2008,03,15, Saturday
#120「兇悪の声」(1976年・S51・1月29日OA)
黒キャスケット&黒ジャケットにイエローシャツという久々にツッコミ甲斐のあるいでたちで会田(天知茂)がブルマン(=ブルーマウンテン)を飲んでいた珈琲店に、拳銃を持った女・咲江(夏純子)が押し入ってきた。彼女は先ごろ海に落ちて死んだノイローゼ気味のヤクザ・林(三上春樹)の愛人。林の死は他殺だと確信するこの咲江、生前あのひとはこの世の2人かあの世の2人半に殺されると怯えていた、犯人はこの世の2人に違いないのよ!と断言、丸総銀行の深見(=この世の1人目:水島弘)を呼べとマスターの北岡(=この世の2人目:高松英郎)に迫った。 客代表として居残った会田は矢部警視(山村聡)に連絡して深見を呼ぶよう伝えるが、咲江が突然倒れたために中断(後に流産)。暴力団と現役大臣の癒着を追い、パイプ役とみなしマーク中だった林に死なれたばかりの会田にとっても、彼らの関係は見過ごせなかった。林とやり手銀行員の深見、そして商社マンだった北岡を結ぶ7年前の因縁とは? 林が精神を患うに至った“声”とは何なのか? 夜を徹しての調査で、会田は7年前のとある誘拐事件を探り当てる。 寡黙なマスター・北岡も、風邪を引きかけながら真相に迫る会田(単に事件の起きた波止場に土砂降りだというのにボーッと突っ立っていたせいなのだが)の態度に打たれたらしく、“あの世の2人半”(=自分が海外出張中に誘拐され殺された息子と、そのショックで死んだ身重の妻)について語り始める。 ――人間はひとりの方がいい。失う者を持たない方が、生きていくのが気が楽だ――。 そんな北岡の孤独な思いの丈に、会田はシンパシーを感じ始めていた。 自らの出世のために誘拐を画策して林に実行させ、ライバル銀行に身代金を要求、ふってわいた災難に慌てるライバル社を尻目にヒーロー然と金を持参した男こそが深見である。身体が癒えた咲江を林のお骨と対面させてやったり、実は一番のワルで林殺しの犯人である深見に揺さぶりをかけたりと張り切る会田は、深見がヤクザと大臣の収賄ルートの証拠人でもあるため、北岡たちに手を汚させまいとする。 しかし林や深見に声のテープを送りつけた張本人の北岡、深見に愛人を殺されたと知った咲江は深見への殺意を募らせていた。会田が駆けつけたときには既に遅く、深見は死体に。これでは北岡を逮捕せねばならない。手錠を固く握り締める彼の耳に、少年と女性の声が流れ込んでくる。出張中の父、そして夫へ綴る、普段どおりの微笑ましい日常。7年前の事件当日に録音されたそのテープこそが林たちを怯えさせた“声”だった。 北岡と咲江は観念したように珈琲店で会田を待っていた。だが会田は「深見は自殺だった」と告げ、ふたりに刑務所でなく海外行きを薦める。自殺に犯人がいては困る、あえて言うなら、“あの世の3人半”(=北岡の妻子&林)が犯人なのだから、と。 日本で淹れる最後の珈琲はあなたに飲んで欲しい――。そう言って北岡が淹れた別れのブルマンを、会田はじっくりと味わうのだった(昭和ブルースは4番) *会田が追う癒着と、7年前の誘拐、そしてヤクザ謀殺、複数の事件と関係者が絡み合って実に深い味わいを醸し出していた。ラストは泣き所がたんまりあるし。ええやっちゃのう会田! *でもまだ普通の身体じゃないんだから(たぶん)、びしょぬれになって物思いにふける、なんていうロマンチックな行為はやめてほしい(隣に車停めてんだから乗ろうよ!)
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2008,03,12, Wednesday
『駿河遊侠伝 賭場荒し』(1964年・S39)
若くヤンチャで太っ腹な清水の次郎(後の次郎長大親分:勝新太郎)と弱気な相棒・髪常(大辻伺郎)が、イカサマ博打の腕を頼りに様々な親分衆のショバを渡り歩き、ひとかどの侠客に成長していく姿を描いたシリーズ第一作。 気ままに旅を続ける次郎だったが、気がかりなのは自分が放蕩しているうちに心無い義母らに売られてしまった初恋の人・おとき(藤村志保)の消息。どうやら“苦味走ったイイ男”に身請けされたらしいと知り心穏やかではない。 そんな折、次郎たちは恩義を受けた治助親分(山本礼三郎)から、弟分である三好村の吉左衛門(須賀不二男)の助っ人を頼まれた。吉左衛門夫妻の傲慢な態度に、どうもイケすかねえなあとぼやきつつ殴りこみに出向いたところ諍い相手は留守、出てきた女房はなんとおとき(藤村志保)だった。偶然の出会いに驚くふたり。今の主人はかけがえのないひとだと言うおときに、次郎は自分が来た目的を伝えられなかった。 翌日、そのまま帰路についた次郎たちは峠の茶屋で一服するなで肩の三度笠男を発見、彼こそが吉左衛門の敵でおときの亭主・岩村の七蔵(天知茂)であることを見抜く(やはりなで肩が決め手か?←おい)。彼らの襲撃を覚悟していた七蔵は静かに笠を取り向き合った。俺はこの道の先輩だから先にドスを抜くわけにはいかないと言う七蔵の善人オーラに気圧された次郎たちは彼を伴って治助親分の元へ戻り、悪いのは七蔵のシマに色気を出した吉左衛門だと知る。 次郎が仲裁役をかって出て、吉左衛門と七蔵の手打ちが無事に成立した。次郎と帰る道すがら、自分には過ぎた女房だとおときを褒め「いずれ足を洗って、百姓でもして静かに暮らすつもりなんだ」としんみり語る七蔵。だが手打ちが面白くない吉左衛門の子分達がわらわらとふたりに襲い掛かってきた。なんとか七蔵を逃がそうとする次郎だが、七蔵はここで逃げては男が廃るとばかりに奮戦。やはりさっきの台詞は死亡フラグだったのか!と緊張が走る中、再三の逃げろコールに応じる気になった七蔵は「次郎さん、それじゃあ」とすたこら退却。残された次郎はおときの幸せを願いながら、敵に突進してゆくのだった。 *死んで欲しくなかったとはいえ、あの状況で本当に逃げ出した七蔵さんには意表を突かれた。まあ、残すのが次郎長でカツシンさんだから大丈夫極まりないんだが。それに前年の『破れ傘長庵』の恨みはこれしきでは消えないというものである。
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2008,03,10, Monday
#119「兇悪のプライバシー」(1976年・S51・1月22日OA)
昇進間近の夫・進一(天田俊明)と幼い娘に囲まれた富山啓子(市原悦子)の幸せな生活は、旧知の極道・遠藤金造(今井健二)を偶然車に乗せる羽目になったことから綻び始める。 前科4犯のムショ帰り、今また組に盾突いた暴力金融会社社長をバラしてきたばかりの遠藤は、使用拳銃と顧客データが記された帳簿が入った社長のカバンを無理やり啓子に預け、警察にタレこめば過去をバラすと脅迫。かつて遠藤ら不良仲間と“不純異性交遊”を繰り広げ、万引きで挙げられたこともある自分の経歴を夫にひた隠しにしてきた啓子は従うしかなかった。 まもなく橘警部(渡辺文雄)ら一課の捜査網が啓子にも伸びるのだが、彼女は遠藤との関わりを頑なに認めようとしない。「世の中には死んでも警察なんかに協力したくないって思ってる人間だってたくさんいるんです」 啓子は昔の辛い経験から、警察に深い嫌悪感を抱いているのだ。暴力金融撲滅のために帳簿を追っていた会田(天知茂)は、啓子が同級生・トキ子(宗方奈美)を結果的に廃人に追いやったことで良心の呵責に苛まれていると指摘、僅かな正気の中で啓子の幸せを祈っていたトキ子の様子を語ってきかせる。啓子はそんなデリケートな部分まで調べた上で自分を諭す会田にほだされたらしく、「刑事の会田さんじゃなく、もうひとりの会田さんにカバンをお渡しします」と遠藤との待ち合わせ場所を知らせるのだった。 だが会田が駆けつけたときには、遠藤は啓子の銃弾に倒れた後。記者・村田(小島三児)の心無い記事をきっかけに家庭は無残に崩壊、失うものが無くなった啓子。「やっぱりあなたは刑事ね」橘警部らを呼び寄せた会田にカバンを渡した彼女は手錠を受けた。刑事達にやるせない思いを抱かせて――(昭和ブルースは4番) *ラストに幼稚園で元気に過ごす娘を啓子に垣間見せる優しさを示した会田(と右田)だが、ちょっと後手に回りすぎたような気がする。肝心なところで間に合わないのが会田の常(か?)とはいえ、啓子の罪を被ってやるくらいのはみ出しぶりを見たかったなあ。エリート刑事として正攻法で犯罪に対処する橘警部の苦悩と覚悟のほうがより鮮烈な印象を残した回だった。
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2008,03,08, Saturday
#118「兇悪の振子」(1976年・S51・1月15日OA)
“人類は土に還れ”がモットーの世界ルネッサンス協会なる団体で真面目に布教活動に励む橋賀勇(大門正明)は、しつこく絡む酔っ払い(三夏伸)に思わず当て身を喰らわせた。ところが男はそのまま内臓破裂で死亡。自首しようとする橋賀に上役の三宅(鹿内孝)は、会長・九谷大造(殿山泰司)の意向だからと暗に自殺を強要する。 独り残される母(三宅くにこ)を思い波止場で躊躇する橋賀は、絵描きの由美(麻田ルミ)と出会った。沖縄出身の由美は、協会への信頼を捨てきれないでいる橋賀を自分達沖縄の人間と同じだと言い“うちなんちゅー”になぞらえる。彼の代理として協会へ赴き、事を表沙汰にしない約束で3千万を要求した由美の大胆な言動を、既に九谷を捜査中の会田(天知茂)は頼もしく見守る構えだが、橘警部(渡辺文雄)は「俺達は(犯罪の原因を探る)弁護士じゃない、刑事だ!」と苦い顔である。 しかし会長直々の電話でまたもや振り子のように揺れ動く橋賀。自分の力不足を痛感した由美は会田のマンションをふらりと訪ねた。君の田舎は沖縄か、との会田の(本土復帰してまもない沖縄を特別扱いしない)自然な言葉にほだされた彼女は仔細を打ち明けるのだが、その頃橋賀は会長との待ち合わせ場所に出向き、手下たちに殺されそうになったことで完全にキレてしまい、銃器店に押し入り人質をとって立てこもるという暴挙に出てしまっていた。 母の説得にもまるで応じなかった橋賀だが、強引に店に入り込んだ由美と会田の説得でようやく落ち着きを取り戻した。「仕上げは悔いの残らぬようにやるんだな」「あなたは“うちなんちゅー”よ。そしてここにもう一人いるわ(=会田のこと)」ロマンチスト三人でなんとなくまったりと和んでいたのも束の間、由美を突き飛ばして橘警部が乱入、「俺は刑事なんだ!」と橋賀に手錠を掛けるのだった(昭和ブルースは1番) *組織のコマにされる若者を「美しく、そして哀しいのが青年でしょう」と弁護に回るイカしてる会田クン(タメ口アーティスト・由美調)。寝る前に着ていたすみれ色のカーディガンもイカしていた(おっさんぽくて)。 *ラストに由美を乗せるタクシー運転手にキレンジャー(現役)・畠山麦さん。
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2008,03,05, Wednesday
『長脇差忠臣蔵』(1962年・S37)
一本気な掛川の次郎吉親分(宇津井健)が、ライバルで十手持ちの藤兵衛(上田吉二郎)と老中・本多備前守(名和宏)にイケズされ首を刎ねられた。まもなく一家は離散、親分の長脇差(ドス)を形見に貰った喜三郎(市川雷蔵)は流浪の身となりながらも密かに復讐の機会を狙う。清水の次郎長親分(島田正吾)や大前田英五郎(勝新太郎)たちのバックアップを得た彼らは、有栖川宮(本郷功次郎)率いる長州軍攻撃のどさくさに紛れて浜松城に潜入、見事に備前守を討ち果たす・・・! 大映オールスターが集う本作での天知茂の役どころは、備前守が治める浜松城の城代家老の息子・小松伊織。備前守の行列を見つめる喜三郎に着目、配下のおのぶ(近藤美恵子)に真意を探らせるシーンで初登場(雷蔵さんに悟られて背後の社からおもむろに出てくるところがカッコいい)、備前守の評判があまり良くないことを冷静に観察していながらも「ご主君命」で奮闘している、いわば吉良側の一学さんのような侍で、クライマックスの“討入り”時には槍を振り回して喜三郎と対峙する(当然やられるわけだが)見せ場もあり、クレジットこそ控えめだったものの、かなりの好位置にいてくれて見ごたえ十分だった。 大映での4作目。たとえ敵サイドであれ“自分の信条に従って生きる男”を真摯に演じる天っちゃんからは、同い年スタア(雷蔵さん・勝新さん・宇津井さん)に負けないオーラが滲み出ていた(と思う)。
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2008,03,04, Tuesday
#117「兇悪のざんげ」(1976年・S51・1月8日OA)
矢部警視(山村聡)の家に招かれた会田(天知茂)たち(右田&谷刑事)は、彼の娘(二本柳敏恵)から、友人・井出秋子(村松英子)の婚約者だった峰岸正之(西沢利明)が転落死を遂げた事件を調べ直して欲しいとの依頼を受けた。折りしも秋子が自殺未遂を図ったとの知らせが舞い込み、会田は病院へと向かう。 『いかにもアーメンって言いそうな女だ・・・』 秋子を前にしてどうも苦手意識が否めない会田だが、敬虔なクリスチャンである彼女が自殺するには相当の理由があると睨み、背後にいる金井五郎(大村文武)という男を突き止めた。 金井は死んだ峰岸の幼馴染で、ヤクの運び屋。峰岸がヤク中だったことから、なんらかの諍いで峰岸を突き落とした金井が、それを目撃した秋子を脅していたのではないかと会田は推理する。現に金井は命をとりとめた秋子を呼び出し銃を向けた。そこを救った会田は(金井はムダに声の良い兄貴分:森山周一郎らがあっさり射殺)秋子の口から、フィアンセ・峰岸の同意の下で金井に回されたこと、一緒に死んでくれと迫る峰岸を思わず突き飛ばしてしまったことを聞き出した。やつらは人間のクズだ!とはき捨てた会田は正当防衛を示唆するが、事実はどうあれ心の中では殺したいと思っていた、と泣き崩れる秋子。 「俺には神様のことは分からん。でも神様はアンタのことを心配してるんじゃないかな」罪の意識に苛まれる彼女をそう励ました会田は麻薬取引の場に出向き、金井の兄貴分たちを有無を言わさず皆殺しにしたうえ、不幸の根源であるヤクが詰まったケースを蹴り飛ばすのだった(教会で懺悔に励む秋子を眺めつつ昭和ブルースは1番) *独白が多かったりで、なんとなく会田のキャラクターが原作に近いテイストの作品。ところでラストの襲撃シーン、暗くてよく分からなかったのだが、ハンドルに手錠を掛けてたグラサンの運転手は、会田に脅された取引相手?(それともあれが会田?) *お茶でくちゅくちゅして娘と会田に睨まれる矢部さん。「俺がくちゅくちゅくちゅってやると、奇妙に会田君のカンがひらめくのさ」と悪びれることなく再度くちゅくちゅ。はっきりいって汚いですよ矢部さん(でも意外にかわいかったり)。 *「こいつがキミ(=会田)に調べてもらいたいと言うんでね」「私、会田さんのファンなのよ」などと会田ヨイショに余念がない矢部さん父娘(残り二人は蚊帳の外)。会田をムコにでも貰うつもりか矢部さん。
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 02:39 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2008,03,02, Sunday
『人形佐七捕物帖 腰元刺青死美人』(1958年・S33)
新文芸坐にて鑑賞(同時上映は『人形佐七捕物帖 妖艶六死美人』)。 老齢の殿様が女刺青師・お蝶に命じ、腰元4人の背中にとある刺青を施した。その刺青は江戸城攻略の隠し地図の在り処を示す暗号になっているのだが、殿様はまもなくポックリ、腰元たちはお宿下がりで散り散りに。そして帰宅中に襲われたお蝶は記憶を失ってしまった。なんとしても隠し地図の所在を知りたい家老や正体不明の忍者が暗躍する中、刺青を背に持つ女たちが次々と殺されてゆく。女殺しの下手人は誰か・・・? そして地図はどこに・・・? 貫禄十分の佐七親分が事件の真相に迫る! goo映画のあらすじを読むと誰が下手人なのかがすぐ分かってしまうものの(おまけに「ニヒル 天知茂」のスチールは本編以上にネタバレ)、沼田曜一・中山昭二・天知茂という普段から善悪の狭間をうろちょろする曲者トリオが競って怪しさを振りまいてくれるので、いったい誰が一番悪いヤツなんだよ!とそれなりにハラハラドキドキが楽しめる作品だった。 ねっとりと元・腰元に近づく家老(沼田曜一)、刺青見たさに忍者装束で押し入って手裏剣投げたりしておきながら「私は決して怪しい者ではない!」と言い張る“宮さま”(中山昭二)の向こうを張って、見るからに腹に一物ありそうな顔でトップを切って登場するのが居候浪人・内海新之丞(天知茂)。襲われた彫師のお蝶さん(日比野恵子)を助ける善人ぶりを冒頭で見せ付けてミスリーディングを誘った彼は、居候先の主人に気に入られてそこの娘(刺青腰元の一人)の婿にと懇願され、本人もちょっと欲が出てきた最中、でも半同棲相手のお滝(彼女も背中に刺青が:山村邦子)が離してくれそうにない、という四谷あたりの伊の字のつく人と良く似た状況にある。 しかし四谷の人よりはるかに色悪な新之丞は、刺青ストーカー事件にかこつけて木は森に隠せ作戦に打って出て、ついでに隠し地図もゲットしちゃおっかなーと欲張ったおかげで佐七親分(若山富三郎)のお縄を頂戴する羽目になるのだった。まったく賢いんだかバカなんだか分からないキャラだとはいえ、2年前(『妖艶六死美人』)は文字通り吹けば飛ぶような存在だった天っちゃんが、まだいくぶん危なっかしいとはいえ最後の大立ち回りを任されるまでに成長していたのは感動だ。ところどころでキーンと冷え切った表情を見せてくれるのも眼福。 *原作は人形佐七捕物帳の「女刺青師」(横溝正史)。彫師の姐さんはすでに病死、隠し地図なんていうロマンチックな話はなくて、屍姦する男やら悋気のあまり人を殺める女やらが出てくる濃厚な展開。いちおう下手人は新之丞さんだが、こちらはクールでも狡賢くもないので、ちょっぴり情けない最期を遂げてしまう人だった。
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2008,02,28, Thursday
#116「兇悪の失恋」(1976年・S51・1月1日OA)
金のもつれから相撃ちになったヤーさん連中が握っていたのは、本物と見まごう出来栄えの模造拳銃(=コルト・ガバメント45口径オートマチック←坂井さん語る)。製造元を追う会田(天知茂)は、たまたま出くわした弾三郎刑事(北島三郎)の片思い人・石毛奈々(中川三穂子)の話を聞くうち、彼女の祖父・半造(田中春男)がかつて兵器工場にいた凄腕職人であること、そして数ヶ月前に突然失踪してしまったことを知り、かなりご都合主義だが半造こそが拳銃の作り主だと確信する。 かくして会田たちは、半造じいちゃん救出と模造拳銃摘発のため、刑事崩れのチンピラ(=サブちゃん)、女胴師(=江沢刑事)そしてその付き人かつ亭主(=会田)として、黒幕である行田伝十(佐々木孝丸)率いる伝十エンタープライズ(元・伝十組)に乗り込むのだった・・・! *このあといつも通り(?)すぐに素性がバレた会田がサブちゃんに撃たれたり(おまけに橋の上から落とされたり)、女賭博師・江波さんの「入ります」が堪能できたり、半造じいちゃんの逆転ホーマーに喝采したりしながらめでたしめでたし→タイトル通りサブちゃん失恋、という展開の、「キイハンター」ならサイコロGメン編のような、正月OAならではの遊び要素たっぷりの作品である。 *「お前の鼻の穴は何のためについてんだ!」(by 会田)にも笑ったが、会田と江沢さんが夫婦だと知った伝十組専務・青井(菅貫太郎)のガックリぶり(「それをはよう言わんかい〜!」)がたいそうツボだった。 *どうせなら会田も着流しで出てきて欲しかったのだが、黒スーツ&白ネクタイやら茶スーツ&緑ネクタイやらが楽しめたので良しとしよう。 *昭和ブルースは1番。OPが元通りインストバージョンになって落ち着いた。
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 02:40 PM | comments (x) | trackback (x) | |
2008,02,27, Wednesday
#115「兇悪のデザイン」(1975年・S50・12月25日OA)
パリから帰国したばかりの新進デザイナー・北原知美(鰐淵晴子)を爆死させるという電話が特捜部に掛かってきた。凱旋ショーの準備に追われる知美のマネージャー・樋口和男(川地民夫)は悪戯だと一蹴するが、実際に爆発は起き、怪我人が出た。現場に残されていた新たな脅迫状と1枚の写真を見て顔色を変える知美。会田(格子柄トレンチの天知茂)は原因が彼女の過去にあるとみて捜査を進める。 知美が成功を掴んだデザイン画は、実はモデル時代の同僚・塩沢敏子(横川まゆみ)のものだった。すべては知美以上に出世欲に燃える樋口が仕向けた事とはいえ、親友(=知美)と恋人(=樋口)の裏切りを知った敏子は自殺、その過去が知美の胸に重く圧し掛かっていた。 脅迫犯の正体は、敏子の日記から真相を知った妹の正子(一の瀬玲奈)と同棲相手の竹本一郎(速水亮)。日記と引き換えに法外な金を要求してきた彼らに樋口は拳銃を向け、竹本を射殺した。その現場を押さえた会田は、あえて知美に日記を託す。 ショーのクライマックスで知美は自分の罪を告白した。誰も怨むことが出来ずに自ら命を絶った親友に詫びるため、あれほど望んでいた名声と地位を手放した彼女。再び一からやり直そうとするその姿を、会田は温かい目で見送るのだった(昭和ブルースは1番) *10歳で孤児になり、苦労に苦労を重ねてきたというヒロイン・知美。しかし、演じるのがあまりにも都会派美人な鰐淵さんなので少々説得力に欠けていたような気がする(とはいえ、作ってる服は田舎の洋品店レベルだったが)。でもって会田はそんな境遇の知美にシンパシーを感じているらしかったが、なにしろどっちも生活感が無いもの同士なのでラブロマンスには発展しにくい雰囲気だった。やっぱりこの2人はあれでしょう、ロウソクでしょう!(by 天使と悪魔の美女) *美女シリーズといえば、今回の会田の微かにピンクのラインが入った格子縞のコートは「五重塔の美女」の明智センセイとちょっと似ていた(でもセンセイの方がピンクが顕著かな)ああいうの好きなのか。 *#52「兇悪の再会」以来、もう出てこないのかと思っていた新米の谷刑事(新倉博)が登場。いつもの岩田さん(岩城力也)の位置をキープしていた。『非情の街』ver.の最初と最後に出てきたという勘定?
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2008,02,25, Monday
首吊り死体の側に置かれた五重塔の写真。20年前の悲劇との関連は・・・?
ミステリー色の濃い作品で、最後まで犯人探しが楽しめます。ヒロインにはちゃんといい人がいるので、明智センセイは文代さんに接するがごとくタメ口で何かと相談に乗ってます。ちなみにあのテーマ曲がOPにも初めて使われるようになりました。 【明智先生ファッション劇場】:センセイの服装をキャプチャーしてみました(ひとよんで“小指と旅する男”)
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