2006,11,27, Monday
『孤独の賭け』(1965年・S40)
*ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞(2006.11.25) あらすじはほぼ原作をなぞっているので省略。 資金繰りに奔走しているかと思えば女を口説いてるか抱いてるか脱いでるかな(って女絡みが多いが)実に忙しい千種梯二郎(天知茂)。34歳という天っちゃんの実年齢とルックスは成り上がりの若き野心家を体現するにはまさにうってつけで、新東宝時代の名残のような台詞回しのそこはかとない軽さすらも、詰めの甘さで道を誤まる千種の末路を見越しているかのようだった(うなじの手入れの詰めの甘さもそうか?←それはたぶん違う) 1話の後半でようやく登場したドラマ版とは違って実にサクサクと話が展開するのだが、サクサク進みすぎて百子(佐久間良子)はもとより千種の内面描写やバックグラウンドの掘り下げが浅くなっていたのが勿体無かった(原作好きの弊害か)。もっとこう、最底辺から這いのぼってきたんだぜ!というギラギラした姿も見たかったなあ。 ただ、秘書の中川京子(小林千登勢)と百子の色男・千種を巡る女の争いはビジュアルで見るほうがインパクト大。佐久間さんに百子チックな「毒気」や「執念」をあまり感じなかったせいで(「おんな太閤記」や「細雪」等のふんわかイメージが強いので)、おとなしそうな顔をして私はどこまでも社長にお供しますわオーラをがんがん放出させ、ラストに見事(?)千種をモノにした京子=千登勢さんの手腕が際立っていたように思えた。 *あんなに地味な梅宮辰夫をみたのは初めてかもしれない(メガネ姿の千種の右腕役)。←プレ不良番長時代だからか *(2006.5.28)原作について 最底辺の生活から這い上がった野望多きひとりの男・千種梯二郎。 自分を不幸に陥れた親類への復讐に燃えるひとりの女・乾百子。 偶然出会った二人は似た境遇と互いの持つ力に本能的に惹かれ合う。男は女の夢に投資し、やがて二人で歩むことを望む。女は男を認め愛しつつ、自立の道を模索する。 借金だらけで突き進む男の夢(=パノラマ島作り)は叶うのか、自立心の強い女はどこまでのし上がれるのか。そして人生の賭けに勝つのはどっちか。メリハリの効いた短文調でなかなか読ませてくれた。 1963年(S38)に本が出るなり天知茂主演でドラマ化され、乾百子には小川(黒蜥蜴)真由美。その後、1965年には映画が作られ、このときの百子は佐久間良子。そして1978年に再度ドラマ化されている。 天っちゃんを念頭に置いているせいでどうしても千種メインで読んでしまっていたのだが、従属を嫌う百子の生き方には共感する部分が多かった。特にラスト(以下ネタバレ失礼)、甘さが抜けなかったというか、うぬぼれが強すぎて千種が自滅し、金の無心のために(それも自分の愛人兼秘書のための金を無心するために!)百子を訪ねるくだりには、彼女でなくても今までの理想像がガラガラと崩壊する気分を味わった。ドラマや映画もこのラスト通りなのだとしたら、かなりカッコ悪いよ天っちゃん(=千種)。 *気になることがひとつ。1978年版キャストをデータベースで調べてみると、 天知茂、五十嵐めぐみ、浅野温子、園まり、白石奈緒美、伊藤雄之助 という面々の名前があるのだが、順番からすると五十嵐さんが百子役だったのだろうか? 78年だからもうすでに初代文代さんと明智センセイだったわけで、その二人の絡み…ってどうなんだろうなあ。 *「首無し島」のときもなんだかなあと思ったものだが<文代さん&センセイ
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| 映画::東映 | 12:51 PM | comments (x) | trackback (x) | |