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『月の光(トラン ブーラン)』
『月の光(トラン ブーラン)』(1954年・S29)

(ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞)

南方戦線でゲリラ殲滅と現地人の日本語教育に携わる小林伍長(小笠原弘)は温和な性格で部落の人気者。ところが両親を戦争で失った歌の上手な少女・ベルダ(雪村いづみ)だけは彼に頑なな態度をとり続けていた。おまけに兄・アリ(沼田曜一)がメルド(三原葉子)との結婚資金のためにゲリラに加担、日本軍に捕らえられてしまったことで一層硬化するベルダだが、兄は小林の機転で命を救われたと知り徐々に態度を和らげる。

アリを逆スパイとしてゲリラ隊に戻す、というのが小林の策。ところがそのカラクリはゲリラのイスカンダル(というカッコいい名前はどこにも出てこなかった殿山泰司)に知れ、アリは捕えられてゲリラ隊長(ひとりだけエゲレスの冒険家めいたヘルメットを斜め被りして銀縁メガネを光らせた天知茂)の前に引き出され、リンチの挙句、日本軍をおびき寄せるニセ手紙を書かされた。

手紙が胡散臭いと踏んだ上官の田代(細川俊夫)は兵を出さず、その決定を知ったベルダはメルドと2人で出発。目をぎらつかせたゲリラ隊長らにまんまと捕まりあわや…!となりかけるが、逃げてきたアリ、そして駆け付けた小林たち日本兵によってゲリラたちは一網打尽とあいなった。

…ワタシ的にはゲリラ隊長がさしたる抵抗もみせずに手を挙げた時点で話が終わったのだが、この後、小林センセイにメロメロになったベルダが鈍感極まりない彼の気を引こうと「2人の男にプロポーズされた」などと言って翻弄し、それでもやっぱり鈍かった小林がいろいろあってようやく彼女の気持ちに気付いたところで部隊が他所へ移動、ベルダ涙の別れ、というのが映画の主題。

*公開が主演デビュー作『恐怖のカービン銃』のほぼ1カ月後であるせいか、開眼したての冷徹なワルの雰囲気が同映画に酷似していた。ただあっちは色気を感じる余裕があったが、こちらは顔をゆっくり拝む暇もなく出番終了。まあ流暢なマレー語(推定)だけは堪能できたのでよしとしよう。

*「ニヒル 天知茂」(ワイズ出版)でこの映画のものとされているスチールは別作品と判明(よくみたら『女真珠王の復讐』っぽい)

*主演の小笠原さん、前も書いたがこの年はほんとに目立っているのだが、キャラがウツイ系だからだんだんあっちと被ってきて仕事がなくなったのかもしれない。

*アリとメルドの結婚式シーンに森悠子さん(天っちゃんの未来の奥様)の姿があるらしい…と聞いたのに判別できなかった。←修行が足りない

*そういえば「隊長」だったゲリラ隊長だが、彼らが投降した後も小林たちはもっと強そうなゲリラ集団に襲われていた。どれだけローカルだったのか。

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| 映画::新東宝 | 10:59 PM | comments (x) | trackback (x) |
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