不審な髭面の男は本当に運び屋なのか? 会田の隣席の女が持っている、必要以上に重いタヌキのぬいぐるみの中身は? そして冒頭、新神戸から飛び乗った殺し屋カップル(藤岡重慶&八並映子)が狙うのは誰か? 限られた時間の中、真相に迫ろうとする会田を筋肉弛緩剤入りの注射器(圧縮ポンプ付き)とスリ3人組が襲う・・・!(ミステリー仕立てなので結末は見てのお楽しみ:あっと驚く結末の後の昭和ブルースは4番) *実際に走行している新幹線内(お客はエキストラ?それとも本物?)での事件簿。明智センセイばりの推理力が冴える一方、あちこち走りまくり殴りまくり怒鳴りまくりの会田(女の子にもモテモテ)、「この俺が法律だ!」なんていうマイク・ハマーな台詞も飛び出すハッスルぶりだった(安静にしてなくていいのか、というより白血病設定は終わったのか!?) *乗り換えに1分しかない、と名古屋駅の階段を全速力(とはいえ律儀に1段ずつ上り下りしていたが)で駆け抜けた会田と右田。ぎりぎり間に合って「今後は特捜部にも実技に短距離種目を加える必要があるよ」ってなコメントを残した会田だが、そんなものがあったら不合格になるような気が(失礼)
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2008,02,20, Wednesday
#113「兇悪の美女」(1975年・S50・12月11日OA)
銀行を襲撃し、現金1億円を奪った学生グループ6人。だがリーダーの野村勝二(山本聡)は手榴弾のカウント途中に爆死、ひとりは追い詰められてビルから身を投げた。紅一点の半村ユミ(戸板順子)は、恋人・勝二の死の原因が、わざと誤ったカウント数を教えた堀内(堀勝之祐)ら3人にあることを知り、現金を隠して彼らの処刑を誓う。 金だけが目当ての3人はユミの自宅に押し入り、公開されたモンタージュ写真で自分の娘が犯人だと悟ったばかりの父・平七郎(中村竹弥)や母・静江(真味美枝)、結婚を控えた妹のマキ(君夕子)ら家族を恐怖に陥れた。やがて一家に押し寄せる残酷な世間の目。頻繁に掛かる糾弾(いたずら)電話に母はノイローゼ気味、マキの縁談は破綻、そして“娘は娘、私は私だ!”と気丈な態度を取っていた平七郎も、左遷めいた転勤を命じられて自殺を図りかける。 だが家族のユミを想いやる気持ちは強く、家に張り込んで彼女からの電話を待つ会田(天知茂)たちは「出て行ってくれ!」と非難される始末。特に、恋人を亡くした姉にシンパシーを抱き、その行動を正当化しているマキは姉の居場所を明かそうとしないのだが、そんな彼女に会田は「君の姉さんなど場合によっちゃ死んでもいい。しかしまた新しい善良な市民を巻き添えにするわけにはいかないんだ!」と熱く反論するのだった。 ユミは3人組をおびき寄せ共に爆死しようとしたものの、突然マキが現れたため形成が逆転、3人は姉妹を縛って時限爆弾をセットした。あと2分で爆発、という際どい瞬間、会田が飛び込んできて“素人がいじると大爆発だ”という爆弾のコードをちょちょいと引っこ抜いて2人を救出。のうのうと爆破の瞬間を見物しようとしていた3人組は警官隊のライトと兇悪な面相の会田に追い詰められ、手榴弾を投げ損なって自爆した(昭和ブルースは4番) *学生運動・モンタージュ作成に躊躇する銀行OLなど時事ネタも多いのだが、正直どこに主眼を置けばよいのか悩む作品だった。せめてタイトルが「兇悪の時限爆弾(手榴弾も可)」だったほうがしっくりくるのだが。 *歌入りOPテーマは、しゃべくりのある映像(今回は銀行襲撃シーン)が流れるとどうしても声が混じってしまうので、ちょっとおかしな具合である。
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2008,02,19, Tuesday
#112「兇悪のお母さん」(1975年・S50・12月4日OA)
荒川の土左衛門を横目で眺めつつ車上の人となった会田(バックミラーにぶら提げているファンシーなお人形マスコットは何なのか:天知茂)は、道路の真ん中にしゃがみこむ少女を発見、側の家まで連れ帰った。その夜、表札の氏名が先の被害者と同一人物であることを知った彼は家を再訪し、聞かれもしないうちからヒステリックにまくし立てる母親・安子(中原早苗)の様子に疑念を抱く。 会田は少女・民子(小谷真規子)を連れ出し、公園でボート漕ぎに興じながら事情を聞こうとするのだが、彼女は口を閉ざしたまま。もしや病気では、と山岸(大友柳太朗)に診せたところお前さんと同じ“愛情欠乏症”だと言われる。父性というより母性本能に目覚めたらしい会田、「俺たち刑事にはもうちょっとクールな心が必要だってことを忘れなさんなよ!」と民子を尋問に来た橘警部(渡辺文雄)からお株を奪うような捨て台詞を浴びながらも、けんもほろろに追い返し彼女を擁護する。 一旦は家に帰したものの、会田は民子が気になって仕方がない。そしてもう一度赴いた際、彼の不安は的中。裸のまま後ろ手に縛られ震えていた民子を救出しながら、会田は母親への怒りを募らせる。だが話せるようになった最初の言葉が“おかあさん”だった民子を見て、あんな母でも親は親なのだろうと思うと内心複雑だ。 民子が言葉を失ったのは、下宿人の土田(大塚吾郎)との濡れ場を押さえられた母が父を刺殺する様を目撃したせいである。土田に邪険にされ始めた母・安子はその鬱憤を娘への虐待で発散。挙句に娘の口封じと引き換えの逃避行を持ち出され、男を選んだ彼女は民子を山岸医院から拉致、手をかけようとする。そこへ飛び込んできた会田は、娘に出刃を突きつけ自省のかけらもない安子に発砲、駆け寄った民子を腕に抱きしめた。 「全くお前って奴は・・・!」苦い顔の橘警部に背を向け、会田は自身を納得させるかように言い切るのだった。あんな母親はあの子にとって必要ない、と――(昭和ブルースは2番) *このドラマならではのハードテイストの作品のひとつ。ほんとにいろんな意味で「全くお前って奴は!」な会田だが、彼だからこその決着のつけ方に唸る。でもこのあと民子ちゃんをどうするんだ会田よ。・・・それより気になったのは、民子ちゃんに会う前からフォロー一切なしで会田の車にぶら下がっていたお手製マスコット。そういうシュミなのか会田よ。 *久々に裸族なお目覚め(のあとコーヒー片手に新聞読んでる)シーンあり。サービス? *山岸先生、会田が愛に飢えているってことまで見抜くとはさすがだ。 *会田が民子ちゃんに与えた、赤い帽子でシマシマ服の「お母さん」人形、当時(←ほぼ彼女と同年齢)買ってもらった記憶が・・・(お腹を押すと鳴くんだ、確か)
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2008,02,18, Monday
#111「兇悪の三億円」(1975年・S50・11月27日OA)
1968年12月10日に発生した三億円事件の犯人は、学歴社会に押し潰された元・白バイ警官だった――。 時効が成立する3日前、関係者に挑戦状のごとく郵送されてきたのは盗まれた五百円札。だがそれでアシがつき、犯人・柿本昌夫(森次晃嗣)の所在が判明、一課と特捜部の面々は博多へ飛んだ。 今は廃虚となった故郷のボタ山に潜伏する柿本は、長い逃亡生活の果て、精神に異常をきたし始めている。彼の犯行を知ってしまった幼馴染の敏江(宮園純子)は、学歴偏重の警察機構、ひいては社会が彼を追い詰めたのだと会田(天知茂)に訴え、また一課の橘警部(渡辺文雄)は、柿本が現職警官だから、警官への信頼を裏切ったから許せないのだと心情を吐露(会田、今回は聞き役多し←「あんたは人情よりメンツが大事なんだな」など、言うことは言う)。 時効成立の当日。敏江は柿本と共に死のうと決意、薬をバッグにしのばせ仕事に出た。しかし彼女の願いは叶わなかった。犯人逮捕に燃える橘の望みもまた潰えた。なぜなら狂った柿本を自らの手で縊り殺したのは、彼らの父親たちの親友で、炭鉱事故でひとり生き残った鉄造(阿部徹)という老人だったのだから――(昭和ブルースは1番) *三億円事件と炭鉱の悲劇がシンクロし、人間の弱さがうまく表現されていた作品。はっきりいって会田がいなくても話は十分通じるのだが、こういう話は好きだなあ。 *エリートなんて一握りだ、学歴もない、出世の望みもない俺たち特捜部のような警官だっているんだ、と敏江に反論していた会田だが、どうも彼は見た目がエリートっぽいので(パリッとスーツとか、髪型とか←余計)説得力に欠けるようである。 *博多のスーツ店の店員に茶川一郎さんが友情出演。やはり茶ァさんはコミカルな役でないと。
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