2008,03,29, Saturday
#124「兇悪の密告」(1976年・S51・2月26日OA)
「おかしいなあ・・・どうもおかしい」 輸血中の会田(天知茂)の側で、腑に落ちない様子で顕微鏡を覗いている山岸先生(大友柳太朗)。血小板の減少や肝臓・脾臓の腫れが以前と比べてずっと引いているのだという。そんなに悪い時期なんてあったんですか!じゃなくて、それじゃ快方に向かってるってことじゃないですか!と嬉しそうな看護師のユミ(中島ゆたか)に対して「そんなバカなはずはない!もうそろそろ冥土から迎えがきてもおかしくない頃なのになあ」などと浮かない顔の先生(会田に死んでほしいわけでは勿論なく、理由は他にあることが後に判明)は、それでも近頃止めているという酒を持ち出し乾杯してくれた。 正直ホッとしたらしい会田の元へ、久保四郎(和崎俊哉)という男がチンピラ殺害の容疑で逮捕されたとの知らせが届く。久保は建設会社勤めで、会田が追っている黒い疑惑に満ちた土地ころがしの真相を知る人物。社長の花角(織本順吉)が捜査の矛先を逸らすために久保を別件逮捕させたのではないかと疑う会田は留置所から彼を強奪、泳がせて後をつけるつもりが、一課の橘警部(渡辺文雄)らに阻止され見失ってしまった。 逃げた久保は半年前から共に暮らす祐子(武原英子)に真っ先に連絡し、社長や警察に見つかる前にどこかへ逃げようと誘う。必ず自首させるから、せめて1時間だけでも夫婦の幸せを持たせて欲しい――訪ねてきた会田にそう懇願し久保の元へ駆けつける祐子。だがチンピラ殺しの真犯人が花角サイドに消され、久保にも命の危険が迫っているため、会田はすぐさま二人の前に姿を現わした。祐子の秘密(=久保を警察に密告したのは彼女)を愛するが故の行為だと暴露、真相を話すよう説得する会田にその気になる久保だが、折り悪く花角の子分達が乱入、久保を拉致したうえ、縋る祐子に拳銃を向けて逃げ去る。被弾した祐子は、自分の密告行為は愛ゆえではなく、久保が社長の姪と結婚するかもしれないというジェラシーに駆られてのことだったと救急車の中で会田に打ち明け意識を失った。 病院に着いてみると手術を担当する医者がいないという緊急事態が勃発。そこで会田は急ぎ主治医の山岸先生を呼ぶことに。来るなり「おおいガソリン(=酒)をくれ、弾のひとつやふたつ1杯やりながらでも摘出できるんだ」と豪快な山岸先生だが、ユミは心配顔。「先生はアルコールが切れると手が震えてメスが持てないんです」。それが原因で、この手術を最後に九州の田舎へ帰る気でいるのだと聞かされ、さすがの会田も「大丈夫かな・・・」と動揺気味だ。 祐子を消しにかかるであろう花角サイドの刺客に備えて(むしろ危険は手術室の中のような気がするが)警戒を怠らなかった会田の計略により襲撃犯たちは逮捕され、社長の花角の悪事も白日の下に。麻酔から覚めた祐子は、自力で逃げ戻ってきた久保がそばにいるのを見て安堵、そして手術を無事成功させた山岸も、会田が差し出したカップ酒をぐいっとあおり、笑顔を見せるのだった(昭和ブルースは1番) *最後にいろいろツッコませてくれた山岸先生はこれにて勇退(たぶん)。会田の白血病は(先生の「ゆめゆめ全快したなどと思うなよ」との脅しにもかかわらず)きれいさっぱり全快してしまうようである。ううむ、会田の兇悪人生をダメ押しするこれ以上ない兇悪設定だったのに、あまり活かされることもなく消滅してしまったのは残念だ。
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2008,03,27, Thursday
#123「兇悪の情熱」(1976年・S51・2月19日OA)
関東ヤクザ連合会長・田代(潮万太郎)の屋敷が手製爆弾で狙われた。やったのは近頃やけに羽振りの良い柳井組らしい。四課主任・南條刑事(小林昭二)や会田(天知茂)たちは、ゴミ運搬員(←南條さん達)やら女子トイレでの張り込み(←会田&坂井)やらを地道にこなし、柳井組が“世革動”(=世界革命行動分子)メンバーの高野邦明(佐々木剛)と結託、高性能の爆弾を作らせていることを突き止める。 ある夜ふらりと柳井組を抜け出た高野はバー・エスカルゴへ。美人ママの泰子(弓恵子)と何やら話して外へ出た彼は、何者かに火炎瓶を投げつけられ全身火だるま。会田と一緒に彼を尾行していた坂井(宮口二郎)の助けも間に合わずに死亡してしまう。会田は犯人に追いつき、火炎瓶を振り上げた男に威嚇射撃をしたところ、足を撃ったはずなのに頭上の火炎瓶が破裂、こちらも火だるまで死んでしまった。 矢部警視(山村聡)にさんざん非難される会田だが、どうしても自分の弾が火炎瓶に当たったとは思えない。そこで、柳井組インテリ幹部の工藤(平田昭彦)の妹でもある泰子の元を訪れ、無残な姿になった高野の写真をつきつけて脅しをかける。坂井が現場を見ていた柳井組のチンピラを締め上げてくれたことも手伝って、ようやく真相が明らかに。会田と同タイミングでサイレンサー付き拳銃をぶっぱなしたのは、泰子の兄だったのだ。疑いが晴れて意気揚々と部長に報告する会田だったが、工藤が爆弾を抱えてビルに立てこもったとの知らせを聞いて急ぎ現場へ駆けつける。 南條や泰子が説得にあたっている間、こっそりビル内に忍び込む会田と坂井。しかし「会田さん何をするんですか!」「危険です会田さん!」となぜか会田ばかりが警官たちに引き止められてマゴマゴ出遅れているうちに(まごまごしていたのは引き止められたためだけではなさそうだったがそこは贔屓目ということで)、スタートダッシュした坂井が颯爽と縄梯子を伝って工藤のいる部屋へ押し入った、と思ったらガンガン撃たれて大ピンチ。そこへようやくたどり着き惨状を目の当たりにした会田は、容赦なく工藤に全弾をぶちこんで終止符を打つのだった(昭和ブルースは1番) *死んだフリして会田と部長と視聴者を驚かせてくれたが坂井さんは無事。 *またもや宮口さんが大活躍な回。おまけに今回は奥様(=弓恵子)さんがヒロインときている。張り込み時の写真を見て「なんですかこの女は!」とちょっと照れつつ口走るサービスあり(会田の「いい女だろ?」に思わず「ええ」とか言ってるし) *「そこでちょっと寝ておけよ坂井」と洋式トイレを指差す会田、トイレで張り込む二人にカレーライスを差し入れる右田。どないですか。 *主要人物名(高野、工藤兄妹など)とおおまかな筋は原作「兇悪の炎」と同じ。高野の写真を突きつける兇悪ぶりは原作通りだが、屋根からズバットアタック(違)なんてのはもちろんドラマだけ。 *佐々木さん(ライダー2号)・小林さん(おやっさん)・宮口さん(ゾル大佐)と、ライダー関係の人が集ったいかにも東映な布陣。だがヒーロー役者が火だるまってところがこの作品の非情なところだ。
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2008,03,20, Thursday
#122「兇悪の秘め事」(1976年・S51・2月12日OA)
3度も会社を潰し偽装倒産の疑いがある会社社長が、尾行中の坂井刑事(宮口二郎)の目の前で射殺された。犯人は、この会社のせいで工場が立ち行かなくなった福地原修一(柳生博)。あっさり犯行を認めて拘置所に送られる修一だが、何者かに命を狙われる。囚人に混じって密かに彼をマークしていた坂井は、彼が小野寺勘治(嵯峨善兵)という黒幕に依頼されて殺人を犯したことを探り当てた。 血の気の多い坂井は早速小野寺の会社に乗り込んだものの、社員への暴行容疑で停職を喰らう。一方の修一は、妻・洋子(三浦真弓)から工場が小野寺に取り押さえられたことを聞かされ「約束が違う!」と慌てるが後のまつり。洋子は裏切り者の小野寺を狙撃しようとするが、黙って後輩(弟子)に任せていた会田(天知茂)がここで(別に頼まれていないが)出動、彼女を阻止する。 修一は証拠隠滅を図る小野寺の放った刺客によって、拘置所の中で絞殺されてしまった。彼が洋子へ送った手紙に隠されたメモを焙り出しで解読した会田は、小野寺の後を追って洋子が向かった料亭へと急ぐ。「小野寺なんて人は来てません!」と言う女将(三原葉子ねえさん!)を振り切って会田が部屋に入ると、小野寺はすでに洋子の撃った銃弾で負傷していた。前回(#69)同様、苦しむ小野寺を焦らすだけ焦らして自白を得てからようやく救急車の手配をする会田。殺してやりたかった、とまだ不満気な洋子を「怨みが残るならそれでもいい。それがあんたの明日からの生きる糧となるならね」と彼なりの励ましの言葉を送ったあと、なんで貴方がいいとこ取っちゃうんですかあ!と恨めし気な坂井に後を任せてその場を去るのだった。 (「余計なことしやがって・・・ゴロツキめ」一課の橘警部(渡辺文雄)の苦々しげな台詞と共に昭和ブルースは4番) *トレンチの坂井刑事が大活躍する回。でも肝心なところは師匠が締める、と。 *女将役であの葉子ねえさんが出てきたのは驚きだ。会田に「動くな!」だのなんだのと指図されて「んもう!」ってな顔でうろうろしている姿が嬉しかった。
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2008,03,19, Wednesday
#121「兇悪の妻の座」(1976年・S51・2月5日OA)
長瀬紀子(谷口香)は夫・安夫(矢野宣)と義母、そして中学受験を控えた息子とで暮らすパート勤めの主婦。安夫の会社が相当やばくなっており、差し迫ったローン返済のためたった一度だけ身体を売ったことは、当然ながら彼女だけの秘密である。 ところが特捜部と名乗るコワモテ3人組(=会田・坂井・右田)が現れ、その夜のことをしつこく尋ねてきた。実は紀子の当夜の相手・加賀始(勝部演之)は、汚職事件をかぎ回る記者をトップの命令で殺害、その足で彼女と寝た男なのだという。彼のアリバイを崩すためにはぜひ貴女の証言が必要だと迫られる紀子だが、家族を想う彼女にはとても本当のことなど言えない。 そのうち、自宅へ加賀から電話が。コワモテ刑事の一人(=会田)がいちかばちかで加賀に紀子の名前と住所をほのめかして出方を探ったせいであるが、そんなことは知らない紀子は「もう一度会ってくれ」としつこい加賀の誘いに乗ってホテルへ向かう。そこには加賀の姿はなく、チンピラ・岩場(内田勝正)が口止め料の30万を持って待っていた。あわや岩場の毒牙に、という際どいシーンで刑事たちが部屋に乱入、事なきを得るが、一番のコワモテ(=会田)だけが残ってドアに鍵をかけた。まさかこの人も私を・・・!と身構えた(でも杞憂)紀子は、再度の証言要請を「毎月きちんと月給を貰って、税金を山分けするみたいにたくさんボーナスを貰って、そんな人たちに何が分かるのよ! 弱い人間をいじめるのがあんたたちの仕事なんでしょ。えらそうな口きかないでよ!」と激しく突っぱねた(でも後悔)。 夫クビ→再就職先で重傷、パートの業績不振、そして加賀からの再三の電話と、次第に追い詰められてゆく紀子。とうとう加賀の呼び出しに応じた彼女は、口封じだとナイフを向けられ大ピンチ、もみあった末に彼を刺してしまった。そこへ駆けつけた例のコワモテ(=会田)は彼女の行為を黙認、悶える加賀に自白させ目的を果たすのだった。 夫の怪我には労災が下りるとのことだが、まだ紀子の不安は尽きない。しかし「家庭の中の妻の座ってのは、大切なものじゃないんですかね」と自分が最後まで死守したものの存在を思い起こさせてくれたトレンチのコワモテ(=会田)のお蔭で、少しは自信がでてきたような気がしていた(昭和ブルースは4番) そして会田は、一緒に加賀の上役を摘発に向かったときの矢部警視(山村聡)の言葉を反芻するのだった。 ――なあ会田。警察の手錠や拳銃だけではどうにもならんことが山ほどある。山ほどあるなあ・・・。 *昭和ブルースの後に矢部さんの台詞。ぐっとくる演出だが、なんか部長が死んじゃった人のようだった(生きてます、おまけに今回は現場へ出動してました)
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2008,03,15, Saturday
#120「兇悪の声」(1976年・S51・1月29日OA)
黒キャスケット&黒ジャケットにイエローシャツという久々にツッコミ甲斐のあるいでたちで会田(天知茂)がブルマン(=ブルーマウンテン)を飲んでいた珈琲店に、拳銃を持った女・咲江(夏純子)が押し入ってきた。彼女は先ごろ海に落ちて死んだノイローゼ気味のヤクザ・林(三上春樹)の愛人。林の死は他殺だと確信するこの咲江、生前あのひとはこの世の2人かあの世の2人半に殺されると怯えていた、犯人はこの世の2人に違いないのよ!と断言、丸総銀行の深見(=この世の1人目:水島弘)を呼べとマスターの北岡(=この世の2人目:高松英郎)に迫った。 客代表として居残った会田は矢部警視(山村聡)に連絡して深見を呼ぶよう伝えるが、咲江が突然倒れたために中断(後に流産)。暴力団と現役大臣の癒着を追い、パイプ役とみなしマーク中だった林に死なれたばかりの会田にとっても、彼らの関係は見過ごせなかった。林とやり手銀行員の深見、そして商社マンだった北岡を結ぶ7年前の因縁とは? 林が精神を患うに至った“声”とは何なのか? 夜を徹しての調査で、会田は7年前のとある誘拐事件を探り当てる。 寡黙なマスター・北岡も、風邪を引きかけながら真相に迫る会田(単に事件の起きた波止場に土砂降りだというのにボーッと突っ立っていたせいなのだが)の態度に打たれたらしく、“あの世の2人半”(=自分が海外出張中に誘拐され殺された息子と、そのショックで死んだ身重の妻)について語り始める。 ――人間はひとりの方がいい。失う者を持たない方が、生きていくのが気が楽だ――。 そんな北岡の孤独な思いの丈に、会田はシンパシーを感じ始めていた。 自らの出世のために誘拐を画策して林に実行させ、ライバル銀行に身代金を要求、ふってわいた災難に慌てるライバル社を尻目にヒーロー然と金を持参した男こそが深見である。身体が癒えた咲江を林のお骨と対面させてやったり、実は一番のワルで林殺しの犯人である深見に揺さぶりをかけたりと張り切る会田は、深見がヤクザと大臣の収賄ルートの証拠人でもあるため、北岡たちに手を汚させまいとする。 しかし林や深見に声のテープを送りつけた張本人の北岡、深見に愛人を殺されたと知った咲江は深見への殺意を募らせていた。会田が駆けつけたときには既に遅く、深見は死体に。これでは北岡を逮捕せねばならない。手錠を固く握り締める彼の耳に、少年と女性の声が流れ込んでくる。出張中の父、そして夫へ綴る、普段どおりの微笑ましい日常。7年前の事件当日に録音されたそのテープこそが林たちを怯えさせた“声”だった。 北岡と咲江は観念したように珈琲店で会田を待っていた。だが会田は「深見は自殺だった」と告げ、ふたりに刑務所でなく海外行きを薦める。自殺に犯人がいては困る、あえて言うなら、“あの世の3人半”(=北岡の妻子&林)が犯人なのだから、と。 日本で淹れる最後の珈琲はあなたに飲んで欲しい――。そう言って北岡が淹れた別れのブルマンを、会田はじっくりと味わうのだった(昭和ブルースは4番) *会田が追う癒着と、7年前の誘拐、そしてヤクザ謀殺、複数の事件と関係者が絡み合って実に深い味わいを醸し出していた。ラストは泣き所がたんまりあるし。ええやっちゃのう会田! *でもまだ普通の身体じゃないんだから(たぶん)、びしょぬれになって物思いにふける、なんていうロマンチックな行為はやめてほしい(隣に車停めてんだから乗ろうよ!)
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2008,03,10, Monday
#119「兇悪のプライバシー」(1976年・S51・1月22日OA)
昇進間近の夫・進一(天田俊明)と幼い娘に囲まれた富山啓子(市原悦子)の幸せな生活は、旧知の極道・遠藤金造(今井健二)を偶然車に乗せる羽目になったことから綻び始める。 前科4犯のムショ帰り、今また組に盾突いた暴力金融会社社長をバラしてきたばかりの遠藤は、使用拳銃と顧客データが記された帳簿が入った社長のカバンを無理やり啓子に預け、警察にタレこめば過去をバラすと脅迫。かつて遠藤ら不良仲間と“不純異性交遊”を繰り広げ、万引きで挙げられたこともある自分の経歴を夫にひた隠しにしてきた啓子は従うしかなかった。 まもなく橘警部(渡辺文雄)ら一課の捜査網が啓子にも伸びるのだが、彼女は遠藤との関わりを頑なに認めようとしない。「世の中には死んでも警察なんかに協力したくないって思ってる人間だってたくさんいるんです」 啓子は昔の辛い経験から、警察に深い嫌悪感を抱いているのだ。暴力金融撲滅のために帳簿を追っていた会田(天知茂)は、啓子が同級生・トキ子(宗方奈美)を結果的に廃人に追いやったことで良心の呵責に苛まれていると指摘、僅かな正気の中で啓子の幸せを祈っていたトキ子の様子を語ってきかせる。啓子はそんなデリケートな部分まで調べた上で自分を諭す会田にほだされたらしく、「刑事の会田さんじゃなく、もうひとりの会田さんにカバンをお渡しします」と遠藤との待ち合わせ場所を知らせるのだった。 だが会田が駆けつけたときには、遠藤は啓子の銃弾に倒れた後。記者・村田(小島三児)の心無い記事をきっかけに家庭は無残に崩壊、失うものが無くなった啓子。「やっぱりあなたは刑事ね」橘警部らを呼び寄せた会田にカバンを渡した彼女は手錠を受けた。刑事達にやるせない思いを抱かせて――(昭和ブルースは4番) *ラストに幼稚園で元気に過ごす娘を啓子に垣間見せる優しさを示した会田(と右田)だが、ちょっと後手に回りすぎたような気がする。肝心なところで間に合わないのが会田の常(か?)とはいえ、啓子の罪を被ってやるくらいのはみ出しぶりを見たかったなあ。エリート刑事として正攻法で犯罪に対処する橘警部の苦悩と覚悟のほうがより鮮烈な印象を残した回だった。
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2008,03,08, Saturday
#118「兇悪の振子」(1976年・S51・1月15日OA)
“人類は土に還れ”がモットーの世界ルネッサンス協会なる団体で真面目に布教活動に励む橋賀勇(大門正明)は、しつこく絡む酔っ払い(三夏伸)に思わず当て身を喰らわせた。ところが男はそのまま内臓破裂で死亡。自首しようとする橋賀に上役の三宅(鹿内孝)は、会長・九谷大造(殿山泰司)の意向だからと暗に自殺を強要する。 独り残される母(三宅くにこ)を思い波止場で躊躇する橋賀は、絵描きの由美(麻田ルミ)と出会った。沖縄出身の由美は、協会への信頼を捨てきれないでいる橋賀を自分達沖縄の人間と同じだと言い“うちなんちゅー”になぞらえる。彼の代理として協会へ赴き、事を表沙汰にしない約束で3千万を要求した由美の大胆な言動を、既に九谷を捜査中の会田(天知茂)は頼もしく見守る構えだが、橘警部(渡辺文雄)は「俺達は(犯罪の原因を探る)弁護士じゃない、刑事だ!」と苦い顔である。 しかし会長直々の電話でまたもや振り子のように揺れ動く橋賀。自分の力不足を痛感した由美は会田のマンションをふらりと訪ねた。君の田舎は沖縄か、との会田の(本土復帰してまもない沖縄を特別扱いしない)自然な言葉にほだされた彼女は仔細を打ち明けるのだが、その頃橋賀は会長との待ち合わせ場所に出向き、手下たちに殺されそうになったことで完全にキレてしまい、銃器店に押し入り人質をとって立てこもるという暴挙に出てしまっていた。 母の説得にもまるで応じなかった橋賀だが、強引に店に入り込んだ由美と会田の説得でようやく落ち着きを取り戻した。「仕上げは悔いの残らぬようにやるんだな」「あなたは“うちなんちゅー”よ。そしてここにもう一人いるわ(=会田のこと)」ロマンチスト三人でなんとなくまったりと和んでいたのも束の間、由美を突き飛ばして橘警部が乱入、「俺は刑事なんだ!」と橋賀に手錠を掛けるのだった(昭和ブルースは1番) *組織のコマにされる若者を「美しく、そして哀しいのが青年でしょう」と弁護に回るイカしてる会田クン(タメ口アーティスト・由美調)。寝る前に着ていたすみれ色のカーディガンもイカしていた(おっさんぽくて)。 *ラストに由美を乗せるタクシー運転手にキレンジャー(現役)・畠山麦さん。
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2008,03,04, Tuesday
#117「兇悪のざんげ」(1976年・S51・1月8日OA)
矢部警視(山村聡)の家に招かれた会田(天知茂)たち(右田&谷刑事)は、彼の娘(二本柳敏恵)から、友人・井出秋子(村松英子)の婚約者だった峰岸正之(西沢利明)が転落死を遂げた事件を調べ直して欲しいとの依頼を受けた。折りしも秋子が自殺未遂を図ったとの知らせが舞い込み、会田は病院へと向かう。 『いかにもアーメンって言いそうな女だ・・・』 秋子を前にしてどうも苦手意識が否めない会田だが、敬虔なクリスチャンである彼女が自殺するには相当の理由があると睨み、背後にいる金井五郎(大村文武)という男を突き止めた。 金井は死んだ峰岸の幼馴染で、ヤクの運び屋。峰岸がヤク中だったことから、なんらかの諍いで峰岸を突き落とした金井が、それを目撃した秋子を脅していたのではないかと会田は推理する。現に金井は命をとりとめた秋子を呼び出し銃を向けた。そこを救った会田は(金井はムダに声の良い兄貴分:森山周一郎らがあっさり射殺)秋子の口から、フィアンセ・峰岸の同意の下で金井に回されたこと、一緒に死んでくれと迫る峰岸を思わず突き飛ばしてしまったことを聞き出した。やつらは人間のクズだ!とはき捨てた会田は正当防衛を示唆するが、事実はどうあれ心の中では殺したいと思っていた、と泣き崩れる秋子。 「俺には神様のことは分からん。でも神様はアンタのことを心配してるんじゃないかな」罪の意識に苛まれる彼女をそう励ました会田は麻薬取引の場に出向き、金井の兄貴分たちを有無を言わさず皆殺しにしたうえ、不幸の根源であるヤクが詰まったケースを蹴り飛ばすのだった(教会で懺悔に励む秋子を眺めつつ昭和ブルースは1番) *独白が多かったりで、なんとなく会田のキャラクターが原作に近いテイストの作品。ところでラストの襲撃シーン、暗くてよく分からなかったのだが、ハンドルに手錠を掛けてたグラサンの運転手は、会田に脅された取引相手?(それともあれが会田?) *お茶でくちゅくちゅして娘と会田に睨まれる矢部さん。「俺がくちゅくちゅくちゅってやると、奇妙に会田君のカンがひらめくのさ」と悪びれることなく再度くちゅくちゅ。はっきりいって汚いですよ矢部さん(でも意外にかわいかったり)。 *「こいつがキミ(=会田)に調べてもらいたいと言うんでね」「私、会田さんのファンなのよ」などと会田ヨイショに余念がない矢部さん父娘(残り二人は蚊帳の外)。会田をムコにでも貰うつもりか矢部さん。
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2008,02,28, Thursday
#116「兇悪の失恋」(1976年・S51・1月1日OA)
金のもつれから相撃ちになったヤーさん連中が握っていたのは、本物と見まごう出来栄えの模造拳銃(=コルト・ガバメント45口径オートマチック←坂井さん語る)。製造元を追う会田(天知茂)は、たまたま出くわした弾三郎刑事(北島三郎)の片思い人・石毛奈々(中川三穂子)の話を聞くうち、彼女の祖父・半造(田中春男)がかつて兵器工場にいた凄腕職人であること、そして数ヶ月前に突然失踪してしまったことを知り、かなりご都合主義だが半造こそが拳銃の作り主だと確信する。 かくして会田たちは、半造じいちゃん救出と模造拳銃摘発のため、刑事崩れのチンピラ(=サブちゃん)、女胴師(=江沢刑事)そしてその付き人かつ亭主(=会田)として、黒幕である行田伝十(佐々木孝丸)率いる伝十エンタープライズ(元・伝十組)に乗り込むのだった・・・! *このあといつも通り(?)すぐに素性がバレた会田がサブちゃんに撃たれたり(おまけに橋の上から落とされたり)、女賭博師・江波さんの「入ります」が堪能できたり、半造じいちゃんの逆転ホーマーに喝采したりしながらめでたしめでたし→タイトル通りサブちゃん失恋、という展開の、「キイハンター」ならサイコロGメン編のような、正月OAならではの遊び要素たっぷりの作品である。 *「お前の鼻の穴は何のためについてんだ!」(by 会田)にも笑ったが、会田と江沢さんが夫婦だと知った伝十組専務・青井(菅貫太郎)のガックリぶり(「それをはよう言わんかい〜!」)がたいそうツボだった。 *どうせなら会田も着流しで出てきて欲しかったのだが、黒スーツ&白ネクタイやら茶スーツ&緑ネクタイやらが楽しめたので良しとしよう。 *昭和ブルースは1番。OPが元通りインストバージョンになって落ち着いた。
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2008,02,27, Wednesday
#115「兇悪のデザイン」(1975年・S50・12月25日OA)
パリから帰国したばかりの新進デザイナー・北原知美(鰐淵晴子)を爆死させるという電話が特捜部に掛かってきた。凱旋ショーの準備に追われる知美のマネージャー・樋口和男(川地民夫)は悪戯だと一蹴するが、実際に爆発は起き、怪我人が出た。現場に残されていた新たな脅迫状と1枚の写真を見て顔色を変える知美。会田(格子柄トレンチの天知茂)は原因が彼女の過去にあるとみて捜査を進める。 知美が成功を掴んだデザイン画は、実はモデル時代の同僚・塩沢敏子(横川まゆみ)のものだった。すべては知美以上に出世欲に燃える樋口が仕向けた事とはいえ、親友(=知美)と恋人(=樋口)の裏切りを知った敏子は自殺、その過去が知美の胸に重く圧し掛かっていた。 脅迫犯の正体は、敏子の日記から真相を知った妹の正子(一の瀬玲奈)と同棲相手の竹本一郎(速水亮)。日記と引き換えに法外な金を要求してきた彼らに樋口は拳銃を向け、竹本を射殺した。その現場を押さえた会田は、あえて知美に日記を託す。 ショーのクライマックスで知美は自分の罪を告白した。誰も怨むことが出来ずに自ら命を絶った親友に詫びるため、あれほど望んでいた名声と地位を手放した彼女。再び一からやり直そうとするその姿を、会田は温かい目で見送るのだった(昭和ブルースは1番) *10歳で孤児になり、苦労に苦労を重ねてきたというヒロイン・知美。しかし、演じるのがあまりにも都会派美人な鰐淵さんなので少々説得力に欠けていたような気がする(とはいえ、作ってる服は田舎の洋品店レベルだったが)。でもって会田はそんな境遇の知美にシンパシーを感じているらしかったが、なにしろどっちも生活感が無いもの同士なのでラブロマンスには発展しにくい雰囲気だった。やっぱりこの2人はあれでしょう、ロウソクでしょう!(by 天使と悪魔の美女) *美女シリーズといえば、今回の会田の微かにピンクのラインが入った格子縞のコートは「五重塔の美女」の明智センセイとちょっと似ていた(でもセンセイの方がピンクが顕著かな)ああいうの好きなのか。 *#52「兇悪の再会」以来、もう出てこないのかと思っていた新米の谷刑事(新倉博)が登場。いつもの岩田さん(岩城力也)の位置をキープしていた。『非情の街』ver.の最初と最後に出てきたという勘定?
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