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闇を斬れ#10
「三つの命を持つ男」(1981年・S56・6月9日OA)

今回のターゲットは火事を自演して油の値段を釣り上げている強欲油問屋&レイプ魔の馬鹿息子(堀内正美)。コトの最中にうっかり娘に死なれてしまった馬鹿息子を救うため、油問屋が賄賂をさげて田沼ジュニア(原田大二郎)に泣きついたところ、刀傷沙汰を起こしてその罪で牢に入るよう勧められる。殺人なら死罪だが、刀傷沙汰なら遠島で済むからだ。しかも牢内でわざと火事騒ぎを起こし、解き放ち→刻限に戻ってきて所払いに減免、というセコイ方法で命拾いする馬鹿息子(だから「三つの命」か)に、闇狩人たちの怒りが爆発する。

死んだ娘の家で情報収集してくる渚さん(坂口良子:馬鹿息子を殺るのも彼女)、髪結いに化けて女囚たちに可愛がられつつ牢内の馬鹿息子の様子を探ってくる安斉さん(山城新伍:強欲油問屋殺しも担当)、潜入のため髪結いの練習をしに行って逆に渚さんに切り刻まれ、あげく安斉さんに先を越されてしまうお笑い担当の哲三(三浦浩一)と、他のメンバーは見どころが均等にあったのだが(隠密わんこですら尾行に活躍していたのに)、肝心の新さん(天知茂)の出番がいまひとつなのが残念だった。朝もはよから隠密わんこに起こされたり、強欲問屋お抱えの用心棒たちをなんとなく挑発したり、馬鹿息子の出方を推理しつつちょっとズレたり、どう突っ込んでいいのかわからない(いや別に突っ込まなくてもいいのだが)地味さ加減なんだもの。

ただ、ラストの立ち回りで「ハハハハハハ!」と意味なく明智笑いしながら紫頭巾で登場したのだけが印象に残った。出番のしょぼさに高笑いするしかなかったというわけですか新さん。

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| TVドラマ(時代劇)::闇を斬れ | 11:49 PM | comments (x) | trackback (x) |
闇を斬れ#9
「親の涙は血の涙」(1981年・S56・6月2日OA)

凄腕だが仕官のクチ探しに苦労している子連れ浪人(土屋嘉男)が、田沼の息がかかった殺人集団・般若党(般若のお面を被ってアンチ田沼の要人を消しまくる連中)にスカウトされた。まだ幼い息子・新之助のため、図らずも悪事に加担してゆく浪人。

息子と顔見知りになっていた新さん(天知茂)は、良からぬことに巻き込まれているらしい父親の傷の手当なども甲斐甲斐しく(?)こなしたりなんかして、貧しくともまっとうな道を歩むようさりげなく諭すのだが、般若党の次のターゲットが自分たち闇狩人の総元締め・松平定信(出番はなかったけど沖雅也)宅と知り、阻止せんと討伐に向かう羽目に。

決行時、「旦那、無理しないでくださいね」と新さんに声をかける闇狩人の紅一点・渚さん(坂口良子)が珍しかったが、般若党のパトロンやその背後にいる黒幕を単独で殺しにいく彼女や安斉さん(山城新伍)の方がむしろ大変そうだった。新さんなんて、素顔で般若のお面に圧勝してるんだから大丈夫に決まっているじゃないか。

自分に何かあったら息子の身の振り方を決めてくれ、とパトロンから貰った前金をごっそり親切な近所の素浪人(=新さん)に預け、安心して死地に赴いたはずなのに、当の本人が「…闇を、斬る!(チャキーン♪)」なんて恥ずかしいセリフと狂四郎スタイル(=黒の着流し)で自分たち般若党の前に現れるもんだから、父親の動揺はいかばかりだったろう。「金で魂を売るな!」→「息子が心配してるぞ!」→「新之助の元に帰ってやれ!」面被ってても正体バレバレなんだぜ、とでも言いたげに徐々に具体的になってくる新さんの言葉も耳に入らないかのように(「つーかアンタ、息子と金を託したのになんでここにいるんだよ?」と心の中で突っ込んでいたせいなのか)、斬りかかる父親。

勝負は一瞬で決まった。鮮血したたる新さんの刃の向こうで「貴殿に斬られて本望だ・・・」と呟き、浪人は息絶えた。座頭市vs平手造酒テイストだが、ちょっと待ってほしい。余命いくばくもないわけでなし、あれだけ新さんが見逃してやるってジェスチャーしてんだから、息子のためにも生きのびるのがフツーじゃないのか父親。新さんも条件反射みたいに斬るなよ!

ラストは朝の長屋。父親の分まで朝餉の用意をしているあまりにけなげな息子の姿を戸口から垣間見て、形見らしき印籠すら渡し損ねてそっとその場を去る新さん。石畳をひとり歩く背中には昭和ブルースが色濃く滲んでいた(預かった金はどうしたんだ、などと下衆なことは突っ込んではいけない)。

ところで今回の隠密わんこ・火山は、元締めの兼子さまからの文を届けたあとぐったり横になっていた。どうやら熱があるらしい、ということで、なにか話に絡んでくるのかと思ったのに全く無意味だった。構ってほしかっただけなのか火山よ。

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| TVドラマ(時代劇)::闇を斬れ | 11:51 PM | comments (x) | trackback (x) |
闇を斬れ#8
「女体にひびくオルゴール」(1981年・S56・5月26日OA)

按摩の安斉さん(闇狩人のひとり・山城新伍)の馴染みの女性、おむらさんが、借金のカタにとある悪徳医者に連れて行かれる。幕府お抱えにならんと画策する悪徳医者は、毒針使い(蛾次郎←いつものアフロで登場)を使って邪魔者を消したり、田沼のドラ息子・意知(原田大二郎)に自分の薬で調教した女を送り込んだりしている外道で、彼女は次のターゲットに選ばれたのだ。

医者宅で良い服を着せてもらい、南蛮のお茶(コーヒー)を勧められたりオルゴールをあてがわれたりで至れりつくせりのおむらさんだが、なんとか彼女を救い出したい安斉さんはリーダー(天知茂)に相談する。しかし今日の新さん、「その女(=おむらさん)、ただの(ゼイタク好きな)雌猫かもしれんぞ」などとひどくつれない。

あげく、単独行動のせいで医者の用心棒たちに奥さんをかどわかされてしまう安斉さんに対しても「いくら愛した女でも、俺たちの秘密を知られたなら容赦なく斬れ」とか言っちゃうし(まあ一緒に助けに行ってあげてたけど)、ラストの立ち回りで悪徳医者を成敗した際、「人殺しぃ! アタシのこれから、どうしてくれんのよお!」と叫んで番屋へタレ込みに行かんとするおむらさん(←結局彼女ってばメス猫だったらしい)を背後からばっさり斬り捨てちゃうし、いつものほんのりオトボケ新さんが非情のライセンスと化していた。前回のことで女性にコンプレックスでも持ったのか新さんよ。それとも出番が少ないので情念の嵐が暴発したとか?

こんなに新さんばっかり目立っちゃ他の連中の立場がないよなあ、という展開もどうかと思うが、今回のように前半ほとんど出番がなかったりすると、見ているこっちがつまらないことが判明。・・・しかし半裸の女性に蝋燭攻めとか、「お前は誰だ!死んだはずだぞ」「ふっふっふ(べりべりべり←横からマスクを剥がす音)」ってなどこかで見たようなシーンが盛り込まれていて、そういうところは思わず笑いが漏れた(さすがに「マスクべりべり」を天っちゃんがするわけではなかったが)。

ところでいつも、ゆるゆるな女性の歌声にのせてわんこと新さんの春夏秋冬プロモーション映像みたいなのが流れるエンディングになるとなんだか体中の力が抜けてしまうんだが・・・いつになったら慣れるやら。

*かといって天っちゃんの歌声が流れたら余計に力は抜けそうだが

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| TVドラマ(時代劇)::闇を斬れ | 11:51 PM | comments (x) | trackback (x) |
徳川おんな絵巻#8
「嫁地獄」(1970年)

同じ側室である実の姉より先に殿(葉山良二)の子を身籠って姉に憎まれ、子供も早死にしたか何かで殿の不興を買って国で幽閉されていた側室(お紋の方:中村玉緒)を妻に貰い受けた藩士、神尾新八郎(天知茂)。このへんのいきさつは#7「お妾拝領仕る」が詳しいようで・・・見逃して残念。

殿のお手つきを拝領した新八郎に対する風当たりはきつく、城では同僚たちからさんざん陰口を叩かれ、家では母親がネチネチとお紋をいびりまくる。新八郎の眉根の皺は深くなるばかりだ

しかし「こんな嫁貰ってやっぱ間違いだったかなー」なんて後悔するヤワな新八郎ではない。「人の噂は七十五日、俺たちの心がしっかり結びついてさえいれば良いのだ」「俺は今が一番幸せだ。なぜだか分かるか・・・そなたがいるからだ」などと低音ボイスでストレートにお紋さんへの愛を表現、彼女の目にも嬉し涙が光る。なんだか羨ましいぞお紋さん。

ところがそのアツアツな様子を障子越しに覗き見していたイヤミな鬼姑が、殿の側用人(日和見主義の悪いヤツ・阿部徹)と結託し、とんでもないことを計画する。持病の薬を取ってきてくれと姑に言われ街外れの薬草園に来たお紋は、ここで殿ともう一度褥を共にしろ、でないと新八郎を不義密通の罪で(つまり貰い受ける前からデキてただろと言いがかりをつけて)切腹させるぞと、側用人に脅迫されたのだ。視線の先にはすでに用意された寝床が。ぱきん、と手折られるリンドウの花のアップが彼女の運命を物語る。

城から戻るなり、「お紋はもう帰ってくるまい、今度こそ立派な嫁を貰えばよいのです」と母親に事情を知らされ、新八郎は激怒。平然と豆を炒ってる母親に刀を抜きかけるも必死に自制し、お紋を探しに薬草園に赴く。乱れた寝床で呆然としている彼女を発見、あまりのことに近くの竹林に駆け込み顔を伏せる新八郎。追い討ちをかけるように「あなたの手にかかって死ぬためにお待ちしていました」と小刀を地面に置くお紋。苦悩度MAX(眉根の皺MAX)の新八郎、どうする! お紋を殺して自分も死ぬのか? そういう悲恋話なのかこれは?

だがそこはそれ、我らが天っちゃんだ。怒りは竹にすぱーんとぶつけ、「さっさと湯浴みしてこい、出歩けば泥がはねることだってある」というような実に味わい深い台詞を口にすると、お紋さんと一緒に帰宅する。どうしても嫁になど頭を下げられないという母親は家を出てしまい(最初からそうすりゃいいのに)、二人っきりの甘い生活が始まることに。耐え忍んだ末に掴んだ幸せ。

ここで終わればめでたしめでたしなのだが、数ヶ月後、お紋の妊娠が発覚。大喜びな新八郎とは裏腹に顔を曇らせるお紋。実はどっちの子供か分からないのだという。殿とはあれ一回きりやん、その前後(「後」は知らないがたぶん)ずうっと新八郎と一緒やん!と見ている方は思うのだが、跡継ぎがなかなか出来ない殿は懐妊を知り「お紋の子は自分の子なのだあ!」と全く自分勝手に決め付ける。

殿や重臣たちが列席する法事に呼ばれたお紋は、腹の子が誰の子なのか霊前で告げよと迫られる。予の種だと言えと強要する殿。と、そこへ飛び込んできた新八郎が、夫である自分の子に決まってるときっぱり告げる。それでも駄々をこねまくる殿の前で刀を抜く新八郎。刃を妻に向け「あらぬ疑いをかけられたまま生まれる子は不憫。子の母と共にここで成敗いたします!」と(むろんそんなつもりは毛頭ないのだが)叫びながらお紋を連れ出し、そのまま行方知れずに。風の噂によれば上方で親子三人仲良く暮らしているそうな、というナレーションと共に、赤ん坊を抱き上げてご機嫌な新八郎夫婦が雪の中に映って消える。

「おんな絵巻」なだけに、お紋と実姉の確執、側室たちの醜い争いの姿も描かれているのだが、新八郎さんのすこぶる良い漢(オトコ)ぶりにひたすらうっとりな話だった。

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| TVドラマ(時代劇)::徳川おんな絵巻 | 12:34 AM | comments (x) | trackback (x) |
闇を斬れ#7
「女色男色乱れ僧」(1981年・S56・5月19日OA)

*前ブログより引用

タイトルそのまんまの乱交ぶりを発揮している生臭茶坊主が我慢ならない兼子さま(元締め:尾上松禄)だが、相手は幕府お抱えなので闇狩人たちも迂闊に手は出せず躊躇している。

それとはまるで関係なく、わんこ連れで軒下で雨宿りしている時に知り合った女性(=お初さん)とほんのり良い仲になってる新さん(天知茂)。隠密わんこも新さんの恋路を大プッシュ。他の仕事はいいのか火山(わんこ名)、っていうかわんこをダシに使うなよ新さん。ちゃっかり傘借りてる場合か。でれでれ絵筆持ってる場合か(実は画家志望でもあった天っちゃんの筆捌きが拝めるのは嬉しいが)。「晩飯一緒にどうです」とか誘ってる場合なのか!

実はお初さんは生臭茶坊主の囲いモノで、ジェラシーに狂ったボウズのせいで身も心もめちゃくちゃにされてしまう。なのに「あのひとがあんなことになったのは、旦那(=新さん)のせいらしいですぜ」なんて哲三(三浦浩一)に言われて初めて「なんだとぉ!」と眉根の皺を深くして茶坊主を斬ると宣言する新さんはちょっとトホホだ。傘返しに行ったときに坊主に会ってるんだから、そのとき気づけよ新さん!でも紫の蛇の目傘(お初さんのもの)をくるくるしながら敵地に赴きばっさばっさと斬り刻む新さんはいつもどおりカッコいいので許そう(惚れた弱み)。

先日ウッカリ(?)買った「江戸の牙」の与力姿がすごくハマっていたせいもあるが(作品自体もこれがなかなか面白いのだ ←語りだすと長くなりそうなのでまた後日)、天っちゃんは新さんみたいな素浪人髷(「三匹が斬る」の殿様@高橋秀樹みたいなの)はあんまり似合わないような気がするなあ。

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| TVドラマ(時代劇)::闇を斬れ | 11:53 PM | comments (x) | trackback (x) |
闇を斬れ#6
「ふる里遠く夫婦花」(1981年・S56・5月12日OA)

*前ブログより引用

どうやら既に「江戸の怪しい人リスト」に名前が挙がっているらしい新次郎さん(さもありなん・天知茂)に、闇狩り撲滅に暗躍する田沼側とおぼしき人物(実はいいひと・藤巻潤)や、同藩だった幼馴染(実はワル・石浜朗)が絡んでくる話。眉根を際立たせて「斬る…!」と宣言した対象が味噌・醤油問屋だったり(小物すぎだ。しかも殺ったの仲間の渚さん)、闇狩り人の存在を黙っててくれた善人夫婦(藤巻氏たち)を見殺しにしちゃったりと、根本的なところでそれってどうよな疑問が生じるものの、颯爽とした立ち回り(当社比)が2度も拝める上、例の紫頭巾&決め台詞も復活して(ということは、#5が特殊だったのか)、モトは取れる仕組みとなっていた。刀を素早くチャキッ♪と上の方で収めてからスッと腰に戻す動作がなんとも渋いのだ。ちょっとカッコつけすぎてやしねえか新の字!(山城新伍調)

(判明したこと)
*鳥飼新次郎さんの本名は「トリイ ショージロー」(どっちもどっちだ)
*隠密わんこの名前は「火山(カザン)」。元締めのところには「風林(フウリン)」がいる(なんて名前だ)
*でもって新さんの白い着流しの念仏かと思われた文句は「風林火山」(武田信玄?)

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| TVドラマ(時代劇)::闇を斬れ | 11:54 PM | comments (x) | trackback (x) |
必殺仕掛人 #12
*前ブログ記事引用

天っちゃんゲストの「秋風二人旅」を観る。

京の元締め・白子屋の要請で京へ向かう途中の梅安(仕掛人:緒方拳)と彦造(小林・おやっさん・昭二)。背後から来た南町の鬼与力風のコワモテ侍(天知茂)を見て彦造が顔色を変えた。「あいつは20年前、女房と子供を殺したヤツだ!」たしかに悪そうな顔ではある。

ここで20年前の様子がプレイバックされる。畑でいちゃつく彦造夫婦を突如襲う浪人2名。舌をぺろりと出し、「ひぇへへへー」と笑いながら彦造を峰打ちして嫁さんをかっさらうのは確かに天っちゃんだ。ヤな奴オーラ満開で実に嬉しそう。

梅安がそれとなく探りを入れる(茶屋でわざとお茶を袴にかけて反応をみたりする)が、コワモテ侍・峯山又十郎は顔の割には人畜無害であることが判明。人違いじゃねえのかと問う梅安に彦造は猛反発。「あの顔だけは忘れようったって忘れることはできやしねえ!」いやまったくだおやっさん。

又十郎が京でコンタクトを取った相手を見て驚く梅安。それはなんと元締めの白子屋。実はその20年前のゴロツキ浪人・井坂惣市は又十郎の弟で、今は手下5人とつるんで京の鼻つまみ者になっているどうしようもない弟たちの抹殺を白子屋に頼んだのが又十郎だったのだ(それで梅安たちが呼ばれたらしい)。頼んでおきながらまだ躊躇している又十郎兄ちゃんは、もう一度弟に会って説得したいと申し出る。

古寺の境内で再会する真面目な兄とゴロツキ弟。ダブル天知で画面がやたらディープ。養子に行った又十郎兄ちゃんは気が弱く剣が滅法ダメらしいが、眼力で2~3人は軽く殺せそうな顔なのでとてもそうは見えないところがちとネック。性格がひんまがってしまっている弟(の演技はすこぶる上手い天っちゃんだ)が今さら言うことを聞くはずもなく、とうとう又十郎はずいぶん悩んだ末に弟殺しを決断する。

同じく京へ着いた仕掛人仲間の生真面目侍・左内(林与一)と共にゴロツキたちを順に殺めていく梅安。最後に残ったのは弟。左内さんとの一騎打ちでは、往年の時代劇映画のような緊迫感のある様式美が拝める。なにしろ監督は「斬る」「眠狂四郎 無頼剣」「座頭市物語」などの三隅研次。天っちゃんの退廃的なムードを引き出すのがとても上手い監督さんだ(たぶんこの監督さんだから「出る」と言ったんだろうな)。腕を切られてキッと相手を見据える目つき、ヨレヨレになってもまだ立ち向かっていくがむしゃらさがたまらなくいい。倒れたら枯れ葉がはらはら散る、滅びの美学。

事が済み、茶屋で再会する梅安と又十郎兄ちゃん。梅安は自分がその仕掛人だとほのめかす。青ざめた兄はその場で立ち尽くす。

最後の一言(仕掛人だとほのめかしたこと)は余計だったかもしれんなあと言う左内さんに梅安、「一番のワルはあのお侍だったような気がしますけどねえ」。
自分は手を汚さず、実の弟を殺めたからか。うーん、たしかに一番悪い顔してるけど(言うな)、その「悪さ(狡猾さ?)」がみえなかったので消化不良。天っちゃんかなり悩んでたけど、ズルさはなかったもんなあ。

依頼人と殺しの相手を兼ねている上(長いシリーズでそんなパターンは彼だけらしい)、入浴シーンまであったりして、とにかく天っちゃん好きにはたまらない一本だった。

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| TVドラマ(時代劇)::その他(ゲスト) | 12:46 AM | comments (x) | trackback (x) |
闇を斬れ#5
「恋姿 謎の美剣士」(1981年・S56・5月5日OA)

*前ブログより引用

年頃の娘だった美剣士(白都真理)の監禁されてる恋人役で、ブレイク前の役所広司が出ていた。登場はごく終盤、台詞は「おミツさん!(=恋人名)」程度だが、勢いというかオーラは滲み出ていた。

今回の新次郎さん(天知茂)は僧正遍照みたいな格好で真正面から屋敷に乗り込んでいて、どうやら紫頭巾&白の着流し(&恥ずかしい決め文句)でばっさり、というのは定番パターンではないことが判明。前回ほどわんこが活躍していなかったし、エロエロなシーンもまるで影を潜めていたし・・・って、前は美女シリーズの井上監督だったからなのか? でもやっぱり新次郎さんは何やってるのかさっぱり分かんない人で、のんびりわんこの調教してたり金魚にエサやってたりするだけだった。あんなヒトが町人長屋にいるだけで怪しい。

それにしても当時の悪役は顔がモロに悪くて良い。今回は八名信夫&中田博之のお二人さん。もっともこれくらいの面子を揃えとかないと主役の方が顔怖いもんなあ ←それは言うな

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| TVドラマ(時代劇)::闇を斬れ | 11:55 PM | comments (x) | trackback (x) |
闇を斬れ#4
「地獄の賄賂貸し」(1981年・S56・4月28日OA)

*前ブログより引用
"老中・田沼意次(三國連太郎)、意知(原田大二郎)親子の腐敗政治を憂う白川藩主・松平定信(沖雅也)の密命を受け、身分も名も捨てた烏飼新次郎(天知茂)が、元同心の安斉(山城新伍)、くの一・渚(坂口良子)、その手下・哲三(三浦浩一)の3人を配下に、隠密犬とともに田沼親子の悪政に戦いを挑んでいく。隠密犬として、天然記念物の指定を受けている甲斐犬が登場する異色時代劇"
(ホームドラマ・チャンネルより)

賄賂が横行するちょっとややこしい第4話「地獄の賄賂貸し」から観たのでまだよく掴めていないかもしれないが、元締め(松平の家臣:尾上松禄)からの依頼を伝書鳩よろしく「伝書犬」として受けたり、仲間を呼び寄せたり、悪人を尾行したりと、隠密わんこが大活躍なところが異色な時代劇なものの、「必殺」シリーズの亜流の域を出ない地味な作品だった。1981年といえばあちらは「新必殺仕事人」の頃だから、当時から分が悪かったのではないかと思われる。

そもそも天知氏演じるキャラは、現代劇・時代劇を問わず私生活が見えないのが特徴なので、普段の顔と殺し屋の顔とのギャップの妙、といった「必殺」型時代劇の面白さに欠けるのだ。この新次郎さん、家に帰れば嫁と義母にいぢめられてるとか、長屋でちまちま傘貼りしてるとか、昼間っから置屋でしっぽりとかいうことはなく、何で生計を立てているのか全く不明で、普段街を歩いているときから強面の隠密顔なのだもの、分かりやすいことこの上ない。 おまけに一匹狼オーラが強く、明らかに別格な彼に仄かな敵愾心を燃やす仲間がいるわけでもないので、殺しのプロ同士のせめぎあいといったものも存在しないのが残念なところだ。ヌルい連中とつるむのならいっそのこと仲間はわんこだけでもいいのにと思うのだが、既に天知氏だけでは視聴率が稼ぎ難い時代になっていたんだろうな(かといって他の面子の知名度で稼げたのかはギモンだが)。

でも紫頭巾&念仏みたいなのが書いてある白の着流しで殺しに赴くラストはさすがにカッコよくて「闇に刺し込む一条の光!(キラン、と刀が夜なのに反射)…中略… 闇を斬る!」なんていう恥ずかしい決め台詞も彼だからこそぎりぎりサマになっていた。もうすこし続けて観る・・・かな。

(2007.9.14 追記)仕事を取るため、言われるままに奉行・工藤(勝部演之)に賄賂を差出す材木問屋。彼をたきつけてじゃんじゃん金を貸す札差・松前屋が実は工藤とつるんでおり、気がつけば身ぐるみ剥がれて悲惨なことに。工藤-松前屋ラインを調べるよう命じられた新さんたちは、背後に大和屋(福山象三)という黒幕がいることを突き止め、3人まとめて闇に葬り去る。

*最初「必殺」の亜流にみえたのは、今回はメンバー同士あまりごちゃごちゃ相談せずにさっくり仕事を終えていたからかもしれない。ラストが珍しく爽やか(?)だったせいもありか。 ちなみに新さんはいちおう「よろず屋」として遊郭で代筆業をやっていたりするのだが(#2)、そういうまっとうに働いている場面は滅多に見られない(というか、#2以外見たこと無いような)。

*この#4だけオープニング映像が違うのには訳があるのだろうか?

「妖精の美女」で胸元をがばーっと披露させられていた(←天っちゃんに)野平ゆきさんが、材木問屋の薄幸な娘役で出演。今回は濡れ場を覗かれる羽目に(←天っちゃんに)。

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