2009,11,27, Friday
「ああ無情!運命峠」(1979年・S54・7月17日OA)
名古屋へ向かう松屋(金田龍之介)とお千代(大谷直子)に付かず離れず同行している雲霧一党が島田宿に差し掛かると、因果小僧六之助(江藤潤)の人相書きが出回っていた。おまけに折りからの雨で川止めとなり、雲霧仁左衛門(天知茂)は、旅籠に泊まらぬよう仲間たちに通達する(自分が誰よりも怪しげな虚無僧スタイルだったからかどうかは不明)。そんな中、“雲霧”を名乗る強盗が宿場に現れたという噂を耳にして眉間を険しくしたお頭は、ワシにも血が騒ぐときがある、と自ら率先してニセ者探索に動き出した。 一方、雨で熱を出したおみつ(池上季実子)は寺子屋の先生・沢田喜兵衛(安井昌二)に介抱されて彼の家にいたのだが、怪しげな賊が沢田を付け狙い始めた。どうやら彼は、賊のひとりの兄の仇らしい。旅芸人を名乗るおみつから“道中世話になった梵論師(ぼろんじ)さん”だと紹介されて沢田の危機を救ったお頭は、その賊こそが雲霧を騙る偽者たちだと知るや否や、4人をばっさり斬って捨てる。 雨は止んだ。ところが、ニセ雲霧を切ったのは誰なのかが不審だと言い出した役人のせいで川止めは解除されない。その上、六之助が隠れていた家の母子はかつて火盗改めの高瀬俵太郎(三浦洋一)の父に世話になったことがあるという因果な事実が判明、六之助を発見した息子は江戸へ馬をかっとばし、高瀬を呼び寄せようとしていた。 密かに舟を用意し、脱出を図ろうとする雲霧一党。だが、おみつに死んだ娘の面影をみた沢田は彼女に留まってほしいと懇願、妻を凌辱された彼の不幸な身の上にシンパシーを抱いたらしい梵論師さん(=お頭)は、ここで沢田殿と一緒に暮らすが良かろう、とおみつに命じる。おみつに相談されたお千代が松屋の目を盗んで「ワタシだってあの娘を育ててきたんです!」と談判にくるが、おみつの本当の幸せを想うお頭の決断は覆らない。 しかし出発の朝、舟の隠し場所には既におみつがいた。お頭の言いつけに背いてでも一緒に行きたい、そう訴える彼女に、親の心、子知らずだなと言いながらも涙目になるお頭。かくして雲霧一党は、からくも逃げてきた六之助も合流して、名古屋へと向かうのだった。 *エリちゃんやっぱり社長さんが忘れられないのね!(ってそれは「野望」)なオリジナル展開の第3話。「普化僧というものは、何人の前でも天蓋をとらず、たとえ親兄弟に行きあおうとも挨拶せず、俗にある時は名を名乗らず…」とか言いつつ露出が多かったお頭、松屋さんともじっくり顔見せ完了。“繋ぎ”の際の読唇術めいた会話法が盗賊っぽかった。しかし正直、六之助をなんとかしたほうがいいと思いますお頭。 *「合計13回の放送で、人を殺すのは4回、それもよくよくのことでしかたなくです」(殺陣師・安川勝人さん:番組徹底ガイドより)とのことだが、今回のアレですでに殺生が2回。ペース速いですお頭。 *はじめて次回予告が。「お千代づくし」(=お千代さんの見どころいっぱい)なのかと思っていたら「お千代色くづし」だったのか…。
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2009,11,20, Friday
「牢に火を放て!」(1979年・S54・7月10日OA)
公家の若後家に身をやつして佐原屋(=雲霧アジトのひとつ)を出る七化けのお千代(大谷直子)。江戸に来ている尾張名古屋の呉服問屋・松屋善兵衛(金田龍之介)を籠絡することが彼女の今回の務めである。松屋襲撃を最後に仲間を引退させ、いつかは京都でひっそりと暮らしたい、わしの死に水をとってくれるのはお前だと思っている――愛しのお頭・雲霧仁左衛門(天知茂)の言葉を噛みしめ任務達成を誓うお千代だったが、彼女と六之助(江藤潤)の舟を追う者がいた。火盗改めの密偵・鹿伏の留次郎(市村昌治)だ。 片腕かつ労咳病みの駒寺の利吉(武田洋和)が偶然六之助を目撃、かつて雲霧一党にいた留次郎にネタを売ったのだ。留次郎を見つけた六之助は「お頭の恩を忘れやがって!」と怒り心頭、殺しはご法度だと分かっていながら匕首でぶっすりやってしまう。事件を聞いた小頭・吉五郎(財津一郎)は急ぎ仲間を分散させ、(500万かかったらしいセットの)佐原屋を炎上させた。 責任を感じた六之助は、他に自分たちの正体を知っているものがいないか探ろうと単身で火盗改めに乗り込まんとするが、先回りしていたお頭に「命は粗末にするな」と諭される。お頭は火盗改め側の情報を知るための格好の人物を既にチョイスしていたのだ。その人物とは、やり手の山田藤兵衛(高松英郎)と比べて安部式部(田村高広)の覚えがめでたくない上、借金苦の飯屋の女と良い仲になっている与力の岡田甚之助(穂積隆信)。おみつ(池上季実子)&熊五郎(谷隼人)に法外の大金を手渡され少しは抵抗した岡田だが、俺を選ぶとは雲霧はさすがだと半ば自棄のように笑い、利吉の名前を明かす。 ところが利吉は実家で労咳に倒れ、息を引き取っていた。先に居場所を突き止めた火盗改め側は、利吉と老母の身代わりを立て、雲霧一味の到着を待つ。現れたのは小頭、治平(近藤準)と六之助。小頭は常人離れしたパワーで治平を連れて逃げ切ったが、六之助は捕えられ、火盗改めの執拗な拷問に晒された。 六は死んだ者として精霊流しを始める小頭、なんで助けに行ってやらないんだよ!と息巻く女たちを他所に、じっと火盗改め方の見取り図を見つめるお頭。やがて彼は、役宅へ戻る途中の岡田の前に黒頭巾(鞍馬天狗風)で姿を見せる。「牢屋台所に油を流し火を放つ。時刻は八ツ半きっかりだ」もう後戻りは出来ぬ――有無を言わせぬ口調と無造作に置かれた小判に、岡田は従うしか無かった。 そして深夜にあがる火の手。焦る山田たちの元へ、隣家の旗本・上村左京(字は当て字:もちろんお頭)と名乗る火消し装束の侍と家来たちが駆け付けた。手伝いと称して牢屋を破壊し、六之助を助け出した後、“左京”は安部式部へ「火の元にはくれぐれもご用心」と伝言を残し、天知キャラ五指に入る高笑いを放つのだった。 (その後、松屋と共に名古屋入りするお千代、その後をそれぞれの扮装でついてゆく雲霧一党と虚無僧姿のお頭でおしまい) *“五指に入る”としたが、高笑いする天っちゃんキャラは数えると文字どおり片手で足りそうだ。明智センセイと、氏家@「野望」と、新さん@「闇を斬れ」と…あと、別格だが深沢兄@『勝利者の復讐』とか? *「雲霧仁左衛門の顔をみたものは、誰もいなかった…」(OPより)ということなのに、山田さんや岡田さんはじめみんなに顔バレバレだったお頭、この先大丈夫なのか。 *本筋とは関係ないところで怖いくらい熱演だった利吉の老母。演ずる津路清子さんというと『地獄』で天っちゃんの首を(死んでも)締めてたあの母ちゃん。なんだか納得だ。
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2009,11,12, Thursday
「初夜に賭ける凄い奴ら」(1979年・S54・7月3日OA)
今夜は呉服問屋・武蔵屋の祝言。親代わりの近江屋(財津一郎)に連れられて楚々と輿入れしたお千代(大谷直子)は、新郎はじめ家人が不自然な寝息を立て始めたときに本性を現した。彼女、そして半年前から女中働きしていたおみつ(池上季実子)らの手引きで入って来る黒装束の面々。ひときわ目を引く衣装(と面相)の男が指示を出す。「たとえどのような事があろうと、決して人を傷つけてはならぬ…」彼こそが天下の大盗賊・雲霧仁左衛門(天知茂)その人であった。 ケチで有名な呉服屋からまんまと大金をせしめた雲霧一党。「七化け(ななばけ)」の異名をとるお千代姐さんは、久々にお頭の隠れ家に呼ばれた。各地に散らばった仲間に行き渡る金を手に入れたら、お前と二人でひっそりと暮らそう――お頭のメロドラマな台詞に少女のように恥じらうお千代姐さん。隠れ家に同行した、密かに彼女に惚れている因果小僧六之助(江藤潤)は心中複雑だ。 次のターゲットを悪徳医者の竹村玄洞と定めたお頭は、まず富の市(荒井注)を送り込む。しかし、かつて雲霧一党にいたが人を殺めて破門された草間の勘蔵(堀口真三)もまた玄洞宅を狙って下工作を始めていた。そんな勘蔵を雲霧一味ではないかと睨んで接近したのが、火盗改めの密偵・お京(宮下順子)。火盗改め方新任長官・安部式部(田村高廣)のやり手ぶりを刀売りに扮して偵察したお頭は、小頭の吉五郎(財津)と二人で玄洞宅を見張ることに。 勘蔵の性分から決行の日が近いと踏んだお頭の読み通り、その夜勘蔵一味が玄洞宅へ押し入った。ところが中はお京が呼び寄せておいた役人でいっぱい。どさくさに紛れて逃げようとした勘蔵の前に姿を現したお頭は、畜生働きをした上に刃を向けてきた彼を一刀の下に切り捨てると、州走りの熊五郎(谷隼人)に命じ、玄洞が肌身離さず持ち歩く金蔵の鍵の型を取らせた。 勘蔵たちが全員捕縛された翌日。雲霧一党がいつものように無殺生のまま、完成した合鍵で金蔵をごっそり空にしたとの知らせをうけた安部式部は、憎き男の名を呟くのだった。「雲霧…仁左衛門…!」(そして普通に嬉しそうにデカイ魚を釣り上げて笑ってるお頭でエンド) *雲霧第1話。時代を(というより軽く美女シリーズを)感じさせるヤンヤンみょんみょんいってるライトなテーマ曲&BGM、そこまでせんでも顔で十分目立ってますよなお頭の一人色違い盗賊衣装などなど、「ドラマはフィクションで夢や娯楽を売るもの」という天っちゃんの基本姿勢が垣間見られるサービス精神旺盛な雰囲気が漂っていた。もうちょっとシリアスでもいいとは思うんだが、時代が時代なんだろう。 *たしかに話を詰め込み過ぎているので(とはいえ武蔵屋襲撃だけだとお頭の出番がショートだから仕方ないのか)、登場人物の描写などは物足りない。…っていうか、もう出てくるのか富の市。 *「宮川一郎の仕事―自選シナリオ集」に収録されているシナリオと比べると、お頭が自発的に勘蔵を斬る件(原作もそう)が変更されているのが興味深かった。あと、目を血走らせた火盗の面々とすれ違う深編傘のお頭、という渋いシーンでラストだったのが、呑気な釣りシーンになっているのは、お頭の余裕シャクシャクぶりを表すのにはこっちがいいのと判断だろうか。 *それにしても、エンディングにはオレの唄、とかいうサービス精神はなかったのか天っちゃん。…あったらあったで微妙かもしれないが(暴言) *そういえばQueenのPV「Sheer Heart Attack」(Queen Rocks収録)で使われていた「雲霧…」アイキャッチ、まさにこの作品のものだとようやく判明(たぶんお千代姐さんの目だったと思う)。アイキャッチが文字通りアイキャッチ(=目のアップ)になっているあたりが面白い。
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2009,11,05, Thursday
(1979年7月3日付読売新聞より引用)
試写室 *朝日新聞以上に辛口な初回レビュー。しかし“小市民”的メロドラマな部分も、悪を倒そうという話が全然出てこないのも、すべて原作通りなんだから仕方ないじゃないかあ(この筆者、原作読んでないのか?)…まあ、とりあえず雲霧のお頭、これだけシビアな批評でも「外見だけはかっこいい」ことは認められているようなので良しとしよう。
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2009,10,24, Saturday
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2009,10,20, Tuesday
(1979年・S54年7月3日付朝日新聞より引用)
試写室 *お頭とお千代姐さん(大谷直子)がいちゃついてる写真つき。 *初回放映時の記事。ライターさんは(というより1979年当時の風潮がまだ)映画≫テレビという図式なのか、少々辛口な書き方ではある。雲霧のお頭が盗みを働くのは子分達の老後のためなのは確かだが、彼自身には大事な目的があるはずでは…と思ったりするのだが、そういう部分が不鮮明な初回なのかもしれない。…しかし少しくらい天っちゃんの演技がどうとか書いてほしかったなあ。そのあたり、未消化な部分も残った。←真似
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2009,10,11, Sunday
週刊平凡(1979年・S54年8月2日号)より記事引用
雲霧仁左衛門 番組徹底ガイド *詳細な(写真もかなり付いている)番組ガイド。殺陣の違いなども分かって興味深い。しかし注さん、よりによってヅラ話ですか。
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2009,10,05, Monday
(読売新聞1979年7月1日付記事より引用)
今週のタレント 天知茂(刀を構えている盗賊姿の写真付き) *「雲霧仁左衛門」放送前のインタビュー記事。時代劇とはどうあるべきか、彼流の考えが分かる。「雲霧…」は現時点では未見なので分からないが、ものすごくシリアスなのにどこか非現実的な雰囲気が感じられる出演作が多いのは、このあたりが根本にあるのかもしれない(汚れた天っちゃん、なんて見たことないもんなあ)
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2007,05,20, Sunday
洋楽バンド・クイーンの初期の曲「Sheer Heart Attack」のPV(「Queen Rocks」収録)に、来日した際にスタッフ(かメンバー)が日本のTVから録画した映像が挿入されているのだが、そこに天知版の「雲霧…」らしきアイキャッチが紛れ込んでいる。
YouTubeに映像があったので、興味がおありの方はどうぞ(1:09あたりと、ラストにほんの少し): http://www.youtube.com/watch?v=oXc_z5x5oQY *この映像自体は90年代に、来日時に録画した映像の切り貼りで作られたもの。クイーンの来日は1985年が最後なので、時期的に山崎版ではありえない・・・が、もしかしたら映画版(をTV放映したときのもの)かも? *ちなみに別番組っぽいが、他の映像のちょんまげ姿の伊吹吾郎さんはくっきり分かる *どうでもいいが、バンド内で個人的イチオシのベーシストの画面に映る時間が「雲霧」アイキャッチ並みなのがちと寂しいPVではある (2009.11.13追記)やっぱり天知版「雲霧…」のアイキャッチだった(初回レビュー参照)
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