2008,05,24, Saturday
#139「兇悪の弾痕」(1976年・S51・6月17日OA)
暴力団の手入れに失敗、逃走を許した挙句に左腕を撃たれて開始早々ツイてない会田(天知茂)は、病院で腕をさすりながら事の起こりを苦々しく反芻する。 発端は、抗争かまびすしい門脇組VS相沢組に関する1本のタレ込み電話。右田(左とん平)と出向いた指定場所には、佐伯麻里(北川美佳)と名乗るヤク中(にはあまりみえない)女が待っていた。大組織を率いる門脇(天津敏)に対し、ヤクを回して貰えず困窮している自分の亭主・相沢(山本昌平)が殴りこみを掛ける、そこを押さえて二人とも逮捕してほしいという彼女の言葉に従って現場で張っていたところ、冒頭のようなことになったのである(ちなみに麻里の策略ではなく、「刑事らしいヤツらが張り込んでますぜ」と単純に身元が割れての失敗。そりゃ見張ってるのが会田と坂井だもの、バレて当然だろう) 会田の回想は、病室を訪れた麻里によって中断した。新聞沙汰になったおかげで二人は争わずに済む、と礼を言う麻里。商品のように門脇から相沢へ回されたと語る彼女から、二人の男、とくに門脇への思慕を会田は嗅ぎ取った。そして同じものを嗅ぎ取りジェラシーと劣等感に苛まれる男・相沢は、門脇の居場所(=千丈崎の千丈ホテル)を突き止め、決着をつける為に単身で乗り込もうとしていた。制止しきれなかったことを悔やみ、銃を喉に押し当てた麻里を止めた会田もまた、「どっちにしたってたかがヤクザの情婦じゃないか」と深入りを懸念する矢部警視(山村聡)の忠告を聞き流して千丈崎へと向かう。 そのころ、千丈崎でホテルという名の民宿を営む斉藤さん夫妻(宗近晴見&生田くみ子)は、兇悪な面相の2人組の宿泊客が指名手配されている門脇と子分の足立(佐藤京一)であることを知りびっくり仰天。そこへ兇悪な顔の男(=相沢)が現れ足立をあっさりバラしてしまい、おまけに彼らの上部組織から派遣されたという、左腕を黒革でガードしたこれまた輪をかけて兇悪そうな男(=会田)まで飛び込んできた。特捜の右田とかいう男のおせっかいな電話により刑事であることがバレた最後の男(=会田)は、頼りになるどころか殴られて昏倒、不安と危険は増すばかりだ。 切羽詰った斉藤さんのフライングもあれど、兇悪顔の三すくみ状態は明け方まで続いた。と、そこへ麻里がやって来て愛しい男(たち)の無事な姿に安堵するのだが、門脇と相沢はまたもや彼女を品物のようにしか扱わず、男同士の決闘のため外へ出て行った。ふたりを止めて!半狂乱の彼女に再び懇願された会田は「虫けら共は死ぬがいい。地べたに這いつくばって、虫のように死ぬがいいんだ…!」とまるで取り合わない。 しかし、罪も無い一般市民たちが抗争のとばっちりを受けた事実が脳裏をよぎり、床に落ちていた拳銃を握り締めて会田は二人の後を追う。そこには相沢の死体と、金とヤクを持って立ち去ろうとする門脇の姿が。会田の拳銃には弾が無いという事実を読み切れなかった門脇は、虫のように死んでいった。追いかけてきた麻里は遺体に取りすがり、憎しみをこめた目で会田に銃を向ける。 ――撃てばあんたは、正真正銘の品物になってしまう。この(鞄の)中の1枚の札よりも軽い品物になってしまう――。 銃を取り落とし号泣する麻里に背を向け、会田はその場を去っていった(昭和ブルースは1番) *天津敏、山本昌平そして天知茂(おまけで佐藤京一)の兇悪顔トリオで画面が濃厚な回。ただその濃さに比べると、展開がもうちょっと兇悪でも良かったかなと思う。麻里さんが綺麗すぎて“抜け殻”の女には見えない、ってのもネック(三船御大に遠慮?)。とはいえ会田は左腕負傷のハンディがある上に、昏倒だの水責め(?)だのといろいろ受難。お疲れ様でした。
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2008,05,24, Saturday
#140「兇悪・その愛」(1976年・S51・6月24日OA)
昼は聖女・夜は魔性の女を自称する新進デザイナー・瀬川紀子(紀比呂子)は曜日ごとに男をとっかえひっかえの奔放な生活を謳歌していた。そんな彼女に癒しを与えてくれる水曜の男・宗方浩(小坂一也)の様子が最近おかしい。 実はこの宗方、転落死した上司(久松保夫)から会社の命運を握る秘密文書を託され苦悩の真っ最中なのだ。「私に何かあったら、これを警察に…」と(ミスター・スポックな声)で頼まれたものの、その文書が公表されると会社の不祥事が明るみになり全社員が辛い思いをする、それは、かつて父親が同じ状況で人生を狂わせたのを目の当たりにしている彼にとって耐えられないことだった。 悩んだ挙句に宗方は、自分がもっとも信じ愛している紀子に書類を託した。だがあまり真剣に考えていない紀子は書類を探しに来た刑事(=会田:天知茂)を煙に巻き、書類を預かっていることを会社に知らせてしまう。 かくして、会社が雇った刺客たち(と会田ら特捜部)に追われる羽目になった宗方と紀子。進退窮まり、共に死んでくれと懇願する宗方から一旦は離れた紀子だが、自分が本当に求めていたもの(人)に気づき、間一髪で宗方と書類を守るのだった(昭和ブルースは1番) *紀子にウラをかかれた上、「F」のママ・綾さん(岸田今日子)に「インスタントラーメンの美味しい作り方教わったの、来ない?」だの「私だって貴方のことを愛しているかもしれないわ」だのいつになく積極的に迫られていた会田。女難の回? (でもその美味しいラーメンは私も気になるなあ)
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2008,05,21, Wednesday
悪銭(ぜに)(1963年・S38・8月6日〜11月26日OA:全17回)YTV 22:15-22:45
原作:福本和也 音楽:南安雄 出演(ラテ欄クレジット順): #1:宮城まり子、益田喜頓、芦屋雁之助、小山明子、天知茂 #2:北あけみ、天知茂、芦屋雁之助、小山明子 #3:天知茂、芦屋雁之助、山茶花究、小山明子 #4:天知茂、山茶花究、小山明子、芦屋雁之助 #5:天知茂、小山明子、芦屋雁之助、石井均、北あけみ、谷晃、初音礼子 #6:天知茂、小山明子、芦屋雁之助、北あけみ #7:天知茂、小山明子、芦屋雁之助、山茶花究 #8:天知茂、芦屋雁之助、山茶花究、北あけみ #9:天知茂、小山明子、芦屋雁之助、山茶花究、春風すみれ、曾我廼家明蝶 #10:天知茂、小山明子 #11:天知茂、芦屋雁之助、山茶花究、北あけみ #12:天知茂、小山明子、芦屋雁之助、山茶花究 #13:天知茂、小山明子、芦屋雁之助、山茶花究、北あけみ、曾我廼家明蝶 #14:天知茂、小山明子、芦屋雁之助、北あけみ #15:天知茂、小山明子、芦屋雁之助、山茶花究、北あけみ、曾我廼家明蝶 #16:天知茂、小山明子、芦屋雁之助、北あけみ #17:天知茂、小山明子、芦屋雁之助、山茶花究、北あけみ、谷晃 (初回の解説) 日本テレビ今夜10時15分からは、新しく登場する連続ドラマ「悪銭(ぜに)」の第1回。これは、すべてが金で支配される現代機構の中で、そのウラをかき、鋭い頭脳と冷酷な行動で悪を悪とも思わずゼニをつかもうとする男の姿を活動的にえがく。主題歌はアイ・ジョージが歌う。(以上、朝日新聞縮刷版より記事引用) *原作は、ガンの特効薬を巡って大手製薬会社や学会と駆け引きを繰り広げる六角の話がメインだった。高梨は既に乗っ取った会社をまんまと六角に乗っ取られ、ヒモ状態で悶々と暮らしている状態で、特効薬の件でも六角に横槍を入れるもいまひとつピリッとせず、「意外とスケールの小さい悪人」だの「往年の秀才ペテン師の面影はどこにも残っていない」だの言われ放題。しかも過去に色々あった杏子さんとは(今でも好きなんだけど)一度も接触がない上、愛人のところへ元・奥さんが押しかけてきて3人で川の字に寝る羽目になり、挙句の果てには(ネタバレ失礼)「誰にも渡さへん、殺してやる!」と愛人に刺されてドブの中で変死、という惨めな最期を遂げてしまうのだった。 とてもラテ欄のようなトップ・クレジットの役柄(と出番)ではないような気がするのだが、ドラマは別展開だったのかもしれない。(ドラマが1963年、初版本が1965年、ということは、原作はドラマの後日談、という可能性もあったりして?) (2009.2.19追加) *「悪銭」の前作にあたる「悪の決算」(1963年)を読んでみたところ、どうやらドラマはこちらを元にしている模様。とはいえこっちの高梨も女難で、愛人の弟に刺されて重傷を負っているうち、六角になにもかも奪われてしまうトホホな末路をたどっていた(そしてそのあとヒモ状態で「悪銭」に続く)。 [茶の間の茶] (週刊TVガイド 1963.10.4号より) 【250万円のタイトル・バック】※(2009.9.2追加)朝日新聞大阪版より引用 【登場人物は悪人ばかり】 雁之助主演で連続ドラマ*さすがご当地というべきか、大阪版が一番詳しいようである(やはり「悪の決算」が原作なのか)。主演=雁之助さん、という記述もいかにもだが、原作からすると正しいと思う。
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2008,05,19, Monday
首無し島(1978年・S53・8月20日OA)
ある夏の日、流人の首を村人が落としたという伝説のある初根島へ静養に訪れた北川駿(白いよれよれ帽子&ラフなカーキ色Tシャツの天知茂)。「今夜は晩飯にありつけないだよ。首吊りの始末で忙しいから」着くなり変てこな仮面を被った男・河原権次(谷啓)からガチョーンな出迎えを受け戸惑っているところへ、スケッチブックを持った若い女性(五十嵐めぐみ)が助け舟を出してくれた。で、お嬢さん、あなたは。「わたし、塚原みどりです。1ヶ月前までエーゲ海でコバルトブルーの海を描いてました」 「こりゃあ退屈しないで済みそうだ」至極まっとうなコメントを口にした北川だが、彼女はムクレて行ってしまった。 ともかくセンパイお勧めの宿を見つけ、部屋いっぱいの夕陽を満喫していると、宿の小山のようなメイドさんの悲鳴が。物置で下宿人のカモンさんが首を吊っていたのだ。駆けつけた駐在の沢田(ハナ肇)に、ホトケが使ったはずの踏み台が低すぎる件を指摘する北川。あんた一体何者? 「僕は北川駿。警視庁捜査一課の刑事です」沢田巡査、まさにアッと驚く為五郎だ。 カモンさんの葬儀の日に、酔っ払いの大作さんの死体が海から上がり、溺死ではない(=他殺だ)とまたもや北川はツッコミを入れた。“まだまだ人が死ぬだよ”そう予言めいたことを呟く権次、そして現場に流れていたという彼の十八番の口笛が気になる北川だが、事件の最中にボートに乗って颯爽と帰島した沢田巡査の息子・ハジメ(山本紀彦)は、みどりと北川の仲(って、ただ歩いてただけ)が激しく気になる様子。決死のプロポーズを一笑に付されてますます「そんなこと言って、ほんとはあの刑事が…!」と、いい年をしたおっさん(しかも相対的にくたびれキャラ)相手にメラメラと嫉妬の炎を燃やすのだった。 次にアベックの串刺し死体が発見され、北川は彼らの共通点を役所で地道に調べることにした。そして衝撃の事実を掴み、勢い込んでみどり宅へ。被害者は全員、島の所有権を持っていたのだ。そして生き残りの所有者は権次とみどり。慌てて権次を訪ねると、彼は既に何者かに襲われた後だった。「龍ヶ崎…見た…」死の間際の彼の言葉を辿ったふたりは、そこでボートを発見する。 となると最後のターゲットはみどり。僕が夜通し外で見張っていてあげるから君はお休み、と俄然頼もしく立ち回る北川にクラッときてしまった彼女は彼の肖像画なんぞをうっとり描く始末(だがどうみてもそのストライプスーツのコワモテは特捜のはみ出し刑事だよみどりさん)。しかし翌日、再び聞こえる戦慄の口笛。「北川さん、あの口笛よ・・・!」だが当の北川が上司からの電報で急に呼び出され船上の人になっているのを彼女は知らない。これはおおごとだ! そのころ、同船していた郵便局長の言葉から先の電報が偽物であることを知った北川は、しまったー!と海へ飛び込み猛烈な勢いで島に向かって泳ぎ出していた(当然スタントさん)。島に上がった時分にはとっぷり陽も暮れている。みどりはナゾの仮面男に首を絞められ大ピンチ。シャツをはだけて必死に走る北川! 間一髪で間に合った彼に仮面を剥がされ(でもご大層にストッキングも被っていた)犯人は逃走、北川はみどりと共に沢田巡査を訪ねる。 ふたりには犯人の察しがついていた――沢田の息子、ハジメだと。そして沢田もまた薄々感づいていた。北川と沢田に追い詰められ、龍ヶ崎で進退窮まるハジメ。お前さえいなければ!と北川に銃を向けた息子を、沢田は泣く泣く射殺するのだった。 この島が原発の勧誘地になったことを知り金儲けを企んだハジメは、血は薄いが自分も所有者の端くれであるのをいいことに、他の者を排除して回っていたのだ。その上でみどりと結婚すればもう万々歳、と思っていたところに「強力なライバルが現れたというわけさ」(北川談)。それは誰?と問われて「俺だよお」とぶっきらぼうに言ってのける北川にみどりはようやく笑顔を見せるのだった――。 *1時間弱の推理ドラマ。原作は洋物ミステリだが、当時大流行の横溝チックな世界観を匂わせた和物に仕上がっていた。ただ、原作では非常に重要なキーポイントになっている口笛の扱いがぞんざいで、その口笛の主である権次が、原作の“薄らバカ”ではなくオカルトチックなキャラクターに変えられているため、謎解きの面白さは多少削がれている。 *とはいえ、カジュアルな天っちゃんを楽しむという意味ではなかなか面白い。カジュアルな服装(金鎖つき。でも靴は何があってもいつもの革靴)、カジュアルな言動(上半身裸で髭剃りシーンとか、夜這い?を見咎められてびくぅっ!とするところとか、例の「俺だよぉ!」とか)、同時期の明智センセイや三井係長@大空港ではお目にかかれない姿は必見である。(原作ではヒロインと同い年くらいの設定なので、それなりに頑張っちゃったのかもしれない) *しかしながら天っちゃん&五十嵐めぐみさんのカップル、やはり美女シリーズの明智センセイ&文代さんが頭にあるせいか、どう見ても健康的(=色気ナッシング)。でもこの年の秋に「孤独の賭け」なんだよなあ…。 *音楽は「非情のライセンス」の渡辺岳夫さん。あのイントロの「とんしゃららん♪」(擬音似てなくて失礼)めいたのが聴けるが、全体的に明るめである。
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2008,05,17, Saturday
#138「兇悪の流転」(1976年・S51・6月10日OA)
カントリー・エレベーターを巡る製作会社―農業庁間の収賄事件の渦中にいた農業庁の役人・小畑が、チンピラにくだらないイチャモンをつけられ刺殺された。2年かけて追っていた小畑に死なれた会田(天知茂)は怒り心頭、一課の嫌味もなんのその、独自捜査に乗り出す。 チンピラは日東会の黒沼(富田仲次郎)の息がかりで、どうやら黒沼に殺人を依頼したのは、収賄の件が漏れては困る製作所長・岩崎(加賀邦男)らしい。岩崎宅に宣戦布告しにいった会田は、彼の娘・留美子(森田=現・五十嵐=めぐみ)から「ハンス」と揶揄されている岩崎お抱え運転手の村田勇吉(仲谷昇)の姿にデジャブを覚えた。それもそのはず、小畑や岩崎たちの密会の場に居合わせ、尾行していた会田に気づき鋭い視線を投げた人物だったのだ。 会田は村田に証言を求めるが、戦時中に岩崎に命を救われた恩義から、彼は頑なに知らぬ存ぜぬを繰り返す。陸高(陸軍高等師範学校)出で中尉だった村田を一兵卒の岩崎が利用したのが真相のようだが、厳格なまでに律儀な村田はどこまでも岩崎を護ろうとするのだった。 一方、岩崎は黒沼に殺人の件で脅迫され、口止め料として3000万を要求されていた。「ヤツ(=黒沼)は君の陸高の同期だろう、まけてもらってきてくれ」実にえらそうにアゴでこき使われたにも関わらず、村田は黙ってナンブ式自動拳銃を掘り出して黒沼の事務所へ赴き、アンタは処世が下手だねと鼻で笑うかつての部下に銃を向けた。 会田が駆けつけた時には既に、村田は組員たちの手にかかり事切れていた。現状を見るや否や全員を撃ち倒し(←ただし半殺し)、村田の銃をそっと胸に収めると、会田は死んでいる黒沼に自分の弾を3発ぶちこんだ。そしてその足で岩崎宅へ向かい、彼に逮捕状を突きつける。「ハンスがお父様の事を喋ったのね!」この親にしてこの子ありな留美子の言葉に会田はキレる。「ハンスと呼ぶな!村田さんは立派な人だ!」 本庁の霊安室では、男手ひとつで育てられた父想いの村田の娘・美和子(小野恵子)や友人(ケーシー高峰)が泣き崩れていた。そこへ橘(渡辺文雄)と手錠で繋がれた姿を見せた会田は「黒沼を殺したのは俺ですよ」と村田の手が汚れていないことを主張。カラクリに感づいている橘も、今回ばかりは会田の取った行動を黙認するのだった。 外を歩く会田の脇を通りすぎる村田の霊柩車。 『ふと、死んだ親父のことを思い出した。 たぶんそれはあの律儀な男のせいだ。 生き方の下手な男だった。 ま、そういう俺も、生き方はうまくないがね……』 (昭和ブルースは4番) *仲谷さんといえば#17「兇悪の誇り」のヒースクリフ英吉(←勝手に命名)が印象的だったが、今回のハンス村田もかなり強烈だった。舞台の人だからか、なんとなく横文字が似合うんだよなあ。ちなみに当時の奥様・岸田今日子さんの出番は今回はさすがになかった。 *#55「兇悪の花道」では悪人の父に反発し、殺し屋とほんのり良い仲になる令嬢を演じていた森田(五十嵐)めぐみさんが、今回はよく似たシチュエーションながら典型的なイヤミお嬢様になっていて、いつもの役柄とのギャップに驚いた。おまけに(情報を聞き出すためとはいえ)彼女にモーションをかけまくってた会田にも目が点。 「こうみえて結構サマになってるじゃないか、君と俺」 「意外とワルね、貴方って」 「美人に弱いだけさ」 なーんてセリフをこのカップルから聞こうとは…! *10歳やそこら(推定)の息子にまで“生き方の下手な男”との印象を植え付けて(原爆で)死んだ会田の親父さん、気になる存在だ。
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2008,05,14, Wednesday
#137「兇悪の刑事」(1976年・S51・6月3日OA)
↑とりあえず会田のことじゃないのか?と思ったのは確かだ 神戸の刑務所から無期懲役囚・沼野(仙波和之)が脱獄。事もあろうに手引きしたのがマル暴の腕利き警部・広瀬(特別出演:高橋英樹)と分かり、警察サイドは驚愕する。しかも沼野は彼の妻・祐子(葉山葉子)を殺した犯人。三角関係のもつれという状況をでっち上げられ、ラブホテルで沼野に撃たれた祐子の無念を晴らさんと、広瀬は沼野の背後にいる入院中の安西組のボス(殿山泰司)に狙いを定めていた。 だが安西は会田(グリーンのネクタイが爽やかな天知茂)が追っている黒いピーナッツ(=麻薬密売)事件のカギを握っており、悪人とはいえ死なれては困る人物だった。会田は沼野を連れて東京入りした広瀬に丸腰で会い、説得を試みるものの、復讐に凝り固まる彼には通じず、ごたごたしているうちに沼野にちゃっかり逃げられてしまう。大井競馬場に逃げ込み、兄貴分の末長(深江章喜)に助けを求める沼野。しかし助けに来てくれたはずの末長たちからメッタ突きに遭いあえなく死亡。かろうじて末長を捕まえた広瀬は、祐子殺しは上司を振り切って捜査を強行しようとした彼への見せしめとして安西が命令したという事実を知る。そして、真相を聞き出すなり広瀬は末長を撃ち殺した。 なんだこいつ、俺より兇悪じゃん!目の前の凶行に驚きつつも闘志を燃やした会田はこれ以上の暴挙を止めるべく肉弾戦を繰り広げるが、丸腰だけに分が悪く、広瀬の逃走を許してしまう。会田は安西の病室に押しかけ、用心棒をかって出た。しかし綾さん(岸田今日子)の店に寄ったり彼女を車で送ったりと余裕ぶっこいていたせいで、後部座席に隠れていた広瀬に銃口を押し付けられる羽目に(兇悪度でも分が悪いようである)。 殺された妻のお腹には子供がいたのだと会田たちに打ち明けた広瀬は、途中で組の襲撃を受け負傷しながらも安西の病室にたどりつき、憎い男に銃弾を打ち込んだ。 部屋の外には会田の姿が。矢部に頼んで病院の警護を解かせ、広瀬が無事に本懐を遂げるのを黙って見守っていたのだった。自分の追う事件に関する安西からの証言は取れなかった。しかし肩の荷を降ろしたような広瀬の様子に、どこか満足気な会田だった(昭和ブルースは4番) *10年若かったら(というより会田じゃなかったら)いかにも天っちゃんが演じてそうな役を英樹が熱演。なにより会田の髪をあそこまでざんばらにしてしまうとは兇悪だ(そこか)。 *でも年齢差あるのに(身長差は言うに及ばず)天っちゃんも頑張って張り合ってたなあ。
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2008,05,07, Wednesday
#6「兇悪の目」(1973年・S48・5月10日OA)
海岸縁を走る男(小池朝雄)。追う会田(天知茂)。 響きわたる銃声。会田の肩口が赤く染まる。 「貴様たちに何が分かる!」 拳銃を手にした男の目には、歪んだ光景が広がっている。 戦車の下敷きになる妻。自分を捕らえ拷問しようと迫る秘密警察。 「畜生、殺してやる…!」 「やめろ!」 再び銃を向けられ、咄嗟に撃ち返す会田。 男の身体は大きくのけぞって――。 男の名前は沢井公平(名前は当て字)。報道カメラマンとしてベトナム戦争の悲惨さを目の当たりにし、自らも負傷して帰国してみると、妻は交通事故死、幼い娘は骨髄性白血病に侵され余命いくばくもなかった。度重なる不幸と戦争の後遺症で狂い始めていた沢井は、戦争犯罪人たちを告発しようとある計画を練る。まずは戦争成金の神崎(竜崎一郎)を脅し、奪った金を新宿のビルの屋上からばら撒く。そして民衆にその札はベトナム戦争の犠牲者のものだと知らせ、糾弾しようと。 しかし奪った金は新聞の束に替わっていた。せっかくの計画が頓挫したことで憤った沢井は、その元凶の刑事(=会田、だけじゃなくて現場には坂井や鈴木さんもいたんだが彼の目にはコワモテのトレンチ男しか目に入っていない)に憎悪を募らせる。 神崎社長と、彼を護衛していた特捜部の北村刑事(内田勝正)の車が崖から転落、運転手ともども命を失った。続いて同じくベトナム特需の社長の射殺体が発見された。狂気を増長させた沢井は、第3の男(=ナパーム弾製造会社社長)を葬るため、会田と親しい竜巻クリーニングの太郎(左とん平)の妹・順子(テレサ野田)を人質に取ると、病床の娘を連れて白浜へと赴く。 順子の機転で社長の別荘へ駆け付けた会田は沢井に対峙した。 ――こいつは途方もない責任を、たった一人で背負い込んでしまったようだ…… 狂人と化した沢井。しかし、戦争で人の命を弄び私腹を肥やした本当の狂人たちは、ぬくぬくと生を貪っているのだ。 (そして冒頭のシーンへ) 逡巡する会田に対し、狂気の度合を強める沢井。 そして、会田の銃弾で沢井は事切れた。 死期の迫った幼い娘が必死に父を呼ぶ声に胸を引き裂かれながら、会田はその場を後にした。 『あれは…あの戦争はいったい何だったのか!』 (沢井の叫びを噛みしめ、夕陽を見つめる会田で昭和ブルース1番) *戦争に直接関わった者たち、そして何もしなかった者たちの責任を問いかける重いテーマに、小池さんの暴走演技が拍車をかけるシリアスな展開。ラストで会田のライターまで調子悪くなってしまうくらいの後味の悪さだ(ほんとか)。
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2008,05,06, Tuesday
#136「兇悪の死刑執行人」(1976年・S51・5月27日OA)
新型の掃海艇を巡る収賄疑惑、そのカギとなる秘密文書が保管されているという女のマンションに駆けつけた会田(天知茂)と坂井(宮口二郎)が眼にしたのは、シャワー室で血まみれになっている夏目ふく子(白川みどり)の姿。「ヒシダ」にやられたと呟きふく子は絶命、文書も消え失せていた。 彼女の言う「ヒシダ」とは前科持ちの菱田鉄男(速水亮)と判明。潜伏先(=葉山の別荘)を突き止めて単身で館に乗り込んだ会田が逃げようとする鉄男に銃を向けた途端、タクシーで駆けつけた矢部警視(山村聡)から止めが入った。実は鉄男は、秘密文書の作成主で矢部さんの親友でもあった平松忠行(伊沢一郎)のひとり息子。身の危険を感じて妻子を離縁した平松氏だが、妻・静江(松下砂稚子)ともどもヨットの衝突事故で死亡、鉄男はヨットを転覆させたボートに乗っていたヤクザの一人を刺して刑務所に入り、出所した今度は、ボートのオーナーだったふく子を血祭りにあげたのだ。 鉄男に情報を流したのは、政界と暴力団の黒幕・金城鉄山(佐々木孝丸)の秘書・今井(久富惟晴)だった。彼は関西系ヤクザ(天本英世)と通じており、秘密文書が出回っては困る鉄山の失脚を狙っていた。 鉄男の次のターゲットは、ボートに乗っていたもう一人のヤクザ・朝田(武藤章生)。彼の事務所に先回りして盗聴器をしかけた会田は、彼とボスの東条(小瀬格)が鉄山と繋がっていることを知り、彼らが裏切り者の今井をボコりに行った先で東条を拉致して利用し、鉄男と朝田のランデブーの現場を押えようと詰める。殺された親友のために秘密文書は何としても取り返し、鉄山らの悪事を白日の下にさらしたいと願う矢部部長も、自らの進退を賭けていた。 「ヘマやってクビになったら、一緒におでん屋でも始めますか」 「ははは、お前と一緒じゃあ、一晩で売る酒が無くなっちまうよ」 仲良しさん同士で和んでいるうちに朝田は額のど真ん中を撃たれて死んでしまい(おでん屋確定気味)、会田は再び葉山の別荘へ車を走らせる。 「そんなことをしても死んだお母様は喜ばないわ」鉄男の引受人で恋仲の古畑京子(市毛良枝)は朝田を殺しに行くという彼を必死に宥めたのだが、彼の言葉を聞いて凍りついた。「ママ?…ママは生きてるじゃないか」母親が父の仇を討てといっている、そう焦点の合わない目で呟く鉄男を、京子は止められなかった。 負傷した鉄男は、母親(の人形)がいる別荘にたどり着き、秘密文書と共に炎の中に消えようとしていた。間一髪で文書と鉄男を救い出した会田たちだったが、鉄男は京子の目の前で事切れた。「どうして見殺しにしたんですか!」いつだって弱い立場の者が泣きをみるのだと詰る京子に言葉もない会田だが、そうはさせないと矢部は力強く約束、その言葉通り鉄山逮捕に踏み切った。 「貴様のような奴がこの国を・・・」取調べ室でもあくまでふてぶてしい鉄山に会田は吼える。 「…この国を滅ぼす?結構だね!あんたのような連中が牛耳る国なら、滅びても結構だ!」 そんな彼にご満悦そうな笑みを浮かべる矢部さんだった(昭和ブルースは1番) *冒頭のシャワーシーンといい、ロッキングチェアに座った“ママ”の存在といい、非ライ風「サイコ」とでもいいたい話(あそこでママがミイラだったらどうしようかと思った) *前回に引き続き、会田と矢部さんのツーショットが嬉しい。このふたりのおでん屋、行ってみたいような・・・ついでに岩田さんがお茶出してくれたりするともっと嬉しいかも。
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2008,05,05, Monday
#135「兇悪の捜査」(1976年・S51・5月20日OA)
改造拳銃取引の容疑者を釈放してしまった矢部警視(山村聡)にどえらく激昂、あんたはそういう人間だったのかあ!とぼっかーんと殴った会田(天知茂)は、飛行機やタクシーを乗り継いでやっとたどり着くような僻地の街に左遷された。 そこは、四課(マル暴)課長・大谷警部(内田良平)と地元暴力団・畑中組が持ちつ持たれつの関係を保っている、西部劇に出てきそうな膿んだ街。これまた荒くれガンマンのような風貌の大谷から着任早々「ここでは俺の言うとおりにしろ!」と蹴りを入れられる会田だが、ぶつかるものには当たり返す主義(←本人談)の彼は上司もへったくれもなく蹴りを入れ返し、俺は俺のやり方で動くと宣戦布告した(その筋の人もびっくりの白ベルトは伊達ではない)。 そんな“生まれつき無鉄砲な性質”(って「坊ちゃん」か)の会田に、やはり大谷の所業を憂えていた同僚の村山刑事(東野孝彦←後の英心さん)だけは快く協力してくれるのだが、その彼が何者かに射殺されてしまった。改造拳銃作りを黙認、賄賂を受け取り放題の大谷が畑中(沢村宗之助)に殺させたのではと会田は疑うが、市民だけは巻き添えにしないという約束で見逃してやっているんだ、それはありえないと強く否定される。 ヤクザは虫けらだと忌み嫌いながら、市民の平穏を守るためだと畑中組との癒着を続ける大谷。会田は真意を探ろうと、警部お気に入りホステスの千鶴(賀川雪絵)を呼び出し、賄賂で受け取った金はすべて郊外の施設に寄付している、という大谷の別の一面を知った。 ――良い男だが、住む世界が違う。 大谷もまた、どこか自分に似たものを持つ会田を認めていた。しかし、これまで築き上げた畑中組との均衡を崩そうとする彼を捨て置けず、組に抹殺を依頼。諸口(中田博久)と江原(草野大悟)がその任にあたるが、江原こそが冒頭で会田に追いかけられていた改造拳銃持ちの男で、村山を射殺した張本人だった。改造拳銃の取引ルートを追うためにわざわざ部長と共謀して左遷されてきた会田にとって、彼らとの接触は願ってもないシチュエーション。ふたりはあっさりノされて警察行きとなり、事件収束の知らせを聞いて矢も盾もたまらなくなって駆けつけた(←本人談)矢部さんは、殴られて3日は物を食えなかったとぼやきながらも可愛い部下(←誇張)に心からの礼を述べるのだった。 諸口と江原の口から、畑中が大谷警部の立会いの下で大口の拳銃取引をすると聞いた会田は現場へ駆けつけた。いきなりの警官隊、おまけに死んだと思った会田の出現で動揺する大谷を、組員の銃弾が襲う。激しい銃撃戦の後、街を牛耳っていたヤクザを道連れに無言で地面に伏した大谷を、会田は暗い眼で見送った(昭和ブルースは1番) *分かり合えそうで合えなかったやさぐれ刑事たち。ラスト、自分の方へ倒れ掛かった大谷を本能的に(?)避けた会田に、2人の関係が集約されている気がした。 *無法地帯に来たせいか、仕草や言動がいつも以上にハードボイルドしている会田。久々にチュウも出た(しかも唇)。 *乱交パーティーを計画している話を会田に聞かれてまごつく社長さん役で、新東宝の先輩で大恩人(「新東宝秘話 泉田洋志の世界」参照)の泉田洋志さん。
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2008,05,04, Sunday
名作推理劇場 黒い天使 (1963年・S38・3月24日OA)NET 20:45-21:45
原作:コーネル・ウールリッチ 出演:市川和子、天知茂、舟木洋一、珠理恵、山口幸生、山本一郎 デザイナー・新藤と妻令子の仲は、春のファッションショーから次第に冷たくなり、新藤はモデルの須本晴美と急速に親しくなっていった……。(以上、朝日新聞縮刷版より引用) *原作の主な登場人物は下記の通り。 アルバータ:夫に裏切られた若妻 カーク:アルバータの夫。ミア殺しの容疑で死刑確定 ミア:カークの浮気相手(死亡) マーティー:ミアの手帳の男その1(ミアの元亭主でアル中) モーダント:手帳の男その2(麻薬売買の藪医者で前科持ち) ラッド:手帳の男その3(“気持ちのいい顔”の資産家青年) マッキー:手帳の男その4(嫉妬深いナイトクラブのオーナー) ウェズリー・フラッド:殺人課刑事 原作にはデザイナーという設定はないが、ドラマでいえばアルバータ=令子、新藤=カーク、晴美=ミアだろう。ミア殺しの犯人として捕まった夫カーク。だが、その日ミア宅に偵察に出かけ、部屋で彼女の死体を発見したアルバータは、偶々その時かかってきた電話が夫の声だったことから彼の無実は確信していた。アルバータは夫を救うため、現場に落ちていたイニシャル入りのマッチとミアの手帳から、怪しい男たちを単身つきとめ、真犯人を捜す…というストーリー。 はじめは夫=天っちゃんだろうと思っていたものの、旦那は冒頭ですぐ刑務所に入ってしまって出番が意外と少ないので、容疑者グループ(=手帳の男たち)か殺人課の刑事なのかもしれない。手帳の男は全員天っちゃんが演じててもおかしくないので、クレジットからすると真犯人の線も濃厚?
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| TVドラマ(現代劇)::その他(単発など) | 09:10 PM | comments (x) | trackback (x) | |