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12時開演!あなたが主役!
12時開演!あなたが主役!(1978年・S53・4月10日OA)CX 12:00-12:30

(1978年3月19日付読売新聞より引用)
【二枚目と共演☆あなたが主役よ】
フジテレビが4月3日からの「12時開演!」なる番組で週一回、一般女性を二枚目スターと共演させる「あなたが主役」という趣向を出す。二枚目の顔ぶれは石坂浩二、天知茂、竹脇無我、黒沢年男、志垣太郎、宝田明……ら。
これは司会の桂三枝が考えた。「今、カラオケブームで歌いたい人がいっぱいだが、一歩進めると芝居をしたい人が多いんじゃないか。それもあこがれの二枚目と」。この話に二枚目たちが飛びつき、石坂や天知は自分で脚本まで書いて来た。
「カラオケとうちゃんに負けてばかりいられない」という主婦やOLの方、美男と見つめ合う気分は悪くないですよ。応募してみてはいかがですか。宛先は(*略)。どんな役で出たいかを書き、上半身の写真を添えて。

(1978年6月9日付読売新聞より引用)
主婦がスターと共演
フジテレビ 「あなたが主役」
精神的な浮気してみたい
週300人も応募


茶の間の一般女性が本職の二枚目俳優を相手に思い入れ十分に演技するフジテレビ月曜の「あなたが主役」(「12時開演!」内)という番組が、なかなか好評。二枚目との芝居は5分30秒という短いものだが、しっかりしたミニ・ストーリーを作り、扮装を凝らしてロケ撮影するという本格的な“映画”だから、中身は濃い。番組を見て「あんなにきれいに撮ってくれるなら、私も」「一生の思い出に」と若い主婦層を主に、出演希望が局に殺到している。

☆宝田、石坂、天知が相手
ミニ映画の一編を紹介すると、宝田明と49歳の主婦木田幸枝さん共演の「春風のロンド」はこんな具合――。
新人モデルを捜すファッション界の有名カメラマン宝田の前に、美女のモデル、南ルリ(木田幸枝さん)が突然すい星のごとく現れた。宝田の撮る写真によって彼女は大評判になり、いつしか宝田に深い想いを寄せるようになるが、その彼には将来を約束した女性がいた!という悲恋ドラマ。49歳の木田さんが華麗なファッションで精一杯若返り、恋する人への熱くまた悲しい想いを懸命に演ずるのが見せどころだ。
応募者の相手をつとめる二枚目陣は、天知茂、石坂浩二、古谷一行、黒沢年男、志垣太郎……と、たくさん揃っている。
この趣向は、番組の司会者桂三枝が三宅恵介プロデューサーと話し合ううちに出てきた。「今カラオケ・ブームで男性は外で発散しているが、家庭の奥さんも何か発散したいものがあるのでは?いっそスターと芝居させたらこの潜在的欲求にこたえてあげられるのでは」というもの。

☆20代から30代の主婦
この考えを二枚目たちに話したら「面白い」と乗ってきて、石坂など自分で物語を作ってきた。
さっそく女性の出演者をテレビや新聞で呼びかけたら、番組を開始した4月初めこそパッとしなかったが、2、3回放送されるや、どっと出演希望者がふえ、今は1週に2-300通の応募が殺到するという人気。出演者は1カ月ごとに選ぶ。1000通あまりの応募から書類審査し、50人程度を集めて面接、この中から4人決定という狭き門である。
これまでの応募者を見渡すと、最年少は14歳の女子中学生、最年長は76歳のおばあちゃん。20代後半から30代の主婦層が中心で、応募の動機は「結婚して子供が出来、手を離せるようになったから、このへんで精神的浮気をしてみたい」というのが多い。
物語の注文についてもほとんどが「許されぬ不倫の恋をしたい」で、制作陣の予想は当たった。
望む役柄は「昔あこがれて、ついになれなかったスチュワーデス、看護婦、芸者」など。

☆ラブシーンもまとも
自分が演ずる役の性格については、自分と正反対のものを希望する人が多い。性格にピタリという場合でもユニークな設定を望む。
長門裕之の刑事に対し、不良少女役をすごいタンカを切って好演した33歳の久保道子さんは、本当はごくおしとやかな女性。
志垣太郎と共演した39歳の吉野アイ子さんはママさんバレーボールをやる人。はね回るのが大好きということで女忍者になり、敵の忍者志垣を愛しながら最後には決闘する大芝居をやった(この放送は19日)。
相手をする二枚目たちは、撮影にだいたい2日間のスケジュールをとるのだが、女性たちがあまり熱心なのでつい引き込まれ、日程を自分から延ばしてサービスする人もいる。志垣などは、台本打合せから撮影、音入れまで5日間もかけた。
志垣は「とにかく、吉野さんはラブシーンでも、目をまともに熱っぽく見つめてくるんで、こっちがドギマギしました。まさに“不倫の恋”にこちらも懸命にこたえちゃいました」と語っている。
こうして出来上がった番組を、出演した女性たちは親類、縁者、近所の人に大宣伝して、一緒に見るという。「主人が見て、ひやかしましたけど、ニコニコしてました。とてもうれしい思い出になりました」というお礼の手紙がスタッフの元へ来るそうである。

*天知回の映像(2本あるうちの1本。まだ倍率がそれほど高くなかったであろう1978年4月10日放送分?)をご厚意で拝見した(ありがとうございます>住田様)。桂三枝と水前寺清子がいるスタジオに、脚本・演出を手掛けた「非情のブルース」といういかにもなタイトル(でもあれは他局なので非ライという言葉は出ない)の台本を手にしてお相手と登場。お相手は芸者希望の37歳主婦の方。柔道初段・剣道三段の“猛者”であるためか、お辞儀の際の手のつき方が前でなく真横で「押忍!」ってな感じだった、なんていう裏話をスタジオで披露した後で映像が始まった。天知茂と37歳主婦共演の「非情のブルース」はこんな具合――(真似)。

ネオンきらめく夜の街にたたずむ刑事(ほぼ会田:天知茂)。とある料亭を見つめながら、内ポケットから取り出してデコピンしたのは指名手配犯・三枝五郎(=桂三枝)の写真。これから刑事は、逃亡中の彼がコンタクトを取ったであろう情婦の芸者に接触を図ろうとしているのだ。

部屋に来た芸者・豆奴(お相手)にお酌をしてもらい良い雰囲気になりながら、三枝の件をさらりと持ち出す刑事。驚く豆奴の耳元で、あの男には他に女がいる、君は利用されているだけなんだと囁く刑事に折れる豆奴。

そしてラスト、天っちゃん本人が歌っているっぽいブルース(「昭和ブルース」ではなかった)をバックに、空っぽの部屋で「生まれたときが悪いのか…」と脱力する豆奴と、外でタバコに火をつけながら「それとも俺が悪いのか…」と呟く刑事が映っておしまい。

ナレーションに北町嘉朗さんを配し、5分程度の映像ながら非ライ風に渋くまとめた作品に仕上がっていた。シロウト丸出しの豆奴さんを相手に会田演技をしてのけているところがさすがである。

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