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『風流交番日記』
『風流交番日記』(1955年・S30)

(ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞)

“風流とは、平和を愛する人の心の中に生ずる一種の「あくび」である”――(「大言海」)

中堅巡査の和久井(小林桂樹)は駅前の小さな交番に勤務する4人の巡査のひとり。女にモテモテの花園(宇津井健)、やる気満々の新卒・谷川(御木本伸介)に比べると、元来の人の良さ(トロさ?)ゆえかいまひとつパッとしない和久井だが、同郷で夜の女として働くマツ改めユリ(阿部寿美子)は、そんな彼にすげなくされても憧れのまなざしを注ぎ続けている。

年長巡査の大坪(志村喬)は若い3人だけでなく、新聞売りの孤児やバタ屋のオヤジ(多々良純)にも分け隔てなく接する温厚な人物。長年連れ添った妻とも良い雰囲気で順風満帆にみえる彼にも悩みはあった。2年前に家を出て以来消息不明の息子・一郎(開襟シャツで腕組みしてる爽やか青年風で仏壇横のフレームに収まっている天知茂)のことが気がかりなのだ。

ある時、留置所勤務を命ぜられた和久井は、無銭飲食で捕まったぶかぶか背広の貧相な青年の財布に、大坪夫妻の写真を見つけた。彼こそが大坪が捜している愛息だと悟った和久井は、初めての留置所で自分の弱さにうちひしがれながら膝を抱えている彼に、とある老巡査(=大坪)の悲哀をさりげなく話してきかせる。
――まったく『親の心、子知らず』だよなあ。
一郎は彼の言葉に胸を衝かれたように眼を伏せるのだった。

数日後、新聞売りの少年の父親が交番を訪ねてきた。罪を犯して逃亡中だったという彼は、遠巻きに息子の懸命な姿をみて自首を決意したのだという。今一度しっかり見てきてやりなさいと父親を温かく後押ししてやる大坪の後ろ姿を、一郎が物陰からそっと見つめていた。

指名手配中のギャング(のくせに女といちゃいちゃしている、いつもどおりエラそうな丹波哲郎)の捕物劇などあった後、モテ男・花園は上司の娘とゴールインして出世、和久井に手柄を譲って貰った谷川も1人前になり、相変わらず和久井だけが冴えない毎日なのだが(片思いのお嬢さんが結婚したせいで、自分のために身体をはってギャングを止めてくれたユリちゃんのことは今のところおざなりになっている)、一郎から速達手紙が届いたと駆け込んできた大坪の妻や、その手紙を大事そうに読んでいる大坪の姿を見てほんのり嬉しい気分に。北海道の森林で頑張っている、今が一番幸せだという一郎の手紙には父への謝罪と尊敬の言葉が綴られていた…。

*2年も家出中というからもっとグレまくったチンピラ息子なのかと思っていたら、留置所に入ってくるなり捨てられた仔犬のような眼つきでオドオドしている気弱なぼっちゃんだったので驚いた。ただし、薫兄さんの師匠・土門拳さんがこの映画の天っちゃんを見て「あれは有望だ!」と太鼓判を押してくれたというだけあって、表情の移り変わりがナチュラルで素晴らしい。抑えたセリフ回しもいい感じ。

*とはいえ、無銭飲食で捕まるくらいお財布が切迫している青年がホイホイと北海道なんぞへ行けるんだろうか? そう書いて老親を安心させ、実はまだ交番の物陰にいるんじゃないのかと思ってしまったのも事実だ。

*名前は?と言われて口ごもりながら偽名(「大坪一郎」→「大沢三郎」だったかな)を使った一郎クン。生年月日は?と聞かれるとけっこうスラスラと「昭和5年3月4日」なんて言っていた(でも1年サバよんでるな>天っちゃん)

*クレジットには名前が無かったようだが、事故ったタクシーに乗っていたいちゃいちゃカップルの女性は奥様(森悠子さん)だったと思う(ほんの一瞬)。

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| 映画::新東宝 | 11:25 PM | comments (x) | trackback (x) |
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