2006,05,29, Monday
「本日鬼退治の日にて候」(1981年・S56・8月18日OA)
自己防衛のため、もしくは偶然出会った薄幸な人たちの仇討ちのために闇狩りを続けているような形ではイカンと製作サイドが知恵を絞ったのか、今回は、アンチ田沼の要人を刺客から護るための闇狩りという新たな存在意義が打ち出されていたのが興味深かった。 田沼に反抗的な人たちが何者かによって抹殺される事件が起きていた。若き側用人、酒井津島守は新さん(天知茂)の大事なお殿様・松平定信公と同じくアンチ田沼派の要。信頼を置く腰元・おはるに廻船問屋・灘屋を探らせ、彼と幕府大目付・稲取との癒着を知るに至る津島守だったが、そのことで田沼派の次のターゲットとして刺客に狙われる羽目に陥った。 最初はこっそりと津島守の危機を救おうとしていた新さん一行だが、大目付だけでなく味方サイドからも怪しまれてしまい(当然だろう)、おはるさんが消されるに至って新さんようやくカミングアウト。稲取と灘屋を闇に葬り、津島守の信頼を得る。 先週から「若人を支える、頼りになるベテラン」オーラを醸しだしている新さん=天っちゃん。馴染みの井上梅次監督@美女シリーズだからなのか、動作に余裕が感じられ、殺陣も綺麗でなかなかダンディだった(そうか明智センセイモードなんだな) *始まるなりロープに吊るされ移動するスイカを撃ち落す妙技を見せてくれた鉄砲射ちがいて、今日はコレで狙われてピンチになったりするんだろうかと思いきや、2度も新さんによって的を外され挙句に大目付に殺されるというなんだか情けない末路を辿っていた。合掌。 *隠密わんこ・火山は伝書犬としての職務を全うしていたが、首輪の付け文が目立ちすぎ(老眼ですか>新さん) *目立ちすぎといえば渚さん(坂口良子)の忍者衣裳・夏服バージョン。ピンクのシルク生地ってどうなのか。
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2006,05,26, Friday
「女が牙をみがく夜」(1981年・S56・8月11日OA)
田沼に取り入り甘い汁を吸いたい勘定奉行やその部下とつるんで米をしまい込み、値を釣り上げては上納金として差し出している米問屋・大和屋の若い後妻(風間舞子)は、米を出し惜しみすることに懐疑的な同業者の家に刺客を使って主人を殺害、家に火を放つ。 見回り同心・佐竹真之助(堀之紀)はその刺客たちと鉢合わせ、逆に襲われかけたところを、たまたま居合わせたどうにも夜歩きが治らない深編み笠のナゾの人(=もちろん新さん:天知茂)に救われた。ひとりが落とした大和屋印の手ぬぐいを番屋に持ち帰ると、上司は「そんなものは証拠にもならん、それよりその深編み笠の男の正体を探れ」と言う。実は真之助の上司こそ、勘定奉行のコバンザメ、放火殺人の計画者だったのだ。 合点がいかぬものの、上司の命には忠実な真之助は、翌日また出くわした新さん(ブラブラ歩きすぎ)の後をしっかりつけ、長屋で張り込みを続ける。正体がバレないかと心配する哲三(三浦浩一)だが、新さんは真面目で純な真之助を微笑ましく見守ってやり、自分への疑いを晴らすためだといいながら、別の米問屋襲撃の現場を押さえて主犯格の男を引き渡してやりさえする親切さんぶりを発揮。 だがこのシリーズの常として新さんに親切にされるとロクなことはない。大和屋の後妻にタンカを切ったまでは良かったが、事件の核心に近づきすぎた真之助は案の定、上司の放ったゴロツキたちにばっさり斬られて絶命。かわいい許嫁を残して逝った彼のため、闇狩人たちは田沼への上納金を運ぶ勘定奉行たちの一行&大和屋後妻を成敗に向かう・・・という話。 寝たきり主人の襖ひとつ隔てた先で男と燃える後妻さんの濃厚なお色気シーンが今回のウリのひとつかもしれないが、新さんとの接点は皆無で、むしろ純情な同心クンのストーリーにウエイトが置かれていた。ただ、新さんの身なり(と鬘)がこざっぱりしたせいか、「○七郎江戸日記」系とでもいおうか、「ほんとは身分の高い主人公が忍びで悪を倒します」的なノホホンとした展開が、実際の状況(=闇狩人です追われてるんです)とは甚だかけ離れているのが妙な具合だった。こういう話はもっと初期にするべきじゃないのだろうか。 *真之助クンに張り込まれながら呑気に盆栽弄りをしている最中「若い芽を育てるためには、邪魔な葉っぱを摘む必要がある・・・」と言いつつチョッキンと中心の花を丸ごと切り落としてしまった新さん、ウッカリ具合が板についてきた(しかしこんなリーダーでいいのか闇狩人)。またのんびりお米研いでたしな。
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2006,05,20, Saturday
「おんなの罠」(1981年・S56・8月4日OA)
基本的には金が繋ぎ目の某シリーズの仕事人連中とは違い、闇狩人メンバーは何で繋がっているのかがどうもはっきりしない。先週の展開をみると「仲間」意識が強いのかと思いきや、今回はのっけから安斉さんが仲間割れ。亡き兼子さま(尾上松禄)の魂を受け継いで打倒・田沼を誓おうと息巻く新さん(天知茂)に対し、田沼の悪事(の末端)を人知れず始末するならいいが、俺たち風情では相手が巨大すぎるんじゃないかとの安斉さんの主張はもっともだ。しかし渚さん(坂口良子)や哲三(三浦浩一)はいまさら何を言うんだこの裏切り者!と突っかかる。「まあ待て、喧嘩をしても始まらん」冷静に止める新さんだが、そもそもあなたが原因です。 一方、火盗改め・伊丹(=今週のヤラレ役人)は、故・兼子さま渾身の労作(=新さんの墓に自分の娘の遺体を入れてカモフラージュ)をわざわざ掘り返して蘭学者に骨を調べさせるという寝た子を起こす行動に出ていた。兼子さまの苦労はいったい何だったのか。名前の語呂(鳥居ショウジロウ→鳥飼シンジロウだからバレバレなことこの上ないのだが)から新さんに目星をつけた伊丹は彼を徹底マーク、部下の柳生十兵衛もどきは安斉さんの周辺を探るため、奥様を篭絡しにかかる。 伊丹の配下の尾行に気づきながらもぶらぶらと花街付近を歩いていた新さんは、怪しげな女衒に声をかけられる。女は要らんと言いつつ「武家の女とどうです今夜」との誘いを断り切れずに一軒の家へ。俯き加減で帯を解きかけた暗い目をした薄幸そうな女性を制した新さん。もしや自分でクルクルするのがお好みですかと思いきや(思ってませんが)、そばにあった三味線を手に取りチューニング、小粋に爪弾き始めた。そうかやっぱり舞台の合間に習ってたんだなあ(*51年公演パンフに、空き時間に三味線か踊りを習いたいという発言があった) 胸を病んでいるらしいその女性・おときさんの話をぽつりぽつりと聞いてやり、「貴方(=新さん)のような方は初めてです」との言葉に「あんたのような美しい女に会ったのは初めてだ」と草葉の陰(というか新さんの棺おけの中)で千草さんが歯軋りしていそうな浮いた台詞を残してそっと家を出る新さんだったが、実は彼女は伊丹の妻で、夫に命じられて新さんが闇狩人かどうかを探る役目を担っていたのだった(これが「おんなの罠」)。翌日新さんを見かけたおときさん、早逝した息子の墓前で(たぶんわざと)自害しかけたところを救ってもらい、彼の長屋に連れて行ってもらうところまでこぎつけた。 長屋へ帰るなり新さんひと言: 「さて、床(とこ)を敷こう」ってえらく積極的じゃないですか昼間から! ではなくて、病身のおときさんを労わってのこと(いちいちフォローを入れねばならないのもどうか)。そんな新さんの優しさにころっと騙され、もとい、ほだされたおときさん、闇狩人の寄り合い場所まで尾行・確認したというのに、真実を報告できずにあえなく変態夫・伊丹に殺されてしまう。物悲しい三味線の響きをBGMに敵地に乗り込む黒頭巾(新さん)、形見のかんざしを夫の額にびしゅっと突き刺してエンド。 安斉さんの件はどうなったかというと、奥様に探りを入れていた役者崩れの正体(=伊丹の密偵)を哲三が割り出したことで「仲間ってのはいいもんだな」(by 新さん)であっさり仲直り。うーん、甘いぞ皆の衆。それにもはや自分たちの正体を必死に隠すためだけに殺しを重ねているようで、割り切れないものが残った。 *兼子さまが出てくるオープニングはどうなるのかと思ったら、映像はそのままでナレーションだけが変更されていた。 *キメ台詞復活。
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2006,05,08, Monday
「暗殺!兼子八郎左衛門」(1981年・S56・7月28日OA)
冒頭、娘の墓参りをしながら思い出に浸る白河藩公用人・兼子様(尾上松禄)。亡き娘・千草と新さん(天知茂)はデキていて、あるとき娘が殺されるか自害したかで、骸を抱きながら悲しむ新さん(当時は侍姿の鳥居ショウジロウさん)の回想シーンがここで挿入。このことがきっかけかどうかしらないが(何しろ初回を見逃しているので)、乱心して切腹、という偽装により闇の人となった新さんに思いを馳せながら「すまんショウジロウ、お主は墓参りも叶わぬ身」と大層すまながる兼子様だが、当の新さんってばこっそり森の茂みから覗いてるから大丈夫。しかしながらそれで田沼の放った忍び連中に見つかってるあたり、全然大丈夫じゃないのだが(ガード甘いよ新さん)。 マークされた新さんと接触した安斉さん(山城新伍)、渚さん(坂口良子)が相次いで田沼の手の者・三浦(小林・おやっさん・昭二)に掴まった。お嬢さんの一大事と顔色を変える哲(三浦浩一)だが、新さんは堪えろという。彼はとにかく主君・松平定信(沖雅也)命なので、わんこは助けても(そして自分は幾度となく助けられていても)仲間はおいそれと助けに行かない、実に慎重な、というと聞こえはいいが悪く言えば非情の男だ。仕方なく単身乗り込んだ哲は案の定捕らえられてしまい、三人揃って兼子様の前に引き出される。 その場は平静を装った兼子様だが、自分もマークされているため迂闊に動けない。急ぎ主君に告げると、定信公自らが新さんとコンタクトを取るために行動を開始してくれた。このあと二人が温泉で落ち合うという美味しい、というかすこぶる濃厚な(だって沖雅也と天知茂が仲良く褌姿でお湯に浸かってるわけですよ、沖さん元気そうですよ、天っちゃん色白いんですよ)シーンがあり、途中で全裸のくの一に襲われるというデジャブな展開に軽く眩暈(『狼男とサムライ』参照・・・というより時期的にむしろこっちが先か?)。 仲間を助け出せないときは斬りますと定信公に誓った新さんだが、渚さんの必殺武器・赤い鉄扇や安斉さんの爆弾(=口に放り込んでドカン)を駆使して敵を撹乱、あれ〜、それじゃさっき捕まえた奴らって別人?と思わせて三人を無罪放免させる知恵者ぶりを披露(というよりたぶん、珍しいことをやってみたかっただけかもしれない←天っちゃんが)。 しかし先のディープな逢瀬を偶然見かけてしまった町方役人(穂積隆信)の通告によって、とうとう闇狩人と白河藩の接点(=新さん)が田沼親子に知られてしまった。死んでるんなら、鳥居ショウジロウ=新さんの墓を暴いてみろと迫る田沼親子。無論死んでないから中は空のはず、と思いきや、棺を開けると変わり果てた侍の頭が。そういうこともあろうかと兼子様が娘の千草さんをこっちに埋めておいたのだ(実の娘の頭を侍ヅラにしてまで!) してやられた田沼ジュニア(原田大二郎)はぶち切れ、親父(三國連太郎)に内緒で兼子様抹殺を命じる。防御むなしく、三浦&忍びの者たちに惨殺されてしまう兼子様が不憫。形見の刀を差し、キメ台詞を言う余裕もなく(黒頭巾を巻く余裕はあったようだが)おやっさん(三浦)以下バッサバッサと切りまくる新さんだったが、大ボスはまた逃してしまった。まあ田沼氏は歴史上の人物だからして、新さんレベルにやられたりするのはムリがあるというものだ。しかし、元締めがこんな早くに亡くなっちゃって、しかも闇狩人のメンツ割れまくりなのに、次回からどうするんだろう(まだ9話ほど残ってるのに)。 *いつもはオープニングしか出てこない面々が勢ぞろいした回をみるのは初めてだった。三國さん、デカくて貫禄あるなあ。 *新さんのヅラがちょっと変わったんじゃなかろうか(素浪人風から、愛染@狂四郎無頼剣みたいな感じに)
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2006,05,04, Thursday
「隠密犬・危機一髪!」(1981年・S56・7月21日OA)
いつになく嬉しげに白い歯を見せて釣りに興じている新さん(天知茂)の元に隠密わんこ・火山が駆け寄ってきた。ところが、よしよしと撫でた手にべったりと血が。新さんびっくり。事件の陰に犬ありと気づいた田沼ジュニア(原田大二郎)と取り巻き4人衆が、町方に命じて怪しい犬を捕らえるよう指示、居合わせた火山は放たれた小柄で負傷したのだった。それにしてはえらく元気そうに走ってきたぞ、火山。 わんこを飼ってることが長屋中にバレバレな新さん、仲間たちから引っ越すよう諭されるが、首を縦に振らない。それじゃ隠密わんこから闇狩人の存在が知れたらどうします、火山を殺せますか?と突っ込まれると「そのときは、俺も死ぬ・・・!」とまで言ってのける、なぜだかわんこラブ全開モード。「正体を知られたら愛する女でも殺せ」とか言ってたくせに自分はそうきましたか。最近助けてもらうことが多かったからってそこまで思いつめんでも、と観ている方も仲間達も思うのだが、聞く耳まるで無し。そんな新さんの愛を知ってか知らずか(いやたぶん知らないんだろう)、小屋からふらふら抜け出して町を散歩してたりする火山、緊張感の欠片もないヤツだ。 迷惑がかかるからと解散宣言をして自分だけで取り巻き4人衆を血祭りに挙げてゆく新さんだが、罠を承知で乗り込んだ待田京介(役名忘れました)宅で短筒やら火縄銃やらで狙われ危機一髪(承知じゃなかったのか)。そこへわんこを始め仲間達が駆けつけてくれて事なきを得る。「水臭いぜ新の字」「一緒に死にましょう」って、みんな良いひとたちすぎるんだよなあ。 *実は火山役のわんこ、天っちゃんにそれほど懐いていない。やはり顔が怖いとみえる(オイ) *新さんが犬笛を吹くと♪チャララララ〜と音楽が流れるのだが、笛の音というよりは、魔法の杖をひと振りするときの擬音のようで脱力する。
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2006,04,27, Thursday
「金粉の若君登城!」(1981年・S56・7月14日OA)
諏訪・高島藩の幼君・忠丸が江戸へ向かう途中の宿で寝込みを襲われた。彼が死ねば後継ぎのいない藩は取り潰される。空きを狙う浅川能登守と、彼に肩入れする田沼ジュニア(原田大二郎)の差し金だった。 「重傷を負った幼君の安否を確かめ、護衛せよ」との命を受けた新さん(天知茂)たちが探りを入れたところ、何事もなかったように高島藩一行は江戸へと向かったが、忠丸は駕籠から出てこないらしい。そして数名の侍たちが密かに別行動を取っており、近所の仏具師が殺されたという。侍の一人は、大きな葛籠(つづら)を背負っていた・・・。 忠丸は生きているのか、はたまた死んでいるのか? 葛籠(つづら)には一体何が入っているのか? このふたつの大きな謎で最後まで引っ張ってくれる上、迫り来る虚無僧集団から葛籠(つづら)を死守する侍たちに合流した新さんが、葛籠(つづら)のダミーを2つ用意し、そのうちのひとつを哲三(三浦浩一)に運ばせたりするものだから、どの葛籠(つづら)が本物なのか?という謎(哲三も知らされていない)まで追加され、目が離せなかった。 そこへ渚さん(坂口良子)と哲三の過去(#1〜#3を見逃しているのでよく分からないが、どうやら彼らは武田忍者の末裔なんだとか)が絡んできて、安斉さん(山城新伍)や隠密わんこ・火山も活躍の場がたっぷり与えられている、実に濃厚な展開。「しかし、いろんなものを見たなあ」という新さんの締めの言葉に深く頷いてしまった。「鮎担ぎ」なんていう習慣も初めて知ったし。 ・・・とはいえ、肝心の新さんの活躍シーンは最後の殺陣の黒頭巾以外ほとんど皆無だったのだが、まあ面白かったのでOKだ。
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2006,04,20, Thursday
「妻恋い逃亡・男でない男」(1981年・S56・7月7日OA)
*タイトルから、ピーターか美輪さんでも出てくるのかと思ったのだが、そっち系ではない 隠密わんこ・火山が持ってきた文には、理由のよくわからない特赦で遠島から戻ってきた二人の男の名前が書かれていた。一人は花火師、もう一人は一刀流の使い手。気に入らないヤツはみんなやっつけて出世しちゃえ〜、と腹黒いことを考えているお代官さまと廻船問屋がぐるになり、自分たちの計画に必要な技を持つ二人をチョイスしたのだ。 花火師のほうはもともと小悪党なのだが、一刀流の使い手で元同心の堀谷(大門正明)は、上司が美人の奥方(志庭いずみ)にちょっかいを出したせいで上司を斬り殺して島送りになり、奥方に会いたい一身で何度も逃亡を図って拷問を受け(この際に男性の大事な部分を無くしているので「男でない男」というわけ)、今また、奥方との生活のために要人の暗殺を引き受けざるを得なかった、根は真面目なのだがとにかく奥方激ラブの人物である(さらに奥方も輪をかけて旦那様ラブなので、相思相愛ここに極まれりといった風情)。 このラブラブな夫婦に、やがて悲しい結末が訪れる。悪い側の人(宮口二朗)に用済みとばかりに飛び道具で撃たれた堀谷は虫の息になりながら帰宅し絶命、最愛の夫の死を目の当たりにした奥方は、実に痛そうな方法(=女性の大事な部分を刀でぶっすり)で果てる。彼らの仇討ちのためにも、闇狩人たちは腹黒代官たちを始末しに向かう・・・。 といった具合で、この薄幸夫婦にスポットが当たっているのだが、主役(←いちおう)だというのに彼らとまるで接点が無かったのが新さん(天知茂)。もっとも今回の新さんは、無法地帯に潜んでいる例の花火師と黒幕との関係を秘密裏に探るというかなりオイシイ役割を買って出て(からくりは我々視聴者にはもう読めているので、ムダといえばムダなのだが)、へらへらした軽い口調で嬉しそうに島帰りの遊び人を演じてはいた。・・・いたのだが、目つきが目つきなのでやはりすぐに怪しい人扱いされてしまい、ならず者たちに荒縄でくくられてあわや!というところで忠犬わんこの火山(と哲三)に助けられ 「旦那、少々お遊びが過ぎたんじゃないすか」と哲三に言われてしまう始末。もっともだ。 *「今の世の中 真っ暗闇よ・・・」とキメ台詞をしゃべる新さん。あなたの衣装も真っ暗闇です。
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2006,04,11, Tuesday
「仇討ち恋泥棒」(1981年・S56・6月30日OA)
養女(実は田沼意次の娘)に上様の子供を身籠らせようと画策する淡路守は、上様似の若者を拉致しては娘に与え、使い捨てていた。弟を死に追いやった「乳房に黒子が3つある女(=田沼娘)」を探して仇を討つため、旗本屋敷に忍び込んでは首ならぬ「乳」実検していた(ついでに操も頂戴していた)「お役者助左」(風間杜夫)とひょんなことで知り合った闇狩人の渚さん(坂口良子)の淡い恋と悲しい別れ・・・ということで、新さん(天知茂)の出る幕はほぼ皆無。あんまりつれなくされるから新さんゲットは諦めたのか、渚さん。 10話くらい前まではまるで生活感の無かった新さんだが、井戸端で長屋のおばちゃんたちと仲良く米を研ぐという前回に引き続く所帯臭さが見られた。ちなみに長屋には、花沢さん@サザエさんのような積極的な娘さんがいて、今回も「お役者助左より新さんのほうがずうっと素敵よぉ!」とアタックしようとするも新さんにかわされ、勢いで井戸にぼっちゃーんと落ちていた。ある意味、これが一番大事件。 *最近の立ち回りは狂四郎風の黒の着流しでクールに決めることが多い新さん。どっちかというと紫頭巾&白の「風林火山」を復活させてほしい(目立つところが立ち回りしかない回は余計にそう思う)。
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2006,04,04, Tuesday
「この世の見納め生き観音」(1981年・S56・6月23日OA)
白馬に乗った侍は良い人とは限らない。奥祐筆(極秘文書を管理保管する役職)の奥平は権力をかさにきてやりたい放題、通り道の邪魔になったというだけで町娘らをばっさり斬り捨てる悪党だ。そこにたまたま出くわした隠密わんこ・火山、何しやがるんだテメエ!とばかりに吠え掛かり、奥平を馬から振り落とした。おいおい、いいのか伝書の途中なのに、と思っていたらやっぱり飼い主の新さん(天知茂)がとばっちりを受け、番屋へしょっぴかれてしまう。 ろくに取調べもされず即仕置き(=処刑)が決定となる新さん。移された別部屋には、ひとりの女(おきたさん:池波志乃)がいた。死を前にした罪人のこの世の見納めに身体を与える「改め婆」(「清め女」だったかな?)のおきたさん(池波さん、惜しげもなく上半身をさらしてくれます)、新さんの前でいつも通りご開帳〜♪とやり始めるがあっさり拒否される。据え膳喰わぬは男の恥だろ新さん。中尾彬が怖いのか? *池波さんは中尾氏の奥様です 「俺は死ぬ気はないからな」とクールに言い放って部屋を出た新さんは、荒縄でくくられて処刑場に連れ出されてからも悠長に構えている自信家ぶりで、そりゃあここで殺されるなんて誰も思っていないけど、おっとりしすぎ。 「よし、逃げてやる」顔色ひとつ変えずにそんな無茶を考える新さん。首に刀が迫ってるよ!「垣根は八尺(約2.4m)・・・飛べるか」いやムリだってば! まさに刀が振り落とされんとする瞬間に、役人に化けた安斉さん(山城新伍)と哲三(三浦浩一)が救いにきてくれて事なきを得たのだが、あの分じゃ「俺だって自力で逃げられたぜ」とか思ってそうだ。ウソでもいいからもすこし焦って欲しい。 おきたさんは家族を皆殺しにした下手人・豊次郎(片桐竜次)への復讐のために自ら志願して囚人の相手をしていることが判明。その豊次郎が今回のターゲット・奥平の用心棒でもあったことから、新さんは彼だけをわざと役人に捕えさせる。極刑が決まり、部屋に来た豊次郎を櫛で刺し殺し、自害するおきたさん。もっと他に方法は無かったのか、やりきれない哀しさが残った。そして雨の中、運び出されるふたりの遺体とすれ違い、そっと手を合わせる新さんでいつものエンディング。ゆるゆるソング&映像でちょっと癒される気がした(そろそろ慣れてきたのかな)。 *役人に捕まる直前、「(安全のため哲三に預けてある)火山、エサちゃんと貰ってるかなー」とか「(焼き魚を持ち上げ)お、こりゃちょっと焼きすぎたなー」などと独り言をいいつつ朝ごはんを食べてる所帯じみた新さんが可笑しかった。 *奥平をずばっと斬って、すちゃちゃちゃっと(ツルギさん@江戸の牙風に)カッコつけて刀を納めた後からいつものセリフ「・・・闇を、斬る!」と呟く新さん。それを言うなら「闇を、斬った!」だ(・・・というより別にそこまでして決めゼリフ口走らんでも)。 *いろんな意味で目立っていた隠密わんこ・火山。ラストの立ち回り時、新さんに命令されて天井から悪人に飛び掛かるハッスルぶり。
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2006,03,28, Tuesday
「旗本ハイジャック」(1981年・S56・6月16日OA)
歌舞伎の助六みたいな格好で街を練り歩いては豪遊三昧の、札差(ふださし:主に旗本に対して蔵米の換金やら金貸しを行う商い)・大口屋のぼんくら主人(市川好朗)に眉を顰めながら、叔父の番頭(=今回の極悪人)は自分の息子を旗本に据えんと裏で腹黒いことを画策している。 一男一女を持つ善良な旗本・石見に目をつけた番頭は、医者と結託して病弱な妻にと法外な値の薬を売りつけ(妻は結局助からず死去)、困窮したところで金を貸し渋り、金が欲しくば息子・一之進を廃嫡し、自分の息子を娘の婿に迎えて跡を継がすように脅迫(つまりこれが「旗本ハイジャック」)。 石見は突っぱねるが、孝行息子の一之進少年は自ら廃嫡されようと望み、馬鹿正直にも番頭にその方法を尋ねに行く。辻斬りでもしなさい、とアドバイスを受けるも拒否(当然だろ)、「それじゃ商人の俺と対決して負けるというのはどうだ?」とタカビーな番頭の息子に挑発されるが、腕を折られて負けたのは番頭の息子だった。大事な息子を疵モノにされた番頭は、用心棒を集めて一之進少年を襲わせるが、突如現れたやたらと強い素浪人に蹴散らされる。雨宿りの際に一之進少年と出会い、彼の聡明さに感銘を受けていた新さん(天知茂)だ。 事前に元締めから「札差の悪行を正せ」とかいう実にアバウトな指示を受けていた新さん一味は、大口屋にターゲットを絞る。・・・のだが、なにやら悠長に構えているうち、ブチきれた番頭が、医者を遣って石見家の人間すべてを薬殺してしまう。あまりに非道な展開なのだが、それでもなお「(番頭をヤるには)確証が必要だ」と慎重論を唱える新さんは正直じれったい(ここらへん、天っちゃん自身の性格か?)。けなげな一之進くん、無駄死にしちゃったじゃないか! 薬殺計画を聞きながら黙っていたぼんくらな助六主人を問い質し、ようやく証拠を掴んでから新さんは渚さん(坂口良子)と一緒に(←これは今までに無いパターン)闇を斬りにいく。札差を廃業して僧門に入る助六主人と会釈して別れる新さんでエンドマーク。自主的に廃業した札差は大口屋だけだった、というナレーションが入るので、その実話を元に作った話といえないこともないが、なにやら後味の悪い話だった。
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