2007,01,09, Tuesday
「撃滅 爆破計画!」(1979年・S54・11月6日OA)
カムバックを狙う元大目付・蛯名(今週のラスボス:田中明夫)は、江戸市中を火の海にして現職を失墜させんと悪巧み中。護送中の囚人=腕きき花火職人の佐之吉(寺田農)をカミソリ与力の坂田(睦五郎)に命じて拉致、からくり仕掛けの爆破装置を作らせて江戸中にばら撒こうというのだ(ちなみに拉致実行犯は黒部進&中田博久。蛯名サマは特撮な人々を手下にするのがお好きらしい) 川に浮かんだ佐之吉の死体がニセモノだと見破った半さん(坂上二郎)の報告により、本所方の面々は総出で捜査にあたる。佐之吉のイイ女・おみね(真木洋子)をマーク中、最初からどうも暴走気味だった新米同心・サブ(古田正志)が敵サイドに掴まり小屋に監禁されるが、実は新米思いの伝さん(若林豪)に助けられ難を逃れた。しかし佐之吉&おみねのカップルには(この番組の常として)助けは間に合わず、爆破装置を仕掛けた場所を言う前に佐之吉は死んでしまった。 人出の多い神社の境内でカミソリ与力・坂田を裏手に誘い、いきなり腹に刀を突き刺し爆弾の場所を聞き出そうとした元祖カミソリ与力の剣さん(天知茂)だが、自分の置かれた状況(=刺されて瀕死)が今ひとつ理解できていない坂田は俺の出世がどうのこうのと呟いただけで絶命。かくして装置探しに奔走する羽目になり、ぎりぎりのタイミングで最後のひとつを川に投げ込んだ江戸の牙たちは、その足でラスボスの屋敷へと乗り込むのだった。 *白昼の縁日、寺の境内に仕掛けられた爆弾をメンバー全員で捜索するスリリングな展開。ただ日が高いうちから出陣ってのは、バレバレじゃないのか?(それは言っちゃいかんお約束) あと、モロ肌脱いで庭で居合い斬り中の剣さん(天知茂)、最初っから切れ目が入っていたような・・・?(それも言っちゃいかんお約束)。 *バレバレといえば本所方の新米同心たち。一緒に暮らしていながら(しかも今回は捜査に駆り出されまくりなのに)“江戸の牙”の正体にまるで気づかないあたりのお約束ぶりには涙が出る。
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2007,01,09, Tuesday
「陰謀 地獄の盛り場」(1979年・S54・11月13日OA)
盛り場が些細な言いがかりをつけられ閉鎖される、というケースが続いていることに不審を抱いた剣さん(天知茂)。そろそろ変装好きの血が騒いできたらしく、浪人者に扮して聞き込みを開始、女元締め・お菊(三林京子)が取り仕切る聖天横丁が次のターゲットであることを突き止め、潜入する。 その聖天横丁へ、麻次(平泉征)という人殺しが転がり込んできた。下手人を匿っていることがバレれば盛り場は潰される。しかし麻次はお菊の義兄。グレて家を出た彼を死ぬ直前まで心配していた養父を思いお菊は麻次を家に引き入れるが、彼は金を持ち逃げし、途中で何者かに殺された。 実は麻次を横丁へわざと寄こしたのは、寺社奉行の荒木田(江見=直助=俊太郎)とつるんで一連の盛り場跡を高値で売りさばいていた諸口屋(織本順吉)の仕業。盛り場だけでなくお菊さんもゲットしちゃえ、と欲深い諸口屋は、いったんは下手人隠匿の罪で捕らえさせた彼女を自分の口利きで釈放し、囲いモノになることを引き換えに盛り場存続を約束する。 そんな約束ウソに決まっているだろと(実際ウソ八百なのだが)、自らの正体をばらしてお菊を引き止める剣さんだったが、本所方与力という身分はたいして役に立たなかったようで、彼女は単身、諸口屋の待つ料亭へと向かう。しかしあわやというところで諸口屋は床下から突き出された半さん(坂上二郎)の槍で絶命。そのあと寺社奉行宅へと乗り込んだ江戸の牙メンバーは、盛り場の恨み(?)を存分に晴らすのだった。 *お世辞にも似合っているとはいえない浪人鬘で「つるはし・しろべえ」さんに成り切り、盛り場に潜入する剣さん。遊び人のときほどは人格が変わっていなかったが、その代わりかどうか、伝さん(若林豪)がコミカル路線に突き進んでいて割と笑えた。 *ラスボス(江見さん)の「何者だ、斬れ!」が早すぎたせいで「閻魔様のお使えよお!」が言えずに天っちゃん怒り心頭だ(ほんとか)。刀を鞘に収めなかったのは残念。
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2007,01,09, Tuesday
「対決! 黒い稲妻」(1979年・S54・11月20日OA)
嵐の夜。抜け荷の手伝いをした人足たちが次々と凄腕の浪人者に斬られるなか、転げ落ちた荷物(=薬壜)を拾った挙句ラッキーにも逃げ延びたウッカリどころかチャッカリ者の新吉(高橋・八兵衛・元太郎)は、馴染みの女郎・おすみ(小鹿みき)に薬壜を預けた。女遊びのひどい兵さん(藤村俊二)をたしなめようとたまたま遊郭に来ていた半さん(坂上二郎)は、その粉末が猛毒だと見破る。 抜け荷の黒幕は、南町奉行・板倉(森山・コジャック・周一郎)と、彼の権力を傘にきた河内屋(早川雄三)。今回の毒薬は、板倉が寺社奉行を暗殺するために取り寄せさせたものだった。 一方、おきく(村松英子)の小料理屋で昼間からのんびり一杯やっていた剣さん(天知茂)は、逃げる新吉を追う河内屋のゴロツキたちの中に、かつて道場で共に学んだ先輩・沼沢(大木実)の姿を認め声をかけた。だがすさんだ生活に身を置く沼沢(実は先の人足殺しは彼の仕業)は、浪人のオレと役人のオマエでは住む世界が違うと、懐しがる剣さんに冷たい目を向ける。 生き証人の新吉を逃すまいとする河内屋は、長屋の井戸に例の毒薬を流して彼をあぶりだすという無謀かつ大胆な手段に出たが、井戸水を飲んだ長屋の住人を30人殺したにも関わらず、肝心の新吉は伝さん(若林豪)によって本所方に保護された。ところが抜け荷の罪で河内屋をしょっぴいたものの、南町奉行の威光ですぐに解き放ちに。しかも泳がせていた新吉も拉致されてしまい、救出に向かった剣さんは沼沢に「俺を斬れば助けてやる」と決闘を申し込まれる。 10年前はまるで歯が立たず、決闘の少し前に会った時には印籠と袖の裾をばっさりやられて分が悪そうな剣さんだったが、材木置き場で沼沢と刀を交える羽目に。短筒を持った河内屋の手下が現われるというハプニングもあったが、夜毎の鍛錬(?)の差がモノをいったのか、「腕をあげたな、剣……」そう呟いて沼沢は地に伏した。先輩を倒さねばならなかった哀しみを怒りに変え、剣さんはラスボス・板倉の役宅(って、奉行所?)に押し入り、普段以上に猛々しい冥途の使者として地獄送りを決行するのだった(って、奉行所で?)。 *強さ互角の先輩(大木実)と一騎打ち、おまけに影から狙う短筒・・・という絶好の(?)シチュエーション。なのに、勝負があっけないのなんの。強すぎだ剣さん(というより、短筒使いの腕がショボすぎだ。誰にも何にも当たってないじゃないか) *後の重要人物、おきくさんがさりげなく登場。 *道場時代が懐かしくなったのか、はたまた力が有り余っていたのか、剣さんは散歩(=エンディング)の前に新米たち3人を懐手のまま扇一本で仕込んでいた。
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2006,12,27, Wednesday
「悲壮 命買います」(1979年・S54・10月30日OA)
縁日のいざこざを収めた剣(つるぎ)さん(ドブさらい役人とけなされてもなんのその:天知茂)。その帰りふと目にした灯篭群にはずらりと並んだ赤い手形の張り紙。たどった先には古い御堂があり、中には思いつめた表情の娘(光丘真理)が。「お待ちしておりました。お命を、売ってください」冗談はよせと差し出された小判には目もくれず帰ろうとする剣さんに対し、娘はそれなら私の操でと帯を解き床に横たわる。 扉を閉めて近寄った剣さん、やおら娘の着物の裾をめくった! と、すかさず隠し持っていた小刀を繰り出す娘! しかしそれを見越していたかのように剣さんは刀を叩き落し、逃げようとした娘の脚の間にぐさっと突き刺した! ハードボイルド(というよりアダルト)な展開を、まだ男を知らないその身体を大事にしろとかなんとかキザな台詞(見ただけで判るあたりがツワモノだ)で締めくくって去った剣さんだが、娘の方はこれでターゲットを彼一人に絞ったらしく、雨の中を本所方まで追いかけてくる。そこへ股旅姿の男たちが現われ娘を連れ去ろうとしたが、傘をくるくる回しながら剣さんが追い払ったおかげで事なきを得た。 彼女・おようの住む上州松井田宿は目下、博徒のドン・唐五郎(井上昭文)がやりたい放題の有様で、若い衆たちは江戸から助っ人を呼び寄せようとし、彼女がその役目をかってでたのだった。小判も操も貰わずに助っ人を引き受けたフットワークの軽い剣さん一行は、上州松井田宿へと向かう。 到着した剣さん(なぜか一人)を、おようが待っていた。だが彼女は、捕らえられた恋人・真吾(原田大二郎)の命を助ける条件で唐五郎と取引をしていた。例の股旅男たちに襲われる剣さんだが余裕で圧勝、斬り殺したナンバー2の仙次(蟹江敬三)を担いで(お姫様抱っこでは勿論なく、肩にのっけて)唐五郎の元へ向かうと、「こいつが喧嘩状だ。首を洗ってやってきな」と果し合いの時刻・場所を指定して宣戦布告。かくしてだだっぴろいススキ野原で、4対50ほどの真昼の決闘が幕を開けた・・・! *久々に骨のある相手ですなあ(半さん談)ということだったが、単に数が多いだけなので、二刀流を使うまでもなく(しかもラスボスには竹槍で)勝ってしまう無敵の剣さん。今回は殺陣が多くて眼福とはいえ、強すぎますがな。 *ちなみに剣さんを騙してしまったおようちゃんはバチがあたったのか、恋人は唐五郎に消されてしまいましたとさ。 *最後は股旅姿で出陣、白装束に黒の三度笠で立ち回り。他の3人がナマ足披露なのに対し、天っちゃんだけはがっちりガードしてあったので少々残念だ(何が)
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2006,12,24, Sunday
「逆転! 八万両の行方」(1979年・S54・10月23日OA)
勘定奉行の支配下である金座から、八万両もの新造小判が盗まれた。責任を問われた番役人たちが切腹させられる中、杉田平八郎(三ツ木清隆)だけは己の潔白を訴え逃走、八万両の行方を探るべく市中へ潜った。 本所方の紅一点・志乃さん(白都真理)が平八郎の妹・千加(斉藤とも子)と幼馴染のため、幕府の金にはまるで無関心だった江戸の牙たちも乗り出した。真相を探るべく平八郎を執拗に追い詰める火盗改与力・神崎(高城丈二)から彼を匿った剣(つるぎ)精四郎(釣りの成果も上々:天知茂)は、番役人たちが眠り薬を飲まされていたことを知った。 小判運びを手伝った人足たちの謎の死。制止を振り切って再び飛び出す平八郎。八万両はどこに? はたして黒幕は・・・? この話だけはネタをばらすとサスペンス時代劇としての面白さが半減するのでこれ以上は自粛。メンバーそれぞれ(志乃さんまでも)が見せ場をもらって役割を果たしているし、さいとう・たかを氏が描く鬼平みたいな容貌の神崎役の高城さんがすこぶるいい味を出していて見ごたえがあった。 *二刀流は構えたときがカッコいいのだが、やはり一刀の元にずばーっと斬って流れるような動作で鞘に収める姿は実にサマになっている剣さんだった。 *そして例の“すちゃちゃちゃ”納刀、デビュー。
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2006,12,14, Thursday
「阿片!墓標なき男」(1979年・S54・10月16日OA)
巷ではご禁制の阿片が横行していた。茶屋の二階で阿片の密売がなされるという情報で駆けつけた八丁堀の連中が見つけたのは、真っ昼間から芸者の膝枕で耳かきしてもらっている呑気な本所方与力・剣(つるぎ)精四郎(黒扇子でさりげなく顔隠しちゃったりなんかして粋な天知茂)。ガセネタだったのか、と連中は引きあげるが実は芸者・おしんは恋人から阿片を預かっていたのだ!・・・という話はもすこし進んでから判明するわけだが、どうも怪しいと睨んだ剣さんは本所方でも調べを進めようとする。 しかし伝さん(若林豪)が、他のメンバーがいては危険だ、一人で探索に当たらせてほしいと願い出る。彼にはかつて隠密廻り同心だったとき同じような抜け荷事件を担当、情報が漏れていたせいで部下を2人死なせてしまいお役御免になったという過去があったのだ(そして職にあぶれていたときに剣さんに拾われたらしい)。 捜査を進めるうちに、伝さんは元・同僚の原田(藤巻潤)に出くわす。阿片がらみの事件の担当だという原田だが、実は同心を隠れ蓑に黒幕サイドと共謀している張本人が彼だった。不治の病に侵された愛妻の苦痛を和らげるために阿片を調達せねばならなかった原田。果たして伝さんは彼を糾弾できるのか? ・・・という、伝さんメインの回。後の回に出てくる奥さんの悲劇といい、「江戸の牙」レギュラー陣で色々とハードな過去が語られるのは伝さんだけなのだが、普段から情念の塊みたいな顔のひと(=天っちゃん)が側にいるせいか、いまひとつ陰翳がみえてこないあたりがちょっともったいない(しかも回を負うごとにだんだんキャラが軽くなってくるし)。 *ちなみにホームドラマchの番宣で使われているディープなふたりの写真は、釣りにきていた剣さんに「オレひとりに任せてほしい」と伝さんが相談にいったときのもの。はじめて見たときから「うわっ、特濃!」と思っていたが、改めてみてもやはり濃い。 *今回の決め台詞の締めは「江戸の牙、参っ上!(↓)」と下がっていた。こっちのほうがドスきいててナイス。 *まだ例の“すちゃちゃちゃっ!”(=光速で刀を持ち替えて鞘に収める仕草)は登場していないが、今回は仕事が済むと二刀をクロスして一気に鞘に収めるという荒業を披露してくれた剣さん。両方とも鞘に収まったかどうかは(見えてないので)想像にお任せ、ってところか?
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2006,12,08, Friday
「戦慄!蛇目傘の女」(1979年・S54・10月9日OA)
米の値段を不当に釣り上げ私服を肥やしている米問屋たちが、ひとりの女によって順に消されてゆく。手を血で染める蛇目傘の女・おつた(永島暎子)は、かつて彼らの謀略により切腹を余儀なくされた御蔵奉行・青山(小倉一郎)の無念を晴らそうとしていた。 2年前に青山の屋敷でちらっと見かけただけなのに、おつたさんの顔をしっかり覚えていた記憶力抜群の剣(つるぎ)精四郎(2年前は袴姿も麗しい北町の吟味方与力:天知茂)は、米問屋殺しを彼女の仕業と見抜くも、復讐に燃えるおつたさんの熱意にほだされ、黙って見守ることに。・・・したのだが、ちょっとばかり悠長に見守りすぎたせいで、正体に気づいた敵方がおつたさんを拉致してしまった。 ギリギリのタイミングで間に合わなかった剣さん&伝さん(若林豪)は、敵の手にかかり絶命した彼女の最後の願いを叶えるため、半さん(坂上二郎)&兵(ひょう)さん(藤村俊二)と共に江戸の牙として敵地へ乗り込む・・・。 *1話目では途中からだったが、今回は最初から二刀流で気合入れまくりの剣さん。決め台詞も「江戸の牙、参上ォォッ!(↑)」と語尾がやたらと上がっていた(回によってイントネーションが違う) *違うといえば「十万億土の冥途の使者が・・・」の「冥途」という言葉のイントネーションが「明治」のソレとかぶるときがある天っちゃんが気になるのだが、標準語はそうなのか?
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2006,11,27, Monday
「炎上!赤馬を斬れ」(1979年・S54・10月2日OA)
オープニングに映る本物の黒ヒョウより数倍は怖い顔の剣(つるぎ)精四郎(五十路間近のいぶし銀・天知茂)は本所方(ほんじょがた)与力。本所・深川の橋や道路の建設・保護などが仕事らしく、市中の警護を担当する「八丁堀の旦那」連中からみれば、本所方はリストラされた極潰しの行き場所。江戸を襲う謎の放火=赤馬と、裏でがっぽり儲けている連中の関連を調べるも、格下の八丁堀同心や材木問屋から「しゃしゃり出て来るな。どぶさらいが待ってるぜ!」とバカにされる毎日だった。 祖父の代からの主君筋・朝比奈宅で「世の中なっとらん!」とべらんめえ調でぶーたれる感情表現が豊かな剣さんを、朝比奈の娘・雪(竹下景子)は優しい目つきで眺める。「ちっともお変わりにならないのね」ちょっと待てお雪さん、いま瞳にハートが飛んでやしないか?「精四郎さま、まだ、おひとりなのですか・・・?」って、結構なおっさん相手に(暴言)やたらと積極的なお嬢様だ。 と、一転にわかにかき曇る空。暇乞いをして襖を開けた途端、剣さんに白刃が襲いかかる。「お前なんぞに娘はやらーん!」と怒った父親・朝比奈軍兵衛(三船敏郎)だ(注:言ってません怒ってません)。世界のミフネと我らが天っちゃんの息詰まる対決は、互いに喉元に刀を突きつけた時点でおひらき。「ふふふ、さすがに腕は鈍っておらぬようだな」余裕を見せるミフネ氏に対し、こっちは精一杯っすよ、ってな息をほうっと吐く天っちゃん。まあ、製作は三船プロだからしてそれくらいのジェスチャー(?)は必要かと。 幕府の大番頭(おおばんがしら:警護の要職)を勤める軍兵衛もまた江戸の町の腐敗振りを憂えており、話を聞いて「荒療治ができるのはお前しかいない!」と剣さんを本所方を隠れ蓑にした闇の組織のリーダーに据えた。そうこなくっちゃとコワモテのまま微笑む剣さん。 本所方屋敷に戻った剣さんは、早速部下の同心ふたり・半さんこと金丸半兵衛(坂上二郎)&兵(ひょう)さんこと間兵助(藤村俊二)と、居候の伝さんこと大熊伝十郎(若林豪)に事の次第を打ち明け、仲間に誘う。「イヤなら断ったっていいんだぜ」とはいっても、上司からこんな秘密を打ち明けられたら断れないだろう普通。苦しいところを助けられた恩があるという肉体派の伝さんは二つ返事。よく効く目と鼻を貸してくれと乞われた半さんや、渋ってはいたものの火薬の知識が欲しいと乞われた兵さんも承諾。そこへ、父親が世話になった縁で剣さんの身の回りの世話をしているというお志乃さん(白都真理)も現れ、同じく仲間に。 こうしてゴレンジャー、もとい江戸の牙が結成されている一方で岸田森&内田朝雄の悪役コンビによって池波志乃さんや森次晃嗣さんが殺され市毛良枝さんが悲しみ、怒りのパワーが頂点に達した時点でハンドクラッピングと共に黒装束の4人が出動。 いきなり材木問屋連中を屋敷ごと吹き飛ばしたかと思うと、悪人の前でカッコいいタンカを切りつつバッとお経を背負った白装束を露わにし、ひたすら切りまくり殺しまくる4人。屋敷内みな殺しが基本なので、覆面も要らなくて便利。剣さんは重ね着のせいで腰のあたりがモコモコしていて、ゼンマイ仕掛けのちっちゃいお人形みたいだけれど(←ちっちゃいは余計)スピーディーかつ華麗な二刀流を披露。一人だけ淡いブルーリボンで襷がけの伝さんは、薙ぎ倒すというよりどつき倒す豪快な太刀さばき、半さんは槍を繰り出し、兵さんは火薬使ったり小太刀を投げたりとそれぞれがてきぱきと仕事を進めるので痛快だ(最後に残った岸田さんがこれまた実に魅力的に斬られてくれたので余計に)。 朝。何も知らない見習い同心たち(京本政樹ほか)が呆れるなか、本所方でだらだらと過ごす伝さん・半さん・兵さんに、橋を散歩する剣さんの甘くて渋い歌声(「ふたりづれ」)が被っておひらき。テンポの良さがクセになる作品である。
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