2006,03,14, Tuesday
「親の涙は血の涙」(1981年・S56・6月2日OA)
凄腕だが仕官のクチ探しに苦労している子連れ浪人(土屋嘉男)が、田沼の息がかかった殺人集団・般若党(般若のお面を被ってアンチ田沼の要人を消しまくる連中)にスカウトされた。まだ幼い息子・新之助のため、図らずも悪事に加担してゆく浪人。 息子と顔見知りになっていた新さん(天知茂)は、良からぬことに巻き込まれているらしい父親の傷の手当なども甲斐甲斐しく(?)こなしたりなんかして、貧しくともまっとうな道を歩むようさりげなく諭すのだが、般若党の次のターゲットが自分たち闇狩人の総元締め・松平定信(出番はなかったけど沖雅也)宅と知り、阻止せんと討伐に向かう羽目に。 決行時、「旦那、無理しないでくださいね」と新さんに声をかける闇狩人の紅一点・渚さん(坂口良子)が珍しかったが、般若党のパトロンやその背後にいる黒幕を単独で殺しにいく彼女や安斉さん(山城新伍)の方がむしろ大変そうだった。新さんなんて、素顔で般若のお面に圧勝してるんだから大丈夫に決まっているじゃないか。 自分に何かあったら息子の身の振り方を決めてくれ、とパトロンから貰った前金をごっそり親切な近所の素浪人(=新さん)に預け、安心して死地に赴いたはずなのに、当の本人が「…闇を、斬る!(チャキーン♪)」なんて恥ずかしいセリフと狂四郎スタイル(=黒の着流し)で自分たち般若党の前に現れるもんだから、父親の動揺はいかばかりだったろう。「金で魂を売るな!」→「息子が心配してるぞ!」→「新之助の元に帰ってやれ!」面被ってても正体バレバレなんだぜ、とでも言いたげに徐々に具体的になってくる新さんの言葉も耳に入らないかのように(「つーかアンタ、息子と金を託したのになんでここにいるんだよ?」と心の中で突っ込んでいたせいなのか)、斬りかかる父親。 勝負は一瞬で決まった。鮮血したたる新さんの刃の向こうで「貴殿に斬られて本望だ・・・」と呟き、浪人は息絶えた。座頭市vs平手造酒テイストだが、ちょっと待ってほしい。余命いくばくもないわけでなし、あれだけ新さんが見逃してやるってジェスチャーしてんだから、息子のためにも生きのびるのがフツーじゃないのか父親。新さんも条件反射みたいに斬るなよ! ラストは朝の長屋。父親の分まで朝餉の用意をしているあまりにけなげな息子の姿を戸口から垣間見て、形見らしき印籠すら渡し損ねてそっとその場を去る新さん。石畳をひとり歩く背中には昭和ブルースが色濃く滲んでいた(預かった金はどうしたんだ、などと下衆なことは突っ込んではいけない)。 ところで今回の隠密わんこ・火山は、元締めの兼子さまからの文を届けたあとぐったり横になっていた。どうやら熱があるらしい、ということで、なにか話に絡んでくるのかと思ったのに全く無意味だった。構ってほしかっただけなのか火山よ。
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| TVドラマ(時代劇)::闇を斬れ | 11:51 PM | comments (x) | trackback (x) | |