夜の主役 #5

#5「あの日は終った」(1968年・S43・8月27日OA)

恩師・伊東の墓参の帰りに伊東母娘と北川(佐藤慶)に出くわした尾形(天知茂)。伊東夫人(三宅邦子)から汚らわしく扱われる元カレ(=尾形)を黙って見送ったしのぶ(北林早苗)は,車中で二人きりとなったときに北川に迫る。「今夜あたしをめちゃめちゃにしてください」(どうしたしのぶさん)。そして彼女はその足で「あたしも今夜汚れました。もう汚れたもの同士ですわ」と尾形の元へ押しかけるのだった(いやもうどうしたしのぶさん)

伊東夫人は,夫が北川の勤める大東産業の株券を3千万円分も持っていたことを不審に思い,謎のペンダントのことを匂わせたりして北川を問い詰めるが,それを煩わしく感じた彼は夫人の毒殺を計画,尾形に罪を着せることを思いつく。新東宝時代を思わせるレインコートにサングラス姿という胡散臭い服装を指定されて誘き出され,まんまと罠にかかった尾形は殺人容疑者として連行された。

尾形は近くにいた訳ありカップル,吉野(山本耕一)と美矢子(岩本多代)の目撃証言を頼みにするが,吉野は沈黙。おまけに大東産業社長の轟(内田朝雄)が美矢子の夫(田口計)を丸め込み,彼女の口を塞ごうとしたが,美也子は反旗を翻した。しかし,彼女の証言も北川が真犯人であるという決定的な証拠にはならなかった。

一方,しのぶは尾形の命を守るため,彼から例のペンダントを盗み出し「あなたとは一緒になれません」と北川の元へ走るのだった。

*今日のしのぶさん:いろいろ大丈夫か

*まさか奥さんまでさくっと殺っちゃうとは思っていなかったが(流石ポーカーフェイス北川),どうやらこの殺しの線で北川の尻尾を掴むという路線に変わるようだ

夜の主役 #4

#4「殺意の背景」(1968年・S43・8月20日OA)

前回のピンチをこともなげに回避した尾形(相変わらずパリパリ弁護士スーツの天知茂)だったが,事務所の後輩に頼んでおいた赤さびの分析結果は何者かに盗まれてしまった。そこへ書類を携えた高山(梅津栄)が。まさか盗ったの鈴木さん(@非ライ)?…と思いきや,こちらはそんなこともあろうかと尾形のために警察から拝借してきたらしい。かくして事件屋・大野木(藤岡琢也)たちの熱心すぎる勧誘活動は功を奏し,尾形は彼らの仲間となった。

尾形の最初の任務は,再びの地下銀行からの集金に怯える安西の上司のため,三億六千万の運び屋になること。死んだ安西(渡辺文雄)と同じ段取りでホテルに向かうと,因縁の香織(應蘭芳)がいた。札束を入れた方ではなく空のロッカーの鍵をわざと彼女に渡すと,これまた因縁のダンプ運転手・西山が現れ,敵のアジトに拉致されてしまう(このあたり,わざとかと思ったら結構真剣に困っていたので,少しばかりウッカリ者である)。

しかし尾行してくれていた高山と大野木の事件屋コンビ(彼らもかなりウッカリ者だが)と,情にほだされてウッカリ西山を射殺してしまった香織(宍戸の実妹)のお蔭で組織は一網打尽,首謀者の宍戸は逮捕された。

一方,安西の双子の弟・小指やらかしの野村(渡辺文雄:二役)は安西夫人(稲垣美穂子)に接近,まんまと兄になりすますことを画策するが,切羽詰まった夫人に毒を飲まされ死亡。安西死亡の原因は,自身の過去の暴露を恐れた夫人が宍戸に頼んだからだと判明し,もう少しで野村の後を追わされるところだった尾形は虚しさを噛み締めた。

恩師と自分を狙った真の首謀者は北川(佐藤慶)しかいないと(消去法により)断定した尾形は彼に会いに行くが,証拠があるなら持ってこいと余裕綽々であしらわれ(また缶ピースを勧められたりして),新たな闘志を燃やすのだった。

*今日のしのぶさん(北林早苗):別荘に誘われたにも関わらず「尾形と一緒になりなさい」とまさかの北川の引きに驚いたのもつかの間,岩場に押し倒される(さすがの北川ラスボス感)

*尾形の札束運びのシーン,もう一人同じようにカバンを運んでいるのは宮口二郎さんだった(クレジットなし)

夜の主役 #3

#3「消えた三億六千万円」(1968年・S43・8月13日OA)

今日も今日とて,事件時のダンプ運転手・西山(現在行方不明)が所属していた白山建設にそれとなく探りを入れている尾形(天知茂)は,裁判をドタキャンしたウワバミ秘書の香織(應蘭芳)が,彼の大学同期の安西(渡辺文雄)らしき人物と会社を訪れたのを目撃した。

安西は会社から「地下銀行」への献金として三億六千万円をキャッシュで運ぶことを命じられ,謎の指示に従いながら任務を遂行していくのだが,なんのデジャブか,同じ顔の人間が同じことを繰り返しているではないか。よくよく見ると,香織と会っていた方は左手の小指をやらかしている。なんと二役でしたか班長(@非ライ)!

微妙な二役具合で視聴者も混乱する中,地下組織に渡るはずだった三億六千万円が忽然と消えた。困った安西は尾形に相談するのだが,地下銀行の存在や,ライバル会社の大東産業(美声ポーカーフェイス・北川(佐藤慶)がいる会社)からの圧力疑惑を聞かされても,弁護士資格をはく奪されている彼にはどうすることもできない。

意気消沈して帰った安西は翌日には死体になって油壷に浮かんだ。遺体のスーツに妙な赤さびが付着していることを不審に思った尾形は事務所の後輩に頼んでさびの分析を依頼するものの,データは何者かに持ちされてしまった。そこへ,夜の主役への勧誘のためそれとなく彼を見張っていた事件屋・大野木(藤岡琢也)の部下,高山(梅津栄)が,警察からガメてきたというデータを持って現れてくれるのだった。

件の赤さびが白山建設の現場にあることを確認した尾形に,ドーベルマンを連れた見張りが接近! どうする尾形!(次回に続く)

*まさかのピンチで続く。安西夫人(稲垣 美穂子)は小指やらかしの方(どうやら安西の弟らしい)とも面識あるし,今後の展開が気になるところだ

*今日のしのぶさん(北林早苗):ママから北川への結婚話の返事を催促されて困り顔

*大野木の部下として,梅津栄登場。鈴木さん(@非ライ)まで!

*北川が尾形に勧めたたばこは缶ピース(ショートピースの缶)。父のお使いでしょっちゅう買いに行かされていたのを懐かしく思い出した

夜の主役 #2

#2「助手席の女」(1968年・S43・8月6日OA)

尾形(天知茂)は怪しいダンプ運転手・西山(江角英明)の線から事件の真相を暴こうとし,彼のダンプの荷台にスーツ姿で忍び込んだところ危うくバレそうに。しかし助手席にいた女・美佐子(冨士真奈美)はなぜか彼を見逃してくれた。

美佐子は,事件以来行方不明となっている自転車の男・上田(寺田農)の内縁の妻だという。西山たちに脅されて一度は尾形を嵌めた彼女だが,やられる度に何度も家に突撃してくる強面スーツ弁護士(元)の圧力に根負けしたのか,彼に信頼を寄せるようになる。

一方,元フィアンセ・しのぶ(北林早苗)の元に足繁く突撃していたらしい北川(佐藤慶)は,ストレートに結婚話を切り出した。裁判で冷たく無視したにもかかわらず,尾形がまだ忘れられないしのぶが,父の日記の返却を口実に尾形の元を訪ねると,ちょうど彼に匿われていた美佐子がいた。尾形はわざと美佐子の素性を明かさず別室に留め置き,北川のプロポーズに賛成してみせた。しのぶが去った後,どうせ一緒になれないのだから今きっぱり諦めさせないと,と呟く尾形に「実はあたし,上田の妻じゃなくてなの」とさりげなく独り身をアピールしだす美佐子なのだった。フフフ,モテるな尾形(*そういう意図ではないと思う)

美佐子の協力で,西山の兄貴分・中杉を押さえ込んだ尾形が黒幕の名を詰問しようとした瞬間,中杉は何者かに狙撃され絶命した。おまけに行方不明だった上田青年も,ショックによる健忘症を患って精神病院にいることが判明。嘆く美佐子の側で,手掛かりを失った尾形は黒幕への復讐を誓い眉間を険しくするのだった。

*眉間だけではなく,事件を思い起こさせる右眉の傷も険しい尾形だった

*前回の事件屋・大野木(藤岡琢也)は,上田青年の所在を突き止めたりと,部下(美川陽一郎)を使って尾形のバックアップに回っている模様。フフフ,愛されてるな尾形(そういう意図…なのか?)。

夜の主役 #1

#1「狙ったのは誰だ!(1968年・S43・7月30日OA)

弁護士・尾形修二(天知茂)は,事務所のボス・伊東(清水将夫)の右腕として,かつ彼の愛娘・しのぶ(北林早苗)のフィアンセとして,順風満帆なエリート人生を送っていた。

しかしある夜,箱根の山道で突如飛び出してきた自転車を避けようとしたところブレーキが効かなくなり,尾形の車はボスを乗せたまま谷底へ転落,ボスは謎めいたペンダントを彼に託して帰らぬ人となってしまう。

その少し手前から我々視聴者は,車に細工していた怪しい手袋男,ボスの会合を待つ間に執拗に酒を勧め,彼が飲まないというと二人分のグラスを空にした怪しい秘書・香織(應蘭芳),彼の車を付けてくる怪しいダンプ運転手など,数々の不審な動きを目撃していたのだが(そして一番怪しいのは,彼の大学同期で,ボス亡き後伊東家の奥様にしれっと取り入りしのぶさんにも無言の目つきで迫る美声ポーカーフェイス男・北川(佐藤慶)なのだが)当然尾形は何も知らず,犯人サイドの思惑に反してどっこい生きてた彼に対して,状況はことごとく不利に。

重過失致死罪に問われ,弁護士バッジだけでなくしのぶの気持ちまで失ってしまった尾形に,「夜の主役」にならないかと夜の世界へのスカウトをほのめかしたのは,癖のありそうな事件屋の大野木(藤岡琢也)だった…。

*原作者が当て書きしたという波乱万丈のドラマの開幕。天っちゃんの顔をアピールしたアイキャッチ(撮影:土門拳←写真家のお兄さま繋がり?)いちいちアップでキメ顔,そして長い指で顔を覆うラストまでザ・天知茂を高画質で堪能できる作品だ。ありがとうデジタルリマスター!

非情のライセンス 第2シリーズ #52

#104「兇悪の再会」(1975年・S50・10月2日OA)

おねーさんのむっちり脚と天っちゃんの歌声(「非情の街」)入りOPに気を取られているうちに公害企業反対組合のリーダーが駐車場で射殺され、たまたま通りがかった赤ん坊連れの若夫婦も巻き添えをくって死亡。現場でいちゃついていた山野(西田健)は犯人・黒崎(黒部進)の顔を目撃したが、不可解なことに後になって証言を覆す。そして山野も、坂井刑事(宮口二郎)と四方刑事(葉山良二)が張り込んでいる目の前でガス自殺に見せかけて殺された。

自分たちのヤマをさっさと一課に託すなど、最初からなぜかおとなしの構えの会田(天知茂)だが、「なんでヤマちゃん(=山野)を守ってくれなかったのよ、人殺し!」と恋人・伸子(=冒頭の生脚おねーさん:ジャネット・八田)にシャレのように張ったおされてスイッチが入ったらしく、黒崎のボス・大和田(天本英世)の事務所を急襲、黒崎ほか5人を血祭りにあげ、矢部警視(山村聡)に拳銃と警察手帳を返上した。橘警部(渡辺文雄)に過剰防衛の咎で逮捕され留置所入りとなった会田は、自分ひとりで責任を被るつもりが新聞沙汰になり、特捜部の存続も危うくしてしまう羽目に。

そんな折、会田の行為を正当防衛だと証言し彼を保釈に導いた人物が現れた。伸子と大和田である。大和田は「奪った手帳を返してくれ」と1000万を提示。会田が事務所で手に入れた手帳には、大和田たち殺し屋グループを差し向けた黒幕の大企業・帝都物産の名前が記されているのだ。俺も安くみられたもんだとお近づきの小切手を破り捨てた会田に大和田は刺客を差し向けるが、彼をマークしていた(助けたわけじゃない、とか言いつつ実にタイミングの良い)橘班長によって事なきを得る。

一方、伸子も同じ手帳を欲しがってきた。彼女が大和田に唆されていることを知りながら会田は手帳を彼女に手渡し、部長にまたしても拳銃その他を返却すると、大和田一派を振り切って帝都物産を強請りに向かった。帝都の総務部長が顔色ひとつ変えずに用意した5000万を「俺はこれでも刑事の端くれだから」と丸ごと伸子に譲った会田は、田舎へ戻ってかあちゃんたちにこれ見せてやるんだ、と涙ぐむ彼女の純朴さに笑みを漏らす。

しかしコケにされた大和田たちが彼らを許すはずはなく、ビルを出てすぐ二人は狙撃された。逃走中に現金入りケースを落とした伸子は、会田の制止を振り切りケースに駆け寄ったところを射殺された。丸腰の会田も左肩を撃たれてあわや、というところでまたまたナイスタイミングで橘班長さんらが現れ、殺し屋グループたちは一網打尽と相成った。

とはいえ、親玉の帝都物産は無傷のまま。会田に刑事グッズを返しながら、こうなったらとことん突き詰めてやる、そのためには人殺し(=会田)でも強請り(=会田)でも、戦力になるヤツは集めてやろうと思ってね、と俄然張り切る矢部部長。だが会田は「ありがたい話だが、俺はそれまで待てないんでね」とひとりごちると、拳銃を握り締めて帝都物産のビルを睨み付けるのだった(昭和ブルースは4番)

*なんとなく大人しめかと思いきや、がんがん人殺しちゃったり2回も辞職宣言しちゃったり、どこか自棄になってるような今回の会田。ラストの「それまで待てない」というセリフといい、これはもしかすると次回(白血病カミングアウトの#53「兇悪の無実」)への伏線だったのだろうか?(それにしてはえらく微妙な・・・)

*この回からしばらく(年末OAの#63「兇悪のデザイン」まで)OPに「非情の街」が流れる。会田同様、非情になりきれない揺らいだ雰囲気が良く出ている歌声である。

「非情の街」歌詞リンク
https://www.uta-net.com/song/218672/

*天井が高くて外の眺めも良かった特捜部が、薄暗い地下の息苦しそうな部屋へと押しやられた回でもある。すだれを張ったウエスタン・ドアがちょっとしたアクセント。

*そしてさりげなく若い新刑事(谷刑事:新倉博)が交通課から配属されていた。伸子が大和田に襲われたとき、会田よりも先に助けに入っていたような気がするんだが、あまりにさりげないゆえに良く分からなかった(この先さりげなく消えているほうに100アマチ)

*さすがに暑い時分はとっくりが着られないので、四方さんがブルーの背広&シャツ&赤ネクタイで登場。