■ADMIN■
ADMIN ID:
ADMIN PW:
■CATEGORIES■
■POWERED BY■
BLOGN(ぶろぐん)
BLOGNPLUS(ぶろぐん+)
■OTHER■

『警察官』
『警察官』(1957年・S32)

パトロール中の警官が不審車を尋問中に射殺された。捜査を進める内、国際的なスパイ組織の存在が浮上。捜査課長(細川俊夫)は制服警官の山口俊介(宇津井健)を、組織に関連ありと思われるクラブ社長・長谷川(沢井三郎)の元へと潜入させる。

長谷川の信頼を得て運転手として雇われた俊介は、組織の中枢である南隆貿易の社長(のっけから外国人と英語でやりとりしている蝶ネクタイの男:丹波哲郎)に接近するが、俊介に胡散臭いものを感じた丹波社長の腹心・吉田でなく吉野(デキるNo.2というよりはダークサイドの小林少年といった風情の天知茂)はそれとなくストーカー行為を続け、彼が老練刑事・久野(竜崎一郎)の娘・純子(池内淳子)と恋仲であることを突き止め正体を見破った。

南隆貿易に偵察に来た久野と共に捕縛されピンチの俊介。しかし周りは既に援軍の警察官で取り囲まれていた。初期捜査のミスを引きずりナーバスになっていた木村刑事(中山昭二)が単身乗り込み、丹波社長と凄まじい乱闘を繰り広げて命を落とし(その前に吉野は木村刑事と撃ち合いになりあっけなく死亡)、丹波さんが地下室もろともどっかーんと爆死して事件は解決。俊介は純子の前で、木村の分まで頑張ることを誓うのだった。

*頭脳派の実悪ぶりが板についていた(ヤク中の江見さんに長谷川社長を殺させ、そのあとで銃を向ける非道な態度がこれまた渋い)丹波さんの側で張り切っていた吉野くん。ただ有能秘書というにはうら若く、用心棒にしては華奢、その筋のおねーさんには頬をしばかれ、拳銃の腕もいまひとつという、ボスに比べるとなんとも可愛らしい面が目につく不思議な青年だった。

*おまけに運転も出来ない(役柄)らしいのだが、荒っぽい運転手(=宇津井さん)に向かって助手席でぽわんぽわんと揺れながらいろいろ突っ込んでいる姿が笑えた。

*「ベッドハウス」(=連れ込み宿の一種か)の住民・サッチャン役で、当時まもなく挙式予定の奥様=森悠子さんが登場、朗らかで逞しそうなその筋の女性を演じておられた。天っちゃんとは中盤にニアミスしていたような(宇津井さんをストーキング中にベッドハウスの階段を上がっていった時に出てきた、後ろ向きの女性がそうだったのではないかと)。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=80 |
| 映画::新東宝 | 10:30 PM | comments (x) | trackback (x) |
青い指紋
『青い指紋』(1952年・S27)

「日本映画戦後黄金時代 13:新東宝の監督」「19:新東宝の主役」(日本ブックライブラリー)という本をゲット(全30巻のうちの2冊)。19巻の解説に、天っちゃんのことが書いてあるのだが、そのなかに
デビューは「青い指紋」(S27・青戸隆幸監督)という買取り小品の犯人役ではなかったか
との一文が。制作:理研映画、白黒・64分のこの作品(“犯罪ドキュメンタリー”という副題つき)、東京国立近代美術館フィルムセンターに所蔵されていて98年に上映もされているようだが、果たして・・・?

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=554 |
| 映画::新東宝 | 11:28 PM | comments (x) | trackback (x) |
『剣聖 暁の三十六番斬り』
『剣聖 暁の三十六番斬り』(1957年・S32)

柳生十兵衛(辰巳柳太郎)から秘伝を授かった荒木又右衛門(嵐寛寿郎)。弱きを助け強きをくじく天狗のおじさんならぬ又右衛門さんは、河合又五郎(丹波哲郎)に父を殺された義弟の渡辺数馬(和田孝)の助太刀をして伊賀・鍵屋の辻で大暴れする。無声映画のチャンバラもどきのBGMが盛り上げてくれるクライマックスの三十六人斬りは、観客が彼に求めたものに堂々と答えてみせるアラカンさんの役者魂も垣間見られて圧巻だった。

長い間“伊賀モノ”だった身にとっては『荒木又右衛門』やら『鍵屋の辻』やらはすこぶる身近な言葉なのだが、又右衛門&数馬の他にあとふたり味方がいたというのは恥ずかしながら知らなかった。若いほうの岩本孫右衛門、それが今回の天知茂の役柄である。

又右衛門さまの中間(ちゅうげん)らしい孫右衛門は、廊下に控える年長の武右衛門(討ち入り仲間:広瀬康治)とは違い、庭先からタタタと駆け寄り「旦那様! ○○様がお越しになりました!」と声をかける下っ端くんとして登場。又五郎を追って4人で旅を続ける途中も、店の主人に聞き込む(ウソをつかれてるのに正直に信じる)・宴会に興じる又五郎一行の様子を探る・橋の上で見張るなど、旦那(=アラカン)様の完全なるパシリ仕様で、「ハイッ!」と軽やかに返事をしてタタタと駆け出す姿だけがやけに印象深かった。

実はこの映画の撮影が結婚式/新婚旅行とかぶっており、本人は奥様よりアラカンさんを選びそうな勢いだったようだが、撮影所のほうで調整してくれて事なきを得たらしいので(「奥さんこんにちは」参照)、ひとりだけ偵察その他で姿が見えないシーンが増えたのかもしれない。

しかしそのせいで、鍵屋の辻の茶屋(のちの『数馬茶屋』←今でもある)に着くなり「そこの先の長田橋で(見張っておれ)、いいな」とアラカンさんに命じられまたしてもタタタと走っていったのはいいが、味方の3人の末期の酒盛りに混ぜてもらえず、又五郎が来たのを大急ぎで知らせに戻ったらすぐさま「行け!」と追い出されるという、ちょっと可哀相な扱いも見られた。しかも戦闘になるとあっという間に怪我して戦線離脱。二刀流でばっさばっさ斬りまくる(@江戸の牙)のはあと22年も先のことだから仕方が無い。

*武右衛門は死亡したが、孫右衛門くんは生き残り70余歳まで長生きした模様( 青空文庫「鍵屋の辻」直木三十五より)

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=79 |
| 映画::新東宝 | 10:28 PM | comments (x) | trackback (x) |
『婦系図より 湯島に散る花』
『婦系図より 湯島に散る花』(1959年・S34)

1959年といえば、『女吸血鬼』『東海道四谷怪談』の二大怪作で怪演したほか、丹波さんに縛られたり(『無警察』)インド人に苦労したり(『静かなり暁の戦場』)しながらも主役に返り咲き、そのままトップ・スタアの仲間入りを果たした記念すべき年である。その年の締めくくりに回ってきたのが、天下の二枚目の役というわけだ。

幼くして両親と死別、大学教授の酒井先生(佐々木孝丸)宅で育てられ彼の右腕となった業界の光源氏こと早瀬主税(天知茂)は、就職祝いに設けられた宴の席で芸者の蔦吉(本名=お蔦:高倉みゆき)と出会う。お猪口一杯で酔いが回った可憐な早瀬をお蔦は酒井先生公認で朝まで介抱し、そのまま二人は同棲する間柄に。芸者を辞めて甲斐甲斐しく尽くすお蔦だったが、娘の妙子(北沢典子)を自分の嫁にと考えている恩人の酒井夫妻(しかも夫人は病身)に対して、早瀬はなかなか話を切り出せないでいた。

ある日、彼らの関係がひょんなことから(妙ちゃんを狙う直助チックな悪党=河野を演じる江見俊太郎の奸計により)新聞沙汰になり、そこまで深入りしていたとは知らなかった酒井先生が大激怒。ワシのため、そして夫人のためにもお蔦とは別れてくれと迫る先生を前にして、愛する者よりも恩人との歳月の長さを重んじてしまった早瀬は、湯島天神の境内で泣く泣くお蔦に別れを切り出し、独り九州へと旅立つことに。

数ヶ月後。世界史の翻訳を無事終え名を挙げた早瀬氏上京予定か、と書かれた新聞を見たお蔦は駅へ駆けつけるが、待てど暮らせど早瀬の姿は見えず(ガセだった模様)、とうとう高熱を発して病の床についてしまう。偶然立ち寄った妙子は瀕死のお蔦の様子に心を痛め、早瀬との仲を許すよう父を説得。だが、駆けつけた父娘の前で、先生に早瀬の姿をみながらお蔦は息を引き取った。

一方、花畑でお蔦と祝言をあげている最中にお蔦が消えてしまう、という不吉な夢をみて胸騒ぎに襲われていた九州の早瀬は、ほどなく受け取った酒井からの電報に打ちのめされ(画面がぐるぐる回ったりびよ〜んと伸縮したりして彼の衝撃度をビジュアル化)、お蔦への真実の愛を貫かんと、風吹きすさぶ断崖から身を投じるのだった。

*カメラワーク(ツーショットだと大抵早瀬がうなじ側)といい小道具(ピンクのひらひら枕がやけに強烈)といい、お蔦=高倉みゆきさんをいかに綺麗に撮るかにウエイトが置かれていた感のある作品とはいえ、早瀬=天っちゃんもなかなかの二枚目ぶりを発揮していた。だが優男であろうとするあまりか、特に湯島天神のくだりなどお蔦がらみのシーンでの台詞回しが普段以上に軽く(可憐に?)なっていたのがイタかった。ラスト、飛び込む時の独白なんかすごくうまいのに、メロドラマなシーンはどうにも人を赤面させる天っちゃんだ。

*お蔦の後輩芸者役で三原葉子ねえさん。着物でもボリュームたっぷりだ。脱がないが。

*リピートしてみたらラストの独白もやっぱり恥ずかしかった。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=78 |
| 映画::新東宝 | 10:27 PM | comments (x) | trackback (x) |
『軍神山本元帥と連合艦隊』
『軍神山本元帥と連合艦隊』(1956年・S31)

国を愛し人を愛し、そして平和を愛しながらも悲劇へと突き進まざるを得なかった連合艦隊司令長官・山本五十六(佐分利信)の業績を、彼の内面にスポットを当てながら描いたセミ・ドキュメンタリー。セットは多少しょぼくても、これでもかと挿入されるリアル映像の迫力と、実際に戦争経験してます世代のキャストたちの演技は、今の時代には到底出せない重さを感じさせてくれる。

まだ第二次大戦前、ロンドンへ軍縮交渉に向かう五十六長官と青年将校・三島(宇津井健)を、大勢の人々が見送った。その中に紛れている着物姿の怪しい二人組。大柄なのは右翼・東亜会の会頭・黒川(丹波哲郎)、「強硬交渉を頼むー!」と声を張り上げている小粒なほう大石(天知茂)だ。どうやら彼らは迷惑な人々らしく、「沢山見送ってくれましたねえ」といつもバカがつくほど朴訥な青年・宇津井=三島将校の感想に対し、「あんなのが憂国の士では、日本も危険千万な話だ」と五十六長官はばっさり斬り捨てていた。

まさかこれで出番が終りなのか?と危惧したものの、その困ったちゃんズは物騒な手下を2人追加して、帰国した五十六長官の家に押しかけてきた。若いときから尊大な丹波さん(黒川)が偉そうな口調で長官に詰め寄る隣で「この国家の難局に、あんたのような腑抜けに政治を任しておくことは出来ん!」と虎(=丹波)の威を借る背広姿の大石くんだったが、もちろん五十六長官が黙っているわけはなく、「国賊とは貴様らのような奴らのことを言うのだ!」と一括され、眉根にぴしぃっと横ジワが。ドスを抜く手下の横で指をぽきぽきっと鳴らすフリ(?)をするも、見た目が見た目だけにただ揉み手しているだけにしか見えないあたり(写真)に小粒感がただよう、キレやすい大石くん(と兄貴分の黒川さん)の出番はこれにて終了。

*高島忠夫氏や宇津井健氏が青年将校としてそれなりに活躍の場を与えられている戦争映画の中で、ある意味で目立つ(というか浮いている)ヒールの役割をあてがわれた実悪&色悪コンビ(by 鹿島茂「甦る昭和脇役名画館」)。昔からちっとも変わっていない丹波さんはともかく、25歳の天っちゃんは真剣そのものなんだけどまだどこか不安定な感じがつきまとっていて、役が付き難かったのがなんとなく頷けた。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=76 |
| 映画::新東宝 | 10:23 PM | comments (x) | trackback (x) |
『空飛ぶ円盤 恐怖の襲撃』
『空飛ぶ円盤 恐怖の襲撃』(1956年・S31)

(2007.02.01)
準備稿(「宇宙の十字架」)・決定稿(「地球は狙われている」)の他、詳細な解説が掲載されている資料集(猫山れーめさん編)をこちらで入手。

「ニヒル 天知茂」に載っているスチールが面妖な出で立ちにも関わらずやたらと男前だった大杉(天知茂)は、空飛ぶ円盤をやっつける唯一のロケット=R1号を開発した保科博士の助手。準備稿の段階では、ヒロイン(江畑絢子)の父でもある保科博士が最後まで主導権を握っていて、大杉助手は合いの手すら入れさせてもらっていないのだが、決定稿になると、博士はロケットに乗り込む前に怪しげなロボットにやられてしまい、大杉クンが涙ながらにロケットを発進させ、円盤を追うというおいしい展開になっていた。しかも、逃げる円盤をはやく撃っちゃえと示唆する能天気な主人公(高島忠夫)を、この距離で撃ったら地球が消滅するからまだダメですと止める(で、ギリギリの距離まで進めて見事打ち落とす)、人類の平和を守る心正しき科学者然とした人物だった。宇宙で仕切る天っちゃん、いつかぜひ映像を見てみたいものである。

*(2010.2.17追記)16mmフィルムが発見された模様。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=117 |
| 映画::新東宝 | 11:01 PM | comments (x) | trackback (x) |
『皇室と戦争とわが民族』
『皇室と戦争とわが民族』(1960年・S35)

突如飛来した銀色の怪鳥ロプロス(違)のお蔭で地方の豪族に勝利を収め、若くきれいなお后(三ツ矢歌子)と橿原の山中にいた神武天皇(嵐寛寿郎)があっと云う間に東條英機になっているような(そのWキャストはどうなのかアラカンさん)忙しい展開の天皇陛下バンザイ準ドキュメンタリー映画。

いかに陛下が第二次大戦を回避しようとされたか、また戦争を早く終結させようと尽力なさったかというストーリーが延々と続き、とうとう玉音放送を吹き込む段になったとき、それを阻止せんと近衛師団の青年将校たちが反旗を翻した。師団長(明智十三郎)に熱く迫る畑中少佐(宇津井健)の横にいたのが椎崎少佐(といっても役名はまるで出てこない天知茂)。やがて航空隊の上原大尉(菅原文太)も畑中の誘いに応じて押しかけてきた。叫ぶ宇津井氏、がなる文太の熱血テンションと比べるとかなり低音&低温そうな(そもそも台詞があまり無い)天っちゃんだが、畑中に目配せされるや否や真っ先に刀剣を抜いてズバーッと反対者を斬って捨て、宇津井氏に撃たれて果てた師団長の印鑑を勝手にニセ命令書にポンと押す文字通りの実行犯

だが彼らの反乱は、軍司令官(沼田曜一)によってあっけなく鎮圧された。「お前たちの考えはよおく分かる」と言われて慟哭する3人。頬を涙で濡らしながら唇を噛み締め俯き加減に肩を震わせる天っちゃん、という滅多に見られない姿が拝めるのが貴重。

早まるな、俺と一緒に来い四郎(とは云ってません←そりゃ「地獄」)と沼田さんに諭されたにも関わらず、畑中と椎崎は部下と共に死出の旅路へ。「天皇陛下、バンザーイ!」部下達の叫びと銃声が聞えたのちに周囲に響き渡る2発の銃声。カメラが戻ると、椎崎は畑中(手前)の側でうつ伏せに倒れ絶命していた。

*この事件(宮城事件)に関しては、67年の映画『日本のいちばん長い日』(ここでの椎崎役は中丸忠雄さん)が詳しいようだ。しかし史実によれば椎崎は少佐ではなく中佐。あれで宇津井氏よりワンランク上という設定だったのか?(とてもそうは見えないので同じ「少佐」にしたのだろうか)

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=75 |
| 映画::新東宝 | 10:21 PM | comments (x) | trackback (x) |
『一寸法師』
『一寸法師』(1955年・S30)

江戸川乱歩の同名小説をかなり忠実に、たぶん今ならロード・オブ・ザ・リング的マジックで表現するであろう「一寸法師」もリアルに具現化。ただ、探偵は明智小五郎ではなくて旗龍作という名前になっている。

学生時代の恋人を救うために立ち上がった熱血漢・小林(宇津井健)が旗探偵(二本柳寛)を訪れたところ、二人の助手が白衣を着て怪しげな実験中。そのうちのひとり(画像右)・平田が天知茂。セリフや出番はほとんど無いのだが(いってみれば、美女シリーズにおける小林君のような感じ)、尾行や探索をソツなくこなし、助手としての役目はきっちり果たしている真面目な青年だった。「なんだそれだけなのね」感は否めないが(“仕出し屋さん”に戻りかけ?)

*一寸法師を尾行中の平田青年←たぶんこれが最大アップ

*探偵が「旗さん」(←ここの事務所は皆「さん」付けらしい)ではなくて原作通り「明智さん」だったら面白かったのになあ

*この「一寸法師」のネタ(ピアノに人を隠す云々)は美女シリーズでいうと「白い素肌の美女」に入っている

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=74 |
| 映画::新東宝 | 10:19 PM | comments (x) | trackback (x) |
『潜水艦ろ号未だ浮上せず』
『潜水艦ろ号未だ浮上せず』(1954年・S29)

この作品、天知茂の名前はクレジットに出てこない。スターレット同期生の小笠原弘氏が主役級の人物をのほほんと演じている(同じく同期の松本朝夫氏もクレジットされている)中、どういう気持ちで、どんな人物を演じていたのか。そもそも観ていてそれと分かるのか。 不安な気持ちで再生したところ、冒頭、もうすぐ休暇だばんざーい、と、のんびりタバコを吸っている「ろ」号乗組員の中にそれらしい人物を発見(ちょっと大きめの画像を載せてみました)。でも横顔だけなのでなんともいえないなあ、それに暗い潜水艦の中で探すの大変だなあ、と思っているうちに上陸休暇。主役レベルだけの話に替わってしまった。艦長(藤田進)と家族の束の間の団欒、カタブツの永田(小笠原弘)と料亭を手伝う幸子(美雪節子)との淡い恋・・・正直どうでも良いのだが、必要以上にほんわかスローテンポなのでまったりする。当時はこういうのんびり(悪くいえば間延びした)演技がウケていたんだろうか。

さて「ろ」号は英気を養ったあと、島で援軍を待つ同胞に物資を届けるために出航。そのころかの激戦地では、水も食料もなく兵隊たちが瀕死の状態で塹壕に伏していた。こういうところに転がっていたらさぞ似あうだろうと思っていたら、いた(さっきのはあまり自信がないが、今度はアップになるから間違いない)。地面で何かを発見したようだ。虫か。 じっと見つめる。いやそれ虫だってば。口元へ持っていって・・・ええっ、食べちゃうの? 旨いのか? ・・・不味かったらしい(当たり前だ)。しかし隣りの人などはヘルメットとスイカを間違えたあげく、遠くの木に生ったパパイヤを採りにいって撃たれて死んでいたので、虫で助かったというべきか。

「ろ」号が彼らに無事物資と弾薬を届けたあたりからやたらと忙しくなり、のんびり平泳ぎしている人(中山昭二)は置いてけぼりをくらって戦死、知らない間に日本に帰っていたかと思うとまた出撃したり、どこかでテープが途切れてるんじゃないかと思うくらいスピーディーかつシリアスに話が展開していった。最後まで頑張った「ろ」号と乗組員に敬礼。

*文字通り息詰まるクライマックスでは姿が見えなかったので、最初のタバコの人物はやはり違うのかもしれない。

*セリフは一言も無かった天っちゃんだが、それがかえって虫の息な様子(また虫か)を表現していてリアルだった。はっきりいって演技は巧いし何か違うオーラが出ているような気がするんだけどなあ。

*当然「ろ」号メインの話とはいえ、救援物資を受けた上陸班はあれからどうなったのか気になるところだ(天っちゃん生きのびてるのか?)

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=73 |
| 映画::新東宝 | 10:16 PM | comments (x) | trackback (x) |
『憲兵とバラバラ死美人』
『憲兵とバラバラ死美人』(1957年・S32)

暗い夜道を歩く男女。後ろ向きの憲兵服の男に結婚を迫る女。彼女を捨てて金持ちの娘と一緒になりたい男は、草むらでの愛撫の後、彼女の首に手をかけて・・・。

冒頭のシーンからしばらく経ったある日。憲兵隊舎の井戸から異臭がして、妊娠している女の胴体が発見された。

残りの部分はどこに? 彼女は誰なのか? そして犯人は?

思うように捜査が進まない中、東京から応援として小坂曹長(中山昭二)が派遣されてきた。それが面白くない地元の憲兵曹長・萩山(細川俊夫)は独自の聞き込みから、事件当夜、井戸の近くでこっそり荷物を運んでいる姿を目撃されていた恒吉軍曹(帽子を脱ぐと兵隊ヅラが不自然:天知茂)が犯人ではと目星をつけ、女遊びの激しい彼(『なにしろ男前でありましたから、女にモテたのであります』下士官談)が馴染みの女を殺したのだと決め付けた。また時を同じくして、恒吉と深い仲だった芸者が謎の失踪を遂げていたこともあり、萩山は否定する恒吉を拷問にかける。

一方、恒吉は物資の横流しをしていた小悪党にすぎないとみた小坂は地元警察との連携を図り、一歩一歩真相に近づいていくのだった・・・。

ヒントが順々に示されていく、非常に丁寧な作りのサスペンス映画。ただアマチスト(造語)には冒頭の後姿が別人だとすぐ分かってしまい、いかにも悪人面で怪しい挙動の天っちゃんを配してミスディレクションを狙った(と思われる)製作サイドの思惑通りとはいかなかったようだ。しかし捜査と小坂の言動が実にスローテンポなので、早くしないと恒吉軍曹、拷問で死んじゃうんじゃないか?と別のところでハラハラした。生死が重要ポイントの馴染みの芸者・文子さんってば、痴話喧嘩しただけで北海道まで旅に出たせいでなかなか帰ってこないし。

*テーブルにうつ伏せ、はたまた逆さ吊りにされてムチでビシバシしばかれ、水をぶっかけられ・・・と散々な目にしか逢っていない天っちゃんだが、いつもながら一生懸命。原作名は「のたうつ憲兵 : 首なし胴体捜査68日」(ちなみに原作者は「小坂慶助」氏。←「憲助」にあらず)。文字通り(拷問で)のたうってるのは恒吉軍曹(=天っちゃん)しかいなかったので、もしや原作では彼が主役なのかと思ったりもして(国会図書館にしかないようだが、読んでみたい)。

*(2007.3.12)国会図書館で読んでみた<原作
「です・ます」調で書かれている上に会話が多いせいか、えらくのんびりした胴体発見シーンや小坂憲兵と周囲の人々の交流など、映画のスローペースとマッチしていて意外にもほのぼのと読みやすかった。ちゃんと亡霊が首のありかを教えてくれるシーンまであるし、あれでもあの映画は原作を重視した丁寧なつくりだったのかと感心。

さて肝心の恒吉軍曹(=天っちゃんが演じた容疑者第一号)は、田舎にいたときから軟派の不良青年だっただの、日活の沢田清に似て女にモテモテだの(さすがに沢田氏がどんな顔なのかは判らないが)、なにやら胡散臭い人物に描かれていて、馴染みの女が行方不明なあたりもイイ感じ(?)に怪しいのだが、なんと彼は事件直後に満州へ出兵してしまっており、そのうち小坂憲兵がガイシャの身元を洗い出しちゃうこともあって、あっというまに容疑が晴れることが判明した。例のビシバシの拷問シーンは映画ならではで、要するに名前(と悪評)だけで出てもこない人物なのだ。膨らませまくっているじゃないか。

もっとも、原作を改変してくれたおかげで天っちゃんに陽の目(・・・か?)が当ったともいえるので、ここはひとつ映画スタッフに感謝すべきかもしれない。

*捜査が進まずに「のたうつ(小坂)憲兵」という意味合いのタイトルだったらしい。
「私はこの主役をやりたい」というサブタイトルの序文を池部良さんが書いている(昭和32年3月15日付)
*かなり状態が悪いらしく、目の前で「禁複写」シールが貼られて手渡された。(よって国会図書館ではコピーはできませんのでお気をつけください)

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=72 |
| 映画::新東宝 | 10:13 PM | comments (x) | trackback (x) |
PAGE TOP ↑