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非情のライセンス 第2シリーズ #75
#127「兇悪のワイン」(1976年・S51・3月25日OA)

矢部警視(山村聡)の要請で銀座のクラブ「F」を訪れた会田(天知茂)は、女達の相談役だという元・弁護士の深海(=ふかみ)綾(岸田今日子)と出会った。

彼女の親友で「F」のママである森口早苗(柳川慶子)は、貝塚勇治(山本清)という実業家に店とマンションを担保に2千万の借金をしているのだが、店の客のツケが込んでおり、返済が滞っているのだという。その客というのが、貝塚の息のかかったホステスが連れ込んだ者が多数であり、意図的なものを感じるという綾。元暴力団幹部で今回の会田のターゲットである貝塚は、他の店でも同じ手口でママからすべてを巻き上げ自殺に追い込んでいた。

会田は綾と協力し、証拠集めに奔走する。しかしあと少しで貝塚逮捕に踏み切れるという時に、返済が迫り追い詰められた早苗は、貝塚がすでに他の女に同じ話を持ちかけているのを目撃、衝動的にナイフで貝塚の顔を滅多斬りにしてしまった。思わず、ストレッチャーで運ばれる包帯ぐるぐる巻き状態の貝塚を締め上げる会田。

早苗は捕らえられたが、情状酌量の余地はある。彼女が出てくるまで「F」は綾が切り盛りすることになった。「早苗と敏矢ちゃん(=早苗の息子)のためにも乾杯して。ね、会田クン」弟分のような扱われ方(実年齢は、1歳だけとはいえ岸田さんの方が上)に照れた笑いを浮かべながら、会田はワインで乾杯するのだった(昭和ブルースは4番)

*OPテーマ曲に沿ってストーリーのダイジェスト映像が流れる珍しい回。意外性のある話ではなかったとはいえ、いきなりネタバレってどうなんだろうか。

*いつのまにか左ハンドルになっていた会田の車(ちょっと流線型)。ええ稼ぎしとるのう。

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非情のライセンス 第2シリーズ #74
#126「兇悪のフェニックス」(1976年・S51・3月11日OA)

自室へ戻るなり拳銃を持った男と鉢合わせ、振り切って外に出たのはいいが気がつけば丸腰、そこへナイフを振りかざした複数の男達が襲い掛かり、なんとか躱し切れた、と思ったら目の前に銃口、胸のど真ん中を撃たれてハイおしまい、というOPをまるまる使った物騒な夢で飛び起きた会田(天知茂)。

彼が追っている医療器具納入汚職は、商社の下っ端が捕まり、公団の部長が自殺したことで一応の収束をみた。だがその死には謎が多く、財界の大物が横槍を入れて捜査を打ち切ったことに俄然ファイトを燃やした会田は、「バカタレ、ヘマな死に方なんかしやがったら誰もお前のためには泣いてやらんぞ!」と怒鳴る矢部警視(山村聡)をよそに自らを囮にしての捜査続行を決断。汚職取引現場とされるクラブの雇われママ・元井葉子(三条泰子)からの罠の匂いがぷんぷん漂う誘いに応じてフェリーで宮崎へ向かう。

後輩の由紀(京春上)を伴って宮崎入りした葉子は五洋商事の千藤(田口計)の指示に従い、旧知の治(池田駿介)をダシに使いながら会田を狙撃地点まで誘導した。狙ってくれといわんばかりの目立つ服装(黒キャスケット&グレイのもこもこ毛皮ジャケット)で運転する会田を歩道橋から狙うヒットマン。しかしあわや、というところで計画は頓挫。同じく公団部長の死に疑問を持つ一課の橘警部(渡辺文雄)が会田を心配して(←誇張だがあながち嘘でもない)宮崎入りし、警戒態勢を敷いていたためだ。

治は5年前にホステス時代の葉子と同じ店にいた元バーテンであり、今はしいたけ工場に勤める真面目な青年。銀座のネオンに固執しつづける葉子の様子に心を痛め、悪いことに手を染めているなら捕まえてやって欲しい、夢から目を覚まさせてやってほしいと会田に懇願する。しかし葉子は店持ちたさのために再び会田を誘い出し、千藤らの前に連れ出した。ところが、そこには自分に銃を突きつける由紀の姿もあった。厄介払いされようとしながら、執念で葉子は由紀から銃をもぎ取り会田に向ける。

「俺を撃てば君の夢は吹っ飛ぶ。夢が吹っ飛んだあとに、七色のネオンがきらめくだろう」なんていうメルヘンチックなセリフを吐かれた葉子は結局会田を撃てなかった。千藤らは駆けつけた刑事たち(一課&特捜の面々)によりサファリパーク内で逮捕、手錠をかけられた葉子だったが、会田&右田(左とん平)の計らいにより、船上で治と結婚式を挙げるのだった(昭和ブルースは4番)

*日本初の宮崎サファリパーク(1975-1986)にて、サイや象の群れに混じって疾走する刑事たちと犯人一味。話の展開を通り越してもうみんな顔が真剣。犯人←捜査一課←特捜部、という順番で駆けてくるのだが、途中までそのへんでごろごろしてただけのサイたちが、一番うしろをとっとこ走ってる会田を追うかのように一緒に走り出してきていて危なそうだった(その上着のせいで小動物か何かと間違えられてんじゃないのか会田)

俺の墓場はどこだ、と例のもこもこジャケットで葉子の誘い出しに応じる会田。その服で死んだらやっぱりヘマな死に方(by 矢部さん)だと思うので無事でよかった。防寒着というより防弾着だと思えばいいのかもしれないが、フロンティア・スピリット溢れる牧場主風といおうか、金回りが良くなったダフ屋のおっちゃん風といおうか、けっこう緊迫したストーリー展開なのに会田が映るたびに声にならない呻きがもれてしまうのであった。

*「だいぶ風邪がはやっているようだが、大丈夫か?」と会田を気遣う矢部さん。そんなセリフは白血病設定があったときに言ってほしかったなあ(←まだ残念らしい)

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非情のライセンス 第2シリーズ #73
#125「兇悪のノクターン」(1976年・S51・3月4日OA)

定時制時代の幼馴染・川口秀一(竜崎勝)とゴールインしそうな気配の江沢景子刑事(江波杏子)に、特捜部の面々は温かい祝福を送っていた。しかし川口は、自称マイナー暴力団の花崎(田島義文)の子分・吉川を殺害した容疑で一課にしょっぴかれる。

容疑どころかOPで堂々と吉川を殺っていた川口だが、死亡推定時刻の21時30分には景子と一緒にバーにいた、と鉄壁のアリバイを主張。おまけに会田(天知茂)と坂井(宮口二郎)がその現場に鉢合わせしているため、さしもの橘警部(渡辺文雄)もお手上げ状態だ。

かつて解雇された会社の情報を花崎に流す一方、会社への再雇用をチラつかされて寝返った2重スパイのような川口。どこから見ても胡散臭い男なのだが、江沢はなぜか彼に付き従おうとする。その理由は10年前、景子を暴行しようとした同級生を川口が撲殺するという事件にあった。事件当時の担当署長で、景子を警察へリクルートした矢部警視(山村聡)の口から、実は景子が手をかけたのではないかという疑いがある、との打ち明け話を聞いた会田は、10年前の償いとして川口を庇っているかにみえる景子に「これだけは忘れないで欲しい。君は女であると同時に警察官であるということを」と諭す。

川口が来たのはもう少し遅かったんじゃないか、という疑いが晴れない会田は、バーに流れていたショパンのノクターン(第9番 ロ長調 作品32-1)のメロディを手がかりに、彼が15分は遅れてきたことを確証。だが既にそれに気づいていた景子は、川口を朝霧の湖へと誘った後だった。

霧の湖にボートを浮かべた二人。
――10年前、俺は君を庇った。だから今度は君が俺を助けてくれ。
そう繰り返し自首するそぶりすら見せない川口。
――私は刑事よ。
悲しみを堪え、拳銃を渡すよう説得する景子。
揉み合ううちに銃弾が景子の胸を貫き、一足遅かった会田の銃は、呆然とする川口を問答無用で射殺した。

――自分の生き方は、自分で決めます。

微笑みを湛えて死んだ景子。最後に会話を交わした噴水広場で、彼女の決意の言葉を思い返す会田だった(昭和ブルースは3番)

*一部、訳ありカップルのプロモ映像みたいな場面もあれど、激しく転調するメロディがストーリーを盛り上げ、江沢さんのクライマックス(合掌)を物悲しく彩っていた作品。

*タララララララン♪という部分は何分くらいに出てきますか、とバーテンに口ずさみながら尋ねる会田。意外と音程が取れていてさすがだと思った(失礼)

*江沢さん死亡時、「江沢景子――胸部貫通銃創」と死因テロップが出るのが珍しかったが、これを出したのは「もしかして溺死だったりして?」(それだと犯人は会田)と思われないための処置だったのか、と邪推しかねないくらい豪快にボートから転げ落ちていた薄幸カップルだった(会田のせい)。

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非情のライセンス 第2シリーズ #72
#124「兇悪の密告」(1976年・S51・2月26日OA)

「おかしいなあ・・・どうもおかしい」
輸血中の会田(天知茂)の側で、腑に落ちない様子で顕微鏡を覗いている山岸先生(大友柳太朗)。血小板の減少や肝臓・脾臓の腫れが以前と比べてずっと引いているのだという。そんなに悪い時期なんてあったんですか!じゃなくて、それじゃ快方に向かってるってことじゃないですか!と嬉しそうな看護師のユミ(中島ゆたか)に対して「そんなバカなはずはない!もうそろそろ冥土から迎えがきてもおかしくない頃なのになあ」などと浮かない顔の先生(会田に死んでほしいわけでは勿論なく、理由は他にあることが後に判明)は、それでも近頃止めているという酒を持ち出し乾杯してくれた。

正直ホッとしたらしい会田の元へ、久保四郎(和崎俊哉)という男がチンピラ殺害の容疑で逮捕されたとの知らせが届く。久保は建設会社勤めで、会田が追っている黒い疑惑に満ちた土地ころがしの真相を知る人物。社長の花角(織本順吉)が捜査の矛先を逸らすために久保を別件逮捕させたのではないかと疑う会田は留置所から彼を強奪、泳がせて後をつけるつもりが、一課の橘警部(渡辺文雄)らに阻止され見失ってしまった。

逃げた久保は半年前から共に暮らす祐子(武原英子)に真っ先に連絡し、社長や警察に見つかる前にどこかへ逃げようと誘う。必ず自首させるから、せめて1時間だけでも夫婦の幸せを持たせて欲しい――訪ねてきた会田にそう懇願し久保の元へ駆けつける祐子。だがチンピラ殺しの真犯人が花角サイドに消され、久保にも命の危険が迫っているため、会田はすぐさま二人の前に姿を現わした。祐子の秘密(=久保を警察に密告したのは彼女)を愛するが故の行為だと暴露、真相を話すよう説得する会田にその気になる久保だが、折り悪く花角の子分達が乱入、久保を拉致したうえ、縋る祐子に拳銃を向けて逃げ去る。被弾した祐子は、自分の密告行為は愛ゆえではなく、久保が社長の姪と結婚するかもしれないというジェラシーに駆られてのことだったと救急車の中で会田に打ち明け意識を失った。

病院に着いてみると手術を担当する医者がいないという緊急事態が勃発。そこで会田は急ぎ主治医の山岸先生を呼ぶことに。来るなり「おおいガソリン(=酒)をくれ、弾のひとつやふたつ1杯やりながらでも摘出できるんだ」と豪快な山岸先生だが、ユミは心配顔。「先生はアルコールが切れると手が震えてメスが持てないんです」。それが原因で、この手術を最後に九州の田舎へ帰る気でいるのだと聞かされ、さすがの会田も「大丈夫かな・・・」と動揺気味だ。

祐子を消しにかかるであろう花角サイドの刺客に備えて(むしろ危険は手術室の中のような気がするが)警戒を怠らなかった会田の計略により襲撃犯たちは逮捕され、社長の花角の悪事も白日の下に。麻酔から覚めた祐子は、自力で逃げ戻ってきた久保がそばにいるのを見て安堵、そして手術を無事成功させた山岸も、会田が差し出したカップ酒をぐいっとあおり、笑顔を見せるのだった(昭和ブルースは1番)

*最後にいろいろツッコませてくれた山岸先生はこれにて勇退(たぶん)。会田の白血病は(先生の「ゆめゆめ全快したなどと思うなよ」との脅しにもかかわらず)きれいさっぱり全快してしまうようである。ううむ、会田の兇悪人生をダメ押しするこれ以上ない兇悪設定だったのに、あまり活かされることもなく消滅してしまったのは残念だ。

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これが法律だ
ミステリーベスト21 「これが法律だ」(1962年・S37年 11月16日OA)NET 21:00-22:15

原作:高木彬光
出演:天知茂、松本朝夫、中原美沙緒、加藤嘉、上田吉二郎、長門勇、文京子

(朝日新聞縮刷版よりあらすじ引用)
一人の男が生涯をかけて研究した法律も、無実の男の処刑を救うことができなかったという皮肉な運命を描く。
*原作での主要人物は以下のとおり:

・神津恭介:東大助教授(日本三大名探偵のひとり
・大木五郎:神津の親友(行動派)
・富山剣次:殺されるワンマン作家
・恵利子:富山の奔放美人妻
・夏村大二郎:富山殺害を自供した死刑囚
・丸岡日照:夏村を見舞う教誨師
・津雲国利:弁護士(恵利子ラブの真犯人)

クレジット順だと天っちゃんが主演とみてよさそうだが、この話における主役はいったい誰なのかが問題である。神津役だったらかなり興味深いのだが、今回は神津よりも大木五郎のほうが出番がはるかに多く、体当たりで真相を明らかにするのも大木なので、もしかするとドラマは神津抜きで作られた可能性もある。となると肉体派でレディ・キラーな大木=天っちゃん、ってことになるのだが、後者はともかくマッチョというのがひっかかる。

あと考えられるのは死刑囚・夏村役。死刑執行を前にあくまでクールでニヒルなこの男が真相を知らされ崩れてゆく様に「これが法律だ」という言葉が重々しくのしかかるクライマックスを考えると、彼を主役と捉えてもいいような気がする。それにたぶんマッチョよりは適役だ

・・・とあれこれ想像を逞しくしていて、以前こんなポスター画像を戴いたのを思い出した。ううむ、正面写真と「ベスト21」の文字のところ(は天っちゃんじゃないのかしらん?)を見ると、神津か大木っぽいけどなあ。のけぞってるから死刑囚・夏村の顔がわからんなあ。真相やいかに・・・!

*とはいえ、原作とまるで違う展開というのもアリなわけで(“生涯をかけて法律を研究した男”なんて原作じゃ出てこなかったようだし)

(2013.3.16追記:毎日新聞より引用)
【どうしても救えぬ無実の男】
高木彬光の原作を北一郎が脚色。法律を生涯かけて研究した男の力をもってしても、無実の男の処刑を阻止することができなかったという皮肉な運命を描く。

大木=天知茂、夏村=松本朝夫、恵利子=中原美沙緒、津雲弁護士=加藤嘉、刑務所長=上田吉二郎、所長代理=長門勇、守衛=佐藤昌也、教師=冬木京三、女給=文京子。
*神津恭介ではなくて大木だった。マッチョなレディ・キラーか!

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非情のライセンス 第2シリーズ #71
#123「兇悪の情熱」(1976年・S51・2月19日OA)

関東ヤクザ連合会長・田代(潮万太郎)の屋敷が手製爆弾で狙われた。やったのは近頃やけに羽振りの良い柳井組らしい。四課主任・南條刑事(小林昭二)や会田(天知茂)たちは、ゴミ運搬員(←南條さん達)やら女子トイレでの張り込み(←会田&坂井)やらを地道にこなし、柳井組が“世革動”(=世界革命行動分子)メンバーの高野邦明(佐々木剛)と結託、高性能の爆弾を作らせていることを突き止める。

ある夜ふらりと柳井組を抜け出た高野はバー・エスカルゴへ。美人ママの泰子(弓恵子)と何やら話して外へ出た彼は、何者かに火炎瓶を投げつけられ全身火だるま。会田と一緒に彼を尾行していた坂井(宮口二郎)の助けも間に合わずに死亡してしまう。会田は犯人に追いつき、火炎瓶を振り上げた男に威嚇射撃をしたところ、足を撃ったはずなのに頭上の火炎瓶が破裂、こちらも火だるまで死んでしまった。

矢部警視(山村聡)にさんざん非難される会田だが、どうしても自分の弾が火炎瓶に当たったとは思えない。そこで、柳井組インテリ幹部の工藤(平田昭彦)の妹でもある泰子の元を訪れ、無残な姿になった高野の写真をつきつけて脅しをかける。坂井が現場を見ていた柳井組のチンピラを締め上げてくれたことも手伝って、ようやく真相が明らかに。会田と同タイミングでサイレンサー付き拳銃をぶっぱなしたのは、泰子の兄だったのだ。疑いが晴れて意気揚々と部長に報告する会田だったが、工藤が爆弾を抱えてビルに立てこもったとの知らせを聞いて急ぎ現場へ駆けつける。

南條や泰子が説得にあたっている間、こっそりビル内に忍び込む会田と坂井。しかし「会田さん何をするんですか!」「危険です会田さん!」となぜか会田ばかりが警官たちに引き止められてマゴマゴ出遅れているうちに(まごまごしていたのは引き止められたためだけではなさそうだったがそこは贔屓目ということで)、スタートダッシュした坂井が颯爽と縄梯子を伝って工藤のいる部屋へ押し入った、と思ったらガンガン撃たれて大ピンチ。そこへようやくたどり着き惨状を目の当たりにした会田は、容赦なく工藤に全弾をぶちこんで終止符を打つのだった(昭和ブルースは1番)

*死んだフリして会田と部長と視聴者を驚かせてくれたが坂井さんは無事。

*またもや宮口さんが大活躍な回。おまけに今回は奥様(=弓恵子)さんがヒロインときている。張り込み時の写真を見て「なんですかこの女は!」とちょっと照れつつ口走るサービスあり(会田の「いい女だろ?」に思わず「ええ」とか言ってるし)

「そこでちょっと寝ておけよ坂井」と洋式トイレを指差す会田、トイレで張り込む二人にカレーライスを差し入れる右田。どないですか。

*主要人物名(高野、工藤兄妹など)とおおまかな筋は原作「兇悪の炎」と同じ。高野の写真を突きつける兇悪ぶりは原作通りだが、屋根からズバットアタック(違)なんてのはもちろんドラマだけ。

*佐々木さん(ライダー2号)・小林さん(おやっさん)・宮口さん(ゾル大佐)と、ライダー関係の人が集ったいかにも東映な布陣。だがヒーロー役者が火だるまってところがこの作品の非情なところだ。

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非情のライセンス 第2シリーズ #70
#122「兇悪の秘め事」(1976年・S51・2月12日OA)

3度も会社を潰し偽装倒産の疑いがある会社社長が、尾行中の坂井刑事(宮口二郎)の目の前で射殺された。犯人は、この会社のせいで工場が立ち行かなくなった福地原修一(柳生博)。あっさり犯行を認めて拘置所に送られる修一だが、何者かに命を狙われる。囚人に混じって密かに彼をマークしていた坂井は、彼が小野寺勘治(嵯峨善兵)という黒幕に依頼されて殺人を犯したことを探り当てた。

血の気の多い坂井は早速小野寺の会社に乗り込んだものの、社員への暴行容疑で停職を喰らう。一方の修一は、妻・洋子(三浦真弓)から工場が小野寺に取り押さえられたことを聞かされ「約束が違う!」と慌てるが後のまつり。洋子は裏切り者の小野寺を狙撃しようとするが、黙って後輩(弟子)に任せていた会田(天知茂)がここで(別に頼まれていないが)出動、彼女を阻止する。

修一は証拠隠滅を図る小野寺の放った刺客によって、拘置所の中で絞殺されてしまった。彼が洋子へ送った手紙に隠されたメモを焙り出しで解読した会田は、小野寺の後を追って洋子が向かった料亭へと急ぐ。「小野寺なんて人は来てません!」と言う女将(三原葉子ねえさん!)を振り切って会田が部屋に入ると、小野寺はすでに洋子の撃った銃弾で負傷していた。前回(#69)同様、苦しむ小野寺を焦らすだけ焦らして自白を得てからようやく救急車の手配をする会田。殺してやりたかった、とまだ不満気な洋子を「怨みが残るならそれでもいい。それがあんたの明日からの生きる糧となるならね」と彼なりの励ましの言葉を送ったあと、なんで貴方がいいとこ取っちゃうんですかあ!と恨めし気な坂井に後を任せてその場を去るのだった。
(「余計なことしやがって・・・ゴロツキめ」一課の橘警部(渡辺文雄)の苦々しげな台詞と共に昭和ブルースは4番)

*トレンチの坂井刑事が大活躍する回。でも肝心なところは師匠が締める、と。

*女将役であの葉子ねえさんが出てきたのは驚きだ。会田に「動くな!」だのなんだのと指図されて「んもう!」ってな顔でうろうろしている姿が嬉しかった。

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非情のライセンス 第2シリーズ #69
#121「兇悪の妻の座」(1976年・S51・2月5日OA)

長瀬紀子(谷口香)は夫・安夫(矢野宣)と義母、そして中学受験を控えた息子とで暮らすパート勤めの主婦。安夫の会社が相当やばくなっており、差し迫ったローン返済のためたった一度だけ身体を売ったことは、当然ながら彼女だけの秘密である。

ところが特捜部と名乗るコワモテ3人組(=会田・坂井・右田)が現れ、その夜のことをしつこく尋ねてきた。実は紀子の当夜の相手・加賀始(勝部演之)は、汚職事件をかぎ回る記者をトップの命令で殺害、その足で彼女と寝た男なのだという。彼のアリバイを崩すためにはぜひ貴女の証言が必要だと迫られる紀子だが、家族を想う彼女にはとても本当のことなど言えない。

そのうち、自宅へ加賀から電話が。コワモテ刑事の一人(=会田)がいちかばちかで加賀に紀子の名前と住所をほのめかして出方を探ったせいであるが、そんなことは知らない紀子は「もう一度会ってくれ」としつこい加賀の誘いに乗ってホテルへ向かう。そこには加賀の姿はなく、チンピラ・岩場(内田勝正)が口止め料の30万を持って待っていた。あわや岩場の毒牙に、という際どいシーンで刑事たちが部屋に乱入、事なきを得るが、一番のコワモテ(=会田)だけが残ってドアに鍵をかけた。まさかこの人も私を・・・!と身構えた(でも杞憂)紀子は、再度の証言要請を「毎月きちんと月給を貰って、税金を山分けするみたいにたくさんボーナスを貰って、そんな人たちに何が分かるのよ! 弱い人間をいじめるのがあんたたちの仕事なんでしょ。えらそうな口きかないでよ!」と激しく突っぱねた(でも後悔)。

夫クビ→再就職先で重傷、パートの業績不振、そして加賀からの再三の電話と、次第に追い詰められてゆく紀子。とうとう加賀の呼び出しに応じた彼女は、口封じだとナイフを向けられ大ピンチ、もみあった末に彼を刺してしまった。そこへ駆けつけた例のコワモテ(=会田)は彼女の行為を黙認、悶える加賀に自白させ目的を果たすのだった。

夫の怪我には労災が下りるとのことだが、まだ紀子の不安は尽きない。しかし「家庭の中の妻の座ってのは、大切なものじゃないんですかね」と自分が最後まで死守したものの存在を思い起こさせてくれたトレンチのコワモテ(=会田)のお蔭で、少しは自信がでてきたような気がしていた(昭和ブルースは4番)

そして会田は、一緒に加賀の上役を摘発に向かったときの矢部警視(山村聡)の言葉を反芻するのだった。
――なあ会田。警察の手錠や拳銃だけではどうにもならんことが山ほどある。山ほどあるなあ・・・。

*昭和ブルースの後に矢部さんの台詞。ぐっとくる演出だが、なんか部長が死んじゃった人のようだった(生きてます、おまけに今回は現場へ出動してました)

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女紋(おんなもん)
ロマン劇場「女紋」(1962年・S37年 10月18日・25日OA)日テレ 20:45-21:30

原作:池田蘭子
出演:浪花千栄子、花菱アチャコ、福山博寿、天知茂、双葉和子

(朝日新聞縮刷版よりあらすじ引用)
四国今治の旧家・山田家の一人娘お敬は、“日吉屋の犬公方”というあだ名だった。17歳で婿養子をとり、5人の子の母となったが、巡業にきた大阪の講釈師を愛し出奔した。やがて「立川文庫」を創刊する――実伝を小説ふうに記録した孫・池田蘭子さんの原作をテレビドラマ化した。
*原作を読んでみたところ、男性陣は

・玉田玉秀斎:お敬と駆け落ちした講釈師
・小田都三郎:講談本の速記者で、お敬の娘・寧に惚れている(でも振られる)
・阿鉄:お敬の長男
・立川熊次郎:玉秀斎の講談本を文庫化
・奥村:立川文庫の執筆者のひとりで、後に勝手に他所へ流出

などが主要な役どころ。玉秀斎はアチャコさんで決まりだろうし、阿鉄や立川は年齢的に外れそうなので、作品中唯ひとり気味の悪い(ケチで意地も悪い)人物に描かれている小田都三郎が天っちゃんではないかと推測している。まだそういう役多そうだし。

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非情のライセンス 第2シリーズ #68
#120「兇悪の声」(1976年・S51・1月29日OA)

黒キャスケット&黒ジャケットにイエローシャツという久々にツッコミ甲斐のあるいでたちで会田(天知茂)がブルマン(=ブルーマウンテン)を飲んでいた珈琲店に、拳銃を持った女・咲江(夏純子)が押し入ってきた。彼女は先ごろ海に落ちて死んだノイローゼ気味のヤクザ・林(三上春樹)の愛人。林の死は他殺だと確信するこの咲江、生前あのひとはこの世の2人かあの世の2人半に殺されると怯えていた、犯人はこの世の2人に違いないのよ!と断言、丸総銀行の深見(=この世の1人目:水島弘)を呼べとマスターの北岡(=この世の2人目:高松英郎)に迫った。

客代表として居残った会田は矢部警視(山村聡)に連絡して深見を呼ぶよう伝えるが、咲江が突然倒れたために中断(後に流産)。暴力団と現役大臣の癒着を追い、パイプ役とみなしマーク中だった林に死なれたばかりの会田にとっても、彼らの関係は見過ごせなかった。林とやり手銀行員の深見、そして商社マンだった北岡を結ぶ7年前の因縁とは? 林が精神を患うに至った“声”とは何なのか? 夜を徹しての調査で、会田は7年前のとある誘拐事件を探り当てる。

寡黙なマスター・北岡も、風邪を引きかけながら真相に迫る会田(単に事件の起きた波止場に土砂降りだというのにボーッと突っ立っていたせいなのだが)の態度に打たれたらしく、“あの世の2人半”(=自分が海外出張中に誘拐され殺された息子と、そのショックで死んだ身重の妻)について語り始める。
――人間はひとりの方がいい。失う者を持たない方が、生きていくのが気が楽だ――。
そんな北岡の孤独な思いの丈に、会田はシンパシーを感じ始めていた。

自らの出世のために誘拐を画策して林に実行させ、ライバル銀行に身代金を要求、ふってわいた災難に慌てるライバル社を尻目にヒーロー然と金を持参した男こそが深見である。身体が癒えた咲江を林のお骨と対面させてやったり、実は一番のワルで林殺しの犯人である深見に揺さぶりをかけたりと張り切る会田は、深見がヤクザと大臣の収賄ルートの証拠人でもあるため、北岡たちに手を汚させまいとする。

しかし林や深見に声のテープを送りつけた張本人の北岡、深見に愛人を殺されたと知った咲江は深見への殺意を募らせていた。会田が駆けつけたときには既に遅く、深見は死体に。これでは北岡を逮捕せねばならない。手錠を固く握り締める彼の耳に、少年と女性の声が流れ込んでくる。出張中の父、そして夫へ綴る、普段どおりの微笑ましい日常。7年前の事件当日に録音されたそのテープこそが林たちを怯えさせた“声”だった。

北岡と咲江は観念したように珈琲店で会田を待っていた。だが会田は「深見は自殺だった」と告げ、ふたりに刑務所でなく海外行きを薦める。自殺に犯人がいては困る、あえて言うなら、“あの世の3人半”(=北岡の妻子&林)が犯人なのだから、と。
日本で淹れる最後の珈琲はあなたに飲んで欲しい――。そう言って北岡が淹れた別れのブルマンを、会田はじっくりと味わうのだった(昭和ブルースは4番)

*会田が追う癒着と、7年前の誘拐、そしてヤクザ謀殺、複数の事件と関係者が絡み合って実に深い味わいを醸し出していた。ラストは泣き所がたんまりあるし。ええやっちゃのう会田!

*でもまだ普通の身体じゃないんだから(たぶん)、びしょぬれになって物思いにふける、なんていうロマンチックな行為はやめてほしい(隣に車停めてんだから乗ろうよ!)

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 02:37 PM | comments (x) | trackback (x) |
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