2007,08,19, Sunday
#61「兇悪の口紅」(1974年・S49・11月28日OA)
マンションでホステスが絞殺された。現場に残された指紋から、犯人は傷害事件の前科持ちの西川(池田駿介)と判明。だが、かつて彼の更生の手助けをした会田(天知茂)には信じられず、一緒に目撃されたという女性を追って鹿児島へ飛ぶ。 西川の幼馴染・志津(ジュディ・オング)は絞殺された女性・江津子(霧島八千代)の実の娘だった。窯元の父を半月前に亡くしたばかりの彼女がなんらかの理由で上京し、事件に関与したとみた会田は、故郷に向けて逃走中の西川を追って同じく鹿児島入りしていた捜査一課の連中に睨まれながらも志津に接触を図り、真相を聞き出そうとする。 幼い頃の両親の離婚で傷ついた志津は最初、江津子を母親と認めようとすらしなかった。「親を恨む気持ちと慕う気持ちは同じだ」会田は自らの過去(両親共に原爆死)を打ち明け、今でも母を慕う気持ちは変わらないと話す。その後の四方刑事(葉山良二)のさりげない会田フォローなどにより志津の態度は軟化、会田に口紅が付いた茶器で一服点てながら告白を始めた。 いくら洗っても消えないその口紅は、別れた母が付けたもの。母の話題を許さなかった厳格な父が死の間際、その茶器を握りしめ無言で懇願した瞬間、父もまた母を忘れられずにいたことを志津は悟った。しかし茶器を持って上京し、幼馴染の西川に伴われて母を訪ねた彼女は、自分たち父娘が母にとっては既に嫌悪すべき過去になっているという事実に直面。金が目当てなのかとまで邪険に言い放つ母に、今日は何の日か知っているかと尋ねる志津。答えが返ってこなかったとき、茶器箱の紐を持った彼女の手は母の首を絞めていた。「お母さん、お母さん、お母さん!」――娘の誕生日すら、母は忘れていたのだった。 語り終えた志津は自首するふりをして逃走、桜島近くの岩場で自殺を図った。死ねば父に会える、やっと母と暮らせる。だが追いついた会田はナイフを撃ち落とし、志津を張り倒して生きろと説得。弾みで粉々になった茶器が君の身代りになってくれたのだからと――(昭和ブルースは2番) *母親への愛憎半ばする激情が引き起こす悲劇。「(離婚する親は)子供の気持ちなんて考えていないのよ!」志津さんの叫びは、OA後30年以上経った今も痛々しく響く。 *両親の愛に恵まれなかった志津さんと西川に同情してしまい、逮捕に二の足を踏んでいた会田の誕生日は広島に原爆投下され、両親が亡くなった8月6日らしい(四方さん談)。実に兇悪な過去設定だ。 *会田はその土地の一流ホテルしか泊まらないらしい(これも四方さん談)。 *西川役の池田さんはキカイダー・ゼロワンが終わった直後の出演だったそうである。 (週刊女性自身 S49.10.24より引用) NET「非情のライセンス」(木ヨル10時) *ジュディちゃんをお姫様抱っこしているモノクロ写真つきの記事。《その2》は#13「兇悪の噴煙」。
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 03:51 PM | comments (x) | trackback (x) | |