2006,05,29, Monday
「掟討ち」(1973年・S48・10月6日OA)
ゲン(天知茂)と弥藤次(山崎努)は「陰公方」に仕える忍者集団「陰」の一員で親友同士。いつも冷徹に仕事をこなすゲンに対し、弥藤次は傀儡(くぐつ)人形である己に疑問を覚え、漠然とした不安を抱いている。 暗殺任務を終えて休む二人の耳に女性の悲鳴が。少女が崖から落ちそうになっているのを、ゲンは咄嗟に助けた。少女の姉・さと(宇津宮雅代)はそんなゲンにひとめぼれ、だが彼女に熱い視線を返したのは弥藤次のほうだった。 さととの出会いがきっかけとなり、更に頭目の雲十郎(西村晃)から、一揆を計画するさとの父親たちを抹殺せよと命じられたことで、鬱屈していた弥藤次の心は出口を見つけて一気にスパーク。一緒に出かけた仲間を殺し、さとの父親を助けてしまう。父親を助け、朴訥な愛の告白までしたのに「この前一緒に居たひと(=ゲン)は・・・?」とさとに問われて複雑な弥藤次だが、追っ手の松丸(露口茂)たちを蹴散らし、さとと共に生きることを宣言。 一方ゲンは任務から外され、「子を作れ」との命を受けていた。相手は「陰」のくの一・きらら(松岡きっこ)。ゲンにぞっこんなきららは大喜びだ(天っちゃんモテモテ)。だが、組織を裏切った弥藤次を始末してこいと言われたゲンの心中は穏やかではない。 弥藤次はゲンを待っていた。刀を交える二人。 お前は何のために生きているのだ。陰とは、掟とは何なのだ。 弥藤次の言葉に、掟に盲従することへ疑問を抱き始めるゲンだったが、彼にとって上からの命令はまだ強い支配力を持っていた。 お前には分かるまい、そう呟き絶命する弥藤次、そこへ駆けつけるさと。 「人殺し!」 彼女の言葉と簪に身と心を(文字通り)突き刺されながら、ゲンは思わずさとを抱き寄せ接吻、彼女を残しその場を去る。 雲十郎はゲンの迷いを見抜き、きららと里へ降りろと指示するが、自分の存在意義を疑ってしまったゲンにはもはや魂の安寧はなかった。きららの誘いから逃れ、陰公方の指令を雲十郎に運びに来た伝達師を問い詰めるゲン。陰公方はどこにいるのか。俺は一体誰なのか。だが答えはなく、ゲンは気が付くと、絶対服従を誓わねばならぬはずの伝達師を殺めていた。「伝達師もただの当たり前の人間じゃないか・・・!」彼の中で、またひとつ何かがはがれ落ちた。 きららや松丸たちに追われる側になったゲン。「抜け忍」と呼ばれた瞬間、彼の顔に凄惨な笑みが浮かぶ。「抜ける、俺は抜けるぞ!」陰公方の正体を暴くため、そして弥藤次が果たせなかった人間らしい何かを掴むため、ゲンは新しい世界へ足を踏み入れる・・・。 冨田勲の重厚な音楽をバックに天っちゃんの劇画チックな殺陣(と顔)が拝めるオープニングから、がっつんがっつん飛ばしまくる初回。殺陣がうまいかどうかはもはや目が曇ってるのでよく分からないが、剣をすっと逆手に持つ構え(「逆手斬り」)がカッコいいのなんの! 分別臭くなる一歩手前の、脂の乗った天っちゃんの熱い演技が堪能できる。 弥藤次役の山崎さんは天っちゃんより5歳若いんだけれど(1936年生まれ)、先輩格の悩めるインテリ・エリート忍者の雰囲気には圧倒された。上背もあるし(隣にいる男のせいか?←失言)それからさと役の宇津宮さんの凛とした美しさも印象深かった。 細かくみるとツッコみたいところも色々あるけれど(抜け忍なのに素浪人風体になるってどうよ、とか、さとの妹・ちこちゃんをどこに置いてきたんだよ、とか)、有無をいわさぬハードボイルドな展開に目を奪われた。しかし初回がこんなに面白いのに13話で打ち切りってどういうことやら。ヘタレていく様もまた見ものなのかもしれない。
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| TVドラマ(時代劇)::無宿侍 | 12:34 AM | comments (x) | trackback (x) | |