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非情のライセンス 第1シリーズ #33
#33「兇悪の肌」(1973年・S48・11月15日OA)

オツムの少々弱いパー子こと水沢純子(左時枝)は、知人の結婚式で見かけた男をアパートに連れ帰った。寡黙な男にマジ惚れしてしまったパー子は、50万貸してくれ、その金があったらキミと一生暮らせるんだと迫られ、10日待ってくれと頼む。
「あんただけには、きれいな体で抱いてほしいの」
10日間男を断てばきれいな身体になれる、そう彼女は信じていた。無心にお百度参りまで始めたパー子には、その男が財界の黒幕を拉致・射殺した犯人グループの一人だなどという事実は知る由もない。

殺された黒幕は外国(シャルダン共和国)との合弁会社設立を画策しており、かの国の秘密組織の暗躍が背景にあると睨んだ会田(天知茂)と一課の橘警部(渡辺文雄)は、今回ばかりは無言の協力体制を敷いて捜査に当たっていた。やがて新婚夫婦の見送り連中にまぎれて現場から逃走した男・青井登(長谷川明男)の名前が浮上する。

鈴木刑事(梅津栄)が聞き込みに向かった先はパー子の勤める居酒屋。青井と一緒に暮らしていることを嬉しそうに打ち明けた彼女は鈴木をアパートへ連れてゆくが、気付いた青井は逃走した。さすがにいぶかしみ始めたパー子だが、会社の金を使い込んだという言葉を信じ、せめて5万でも、と要求する青井のために金を工面しようとする。

「10日間の誓い」を先延ばしすることにして、シンパの浅川(大泉滉)から身体と引き換えに5万円を借りたパー子だが、待ち合わせた場所に青井の姿は見えなかった。秘密組織の一人に見つかった青井はその頃、土手で死骸になっていた。保険金のもつれなどというとってつけた動機で自首する犯人。青井をスケープゴートに、すべてをうやむやにしようとする上層部より捜査打ち切りの命令をうけて憤る橘は、取り調べ室で自首した男を半殺しレベルでボコ殴っている会田に自分と同じ思いをみた。

あきらめつつも待っているのか、居酒屋で客とから騒ぎするパー子。そんな彼女に、青井の死を告げられぬまま鈴木は店を出るのだった(そして真っ暗な特捜部屋で、鳴り響く電話にも反応せずにやり切れなさ全開で座り込んでいる会田と橘がうつって昭和ブルース4番)

*国家主権がおびやかされる重大事というのに、上からの圧力で身動きがとれなくなる中間管理職のふたり(会田&橘)がメインというよりは、いわば捨て駒として働かされ殺された男と、彼を純粋に愛してしまった白痴娘の哀しさが強調されている。

*それでかどうか、会田の出番が普段の矢部さんレベルに少なかった。ただ、橘さんとは無言で見つめあうシーンが2〜3度あって、その都度会田の眼の表情の色っぽさにちょっとドキドキできる。(ぐっと睨んでるようで、あんたのことは分かってるよ、ってな雰囲気をも漂わせるのだ)

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:21 PM | comments (x) | trackback (x) |
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