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非情のライセンス 第2シリーズ #39
#91「やさしい兇悪」(1975年・S50・7月3日OA)

北海道からフェリーで帰る途中の会田(天知茂)の部屋(特別室)へ逃げ込んできた密航少年・湯山賢治(中井徹)。便りが途絶えた出稼ぎの父(牟田悌三)の身を案じ、母(天地総子)や妹たちに黙って家を出てきたらしい。

珍しくオールキャストが揃った(南刑事=望月太郎はいなかったが、もはや誰も気にしていないのかもしれない)特捜部ではリンチ殺人事件を追う一方、会田の北海道みやげ・賢治少年の父親探しにも皆でひと役買うことに。やがて、失業者たちを騙して強制労働させている暴力団組織の存在が浮上、潜入捜査に向かった会田は男たちの中に身体を壊した賢治の父を発見する。

リンチ事件の犯人でもあった関西ヤクザ(北町嘉郎)らは特捜部により一網打尽、かくして湯山親子はめでたく再会を果たした。「忘れないよ、会田健という名を」「俺も忘れないさ、湯山賢治という名をな」親子の乗った船に向かって、会田は笑顔で手を振った…(昭和ブルースは1番)

…という、非ライにしては甘め(単純?)なストーリーは、交通事故死した実在の賢治くんの名前を拝借して作られたもの(詳細はこちらの記事に)。予告とエンディングにその旨が流れるあたりに少々あざとさを感じてしまうとはいえ、とにかく今回の特記事項は天知茂・初監督作品であること。レギュラー陣がやけに嬉しそうに画面を往来するうえ、ピンポイント・ゲストがやたらと多く、現場でのちょっとしたお祭り騒ぎが想像できるのが楽しい。

そして肝心の演出は、特捜部室の少し変わったアングルの撮影、長回しロードムービー風(水面ショットなど)、スローモーションにコマ劇場(=ぐるぐる)と、これまた天っちゃんの凝り性な面が随所に出ていて興味深かった。ただ凝りすぎて予算オーバー、始末書モノだったそうで(ワイズ出版「天知茂」池田さんの証言より)、それが影響してかどうか、非ライ上、最初で最後の演出作品となってしまった。

*前回の悲しいラスト(#38「男のうたは兇悪」)の後の予告編にて、セカンドLPの表紙みたいな格好(ただしノー金鎖)で「はいカットー」とかやってる天知監督がばっちり映るせいで涙が引っ込んだ。「だめだろ、爪噛むんだろお?」と子役に指導してる監督、けっこう怖い。

*ちなみに賢治君の爪を噛むという癖は天っちゃん本人の癖(ワイズ出版「天知茂」より奥さま談)からきているのかもしれない。ラストで賢治君の「忘れないよ」を思い出し、釣られたように爪を噛んじゃう会田がご愛敬。

*友情出演枠で桜町弘子さん(屋台の女将)・弓恵子さん(だるま船の女)・毒蝮三太夫さん(だるま船の船頭)・倉丘伸太朗さん(船員)。そのほか、天知ファミリーも「傷の男」(北町さん)だの「額際の薄い男」(岡部さん)だの投げやりな役名で(人数多すぎて名前考えられなかったのか?)もちろん出演。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 03:10 PM | comments (x) | trackback (x) |
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