2008,03,21, Friday
『女体渦巻島』(1960年・S35)
闇取引が渦巻く東洋のカサブランカ・対馬に、ひとりの男が復讐に燃えた瞳で降り立った。「俺はあの男を殺すためにここへ来たんだ・・・!」彼・大神信彦(これがデビュー作:吉田輝雄)はとある組織の凄腕ガンマン(ただし人殺しは嫌い)。恋仲だったはずの同じ組織の真山百合(三原葉子)が、唯一人自分の拳銃を恐れない男(=ボス)の情婦になったと聞きつけ、対馬まで真相を糾しに来たのだった。 百合は組織の拠点でクラブのマダムに居座っており、女達を使っての麻薬密輸に手を染める毎日。何も語らず、ただ殺してくれという彼女に「俺のボスは恥知らずで、恋人は貞操のない女だったというわけか」と冷たい言葉を投げかける信彦だったが、彼女がクスリに冒されていることを知り、更にボスへの憎悪を募らせる。彼は麻薬を使い力ずくで百合を奪ったのだ。密輸情報をサツに流して取引をぶっこわし、双方から命を狙われた信彦を百合は助けた。共に逃げようと約束しあう二人。だが、取引の失敗に業を煮やした彼らの宿敵・陳雲竜(ヒゲ&白手袋でダンディーな天知茂)が、満を持して対馬に乗り込んできた・・・! 女達(万里昌代・星輝美など)を無造作に品定めして外国に売り飛ばす手はずを整えた陳雲竜、「百合のことはどうしてくれる、俺たちのぶち壊された青春は!」とまるで反抗期のウブな若者のような信彦の言葉を鼻であしらう大物ぶりを見せ付ける。話し合いの途中で部下によるドンパチ騒ぎ、そして警察乱入と混乱の中、海岸でサシの勝負(肉弾戦)を繰り広げる信彦と陳。体型差もなんのその、といいたいところだが案の定形成不利になったところで洞窟に逃げ込んだ陳は、追いかけてきた信彦に拳銃を向けた。しかし百合の妨害に遭いカッときて彼女を射殺、悪いヤツはこうでなくっちゃ、といわんばかりの態度を取るのだが、突如聞こえる警察隊の声。 「地獄の底からお前を呪ってやるぜ。ひゃはははは〜!」とアブナイ笑い声をあげた(『勝利者の復讐』よりは声低め)陳雲竜は脇道にそれた、と思ったら次のシーンで崖から真っ逆さま。もはや運も尽きたと観念した、というよりは、脇の道から逃げるつもりがうっかりそこは断崖でした、ってな風にもとれるあっけない幕切れだった。 *名前ばかりでなかなか出てこないラスボス陳雲竜だが、初登場は♪月の海辺に寝転んで〜ミイラみたいに寝てしまう〜♪という歌詞も踊りもトラウマになりそうなクラブでのシーン。くねくね踊るうちにトランス状態になった百合の眼前に、そこにいないはずの愛しい信彦の姿、だがそれが瞬時に両手を広げて踊っている(のかどうかはナゾ)な口ひげの男(=陳雲竜)に取って代わるのだ(怪しいのでキャプチャーしてみました) *相変わらず長くキレイな指先なので、拳銃をくるくるっとまわす仕草がカッコいい。
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| 映画::新東宝 | 11:43 PM | comments (x) | trackback (x) | |